ウイスカー冷陰極を電子放射源とした小型X線管の開発 (pdf.399kb)

派遣学生:材料工学専攻 第2学年
大木 智史
研究題目:ウイスカー冷陰極を電子放射源とした小型X線管の開発
派遣期間:平成18年11月1日 ~ 平成19年2月28日
派 遣 先:株式会社 大河原製作所
第 1 章 研究目的
セラミックスウイスカー冷陰極を電子放射源とした X 線発生装置を試作し、X 線放射特性の評価および
X 線像の撮影を行うことを目的とした。
第 2 章 研究成果
図1に Si(100)基板および炭素繊維上に合成したウイスカー冷陰極の断 (a)
面 SEM 像を示す。
(a)は ZnO:Al ウイスカー/Si 冷陰極である。
(b)は ZnO:Al
ウイスカー/炭素繊維冷陰極である。
Si 基板上に成長させた ZnO:Al ウイス
カーのウイスカー長は 2-10 μm、ウイスカー径は 0.3-1.0 μm、先端曲率半
径は約 20 nm であった。炭素繊維に成長させた ZnO:Al ウイスカーのウイ
スカー長は 10-40 μm、ウイスカー径は 1-2 μm、先端曲率半径は約 20 nm
であった。
三極型X線放射装置はZnO:Alウイスカー/Si冷陰極、ステンレスメッシュ (b)
引出電極、タングステン加速電極、石英製スペーサーからなる。冷陰極、
引出電極、加速電極はそれぞれ 20×20 mm2、20×30 mm2、20×30 mm2の
面積をもち、平行に距離を隔てられる。冷陰極‐引出電極間距離は 350 μm、
引出電極‐陽極間距離は 9 mmである。構成された三極型X線放射装置
の写真を図2に示す。
タングステン加速電極
タングステン加速電極
図1 ZnO:Al ウイスカー
放射線量は、5000 型サーベイメータ(東洋メディック)
スペーサー
(9 mm)
mm)
を用いベリリウム窓を通過する放射線を評価した。
ステンレスメッシュ
引出電極
スペーサー
(350 μm)
ウイスカー冷陰極
フジメディカル X レイフィルム(SUPER HR-S 30,富士
写真フィルム)を選択した。また、被写体には、厚さ 0.1
図2 X 線発生装置
mm の葉を選択した。撮影は加速電圧 8 kV、引出電圧
0.6 kV、放射電流 0.1 mA の条件下で 10 分間行った。撮
102
影された葉の X 線像を図4に示す。X 線が透過し辛い葉
10
放射線量 [mSv/h]
撮影条件時の X 線放射特性を図3に示す。フィルムには、
脈部で白く写り濃淡の差が確認された。
1
(a)
(b)
10-1
10-2
10-3
10-4
10-5
0
0.5
引出電圧 Vg [kV]
図3 放射線特性
1.0
10 mm
図4 X 線像
第3章 感想
良かった点
X 線像の撮影に成功したこと。
町工場の現状を知ることができたこと。
現像室や必要な部品を作製するなどのものづくりを楽しめたこと。
普段では絶対に使わない装置を操作できたこと
体重が減ったこと。
改善した方が良い点
学生研究支援費が上手に使えなかったこと。
派遣先で感じたこと
時間を有効に使うこと。
大学との違い
時間の決まった範囲内で作業すること。
図5 CAD による設計の様子
図6 X 線測定の様子
図7 現像の様子
図8 発表練習の様子