公表特許公報 特表2015

〔実 44 頁〕
公表特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公表番号
特表2015-519051
(P2015−519051A)
(43)公表日 平成27年7月9日(2015.7.9)
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
C12N 15/09
(2006.01)
C12N
15/00
ZNAA
2B030
C12Q
1/68
(2006.01)
C12Q
1/68
A
2B150
A01H
5/00
(2006.01)
A01H
5/00
A
4B024
A01H
1/00
(2006.01)
A01H
1/00
A
4B063
C12N
5/10
(2006.01)
C12N
5/00
103 審査請求 未請求
4B065
予備審査請求
有
(21)出願番号
特願2015-511667(P2015-511667)
(86)(22)出願日
平成25年5月8日(2013.5.8)
モンサント
(85)翻訳文提出日
平成27年1月6日(2015.1.6)
アメリカ合衆国
(86)国際出願番号
PCT/US2013/040173
ス
(87)国際公開番号
WO2013/169923
(87)国際公開日
平成25年11月14日(2013.11.14)
(31)優先権主張番号
61/644,368
(32)優先日
平成24年5月8日(2012.5.8)
(33)優先権主張国
米国(US)
(全60頁) 最終頁に続く
(71)出願人 501231613
テクノロジー
ミズーリ州
ノース リンドバーグ
エルエルシー
セントルイ
ブールバード
800
(74)代理人 100081422
弁理士
田中 光雄
(74)代理人 100084146
弁理士
山崎 宏
(74)代理人 100122301
弁理士
冨田 憲史
(72)発明者 ウェン・シー・バーンズ
アメリカ合衆国63167ミズーリ州セン
トルイス、ノース・リンドバーグ・ブール
バード800番
最終頁に続く
(54)【発明の名称】トウモロコシイベントMON87411
(57)【 要 約 】
本発明は、トウモロコシイベントMON87411、ならびにイベントMON8741
1を含む植物、植物細胞、種子、植物部分、およびコモディティー製品を提供する。本発
明は、イベントMON87411に特異的なポリヌクレオチド、ならびにイベントMON
87411に特異的なポリヌクレオチドを含む植物、植物細胞、種子、植物部分、および
コモディティー製品も提供する。本発明はイベントMON87411に関係する方法も提
供する。
( 2 )
JP
1
2015-519051
A
2015.7.9
2
【特許請求の範囲】
料中のトウモロコシイベントMON87411
【請求項1】
またはそこに含まれるコンストラクトとハイブリダイズ
トウモロコシDNAを含有する試料中に検出することが
するDNAプローブとして機能するのに十分な長さのポ
できる組換えDNA分子であって、該分子のヌクレオチ
リヌクレオチドセグメントを含むDNA分子であって、
ド配列は、
該プローブが、配列番号1に示すトウモロコシイベント
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号
MON87411またはそこに含まれるコンストラクト
4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8
に特徴的である1つ以上の接合部セグメントに、該条件
、配列番号9、配列番号10、配列番号21、および配
下で特異的にハイブリダイズし、該ハイブリダイゼーシ
列番号25からなる群より選択されるか、または
ョン条件下での該DNAプローブのハイブリダイゼーシ
(b)(a)に完全に相補的なヌクレオチド配列であり 10
ョンの検出が、該試料中のトウモロコシイベントMON
、
87411
当該DNA分子の存在が、該試料中のトウモロコシイベ
トに特徴的である、DNA分子。
ントMON87411
【請求項7】
DNAに特徴的である、組換え
DNA
DNAまたはそこに含まれるコンストラク
DNA分子。
第1DNA分子と、第1DNA分子とは異なる第2DN
【請求項2】
A分子とを含む、一対のDNA分子であって、該第1お
トウモロコシDNAを含有する試料中に検出することが
よび第2DNA分子は、それぞれ、DNAプライマーと
できる組換えDNA分子であって、該分子のヌクレオチ
して機能して、増幅反応においてトウモロコシイベント
ド配列は配列番号1またはその完全相補体に対して少な
MON87411テンプレートDNAを含有する試料と
くとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列であり
共に、一緒に使用した場合に、該試料中の該トウモロコ
、当該DNA分子の存在が、該試料中のトウモロコシイ 20
シイベントMON87411
ベントMON87411
ンプリコンが作製されるように、配列番号1または配列
DNAに特徴的である、組換
DNAに特徴的であるア
えDNA分子。
番号2または配列番号3または配列番号4の十分な長さ
【請求項3】
の連続ヌクレオチドのポリヌクレオチドセグメントを含
トウモロコシDNAを含有する試料中に検出することが
み、前記アンプリコンが、配列番号1、配列番号2、配
できる組換えDNA分子であって、該分子のヌクレオチ
列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列
ド配列は、
番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列
(a)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配
番号21、および配列番号25からなる群より選択され
列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号4
るヌクレオチド配列を含む、一対のDNA分子。
4、配列番号45、配列番号49、配列番号50、配列
【請求項8】
番号51、および配列番号52からなる群より選択され 30
第1DNA分子と、第1DNA分子とは異なる第2DN
るか、または
A分子とを含む、一対のDNA分子であって、該第1お
(b)(a)に完全に相補的なヌクレオチド配列であり
よび第2DNA分子は、それぞれ、DNAプライマーと
、
して機能して、増幅反応においてトウモロコシイベント
当該DNA分子の存在が、該試料中のトウモロコシイベ
MON87411テンプレートDNAを含有する試料と
ントMON87411
共に、一緒に使用した場合に、該試料中の該コンストラ
DNA内に含まれるコンストラ
クトに特徴的である、組換えDNA分子。
クトを含むDNAに特徴的であるアンプリコンが作製さ
【請求項4】
れるように、配列番号1または配列番号2または配列番
該DNA分子がトウモロコシイベントMON87411
号3または配列番号4の十分な長さの連続ヌクレオチド
に由来し、トウモロコシイベントMON87411を含
のポリヌクレオチドセグメントを含み、該アンプリコン
む種子の代表試料がATCC受託番号PTA−1266 40
が、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列
9として寄託されている、請求項1、請求項2または請
番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44
求項3に記載の組換えDNA分子。
、配列番号45、配列番号49、配列番号50、配列番
【請求項5】
号51、および配列番号52からなる群より選択される
該試料がトウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、ト
ヌクレオチド配列を含む、一対のDNA分子。
ウモロコシ種子、後代トウモロコシ植物、トウモロコシ
【請求項9】
植物部分、またはコモディティートウモロコシ製品を含
試料中のトウモロコシイベントMON87411に特徴
む、請求項1、請求項2または請求項3に記載の組換え
的であるDNAセグメントの存在を検出する方法であっ
DNA分子。
て、
【請求項6】
(a)該試料を請求項6に記載のDNA分子と接触させ
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で試 50
ること;
( 3 )
JP
3
2015-519051
A
2015.7.9
4
(b)該試料および該DNA分子をストリンジェントな
物部分。
ハイブリダイゼーション条件に付すこと;および
【請求項14】
(c)トウモロコシイベントMON87411に特徴的
Diabrotica種の食物に入れて提供された場合
である該DNAセグメントへの該DNA分子のハイブリ
に殺虫性である、請求項12に記載のトウモロコシ植物
ダイゼーションを検出すること
またはそのトウモロコシ植物部分。
を含み、該検出ステップが該試料中の該トウモロコシイ
【請求項15】
ベントMON87411分子の存在に特徴的である、方
該Diabrotica種が、Diabrotica
法。
virgifera
【請求項10】
コーンルートワーム、WCR)、Diabrotica
試料中のトウモロコシイベントMON87411に特徴 10
virgifera(ウエスタン
barberi(ノーザンコーンルートワーム、NC
的であるDNAセグメントの存在を検出する方法であっ
R)、Diabrotica
て、
eae(メキシカンコーンルートワーム、MCR)、D
(a)該試料を、請求項7に記載の一対のDNA分子と
iabroticabalteata(ブラジリアンコ
接触させること;
ーンルートワーム、BZR)、Diabrotica
(b)DNAアンプリコンを作製するのに十分な増幅反
balteata(Diabrotica
応を行うこと;および
ulaとDiabrotica
(c)該反応中の該DNAアンプリコンの存在を検出す
らなるブラジリアンコーンルートワーム複合体、BCR
ること
)、およびDiabrotica
を含み、該DNAアンプリコンは、配列番号1、配列番
nctata
号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号 20
ワーム、SCR)からなる群より選択される、請求項1
6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号1
4に記載のトウモロコシ植物またはそのトウモロコシ植
0、配列番号21および配列番号25からなる群より選
物部分。
択されるヌクレオチド配列を含み、該アンプリコンの存
【請求項16】
在の該検出が、該試料におけるトウモロコシイベントM
該トウモロコシ植物がさらに、該イベントMON874
ON87411
11を含むトウモロコシ植物の任意の世代の後代植物と
DNAの存在に特徴的である、方法。
virgifera
z
virid
speciosaとか
undecimpu
howardii(サザンコーンルート
【請求項11】
規定される、請求項12に記載のトウモロコシ植物また
試料中のトウモロコシイベントMON87411内に含
はそのトウモロコシ植物部分。
まれるコンストラクトに特徴的であるDNAセグメント
【請求項17】
の存在を検出する方法であって、
該トウモロコシ植物が、少なくとも片方はイベントMO
(a)該試料を、請求項8に記載の一対のDNA分子と 30
N87411を含む親から育種された雑種である、請求
接触させること;
項16に記載のトウモロコシ植物またはそのトウモロコ
(b)DNAアンプリコンを作製するのに十分な増幅反
シ植物部分。
応を行うこと;および
【請求項18】
(c)該反応中の該DNAアンプリコンの存在を検出す
該トウモロコシ植物が、DAS−59122−7;MO
ること
N89034;MON88017;MIR604;MO
を含み、該DNAアンプリコンは、配列番号12、配列
N87427;TC1507;5307;DAS−06
番号14、配列番号16、配列番号41、配列番号42
275−8;BT176;BT11;およびMIR16
、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番
2からなる群より選択されるトランスジェニックイベン
号49、配列番号50、配列番号51、および配列番号
トをさらに含む、請求項12に記載のトウモロコシ植物
52からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み 40
またはそのトウモロコシ植物部分。
、該アンプリコンの存在の該検出が、該試料におけるト
【請求項19】
ウモロコシイベントMON87311
配列番号1のヌクレオチド配列を含む組換えポリヌクレ
DNA内に含ま
れる該コンストラクトの存在に特徴的である、方法。
オチド分子を含む、トウモロコシ種子。
【請求項12】
【請求項20】
配列番号1のヌクレオチド配列を含む組換えポリヌクレ
検出可能な量の、イベントMON87411またはそこ
オチド分子を含む、トウモロコシ植物またはそのトウモ
に含まれるコンストラクトにユニークなDNA分子を含
ロコシ植物部分。
むトウモロコシコモディティー製品であって、該分子が
【請求項13】
請求項1、請求項2または請求項3に記載の組換えDN
グリホサート除草剤処置に対して耐性である、請求項1
A分子を含む、トウモロコシコモディティー製品。
2に記載のトウモロコシ植物またはそのトウモロコシ植 50
【請求項21】
( 4 )
JP
2015-519051
A
2015.7.9
5
6
全粒または加工トウモロコシ種子、トウモロコシを含む
細菌および植物細胞からなる群より選択される、請求項
動物用飼料、トウモロコシ油、コーンミール、コーンフ
28に記載の微生物。
ラワー、コーンフレーク、コーンブラン、トウモロコシ
【請求項30】
バイオマス、ならびにトウモロコシおよびトウモロコシ
(a)配列番号12に示す組換えポリヌクレオチドと
部分を使って生産された燃料製品からなる群より選択さ
(b)配列番号14に示す組換えポリヌクレオチドと
れるコモディティー製品とさらに規定される、請求項2
(c)配列番号16に示す組換えポリヌクレオチドと
0に記載のトウモロコシコモディティー製品。
を含むDNA分子であって、
【請求項22】
該組換えポリヌクレオチド配列がホスホジエステル結合
DNA増幅方法で試験した場合にテンプレートとして機
によって一つに連結されている、DNA分子。
能しうるDNAを含むトウモロコシ植物またはそのトウ 10
【請求項31】
モロコシ植物部分であって、該テンプレートを使った該
配列番号4を含むと規定される、請求項30に記載のD
DNA増幅方法を実行することで、イベントMON87
NA分子。
411
【請求項32】
DNAまたはそこに含まれるコンストラクトの
存在に特徴的であるアンプリコンが作製される、トウモ
トウモロコシイベントMON87411を含むトウモロ
ロコシ植物またはそのトウモロコシ植物部分。
コシ植物が約50∼約100パーセントを構成するトウ
【請求項23】
モロコシ植物の圃場を耕作することを含む、トウモロコ
グリホサート除草剤に対して耐性なトウモロコシ植物を
シ植物の圃場を保護する方法。
作製する方法であって、該トウモロコシ植物のゲノムに
【発明の詳細な説明】
トウモロコシイベントMON87411を提供すること
【技術分野】
を含み、該トウモロコシ植物がイベントMON8741 20
【0001】
1に関してホモ接合である近交系トウモロコシ植物であ
関連出願の参照
るか、または少なくとも片方はイベントMON8741
本願は、2012年5月8日に出願された米国仮特許出
1を含む親トウモロコシ植物のF1雑種後代である、方
願第61/644,368号の利益を主張し、当該仮特
法。
許出願は引用によりそのまま本明細書に組み込まれる。
【請求項24】
【0002】
トウモロコシコモディティー製品を生産する方法であっ
配列表の組み込み
て、
230キロバイト(Microsoft
(a)請求項12に記載のトウモロコシ植物またはその
s(登録商標)で測定したサイズ)であって2013年
トウモロコシ植物部分を取得すること;および
5月6日に作成された「MONS308WO_ST25
(b)前記組換えトウモロコシ植物またはそのトウモロ 30
.txt」という名称のファイルに含まれる配列表は、
コシ植物部分からトウモロコシコモディティー製品を生
電子申請により本願に添付して提出され、引用により本
産すること
明細書に組み込まれる。
を含む、方法。
【0003】
【請求項25】
発明の分野
圃場における雑草の生長を管理するための方法であって
本発明は、トランスジェニックZea
、圃場でイベントMON87411を含むトウモロコシ
ト(event)MON87411に関する。本イベン
植物を生長させること、および雑草の生長を管理するた
トは、コーンルートワーム寄生に対する抵抗性のための
めに該圃場を有効量のグリホサートで処置することを含
二重の作用機序と除草剤グリホサート耐性とを提供する
む、方法。
【請求項26】
Window
maysイベン
。また本発明は、イベントMON87411に関係する
40
植物、植物部分、植物種子、植物細胞、農産物、および
該有効量のグリホサートが1エーカーあたり約0.12
方法にも関係し、本イベントにユニークなヌクレオチド
5ポンド∼約6.4ポンドである、請求項25に記載の
分子であってZea
方法。
スジェニックDNAの挿入に関連して作出されたヌクレ
【請求項27】
オチド分子を提供する。
検出可能な量の請求項1、請求項2または請求項3に記
【背景技術】
載の組換えDNA分子を含む、生きていない植物材料。
【0004】
【請求項28】
発明の背景
検出可能な量の請求項1、請求項2または請求項3に記
トウモロコシ(Zea
載の組換えDNA分子を含む微生物。
において重要な作物であり、望ましい形質を有するトウ
【請求項29】
50
mays植物のゲノムへのトラン
mays)は世界の多くの地域
モロコシを作製するために、この作物には生物工学の方
( 5 )
JP
2015-519051
A
2015.7.9
7
8
法が応用されてきた。植物における昆虫抵抗性または除
性、熱、もしくはストレスなどによって、さらに複雑に
草剤耐性トランスジーンの発現は、昆虫抵抗性および/
なりうる。したがって、望ましい一組の表現型形質を付
または除草剤耐性という望ましい形質を植物に付与しう
与するイベントが得られるかどうかは、容易には予測す
るが、そのようなトランスジーンの発現は、植物染色体
ることができない。
に導入された個々の遺伝子の発現を駆動するカセットの
【発明の概要】
配向および組成、ならびにトランスジーン挿入の染色体
【発明が解決しようとする課題】
上の位置およびゲノム結果を含む、多くの異なる因子に
【0006】
よって左右されうる。例えば、トランスジーンの染色体
発明の概要
挿入部位の相違を除けば他の点では同一である個々のイ
本発明者らは、既存のトランスジェニックトウモロコシ
ベント間でも、トランスジーン発現のレベルおよびパタ 10
植物と比べて、そしてまた、並行して構築された新しい
ーンにはばらつきが存在しうる。いくつかのイベントの
イベントと比べて、優れた性質および成績を呈するトラ
間には、望ましくない表現型上または農学上の相違も存
ンスジェニックトウモロコシイベントMON87411
在しうる。したがって、そのイベントを商業的目的に適
を同定した。トウモロコシイベントMON87411は
したものにするのに必要な望ましい形質ならびに最適な
、連結された3つの発現カセットを含有し、これらのカ
表現型上および農業上の特徴に関して優れた性質を有す
セットは全体として、トランスジェニックイベントMO
るイベントを選択するためには、多数の個別植物形質転
N87411を含有するトウモロコシ細胞、トウモロコ
換イベントを作製し、解析することが、しばしば必要に
シ組織、トウモロコシ種子およびトウモロコシ植物に、
なる。そのような選択は、多くの場合、相当量の農学的
コーンルートワーム抵抗性およびグリホサート除草剤耐
データ、表現型データ、および分子データを収集するこ
性の形質を付与する。トウモロコシイベントMON87
とができるように、大規模な分子キャラクタリゼーショ 20
411は、コーンルートワーム病害虫種(Diabro
ンと、複数年にわたって複数の立地においてさまざまな
tica種を含む;とりわけ病害虫が、Diabrot
条件下で数多くのイベントを使って行われる温室試験お
ica
よび圃場試験とを必要とする。
エスタンコーンルートワーム、WCR)、Diabro
その結果得られたデータおよび観察記録は、次に、商業
tica
的に好適なイベントを選択することを目指して、科学者
ム、NCR)、Diabrotica
と農学者のチームによって解析されなければならない。
ra
そのようなイベントがひとたび選択されたら、次に、そ
R)、Diabrotica
の望ましい形質を植物育種方法で他の遺伝的背景に遺伝
ジリアンコーンルートワーム(BZR)もしくはDia
子移入し、よって望ましい形質を持ちかつ具体的局所生
brotica
長条件に適切に適応したいくつかの異なる作物品種を作 30
ca
製するために、そのイベントを使用することができる。
ルートワーム複合体(BCR))、またはDiabro
【0005】
tica
単一の形質転換イベントを含有するトランスジェニック
rdii(サザンコーンルートワーム、SCR)である
植物を作るには、組換えDNAコンストラクトの一部を
場合)に対して、2つの作用機序を提供する。二重の作
トウモロコシ細胞のゲノム中に導入し、次に、そのトウ
用機序は冗長性を与え、病害虫防除形質に対する抵抗性
モロコシ細胞を植物へと生長させる。イベントが最初に
が発生する可能性を著しく低減する。
導入されたトウモロコシ細胞を再生することでR0 世代
【課題を解決するための手段】
を作製する。R0 植物とR0 植物からの後代植物を所望
【0007】
する任意の形質について試験することができるが、イベ
イベントMON87411は、試料中のイベントの存在
ントの有効性は、形質転換イベントにおける挿入部位に 40
を検出するのに役立つユニークな特異的DNAセグメン
対してシスおよび/またはトランスの因子による影響を
トによって特徴づけられる。試料とは、実質的に純粋な
受けうる。イベントによって付与される表現型は、DN
トウモロコシDNAである組成物またはトウモロコシD
Aコンストラクトのサイズと設計による影響も受け、そ
NAを含有する組成物のどちらかを指すものとする。ど
れは発現カセットにおける遺伝要素の組み合わせ、トラ
ちらの場合も試料は生物学的試料である。すなわち試料
ンスジーンの数、発現カセットの数、ならびにそのよう
は生体物質、例えば限定するわけではないが、トウモロ
な要素およびそのようなカセットの配置によって変動し
コシイベントMON87411のゲノムから直接的にま
うる。望ましい形質を伴うイベントの同定は、トランス
たは間接的に取得されるまたは由来するDNAなどを含
ジーン発現の植物発生的、日周的、時間的、または空間
有する。「直接的に」とは、当業者が、トウモロコシ細
的パターンなどといった因子によって、または外因、例
胞を破砕し(または破砕されたトウモロコシ細胞を含有
えば環境的植物生長条件、水利用可能性、窒素利用可能 50
するトウモロコシの試料を取得し)、検出を目的として
virgifera
virgifera(ウ
barberi(ノーザンコーンルートワー
virgife
zeae(メキシカンコーンルートワーム、MC
balteata(ブラ
viridulaとDiabroti
speciosaとからなるブラジリアンコーン
undecimpunctata
howa
( 6 )
JP
9
2015-519051
A
2015.7.9
10
ゲノムDNAを露出させることによって、トウモロコシ
ンスジェニックDNAに近接するDNA配列のトウモロ
ゲノムからDNAを直接的に取得できることを指す。「
コシゲノムセグメント)はわずかな変異を起こしやすい
間接的に」とは、当業者が、トウモロコシ細胞の破砕に
ことが知られており、したがって少なくとも99%また
よるかまたは破砕されたトウモロコシ細胞を含有するト
はそれ以上の同一性という限定は、トウモロコシゲノム
ウモロコシの試料を取得することによる直接的な手段以
ごとのそのような異常または多型に関連している。ここ
外の手段で、ターゲットまたは特異的リファレンスDN
で参照される特定の特徴的配列と比較してその全長にわ
A、すなわち、特定試料中のイベントMON87411
たって完全に相補的なヌクレオチドセグメントは、本発
の存在に特徴的であると本明細書に記載する新規でユニ
明の範囲内にあるものとする。
ークな接合部セグメントを取得できることを指す。その
【0009】
ような間接的手段には、ターゲット配列に特異的に結合 10
本発明のヌクレオチドセグメントの、互いの相対的な、
するように設計された特定プローブのターゲットとなる
そしてトウモロコシゲノム内での位置を、図3に図解し
DNA配列を含有するDNAセグメントの増幅、または
、それぞれのヌクレオチド配列を配列番号1に示すよう
測定し、特徴づけることができるDNAセグメントの増
に説明する。イベントMON87411を特徴づけ、試
幅、すなわち、アガロースゲルやアクリルアミドゲルな
料中のイベントMON87411またはそこに含まれる
どといった効率のよい何らかのマトリックスによるDN
コンストラクトの存在に特徴的であるヌクレオチドセグ
Aの他のセグメントからの分離によって測定することが
メントには、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配
できる、またはアンプリコンの直接配列解析によって特
列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列
徴づけることができるか、アンプリコンをベクターにク
番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配
ローニングし、そのベクター内に存在する挿入されたア
列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号1
ンプリコンのダイレクトシークエンスによって特徴づけ 20
9、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列
ることができるDNAセグメントの増幅などがあるが、
番号23、配列番号24、および配列番号25;配列番
それらに限定されるわけではない。あるいは、トウモロ
号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、
コシ染色体内の位置であって、トランスジェニックDN
配列番号45、配列番号49、配列番号50、配列番号
Aはその位置でトウモロコシ染色体に挿入されており、
51、または配列番号52が含まれる。試料中にこれら
イベントMON87411を規定するために使用するこ
のヌクレオチド配列のうちの1つもしくは2つまたはそ
とができるような位置に対応するDNAのセグメントを
れ以上が存在することは、その試料がトウモロコシ組織
、さまざまな手段によってクローニングしてから、特定
を含有し、したがってトウモロコシDNAを含有する場
試料または特定トウモロコシゲノムにおけるその存在に
合には、イベントMON87411またはそこに含まれ
ついて同定し、特徴づけることもできる。そのようなD
るコンストラクトの存在に特徴的である。
NAセグメントは接合部セグメントまたは接合部配列と 30
【0010】
呼ばれ、挿入DNAとトウモロコシゲノムの間の接合点
「由来」という単語の使用は、ある特定DNA分子がト
がそのセグメントに含まれている限り、任意の長さの挿
ウモロコシ植物ゲノム中にあるか、トウモロコシ植物D
入DNAと近接(隣接)トウモロコシ染色体DNAとで
NA中に検出されうることを意味している。「検出され
あることができる。配列番号12および配列番号21な
うる」とは、ある特定DNAセグメントが増幅され、D
らびにこれらの配列のそれぞれの逆相補体は、そのよう
NA配列解析によって、そのサイズおよび/または配列
なセグメントを代表するものである。
が特徴づけられるまたは解明されることが可能であるこ
【0008】
とを指し、また、あるプローブがその特定DNAセグメ
本明細書に記載する特異的配列は、イベントMON87
ント、すなわちターゲットDNAセグメントに特異的に
411中に、またはそこに含まれるコンストラクト中に
結合することができ、続いて、そのターゲットへのプロ
、ユニークに存在することができ、これらの配列の同定 40
ーブの結合を検出できることも指す。本発明の特定DN
は、それが直接配列解析によるものであるか、そのよう
AセグメントまたはターゲットDNAセグメントは、挿
な配列に結合したプローブを検出することによるもので
入イベントMON87411を含有するトウモロコシ内
あるか、または本明細書に記載する特定アンプリコンの
に存在する。
サイズと場合によっては組成とを観察することによるも
【0011】
のであるかを問わず、それが特定トウモロコシの生殖質
トウモロコシへの言及は、各実施形態が、トウモロコシ
またはゲノム中に存在しかつ/またはトウモロコシDN
イベントMON87411
Aを含有する特定生物学的試料中に存在するのであれば
ると本明細書に記載するセグメントのうちの任意の1つ
、そのような試料におけるイベントMON87411ま
、2つまたはそれ以上に対応する検出可能な量のDNA
たはそこに含まれるコンストラクトの存在に特徴的であ
を含有する限り、トウモロコシ細胞、トウモロコシ種子
る。隣接ゲノムセグメント(すなわち、挿入されたトラ 50
、トウモロコシ植物部分およびトウモロコシ植物が本発
DNAの存在に特徴的であ
( 7 )
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明の範囲内であることを意味するものとする。トウモロ
、プローブとして作用する少なくとも2つの異なるDN
コシ植物部分には、細胞;花粉;胚珠、莢(pod);
A分子(ただし、そのような分子の配列は、上述のプロ
花および花の一部、例えば穂軸、絹糸、および雄穂;根
ーブよりは特異性が多少低くてもよい)を使用する熱増
組織;茎組織;および葉組織が含まれる。イベントMO
幅方法による方法など、いくつかの方法で同定し、特徴
N87411の存在に特徴的であると本明細書に記載す
づけることができる。適当なハイブリダイゼーション条
るDNAのセグメントを検出可能な量で含有するトウモ
件下で特定のターゲットDNAをプローブまたはプライ
ロコシから作られたコモディティー製品は、本発明の範
マーと接触させると標的DNAセグメントへのプローブ
囲内である。そのようなコモディティー製品には、全粒
またはプライマーの結合が起こることになることは、当
または加工トウモロコシ種子、トウモロコシまたはトウ
業者には理解される。
モロコシ副産物を含有する動物用飼料、トウモロコシ油 10
【0014】
、コーンミール、コーンフラワー、トウモロコシデンプ
DNAのターゲットセグメントである本発明のDNA分
ン、コーンフレーク、コーンブラン、トウモロコシのバ
子は増幅が可能であり、特定試料の増幅方法によって得
イオマスおよび茎葉、ならびにトウモロコシまたはトウ
られた該当する長さの1つ以上のアンプリコンとして検
モロコシ植物およびトウモロコシ植物部分から作られた
出される場合、それは、その試料におけるイベントMO
場合の燃料製品および燃料副産物などを含めることがで
N87411またはそこに含まれるコンストラクトの存
きる。
在に特徴的でありうる。そのようなDNA分子またはポ
【0012】
リヌクレオチドセグメントは、配列番号1、配列番号2
トウモロコシイベントMON87411のDNAは、典
、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、
型的には、本イベントを含有するトウモロコシ植物、ト
配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、
ウモロコシ種子、およびトウモロコシ組織の各細胞およ 20
配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号
び各染色体中に存在する。トウモロコシゲノムはメンデ
21、配列番号25、配列番号41、配列番号42、配
ルの法則に従って後代に遺伝するので、トウモロコシ植
列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号4
物がホモ接合であるなら、各後代トウモロコシ植物およ
9、配列番号50、配列番号51、および配列番号52
び細胞は、親から後代へと生成される親染色体のそれぞ
のそれぞれに示すヌクレオチド配列を有し、本明細書と
れに、イベントDNAを含有するであろう。しかし、イ
下記の実施例においてさらに詳しく規定する。プライマ
ベントMON87411
DNAを含有するトウモロコ
ー分子および/またはプローブは、対照を含む必要な試
シゲノムがヘテロ接合親または雑種親である場合は、雑
薬類と共にキットの形態で、使用説明書を同梱して提供
種親からの交配に関与する花粉の50%および胚珠の5
することができる。
0%しかトウモロコシイベントMON87411
【0015】
DN
Aを含有せず、イベントMON87411DNAを含有 30
本発明の組換えDNA分子は、それが微生物内にあるか
する後代の混合個体群をもたらすことになり、そのよう
、または微生物に由来する場合、本発明の範囲内である
な雑種を使った交雑から生じる後代であって、後代に遺
とみなされる。微生物は、原核生物であるか真核生物で
伝されたイベントMON87411
DNAを有するも
あるかを問わず、あるいはDNAをゲノムまたは染色体
ののパーセンテージは、約50パーセントないし約75
内に含有するか、染色体外DNA構造、より一般的には
パーセントにわたりうる。
プラスミドまたはベクターと呼ばれるものに含有するか
【0013】
を問わず、任意の顕微鏡的細胞を包含するものとする。
本発明のDNA分子は、トウモロコシイベントMON8
顕微鏡的生物には、平均的なヒトの視覚域を下回る、典
7411挿入DNAにユニークであるか、トランスジェ
型的には50立方ミクロン未満の、より一般的には10
ニック挿入DNAとその挿入DNAの一端に近接するト
立方ミクロン未満の、細菌(原核生物)および、より高
ウモロコシゲノムDNAとの間の2つの接合部にユニー 40
等な生物(真核生物)に対応する細胞が包含される。細
クでありうる。これらの分子は、それが、本明細書に記
菌は、配列番号1に示すように存在する各発現カセット
載する方法により、プローブ、プライマーを使って、ま
のそれぞれを含む本発明の新規DNAセグメントの1つ
た場合によってはDNA配列解析を使って解析される特
もしくは複数または全部を含有するベクターまたはプラ
定試料中に存在する場合、その試料におけるある量のイ
スミドをおそらく含有するであろう、一般的な顕微鏡的
ベントMON87411トウモロコシの存在に特徴的で
微生物である。植物細胞、特にトウモロコシ植物細胞は
ありうる。トウモロコシイベントMON87411
D
、それらが本発明の新規DNAセグメントの任意の1つ
NAにユニークであるそのようなDNA分子は、そのユ
、2つもしくはそれ以上または全部を含有する場合、本
ニークDNA分子に特異的に結合するように設計された
発明の範囲内である。
プローブ核酸分子を使用し、続いてユニークDNAへの
【0016】
そのようなプローブの結合を検出することによる方法や 50
ここで使用されるプローブは、典型的には、本明細書に
( 8 )
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おいて規定するストリンジェントなハイブリダイゼーシ
トワームDiabroticaの全ての既知種のコーン
ョン条件下で機能して、特定のターゲットDNAセグメ
ルートワーム、例えば限定するわけではないが、Dia
ント、すなわち、試料内に存在して、試料中のイベント
brotica
MON87741
ra(ウエスタンコーンルートワーム、WCR)、Di
DNAの存在に特徴的である、ユニ
virgifera
virgife
ークなDNAのセグメントと結合するのに十分な長さの
abrotica
DNA分子またはポリヌクレオチドセグメントと特徴づ
ートワーム、NCR)、Diabrotica
けられる。そのようなプローブは、トウモロコシイベン
gifera
トMON87411
ム、MCR)、Diabrotica
DNA中にのみ存在する単一の接
barberi(ノーザンコーンル
vir
zeae(メキシカンコーンルートワー
balteat
合部または他の新規配列だけに結合するか、または2つ
a(ブラジリアンコーンルートワーム(BZR)または
以上のそのような単一接合部セグメントに結合するよう 10
DiabroticaviridulaとDiabro
に設計することができる。いずれにせよ、トウモロコシ
tica
DNAを含有すると疑われる特定試料中のDNA分子へ
ーンルートワーム複合体(BCR))、およびDiab
のそのようなプローブの結合の検出は、その試料におけ
rotica
るトウモロコシイベントMON87411の存在に特徴
wardii(サザンコーンルートワーム、SCR)に
的である。
よる寄生に対して抵抗性でもある。Diabrotic
【0017】
a種に対する抵抗性は、挿入トランスジェニックDNA
プライマーは、典型的には、特定のDNAターゲットセ
内で作動的かつ共有結合的に連結された2つの異なるD
グメントを増幅する熱増幅反応において使用するための
NAセグメントの発現に関連して生じる。すなわちds
異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドセグ
RNAは、配列番号1に示す挿入トランスジェニックD
メントのペアとして提供される。ペア内の各プライマー 20
NAの5’近位端にある発現カセット(図1に[G]配
は、増幅のために、目的のDNAセグメント内またはそ
列番号12の位置で図解するもの)から転写され、コー
の近くにある、かなり特異的なDNAセグメントに結合
ンルートワーム中の必須遺伝子を抑制のターゲットとす
するように設計される。プライマーは、それらが、次い
る。また、コウチュウ毒性Cry3Bbタンパク質は、
で、1つ以上のアンプリコン(増幅されたターゲットD
dsRNA[G]を発現するカセットと、配列番号1に
NAセグメント)の作製をもたらす局在化した核酸配列
示す挿入トランスジェニックDNAの3’遠位端にある
重合の領域として働くような形で結合する。本発明にお
カセット(図1に[I]配列番号16によって図解する
いて、特定の生物学的試料中のトウモロコシイベントM
グリホサート耐性発現カセット)との間の中央にある発
ON87411
speciosaとからなるブラジリアンコ
undecimpunctata
ho
DNAのユニークなセグメントに結合
現カセット(図1に[H]配列番号14の位置で示され
するように設計されたプライマーであって、本明細書に
るように配列番号1のほぼ中央にある)から発現される
記載の接合部セグメントの1つ以上を含有する特定のア 30
。dsRNAは、snf7と呼ばれる酵母オルソログ遺
ンプリコンを増幅するものの使用、ならびにポリメラー
伝子を抑制のターゲットとし、CAMV
ゼ反応が完了または終結した時のそのようなアンプリコ
モーターから発現される。一方、Cry3Bbタンパク
ンの検出および/またはキャラクタリゼーションは、そ
質は、Zea
の特定試料におけるトウモロコシイベントMON874
現される。これらのdsRNAおよびCry3Bbタン
11の存在に特徴的である。当業者はこの増幅方法を熟
パク質は、コーンルートワーム種にとっては毒性作用物
知しており、ここで増幅の詳細を細かく説明する必要は
質である。
ない。
【0019】
【0018】
dsRNAおよびCry3Bb毒性作用物質の発現を駆
トウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコ
動するプロモーターは分岐的に置かれているので、各毒
シ植物組織およびトウモロコシ種子は、配列番号1に示 40
性作用物質の各プロモーターからの発現は、2つのプロ
すように3’遠位端にある発現カセット中のイネRcc
モーター間の中央にある点から離れていく。すなわち、
3プロモーターからのグリホサート非感受性CP4
各発現カセットの転写は反対の向きに進行し、一点には
E
mays
e35Sプロ
PIIGプロモーターから発
PSPS酵素の発現により、グリホサート除草剤の施用
集まらない。グリホサート耐性CP4
に対して非感受性である。そのような種子は圃場に播種
カセットは、Cry3Bbタンパク質の発現を駆動する
することができる。
カセットの下流、すなわち配列番号1に示すように3’
発芽および苗条の出現の数日後に、雑草防除有効量のグ
端に近い方、3’遠位側にある。Cry3BbとEPS
リホサート除草剤を施用することができ、これは、圃場
PSの発現を駆動するカセットはタンデム配向の転写(
内の雑草の実質的に全てを排除するが、トウモロコシイ
Cry3BbがEPSPSの上流)を使ってそれぞれの
ベントMON87411
タンパク質を生産し、同じ配向で、ただし各々別個のプ
DNAを含有するトウモロコ
シ植物の継続的生育は許すことになる。本植物は、ルー 50
EPSPS発現
ロモーターから、それぞれ転写される。dsRNA発現
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カセットとグリホサート耐性カセットを無傷のまま、ト
有するであろう。
ウモロコシゲノムへの挿入を意図したDNAセグメント
【0022】
の遠位端に置いておき、Cry3Bbカセットの配向を
イベントMON87411
イベントMON87411
DNAを含有する植物に何
DNA内に存在する設計と
らかの追加形質を付与するトランスジェニック特性また
は反転または逆転させた、他の変異型コンストラクトを
はトランスジェニックアレルは、特に望ましい。そのよ
作製した。これらの変異型コンストラクトでは、Cry
うなトランスジェニックアレルとして、コーンルートワ
3Bbの発現を駆動するのに、Zea
PI
ーム抵抗性を付与する他のトランスジェニックイベント
IGプロモーターまたはイネRcc3プロモーターを利
、例えば限定するわけではないが、DAS−59122
mays
用した。
−7;MIR604;および5307などのイベントが
【0020】
10
挙げられる。これらのイベントはそれぞれ追加のコーン
Cry3Bb発現カセットのこれらの変異型コンストラ
ルートワーム毒性作用物質を与える(DAS−5912
クト/配向だけを含有するトランスジェニックイベント
2−7は、ルートワーム毒性を呈するPS149B1(
を、イベントMON87411、ならびに現在市販され
Cry34/Cry35)およびグルホシネートに対す
ているイベントMON863(Cry3Bb発現カセッ
る除草剤耐性を与え;MIR604は、ルートワーム毒
トだけを含有するもの)、MON88017(CP4
性を呈する修飾Cry3Aaを与え;イベント5307
EPSPS発現カセットに作動的に連結されたCry3
は、ルートワーム毒性を呈するFR8a遺伝子を与える
Bb発現カセットを含有するもの)、およびDAS−5
)。これらのような追加のコーンルートワーム抵抗性形
9122−7(作動的に連結された3つの発現カセット
質を与えることにより、与えられたコーンルートワーム
を含有し、そのうちの2つが二重Bt毒素コンポーネン
毒性作用物質のいずれか一つに対する抵抗性が発生する
トCry34およびCry35をタンデムに発現すると 20
可能性を減少させうる。他の望ましい形質には、収量お
共に、1つがグルホシネート耐性を付与するもの)と比
よびストレス抵抗性または耐性形質、窒素固定形質、水
較した。
の使用を調整する形質、真菌寄生に対する抵抗性、ジカ
以下に実施例で説明する結果は、イベントMON874
ンバ(MON87427)、グルホシネートなどの除草
11がCry3Bbタンパク質の根指向的発現に関して
剤に対する抵抗性、ならびに鱗翅類寄生に対する抵抗性
優れた性質を呈すること、そしてイベントMON874
などがある。鱗翅類寄生抵抗性形質は当技術分野におい
11を生成させるために使用したコンストラクトを使っ
て提供されており、これには、トランスジェニックトウ
て作製したトランスジェニックイベントの多くは、他の
モロコシイベント(およびそれぞれの鱗翅類活性タンパ
コンストラクトを使って作製した他のイベントよりも、
ク質)MON810(Cry1Ab)、MON8903
それぞれコーンルートワームの有効な防除を呈する可能
4(Cry1A.105およびCry2Ab);TC1
性が高いことを示している。
30
507(Cry1AcおよびCry1Fa);DAS−
【0021】
06275−8(TC−6275とも呼ばれる)(Cr
イベントMON87411に対応するDNAをそれぞれ
y1Faおよびbar(グリホシネート耐性を与える)
含有する、本発明のトウモロコシ植物およびその部分、
);MIR162(Vip3Aa)、BT176(Cr
例えば種子は、本発明の範囲内である。そのような植物
y1Ab);およびBT11(Cry1Ab)などがあ
はコーンルートワームの寄生に対して抵抗性であり、除
る。これらの形質、特にイベントMON87411形質
草剤グリホサートの施用に対して非感受性である。その
に対応する昆虫抵抗性形質、他の列挙したコーンルート
ような植物には、MON87411アレルを1つしか含
ワーム抵抗性形質、または鱗翅類抵抗性形質の何らかの
有しない雑種、すなわちイベントMON87411
D
組み合わせまたは全部を単一の植物に与えることに代わ
NAに対応する座位に関してヘテロ接合と特徴づけられ
る選択肢は、これらをさまざまな組み合わせの種子ブレ
るゲノムを含有する雑種が包含される。そのような雑種 40
ンドとして提供することであるだろう。この場合、ブレ
は、雑種強勢および他の農業上望ましいトウモロコシの
ンド中の種子のうち、あるものは、MON87411形
性質を確保するために、望ましい生殖質を使った育種に
質および列挙したコウチュウ抵抗性形質のみの何らかの
よって作製される。雑種はいくつもの方法によって作製
組み合わせを含有し、地下でコーンルートワームの寄生
することができるが、好ましい一方法では、イベントM
を防止するように協同して作用する一方、ブレンド中の
ON87411特異的アレルを、どちらの染色体でも、
他の種子は鱗翅類抵抗性形質だけを含有し、地上でトウ
イベントMON87411
DNAが挿入された座位に
モロコシの鱗翅類寄生に対する抵抗性を付与する。この
含有する第1近交系(ホモ接合)親を利用し、その第1
ようにして、ブレンド中の種子は互いにとってのリフュ
近交系を、MON87411
DNAを含有しない第2
ージ(refuge)になる。すなわち、コウチュウ防
近交系と交配する。どちらの親近交系品種も、後代種子
御種子および植物は鱗翅類抵抗性を付与する植物にとっ
、すなわち雑種種子に望まれる1つ以上の有利な性質を 50
てのリフュージとして働き、逆もまた同じである。しか
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し典型的には、これらの形質は、次に述べるような何ら
ーン/ゲノムDNA接合部配列を形成する配列番号2お
かの形質の組み合わせまたはパッケージとして提供され
よび3の相対的位置に対応する;[D]は、ゲノムに組
る。すなわち、MON87411形質は、圃場の作物に
みこまれてイベントMON87411をもたらすトラン
病害虫抵抗性の完全なパッケージが提供されるように、
スジェニックDNAインサートの配列である配列番号4
鱗翅類抵抗性形質の1つ以上との交配により、単一の植
を表す;[E]は、それぞれトランスジェニック挿入D
物中に一緒に提供される。そして、わずかな割合の種子
NAの末端と隣接ゲノムDNAとの間の5’接合部をま
(おそらく1∼20パーセントまたはその間の任意の数
たぐ配列番号5、配列番号6および配列番号7の相対的
字、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
位置に対応する;[F]は、それぞれトランスジェニッ
1、12、13、14、15、16、17、18、また
ク挿入DNAの末端と隣接ゲノムDNAとの間の3’接
は19パーセント)には、除草剤耐性だけが付与されて 10
合部をまたぐ配列番号8、配列番号9および配列番号1
いて、それらは病害虫防御形質を欠き、圃場には、病害
0の相対的位置に対応する;[G]、[H]および[I
虫抵抗性形質を付与された種子と共にランダムに混植さ
]は、それぞれ、トウモロコシ植物ゲノムに挿入されて
れるか、区画化された(別個の)作物群落として植え付
イベントMON87411をもたらすトランスジェニッ
けられ、それらが、地上でトウモロコシ植物を攻撃する
クDNAコンストラクトに対応する3つの異なる発現カ
病害虫にとっても地下でトウモロコシ植物を攻撃する病
セットを表す;[J]および[K]は、イベントMON
害虫にとっても、リフュージとして働くことになるだろ
87411の接合部に対応するオリゴヌクレオチドプラ
う。
イマー、オリゴヌクレオチドプローブ、およびDNAア
【0023】
ンプリコンを表す。
イベントMON87411に挿入されたコンストラクト
【図2】ウエスタンコーンルートワーム(WCR)をタ
にはEPSPS発現カセットに関連して特別な利点があ 20
ーゲットとする2つの植物内保護物質(PIP)カセッ
る。第1に、このカセットの存在は、コンストラクトが
トおよび1つの除草剤耐性カセットを含む、最高3つの
挿入されているトランスジェニックイベントの選択を容
異なるカセットを発現するように工学的に操作された、
易にする。第2に、このカセットは、イベントMON8
11の異なるDNAコンストラクト(417、416、
7411に対応する種子が植え付けられた圃場における
418、419、402、403、404、423、4
雑草の防除を可能にする。そのようなMON87411
05、406、および890)の図解。2つのPIPカ
植物が入っている圃場には、グリホサートに感受性であ
セットは、(a)Dv_Snf7o
る雑草の、圃場における生長を管理するために、有効量
反復用の発現カセット、および(b)Cry3Bbタン
のグリホサートを散布することができる。グリホサート
パク質用の発現カセットを含む。
に感受性でない雑草については、上述のように、他の除
図示したコンストラクトのそれぞれは、これらの発現カ
草剤に対する耐性、例えばジカンバに対する耐性または 30
セットをさまざまな順序および配向で含む。コンストラ
グルホシネートに対する耐性などをもたらす他のトラン
クト405および406は除草剤耐性カセットを含有せ
スジェニックイベントを、イベントMON87411と
ず、コンストラクト890はDv_Snf7o
共に単一の雑種に導入することで、除草剤グリホサート
マー逆方向反復用の単一発現カセットだけを含む。3つ
、ジカンバ、またはグルホシネートのうちの2つ以上を
のコンストラクトは、左境界(LB)から右境界(RB
施用することによる圃場の雑草を防除するための有効な
)までに、全部で16の遺伝要素、すなわち[1]LB
手段を提供することができる。
;[2]Ps.RbcS2−E9
というのも、これらの除草剤のうちの2つ以上に対して
240マーDv_Snf7o逆方向反復遺伝子;[4]
耐性を呈する雑草が存在する可能性は考えがたく、上述
トウモロコシDnaKイントロン;[5]CaMV
の場合、トウモロコシ作物は、上述のような除草剤の併
5Sリーダー;[6]eCaMV
用施用に対して抵抗性を呈する雑種からなるだろうから 40
;[7]トウモロコシPIIGプロモーター;[8]コ
である。
ムギLhcb1リーダー;[9]イネAct1イントロ
【図面の簡単な説明】
ン;[10]cry3Bb
【0024】
sp17
【図1】トウモロコシイベントMON87411のゲノ
ーター、リーダー、イントロン);[13]CTP;[
ムにおけるトランスジェニックインサートの概略図:[
14]CP4
A]は、トウモロコシLH244のゲノムに組み込まれ
’UTR;および[16]RBを含む。
たトランスジェニックDNAインサートと挿入DNAに
【図3】[A]∼[N]および[aa]∼[mm]は、
隣接する5’および3’ゲノムDNAとの連続配列であ
作動的に連結された要素および隣接トウモロコシゲノム
る配列番号1を表す;[B]および[C]は、それぞれ
、ならびにそれらがトウモロコシイベントMON874
イベントMON87411の5’および3’トランスジ 50
11ゲノム中のトランスジェニックDNA挿入位置内に
240マー逆方向
240
3’UTR;[3]
3
35Sプロモーター
ORF;[11]コムギH
3’UTR;[12]イネTubA(プロモ
EPSPS;[15]イネTubA
3
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存在する時の、それらの互いの相対的な位置を図解して
らの発現の方向に、それぞれのプロモーター([E]お
いる。以下の説明では、配列番号1に示す要素のそれぞ
よび[F])を表現している)。
れについて、組成、機能および位置を特定する。
示すヌクレオチド位置4541∼4601は、Trit
[A
[G]配列番号1に
]配列番号1に示すヌクレオチド位置1∼500は、ト
icum
ウモロコシイベントMON87411中でトランスジェ
a.Lhcb1)由来の非翻訳5’リーダー配列に対応
ニック挿入DNAに近接しているトウモロコシゲノムD
する。
NAに対応し、この例では、これを随意にトランスジェ
18∼5097は、Oryza
ニック挿入DNAの5’端に割り当てている。
−1遺伝子(Os.Act1)由来のイントロン配列に
[B]
aestivum集光複合体b1遺伝子(T
[H]配列番号1に示すヌクレオチド位置46
sativaアクチン
配列番号1に示すヌクレオチド位置807∼1439は
対応する。
、Pisum
5107∼7068は、Cry3Bbコーンルートワー
sativumリブロース二リン酸カル 10
ボキシラーゼ小サブユニットE9
3’転写終結および
ポリアデニル化シグナルの逆相補配列に対応する。
[I]配列番号1に示すヌクレオチド位置
ム毒性タンパク質(cry3Bb)をコードするヌクレ
[
オチド配列に対応する。コードされているCry3Bb
C]配列番号1に示すヌクレオチド位置1469∼20
タンパク質は、Diabrotica(コーンルートワ
98は、Diabrotica種の食物に入れて提供さ
ーム)種の食物に入れて提供された場合に殺虫性である
れた場合に、Snf7タンパク質をコードする酵母遺伝
。 [J]配列番号1に示すヌクレオチド位置7088
子のDiabrotica種オルソログを抑制のターゲ
∼7297は、Triticum
ットとするように設計された、240ヌクレオチドのd
ショックタンパク質17(HSP17)転写終結および
sRNAと150ヌクレオチドのヘアピン構造に折りた
ポリアデニル化シグナルの配列に対応する。
たまれるRNA分子として発現するように設計された、
列番号1に示すヌクレオチド位置7346∼9526は
逆相補配列に対応する。Diabrotica
、Oryza
snf 20
aestivum熱
[K]配
sativaαチューブリン−3遺伝子
7オルソログ遺伝子の一部分に対応する第1の240ヌ
(TubA−3)由来の連続プロモーター−リーダー−
クレオチドセグメントは、配列番号1に示すヌクレオチ
イントロン配列に対応する。このプロモーターは、付随
ド位置1469∼1708に与えられ、第1セグメント
のリーダーおよびイントロン、ならびに転写終結および
の逆相補体に対応する第2の240ヌクレオチドセグメ
ポリアデニル化要素[M]と共に、要素[L]の発現を
ントは、配列番号1に示すヌクレオチド位置1850∼
調節する。
2098に示されており、第1セグメントと第2セグメ
9531∼11126は、Arabidopsis
ントは配列番号1に示すヌクレオチド位置1709∼1
haliana細胞質ターゲティングペプチド(cyt
858にある150ヌクレオチドのスペーサーによって
oplasmic
作動的に連結されている。
e)(CTP;ヌクレオチド位置9531∼9758)
[D]配列番号1に示すヌ
クレオチド位置2135∼2938は、Zea
s
may 30
dnaK遺伝子に由来するイントロンの逆相補配列
に対応する。
[L]配列番号1に示すヌクレオチド位置
targeting
t
peptid
の配列、およびAgrobacterium
CP4由
来のEPSPSの配列(ヌクレオチド位置9759∼1
[E]配列番号1に示すヌクレオチド位
1126)に対応する。この配列がトウモロコシ植物細
置2839∼3298は、カリフラワーモザイクウイル
胞中で転写され、タンパク質に翻訳されると、CTPが
ス強化35Sプロモーター配列の逆相補体および非翻訳
EPSPSに作動的に連結される。イベントMON87
5’リーダー配列に対応する。このプロモーター、付随
411を含むトウモロコシ植物細胞中で発現すると、こ
の非翻訳リーダー、イントロン要素[D]ならびに転写
のCTP−EPSPSは除草剤グリホサートに対する耐
終結およびポリアデニル化要素[B]は、トウモロコシ
性を提供する。
植物細胞における要素[C]の発現を調節する。
位置11134∼11715は、Oryza
[F
[M]配列番号1に示すヌクレオチド
sati
]配列番号1に示すヌクレオチド位置3586∼453
vaαチューブリン−3遺伝子(TubA−3)転写終
4は、Zea
結およびポリアデニル化シグナルの配列に対応する。
maysの物理的障害誘導タンパク質( 40
physical
d
impedance
induce
[N]配列番号1に示すヌクレオチド位置11749∼
protein)遺伝子(Zm.PIIG)由来の
12248は、トウモロコシイベントMON87411
プロモーター配列に対応する。このプロモーター、付随
中でトランスジェニック挿入DNAに近接しているトウ
の非翻訳リーダー[G]、イントロン要素[H]ならび
モロコシゲノムDNAに対応し、この例では、これを随
に転写終結およびポリアデニル化要素[J]は、要素[
意にトランスジェニック挿入DNAの3’端に割り当て
I]の発現を調節する。このプロモーターは、プロモー
ている。
ター[E]に対して、各プロモーター([E]と[F]
501∼806は、417コンストラクトのAgrob
)が各々の要素([C]および[I])の分岐発現を駆
acterium
動するような配向にある(図2のブロック矢印を参照さ
左境界配列のうち、イベントMON87411を形成さ
れたい;図2では、矢印が、表示した各プロモーターか 50
せるためにトウモロコシゲノムに挿入されたトランスジ
[aa]配列番号1に示すヌクレオチド位置
tumefaciensオクトピン
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ェニックDNAインサートの随意に割り当てられた5’
5106は、要素[H]と[I]の間の介在配列に対応
端において、ゲノムに近接している部分に対応する。配
する。配列番号1に示す[hh]の5’端は要素[H]
列番号1に示す[aa]の5’端は要素[A]の3’端
の3’端に連結され、要素[hh]の3’端は要素[I
に連結されて、配列番号5
、配列番号6、配列番号7
]の5’端に連結されて、イベントMON87411を
、および配列番号21に包含されるユニークな5’トラ
形成させるためにトウモロコシゲノムに挿入されたトラ
ンスジェニック挿入DNA/トウモロコシゲノム接合部
ンスジェニックDNAインサート内に、配列番号47に
を形成する。要素[aa]の3’端は要素[B]の5’
包含される接合部を形成するが、この接合部はイベント
端に連結されて、配列番号41に包含されるトランスジ
MON87411にユニークではない。
ェニック挿入DNA内のユニークな接合部を形成する。
番号1に示すヌクレオチド位置7069∼7087は、
[bb]配列番号1に示すヌクレオチド位置1440 10
[ii]配列
要素[I]と[J]の間の介在配列に対応する。配列番
∼1468は、要素[B]と[C]の間の介在配列に対
号1に示す[ii]の5’端は要素[I]の3’端に連
応する。配列番号1に示す[bb]の5’端は要素[B
結され、要素[ii]の3’端は要素[J]の5’端に
]の3’端に連結され、要素[bb]の3’端は要素[
連結されて、イベントMON87411を形成させるた
C]の5’端に連結されて、イベントMON87411
めにトウモロコシゲノムに挿入されたトランスジェニッ
を形成させるためにトウモロコシゲノムに挿入されたト
クDNAインサート内に、配列番号48に包含される接
ランスジェニックDNAインサート内に、配列番号42
合部を形成するが、この接合部はイベントMON874
に包含されるユニークな接合部を形成する。
11にユニークではない。
[cc]
[jj]配列番号1に示す
配列番号1に示すヌクレオチド位置2099∼2134
ヌクレオチド位置7298∼7345は、要素[J]と
は、要素[C]と[D]の間の介在配列に対応する。配
[K]の間の介在配列に対応する。配列番号1に示す[
列番号1に示す[cc]の5’端は要素[C]の3’端 20
jj]の5’端は要素[J]の3’端に連結され、要素
に連結され、要素[cc]の3’端は要素[D]の5’
[jj]の3’端は要素[K]の5’端に連結され、イ
端に連結されて、イベントMON87411を形成させ
ベントMON87411を形成させるためにトウモロコ
るためにトウモロコシゲノムに挿入されたトランスジェ
シゲノムに挿入されたトランスジェニックDNAインサ
ニックDNAインサート内に、配列番号43に包含され
ート内に、配列番号49に包含されるユニークな接合部
るユニークな接合部を形成する。
を形成する。
[ee]配列番号1
[kk]配列番号1に示すヌクレオチド
に示すヌクレオチド位置3299∼3585は、要素[
位置9527∼9530は、要素[K]と[L]の間の
E]と[F]の間の介在配列に対応する。配列番号1に
介在配列に対応する。配列番号1に示す[kk]の5’
示す[ee]の5’端は要素[E]の3’端に連結され
端は要素[K]の3’端に連結され、要素[kk]の3
、要素[ee]の3’端は要素[F]の5’端に連結さ
’端は要素[L]の5’端に連結されて、イベントMO
れて、イベントMON87411を形成させるためにト 30
N87411を形成させるためにトウモロコシゲノムに
ウモロコシゲノムに挿入されたトランスジェニックDN
挿入されたトランスジェニックDNAインサート内に、
Aインサート内に、配列番号44に包含されるユニーク
配列番号50に包含されるユニークな接合部を形成する
な接合部を形成する。
[ff]配列番号1に示すヌク
。 [ll]配列番号1に示すヌクレオチド位置111
レオチド位置4535∼4540は、要素[F]と[G
27∼11133は、要素[L]と[M]の間の介在配
]の間の介在配列に対応する。配列番号1に示す[ff
列に対応する。配列番号1に示す[ll]の5’端は要
]の5’端は要素[F]の3’端に連結され、要素[f
素[L]の3’端に連結され、要素[ll]の3’端は
f]の3’端は要素[G]の5’端に連結されて、イベ
要素[M]の5’端に連結されて、イベントMON87
ントMON87411を形成させるためにトウモロコシ
411を形成させるためにトウモロコシゲノムに挿入さ
ゲノムに挿入されたトランスジェニックDNAインサー
れたトランスジェニックDNAインサート内に、配列番
ト内に、配列番号45に包含されるユニークな接合部を 40
号51に包含されるユニークな接合部を形成する。
形成する。
[gg]配列番号1に示すヌクレオチド位
mm]配列番号1に示すヌクレオチド位置11716∼
置4602∼4617は、要素[G]と[H]の間の介
11748は、417コンストラクトのAgrobac
在配列に対応する。配列番号1に示す[gg]の5’端
terium
は要素[G]の3’端に連結され、要素[gg]の3’
配列のうち、イベントMON87411を形成させるた
端は要素[H]の5’端に連結されて、イベントMON
めにトウモロコシゲノムに挿入されたトランスジェニッ
87411を形成させるためにトウモロコシゲノムに挿
クDNAインサートの随意に割り当てられた3’端にお
入されたトランスジェニックDNAインサート内に、配
いて、ゲノムに近接している部分に対応する。配列番号
列番号46に包含される接合部を形成するが、この接合
1に示す[mm]の5’端は要素[M]の3’端に連結
部はイベントMON87411にユニークではない。
され、要素[mm]の3’端は要素[N]の5’端に連
[hh]配列番号1に示すヌクレオチド位置5098∼ 50
結されて、配列番号52に包含されるユニークなトラン
[
tumefaciensノパリン右境界
( 13 )
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スジェニック挿入DNA/トウモロコシゲノム接合部を
オチド)と挿入トランスジェニックDNAの境界残余部
形成する。
(263ヌクレオチド)とを表す。
【図4】コーンルートワーム毒性作用物質の発現を駆動
配列番号8は、イベントMON87411のヌクレオチ
する分岐プロモーターの効力が、コーンルートワーム毒
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン
性作用物質の発現を駆動するタンデム配向のプロモータ
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAの
ーを持つベクターと比べて高いことを示すために試験し
セグメント(83ヌクレオチド)と挿入トランスジェニ
たベクターの図解。
ックDNAに近接する3’ゲノムDNAのセグメント(
【発明を実施するための形態】
34ヌクレオチド)とを表す。
【0025】
配列の簡単な説明
配列番号9は、イベントMON87411のヌクレオチ
10
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン
配列番号1は、イベントMON87411のヌクレオチ
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAの
ド配列であり、5’から3’に向かって、イベントMO
セグメント(83ヌクレオチド)と挿入トランスジェニ
N87411中の、挿入トランスジェニックDNAに隣
ックDNAに近接する3’ゲノムDNAのセグメント(
接(近接)する5’ゲノムDNAのセグメント(500
90ヌクレオチド)とを表す。
ヌクレオチド)、挿入トランスジェニックDNA(11
配列番号10は、イベントMON87411のヌクレオ
,248ヌクレオチド)、および挿入トランスジェニッ
チド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベ
クDNAに隣接(近接)する3’ゲノムDNAのセグメ
ントMON87411の挿入トランスジェニックDNA
ント(500ヌクレオチド)を表す。
のセグメント(83ヌクレオチド)と挿入トランスジェ
配列番号2は、イベントMON87411のヌクレオチ
ニックDNAに近接する3’ゲノムDNAのセグメント
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン 20
(255ヌクレオチド)とを表す。
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAに
【0027】
近接する5’ゲノムDNAのセグメント(500ヌクレ
配列番号11は、酵母Snf7にオルソロガスなESC
オチド)と挿入トランスジェニックDNAの境界残余部
RT−III複合体サブユニットをコードするDiab
(263ヌクレオチド)とを表す。
rotica
配列番号3は、イベントMON87411のヌクレオチ
a(ウエスタンコーンルートワーム)由来のcDNA配
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン
列のヌクレオチド配列である。
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAの
配列番号12は、逆方向反復RNA分子を発現するよう
境界残余部(15ヌクレオチド)と挿入ゲノムDNAに
に工学的に操作された組換え遺伝子を含むDNA発現カ
近接する3’ゲノムDNAのセグメント(500ヌクレ
セットのアンチセンス鎖を表すヌクレオチド配列である
オチド)とを表す。
30
virgifera
virgifer
。逆方向反復DNAセグメントは位置663∼902と
配列番号4は、イベントMON87411のヌクレオチ
位置1292∼1053とに対応する。これらの逆方向
ド配列であり、イベントMON87411の挿入ゲノム
反復DNA配列は配列番号11のヌクレオチド位置15
DNA(11248ヌクレオチド)を表す。
1∼390のヌクレオチド配列に対応する。
配列番号5は、イベントMON87411のヌクレオチ
配列番号13は、配列番号12に示すDNAから転写さ
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン
れるリボヌクレオチド配列である。
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAに
配列番号14は、コーンルートワーム毒性Cry3Bb
近接する5’ゲノムDNAのセグメント(50ヌクレオ
タンパク質をコードし発現するように工学的に操作され
チド)と挿入トランスジェニックDNAの境界残余部(
た組換え遺伝子を含むDNA発現カセットのセンス鎖を
263ヌクレオチド)とを表す。
【0026】
表すヌクレオチド配列である。
40
配列番号15は、配列番号14の位置1522∼348
配列番号6は、イベントMON87411のヌクレオチ
0に対応するポリヌクレオチドのアミノ酸配列翻訳であ
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン
って、コーンルートワーム毒性Cry3Bbタンパク質
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAに
を表す。
近接する’5ゲノムDNAのセグメント(110ヌクレ
【0028】
オチド)と挿入トランスジェニックDNAの境界残余部
配列番号16は、5−エノールピルビルシキミ酸−3−
(263ヌクレオチド)とを表す。
リン酸シンターゼ(EPSPS)タンパク質をコードし
配列番号7は、イベントMON87411のヌクレオチ
発現するように工学的に操作された組換え遺伝子を含む
ド接合部配列であり、5’から3’に向かって、イベン
DNA発現カセットのセンス鎖を表すヌクレオチド配列
トMON87411の挿入トランスジェニックDNAに
である。
近接する5’ゲノムDNAのセグメント(145ヌクレ 50
配列番号17は、配列番号16の位置2186∼378
( 14 )
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1に対応するポリヌクレオチドのアミノ酸配列翻訳であ
84に対応する。この配列を呈するアンプリコンは、一
って、除草剤グリホサートに対して非感受性を呈するE
対のプライマー、例えばSQ27066およびSQ26
PSPSタンパク質を表す。
977で増幅することができ、イベントMON8741
配列番号18は、SQ27011と呼ばれる合成オリゴ
1に特徴的である。
ヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、配列番号1の
【0030】
位置462∼490に対応するヌクレオチド配列と同一
配列番号26は、DNAコンストラクト#417を表す
である。
ヌクレオチド配列である。
配列番号19は、PB3552と呼ばれる合成オリゴヌ
配列番号27は、DNAコンストラクト#416を表す
クレオチドのヌクレオチド配列であり、配列番号1の位
ヌクレオチド配列である。
置502∼515に対応するヌクレオチド配列の逆相補 10
配列番号28は、DNAコンストラクト#418を表す
体と同一である。PB3552は、一対の熱増幅プライ
ヌクレオチド配列である。
マー、例えばSQ27011およびSQ9085と組み
配列番号29は、DNAコンストラクト#419を表す
合わせて使用するために、6−カルボキシフルオレセイ
ヌクレオチド配列である。
ン成分(6−FAM(商標))で5’標識し、クエンチ
配列番号30は、DNAコンストラクト#402を表す
ャー成分で3’標識することができ、トウモロコシイベ
ヌクレオチド配列である。
ントMON87411
配列番号31は、DNAコンストラクト#403を表す
DNAを含有する生物学的試料
中のイベントMON87411DNAの存在を検出する
ヌクレオチド配列である。
ために、TAQMAN(登録商標)DNA増幅方法で使
配列番号32は、DNAコンストラクト#404を表す
用することができる。
ヌクレオチド配列である。
配列番号20は、SQ9085と呼ばれる合成オリゴヌ 20
配列番号33は、DNAコンストラクト#423を表す
クレオチドのヌクレオチド配列であり、配列番号1の位
ヌクレオチド配列である。
置516∼541に対応するヌクレオチド配列の逆相補
配列番号34は、DNAコンストラクト#405を表す
体と同一である。
ヌクレオチド配列である。
【0029】
配列番号35は、DNAコンストラクト#406を表す
配列番号21は、イベントMON87411のヌクレオ
ヌクレオチド配列である。
チド配列であり、配列番号1の位置462∼541に対
【0031】
応する。この配列を呈するアンプリコンは、一対の熱増
配列番号36は、DNAコンストラクト#890を表す
幅プライマー、例えばSQ27011およびSQ908
ヌクレオチド配列である。
5を使って作製することができる。
配列番号37は、イベントMON87411の野生型ア
配列番号22は、SQ27066と呼ばれる合成オリゴ 30
レルを表すLH244トウモロコシ植物のヌクレオチド
ヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、配列番号1の
配列である。このヌクレオチド配列を呈するアンプリコ
位置11710∼11728に対応するヌクレオチド配
ンは一対のPCRプライマー、例えばSQ27011お
列と同一である。
よびSQ26977で作製することができ、イベントM
配列番号23は、PB11300と呼ばれる合成オリゴ
ON87411の野生型アレルに特徴的である。
ヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、配列番号1の
配列番号38は、SQ20221と呼ばれる合成オリゴ
位置11731∼11755に対応するヌクレオチド配
ヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
列と同一である。PB11300は、6−カルボキシフ
配列番号39は、PB10065と呼ばれる合成オリゴ
ルオレセイン成分(6−FAM(商標))で5’標識し
ヌクレオチドのヌクレオチド配列である。PB1006
、クエンチャー成分で3’標識することができる。こう
5は、VIC(商標)で5’標識し、クエンチャー成分
して標識されたPB11300は、TAQMAN(登録 40
で3’標識することができる。こうして標識されたPB
商標)アッセイでイベントMON87411を検出する
10065は、TAQMAN(登録商標)アッセイでト
ために、一対のPCRプライマー、例えばSQ2706
ウモロコシの内在性遺伝子のセグメントの存在を検出す
6およびSQ26977と組み合わせて使用することが
るために、一対のPCRプライマー、例えばSQ100
できる。
65およびSQ20222と組み合わせて使用すること
配列番号24は、SQ26977と呼ばれる合成オリゴ
ができる。
ヌクレオチドのヌクレオチド配列であり、配列番号1の
配列番号40は、SQ20222と呼ばれる合成オリゴ
位置11756∼11784に対応するヌクレオチド配
ヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
列の逆相補体と同一である。
配列番号41∼52は、配列番号1の領域のヌクレオチ
配列番号25は、イベントMON87411のヌクレオ
ド配列であり、各配列番号は、図3に関する簡単な説明
チド配列であり、配列番号1の位置11710∼117 50
で詳述した介在配列と発現カセット要素とによって形成
( 15 )
JP
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28
される接合部を包含する。
,819)と交配することによる組み合わせも開示され
【0032】
ている。そのような組み合わせには、トウモロコシゲノ
詳細な説明
ム内の複数の異なる座位および複数の染色体上に位置す
本発明者らは、既存のトランスジェニックトウモロコシ
るこれら複数の形質を、まとめて単一のトウモロコシ植
植物と比べて優れた性質および成績を呈するトランスジ
物に導入し、これらの形質を、何百とはいわないまでも
ェニックトウモロコシイベントMON87411を同定
何十という異なるトウモロコシ生殖質品種に、雑種とし
した。トウモロコシイベントMON87411は、作動
て維持することの必要に関連する課題がつきまとう。そ
的に連結された3つの発現カセットを含有し、これらの
のような課題の解決策は、これらの形質の組み合わせを
カセットは全体として、トランスジェニックイベントM
、まとめて単一の座位に含めることであるだろう。本発
ON87411を含有するトウモロコシ細胞、トウモロ 10
明者らは、ここに、この課題に対するそのような解決策
コシ組織、トウモロコシ種子およびトウモロコシ植物に
の一つを、共有結合で連結された3つの発現カセットを
、コーンルートワーム抵抗性およびグリホサート除草剤
トウモロコシゲノム内の単一の座位に併せもつトウモロ
耐性の形質を付与する。トウモロコシイベントMON8
コシイベントMON87411の形態で提供するもので
7411は、コーンルートワーム病害虫種(Diabr
あり、これらの発現カセットは、トランスジェニックイ
otica種を含む;とりわけ病害虫がDiabrot
ベントMON87411を含有するトウモロコシ細胞、
ica
virgifera(ウ
トウモロコシ組織、トウモロコシ種子およびトウモロコ
エスタンコーンルートワーム、WCR)、Diabro
シ植物に、コーンルートワーム抵抗性およびグリホサー
tica
ト除草剤耐性の形質を付与する。トウモロコシイベント
virgifera
barberi(ノーザンコーンルートワー
ム、NCR)、Diabrotica
ra
virgife
zeae(メキシカンコーンルートワーム、MC 20
R)、Diabrotica
MON87411の使用により、トウモロコシ栽培者は
、a)2つの異なるコーンルートワーム抵抗性作用機序
balteata(ブラ
を用意することによる、コーンルートワーム幼虫に起因
ジリアンコーンルートワーム(BZR)もしくはDia
する経済的損失からの保護、およびb)広スペクトル雑
brotica
viridulaとDiabroti
草防除のためにトウモロコシ作物にグリホサート含有農
ca
speciosaとからなるブラジリアンコーン
業用除草剤を施用することができることという、大きな
ルートワーム複合体(BCR)、またはDiabrot
利益を得る。加えて、コーンルートワーム耐性形質とグ
ica
howar
リホサート耐性形質をコードするトランスジーンは同じ
dii(サザンコーンルートワーム、SCR)である場
undecimpunctata
DNAセグメント上で連結されており、MON8741
合)に対して、2つの作用機序を提供する。当技術分野
1のゲノム中の単一座位に見いだされるので、それが育
では、他に、一つずつ付与されるさまざまな実施形態を
種効率の強化をもたらし、また育種個体群およびその後
与えるトランスジェニックトウモロコシイベント、例え 30
代においてトランスジーンインサートを追跡するために
ばMON863(Cry3Bb殺虫性毒素タンパク質の
分子マーカーを使用することを可能にする。
発現によってコーンルートワームに対する抵抗性の形質
【0033】
を付与するもの)、またはトウモロコシイベントMON
トウモロコシイベントMON87411は、プラスミド
88017(Cry3Bb殺虫性毒素タンパク質の発現
コンストラクトpMON120417による近交系トウ
によるコーンルートワームに対する抵抗性の形質とグリ
モロコシ系統のAgrobacterium媒介形質転
ホサート非感受性EPSPSの発現によるグリホサート
換プロセスによって作製された。このプラスミドコンス
除草剤に対する抵抗性の形質とを付与するもの)やトウ
トラクトは、連結された植物発現カセットを、CP4
モロコシイベントDAS
EPSPSタンパク質、ならびにCry3Bbタンパク
59122−7(Cry34
/Cry35とも呼ばれる二元Bacillus
th
質、およびトウモロコシイベントMON87411を含
uringiensis毒素PS149B1の発現によ 40
有するトウモロコシ細胞がコーンルートワームの食物に
るコーンルートワームに対する抵抗性の形質と除草剤グ
入れて提供された時にコーンルートワームの細胞におい
ルホシネートに対する耐性の形質とを付与するもの)の
て必須遺伝子を抑制のターゲットとするdsRNAのト
場合のように、2つ以上の形質を与えるトランスジェニ
ウモロコシ植物細胞における発現に必要な調節遺伝要素
ックトウモロコシイベントも言及されている。他に、ト
と共に含有する。トウモロコシ細胞を完全なトウモロコ
ウモロコシイベントMON88017またはDAS
5
シ植物に再生させ、植物の個体群から、植物発現カセッ
9122−7によって付与される形質を、ルートワーム
トの完全性ならびにグリホサートおよびコーンルートワ
の生存にとって不可欠なコーンルートワーム遺伝子を抑
ーム幼虫食害に対する抵抗性を示す個々の植物を選択し
制のターゲットとするdsRNAの発現によってもたら
た。トウモロコシイベントMON87411中に存在す
されるコーンルートワーム抵抗性の形質を付与するトラ
る連結された植物発現カセットをそのゲノムに含有する
ンスジェニックトウモロコシイベント(US7,943 50
トウモロコシ植物は、本発明の一態様である。
( 16 )
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【0034】
トウモロコシ植物イベントMON87411中の挿入ト
トウモロコシイベントMON87411のゲノムに挿入
ランスジーンDNAの全DNA配列(配列番号1)を決
されたプラスミドDNAを詳細な分子解析によって特徴
定した。
づけた。これらの解析には、インサート数(トウモロコ
【0035】
シゲノム内の組み込み部位の数)、コピー数(1つの座
トランスジェニックイベントMON87411の作製に
位内のT−DNAのコピー数)、およびトランスジェニ
使用したコンストラクトを使って数十のトランスジェニ
ック挿入DNAの完全性が含まれた。トウモロコシゲノ
ックイベントを作製した。また、異なるコンストラクト
ムに挿入されてイベントMON87411を生じさせる
を作製し、それらを使って、何十という他のトランスジ
連結された3つの発現カセットを含有するプラスミドコ
ェニックトウモロコシイベントを作製し、それらをMO
ンストラクトは、トウモロコシゲノムにも、トウモロコ 10
N87411および類似のイベントと比べた。これらの
シの他のベクターもしくはトランスジェニックイベント
イベントを全て、トランスジェニックトウモロコシ植物
にも、それ以外にも、自然に出現することは知られてい
イベント組織をコーンルートワーム幼虫の食物に入れて
ない複数のセグメント(いくつかの発現カセットを製作
提供する食物バイオアッセイにおいて、コーンルートワ
または構築するために使用された要素間の接合部配列)
ームの防除に関する効力について試験した。さまざまな
を含有する(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番
イベントにコーンルートワーム抵抗性形質を付与する原
号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号
因となる2つの異なる発現カセットの発現の配向は、こ
7、配列番号8、配列番号9、配列番号10;配列番号
れらの抵抗性形質を発現するトウモロコシイベント細胞
12、配列番号14、配列番号16、配列番号21、配
をコーンルートワーム幼虫の食物に入れて提供した時に
列番号25、配列番号41、配列番号42、配列番号4
コーンルートワーム防除をもたらすイベントの効力にと
3、配列番号44、配列番号45、配列番号49、配列 20
って、決定的に重要であることが決定された。2つの異
番号50、配列番号51、および配列番号52に示す配
なるプロモーターCAMV
列)。加えて、イベントMON87411中の挿入トラ
IGは、e35SプロモーターからdsRNAコーンル
ンスジェニックDNAを生じさせる形質転換イベントは
ートワーム保護物質を発現し、e35Sプロモーターに
、ここに、トウモロコシゲノム中の単一座位への挿入で
近接しかつ同プロモーターから分岐しているZm.PI
あって、挿入DNAとトウモロコシゲノムDNAとの間
IGプロモーターからCry3Bbコーンルートワーム
に、イベントMON87411を含むトウモロコシゲノ
毒性タンパク質を発現する発現カセットを含有するトウ
ムだけにユニークたりうる十分な長さを有する、2つの
モロコシイベントの、驚くべき優れた効力をもたらすこ
新しい座位または接合部配列(追加の接合部配列)をも
とが観察された。これらのプロモーターがこの特定の配
たらすものであると特徴づけられる。これらの接合部配
向にあると、効力を呈するトランスジェニックイベント
列は、トウモロコシ細胞、組織、種子および植物または 30
の割合が著しく改善された。
植物製品(コモディティー製品)におけるイベントMO
【0036】
N87411
本明細書に別段の注記がある場合を除き、用語は、関連
DNAの存在を検出するのに役立つ。イ
ベントMON87411
e35SおよびZm.PI
DNAを含有するトウモロコ
技術分野における通常の技能を有する者による従来の用
シ細胞、種子、植物部分または植物組織を含有するか含
法に従って理解されるものとする。分子生物学における
有すると疑われる生物学的試料中のこれらさまざまな接
一般的用語の定義は、Riegerら「Glossar
合部セグメントの存在を同定するために開発されたDN
y of
A分子プローブおよびプライマー対を、本明細書に記載
and
する。データは、イベントMON87411が単一のT
r−Verlag:ニューヨーク、1991)およびL
−DNA挿入を持ち、挿入されたトランスジェニックD
ewin「Genes
NAが1コピーであることを示している。トウモロコシ 40
ersity
ゲノムへの植物形質転換プラスミドからのトランスジェ
に見いだすこともできる。本明細書において使用する用
ニックDNA導入に使用されたAgrobacteri
語「トウモロコシ」はZea
um
tumefaciens左および右境界領域の一
N87411を含むトウモロコシ植物と交配することが
部分以外の形質転換ベクターpMON120714から
できる全ての植物品種を包含する。本明細書において使
の追加要素は、イベントMON87411中に同定され
用する用語「を含む(comprising)」は「を
ていない。最後に、試料中の上記イベントMON874
含むが、それらに限定されるわけではない(inclu
11
ding
DNAの存在に特徴的である特異的アンプリコン
Genetics:
Classical
Molecular」第5版(Springe
V」(Oxford
Univ
Press:ニューヨーク、1994)
but not
maysを意味し、MO
limited
to)」
を作製する熱増幅とDNA配列解析とを行って、随意に
を意味する。
割り当てられた5’および3’インサート−植物ゲノム
【0037】
接合部を決定し、インサート内の要素の構成を確認し、 50
本発明は、少なくとも3つの発現カセット、すなわち、
( 17 )
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酵母snf7遺伝子にオルソロガスなコーンルートワー
核酸またはリボ核酸だけでなく、ターゲットDNA配列
ム必須遺伝子を抑制するように設計されたコーンルート
に特異的に結合し、そのターゲットDNA配列の存在を
ワーム毒性量のdsRNAを発現する第1発現カセット
検出するために使用することができる、ポリアミドおよ
、コーンルートワーム毒性量のCry3Bbδ−エンド
び他のプローブ材料も含まれる。
トキシンを発現する第2発現カセット、およびグリホサ
【0040】
ート阻害に対して非感受性であるグリホサート耐性酵素
DNAプライマーは、核酸ハイブリダイゼーションによ
CP4
EPSPSを発現する第3発現カセットを含有
って相補的ターゲットDNA鎖にアニールすることでプ
するDNAコンストラクトで形質転換された、トランス
ライマーとターゲットDNA鎖とのハイブリッドを形成
ジェニック植物を提供する。本明細書において開示する
し、次にポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼによ
方法に従って、本明細書に開示するDNAコンストラク 10
って、ターゲットDNA鎖に沿って伸長される、単離さ
トで形質転換されたトウモロコシ植物は、CRWに対し
れたポリ核酸である。本発明のDNAプライマー対また
て抵抗性であり、グリホサート除草剤の施用に対して耐
はDNAプライマーセットは、例えばポリメラーゼ連鎖
性である。連結された農業形質は、育種個体群内にこれ
反応(PCR)または他の従来のポリ核酸増幅方法によ
らの形質をまとめて維持することを容易にし、単一のコ
るターゲット核酸配列の増幅に役立つ2つのDNAプラ
ーンルートワーム阻害遺伝子だけを含有する植物または
イマーを指す。
育種素材として組み合わされた同じコーンルートワーム
【0041】
阻害遺伝子(Cry3BbおよびdsRNA)を含有す
DNAプローブおよびDNAプライマーは、一般的には
る植物よりも高いコーンルートワーム効力を呈する。
、長さが11ポリヌクレオチド以上、多くの場合、18
【0038】
ポリヌクレオチド以上、24ポリヌクレオチド以上、ま
トランスジェニック「植物」は、異種DNA、すなわち 20
たは30ポリヌクレオチド以上である。そのようなプロ
目的のトランスジーンを含むポリ核酸コンストラクトに
ーブおよびプライマーは、高ストリンジェンシーハイブ
よる植物細胞の形質転換、植物細胞のゲノムへのトラン
リダイゼーション条件下でターゲット配列に特異的にハ
スジーンの挿入によって得られる植物の個体群の再生、
イブリダイズするのに十分な長さであるように選択され
および特定ゲノム位置への挿入を特徴とする特定植物の
る。本発明のプローブおよびプライマーは、好ましくは
選択によって作製される。「イベント」という用語は、
、ターゲット配列との完全な配列類似性を有するが、タ
異種DNAを含む最初の形質転換体植物およびその形質
ーゲット配列とは異なるプローブであって、ターゲット
転換体の後代を指す。「イベント」という用語は、イベ
配列にハイブリダイズする能力を保っているものを、従
ントと別の植物との間の有性異系交雑によって作製され
来の方法で設計することもできる。
る、異種DNAを含む後代も包含する。反復親への反復
【0042】
戻し交雑後でも、形質転換親イベントからの挿入DNA 30
本明細書に開示する隣接ゲノムDNAおよびインサート
および隣接ゲノムDNAは、交雑の後代において、同じ
配列に基づくプライマーおよびプローブは、従来の方法
染色体位置に存在する。「イベント」という用語は、挿
、例えば当該DNA分子の再クローニングおよび配列決
入DNAと挿入DNAにじかに近接する隣接ゲノム配列
定などによって、開示されたDNA配列を確認(そして
とを含む最初の形質転換体からのDNAであって、挿入
必要であれば修正)するために使用することができる。
DNAを含む一方の親系統(例えば最初の形質転換体お
【0043】
よび自殖によって得られる後代)と挿入DNAを含有し
本発明の核酸プローブおよびプライマーはストリンジェ
ない親系統との有性交雑の結果として目的のトランスジ
ントな条件下でターゲットDNA分子にハイブリダイズ
ーンを含む挿入DNAを受け取る後代に導入されると予
する。試料中のトランスジェニック植物からのDNAの
想されうるものも指す。本発明は、MON87411を
存在を同定するには、従来の任意の核酸ハイブリダイゼ
含むトランスジェニックイベントトウモロコシ植物、そ 40
ーション法または増幅方法を使用することができる。ポ
の後代、およびそこに含まれるDNA組成物に関する。
リ核酸分子(核酸セグメントともいう)またはそのフラ
【0039】
グメントは、一定の状況下で他の核酸分子に特異的にハ
「プローブ」は、従来の検出可能ラベルまたはレポータ
イブリダイズする能力を有する。本明細書では、2つの
ー分子、例えば放射性同位体、リガンド、化学発光剤、
ポリ核酸分子が逆平行二本鎖核酸構造を形成する能力を
または酵素が取り付けられている単離された核酸である
有するのであれば、それら2つの分子は互いに特異的に
。そのようなプローブはターゲット核酸の鎖に、本発明
ハイブリダイズする能力を有するという。ある核酸分子
の場合であればMON87411からのゲノムDNAの
がもう一つの核酸分子の「相補体(complemen
鎖に、それがMON87411植物からであるか、MO
t)」であるといわれるのは、それらが完全な相補性を
N87411
呈する場合である。本明細書では、一方の分子の全ての
DNAを含む試料からであるかを問わず
、相補的である。本発明のプローブには、デオキシリボ 50
ヌクレオチドが他方の分子のヌクレオチドに相補的であ
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る場合に、それらの分子は「完全な相補性」を呈すると
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、1
いう。2つの分子が、少なくとも従来の「低ストリンジ
4、16、21、25、41、42、43、44、45
ェンシー」条件下で互いにアニールした状態を保つこと
、49、50、51、または52に示す核酸分子もしく
ができるほど十分な安定性で互いにハイブリダイズする
はその相補体またはどちらかのフラグメントの1つ以上
ことができる場合、それら2つの分子は「最低限に相補
に、高ストリンジェンシー条件下で特異的にハイブリダ
的」であるという。また、従来の「高ストリンジェンシ
イズするであろう。本発明の一態様では、好ましい本発
ー」条件下で互いにアニールした状態を保つことができ
明のマーカー核酸分子が、配列番号1、または配列番号
るほど十分な安定性で互いにハイブリダイズすることが
2、または配列番号3、または配列番号4、または配列
できる場合、それらの分子は「相補的」であるという。
番号5、または配列番号6、または配列番号7、または
従来のストリンジェンシー条件は、Sambrookら 10
配列番号8、または配列番号9、または配列番号10;
(1989)およびHaymesら「Nucleic
または配列番号12、または配列番号14、または配列
Acid
A Pr
番号16、または配列番号21、または配列番号25、
Hybridaization,
actical
Pre
または配列番号41、または配列番号42、または配列
ss、ワシントンDC(1985))に記載されている
番号43、または配列番号44、または配列番号45、
。したがって完全な相補性からの逸脱は、その逸脱が二
または配列番号49、または配列番号50、または配列
本鎖構造を形成する分子の能力を完全に妨げるものでな
番号51、または配列番号52に示す核酸配列もしくは
い限り、許容される。ある核酸分子がプライマーまたは
その相補体またはどちらかのフラグメントを有する。タ
プローブとして役立つには、使用する特定溶媒および特
ーゲットDNA分子へのプローブのハイブリダイゼーシ
定塩濃度において安定な二本鎖構造を形成することがで
ョンは、当業者に知られているいくつもの方法で検出す
きるように、配列が十分に相補的でありさえすればよい 20
ることができ、例えば限定するわけではないが、蛍光タ
。
グ、放射性タグ、抗体ベースのタグ、および化学発光タ
【0044】
グを挙げることができる。
本明細書にいう実質的に相同な配列とは、比較しようと
【0045】
している核酸配列の相補体に高ストリンジェンシー条件
特定増幅プライマー対を使った(例えばPCRによる)
下で特異的にハイブリダイズするであろう核酸配列であ
ターゲット核酸配列の増幅に関して、「ストリンジェン
る。例えば約45℃の6.0×塩化ナトリウム/クエン
トな条件」とは、DNA熱増幅反応において、対応する
酸ナトリウム(SSC)の後、50℃の2.0×SSC
野生型配列(またはその相補体)を有するプライマーが
で洗浄などといった、DNAハイブリダイゼーションを
結合して、好ましくはユニークな増幅産物、アンプリコ
促進する適当なストリンジェンシー条件は当業者に知ら
ンを作製するターゲット核酸配列だけに、プライマー対
れているか、「Current
がハイブリダイズすることを許す条件である。
n
Approach」(IRL
Molecular
Wiley
&
Protocolsi 30
Biology」(John
【0046】
Sons、ニューヨーク(1989
「(ターゲット配列)に特異的」という用語は、プロー
))の6.3.1−6.3.6に見いだすことができる
ブまたはプライマーが、ストリンジェントなハイブリダ
。例えば洗浄ステップにおける塩濃度は、50℃で約2
イゼーション条件下で、ターゲット配列を含む試料中の
.0×SSCの低ストリンジェンシーから、50℃で約
ターゲット配列だけにハイブリダイズすることを示す。
0.2×SSCの高ストリンジェンシーまで選択するこ
【0047】
とができる。加えて、洗浄ステップにおける温度を、室
本明細書にいう「増幅されたDNA」または「アンプリ
温(約22℃)の低ストリンジェンシー条件から、約6
コン」とは、ポリ核酸テンプレートの一部であるターゲ
5℃の高ストリンジェンシー条件まで増加させることが
ットポリ核酸分子に向けられたポリ核酸増幅方法の産物
できる。温度と塩の両方を変動させるか、または温度も 40
を指す。
しくは塩濃度のどちらか一方を一定に保った上で、他方
例えば、有性交雑の結果生じたトウモロコシ植物が、本
の変数を変化させることができる。好ましい一実施形態
発明のMON87411を含むトウモロコシ植物からの
では、本発明のポリ核酸が、配列番号1、2、3、4、
トランスジェニック植物ゲノムDNAを含有するかどう
5、6、7、8、9、10、12、14、16、21、
かを決定するには、MON87411植物DNAの存在
25、41、42、43、44、45、49、50、5
に特徴的であるアンプリコンを作製するために、トウモ
1、または52に示す核酸分子もしくはその相補体また
ロコシ植物組織試料から抽出されたDNAを、MON8
はどちらかのフラグメントの1つ以上に、中等度にスト
7411を含む植物のゲノム中の挿入異種DNA(トラ
リンジェントな条件下で、例えば約2.0×SSCおよ
ンスジーンDNA)の挿入部位に近接するDNA配列に
び約65℃で、特異的にハイブリダイズするであろう。
由来するプライマーと、挿入異種DNAに由来する第2
特に好ましい実施形態では、本発明の核酸が、配列番号 50
のプライマーとを含むプライマー対を使ったポリ核酸増
( 19 )
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幅方法に付すことができる。特徴的アンプリコンは、植
条件下で特徴的アンプリコンを増幅する、DNAプライ
物ゲノムDNAに特徴的でもある長さとDNA配列を有
マー分子が含まれる。本キットは、アガロースゲルベー
する。アンプリコンの長さは、プライマー対の長さを合
スの検出方法、または当技術分野で知られているいくつ
わせたもの+1ヌクレオチド塩基対から、好ましくは+
もの特徴的アンプリコン検出方法を提供しうる。配列番
約50ヌクレオチド塩基対、より好ましくは+約250
号1に示すトウモロコシゲノム領域の任意の部分および
ヌクレオチド塩基対、さらに好ましくは+約450ヌク
配列番号1に示す挿入トランスジェニックDNAの任意
レオチド塩基対またはそれ以上に及びうる。あるいは、
の部分に相同または相補的なDNAプライマーを含むキ
プライマー対は、インサートポリヌクレオチド配列全体
ットは、本発明の一目的である。DNA増幅の技術分野
を含むアンプリコンが作製されるように、挿入異種DN
の当業者であれば、開示されたMON87411のトラ
Aの両側にあるゲノム配列に由来することもできる(例 10
ンスジーン/ゲノムDNA配列(配列番号1)から、D
えば配列番号1のゲノム部分から単離されたフォワード
NAプライマーとして役立つDNA分子を選択すること
プライマーと、イベントMON87411ゲノム中の本
ができる。
明細書に特定する接合部配列を含むDNA分子を増幅す
【0050】
る配列番号1のゲノム部分から単離されたリバースプラ
これらの方法によって作製された特徴的アンプリコンは
イマー)。挿入トランスジェニックDNAに近接する植
、多数の技法によって検出することができる。そのよう
物ゲノム配列に由来するプライマー対のメンバーは、挿
な技法の一つが遺伝子ビット解析(Genetic
入DNA配列から、ある距離に位置し、この距離は1ヌ
it
クレオチド塩基対から約2000ヌクレオチド塩基対ま
Nucleic
でに及ぶことができる。「アンプリコン」という用語を
−4175,
使用する場合、DNA熱増幅反応中に形成されうるプラ 20
隣接ゲノムDNA配列と挿入DNA配列の両方とオーバ
イマー二量体は、特に除外される。
ーラップするDNAオリゴヌクレオチドが設計される。
【0048】
オリゴヌクレオチドはマイクロタイタープレートのウェ
ポリ核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含
ルに固定化される。(挿入配列中の1プライマーと、近
む当技術分野において知られるさまざまなポリ核酸増幅
接する隣接ゲノム配列中の1プライマーとを用いる)関
方法のいずれかによって達成することができる。増幅方
心領域のPCR後に、一本鎖PCR産物を固定化オリゴ
法は当技術分野では知られており、とりわけ、米国特許
ヌクレオチドにハイブリダイズさせ、それを、DNAポ
第4,683,195号および同第4,683,202
リメラーゼと、予想される次の塩基に特異的な標識ジデ
号ならびに「PCR
A Gu
オキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)とを使った
Applic
1塩基伸長反応のテンプレートとして、役立たせること
ide
to
Protocols:
Methods
and
B
Analysis)(Nikiforovら,
Acid
Res.
22:4167
1994)であり、ここでは、近接する
ations」(Innisら編、AcademicP 30
ができる。読出しは、蛍光に基づくか、ELISAに基
ress、サンディエゴ、1990)に記載されている
づくことができる。シグナルは、増幅、ハイブリダイゼ
。22kb(キロベース)までのゲノムDNAおよび4
ーション、および1塩基伸長の成功により、トランスジ
2kbまでのバクテリオファージDNAを増幅するため
ーン/ゲノム配列の存在を示す。
のPCR増幅方法が開発されている(Chengら,
【0051】
Proc.
もう一つの方法は、Wingeによって記載されたパイ
A
Natl.
Acad.
91:5695−5699,
Sci.
US
1994)。本発明
ロシーケンシング技法である(Innov.
Tech.
00:18−24,
Phar
を実施する際には、これらのDNA増幅方法および当技
ma.
術分野で知られている他のDNA増幅方法を使用するこ
。この方法では、近接ゲノムDNAおよびインサートD
2000)
とができる。イベントMON87411からの異種DN
NA接合部とオーバーラップするオリゴヌクレオチドが
Aインサートの配列または隣接ゲノムDNA配列は、A 40
設計される。オリゴヌクレオチドを関心領域からの一本
TCCに寄託された、受託番号がPTA−12669で
鎖PCR産物(挿入配列中の1プライマーと、隣接ゲノ
ある、イベントMON87411を含む種子、またはそ
ム配列中の1プライマー)にハイブリダイズさせ、DN
の種子から生長させた植物から、当該DNA分子を、こ
Aポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラ
こに提供する配列に由来するプライマーを使って増幅し
ーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’ホスホ硫酸およびル
た後、PCRアンプリコンまたはそのクローン化DNA
シフェリンの存在下でインキュベートする。dNTPが
フラグメントの標準的なDNA配列決定によって、検証
個別に加えられ、組込みがもたらす光シグナルが測定さ
(そして必要であれば修正)することができる。
れる。光シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション、
【0049】
および1塩基または多塩基伸長の成功により、トランス
DNA増幅方法に基づくDNA検出キットには、ターゲ
ジーン/ゲノム配列の存在を示す。
ットDNAに特異的にハイブリダイズして、適当な反応 50
【0052】
( 20 )
JP
37
9:492−498,
A
2015.7.9
38
Chenらが記載する蛍光偏光(Genome
.
2015-519051
Res
本明細書に開示する組成物とDNA検出の技術分野にお
1999)は、本発明のア
いて周知の方法とを使って、DNA検出キットを開発す
ンプリコンを検出するために使用することができる一方
ることができる。キットは試料中のトウモロコシイベン
法である。この方法では、ゲノム隣接および挿入DNA
トMON87411
接合部とオーバーラップするオリゴヌクレオチドが設計
7411
される。オリゴヌクレオチドを関心領域からの一本鎖P
るための方法に応用することができる。キットには、プ
CR産物(挿入DNA中の1プライマーと、隣接ゲノム
ライマーまたはプローブとして役立ち、かつ本明細書に
DNA配列中の1プライマー)にハイブリダイズさせ、
記載の配列番号1の少なくとも適用可能部分に相同また
DNAポリメラーゼおよび蛍光標識ddNTPの存在下
は相補的な、DNA分子が含まれる。これらのDNA分
でインキュベートする。1塩基伸長がddNTPの組込 10
子はDNA増幅方法(PCR)で使用するか、ポリ核酸
みをもたらす。組込みは、蛍光計を使用して偏光の変化
ハイブリダイゼーション法、すなわちサザン解析、ノー
として測定することができる。偏光の変化は、増幅、ハ
ザン解析においてプローブとして使用することができる
イブリダイゼーション、および1塩基伸長の成功により
。
、トランスジーン/ゲノム配列の存在を示す。
【0056】
【0053】
DNAの同定に役立ち、MON8
DNAを含有するトウモロコシ植物を育種す
接合部配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号5、
Taqman(登録商標)(PE
Applied
B
配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配
iosystems、カリフォルニア州フォスターシテ
列番号10;配列番号21、配列番号25、配列番号4
ィ)は、製造者が提供する説明書では、DNA配列の存
1、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列
在を検出し定量する方法と記載され、よく理解されてい
番号45、配列番号49、配列番号50、配列番号51
る。簡単に述べると、ゲノム隣接およびインサートDN 20
、および配列番号52からなる群からの配列によって表
A接合部とオーバーラップするFRETオリゴヌクレオ
すことができる。例えば接合部配列は、随意に、配列番
チドプローブが設計される。FRETプローブおよびP
号5および配列番号8として提供されるヌクレオチド配
CRプライマー(インサートDNA配列中の1プライマ
列によって表すことができる。あるいは接合部配列は、
ーと、隣接ゲノム配列中の1プライマー)を耐熱性ポリ
随意に、配列番号6および配列番号9として提供される
メラーゼおよびdNTPの存在下でサイクルさせる。F
ヌクレオチド配列によって表すこともできる。あるいは
RETプローブのハイブリダイゼーションは、FRET
接合部配列は、随意に、配列番号7および配列番号10
プローブ上の消光成分からの蛍光成分の切断と放出をも
として提供されるヌクレオチド配列によって表すことも
たらす。蛍光シグナルは、増幅およびハイブリダイゼー
できる。これらのヌクレオチドはホスホジエステル結合
ションの成功により、トランスジーン/ゲノム配列の存
によってつながれ、トウモロコシイベントMON874
在を示す。
30
【0054】
る。トウモロコシ植物、種子、または植物部分に由来す
Tyangiら(Nature
:303−308,
11中では、組換え植物細胞ゲノムの一部として存在す
Biotech.14
る試料における配列番号1、配列番号2、配列番号3、
1996)に記載されているよう
配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配
に、配列検出用の分子ビーコンが記述されている。簡単
列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号2、配
に述べると、隣接ゲノムおよびインサートDNA接合部
列番号25、配列番号41、配列番号42、配列番号4
とオーバーラップするFRETオリゴヌクレオチドプロ
3、配列番号44、配列番号45、配列番号49、配列
ーブが設計される。FRETプローブのユニークな構造
番号50、配列番号51、または配列番号52の1つ以
により、プローブは、蛍光成分と消光成分とを極めて接
上の同定は、そのDNAがトウモロコシイベントMON
近した状態に保つ二次構造を含むことになる。FRET
87411から得られたことを決定づけ、トウモロコシ
プローブとPCRプライマー(インサートDNA配列中 40
イベントMON87411からのDNAを含有する試料
の1プライマーと、隣接ゲノム配列中の1プライマー)
における存在に特徴的である。したがって本発明は、配
を耐熱性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下でサイク
列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列
ルさせる。PCR増幅の成功に続いて、ターゲット配列
番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番
へのFRETプローブのハイブリダイゼーションが、プ
号9、配列番号10、配列番号21、配列番号25、配
ローブ二次構造の解除および蛍光成分と消光成分との空
列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号4
間的分離をもたらす。その結果、蛍光シグナルが生じる
4、配列番号45、配列番号49、配列番号50、配列
。蛍光シグナルは、増幅およびハイブリダイゼーション
番号51、または配列番号52として提供されるヌクレ
の成功により、隣接/トランスジーンインサート配列の
オチド配列の少なくとも1つを含有するDNA分子を提
存在を示す。
供する。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番
【0055】
50
号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号
( 21 )
JP
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40
8、配列番号9、配列番号10、配列番号21、配列番
れぞれ、DNAプライマーとして機能して、熱増幅反応
号25、配列番号41、配列番号42、配列番号43、
においてトウモロコシイベントMON87411由来の
配列番号44、配列番号45、配列番号49、配列番号
テンプレートDNAと共に、一緒に使用した場合に、試
50、配列番号51、または配列番号52として提供さ
料中のトウモロコシイベントMON87411
れる配列の少なくとも1つを含むのに十分なトランスジ
に特徴的であるアンプリコンが作製されるように、十分
ェニックトウモロコシイベントMON87411に由来
な長さを持つ、DNA配列の連続ヌクレオチドである。
するDNAの任意のセグメントは、本発明の範囲内であ
プライマーとして役立つ例示的DNA分子を、配列番号
る。加えて、この段落内に記載した配列のいずれかに相
18、配列番号20、配列番号22、または配列番号2
補的な配列を含む任意のポリヌクレオチドも、本発明の
範囲内である。
4として提供する。
10
【0057】
本発明は、試料中の、イベントMON87411
DNA
【0059】
「プローブ」は、ターゲット核酸の鎖に相補的な、単離
DN
された核酸である。プローブには、デオキシリボ核酸ま
Aを含むトウモロコシ植物由来のDNAの存在を検出す
たはリボ核酸だけでなく、ターゲットDNA配列に特異
るためのプライマーまたはプローブとして使用すること
的に結合するポリアミドおよび他のプローブ材料も含ま
ができる例示的DNA分子を提供する。そのようなプラ
れ、そのような結合の検出は、特定試料における当該タ
イマーまたはプローブはターゲット核酸配列に特異的で
ーゲットDNA配列の存在を診断、識別、決定、検出、
あり、したがって、本明細書に記載する発明の方法によ
または確認するのに役立ちうる。プローブは、従来の検
るトウモロコシイベントMON87411核酸配列の同
出可能ラベルまたはレポーター分子、例えば放射性同位
定に役立つ。
体、リガンド、化学発光剤、または酵素に取り付けるこ
【0058】
20
とができる。プローブとして役立つ例示的DNA分子を
「プライマー」は、典型的には、熱増幅を伴う特異的ア
配列番号19および配列番号23として提供する。
ニーリングまたはハイブリダイゼーション法において使
【0060】
用するために設計された高純度の単離ポリヌクレオチド
プローブおよびプライマーは、ターゲット配列との完全
である。
な配列同一性を有しうるが、ターゲット配列とは異なる
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの熱増幅では、ア
プライマーおよびプローブであって、ターゲット配列に
ンプリコンを作製するために、一対のプライマーをトウ
優先的にハイブリダイズする能力を保っているものを従
モロコシゲノムDNAの試料などのテンプレートDNA
来の方法によって設計することもできる。
と共に使用することができ、そのような反応から作製さ
ある核酸分子がプライマーまたはプローブとして役立つ
れたアンプリコンは、プライマーがテンプレートにハイ
には、使用する特定溶媒および特定塩濃度において安定
ブリダイズした2つの部位の間にあるテンプレートDN 30
な二本鎖構造を形成することができるように、配列が十
Aの配列に対応するDNA配列を有するであろう。本明
分に相補的でありさえすればよい。従来の核酸ハイブリ
細書にいう「アンプリコン」とは、増幅技法を使って合
ダイゼーション法または増幅方法はいずれも、試料中の
成されたDNAの一片またはフラグメントである。本発
トウモロコシイベントMON87411由来のトランス
明のアンプリコンは、配列番号21または配列番号25
ジェニックDNAの存在を同定するために使用すること
として提供される配列の少なくとも1つを含む。プライ
ができる。プローブおよびプライマーは長さが一般に少
マーは、典型的には、相補的ターゲットDNA鎖にハイ
なくとも約11ヌクレオチド、少なくとも約18ヌクレ
ブリダイズしてプライマーとターゲットDNA鎖のハイ
オチド、少なくとも約24ヌクレオチド、もしくは少な
ブリッドを形成するように設計され、プライマーの存在
くとも約30ヌクレオチドまたはそれ以上である。その
は、ターゲットDNA鎖をテンプレートとして使用する
ようなプローブおよびプライマーは、ストリンジェント
プライマーの伸長(すなわち、伸びているヌクレオチド 40
なハイブリダイゼーション条件下でターゲットDNA配
分子への追加ヌクレオチドの重合)を開始するための、
列に特異的にハイブリダイズする。従来のストリンジェ
ポリメラーゼによる認識点である。本明細書にいうプラ
ンシー条件は、Sambrookら(1989)および
イマー対とは、プライマー対の個々のメンバーによる結
Haymesら「Nucleic
合のターゲットとした位置に挟まれたポリヌクレオチド
idaization,
セグメントを典型的には熱増幅反応でまたは他の従来の
pproach」(IRL
核酸増幅方法で線形に増幅するための、二本鎖ヌクレオ
C(1985))に記載されている。
チドセグメントの反対の鎖に結合する2つのプライマー
【0061】
の使用を指すものとする。この応用に役立つプライマー
本明細書に開示するDNA分子またはそのフラグメント
対は、第1DNA分子および第1DNA分子とは異なる
を単離し操作するには、熱増幅方法を含めて、当業者に
第2DNA分子を含むべきであり、この場合、両者はそ 50
周知のいくつもの方法を使用することができる。DNA
Acid
Hybr
A Practical
A
Press、ワシントンD
( 22 )
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42
分子またはそのフラグメントは、例えば、自動オリゴヌ
クレオチド合成装置を使ってよく実施されているように
種子に、特許寄託物名(Patent
Deposit
Designation)PTA−12669を割り
、そのフラグメントを化学的手段で直接合成することな
当てている。
ど、他の技法によって取得することもできる。
【0065】
【0062】
本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列
したがって、ここに提供するDNA分子および対応する
番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番
ヌクレオチド配列は、とりわけ、トウモロコシイベント
号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列
MON87411の同定、トウモロコシイベントMON
番号14、配列番号16、配列番号21、配列番号25
87411を含む植物品種または雑種の選択、試料中の
、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番
トランスジェニックトウモロコシイベントMON874 10
号44、配列番号45、配列番号49、配列番号50、
11に由来するDNAの存在の検出、およびトウモロコ
配列番号51、および配列番号52からなる群より選択
シイベントMON87411またはイベントMON87
される少なくとも1つの配列を有するDNA分子をその
411を含むトウモロコシ植物に由来する植物部分の存
ゲノム中に含んでなる微生物を提供する。そのような微
在および/または不在に関する試料のモニタリングに役
生物の一例はトランスジェニック植物細胞である。本発
立つ。
明の植物細胞などの微生物は、例えば限定するわけでは
【0063】
ないが、(i)科学的探求または工業的研究のための研
本発明はトウモロコシ植物、後代、種子、植物細胞、植
究ツールとしての使用;(ii)後続の科学的研究に使
物部分(花粉、胚珠、穂または絹糸組織、雄穂組織、根
用するか工業製品として使用することができる内在性ま
組織、茎組織、および葉組織など)、およびコモディテ
たは組換え糖質、脂質、核酸、もしくはタンパク質産物
ィー製品を提供する。これらの植物、後代、種子、植物 20
または小分子を生産するための培養における使用;およ
細胞、植物部分、およびコモディティー製品は、検出可
び(iii)農業上の研究または生産に使用することが
能な量の本発明のポリヌクレオチド、すなわち、配列番
できるトランスジェニック植物または植物組織培養物を
号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号
作製するための現代的植物組織培養技法による使用など
5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9
、多くの工業的応用に役立つ。トランスジェニック植物
、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番
細胞などの微生物の作製および使用では、現代的微生物
号16、配列番号21、配列番号25、配列番号41、
学技法および人間の介入を利用して、人造のユニークな
配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号
微生物が作製される。この過程で、組換えDNAが植物
45、配列番号49、配列番号50、配列番号51、ま
細胞のゲノムに挿入されて、自然界に存在する植物細胞
たは配列番号52として提供される配列の少なくとも1
とは別個のユニークなトランスジェニック植物細胞が作
つを有するポリヌクレオチドなどを含有する。本発明の 30
製される。次に、このトランスジェニック植物細胞は現
植物、後代、種子、植物細胞、および植物部分は1つ以
代的微生物学技法を使って細菌および酵母細胞と同様に
上の追加トランスジーンも含有しうる。そのような追加
培養することができ、未分化な単細胞状態で存在するこ
トランスジーンは、望ましい形質、例えば限定するわけ
とができる。トランスジェニック植物細胞の新しいまた
ではないが、増加した昆虫抵抗性、増加した水利用効率
は改変された遺伝子組成および表現型は、細胞のゲノム
、増加した収量成績、増加した乾燥抵抗性、増加した種
への異種DNAの組込みが生み出す技術的効果である。
子品質、改良された栄養品質、および/または増加した
トランスジェニック植物細胞などの本発明の微生物には
除草剤耐性などを付与するタンパク質またはRNA分子
、(i)細胞のゲノムに組換えDNAを組み込むことに
をコードする任意のヌクレオチド配列であることができ
よってトランスジェニック細胞を作製した後、この細胞
、ここで、望ましい形質は、そのような追加トランスジ
を使って、同じ異種DNAを保持するさらなる細胞を派
ーンを欠くトウモロコシ植物を基準として測定される。 40
生させる方法;(ii)組換えDNAを含有する細胞を
【0064】
現代的微生物学技法を使って培養する方法;(iii)
本発明は、イベントMON87411を含むトランスジ
培養細胞から内在性または組換え糖質、脂質、核酸、ま
ェニックトウモロコシ植物に由来するトウモロコシ植物
たはタンパク質産物を生産し、精製する方法;および(
、後代、種子、植物細胞、および植物部分、例えば花粉
iv)現代的植物組織培養技法をトランスジェニック植
、胚珠、穂または絹糸組織、雄穂組織、根または茎組織
物細胞と共に使って、トランスジェニック植物またはト
、および葉を提供する。イベントMON87411を含
ランスジェニック植物組織培養物を作製する方法が含ま
むトウモロコシ種子の代表試料は、ブダペスト条約に従
れる。
ってAmerican
【0066】
Type
Culture
C
ollection(ATCC)に寄託されている。
本発明の植物は、トランスジーンを含むイベントDNA
ATCC寄託機関は、イベントMON87411を含む 50
を後代に伝えることができる。
( 23 )
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本明細書にいう「後代」には、祖先植物に由来するイベ
グリホサート耐性とを持つイベントMON87411ト
ントDNAを含み、かつ/または配列番号1、配列番号
ウモロコシを、異なるトランスジェニックトウモロコシ
2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6
植物と交雑させて、両方のトランスジェニック親の特徴
、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10
を有する雑種または近交系植物を作製することができる
、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番
。その一例は、コーンルートワーム寄生に対して抵抗性
号21、配列番号25;配列番号41、配列番号42、
でありかつグリホサートに対して耐性であって少なくと
配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号
も1つ以上の追加形質を有する後代植物または種子をも
49、配列番号50、配列番号51、および配列番号5
たらす、コーンルートワーム寄生に対する抵抗性および
2からなる群より選択される少なくとも1つの配列を有
グリホサート耐性を持つイベントMON87411と、
するDNA分子を含む、任意の植物、種子、植物細胞、 10
1つ以上の追加形質、例えば除草剤耐性および/または
および/または再生可能な植物部分が包含される。植物
昆虫防除を有するトウモロコシ植物との交雑であるだろ
、後代、および種子は、トランスジーンに関してホモ接
う。栄養生殖と同様、親植物への戻し交雑および非トラ
合でもヘテロ接合でもよい。後代は、トウモロコシイベ
ンスジェニック植物との異系交雑も考えられる。さまざ
ントMON87411含有植物によって生産された種子
まな形質および作物のために一般に使用される他の育種
から、および/またはトウモロコシイベントMON87
方法の説明は、例えばFehr「Breeding
411含有植物からの花粉で受精させた植物によって生
ethods
産された種子から、生長させることができる。
opment」Wilcox
【0067】
n Society
後代植物を自家受粉(「自殖」ともいう)させて純粋種
コンシン州マディソン(1987)など、いくつかある
系統の植物、すなわちトランスジーンに関してホモ接合 20
参考文献の1つに見いだすことができる。
である植物を生成させることができる。適当な後代の自
【0069】
殖により、両方の付加された外因性遺伝子に関してホモ
本発明は、イベントMON87411を含むトウモロコ
接合である植物を作製することができる。
シ植物に由来する植物部分を提供する。本明細書にいう
【0068】
「植物部分」とは、イベントMON87411を含むト
あるいは、後代植物を異系交雑して、例えば別の無関係
ウモロコシ植物に由来する材料から構成される植物の任
な植物と交配して、品種または雑種種子または植物を作
意の部分を指す。植物部分には、花粉、胚珠、穂または
製してもよい。他の無関係な植物はトランスジェニック
絹糸、雄穂、根または茎組織、繊維、および葉などがあ
でも非トランスジェニックでもよい。したがって本発明
るが、これらに限定されるわけではない。植物部分は、
の品種または雑種種子または植物は、トウモロコシイベ
生育可能、生育不能、再生可能、および/または再生不
ントMON87411の特異的かつユニークなDNAを 30
能であることができる。
欠く第1の親を、トウモロコシイベントMON8741
【0070】
1を含む第2の親と交雑し、その結果としてトウモロコ
本発明は、イベントMON87411を含むトウモロコ
シイベントMON87411の特異的かつユニークなD
シ植物に由来し、かつ検出可能な量の、イベントMON
NAを含む雑種を得ることによって、派生させることが
87411に特異的な核酸を含有する、コモディティー
できる。各親は、交雑または交配が本発明の植物または
製品を提供する。本明細書にいう「コモディティー製品
種子、すなわち、トウモロコシイベントMON8741
」とは、トウモロコシイベントMON87411
1のDNAおよび/または配列番号1、配列番号2、配
Aを含有するトウモロコシ植物、全粒または加工トウモ
列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列
ロコシ種子、1つ以上の植物細胞および/または植物部
番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列
分に由来する材料を含有する任意の組成物または製品を
番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号21 40
指す。コモディティー製品は消費者に販売することがで
、配列番号25;配列番号41、配列番号42、配列番
き、生育可能であっても生育不能であってもよい。生育
号43、配列番号44、配列番号45、配列番号49、
不能コモディティー製品には、発芽不能トウモロコシ種
配列番号50、配列番号51、および配列番号52から
子;加工トウモロコシ種子、トウモロコシ種子部分、お
なる群より選択される少なくとも1つの配列を有するD
よびトウモロコシ植物部分;飼料または食品、油、荒粉
NA分子を含有するアレルを少なくとも1つは有する種
、細粉、フレーク、ふすま、バイオマス、および燃料製
子をもたらす限り、雑種または近交系/品種であること
品用に加工されたトウモロコシ種子およびトウモロコシ
ができる。したがって、2つの異なるトランスジェニッ
植物部分などがあるが、これらに限定されるわけではな
ク植物を交雑して、独立して分離する2つの付加された
い。生育可能コモディティー製品には、トウモロコシ種
外因性遺伝子を含有する雑種次代を作製することができ
子、トウモロコシ植物、およびトウモロコシ植物細胞な
る。例えば、コーンルートワーム寄生に対する抵抗性と 50
どがあるが、これらに限定されるわけではない。したが
for
Cultivar
M
Devel
J.編、America
of Agronomy、ウィス
DN
( 24 )
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46
って、イベントMON87411を含むトウモロコシ植
用することからなる。そのようなグリホサート除草剤の
物は、通例トウモロコシから得られる任意のコモディテ
施用は出芽前、すなわちMON87411含有種子が植
ィー製品を製造するために使用することができる。トウ
え付けられた後、かつMON87411含有植物が出芽
モロコシイベントMON87411
DNAを含有する
する前の任意の時点であってもよいし、出芽後、すなわ
トウモロコシ植物に由来するそのようなコモディティー
ちMON87411含有植物が出芽した後の任意の時点
製品はいずれも、その存在がトウモロコシイベントMO
であってもよい。圃場において雑草を防除するためのも
N87411を決定づける1つ以上の特異的かつユニー
う一つの方法が提供され、それは、圃場における雑草を
クなDNA分子を少なくとも検出可能な量で含有し、具
防除するために有効量のグリホサート除草剤を施用する
体的には、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列
こと、そして次に、その圃場にイベントMON8741
番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番 10
1を含むトウモロコシ植物を植え付けることからなる。
号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12、配列
そのようなグリホサート除草剤の施用は植え付け前、す
番号14、配列番号16、配列番号21、配列番号25
なわちMON87411含有種子が植え付けられる前で
;配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番
あり、植え付け前の任意の時点で、例えば限定するわけ
号44、配列番号45、配列番号49、配列番号50、
ではないが、植え付けの約14日前∼植え付けの約1日
配列番号51、および配列番号52からなる群より選択
前に行うことができるだろう。本発明は、MON874
される少なくとも1つの配列を有するDNA分子を含む
11を含むグリホサート耐性トウモロコシ植物の種子を
ポリヌクレオチドを、検出可能な量で含有しうる。本明
圃場に植え付け、雑草を殺すのに十分な出芽後有効量の
細書に開示する検出方法を含めて、任意の標準的なヌク
グリホサート除草剤を圃場に施用し、その圃場から種子
レオチド分子検出方法を使用することができる。コモデ
を収穫することによって、雑草種子を本質的に含まない
ィティー製品は、配列番号1、配列番号2、配列番号3 20
トウモロコシ種子を生産するための方法も提供する。圃
、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、
場で使用するためのグリホサートの除草有効量は、1栽
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12
培期で1エーカーあたり約0.125ポンドから1エー
、配列番号14、配列番号16、配列番号21、配列番
カーあたり約6.4ポンドまでの範囲のグリホサートか
号25;配列番号41、配列番号42、配列番号43、
らなるはずである。一実施形態では、1栽培期で1エー
配列番号44、配列番号45、配列番号49、配列番号
カーあたり合計約1.5ポンドのグリホサートが施用さ
50、配列番号51、および配列番号52からなる群よ
れる。1栽培期で複数回のグリホサート施用、例えば2
り選択される少なくとも1つの特徴的配列を有するDN
回の施用(植え付け前施用と出芽後施用または出芽前施
A分子が、コモディティー製品中に、いくらかでも検出
用と出芽後施用など)または3回の施用(植え付け前施
可能な量で存在するのであれば、本発明の範囲内である
用、出芽前施用および出芽後施用など)を使用してもよ
。
30
い。
【0071】
【0073】
それゆえに、本発明の植物、後代、種子、植物細胞、植
本発明のイベントMON87411に特異的かつユニー
物部分(花粉、胚珠、穂または絹糸、雄穂、根または茎
クなDNA配列を含む昆虫および除草剤耐性トウモロコ
組織、および葉など)、およびコモディティー製品は、
シ植物を生産するための方法が提供される。これらの方
とりわけ、農業上の目的でトウモロコシイベントMON
法で使用されるトランスジェニック植物はトランスジー
87411を含む種子および/または植物部分を生産す
ンに関してホモ接合でもヘテロ接合でもよい。これらの
るために植物を生長させること、植物育種および研究目
方法によって生産される後代植物は品種植物でも雑種植
的でトウモロコシイベントMON87411を含む後代
物でもよく;トウモロコシイベントMON87411含
を生産すること、工業的応用および研究的応用のために
有植物によって生産された種子および/またはトウモロ
微生物学技法と共に使用すること、および消費者への販 40
コシイベントMON87411含有植物からの花粉で受
売に有用である。
精させた植物によって生産された種子から生長させるこ
【0072】
とができ;トランスジーンに関してホモ接合でもヘテロ
本発明は、グリホサート除草剤およびトウモロコシイベ
接合でもよい。次に、後代植物を自家受粉させて純粋種
ントMON87411を使って雑草を防除するための方
系統の植物、すなわちトランスジーンに関してホモ接合
法および植物を生産するための方法を提供する。圃場に
である植物を生成させるか、あるいは異系交雑して、例
おいて雑草を防除するための方法が提供され、これは、
えば別の無関係な植物と交配して、品種または雑種種子
トウモロコシイベントMON87411含有品種または
または植物を生産してもよい。
雑種植物を圃場に植え付けること、およびMON874
【0074】
11含有植物に被害を与えることなく圃場における雑草
試料中の、トウモロコシイベントMON87411を含
を防除する目的で圃場に除草有効量のグリホサートを施 50
むトウモロコシ細胞、組織、種子、または植物に由来す
( 25 )
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るDNAの存在を検出する方法を提供する。一方法は、
と、(ii)DNA試料を、イベントMON87411
(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、組織、種子
DNAに特異的なDNAプローブと接触させること、
、または植物からDNA試料を抽出すること、(ii)
(iii)ストリンジェントなハイブリダイゼーション
DNA配列決定にとって適当な条件下で、DNA試料を
条件下でプローブとDNA試料とをハイブリダイズさせ
、イベントMON87411
DNAに特異的なDNA
ること、そして次に(iv)プローブとターゲットDN
配列を作製する能力を有する少なくとも1つのプライマ
A試料の間のハイブリダイゼーションを検出することか
ーと接触させること、(iii)DNAシークエンス反
らなる。イベントMON87411
応を行うこと、そして次に(iv)ヌクレオチド配列が
DNAプローブの配列の例を、配列番号19または配列
、イベントMON87411またはそこに含まれるコン
番号23として提供する。当業者は他のプローブを容易
ストラクトに特異的なヌクレオチド配列、例えば配列番 10
に設計することができ、それらは、例えば限定するわけ
号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号
ではないが、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配
5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9
列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列
、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番
番号10、配列番号21、および配列番号25に提供す
号16、配列番号21、配列番号25、配列番号41、
る配列など、インサートに隣接するゲノムDNAの少な
配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号
くとも1つのフラグメントと、インサートDNAの少な
45、配列番号49、配列番号50、配列番号51、お
くとも1つのフラグメントとを含むであろう。DNA試
よび配列番号52からなる群より選択される1つを含む
料へのプローブハイブリダイゼーションの検出は、試料
ことを確認することからなる。もう一つの方法は、(i
中のトウモロコシイベントMON87411特異的DN
)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、組織、種子、ま
Aの存在に特徴的である。あるいは、ハイブリダイゼー
たは植物からDNA試料を抽出すること、(ii)DN 20
ションの不在は、試料中のトウモロコシイベントMON
A増幅にとって適当な条件下で、DNA試料を、イベン
87411特異的DNAの不在に特徴的である。
トMON87411
【0075】
DNAからアンプリコンを作製す
DNAに特異的な
る能力を有するプライマー対と接触させること、(ii
試料中のトウモロコシイベントMON87411
DN
i)DNA増幅反応を行うこと、そして次に(iv)ア
Aを同定するのに役立ち、適当なイベントDNAを含有
ンプリコン分子を検出し、かつ/またはアンプリコンの
するトウモロコシ植物を育種するための方法に応用する
ヌクレオチド配列がイベントMON87411に特異的
こともできる、DNA検出キットが提供される。そのよ
なヌクレオチド配列、例えば配列番号21および配列番
うなキットには、配列番号1、配列番号2、配列番号3
号25からなる群より選択される1つを含むことを確認
、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、
することからなる。
配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号12
アンプリコンは、イベントMON87411に特異的な 30
、配列番号14、配列番号16、配列番号21、配列番
もの、例えば配列番号21または配列番号25を含むア
号25、配列番号41、配列番号42、配列番号43、
ンプリコンなどであるべきである。アンプリコン中の、
配列番号44、配列番号45、配列番号49、配列番号
イベントMON87411に特異的なヌクレオチド配列
50、配列番号51、および配列番号52のフラグメン
の検出は、試料中のトウモロコシイベントMON874
トを含むDNAプライマーおよび/またはプローブが入
11特異的DNAの存在を決定づけ、かつ/またはその
っている。そのようなキットの一例は、試料中の、イベ
存在に特徴的である。
ントMON87411を含むトランスジェニックトウモ
DNA増幅にとって適当な条件下でイベントMON87
ロコシ植物由来のDNAの存在および/または不在を検
411
DNAからアンプリコンを作製する能力を有す
出するのに役立つDNAプローブとして機能するために
るプライマー対の例を、配列番号18、配列番号24、
、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、
配列番号20、および配列番号22として提供する。当 40
配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配
業者は他のプライマー対を容易に設計することができ、
列番号9、配列番号10、配列番号12、配列番号14
それらは配列番号21または配列番号25を含むアンプ
、配列番号16、配列番号21、配列番号25、配列番
リコンを作製するであろう。この場合、そのようなプラ
号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、
イマー対は、インサートに隣接するゲノム領域内にある
配列番号45、配列番号49、配列番号50、配列番号
少なくとも1つのプライマーと、インサート内にある第
51、および配列番号52の十分な長さの連続ヌクレオ
2のプライマーとを含む。試料中の、トウモロコシイベ
チドのDNA分子を、少なくとも1つは含む。イベント
ントMON87411を含むトウモロコシ細胞、組織、
MON87411を含むトランスジェニックトウモロコ
種子、または植物由来のDNAの存在を検出するもう一
シ植物に由来するDNAは、配列番号1、配列番号2、
つの方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞
配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配
、組織、種子、または植物からDNA試料を抽出するこ 50
列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配
( 26 )
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列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号2
、配列番号45、配列番号49、配列番号50、配列番
1、配列番号25、配列番号41、配列番号42、配列
号51、および配列番号52に提供する配列の十分な数
番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号49
の連続核酸、例えば少なくとも15、少なくとも16、
、配列番号50、配列番号51、および配列番号52か
少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少
らなる群より選択される少なくとも1つの配列を有する
なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少な
DNA分子を含むであろう。試料中のトウモロコシイベ
くとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なく
ントMON87411
DNAの存在および/または不
とも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくと
在を決定、検出、または診断するのに役立つDNAプロ
も29、または少なくとも30連続ヌクレオチドを含む
ーブとしての使用にとって十分なDNA分子が、配列番
べきであり、イベント由来のDNAを同定するためにト
号19および配列番号23として提供される。当業者は 10
ウモロコシイベントMON87411
他のプローブを容易に設計することができ、それらは配
ユニークであるべきである。
列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列
【0076】
番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番
本発明のキットおよび検出方法は、とりわけ、トウモロ
号9、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配
コシイベントMON87411の同定、トウモロコシイ
列番号16、配列番号21、配列番号25、配列番号4
ベントMON87411を含む植物品種または雑種の選
1、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列
択、試料中のイベントMON87411を含むトランス
番号45、配列番号49、配列番号50、配列番号51
ジェニックトウモロコシ植物に由来するDNAの存在の
、および配列番号52の十分な数の連続核酸、例えば少
検出、およびトウモロコシイベントMON87411を
なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少な
含むトウモロコシ植物またはイベントMON87411
くとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なく 20
を含むトウモロコシ植物に由来する植物部分の存在およ
とも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくと
び/または不在に関する試料のモニタリングに役立つ。
も24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも
【0077】
27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも3
トウモロコシイベントMON87411からの異種DN
0、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33
Aインサート、接合部配列、または隣接配列の配列は、
、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、
ここに提供する配列に由来するプライマーを使って、イ
少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、ま
ベントからそのような配列を増幅した後、アンプリコン
たは少なくとも40連続ヌクレオチドを含むべきであり
またはクローン化DNAの標準的DNA配列決定を行う
、イベント由来のDNAを同定するためにトウモロコシ
ことによって、検証(そして必要であれば修正)するこ
イベントMON87411
とができる。
DNAに十分にユニークで
DNAに十分に
あるべきである。もう一つのタイプのキットは、試料中 30
【0078】
のトランスジェニックトウモロコシイベントMON87
本発明の一定の好ましい実施形態の例を実証するために
411由来のDNAの存在および/または不在を検出す
以下に実施例を挙げる。以下の実施例において開示する
るのに役立つアンプリコンを作製するのに役立つプライ
技法は、本発明の実施においてよく機能することを本発
マー対を含む。そのようなキットでは、ターゲットDN
明者らが見いだしたアプローチを表し、したがってその
A試料を本明細書に記載のプライマー対と接触させ、次
実施にとって好ましい形態の例を構成するとみなしうる
に配列番号21および配列番号25からなる群より選択
ことは、当業者には理解されるはずである。しかし当業
される少なくとも1つの配列を有するDNA分子を含む
者は、本発明の本旨および範囲から逸脱することなく、
アンプリコンを作製するのに十分な核酸増幅反応を行い
ここに開示する具体的実施形態に多くの変更を加えても
、次にアンプリコンの存在および/または不在を検出す
、なお同様の結果を得ることが可能であることも、本開
ることを含む方法が使用されるであろう。そのような方 40
示に照らして、理解するはずである。
法は、ターゲットDNA試料中のトウモロコシイベント
【0079】
MON87411特異的DNAの存在を決定づける、す
寄託情報
なわちその存在に特徴的であるであろう、アンプリコン
イベントMON87411を含むトウモロコシ種子の代
またはそのフラグメントを配列決定することも含みうる
表試料の寄託は、ブダペスト条約に従って、2012年
。当業者は他のプライマー対も容易に設計することがで
3月14日に、郵便番号20110米国バージニア州マ
き、それらは、限定するわけではないが、配列番号1、
ナッサス、ユニバーシティ・ブールバード10801に
配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配
住所を有するAmerican
列番号7、配列番号8、配列番号9、または配列番号1
e Collection(ATCC)になされ、AT
0、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列
CC受託番号PTA−12669が割り当てられている
番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44 50
。本願の係属中、特許商標庁長官および長官が権限を有
TypeCultur
( 27 )
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すると決定した者は、請求により、本寄託物を利用する
ことが可能である。特許の発行後は直ちに、公衆に対す
る利用可能性に関する全ての制約が、取消不能に取り除
かれるであろう。寄託物は、30年間、または最後の請
求後5年間、または特許の有効期間中は、そのいずれが
長くても、受託機関に維持され、その期間中は必要に応
じて補充されるであろう。
[実施例]
【実施例1】
【0080】
10
この実施例では、417と呼ばれるコンストラクトの設
計および選択ならびにさまざまなDNAコンストラクト
の工学的操作および評価を説明する。表1にこれらのD
NAコンストラクトを試験基準および結果によって表に
する。
【0081】
ウエスタンコーンルートワーム(WCR)をターゲット
とするRNAベースの植物内保護物質(PIP)をトウ
モロコシ内で発現するように、DNAコンストラクトを
【表1−2】
工学的に操作した。RNA転写産物のバリエーションを 20
、WCRのターゲット遺伝子の相違(グループ1)、R
NAの長さの相違(グループ2)、中立的RNAキャリ
アの有無(グループ2)、二次構造の相違(グループ4
)、およびDv_Snf7oのターゲットセグメントの
相違(グループ2および3)について試験した。複数ト
ランスジーンのバリエーション、例えばRNA転写産物
+WCR活性タンパク質(グループ3および5)、およ
び2つのWCRターゲットをターゲットとする2つのR
NA転写産物(グループ1および4)も試験した。使用
した発現カセットおよび要素の数および配置のバリエー 30
ションも試験した(全てのグループ)。
【0082】
[表1]45のDNAコンストラクトをトウモロコシ植
物に安定に形質転換した。1つのDNAコンストラクト
につき複数の形質転換イベントからの後代植物を評価し
た。
【表1−1】
【0083】
グループ2のDNAコンストラクトを一例として用いる
40
と、さまざまな長さのDv_Snf7o(27nt長か
ら429nt長まで)のターゲティングを試験するため
に、7つのDNAコンストラクトを工学的に操作した。
各DNAコンストラクトを作製し、植物細胞を形質転換
し、植物を取得し、近交系をグロースチャンバー効力バ
イオアッセイで評価した。結果は逆方向反復RNA(I
R)の長さとWCR活性の間の相関関係を示した(表2
、(B)列および(H)列)。
【0084】
[表2]IRの長さとWCR活性の間の相関関係
50
【表2】
( 28 )
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数を示している。(F)列は、形質転換イベント中に1
コピーのインサートDNAを内包すると予想されるR0
植物の数を示している。(G)列は、単一形質転換イベ
ントを内包すると予想され、かつ多施設グロースチャン
バーバイオアッセイ用に十分な種子を生産したR0植物
の数を示している。(H)列は、WCR活性を評価する
ために計画された植物グロースチャンバー研究の結果を
示している。「+++++」は平均RDRが0.5RD
R未満であったことを示す。「++」は平均RDRが0
10
.5RDR∼2.0RDRであったことを示す。「−」
は、平均RDRが約2.0RDRであったことを意味し
、これはグロースチャンバー効力研究では陰性対照に匹
敵した。
【0086】
†DNAコンストラクト#474と同じ27マーである
が、中立的な150マーIRに埋め込まれている。グロ
ースチャンバーで生長させた植物におけるWCR活性を
評価するために、1コンストラクトあたり10∼20の
イベントのそれぞれについて6∼8体の植物を、ピート
20
鉢で生長させた。植物を、インサートDNAの存在およ
びトランスジーンの発現について、葉組織と根組織の両
方で試験した。次に、トランスジーンの発現が確認され
た植物を、WCR卵を寄生させた大きな鉢に植え替えた
。非トランスジェニックトウモロコシ系統LH59およ
びLH244を陰性対照として含めた。イベントMON
88017(Cry3Bbを発現するもの)を含有する
植物を陽性対照として含めた。生長するトウモロコシ植
物の根損傷を4週間後に評価した。根損傷評点(roo
t damage
30
rating)(RDR)を3点尺
度で評価し、0RDRを根損傷なし、3RDRを最大根
損傷とした。
【0087】
研究結果から、グループ5のDNAコンストラクトは、
(a)240マーDv_Snf7o
IR用の発現カセ
ットおよび(b)Cry3Bbタンパク質用の発現カセ
ットを含有するように設計した(図2)。240マーD
v_Snf7o
IRを選択した理由は、(a)同じ2
40マーDv_Snf7o
IRを発現する植物がCR
W活性の阻害に何度も成功していたこと(グループ2∼
40
4)、(b)長さが100ntより大きいセグメントで
はWCR抵抗性の発生確率が減少すること、および(c
)240ntより大きいセグメントではトウモロコシゲ
【0085】
ノムに無傷で導入することが困難になるであろうことで
(B)列は、トウモロコシ植物中で逆方向反復RNA(
あった。
IR)二次構造として発現するように工学的に操作され
各発現カセット中の異なる調節遺伝要素およびDNAコ
たDv_Snf7oターゲットRNAのさまざまな長さ
ンストラクトにおける各発現カセットの異なる配置を試
を示している。(C)列は、形質転換されたトウモロコ
験するために、DNAコンストラクトを設計した。グル
シ胚の数を示している。(D)列は、苗条を発生させた
ープ5のDNAコンストラクトには、グリホサート耐性
トウモロコシ胚の数を示している。(E)列は、土壌で
発現カセットを伴うコンストラクトとグリホサート耐性
生育可能な再生トウモロコシ植物(世代R0と呼ぶ)の 50
発現カセットを伴わないコンストラクト;および240
( 29 )
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マーDv_Snf7oIRだけを発現するグループ3か
ネントは、次のとおりである。
らの対照コンストラクトも含めた。各DNAコンストラ
【0090】
クトを設計し、植物細胞を形質転換し、植物を取得し、
[1]LB:配列番号26の位置1∼442の逆相補体
近交系をグロースチャンバー効力バイオアッセイで評価
に対応する。この要素はAgrobacterium
した(表3(C)∼(H))。
tumefaciensのオクトピン左境界配列に相当
【0088】
する。
[表3]グループ5のDNAコンストラクトの形質転換
[2]Ps.RbcS2−E9
からの植物作製数
26の位置486∼1118の逆相補体に対応する。P
【表3】
isum
10
3’UTR:配列番号
sativum(エンドウ)のリブロース1
,5−二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニットE9(
rbcS−E9)遺伝子転写産物からの3’非翻訳領域
(UTR)に相当する。
[3]240マーDv_Snf7o逆方向反復遺伝子:
配列番号26の位置1148∼1777の逆相補体に対
応する。この遺伝子は、互いに全く同一に逆相補的に一
致する2つの240マーリボヌクレオチドセグメントを
、150リボヌクレオチドの中立的セグメントによって
分離された状態で含有するRNAに転写されて、逆方向
反復RNA(IR)を形成する。240bpセグメント
20
の配列は酵母Snf7にオルソロガスなWCR遺伝子と
一致する。
[4]トウモロコシDnaKイントロン:配列番号26
の位置1814∼2617の逆相補体に対応する。この
要素は、Zea
mays(トウモロコシ)の熱ショッ
クタンパク質70遺伝子からのエクソン1の10ヌクレ
オチド、イントロン1、およびエクソン2の11ヌクレ
オチドからなる。エクソン2の11ヌクレオチドには開
始メチオニン残基を除去する修飾が加えられている。
[5]CaMV
30
35Sリーダー:配列番号26の位置
2618∼2626の逆相補体に対応する。カリフラワ
ーモザイクウイルス(CaMV)の35S
RNA転写
産物からの5’非翻訳領域(UTR)であって、その遺
伝子のmRNA転写開始点の+1位置から始まるものに
【0089】
相当する。
表3の(H)列に示すように、「+++++」は、平均
【0091】
すると、発生全体を通してトランスジェニック植物に最
[6]eCaMV
も高い持続的遺伝子発現と、発生中に最も高いWCR阻
の位置2627∼3238の逆相補体に対応する。−9
害と、自家受精世代および交雑世代において最も高いW
0∼−350領域の重複を含有するカリフラワーモザイ
CR阻害を与えたDNAコンストラクトを表す。「++
クウイルス(CaMV)のプロモーターに相当する。
++」は、平均すると、トランスジェニック植物にWC 40
[7]トウモロコシPIIGプロモーター:配列番号2
R阻害を与えるが、「+++++」植物と比べると遺伝
6の位置3265∼4213に対応する。この遺伝要素
子発現量は少ないDNAコンストラクトを表す。「++
は、Zea
+」は、平均すると、トランスジェニック植物に与えら
IIG)遺伝子のプロモーターに相当する。
れるWCR阻害が「++++」植物および「+++++
[8]コムギLhcb1リーダー:配列番号26の位置
」植物と比べて低いDNAコンストラクトを表す。そこ
4220∼4280に対応する。この遺伝要素はTri
で、DNAコンストラクト#417をさらなる解析に進
ticum
めた。このコンストラクトは、左境界(LB)から右境
b1(Lhcb1)遺伝子の5’非翻訳領域(UTR)
界(RB)までに、3つの発現カセットに編成された1
に相当する。
6の遺伝要素を有する。このコンストラクトを図2に示
[9]イネAct1イントロン:配列番号26の位置4
し、配列を配列番号26に記載する。ベクターコンポー 50
297∼4776に対応する。
35Sプロモーター:配列番号26
maysの物理的障害誘導タンパク質(P
aestivum(コムギ)の集光複合体
( 30 )
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Oryza
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58
sativa(イネ)のアクチン1(Ac
この実施例では、形質転換と多数のトランスジェニック
t1)遺伝子からのエクソン1の12ヌクレオチド、イ
イベントからのイベントMON87411の選択を説明
ントロン1、およびエクソン2の7ヌクレオチドの連続
する。
配列からなる。
【0094】
[10]Cry3Bb
ORF:配列番号26の位置4
トウモロコシ系統LH244の穀粒から胚を摘出し、D
786∼6747に対応する。
NAコンストラクト#417を内包する組換えAgro
ネイティブBt
Cry3Bbタンパク質コード遺伝子
bacteriumを接種した。同時培養した胚を選択
と比べて修飾H231R、S311L、N313T、E
および生長培地に移して、発生中の苗条を伴うトランス
317K、およびQ349Rを呈するように工学的に操
ジェニックカルス組織を生成させた。発生中の苗条を、
作された非天然殺虫性Cry3Bタンパク質のコード領 10
小植物に発生させるための発根培地に移した。小植物を
域に相当する。このヌクレオチド配列はイベントMON
土壌で全R0 植物に再生させた。こうして回収したR0
88017に含まれるcry3Bb遺伝子配列と一致す
植物を、導入されたコンストラクトDNAが1コピーで
る。
あるものについてスクリーニングした。表3に示すよう
【0092】
に、推定1コピーのイベントが、71のユニークなR0
[11]コムギHsp17
3’UTR:配列番号26
形質転換体に得られた。各R0 形質転換体を育苗条件下
の位置6767∼6976に対応する。この遺伝要素は
に置くことで、後代R1 種子を生産した。44のイベン
、Triticum
aestivum(コムギ)から
トを先に進めた。44のR0 植物のそれぞれによって生
の熱ショックタンパク質17(HSP17)遺伝子の3
産されたR1 種子を少なくとも8つは土壌に植え付け、
’UTRに相当する。
R1 植物を生長させてR2 種子を生産した。1つのイベ
[12]イネTubA(プロモーター、リーダー、イン 20
ントにつき1つのR1 植物を選択して、各々のイベント
トロン):配列番号26の位置7025∼9205に対
を含有する各系統を継続させ、その1つのR1 植物から
応する。Oryza
の種子を、(a)自家受精(R3
sativa(イネ)のαチュー
,
4
,
…
, N
)または
ブリン遺伝子(TubA−3)からの連続するプロモー
(b)他のトウモロコシ系統、例えばトウモロコシ系統
ター、リーダー、イントロン、およびエクソン2の4ヌ
93IDI3との交雑受精によって、以後の試験のため
クレオチドに相当する。
に増やした。DNAコンストラクト#890(表3の行
[13]CTP:配列番号26の位置9210∼943
11)の形質転換からのイベントに相当する植物も再生
7に対応する。A.
して、本実施例において後述する後続の圃場試験のため
thalianaの5−エノール
ピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS
の比較対照とした。
)からのN末端CTPをコードする工学的に操作された
【0095】
コード領域に相当する。この要素は、最後のGAGコド 30
Cry3Bb発現を含む表現型に基づいて、44イベン
ン(グルタミン酸)がTGC(システイン)に修飾され
トのうち、25イベントを選択して、先に進めた。これ
ている点で、ネイティブ遺伝子(GenBankアクセ
ら25イベントに相当するR1 植物をさらに、実施例1
ッション番号X06613)とは異なる。
に記載のグロースチャンバー効力方法でWCR阻害につ
[14]CP4
いて評価し、インサートDNAの多重遺伝要素のコピー
EPSPS:配列番号26の位置94
38∼10805に対応する。
Agrobacterium
数についても評価した。4つのイベントは2コピー以上
CP4からのEPSPS
のPs.RbcS2−E9
3’UTR遺伝要素を呈し
の工学的に操作されたコード領域に相当する。第2コド
、他の4つのイベントに相当するR1 植物が0.8RD
ンがセリンをコードするものからCTT(ロイシン)へ
Rを上回る根損傷評点を呈したので、25イベントのう
と修飾されている点と、4つのサイレント置換とが、ネ
ちの17イベントを先に進めた。
イティブAgrobacterium遺伝子とは異なる 40
【0096】
。
残り17のイベント、すなわち「A」、MON8741
[15]イネTubA
3’UTR:配列番号26の位
置10813∼11394に対応する。Oryza
1、および「C」∼「Q」を含む後代植物をさらに、分
s
子成績および圃場内成績について、並行して解析した(
ativa(イネ)からのαチューブリン遺伝子(Tu
表4および表5参照)。
bA−3)の3’非翻訳領域(UTR)に相当する。
【0097】
[16]RB:配列番号26の位置11413∼117
[表4]DNA形質転換ベクター#417からのインサ
43に対応する。A.
ートDNAを内包する17のトランスジェニックトウモ
tumefaciensからの
ノパリン右境界配列に相当する。
ロコシイベントの分子解析
【実施例2】
【表4】
【0093】
50
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でノーザンブロットを行ったところ、評価したイベント
の全てがこの基準に合格した(表4(G)列)。
【0099】
これら17のイベントを農学的圃場試験、昆虫効力圃場
試験およびグリホサート耐性効力圃場試験で評価した。
その結果を表5に要約する。表5の列見出しは圃場試験
のタイプ(「農学」、「昆虫」、または「グリホサート
」)を表し、イベントと比較/対比された対照を列挙し
、イベント雑種を生成させるために使用した遺伝的近交
10
系も列挙している。
(A)∼(C)列に要約した圃場試験は、(D)∼(H
)列に要約した圃場試験の1暦年前に、また(I)列に
要約した圃場試験の2年前に植え付けられた。
【0100】
[表5]形質転換ベクター#417で生成したイベント
の農学的圃場試験、昆虫効力圃場試験、およびグリホサ
ート効力圃場試験からの結果
【表5】
【0098】
イベントを、Agrobacterium形質転換ベク
ターのバックボーンDNAセグメントについて、また意
図したインサートDNAの全ての部分の単コピー数につ
いて、スクリーニングした(表4(A)列および(B)
列)。7つのイベント(MON87411、A、C、D 30
、E、F、およびG)を、Agro媒介挿入中に起こる
アグロバクテリウム左境界および右境界のニック部位変
異を除けば形質転換ベクター#417と同一である挿入
DNAの配列について解析したところ、イベントDはこ
の配列解析に不合格だった(表4(C)列)。これら7
つのイベントを、植物発生全体および数世代を通したC
ry3Bbタンパク質およびDv_Snf7o
IR
RNAの持続的植物発現についても評価したところ、7
つのイベント全てが持続的植物発現に関する合格基準を
満たした(表4(D)列)。7つのイベントのそれぞれ 40
をゲノム挿入部位特徴(すなわち中立的挿入部位)、例
えばDNAの置換、重複および反復、内在性遺伝子との
近さ、内在性遺伝子の中断、およびQTLへの近さ、な
【0101】
らびにバイオテクノロジー形質について解析したところ
イベントを各圃場試験において対照と比べた。各圃場試
、イベントE、F、およびGはこの解析に不合格だった
験に関するデータは、複数の立地にわたる反復試験区で
(表4、(F)列)。Cry3Bbをコードするまたは
平均した。LH244は形質転換系統に関する対照であ
Dv_Snf7o
る。DNAベクター「#890」は、240マーDv_
IR
RNAを生産する2つのRN
A転写産物の予想されるサイズが、イベントからのRN
Snf7o
A中に存在するかどうかを決定するために、イベントM
めに使用した。コウチュウ抵抗性およびグリホサート耐
IRだけを発現するイベントを作製するた
ON87411、A、C、およびDを含有する植物組織 50
性をトウモロコシ植物に与える市販イベントMON88
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017を対照として使用した。「RN 近交系」は第N世
付し、平均を5%確率水準の最小有意差(LSD(0.
代の後代を示している。圃場試験で評価した雑種イベン
05)で分離した。
トは、評価対象であるイベントからの片親(MON87
【0103】
411、またはA∼Q)と、表5(C、G、またはH列
北アメリカにある複数の立地にわたって平均したWCR
)に示す片親との交雑から収穫された種子から生長させ
損傷についての解析を含む昆虫効力圃場試験の結果を表
た。具体的に述べると、表5において、列、R2近交系
5のC列およびH列に要約する。これらの効力圃場試験
×93IDI3は、評価対象であるイベントのR2近交
では、トウモロコシ穀粒が、RCB法で、1立地あたり
系を近交系トウモロコシ93IDI3と交雑して雑種種
1イベントあたり三重の試験区に植え付けられ、各複製
子を作ったことを示している。同様に、表5のG列およ
試験区は25個の穀粒からなった。試験イベントは雑種
びH列において、R4近交系×MON89034は、評 10
植物として提示された。適当な対照を1立地あたり1対
価対象であるイベントのR4近交系後代を、イベントM
照あたり三重の試験区に含めた。トウモロコシの試験区
ON89034を含有する植物と交雑して雑種種子を作
がそのV2生長段階に到達したら、1試験区あたり5つ
ったことを示している。「NA」は、この試験イベント
の植物に、1植物あたり3,330卵の割合で、WCR
に関するデータを入手できなかったことを示す。「=」
卵を寄生させた。V10生長段階中に、1試験区あたり
は、対照と比べて形質が等価であることを表す。「−」
5つの被害植物の根を掘り起こし、洗浄し、0RDRを
は、対照と比べた形質ヒットを表す。「+」は、対照と
根損傷なし、3RDRを最大根損傷とする、0∼3の根
比べた成績の向上を表す。「RDR」は根損傷評点であ
損傷評点(RDR)に基づいて、食害を評価した。試験
る。「‡」は、当該イベントが苗床で生長させた植物に
イベントと対照植物のRDRを、全ての立地における全
おいて表現型異型を呈したことを、同時期の温室研究が
ての試験区にわたる植物で平均した。各昆虫効力圃場試
示したことを表す。「†」は、当該イベントがWCR効 20
験の陰性対照植物は、それぞれ1.7RDRおよび1.
力を与えなかったことを、同時期の温室研究が示したこ
5RDRの平均RDRを呈した。各昆虫効力圃場試験の
とを表す。
市販品査照標準は、それぞれ0.25RDRおよび0.
【0102】
20RDRの平均RDRを呈した。DNAコンストラク
農学的圃場試験を北アメリカおよび南アメリカにある複
ト#890からのイベントを含有する植物は、約0.3
数の立地で行い、表5のA列、B列、D列、およびI列
5∼0.50RDRの範囲のRDRを呈した。DNAコ
に要約するように、結果を全ての立地にわたって平均し
ンストラクト#417からのイベントは、一貫して、平
た。これらの農学的圃場試験では、トウモロコシ穀粒を
均RDRスコアが0.25RDRの経済的被害閾値未満
、完全乱塊(RCB)法で、1立地あたり1イベントあ
である植物を与えた。
たり三重の試験区に植え付けた。各複製試験区は100
【0104】
個の穀粒からなった。試験保守は、穀粒生産量を最適化 30
北アメリカにある複数の立地で行われたグリホサート除
し、天然WCR圧を排除するように計画した。以下の標
草剤処置に対する生育耐性(vegetative
準的な農学的圃場試験評点の1つ以上を収集した:50
olerance)を評価する効力圃場試験の結果を表
%花粉飛散までの積算成長度日(degree
uni
5のF列およびG列に要約する。これらの効力圃場試験
shed)(GDU)、育種家ス
について、個々の試験に使用したグリホサート施用レジ
ts
to
50%
コア(Breeder’s
score)(BR)、実
生の活力(seedling
、茎倒伏(stalk
vigor)(SDV)
lodging)(STLC)
メンを表6(表5のF列に対応)および表7(表5のG
列に対応)に提示する。
【0105】
、根倒伏(rootlodging)(RTLC)、成
[表6]除草剤圃場試験処置
熟植物の穂高(ear
【表6】
re
height
of
matu
t
plants)(EHT)、成熟植物の草高(p 40
lant
height
of mature
nts)(PHT)、穀粒水分(grain
pla
mois
ture)(MST)、および穀粒試験重量(grai
n
test
weight)(TWT)、表現型異型
(phenotypic
off−types)、およ
「lbs
ae」はポンド(酸換算)を示す。「A」は
び穀粒収量(grain
yield)。近交系イベン
エーカーを示す。
トと雑種イベントをどちらも評価した。結果を表5のA
【0106】
、B、D、およびI列に要約する。1立地あたり1対照
[表7]除草剤圃場試験処置
あたり三重の試験区に適当な対照を含めた。評点を全て
【表7】
の立地にわたる試験区で平均した。データを分散分析に 50
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ンサートの3’端と設定した)の15ヌクレオチドだけ
が、イベントMON87411のゲノム挿入部位にある
挿入DNAに保たれていることが確認された。
【0111】
「lbs
ae」はポンド(酸換算)を示す。「A」は
イベントMON87411の挿入DNAに隣接するゲノ
エーカーを示す。
ム配列と、LH244からの野生型アレルにおける挿入
【0107】
部位の対応ゲノム領域とを、比較解析した。この解析に
植物100体の各試験区を、各処置の最後の散布の7∼
より、LH244ゲノムDNAの118塩基対セグメン
10日後に、作物被害について評定した。作物被害評点
トが、イベントMON87411の生成過程で、形質転
には萎黄病、奇形、および平均低草高を含めた。これら 10
換ベクター#417の挿入DNAによって置き換えられ
はいずれもグリホサート除草剤に対する低い耐性を示す
ることが決定された。
。各試験区を、PHT、EHT、50%花粉飛散までの
【実施例4】
日数(D50P)、50%絹糸出現までの日数(D50
【0112】
S)、TWT、MST、および収量についても評定した
この実施例では、トウモロコシ試料におけるイベントM
。イベントは近交系植物および雑種植物として提供され
ON87411に由来するDNAの存在を同定するのに
、イベントMON88017と比べられた。イベント「
役立つ方法を説明する。ゲノムDNAとイベントMON
A」、MON87411、「D」、「E」、および「G
87411の挿入DNAの随意に割り当てられた5’端
」は、作物被害、PHT、EHT、D50P、D50S
との間に形成され、配列番号1、配列番号2、配列番号
、TWT、MST、および収量評点に関して、イベント
4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列
MON88017と等価であった。他のイベントおよび 20
番号21に包含される、ユニークな接合部(すなわち左
市販のMON88017イベントと比べたイベントMO
接合部)を同定することを目的として、一対のプライマ
N87411の有意なRDR優位性を加味したこれらの
ーおよびプローブを設計した。オリゴヌクレオチドフォ
結果に基づいて、イベントMON87411を選択した
ワードプライマーSQ27011の配列(配列番号18
。
)は、配列番号1および配列番号2の位置462∼49
【実施例3】
0、配列番号7の位置107∼135、配列番号6の位
【0108】
置72∼100、配列番号5の位置12∼40、および
この実施例ではイベントMON87411の分子キャラ
配列番号21の位置1∼29に対応するヌクレオチド配
クタリゼーションを説明する。
列と同一である。オリゴヌクレオチドリバースプライマ
葉組織の試料を(R0 )MON87411植物から採取
ーSQ9085の配列(配列番号20)は、配列番号1
した。イベントMON87411中のトランスジェニッ 30
および配列番号2の位置516∼541、配列番号7の
ク挿入部位に対応するゲノムDNAの配列決定を行った
位置161∼186、配列番号6の位置126∼151
ところ、ベクター#417に対応する形質転換ベクター
、配列番号5の位置66∼91、配列番号4の位置16
中の配列と比べて相違は認められなかった。
∼41、および配列番号21の位置55∼80に対応す
【0109】
るヌクレオチド配列の逆相補体と同一である。オリゴヌ
隣接配列を、トウモロコシB73リファレンスゲノム(
クレオチドプローブPB3552の配列(配列番号19
Ref
B73)を含むトウモロコシゲノムリファレン
)は、配列番号1および配列番号2の位置502∼51
ス配列にマッピングした。イベントMON87411は
5、配列番号7の位置147∼160、配列番号6の位
物理的に第9染色体上にあると決定された。左隣接/イ
置112∼125、配列番号5の位置52∼65、配列
ンサートDNA接合部における隣接配列の末端は、位置
番号4の位置2∼15、および配列番号21の位置41
ZM_B73_CR09:39261797に対応する 40
∼54に対応するヌクレオチド配列の逆相補体と同一で
。右隣接/インサートDNA接合部における隣接配列の
ある。PCRプライマーSQ27011(配列番号18
末端は、位置ZM_B73_CR09:3926191
)およびSQ9085(配列番号20)は、イベントM
5に対応する。イベントMON87411の隣接配列を
ON87411の左接合部にあるユニークなゲノム/イ
、ゲノム重複、反復、および内在性遺伝子について解析
ンサートDNAの79ヌクレオチドアンプリコンを増幅
した。いずれも検出されなかった。
する。これと同じプライマー対を、蛍光標識(すなわち
【0110】
6FAM(商標)蛍光ラベル)されたプローブPB35
イベントMON87411中の挿入DNAの配列解析に
52(配列番号19)と共に、試料におけるイベントM
より、Agrobacterium左境界(随意にイン
ON87411に由来するDNAの存在を同定するため
サートの5’端と設定した)の263ヌクレオチドだけ
のEndpoint
、およびAgrobacterium右境界(随意にイ 50
アッセイにおいて使用することができる。
TaqMan(登録商標)PCR
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【0113】
けるイベントMON87411に由来するDNAの存在
ゲノムDNAとイベントMON87411の挿入DNA
を検出するために使用したプライマー対とプローブ(す
の随意に割り当てられた3’端との間に形成され、配列
なわち6FAM(商標)などの蛍光タグで標識されたプ
番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号8、配列番
ローブ)の各セット(SQ27011、SQ9085、
号9、配列番号10、または配列番号25に包含される
および/もしくはPB3552、またはSQ27066
、ユニークな接合部(すなわち右接合部)を同定するこ
、SQ26977、および/もしくはPB11300)
とを目的として、一対のプライマーおよびプローブを設
で最適化した。一般に、最適化されたパラメータには、
計した。オリゴヌクレオチドフォワードプライマーSQ
プライマー濃度、プローブ濃度、テンプレートDNAの
27066の配列(配列番号22)は、配列番号1の位
量、PCR増幅サイクルパラメータが含まれた。PCR
置11710∼11728、配列番号4の位置1121 10
反応用の対照には、トウモロコシゲノム中の内部対照単
0∼11228、配列番号8、配列番号9、および配列
コピー遺伝子に特異的なプライマー(SQ20221(
番号10の位置45∼63、および配列番号25の位置
配列番号38)およびSQ20222(配列番号40)
1∼19に対応するヌクレオチド配列と同一である。オ
)および/またはプローブ(PB10065(配列番号
リゴヌクレオチドリバースプライマーSQ26977の
39))(VIC(商標)などの蛍光タグで標識された
配列(配列番号24)は、配列番号1の位置11756
プローブ)を含めた。内部対照プローブとして使用する
∼11784、配列番号8の位置91∼117、配列番
かまたはPCRアッセイ(例えばTaqMan(登録商
号9および配列番号10の位置91∼119、配列番号
標))における内部対照として使用するためのアンプリ
3の位置23∼51、および配列番号25の位置47∼
コンを増幅するために使用することができるトウモロコ
75に対応するヌクレオチド配列の逆相補体と同一であ
シゲノム中の単コピー遺伝子に特異的な他のPCRプラ
る。オリゴヌクレオチドプローブPB11300の配列 20
イマーを設計する方法は、当業者にはわかるであろう。
(配列番号23)は、配列番号1の位置11731∼1
次のそれぞれについてDNAを葉組織から抽出した:[
1755、配列番号4の位置11231∼11248、
1]解析対象である葉試料;[2]陰性対照(非トラン
配列番号8、配列番号9、および配列番号10の位置6
スジェニックトウモロコシDNA);[3]陰性水対照
6∼90、配列番号3の位置1∼22、および配列番号
(テンプレートなし);および[4]陽性対照MON8
25の位置22∼46に対応するヌクレオチド配列と同
7411
一である。PCRプライマーSQ27066(配列番号
リコンの検出は、DNAゲル電気泳動によって可視化さ
22)およびSQ26977(配列番号24)は、イベ
れ、、TaqMan(登録商標)PCRアッセイの場合
ントMON87411の右接合部にあるユニークなゲノ
は蛍光検出によって可視化されるであろう。
ム/インサートDNAの75ヌクレオチドアンプリコン
【0116】
を増幅する。これと同じプライマー対を、蛍光標識(す 30
接合性アッセイは、あるイベントを含む植物がそのイベ
なわち6FAM(商標)蛍光ラベル)されたプローブP
ントDNAについてホモ接合であるか、すなわち染色体
B11300(配列番号23)と共に、試料におけるイ
対の各染色体上の同じ場所に外因性DNAを含むか、そ
ベントMON87411に由来するDNAの存在を同定
れともあるイベントDNAに関してヘテロ接合であるか
するためのEndpoint
、すなわち外因性DNAを染色体対の一方の染色体上に
TaqMan(登録商標
DNA。標準的PCRアッセイからのアンプ
)PCRアッセイにおいて使用することができる。
のみ含むか、それともそのイベントDNAについてヌル
【0114】
、すなわち野生型であるかを決定するのに役立つ。イベ
試料中のイベントMON87411に由来するDNAに
ントMON87411を含有するトウモロコシ植物の接
ユニークであってその存在を検出するのに役立つ配列番
合性は、熱増幅(PCR)方法によって、またはEnd
号1内の配列を増幅しかつ/またはその配列にハイブリ
point
ダイズするように、SQ27011、SQ9085、P 40
決定することができる。例えばPCR増幅の場合は、プ
B3552、SQ27066、SQ26977、および
ライマー対SQ27011(配列番号18)およびSQ
PB11300に加えて、他のプライマーおよび/また
26977(配列番号22)が、イベントMON874
はプローブも設計できることは、当業者には明らかなは
11インサートに隣接するゲノムDNA内でハイブリダ
ずである。
イズする。このプライマー対は、イベントMON874
【0115】
11に由来するDNAが試料中に存在すれば、1132
分子解析および配列解析に基づいて、イベント同定アッ
3ヌクレオチド長のアンプリコンを生成させることにな
セイのためのPCRアッセイをイベントMON8741
る。試料中のトウモロコシDNAがイベントMON87
1用に開発した。標準的な分子生物学実験実務に従って
411に由来していない場合は、これと同じプライマー
、標準的PCRアッセイまたはTaqMan(登録商標
対が、約150ヌクレオチド長しかないアンプリコンを
)PCRアッセイのいずれかのパラメータを、試料にお 50
生成することになる。DNAゲル電気泳動において、1
TaqMan(登録商標)方法によって、
( 35 )
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1323bpの単一バンドは、試料中のDNAがホモ接
Rの経済的閾値を上回るRDRを呈した。これらのデー
合MON87411イベントであることを示し、約15
タからの結論は、イベントMON87411は、市販品
0bpの単一バンドは試料中のDNAがMON8741
MON88071およびDAS−59122−7ならび
1イベントからのものではないことを示し、11323
に陰性対照と比べて、コーンルートワーム損傷からの保
bpのバンドと約150bpのバンドの両方の存在は、
護を提供するのに、明らかに優れているというものであ
試料中のDNAがMON87411イベントに関してヘ
る。
テロ接合であるトウモロコシ植物からのものであること
【0120】
を示す。
[表8]≦0.25RDRを呈する植物のおよそのパー
【0117】
センテージによる効力圃場試験の結果
イベントMON87411を含有するトウモロコシ植物 10
【表8】
の接合性を決定するためのTaqMan(登録商標)ア
ッセイを開発することができる。このアッセイのために
、3つまたは4つのプライマーと2つのプローブとが設
計され、この際、[1]第1プライマー対と第1プロー
試験には各試験イベントにつき135体の植物を含めた
ブは試料中のイベントMON87411
。
DNAの存在
の検出に関して特異的であり、[2]第1プライマー対
【0121】
とは異なる第2プライマー対と、第1プローブとは異な
コーンルートワームの極端な寄生圧でのイベントMON
る第2プローブは、野生型トウモロコシDNAの存在(
87411の成績を試験するために、効力温室試験を行
すなわちイベントMON87411を含有しない試料)
った。この試験では次のイベントを評価した:イベント
の検出に関して特異的である。TaqMan(登録商標 20
MON87411、dsRNAだけを発現するDNAベ
)または類似のアッセイでは、第1プローブだけからの
クター#890による形質転換からのイベント、MON
蛍光シグナルが、イベントMON87411に関してホ
88017、DAS−59122−7、および陰性対照
モ接合である植物を示し、それに特徴的であり、第1プ
。これら高圧効力試験のために、評価対象であるトウモ
ローブと第2プローブの両方からの蛍光シグナルが、イ
ロコシ植物を温室中の鉢で生長させた。極端な寄生圧は
ベントMON87411に関してヘテロ接合である植物
、V2生長段階で1鉢あたり約2,000個のWCR卵
を示し、それに特徴的であり、第2プローブだけからの
、次に1∼1/2週間の間隔でさらに4回、1回あたり
蛍光シグナルが、野生型アレルに関してホモ接合である
1鉢あたり約1,000個のWCR卵により、各ポット
(すなわちイベントMON87411に関してヌルであ
に合計で約6,000個のWCR卵を加える、各鉢植え
る)植物を示し、それに特徴的である。
植物の逐次的寄生によって達成した。VT生長段階で植
【実施例5】
30
物の根を取り出し、洗浄し、RDRについて評定した。
【0118】
全13体(N=13)の陰性対照植物からの根は最大根
この実施例では、現行の市販品(MON88017およ
損傷、すなわち3RDRの絶対RDRを呈した。これら
びDAS−59122−7)および陰性対照植物と比べ
の結果は、イベントMON87411が、コーンルート
た時の、イベントMON87411を含む植物の、コー
ワームの防除に関して、入手可能な他のトウモロコシイ
ンルートワーム損傷からの優れた保護を説明する。イベ
ベントより優れていることを例証している(表9)。
ントMON87411、MON88017、DAS−5
【0122】
9122−7、および陰性対照をそれぞれ135体の植
[表9]高コーンルートワーム寄生圧下での根損傷評点
物で比較する効力圃場試験を行った。根損傷評点(RD
(RDR)(N=評価した植物の数)
R)を収集した。RDRが経済的被害レベル(0.25
【表9】
RDR)未満である植物のパーセンテージを表8に示す 40
。
【0119】
表8は、イベントMON87411を含有する植物のう
ち、0.25RDRの経済的閾値を上回るRDRを呈し
【0123】
たのは、約4%だけであったことを示している。対照的
コーンルートワームトランスジェニックイベントの効力
に、MON88017を含有する市販植物の22%は、
の一つの尺度は、温室で栽培された植物の鉢植え土壌か
0.25RDRの経済的閾値を上回るRDRを呈した。
らの成体甲虫の出現を決定することによる。鉢で生長さ
また、DAS−59122−7を含有する市販植物の2
せたイベントMON87411植物の土壌からの成体コ
0%は、0.25RDRの経済的閾値を上回るRDRを
ーンルートワーム甲虫の出現を決定するために、上述し
呈した。また、陰性対照植物の96%は、0.25RD 50
たものと同様に、WCR卵を寄生させた土壌が入ってい
( 36 )
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る鉢で10∼15体の植物を発芽させた。生長期間中は
おけるプロモーターからの発現の向きを示している。
常に各トウモロコシ植物をメッシュ袋で覆って、出現し
【0128】
た成体甲虫があれば全て入るようにした。
ベクターpMON120417およびpMON1204
【0124】
34におけるカセット2の相対的配向は、プロモーター
上記地上成体甲虫の計数を、植物出芽の6、12、およ
からの発現の向きを示すブロック矢印(図4)によって
び18週間後に行い、試験の最後に、根をRDRについ
図解されるように、逆である。pMON120417に
て評価した。イベントMON87411を含有する植物
おけるカセット2からのCry3Bbコーンルートワー
を陰性対照植物および他のコーンルートワーム防御トラ
ム毒素タンパク質の発現は、カセット1から発現するコ
ンスジェニックイベントと比べた。イベントMON87
ーンルートワーム毒性dsRNAの発現の向きからは分
411植物を鉢植えした土壌からの出現が観察された甲 10
岐している。pMON120434におけるカセット2
虫の数は、他のコーンルートワーム防御トランスジェニ
からのCry3Bbコーンルートワーム毒素タンパク質
ックイベントと比べて有意に少ないという結果になり、
の発現は、カセット1からのコーンルートワーム毒性d
コーンルートワーム損傷から保護するイベントMON8
sRNAの発現と同じ配向にある。
7411の優れた性質が例証された。
【0129】
【実施例6】
ベクターpMON120416とpMON120419
【0125】
におけるカセット2の相対的配向は、プロモーターから
この実施例では、それぞれ異なるコーンルートワーム毒
の発現の向きを示すブロック矢印(図4)によって図解
性作用物質の発現を駆動するトウモロコシ細胞中の2つ
されるように、逆である。pMON120416におけ
の異なるプロモーターの配向が、コーンルートワーム幼
るカセット2からのCry3Bbコーンルートワーム毒
虫の食物に入れて提供された場合に効力を呈するトラン 20
素タンパク質の発現は、カセット1から発現するコーン
スジェニックイベントの割合を、著しく改善しうること
ルートワーム毒性dsRNAの発現の向きからは分岐し
を例証する。
ている。pMON120419におけるカセット2から
【0126】
のCry3Bbコーンルートワーム毒素タンパク質の発
トウモロコシ細胞を、4つの異なる植物形質転換ベクタ
現は、カセット1からのコーンルートワーム毒性dsR
ーpMON120417、pMON120434、pM
NAの発現と同じ配向にある。
ON120416、またはpMON120419のうち
【0130】
の1つで形質転換してトランスジェニックイベントを取
表10からわかるように、トランスジェニックトウモロ
得し、それをトランスジェニックトウモロコシ植物に再
コシ植物からの組織をコーンルートワームのDiabr
生させた。
otica種の食物に入れて与えると、コンストラクト
【0127】
30
pMON120417またはpMON120416(コ
図4に関して、植物形質転換ベクターはいずれも、3つ
ーンルートワーム毒性コンポーネントの分岐発現)のど
の発現カセット1、2、および3を含み、それらは一端
ちらかを使った形質転換によって生成した植物は、コン
をAgrobacterium左境界(LB)で、また
ストラクトpMON120434またはpMON120
他端をAgrobacterium右境界(RB)で区
419(タンデム配向または同じ配向の発現)のどちら
切られている。コーンルートワーム毒性dsRNAは、
かを使った形質転換によって生成した植物と比べると、
4つのベクターのいずれにおいても、カセット1から、
殺虫活性に関して、より有効であった(表10)。表1
強化カリフラワーモザイクウイルス35S(e35S)
0のデータによって示されるとおり、ベクターpMON
プロモーターによって発現する。ベクターpMON12
120417およびpMON120416を使った形質
0417、pMON120434中のコーンルートワー
転換から生成した有効なイベントの割合は、ベクターp
ム毒素タンパク質Cry3Bbは、カセット2から、Z 40
MON120416およびpMON120419からの
m.PIIGプロモーターによって発現する。ベクター
有効なイベントの割合と比べて、有意に大きかった。例
pMON120416、pMON120419中のコー
えば、分岐プロモーターがコーンルートワーム毒性コン
ンルートワーム毒素タンパク質Cry3Bbは、カセッ
ポーネントの発現を駆動するベクターpMON1204
ト2から、Os.Rcc3プロモーターによって発現す
17から生成したイベントの場合、43イベントのうち
る。4つのベクターのいずれにおいても、グリホサート
の11イベント、すなわちほぼ25%のイベントが、ル
除草剤耐性を付与するタンパク質CTP−EPSPSC
ートワームの有効な防除を呈した。対照的に、プロモー
P4は、カセット3から、Os.TubA3プロモータ
ターがコーンルートワーム毒性コンポーネントのタンデ
ーによって発現する。4つのベクターのいずれにおいて
ム配向での発現を駆動するベクターpMON12043
も、カセット1とカセット3は同じ相対的配向にある。
4から生成したイベントについては、有効なイベントが
図4に関して、ブロック矢印は各カセットのそれぞれに 50
得られなかった。分岐プロモーターがコーンルートワー
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ム毒性コンポーネントの発現を駆動するベクターpMO
【実施例7】
N120416から生成したイベントについては、27
【0132】
イベントのうちの17イベント、すなわち約63%のイ
強化された農学的性質、殺虫特性、または除草剤特性を
ベントが、ルートワームの有効な防除を呈した。対照的
含むトウモロコシ植物またはその植物部分を作製するた
に、プロモーターがコーンルートワーム毒性コンポーネ
めに、イベントMON87411を含有するトウモロコ
ントのタンデム配向での発現を駆動するベクターpMO
シ植物を、潜在的に任意の他のトウモロコシイベントま
N120419から生成したイベントについては、有効
たはそれらの組み合わせを含有するトウモロコシ植物と
なイベントが約18.5%しか得られなかった。これら
交雑し、表現型を評価することで、その結果生じる後代
のデータは、2つの異なるコーンルートワーム毒性作用
植物の性質を決定することができる。限定でない一例と
物質の発現を分岐した向きにそれぞれ駆動する2つの異 10
して、MON87411を次の1つ以上の組み合わせを
なるプロモーターを持つ植物形質転換ベクターからトラ
含むトウモロコシ植物と交雑することができる:DAS
ンスジェニックトウモロコシ植物を生成させ、そのトラ
−59122−7;MIR604;MON89034;
ンスジェニックトウモロコシ植物をコーンルートワーム
MON87411;MON87427;TC1507;
幼虫の食物に入れて提供すれば、有効イベント数が著し
5307;DAS−06275−8;BT176;BT
く改善され、効力を呈するトランスジェニックイベント
11;およびMIR162。
の割合が改善されることを実証している。
【0131】
[表10]4つの植物形質転換ベクターから得られたR
0イベントの数および有効イベントの数を示す結果
【表10】
20
( 38 )
【図1】
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【図3】
【図4】
【図2】
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【配列表】
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【国際調査報告】
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(81)指定国
(2006.01)
テーマコード(参考)
A23K
1/14
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,T
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,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,
US,UZ,VC
(72)発明者
キャサリン・エイ・チャイ
アメリカ合衆国63167ミズーリ州セントルイス、ノース・リンドバーグ・ブールバード800
番
(72)発明者
シェリル・エル・クローニンガー
アメリカ合衆国63167ミズーリ州セントルイス、ノース・リンドバーグ・ブールバード800
番
(72)発明者
デン・ミンチー
アメリカ合衆国63167ミズーリ州セントルイス、ノース・リンドバーグ・ブールバード800
番
(72)発明者
スタニスラフ・フラシンスキー
アメリカ合衆国63167ミズーリ州セントルイス、ノース・リンドバーグ・ブールバード800
番
(72)発明者
クンシェン・ウ
アメリカ合衆国63167ミズーリ州セントルイス、ノース・リンドバーグ・ブールバード800
番
Fターム(参考) 2B030 AA02
AB04
AD04
AD05
CA17
CB02
2B150 CE05
DC19
4B024 AA08
CA01
CA20
DA01
GA11
HA14
4B063 QA01
QA17
QQ04
QQ09
QQ42
QR32
4B065 AA89X AB01
AC20
BA02
CA53
QX02
QR56
QR62
QS25
QS34