概要報告

(様式1-3)
WEB版共同研究実績概要報告書
連携体共同研究
テ ー マ 名
特定病原体不在 (SPF) ミニブタの実験動物としての生産ならびに販
売体制の確立
実施企業
(コア企業)
株式会社 紀和実験動物研究所
共同研究機関
近畿大学生物理工学部、同生石農場、和歌山県農林水産総合技術センター畜
産試験場、独立行政法人家畜改良センター、独立行政法人農業生物資源研究
所
研究目的
本共同研究事業において、昨年度は“特定病原体不在(SPF)ミニブ
タの生産技術の開発と繁殖用 SPF 種豚の確保“を研究テーマとして実
施し、成果として、ミニブタの新規 SPF 化技術を考案し、ミニブタの
安定的な生産法や生存性の高い人工保育法を確立した。今年度は、SPF
ミニブタを実験動物として生産し、販売体制を確立するための共同研
究を行う。すなわち、販売に伴うミニブタ輸送に重要な SPF 環境を維
持できる輸送箱の開発、ミニブタの詳細な形態的基礎データの収集、
種豚からミニブタを効率的に生産するための新たな繁殖技術を開発す
る。
各課題毎に成果の概要を記する。
及び目標
成果概要
課題 1. SPF ミニブタ用の輸送箱 (ケージ) の開発
SPF 環境を維持する専用のフィルターを設置した長距離輸送用の輸
送箱を開発した。しかし、輸送箱内の温度が高くなる傾向にあるため、
温度調整が可能な輸送箱に改良しなければならないことが分かった。
課題 2. バリア施設内での SPF ミニブタの繁殖
バリア施設内において、合計 9 匹のミニブタが誕生した。その内 7
匹が生存し、現在飼育中である。その他の繁殖用雌も交配しており、
順次出産させる予定である。
課題 3. SPF ミニブタの効率な生産法の開発
膣内留置型ホルモン製剤を用いて、性周期に拘らず 60%のミニブタを
人為的に発情誘起することができた。さらに、家畜豚で行われている
人工授精法をミニブタに応用し、妊娠させることができた。また、一
塩基多型(SNPs)を利用してミニブタの個体識別を行った結果、現在飼
育しているミニブタは遺伝的に近く、繁殖性に影響することが示唆さ
れた。
課題 4. ミニブタの微生物と発育モニタリング
ミニブタの微生物検査を実施した結果、ミニブタに対して病原性の
ない微生物が見つかった。また、発育について調べた結果、紀和実験
動物研究所と近大生石農場のミニブタは、給餌内容は異なるものの、
出生時から 12 週齢までの体重、頭長、胴長、頸囲、腹囲、体高および
胸幅に顕著な差は見られないことが分かった。
課題 5. 実験動物としての基礎データの取得
家畜用 CT スキャナーによってミニブタの撮影を行った結果、CT 画像
より個体の立体画像を作出することができた。しかし、立体画像より
腹部皮下脂肪、腹腔内脂肪や筋肉を区別することはできなかった。さ
らに飽食給餌で飼育中の SPF ミニブタはグルコースを負荷すると、30
分から 2 時間で血糖値が最も高くなった。しかし、3 時間後には、ほぼ
給与前の値に戻り、ミニブタの糖代謝能は非常に高いことが示唆され
た。また、ストレプトゾトシン(STZ)を用いて糖尿病を誘発できるか試
みた。その結果、STZ の投与法の違いによって、誘発頻度は異なり、腹
腔内投与に比べて血管内投与で高率に糖尿病を誘発できることが分か
った。
成果物の写真等があれば添付