JP 2013-508381 A 2013.3.7 (57)【要約】 本明細書には

JP 2013-508381 A 2013.3.7
(57)【要約】
本明細書には、ポロクサマーを包含する製剤のゲル温度を調節するための方法が開示さ
れる。本明細書にはまた、身体に接触したときゲル化し、および標的の構造体上へこれら
の組成物および製剤を直接適用することによって、または、標的の構造体へかん流を介し
て、投与される徐放医薬製剤が記載される。
【選択図】 なし
(2)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性薬剤と、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのコポリマーを含む熱感受性
ポリマーと、を含む医薬製剤であって、前記医薬製剤は、
a)25−31ゲージ針による投与に適した、投与時に注射することができる粘度を
有しており、
b)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
c)インビボで少なくとも3日間、治療上有効な量の活性薬剤の徐放を提供し;およ
び、
(d)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;
10
ここで、
(i)前記製剤は、製剤の重量で14.5%未満の熱感受性ポリマーを含み、および
1以上のゲル化温度上昇剤をさらに含み;または
(ii)前記製剤は、製剤の重量で25%を超える熱感受性ポリマーを含み、および
1以上のゲル化温度下降剤をさらに含み;または
(iii)前記製剤は、製剤の重量で約5%と約20%の間の熱感受性ポリマーを含
み、熱感受性ポリマーは精製されており、1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下
降剤をさらに含み;または
(iv)前記製剤は、製剤の重量で約14.5%と約25%の間の熱感受性ポリマー
を含み、および1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤をさらに含む、
20
ことを特徴とする医薬製剤。
【請求項2】
前記製剤が、少なくとも5日間、治療上有効な量の活性薬剤のインビボでの徐放を提供
することを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記製剤が、少なくとも7日間、治療上有効な量の活性薬剤のインビボでの徐放を提供
することを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤が、耳の正円窓膜で、またはその付近に投与されることを特徴とする請求項1
に記載の製剤。
30
【請求項5】
前記インビボでの徐放が、内耳で起こることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記製剤が、1以上の副鼻腔へ、またはその付近に投与されることを特徴とする請求項
1に記載の製剤。
【請求項7】
前記インビボでの徐放が、副鼻腔の空洞で、または副鼻腔の空洞の付近で生じることを
特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記熱感受性ポリマーが、P407であることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
40
【請求項9】
前記製剤が、さらなる防腐剤を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の製
剤。
【請求項10】
前記製剤が、発熱物質を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
前記製剤が、被験体の体重1kg当たり約5エンドトキシ単位(EU)未満を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
前記製剤が、更なる毒性薬剤を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の製
50
(3)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
剤。
【請求項13】
前記製剤が、1以上の多微粒子の活性薬剤の懸濁液を含むことを特徴とする請求項1に
記載の製剤。
【請求項14】
前記多微粒子の活性薬剤が、乾熱、放射線照射または蒸気滅菌によって滅菌された、微
粉化された活性薬剤であることを特徴とする請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記製剤が、製剤の重量で1%以下の任意の個々の生成物に関連する不純物を有するこ
とを特徴とする請求項1に記載の製剤。
10
【請求項16】
前記製剤が、製剤の重量で2%以下の総生成物に関連する不純物を有することを特徴と
する請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
前記活性薬剤が、コルチコステロイド、またはその塩若しくはプロドラッグ若しくは溶
媒和物であることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記コルチコステロイドが、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、ア
ルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレド
ニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコ
20
ステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デスオキシメタゾ
ン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソ
ロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン
アセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメト
ロン、酢酸フルペロロン、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニソロン、フルラン
ドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、プロピオン酸
ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチ
ゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メ
チルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニ
ゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナト
30
リウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトー
ル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、あ
るいはトリアムシノロンヘキサセトニド、またはそれらの塩またはプロドラッグであるこ
とを特徴とする請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
前記コルチコステロイドが、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン
、トリアムシノロン、またはそれらの塩またはプロドラッグまたは溶媒和物、またはそれ
らの組み合わせであることを特徴とする請求項17に記載の製剤。
【請求項20】
前記コルチコステロイドが、デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは
40
溶媒和物であることを特徴とする請求項17に記載の製剤。
【請求項21】
前記デキサメタゾンが、リン酸デキサメタゾンナトリウムまたは酢酸デキサメタゾンで
あることを特徴とする請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
前記デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは溶媒和物が、製剤の重量
で約0.05%から約40%までの量で存在することを特徴とする請求項20に記載の製
剤。
【請求項23】
前記デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは溶媒和物が、製剤の重量
50
(4)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
で約0.1%から約30%までの量で存在することを特徴とする請求項20に記載の製剤
。
【請求項24】
前記デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは溶媒和物が、製剤の重量
で約0.5%から約15%までの量で存在することを特徴とする請求項20に記載の製剤
。
【請求項25】
前記製剤が、少なくとも7日間、治療上有効な量のデキサメタゾンのインビボでの徐放
を提供することを特徴とする請求項13乃至20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項26】
10
前記活性薬剤が、抗微生物剤であることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項27】
前記抗微生物剤が、抗生物質であることを特徴とする請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
前記抗生物質が、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチル
マイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロマイシン、ゲルダナマイシン、ハ
ービマイシン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、メロペネム、セ
ファクロル、セファマンドール、セホトキシン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキ
シム、セフジニル、セフジトレン、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフ
チゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフトビプロール、バンコマイシン、アジ
20
スロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロ
マイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、アズトレオ
ナム、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン
、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オ
キサシリン、ピペラシリン、チカルシリン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB
、シプロフロキサシン、クラブラン酸、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサ
シン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ト
ロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、AL−15469A、A
L−38905、OP−145、マフェニド、プロントジル、スルファセタミド、スルフ
ァメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメ
30
トプリム、コトリモキサゾール、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリ
ン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、リネゾリド、アルソゲバヌーベンクロ
ラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシ
ン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロ
シン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン、ダ
ルホプリスチン、リファンピシン、チアンフェニコール、チニダゾール、アモキシシリン
+クラブラン酸、マクシミンH5、ダームシジン、セクロピン、アンドロピン、モリシン
、セラトトキシン、メリチン、マガイニン、デルマセプチン、ボンビニン、ブレジニン−
1、エスクレチンおよびブフォリンII、CAP18、LL37、アバエシン、アピダエ
シン、プロフェニン、インドリシジン、ブレビニン、プロテグリン、タキプレシン、デフ
40
ェンシン、ドロソマイシン、アラメチシン、ペキシガナンまたはMSI−78、MSI−
843、MSI−594、ポリフェムシン、コリシン、ピオシン、クレビシン、サブチリ
ン、エピデルミン、ヘルビコラシン、ブレビシン、ハロシン、アグロシン、アルベイシン
、カルノシン、クルバチシン、ジベルシン、エンテロシン、エンテロリシン、エルウィニ
オシン、グリシネシン、ラクトコシン、ラクチシン、レウコッシン、メセンテリシン、ペ
ディオシン、プランタリシン、サカシン、スルホロビシン、ビブリオシン、ワーネリナン
ド、ナイシン、またはそれらの塩若しくは共結晶、またはプロドラッグまたは溶媒和物、
またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
前記抗生物質が、シプロフロキサシン、アモキシシリン、アモキシシリン+クラブラン
50
(5)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
酸、モキシフロキサシンまたはオフロキサシンであることを特徴とする請求項27に記載
の製剤。
【請求項30】
前記抗生物質が、シプロフロキサシンまたはシプロフロキサシン水和物であることを特
徴とする請求項27に記載の製剤。
【請求項31】
前記シプロフロキサシンまたはシプロフロキサシン水和物が、製剤の重量で約0.1か
ら約20%までの間の量で存在することを特徴とする請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
前記製剤が、少なくとも7日間、治療上有効な量のシプロフロキサシンのインビボでの
10
徐放を提供することを特徴とする請求項31に記載の製剤。
【請求項33】
前記ゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤が、P188、P338、シクロデキス
トリン、Tween20、Tween40、Tween65、Tween80、Twee
n85、オレイン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウムおよびP
EGから選択されることを特徴とする請求項1に記載の製剤。
【請求項34】
(a)殺菌した、多微粒子の活性薬剤粉末と、および(b)熱感受性ポリマーを含む溶
液と、を含むキットであって、(a)と(b)は、組み合わされると、請求項1に記載の
製剤を形成することを特徴とするキット。
【発明の詳細な説明】
20
【技術分野】
【0001】
相互参照
本特許出願は、2009年10月21日に出願された米国仮出願第61/253,78
2号;2009年10月27日に出願された米国仮出願第61/255,379号;20
09年10月28日に出願された米国仮出願第61/255,780号;2009年10
月28日に出願された米国仮出願第61/255,783号;2010年1月21日に出
願された米国仮出願第61/297,138号;2010年1月21日に出願された米国
仮出願第61/297,170号;2010年7月14日に出願された米国仮出願第61
30
/364,288号;および2010年7月22日に出願された米国仮出願第61/36
6,677号の利益を主張し、これら全ては、その全体が本明細書に引用によって組み込
まれる。
【背景技術】
【0002】
身体との接触でゲル化する、徐放製剤は様々な治療用途において使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書には、熱感受性ポリマーを含む徐放製剤が記載される。本明細書にはまた、所
40
望の治療上関連するゲル化温度を達成するために、1以上のゲル化温度調節剤(例えば身
体との接触でゲル化する製剤)を加えることによって、熱感受性ポリマーを含む製剤のゲ
ル化温度が操作される方法が記載される。
【0004】
本明細書には、幾つかの実施形態において、活性薬剤、ポリオキシエチレンおよびポリ
オキシプロピレンコポリマーを含む熱感受性ポリマーを含む医薬製剤が提供され、
および、医薬製剤は、
a)25−31ゲージ針による投与に適した、投与時に注射することができる粘度を
有しており、
b)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
50
(6)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
c)インビボで少なくとも3日間、治療上有効な量の活性薬剤の徐放を提供し;およ
び、
(d)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;
但し、
(i)製剤は、製剤の重量で14.5%未満の熱感受性ポリマーを含み、および1以
上のゲル化温度上昇剤をさらに含み;または
(ii)製剤は、製剤の重量で25%を超える熱感受性ポリマーを含み、および1以
上のゲル化温度下降剤をさらに含み;または
(iii)製剤は、製剤の重量で約5%と約20%の間の熱感受性ポリマーを含み、
熱感受性ポリマーは精製されており、1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤
10
をさらに含み;または、
(iv)製剤は、製剤の重量で約14.5%と約25%の間の熱感受性ポリマーを含
み、および1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤をさらに含む。
【0005】
幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも5日間、インビボで治療上有効な量の
活性薬剤の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも7日間、イ
ンビボで治療上有効な量の活性薬剤の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、製剤
は、少なくとも10日間、インビボで治療上有効な量の活性薬剤の徐放を提供する。幾つ
かの実施形態において、製剤は、少なくとも14日間、インビボで治療上有効な量の活性
薬剤の徐放を提供する。
20
【0006】
幾つかの実施形態において、製剤は、耳の正円窓膜で、またはその周辺に投与される。
幾つかの実施形態において、インビボで徐放は内耳において起こる。
【0007】
幾つかの実施形態において、製剤は、正円窓膜から離れた中耳において投与される。幾
つかの実施形態において、インビボでの徐放は、中耳において起こる。
【0008】
幾つかの実施形態において、製剤は、1以上の副鼻腔の空洞(sinusoidal cavities))の付近へ、またはその付近において投与される。幾つかの実施形態
において、インビボでの徐放は、1以上の副鼻腔の空洞において、または1以上の副鼻腔
30
の空洞の付近において起こる。
【0009】
幾つかの実施形態において、熱感受性ポリマーは、P407である。幾つかの実施形態
において、製剤はさらなる防腐剤を実質的に含まない。幾つかの実施形態において、製剤
は、実質的に発熱物質を含まない。幾つかの実施形態において、製剤は、被験体の体重1
kg当たり約5エンドトキシン単位(EU)未満を含む。幾つかの実施形態において、製
剤はさらなる等張化剤を実質的に含まない。
【0010】
幾つかの実施形態において、製剤は、1以上の多微粒子の(multiparticu
late)活性薬剤の懸濁液を含む。幾つかの実施形態において、多微粒子の活性薬剤は
40
、乾熱、放射線照射または蒸気滅菌によって滅菌された、微粉化された活性薬剤である。
【0011】
幾つかの実施形態において、製剤は、製剤の重量で1%以下の任意の個々の生成物に関
連する不純物を有する。幾つかの実施形態において、製剤は、製剤の重量で2%以下の総
生産物に関連する不純物を有する。
【0012】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、コルチコステロイド、またはその塩またはプ
ロドラッグまたは溶媒和物である。
【0013】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、21−アセトキシプレグネノロン
50
(7)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブ
デソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロ
プレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソ
ニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフル
プレドナート、エノキソロン、フルアザコルト(fluazacort)、フルクロロニ
ド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオ
コルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、フルプレド
ニデンアセテート、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾ
ン、ホルモコータル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸
ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート
10
、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾ
ン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチ
ルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル
、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノ
ロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、あるいはトリアムシノロンヘキサセトニ
ド、またはそれらの塩またはプロドラッグである。
【0014】
幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、プレドニゾロン
、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、またはそれらの塩またはプロドラッグまた
は溶媒和物、またはそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、コルチコス
20
テロイドは、デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは溶媒和物である。
幾つかの実施形態において、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムまたは
酢酸デキサメタゾンである。
【0015】
幾つかの実施形態において、デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは
溶媒和物は、製剤の重量で約0.05%から約40%までの量で存在する。幾つかの実施
形態において、デキサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは溶媒和物は、製
剤の重量で約0.1%から約30%までの量で存在する。幾つかの実施形態において、デ
キサメタゾン、またはその塩またはプロドラッグまたは溶媒和物は、製剤の重量で約0.
5%から約15%までの量で存在する。
30
【0016】
幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも5日間、インビボで治療上有効な量の
デキサメタゾンの徐放を提供する。幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも7日
間、インビボで治療上有効な量のデキサメタゾンの徐放を提供する。幾つかの実施形態に
おいて、製剤は、少なくとも10日間、インビボで治療上有効な量のデキサメタゾンの徐
放を提供する。幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも14日間、インビボで治
療上有効な量のデキサメタゾンの徐放を提供する。
【0017】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、抗菌剤である。いくつかの実施形態において
、抗菌剤は、抗生物質である。
40
【0018】
幾つかの実施形態において、抗生物質は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン
、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロマイシン
、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミ
ペネム、メロペネム、セファクロル、セファマンドール、セホトキシン(cefotox
in)、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフ
ポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェ
ピム、セフトビプロール(ceftobirprole)、バンコマイシン、アジスロマ
イシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシ
ン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、アズトレオナム、
50
(8)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン(azociling)、カルベニシリン
、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン
、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン(peperacillin)、チカルシリ
ン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、クラブラン酸、
エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキ
サシン、ノルフロキサシン(nonfloxacin)、オフロキサシン、トロバフロキ
サシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、AL−15469A、AL−389
05、OP−145、マフェニド(afenide)、プロントジル、スルファセタミド
、スルファメチゾール(sulfamethiazole)、スルファニルアミド(su
lfanilimide)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム
10
、コトリモキサゾール、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキ
シテトラサイクリン、テトラサイクリン(tetraycline)、リネゾリド、アル
ソゲバヌーベン(arsogebanubem)クロラムフェニコール、クリンダマイシ
ン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イ
ソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテ
ンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リファンピシン、
チアンフェニコール(thamphenicol)、チニダゾール、アモキシシリン+ク
ラブラン酸、マクシミンH5、ダームシジン(Dermcidin)、セクロピン、アン
ドロピン、モリシン(moricin)、セラトトキシン、メリチン、マガイニン、デル
マセプチン、ボンビニン、ブレジニン(brevinin)−1、エスクレチン(esc
20
ulentins)およびブフォリン(buforin)II、CAP18、LL37、
アバエシン、アピダエシン、プロフェニン、インドリシジン、ブレビニン、プロテグリン
、タキプレシン、デフェンシン、ドロソマイシン、アラメチシン、ペキシガナンまたはM
SI−78、MSI−843、MSI−594、ポリフェムシン、コリシン、ピオシン、
クレビシン、サブチリン、エピデルミン、ヘルビコラシン(herbicolacin)
、ブレビシン(brevicin)、ハロシン(halocin)、アグロシン、アルベ
イシン(alveicin)、カルノシン、クルバチシン、ジベルシン、エンテロシン、
エンテロリシン(enterolysin)、エルウィニオシン(erwiniocin
)、グリシネシン(glycinecin)、ラクトコシン(lactococin)、
ラクチシン(lacticin)、レウコッシン(leucoccin)、メセンテリシ
30
ン(mesentericin)、ペディオシン、プランタリシン、サカシン(saka
cin)、スルホロビシン(sulfolobicin)、ビブリオシン、ワーネリナン
ド(warnerinand)、ナイシン、またはそれらの塩若しくは共結晶、またはプ
ロドラッグまたは溶媒和物、またはそれらの組み合わせである。
【0019】
幾つかの実施形態において、抗生物質は、シプロフロキサシン、アモキシシリン、アモ
キシシリン+クラブラン酸、モキシフロキサシンまたはオフロキサシンである。幾つかの
実施形態において、抗生物質は、シプロフロキサシンまたはシプロフロキサシン水和物で
ある。幾つかの実施形態において、シプロフロキサシンまたはシプロフロキサシン水和物
は、製剤の重量で約0.1から約20%までの間の量で存在する。
40
【0020】
幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも5日間、インビボで治療上有効な量の
シプロフロキサシンの徐放を提供する。幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも
7日間、インビボで治療上有効な量のシプロフロキサシンの徐放を提供する。幾つかの実
施形態において、製剤は、少なくとも10日間、インビボで治療上有効な量のシプロフロ
キサシンの徐放を提供する。幾つかの実施形態において、製剤は、少なくとも14日間、
インビボで治療上有効な量のシプロフロキサシンの徐放を提供する。
【0021】
幾つかの実施形態において、ゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤は、P188、
P338、シクロデキストリン、Tween20、Tween40、Tween65、T
50
(9)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ween80、Tween85、オレイン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリ
ル酸ナトリウムおよびPEGから選択される。
【0022】
本明細書にはまた、(a)殺菌した、多微粒子の活性薬剤粉末、および(b)熱感受性
ポリマーを含む溶液、を含むキットを提供し、(a)と(b)は、組み合わされると、上
記の製剤を形成する。
【0023】
幾つかの実施形態において、上に記載された製剤は、実際の投薬量より高い濃度の活性
薬剤を含む。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、製剤は投与前に希釈される。
従って、幾つかの実施形態において、投与された製剤中の活性薬剤の重量パーセントは、
10
調製された製剤中の活性薬剤の重量パーセント量とは異なる。
【0024】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で14.5%未満の熱感受性ポリマー、およびさらに1以上のゲル
化温度上昇剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたデキサメタ
ゾン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
20
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0025】
1つの態様において、本明細書には
(a)製剤の重量で25%以上の熱感受性ポリマー、およびさらに1以上のゲル化温
度下降剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたデキサメタ
30
ゾン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0026】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で約5%と約20%の間の精製された熱感受性ポリマー、および随
40
意にさらに1以上のゲル化温度上昇剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたデキサメタ
ゾン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
50
(10)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0027】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で約14.5%と約25%の間の熱感受性ポリマー、およびさらに
1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル温度下降剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたデキサメタ
ゾン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
10
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0028】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で14.5%未満の熱感受性ポリマー、およびさらに1以上のゲル
化温度上昇剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたシプロフロ
キサシン;
20
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0029】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で25%以上の熱感受性ポリマー、およびさらに1以上のゲル化温
度下降剤;
30
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間のシプロフロキサシン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0030】
1つの態様において、本明細書には、
40
(a)製剤の重量で約5%と約20%の間の精製された熱感受性ポリマー、および随
意にさらに1以上のゲル化温度上昇剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたシプロフロ
キサシン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
50
(11)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
医薬製剤が提供される。
【0031】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で約14.5%と約25%の間の熱感受性ポリマー、およびさらに
1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.2%と約20%の間の微粉化されたシプロフロ
キサシン;
を含み、
(d)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
10
(e)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(f)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0032】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で14.5%未満の熱感受性ポリマー、およびさらに1以上のゲル
化温度上昇剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.001%と約5%の間の微粉化されたデキサメ
20
タゾン;
(d)投与される製剤の重量で約0.1%と約10%の間のシプロフロキサシン、モ
キシフロキサシンまたはオフロキサシン;
を含み、
(e)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(f)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(g)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0033】
30
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で25%以上の熱感受性ポリマー、およびさらに1以上のゲル化温
度下降剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.001%と約5%の間の微粉化されたデキサメ
タゾン;
(d)投与される製剤の重量で約0.1%と約10%の間のシプロフロキサシン、モ
キシフロキサシンまたはオフロキサシン;
を含み、
(e)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
40
(f)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(g)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0034】
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で約5%と約20%の間の精製された熱感受性ポリマー、および随
意にさらに1以上のゲル化温度上昇剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.001%と約5%の間の微粉化されたデキサメ
50
(12)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
タゾン;
(d)投与される製剤の重量で約0.1%と約10%の間のシプロフロキサシン、モ
キシフロキサシンまたはオフロキサシン;
を含み、
(e)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
(f)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(g)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0035】
10
1つの態様において、本明細書には、
(a)製剤の重量で約14.5%と約25%の間の熱感受性ポリマー、およびさらに
1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤;
(b)水;
(c)投与される製剤の重量で約0.001%と約5%の間の微粉化されたデキサメ
タゾン;
(d)投与される製剤の重量で約0.1%と約10%の間のシプロフロキサシン、モ
キシフロキサシンまたはオフロキサシン;
を含み、
(e)約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し;
20
(f)製剤1グラム当たり50cfu未満の微生物因子を有し;および
(g)投与時に、25−31ゲージ針による投与に適した注射することができる粘度
を有する、
医薬製剤が提供される。
【0036】
さらに、本明細書には、任意の耳の及び/又は副鼻腔の及び/又は上咽頭の障害の処置
のための医薬の製造において、上に記載された任意の製剤の使用が提供される。
【0037】
本明細書には、幾つかの実施形態において、メニエール病、突発性難聴、騒音性難聴、
加齢性難聴、眩暈、耳鳴、耳硬化症、自己免疫性の耳疾患(AIED)、中耳炎、および
30
外耳炎から選択される耳の障害を処置する方法が提供され、その方法は、本明細書に記載
の任意の製剤を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。
【0038】
本明細書には、幾つかの実施形態において、副鼻腔ポリポージス、アレルギー性真菌性
副鼻腔炎、鼻ポリープ、副鼻腔癌、上咽頭癌、鼻出血、無嗅覚症、呼吸器乳頭腫症、乳頭
腫ウイルス誘発腫瘍(例えば、内反性乳頭腫(inverting papilloma
s))、再発性呼吸器乳頭腫、副鼻腔手術(下鼻甲介の除去)に関係する手術後の合併症
の悪化、慢性副鼻腔炎(chronic sinustis)、及び/又は慢性鼻副鼻腔
炎(chronic rhinosinustis)から選択される副鼻腔または上咽頭
の障害を処置する方法が提供され、その方法は、本明細書に記載の任意の製剤を、それを
40
必要とする個体に投与する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、非徐放製剤と徐放製剤の例示の比較である。
【図2】図2は、4つの組成物からの活性薬剤の例示の予想される調整可能な放出である
。
【図3】図3は、徐放製剤中のステロイド剤の増加する濃度による例示の内耳の薬物動態
である。
【図4】図4は、徐放製剤中のステロイド剤の増加する濃度によるインビトロの平均溶解
時間の実例である。
50
(13)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【図5】図5は、高い溶解度対低い溶解度の製剤原料、および溶液製剤対ゲル製剤のイン
ビトロの平均溶解時間の実例である。
【図6】図6は、ゾレドロネートを含む製剤対ゾレドロネート−カルシウム複合体を含む
製剤からのゾレドロネートのインビトロの放出の例示の比較である。
【図7】図7は、特定の製剤に関する平均溶解時間(MDT)を示す。
【図8】図8は、モルモットにおける中耳内注射に続く特定の製剤からのデキサメタゾン
(Dex)、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)および酢酸デキサメタゾン(D
A)に関するMRTを示す。
【図9】図9は、モルモットにおける中耳内注射に続く特定の製剤からのメチルプレドニ
ゾロンの可溶型(MPS)およびメチルプレドニゾロンの不溶型(MPS)に関するMR
10
Tを示す。
【図10】図10は、モルモットにおける中耳内注射に続く17%のポロクサマー407
製剤中の0.6%のL−701324に関するMRTを示す。
【図11】図11は、モルモットにおける中耳内注射に続く17%のポロクサマー407
製剤中の0.5%のSP−600125に関するMRTを示す。
【図12】図12は、モルモットにおける中耳内注射に続く17%のポロクサマー407
製剤中の2%のメクリジンに関するMRTを示す。
【図13】図13は、中耳内の注射に続く、熱感受性ポリマーを含む製剤からのうずまき
管(chochlea)におけるデキサメタゾンのほぼ均一な分布、および熱感受性ポリ
マーを含まないデキサメタゾン溶液からのうずまき管におけるデキサメタゾンの不均等分
20
布を示す。
【図14】図14は、中耳内の投与に続くモルモットにおけるABR聴覚閾値に関する様
々な濃度のデキサメタゾンを含むポロクサマー407製剤の効果を示す。聴力は、遮音ブ
ースで全身麻酔の下、既知の聴覚刺激に応じた脳幹活動を記録することにより検査された
。イヤホン(EC1, Tucker Davis Technologies)は、ち
ょうど外耳道口上の耳に入れられた。3つの皮下注射用針電極が脳幹活性を測定するため
に使用され、耳の耳後部の領域に(参照)、頭蓋骨の頂点上に(活性)、および後肢(グ
ランド)に置かれた。音声刺激は、SigGenシステム(Tucker Davis Technologies)を使用して生成され、10ミリ秒の聴覚クリック(audi
tory click)(周波数範囲100Hz −30kHz)から成った。反応は、
30
5dBのSPLの増加を伴う90dBのSPLまでの音響レベルで、512の提示(pr
esentation)から平均された。反応は、BioSig(Tucker Dav
is Technologies)を使用して得られ、および閾値は、観察できない強度
と最も小さな観察できる強度の間の平均として決定された。
【図15】図15は、モルモットにおける中耳への投与時の、溶媒として水を含む15−
18%のポロクサマー製剤と、溶媒として水+エタノールを含む50%のポロクサマー製
剤からの耳用薬剤のインビトロの放出特性の比較を示す。
【図16】図16は、モルモットにおける中耳への投与時の、溶媒として水を含む15−
18%のポロクサマー製剤と、溶媒として水+エタノールを含む50%のポロクサマー製
剤からの耳用薬剤のインビトロの放出特性の比較を示す。
40
【図17】図17は、乾燥した耳の状態のモルモットにおける中耳への投与時の、溶媒と
して水を含む15−18%のポロクサマー製剤と、溶媒として水+エタノールを含む50
%のポロクサマー製剤からの、シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの中耳の薬物濃
度を示す。
【図18】図18は、湿った耳の状態のモルモットにおける中耳への投与時の、溶媒とし
て水を含む15−18%のポロクサマー製剤と、溶媒として水+エタノールを含む50%
のポロクサマー製剤からの、シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの中耳の薬物濃度
を示す。
【図19】図19は、乾燥した耳の状態のモルモットにおける中耳への投与時の、溶媒と
して水を含む15−18%のポロクサマー製剤と、溶媒として水+エタノールを含む50
50
(14)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
%のポロクサマー製剤からの、シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの中耳の流体レ
ベルを示す。
【図20】図20は、本明細書に記載の製剤およびCiprodex(登録商標)Oti
c溶液に関する放出特性の比較である。
【図21】図21は、モルモットにおける中耳内の投与に続く聴覚機能に対する本明細書
に記載の製剤およびCiprodex(登録商標)Otic溶液の効果を示す。Cipr
odex(登録商標)Oticの投与は、20−25dBの一時的な聴力変化を引き起こ
し、7日目までに改善する。デキサメタゾン、シプロフロキサシン、15−18%のP4
07および水を含む製剤の投与は、最小限の聴力シフト(5−10dB)を引き起し、7
日目までになくなる(resolve)。デキサメタゾン、シプロフロキサシン、50%
10
のP407および水+エタノールを含む製剤の投与は、40−50dBの一時的な聴力変
化を引き起こし、3日目までになくなる。
【図22】図22は、0.5%のCiproおよび0.1%のDEXをすべて含む、様々
な濃度のポロクサマーの中耳内の投与に続く中耳の薬物動態を示す。モルモット(n=4
)は、1回の中耳内の注入(50μl)を受けた。中耳内の遊離した薬物レベルは、示さ
れた時間に計られた。データは平均±SEMとして示される。ポロクサマー濃度は以下の
とおりである:16%のポロクサマー(菱形)、17%のポロクサマー(四角)、19%
のポロクサマー(三角)および21%のポロクサマー(丸)。
【図23】図23は、様々な投与量のP407製剤の中耳内の投与に続く中耳の薬物動態
を示す。モルモット(n=4)は、0.5%のCipro 0.1%のDSP(丸)また
20
は1%のCipro 0.1%のDSP(四角)のいずれかの1回の中耳内の注入(50
μl)を受けた。中耳内の遊離した薬物レベルは、示された時間に計られた。データは平
均±SEMとして提示される。
【図24】図24は、様々な投与量のP407製剤の中耳内の投与に続く中耳の薬物動態
を示す。モルモット(n=4)は、0.3%のCipro 0.1%のDEX(菱形)、
0.6%のCipro 0.2%のDEX(丸)、2%のCipro 0.7%のDEX
(三角)、または6%のCipro の2%の DEX(四角)のいずれかの1回の中耳
内の注入(50μl)を受けた。中耳内の遊離した薬物レベルは、示された時間に計られ
た。データは平均±SEMとして提示される。
【図25】図25は、P407製剤の中耳内の投与に続く、組織に結合された中耳の薬物
30
レベル(tissue−bound middle ear drug levels)
を示す。モルモット(n=4)は、0.3%のCipro 0.1%のDEXの1回の中
耳内の注入(50μl)を受けた。中耳の上皮中の組織に結合された薬物レベルの量は、
示された時間に計られた。データは平均±SEMとして提示される。黒棒:シプロフロキ
サシン、白棒:デキサメタゾン。
【図26】図26は、様々な容量の製剤の中耳内の投与に続く中耳の薬物動態を示す。モ
ルモット(n=4)は、0.3%のCipro 0.1%のDEXの25μl(丸)、5
0μl(四角)または75μl(三角)のいずれか1回の中耳内の注入を受けた。中耳内
の薬物レベルは、示された時間に計られた。データは平均±SEMとして提示される。
【図27】図27は、中耳内に(intratympanically)投与されたP4
40
07製剤の聴覚評価を示す。モルモット(n=4)は、0.2%のCiproHCl、0
.2%のDEXの1回の中耳内の投与(50μl)を受けた。聴力評価は、周波数にわた
って聴性脳幹反応を用いて行われた。データは、平均+ABR閾値のSEM(n=4)と
して示される。
【図28】図28のA−Gは、連続的に希釈されたポロクサマー溶液にさらされた時の、
モルモットの赤血球中の溶血を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
活性薬剤の局所投与は、全身性の投与に関係する毒性及び/又は副作用を低減する。身
体における局所的な部位で活性薬剤の徐放を提供する能力は、そのような徐放処置レジメ
50
(15)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ンによって、投薬回数が減少し、それによって、患者の薬剤服用順守が向上するので、複
数の毎日の投薬及び/又は延長された投薬を必要とする現在の処置法には望ましい。本明
細書には、身体と接触するとゲル化する徐放性の活性薬剤の医薬製剤が提供される。その
ような製剤は、限定されないが、耳、目、副鼻腔、消化管、口腔、髄腔内の及び/又は頭
蓋内の空洞、滑膜腔などを含む、身体の様々な標的部位での局所投与に適している。
【0041】
本明細書には、低い生物汚染度で作り出され、又は厳しい無菌要求によって無菌化され
、およびインビボでの投与に適している製剤が提供される。いくつかの実施形態において
、本明細書に記載の生体適合性の組成物は、実質的に、発熱物質及び/又は微生物を含ま
ない。
10
【0042】
1日に複数回の注射を受け入れるスケジュールを含む、現行の標準治療が、数日にわた
る(例えば、2週間に至るまで)液滴又は注入(例えば、中耳内への注射)の複数回投与
を必要とする場合、本明細書に記載の製剤は、現行の標準治療と比較して減少された投薬
回数で投与される。特定の例においては、減少された回数の投与は、疾患、障害または疾
病の処置を受けている個体において複数回の注入によって引き起こされる不便を緩和し、
及び/又は長期療法中の患者の薬剤服用順守を改善する。幾つかの実施形態において、本
明細書に記載の製剤は、標的部位に局所的に投与され、投与の部位での活性薬剤の滞留時
間を延長する。
【0043】
20
局在化された投与は、活性薬剤が、標的器官(例えば内耳)に達することを可能にし、
活性薬剤の全身の蓄積を削減し、または取り除く。いくつかの例において、局所投与は、
さもなければ、用量制限の全身毒性を有することもある、より高い活性薬剤の治療指標を
提供する。さらに、局所化された処置はまた、乏しいpK特性、乏しい取り込み、低い全
身性放出、および/または毒性の問題を有する薬剤を含む、以前は望まれなかった治療薬
の使用を可能にする。
【0044】
幾つかの例において、液体製剤の欠点は、生理的培地中で洗い流され、および、投与の
部位からの製剤の急速なクリアランスを生じるというその特性である。本明細書には、特
定の実施形態において、ほぼ体温でゲル化し、延長された期間、標的面(例えば、正円窓
30
上皮)に接したままである、ポリマーを含む製剤が提供される。本明細書に記載の製剤は
、活性薬剤のドレナージまたは洗い流し(washing away)による治療効果の
弱まりを回避する。
【0045】
従って、本明細書には、pH、イオン平衡、及び/又は無菌状態を含む厳しい基準を満
たす医薬製剤が提供される。そのような製剤は、体液と等張であるように設計される。幾
つかの実施形態において、本明細書に記載の生体適合性の組成物は、最小限の賦形剤と共
に調剤され、それにより投与の部位での刺激または毒性を低減し、または取り除く。さら
に、製剤は、生体適合性の、及び/又は、さもなければ、無毒の熱感受性ポリマーを含む
。いくつかの実施形態において、熱感受性ゲルは、生分解性であり、および/または生体
40
排出される(bioeliminated)(例えば、コポリマーは、生分解プロセス、
または、生体排出プロセス(例えば、尿、糞尿など中の排泄)によって、体内から排泄さ
れる)。
【0046】
耳における投与
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、限定されないが、メニエー
ル病、突発性難聴、騒音性難聴、加齢性難聴、眩暈、耳鳴、耳硬化症、自己免疫性の耳疾
患(AIED)、中耳炎、外耳炎、耳部感染などを含む耳の障害の処理のために、耳に投
与するのに適している。
【0047】
50
(16)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
内耳の環境は、隔離された環境である。内リンパと外リンパは、静的な液体であり、循
環器系に常に接しているものではない。特定の例では、微量の発熱物質及び/又は微生物
までもが、感染を引き起こし、内耳の隔離された微小環境内に関連する物理的変化を引き
起こし得る。鼓膜が完全なとき、中耳の空気は身体の外の空気と直接接触していない。特
定の例において、微量の発熱物質及び/又は微生物までもが、内耳及び/又は中耳の隔離
された微小環境内に、感染および関連する物理的変化を引き起こし得る。本明細書に記載
の組成物は、中耳及び/又は内耳の隔離された環境への投与に適している無菌の組成物で
あり、標的部位での活性薬剤の徐放を提供する。
【0048】
幾つかの実施形態において、内耳への適用については、本明細書に記載の製剤は、正円
10
窓膜及び/又は耳小骨連鎖での、またはその近くでの、鼓膜の後ろに、及び/又は鼓膜を
介して(例えば、中耳内の注入によって、外耳道内の点耳液として、耳の手術中の直接か
ん流として)投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、正
円窓膜の付近の鼓室腔へ液体として注入され、および耳の表面と接触した時に、ゲル化し
、濃縮された液体を形成する。
【0049】
幾つかの実施形態において、中耳への適用について、本明細書に記載の製剤は、それら
が正円窓膜及び/又は耳小骨連鎖に接しないように、鼓膜の後ろに、及び/又は鼓膜を介
して(例えば、中耳内の注入によって、外耳道内の点耳液として、耳の手術中の直接かん
流として)投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、鼓室
20
腔で正円窓膜から遠ざけて投与される。幾つかの実施形態において、製剤は、注射によっ
て、中耳の壁に堆積し、耳の表面と接触すると、ゲル化し、濃縮された液体を形成する。
【0050】
他の実施形態において、製剤は、ペイント(paint)として投与される(例えば、
製剤は、綿棒を使用して、鼓室腔の壁上に塗りつけられる)。幾つかの実施形態において
、製剤は、(例えば、流体、フォーム(foam)などとして)中耳腔へ噴霧される(例
えば、鼓膜が破裂したとき)。幾つかの実施形態において、製剤は、耳の骨(例えば小骨
)の上ではなく、耳の壁上に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の
組成物は、外耳内で(例えば、外耳道内で)投与される。
【0051】
30
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、点耳液としての投与に適した低
粘度液体組成物である。投与後に、製剤は、中耳及び/又は正円窓膜から洗い流されない
濃縮された液体及び/又はゲルを形成し、滲出性中耳炎を患う個体に存在する中耳の流体
のような体液の存在下でさえ、活性薬剤の徐放を提供する。一例として、ポリオキシエチ
レンとポリオキシプロピレンのコポリマーを含む製剤が、滲出性中耳炎を患う個体に投与
されるとき、製剤は洗い流されず、中耳の壁に接触したままで、感染及び/又は粘液のさ
らなる蓄積を防止する。特定の他の実施形態において、製剤は、(例えば耳硬化症の処置
として)耳の骨に蓄積される。
【0052】
副鼻腔の構造体における投与
40
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、限定されないが、副鼻腔ポ
リポシス、アレルギー性真菌性副鼻腔炎、鼻ポリープ、副鼻腔癌、上咽頭癌、鼻出血、無
嗅覚症、呼吸器乳頭腫、乳頭腫ウイルス誘発腫瘍(例えば、内反性乳頭腫)、再発性呼吸
器乳頭腫、副鼻腔の手術(下鼻甲介除去)に関係する手術後の合併症の悪化、慢性副鼻腔
炎(chronic sinusitis)、慢性鼻副鼻腔炎(chronic rhi
nosinusitis)などを含む、副鼻腔の(sinusoidal)、鼻の、及び
/又は鼻咽腔の障害の処置のために、副鼻腔内の(instrasinusoidal)
、鼻腔内の、及び/又は咽喉頭内の(intranasopharyngeal)投与に
適している。
【0053】
50
(17)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、副鼻腔の空洞に、及び/
又は篩骨洞、上顎洞、前頭洞及び/又は蝶形骨洞を含む副鼻腔の空洞、および鼻ポリープ
、鼻甲介、外科創傷の部位などのような、副鼻腔の空洞の内にある他の解剖学的または生
理学的構造体の付近に投与される。個体中の腔には相当な解剖的変異がある。副鼻腔の疾
病のための現在の処置レジメンは、副鼻腔への局所的な薬剤の投与のためのスプレー式点
鼻薬及び/又は鼻洗浄を含む。しかしながら、スプレー式点鼻薬及び/又は鼻洗浄は、副
鼻腔及び/又は副鼻腔の窩(sinusoidal cavities)に溶液を送達す
るのに有効でない。さらに、その溶液は鼻の通路から流出する。幾つかの他の実施形態に
おいて、本明細書に記載の徐放製剤は、鼻の腔内で投与され、鼻の通路を介する製剤のド
レナージによって治療効果が減少することのない徐放を提供する。さらに他の実施形態に
10
おいて、本明細書に記載の徐放製剤は、鼻咽頭内の領域に投与される。
【0054】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、外科手術手順と併用して(
例えば鼓室穿孔術、副鼻腔のポリープ切除、バルーン造鼻術などと組み合わせて)投与さ
れる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐放製剤は、AdvaCoat(商
標)Sinus Dressingおよび慢性の副鼻腔炎(Carbylan BioS
urgery Incから入手可能)用のAdvaCoat(商標)Rxなど特定のデバ
イス、Acclarentから入手可能なBalloon Sinuplasty(商標
)デバイスなどカテーテルに基づく用具、またはIntersect ENT,Inc.
から入手可能なステントのような生体吸収性薬剤溶出ステントと一緒に使用するのに適切
20
である。
【0055】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリ
マー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の
少なくとも約5.0%および多くて約50%を含む。幾つかの実施形態において、本明細
書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約5.0%および多くて約
40%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、
熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコ
ポリマー)の少なくとも約10.0%および多くて約35%を含む。幾つかの実施形態に
30
おいて、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオ
キシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約10.0
%および多くて約30%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、
組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレ
ントリブロックコポリマー)の少なくとも約10.0%および多くて約25%を含む。幾
つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー
(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少な
くとも約12.0%および多くて約25%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書
に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポ
リオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約10%および多くて約20
40
%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感
受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリ
マー)の少なくとも約12%および多くて約20%を含む。そのような実施形態のうちの
幾つかにおいて、熱感受性ポリマーは精製されたポリマーである。他の実施形態において
、熱感受性ポリマーは未精製である。前述の実施形態の何れかにおいて、製剤は、ゲル化
温度調節剤をさらに含む。
【0056】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリ
マー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の
少なくとも約5%および多くて約20%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に
50
(18)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約10%および多くて約20%
を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受
性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマ
ー)の少なくとも約10%および多くて約18%を含む。幾つかの実施形態において、本
明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレ
ン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約10%および多くて
約16%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で
、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロック
コポリマー)の少なくとも約10%および多くて約15%を含む。幾つかの実施形態にお
10
いて、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキ
シエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約12%およ
び多くて約14%を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物
の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリ
ブロックコポリマー)の少なくとも約10%および多くて約13%を含む。幾つかの実施
形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で、熱感受性ポリマー(例えば、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)の少なくとも約5
%および多くて約15%、16%、17%、18%、19%または20%を含む。そのよ
うな実施形態のうちのいくつかにおいて、熱感受性ポリマーは精製されたポリマーである
。他の実施形態において、熱感受性ポリマーは未精製である。任意の前述の実施形態にお
20
いて、製剤はさらにゲル化温度調節剤を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている製剤は、組成物の重量で少な
くとも約5.0%、10.0%、10.5%、11.0%、11.5%、12.0%、1
2.5%、13.0%、13.5%、14.0%、14.5%、15.0%、15.5%
、16.0%、16.5%、17.0%、17.5%または18.0%のP407、およ
び多くて約14.5%、15.0%、15.5%、16.0%、16.5%、17.0%
、17.5%、18.0%、18.5%、19.0%、20.0%、21.0%、25.
0%、30%、40%または50%のP407を含む。
【0058】
30
幾つかの実施形態において、上記の製剤は、約5℃と約42℃の間のゲル化温度を有し
、組成物の重量で約5%と約50%までの間の熱感受性ポリマーを含む。幾つかの実施形
態において、上記の製剤は、約14℃と約42℃の間のゲル化温度を有し、組成物の重量
で約5%と約40%までの間の熱感受性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、
組成物の重量で約5%から約40%までの熱感受性ポリマ―は、ポリオキシエチレン−ポ
リオキシプロピレントリブロックコポリマーを含む。幾つかの実施形態において、熱感受
性ポリマー(例えばポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー
)は、精製される。いくつかの実施形態において、熱感受性ポリマー(例えばポリオキシ
エチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)は未精製である(例えばBA
SFから市販されているP407NF)。いくつかの実施形態において、約5%から約4
40
0%までの熱感受性ポリマーは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロッ
クコポリマーを含み、製剤はさらにゲル化温度調節剤を含む。一例として、特定の実施形
態において、ゲル化温度調節剤は、例えば、シクロデキストリン、PEG、P188、P
338、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、Carbopol(登録商標)、
キトサンなどから選択される。
【0059】
上記の製剤の幾つかの実施形態において、製剤は精製されたポロクサマーを含む。いく
つかの実施形態において、精製されたポロクサマーを含む製剤は、約14℃と約42℃の
間の温度でゲル化する能力を保持する一方、未精製のポロクサマーを含む製剤と比較して
より低いポロクサマー濃度を含む。一例として、約10%と約12%の間の分画された(
50
(19)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
fractionated)ポロクサマー407を含む微粉化されたデキサメタゾン製剤
は、約14℃と約42℃の間の温度でゲル化し、および約14.5%と約25%の間の未
精製のポロクサマー407を含む微粉化されたデキサメタゾン製剤はまた、約14℃と約
42℃の間の温度でゲル化する。従って、精製されたポロクサマーの使用は、製剤のゲル
化温度および徐放特性を保持しながら、より低量の熱感受性ポリマーの使用を可能にする
。
【0060】
従って、本明細書に記載の実施形態の範囲内において、主成分ポリマーとしてポリオキ
シエチレンおよびポリオキシエチレンコポリマーを、微量成分としてゲル化温度調節剤を
含む熱感受性ポリマーを主として含み、その結果、製剤が約14℃と約42℃の間の温度
10
でゲル化する能力を保持するような活性な組成物が熟考される。一例として、組成物の重
量で約30%の未精製のP407と、組成物の重量で約3%のP188を含む組成物は、
ほぼ体温でゲル化する。
【0061】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、刺激及び/又は毒性を引き起こ
すさらなる防腐剤を含まないか、または実質的に含まない。さらなる防腐剤は、熱感受性
ポリマーを安定させる微量の酸化防止剤(例えばブチルヒドロキシトルエン(BHT))
を含まず、これらは、典型的には熱感受性ポリマーと共に商業上提供されている。さらな
る防腐剤の例は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムおよびチオマーサルを含む
。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約50ppm未満の各々の塩化
20
ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムおよびチオマーサルを含む。幾つかの実施形態に
おいて、本明細書に開示の製剤は、約25ppm未満の各々の塩化ベンゼトニウム、塩化
ベンザルコニウムおよびチオマーサルを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開
示の製剤は、約20ppm未満の各々の塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムおよ
びチオマーサルを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約10p
pm未満の各々の塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムおよびチオマーサルを含む
。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約5ppm未満の各々の塩化ベ
ンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムおよびチオマーサルを含む。幾つかの実施形態にお
いて、本明細書に開示の製剤は、約1ppm未満の各々の塩化ベンゼトニウム、塩化ベン
ザルコニウムおよびチオマーサルを含む。
30
【0062】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、刺激及び/又は毒性を引き起こ
すさらなる等張化剤を含まないか、または実質的に含まない。さらなる等張化剤の例は、
プロピレングリコールを含む。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製
剤は、プロピレングリコールを含まないか、または実質的に含まない。幾つかの実施形態
において、本明細書に開示の製剤は、約50ppm未満のプロピレングリコールを含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約25ppm未満のプロピレング
リコールを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約20ppm未
満のプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は
、約10ppm未満のプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、本明細
40
書に開示の製剤は、約5ppm未満のプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態に
おいて、本明細書に開示の製剤は、約1ppm未満のプロピレングリコールを含む。
【0063】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤はさらなる保湿剤を含まないか、ま
たは実質的に含まない。保湿剤の例はグリセリンを含む。従って、幾つかの実施形態にお
いて、本明細書に記載の製剤は、グリセリンを含まないか、または実質的に含まない。幾
つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約50ppm未満のグリセリンを含
む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約25ppm未満のグリセリ
ンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約20ppm未満のグ
リセリンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約10ppm未
50
(20)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
満のグリセリンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約5pp
m未満のグリセリンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約1
ppm未満のグリセリンを含む。
【0064】
本明細書に記載の製剤は、活性薬剤及び/又はポリマー成分の分解生成物を実質的に含
まない。本明細書で使用されるように、「分解生成物を実質的に含まない」は、活性薬剤
及び/又はポリマー成分の重量で5%未満が、活性薬剤及び/又はポリマー成分の分解生
成物であることを意味する。更なる実施形態において、その用語は、活性薬剤及び/又は
ポリマー成分の重量で3%未満が、活性薬剤及び/又はポリマー成分の分解生成物である
ことを意味する。また更なる実施形態において、その用語は、活性薬剤及び/又はポリマ
10
ー成分の重量で2%未満が、活性薬剤及び/又はポリマー成分の分解生成物であることを
意味する。更なる実施形態において、その用語は、活性薬剤及び/又はポリマー成分の重
量で1%未満が、活性薬剤及び/又はポリマー成分の分解生成物であることを意味する。
【0065】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、さらなる増粘剤を含まないか、
または実質的に含まない。さらなる増粘剤の例は、キトサン、またはポリエチレングリコ
ール(PEG)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、キトサン
の重量で約5%未満を含む。幾つかの実施形態において、キトサンの重量で本明細書に開
示の製剤は、約4%未満を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、
キトサンの重量で約3%未満を含む。幾つかの実施形態において、キトサンの重量で本明
20
細書に開示の製剤は、約2%未満を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の
製剤は、キトサンの重量で約1%未満を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開
示の製剤は、キトサンの重量で約0.5%未満を含む。
【0066】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、さらなる粘膜付着剤(muco
adhesives)を含まないか、または実質的に含まない。さらなる粘膜付着剤の例
は、ヒアルロン酸を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、ヒアル
ロン酸の重量で約5%未満を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
、ヒアルロン酸の重量で約4%未満を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載
の製剤は、ヒアルロン酸の重量で約3%未満を含む。幾つかの実施形態において、本明細
30
書に記載の製剤は、ヒアルロン酸の重量で約2%未満を含む。幾つかの実施形態において
、本明細書に記載の製剤は、ヒアルロン酸の重量で約1%未満を含む。幾つかの実施形態
において、本明細書に記載の製剤は、ヒアルロン酸の重量で約0.5%未満を含む。
【0067】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、刺激及び/又は毒性を引き起こ
すさらなる普通溶剤を含まないか、または実質的に含まない。さらなる溶媒の例は、エタ
ノール、プロピレングリコール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキ
サンを含む。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、エタノール
、プロピレングリコール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドン及びシクロヘキサンを
含まないか、または実質的に含まない。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製
40
剤は、約50ppm未満の各々のエタノール、プロピレングリコール、DMSO、N−メ
チル−2−ピロリドンおよびシクロヘキサンを含む。幾つかの実施形態において、本明細
書に開示の製剤は、約25ppm未満の各々のエタノール、プロピレングリコール、DM
SO、N−メチル−2−ピロリドンおよびシクロヘキサンを含む。幾つかの実施形態にお
いて、本明細書に開示の製剤は、約20ppm未満の各々のエタノール、プロピレングリ
コール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドンおよびシクロヘキサンを含む。幾つかの
実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約10ppm未満の各々のエタノール、プ
ロピレングリコール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドンおよびシクロヘキサンを含
む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約5ppm未満の各々のエタ
ノール、プロピレングリコール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドンおよびシクロヘ
50
(21)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
キサンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約1ppm未満の
各々のエタノール、プロピレングリコール、DMSO、N−メチル−2−ピロリドンおよ
びシクロヘキサンを含む。
【0068】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、活性な製剤の任意の成分を殺菌
するために一般的に使用され、潜在的に有毒なさらなる防腐剤を含まないか、または実質
的に含まない。毒性であると知られているさらなる防腐剤の例は、酢酸、ヨウ素およびメ
ルブロミンを含む。さらに、クロルヘキシデン、一般に使用される防腐剤(それは活性な
製剤の成分(製剤を投与するために使用されるデバイスを含む)を滅菌するために使用さ
れる)は、微量濃度(例えば0.05%)において非常に有毒である。従って、幾つかの
10
実施形態において、本明細書に開示の製剤は、酢酸、ヨウ素、メルブロミンおよびクロル
ヘキシデンを含まないか、または実質的に含まない。幾つかの実施形態において、本明細
書に開示の製剤は、約50ppm未満の各々の酢酸、ヨウ素、メルブロミンおよびクロル
ヘキシデンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約25ppm
未満の各々の酢酸、ヨウ素、メルブロミンおよびクロルヘキシデンを含む。幾つかの実施
形態において、本明細書に開示の製剤は、約20ppm未満の各々の酢酸、ヨウ素、メル
ブロミンおよびクロルヘキシデンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の
製剤は、約10ppm未満の各々の酢酸、ヨウ素、メルブロミンおよびクロルヘキシデン
を含む。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約5ppm未満の各々の酢酸、ヨ
20
ウ素、メルブロミンおよびクロルヘキシデンを含む。幾つかの実施形態において、本明細
書に開示の製剤は、約1ppm未満の各々の酢酸、ヨウ素、メルブロミンおよびクロルヘ
キシデンを含む。
【0069】
さらに、特定の製剤(例えば、内耳投与、脊髄内投与のための製剤)は、毒性であると
知られているいくつかの潜在的に共通の汚染物質が、特に低濃度である必要がある。他の
剤形は、これらの化合物に起因しうる汚染を限定しようと試みるが、そのような製剤が必
要とする厳しい予防手段を必要としない。例えば、幾つかの実施形態において、本明細書
に記載の製剤は、ヒ素、鉛、水銀およびスズなど汚染物質を含まないか、または実質的に
含まない。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、ヒ素、鉛、水
30
銀およびスズを含まないか、または実質的に含まない。幾つかの実施形態において、本明
細書に開示の製剤は、約50ppm未満の各々のヒ素、鉛、水銀およびスズを含む。幾つ
かの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約25ppm未満の各々のヒ素、鉛、
水銀およびスズを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約20p
pm未満の各々のヒ素、鉛、水銀およびスズを含む。幾つかの実施形態において、本明細
書に開示の製剤は、約10ppm未満の各々のヒ素、鉛、水銀およびスズを含む。幾つか
の実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約5ppm未満の各々のヒ素、鉛、水銀
およびスズを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、約1ppm未
満の各々のヒ素、鉛、水銀およびスズを含む。
【0070】
40
特定の定義
「熱感受性ポリマー」または「熱硬化性ポリマー」は、可逆的な温度依存の相転移(例
えば、液体のゲル転移、ゲルの液体転移など)を受けるポリマーである。熱感受性ゲルを
形成する熱感受性ポリマーの例は、限定されないが、ポロクサマー(例えばプルロニック
F68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)、F127(登録商標
)など)または本明細書に記載の他の熱硬化性ポリマーを含む。
【0071】
本明細書で使用されるように、「精製された」熱感受性ポリマーは、本明細書に記載の
製剤の調製前にさらなる工程にさらされる商業上購入された熱感受性ポリマーである。精
製された熱感受性ポリマーは、同じポリマーの市販のサンプルと比較すると、より低い多
50
(22)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
分散性(すなわち、その中に個々のポリマー鎖中のより狭い分子量分布)、及び/又はよ
り低いエチレン含有量及び/又はより少ない不飽和度及び/又は重量%オキシエチレン値
を有する。精製は、限定されないが、分画(fractionation)、クロマトグ
ラフィー、洗浄、及び/又はデカンテーション、超臨界流体を使用する精製(例えば、米
国特許出願公開第2008/0269449号を参照、その中に記載される超臨界流体の
使用によるポリマーの精製の開示は、引用によって本明細書に組み込まれる)、逆沈殿(
例えば、米国特許第7,148,320号を参照、その中に記載された逆沈殿の開示は、
引用によって本明細書に組み込まれる)、塩抽出および液相分離(例えば、米国特許第5
,800,711号を参照、その中に記載されるポロクサマー精製の開示は、引用によっ
て本明細書に組み込まれる、引用文)など、を含む任意の適切な技術を用いて行われる。
10
ポリマーの精製及び/又は分画の他の工程(process)は、例えばUS6,977
,045、およびUS6,761,824に記載され、その中に記載される工程は、引用
によって本明細書に組み込まれる。
【0072】
一例として、幾つかの実施形態において、精製されたポロクサマー407は、BASF
から商業上購入されたバッチのP407グレードNFと比較して、より低い多分散性指数
を有する、分画されたP407である。一例として、商業上購入されたP407は、約1
.2の多分散性指数を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の分画された
P407の多分散性指数は、約1と約1.15の間にある。他の実施形態において、本明
細書に記載の分画されたP407の多分散性指数は、約1と約1.1の間にある。さらに
20
他の実施形態において、本明細書に記載の分画されたP407の多分散性指数は、約1と
約1.05の間にある。本明細書で使用されるように、計算された多分散性指数(PDI
)は、ポリマー鎖の数平均分子量で割り算された重量平均分子量(Mw/Mn)である。
それは、1バッチのポリマー(a batch of polymers)中の個々の分
子量の分布を示す。
【0073】
「注入することができる粘度」とは、本明細書に記載の医薬製剤が正常なフィンガー圧
力(例えば、医師が注射器のプランジャーに対して使用する正常なフィンガー圧力)を用
いて狭いゲージ針またはカニューレまたはカテーテルを介して投与される(例えば、注入
される)ことができる液体であるように充分低い粘度であり、その結果、注射器の針は、
30
標的部位(例えば、内耳の正円窓膜、副鼻腔の空洞など)で医薬製剤を正確かつ安定して
送達することができる。従って、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
、18−31ゲージの針またはカニューレまたはカテーテルを介して投薬される。いくつ
かの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、20−26ゲージの針またはカニュー
レまたはカテーテルを介して投薬される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載
の製剤は、25−31ゲージの針またはカニューレまたはカテーテルを介して投与される
。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、27−31ゲージの針または
カニューレまたはカテーテルを介して注入されることができる。いくつかの実施形態にお
いて、本明細書に記載の製剤は、27ゲージの針またはカニューレまたはカテーテルを介
して注入されることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、
40
29ゲージの針またはカニューレまたはカテーテルを介して注入されることができる。い
くつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、31ゲージの針またはカニューレ
またはカテーテルを介して注入される。
【0074】
「ゲル化温度調節剤(gelation temperature modifyin
g agentsまたはgel temperature modifying age
nts)」は、本明細書に記載の任意の製剤に加えられる添加剤であり、および幾つかの
実施形態において、製剤のゲル化温度が約5℃と約42℃の間で維持されるように、製剤
のゲル化温度を変更する。幾つかの他の実施形態において、製剤のゲル化温度が、幾つか
の実施形態において、約14℃と約42℃の間で維持されるように、ゲル化温度調節剤は
50
(23)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
、製剤のゲル化温度を変更する。いくつかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、ゲ
ル化温度調節剤の不存在下でのゲル化温度と比較して、製剤のゲル化温度を増加させる。
いくつかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、ゲル化温度調節剤の不存在下でのゲ
ル化温度と比較して、製剤のゲル化温度を下降させる。
【0075】
用語「有効な量」又は「治療に有効な量」は、本明細書で使用されるように、処置され
るべき疾患又は疾病の1以上の症状を、ある程度まで緩和すると予想されるように投与さ
れる、活性薬剤の十分な量又は活性薬剤(例えば、活性薬剤、抗炎症剤)を指す。例えば
、本明細書に開示の活性薬剤を投与した結果は、耳鳴または平衡障害の徴候、症状、また
は原因を減らしおよび/または軽減するというものである。例えば、治療用途のための「
10
有効な量」は、過度の有害な副作用を生じずに、疾患の症状を減らす、または改善するの
に必要な本明細書に開示の活性製剤を含む活性薬剤の量である。用語「治療に有効な量」
は、例えば、予防に有効な量を含む。本明細書に開示の活性薬剤の「有効な量」は、過度
の有害な副作用を生じずに、望ましい薬理学的効果または治療上の改善を達成するのに有
効な量である。「有効な量」または「治療上有効な量」は、いくつかの実施形態において
、投与される化合物の代謝、被験体の年齢、体重、全体的な状態、処置される疾病、処置
される疾病の重篤度、主治医の判断がばらつくことによって、被験体ごとに変わることが
理解される。また、持続放出型の投薬形式における「有効な量」が、薬物動態および薬理
学に基づいて、即時放出型の投薬形式における「有効な量」とは異なることがあり得るこ
とが理解される。
20
【0076】
本明細書で使用されるように、用語「活性薬剤」は、本明細書に記載の任意の活発な障
害の重症度を処置する、または少なくする、または改善する活性薬剤を指す。適切な「活
性薬剤」は、抗微生物剤(antimicrobial agent)(例えば、(細菌
に対し効果を有する)抗菌剤(antibacterial agent)、(ウイルス
に対し効果を有する)抗ウイルス剤、(真菌に対し効果を有する)抗真菌剤、(原虫に対
し効果を有する)抗原虫剤、および/又は任意のクラスの微生物寄生体に対する駆虫薬)
、コルチコステロイド、又は、本明細書に記載の任意の他の活性薬剤であり得る。「活性
薬剤」は。任意の適切なメカニズムによって働き得、それらの制限しない例は、抗炎症性
、抗微生物剤、毒性剤、細胞増殖抑制性、免疫調節剤、イオンチャンネルモジュレーター
30
、抗血管新生薬などによるものを含む。
【0077】
平均滞留時間(MRT)は、1回の投与量の投与後に活性薬剤の分子が活性な構造にあ
る平均時間である。
【0078】
「プロドラッグ」は、インビボで親薬物へと変換される活性薬剤を指す。特定の実施形
態において、プロドラッグは、1以上の工程又は過程(process)によって、化合
物の、生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される。プロドラッグ
を生成するため、薬学的に活性な化合物は、インビボ投与されると活性化合物が再生成さ
れるように変更される。1つの実施形態において、プロドラッグは、薬物の代謝安定性ま
40
たは移動特性を変え、副作用または毒性を消すか、または薬物の他の特性または性質を変
えるように設計される。本明細書に提供される化合物は、いくつかの実施形態において、
適切なプロドラッグへと誘導体化される。
【0079】
本明細書に記載される方法および組成物の他の目的、特徴、利点は、後述する詳細な説
明から明らかになる。しかしながら、発明の詳細な説明と特定の実例は、具体的な実施形
態を示すものであるが、説明のためだけに与えられたものである。
【0080】
活性薬剤
本明細書には、局所的な投与に適していて、標的部位で活性薬剤の徐放を提供する活性
50
(24)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
薬剤の組成物および製剤が提供される。
【0081】
抗微生物剤
幾つかの実施形態において、本明細書に開示の製剤および方法において使用に適する活
性薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗原虫剤、及び/又は、駆虫薬を含む抗微
生物剤である。幾つかの実施形態において、抗菌剤(antimicrobial ag
ent)は、タンパク質、ペプチド、抗体、DNA、siRNA、炭水化物、無機分子ま
たは有機分子である。特定の実施形態において、活性薬剤は、抗菌性の小分子である。
【0082】
抗菌剤
10
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、抗菌剤である。幾つかの実施形態において、
抗菌剤はグラム陽性細菌による感染を処置する。幾つかの実施形態において、抗菌剤はグ
ラム陰性細菌による感染を処置する。幾つかの実施形態において、抗菌剤はマイコバクテ
リアによる感染を処置する。幾つかの実施形態において、抗菌剤はジアルジアによる感染
を処置する。
【0083】
幾つかの実施形態において、抗微生物剤は、細菌の蛋白合成を阻害することにより感染
を処置する。いくつかの実施形態において、抗微生物剤は、細菌の細胞壁の合成を中断さ
せることによって感染を処置する。幾つかの実施形態において、抗微生物剤は、細菌の細
胞膜の透過性を変えることによって感染を処置する。幾つかの実施形態において、抗微生
20
物剤は、細菌においてDNA複製を中断することによって感染を処置する。
【0084】
いくつかの実施形態において、抗微生物剤は、抗生物質である。幾つかの実施形態にお
いて、抗生物質は、アミノグリコシドである。アミノグリコシド抗生物質の例は、アミカ
シン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイ
シン、トブラマイシン、パロマイシンなどを含むが、これらに限定されない。幾つかの実
施形態において、抗生物質は、アンサマイシンである。アンサマイシンの例は、ゲルダナ
マイシン、ハービマイシンなどを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態にお
いて、抗生物質は、カルバセフェムである。カルバセフェムの例は、ロラカルベフ、など
を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗生物質は、カルバペネ
30
ムである。カルバペネムの例は、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム(シラスタチン
(cilostatin))、メロペネムなどを含むが、これらに限定されない。幾つか
の実施形態において、抗生物質は、セファロスポリン(例えば、第1世代、第2世代、第
3世代、第4世代、または第5世代のセファロスポリン)である。セファロスポリンの例
は、セファクロル、セファマンドール、セホチアム(cefotoxin)、セフプロジ
ル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフポドキシム、セフタ
ジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフトビプロ
ール(ceftobirprole)などを含むが、これらに限定されない。幾つかの実
施形態において、抗生物質は、グリコペプチドである。グリコペプチドの例は、バンコマ
イシンなどを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗生物質は、
40
マクロライド抗生物質である。マクロライドの例は、アジスロマイシン、クラリスロマイ
シン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシ
ン、テリスロマイシン、スペクチノマイシンなどを含むが、これらに限定されない。幾つ
かの実施形態において、抗生物質は、モノバクタムである。モノバクタムの例は、アズト
レオナムなどを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗生物質は
β‐ラクタマーゼインヒビター、及び/又はペニシリンである。β‐ラクタマーゼインヒ
ビターの例は、クラブラン酸及び/又はペニシリン及び/又はベータ‐ラクタムを含む。
ペニシリンの例は、アモキシシリン、アンピシリン、アゾシリン(azociling)
、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシ
リン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン(peperacilli
50
(25)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
n)、チカルシリン、アモキシリン+クラブラン酸(Augmentin(登録商標))
などを含むが、これらに限定的されない。幾つかの実施形態において、抗生物質は、キノ
ロンである。キノロンの例は、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、
レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン(non
floxacin)、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパ
ルフロキサシン、AL−15469A、AL−38905などを含むが、これらに限定さ
れない。幾つかの実施形態において、抗生物質は、スルホンアミドである。スルホンアミ
ドの例は、マフェニド(afenide)、プロントジル、スルファセタミド、スルファ
メチゾール(sulfamethiazole)、スルファニルアミド(sulfani
limide)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、コトリモ
10
キサゾールなどを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗生物質
は、テトラサイクリン系抗生物質である。テトラサイクリンの例は、デメクロサイクリン
、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン(t
etraycline)などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態にお
いて、抗生物質は、オキサゾリジノン抗生物質である。オキサゾリジノン抗生物質の例は
、リネゾリドなどを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗生物
質は、アルソゲバヌーベン(arsogebanubem)クロラムフェニコール、クリ
ンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾ
リドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイ
ン、プラテンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、リファ
20
ンピシン、チアンフェニコール(thamphenicol)、チニダゾールなどである
。
【0085】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物と適合する抗生物質は、広域抗菌
スペクトル抗生物質である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物と適合
性の抗生物質は他のクラスの抗生物質に耐性のある感染を処置するのに有効である。例え
ば、いくつかの場合において、バンコマイシンは、耐メチシリン性の黄色ブドウ球菌によ
って引き起こされた感染を処置するのに有効である。
【0086】
幾つかの実施形態において、活性な抗菌剤は、制限しない例として、マクシミンH5、
30
ダームシジン、セクロピン、アンドロピン、モリシン(moricin)、セラトトキシ
ン、メリチン、マゲイニン、デルマセプチン、ボンビニン、ブレジニン(brevini
n)−1、エスクレチン(esculentins)およびブフォリン(buforin
)II、CAP18、LL37、アバエシン、アピダエシン、プロフェニン、インドリシ
ジン、ブレジニン(brevinin)、プロテグリン、タキプレシン、デフェンシン、
ドロソマイシン、アラメチシン、ペキシガナンまたはMSI−78、および、MSI−8
43およびMSI−594などの他のMSIペプチド、ポリフェムシン(polyphe
musin)、クラスI、IIおよびIIIのバクテロシン(bacterocins)
など:コリシン、ピオシン、クレビシン、サブチリン、エピデルミン、ヘルビシジン(h
erbicolacin)、ブレビシン(brevicin)、ハロシン(haloci
40
n)、アグロシン、アルベイシン(alveicin)、カルノシン、クルバチシン、ジ
ベルシン、エンテロシン、エンテリロシン(enterolysin)、エルウィニオシ
ン(erwiniocin)、グリシネシン(glycinecin)、ラクトコシン(
lactococin)、ラクチシン(lacticin)、レウコッシン(leuco
ccin)、メセンテリシン(mesentericin)、ペディオシン、プランタリ
シン、サカシン(sakacin)、スルホロビシン(sulfolobicin)、ビ
ブリオシン、ワーネリナンド(warnerinand)、ナイシンなどを含むペプチド
またはランチビオティクスである。幾つかの実施形態において、抗生物質は、ポリペプチ
ドまたはペプチドである。ポリペプチド系抗生物質の例は、バシトラシン、コリスチン、
ポリミキシンBなどを含むが、これらに限定的されない。ペプチド抗菌剤の例は、OP−
50
(26)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
145(Octoplus)を含むが、これに限定されない。
【0087】
具体的な実施形態において、本明細書に記載の製剤で使用される抗生物質は、シプロフ
ロキサシン(Cipro(登録商標))である。特定の実施形態において、本明細書に記
載の製剤で使用される抗生物質は、アモキシリンである。具体的な実施形態において、本
明細書に記載の製剤で使用される抗生物質は、アモキシシリン+クラブラン酸(Augm
entin(登録商標))である。具体的な実施形態において、本明細書に記載の製剤で
使用される抗生物質は、モキシフロキサシンである。
【0088】
抗菌剤の組成物の局所的な投与は、抗生物質が全身的に投与される場合の抗生物質に対
10
する耐性の進行に関する危険性と比較して、抗生物質に対する耐性の進行の危険性を減ら
す。本明細書に記載の組成物は、治療レジメンを、(例えば、抗生物質耐性の進行に応じ
て)変更する必要なしに、例えば、子供において再発する耳部感染を含む、再発する活性
な疾患または疾病に有効である。
【0089】
抗ウイルス剤
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、抗ウイルス剤である。抗ウイルス剤は、アシ
クロビル、ファムシクロビル、およびバラシクロビルを含むが、これらに限定されない。
他の抗ウイルス剤は、アバカビル、アシクロビル、アデホビル(adfovir)、アマ
ンタジン、アンプレナビル、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ(artipla
20
)、ブリブジン、シドホビル、コンビビル、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシ
タビン、エンフビルチド、エンテカビル、ホミビルセン(fomvirsen)、ホスア
ンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、ガーダシル、イバシタ
ビン、イムノビル(imunovir)、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル
、イノシン、インテグラーゼインヒビター、III型インターフェロン、II型インター
フェロン、I型インターフェロンを含むインターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロ
ビリド、MK−0518、マラビロク、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネ
クサビル(nexavir)、ヌクレオシド・アナログ、オセルタミビル、ペンシクロビ
ル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼインヒビター、逆転
写酵素インヒビター、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、スタブジン
30
、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル
、トロマンタジン、ツルバダ、バルガンシクロビル、ビクリビロック、ビダラビン、ビラ
ミジン、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジン、およびそれらの組み合わせを含む。
【0090】
抗真菌剤
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、抗真菌剤である。抗真菌剤は、アモロルフィ
ン(amrolfine)、ブテナフィン(utenafine)、ナフチフィン、テル
ビナフィン、フルシトシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサ
コナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコ
ナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、ニッ
40
コーマイシンZ、カスポファンギン、ミカファンギン、アニデュラファンギン、アンフォ
テリシンB、リポソームニスタチン(nystastin)、ピマリシン、グリセオフル
ビン、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸塩、ク
リオキノール、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0091】
駆虫薬は、アミトラズ、アモスカネート、アベルメクチン、カルバドックス、ジエチル
カルバマジン(diethylcarbamizine)、ジメトリダゾール、ジミナゼ
ン、イベルメクチン、マクロフィラリサイド、マラチオン、ミタバン(mitaban)
、オキサムニキン、ペルメトリン、プラジカンテル、パモ酸ピランテル(prantel
pamoate)、セラメクチン、スチボグルコン酸ナトリウム、チアベンダゾール、
50
(27)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
およびそれらの組み合わせを含む。
【0092】
抗微生物剤はまた、米国出願第12/427,663号、第12/466,310号、
第12/472,034号、第12/486,697号、第12/493,611号、第
12/494,156号、第12/500,486号、第12/504,553号、第1
2/506,091号、第12/506,127号、第12/506,573号、第12
/506,616号および第12/506,664号に記載される、抗菌剤、抗ウイルス
剤、抗真菌剤、抗原虫剤及び/又は駆虫薬を含み、その中に記載された抗微生物剤の開示
は、引用によって本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されてはいないが、本明細書
に本明細書に記載の徐放製剤において有用な抗微生物剤は、示された実施形態の範囲内に
10
明らかに含まれ、その範囲内にあることが意図されている。
【0093】
抗炎症剤
コルチコステロイド(グルココルチコイド受容体で作用する薬剤を含む)または他の抗
炎症性ステロイドは、本明細書に開示された製剤と適合性である。本明細書に記載の製剤
を使用する1つの利点は、抗炎症性のグルココルチコイドステロイドによる全身曝露がか
なり減ることである。
【0094】
1つの実施形態において、本明細書に記載の製剤の活性医薬成分は、プレドニゾロンで
ある。別の実施形態において、本明細書に記載の製剤の活性医薬成分は、デキサメタゾン
20
である。さらなる実施形態において、本明細書に記載の製剤の活性医薬成分は、ベクロメ
タゾンである。さらなる実施形態において、本明細書に記載の製剤の活性医薬成分は、ト
リアムシノロンである。さらなる実施形態において、本明細書に記載の製剤の医薬品有効
成分は、21−アセトキシプレグネノロンおよびアルクロメタゾン、アルゲストン、アム
シノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタ
ゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチ
ゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾ
ン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコ
ルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フル
オシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペ
30
ロロン、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロ
ピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、
ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレド
ノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロ
ン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニ
ゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニ
ゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノ
ロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘ
キサセトニド、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0095】
40
本明細書に開示されてはいないが、本明細書に記載の徐放製剤において有用な抗炎症剤
は、示された実施形態の範囲内に明らかに含まれ、その範囲内にあることが意図されてい
る。
【0096】
ビスホスホネート
幾つかの実施形態において、ビスホスホネートは、耳硬化症の処置のためを含む、本明
細書に開示の製剤において使用される。ビスホスホネートは、活性なカプセル剤中の骨再
構築のモジュレーターとして(例えば耳硬化症の処置において)熟慮される。ビスホスホ
ネートの例は、エチドロネート(DIDRONEL(登録商標));クロドロネート(B
ONEFOS(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、パミドロ
50
(28)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ネート(APD、AREDIA(登録商標));ネリドロネート;オルパドロネート;ア
レンドロネート(FOSFAMAX(登録商標))、イバンドロネート(BONIVA(
登録商標))、リセドロネート(ACTONEL(登録商標))、ゾレドロネート(ZO
META(登録商標))などを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において
、ビスホスホネートは、ゾレドロネート(zoledronatae)又はリセドロネー
トである。
【0097】
ビスホスホネートの相対的な潜在能力は、以下の表Aに示される:
【0098】
【表1】
10
20
【0099】
ビスホスホネート及び/又は、本明細書に記載されていないが、本明細書に記載の徐放
製剤に役立つ他の骨再構築薬剤は、示された実施形態の範囲内に明らかに含まれ、その範
囲内にあることが意図されている。
【0100】
免疫抑制剤
<TNF−αモジュレーター>
30
本明細書に開示された製剤とともに使用するために熟考されるのは、自己免疫性疾患及
び/又は炎症性障害の結果として、症状または影響を低減するまたは改善する活性薬剤で
ある。従って、本明細書に記載の方法および組成物のいくつかの実施形態は、自己免疫疾
患及び/又は炎症に関係する副鼻腔の及び/又は耳の疾病を処置するための抗TNF剤を
含む、TNF−αの効果を遮断する薬剤の使用を取り入れる。ほんの一例として、抗TN
F剤は、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、インフリキシマブ(REMIC
ADE(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))およびゴリムマブ(
CNTO 148)などのタンパク質ベースの治療法、およびTACEインヒビター、I
KKインヒビターまたはカルシニューリンインヒビターなどの小分子治療法、またはそれ
らの組み合わせを含む。カルシニューリンインヒビターは、カルシニューリンの作用を阻
40
害することによって機能する構造上多様な小分子免疫調節物質の群である。カルシニュー
リンモジュレーターの例は、タクロリムス、ピメクロリムス、シクロスポリンなどを含む
。IKKインヒビターは、小分子免疫調節物質のさらに別の構造上多様な群であり、それ
らの例は、限定されないが、PC−839、PS−1145、BMS−345541、S
C−514などを含む。
【0101】
本明細書に記載の方法および組成物で使用するのに適した他の免疫調節物質の薬剤は、
以下を含むが、これらに限定されない。
【0102】
<TACEインヒビター>
50
(29)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
TACEインヒビターの例は、ニトロアルギニンアナログA、GW3333、TMI−
1、BMS−561392、DPC−3333、TMI−2、BMS−566394、T
MI−005、apratastat、GW4459、W−3646、IK−682、G
I−5402、GI−245402、BB−2983、DPC−A38088、DPH−
067517、R−618、CH−138などを含むが、これらに限定されない。
【0103】
<インターロイキンインヒビター>
インターロイキンインヒビターの例は、WS−4(IL−8に対する抗体)、SB26
5610(N−(2−ブロモフェニル)−N’−(7−シアノ−1H−ベンゾトリアゾー
ル−4−イル)尿素);SB 225002(N−(2−ブロモフェニル)−N’−(2
10
−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)尿素);SB203580(4‐(4‐フルオロフ
ェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)1H‐イミ
ダゾール);SB272844(GlaxoSmithKline);SB517785
(GlaxoSmithKline)、SB656933(GlaxoSmithKli
ne)、Sch527123(2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−3−{2−[[(R
)−1−(5−メチル−フラン−2−イル)−プロピル]アミノ]−3,4−ジオキソ−
シクロブト(cyclobut)−1−エニルアミノ}−ベンズアミド);PD9805
9(2−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)
;レパリキシン(reparixin);N−[4−クロロ−2−ヒドロキシ−3−(ピ
ペラジン−l−スルホニル)フェニル]−N’−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)
20
尿素p−トルエンスルホン酸、バシリキシマブ;シクロスポリンA;SDZ RAD(4
0−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン);FR235222(Astell
as Pharma);ダクリズマブ;アナキンラ;AF12198(Ac−Phe−G
lu−Trp−Thr−Pro−Gly−Trp−Tyr−Gln−L−アゼチジン−2
−カルボニル−Tyr−Ala−Leu−Pro−Leu−NH2)などを含むが、これ
らに限定されない。
【0104】
<血小板活性化因子アンタゴニスト>
血小板活性化因子アンタゴニストは、カズレノン、フォマクチン(phomactin
)G、ジンセノサイド、アパファント(4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−2[
30
3(4−モルホリニル)−3−プロパノール−1−イル[6H−チエノ[3.2−f[[
1.2.4]トリアゾロ]4,3−1]]1.4]ジアゼピン)、A−85783、BN
−52063、BN−52021、BN−50730(テトラヘドラ(tetrahed
ra)−4,7,8,10メチル−1(クロロ−1フェニル)−6(メトキシ−4フェニ
ル−カルバモイル)−9ピリド[4’,3’−4,5]チエノ[3,2−f]トリアゾロ
−1,2,4[4,3−a]ジアゼピン−1,4)、BN50739、SM−12502
、RP−55778、Ro24−4736、SR27417A、CV−6209、WEB
2086、WEB2170、14−デオキシアンドログラホリド、CL184005、C
V−3988、TCV−309、PMS−601、TCV−309などを含むが、これら
に限定されない。
40
【0105】
<トール様受容体インヒビター>
トール様受容体インヒビターの例は、E5531((6‐O−{2−デオキシ−6−O
−メチル−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−Z−ドデカ(dodec)−5−
エンドイルオキシデシル(endoyloxydecl)]−2−[3−オキソ−テトラ
デカノイルアミノ]−β−O−ホスホノ−α−D−グルコピラノーステトラナトリウム塩
);E5564(α−D‐グルコピラノース,3−O−デシル−2−デオキシ−6−O−
[2−デオキシ−3−O−[(3R)−3−メトキシデシル]−6−O−メチル−2−[
[(11Z)−1−オキソ−11−オクタデケニル]アミノ]−4−O−ホスホノ−β−
D−グルコピラノシル]−2−[(1,3−ジオキソテトラデシル)アミノ]−1−ジヒ
50
(30)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ドロゲンホスフェート),テトラナトリウム塩);化合物4a(ヒドロシンナモイル−L
−バリルピロリジン;PNAS,June 24,2003,vol.100,no.1
3,7971−7976を参照(これは、化合物4aと関係する開示のために引用として
本明細書に組み込まれる);CPG 52364(Coley Pharmaceuti
cal Group);LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−
4H−1−ベンゾピラン−4−オン);PD98059(2−(2−アミノ−3−メトキ
シフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン);クロロキン;などを含むが、これ
らに限定されない。
【0106】
<プロゲステロン受容体モジュレーター>
10
プロゲステロン受容体モジュレーターの例はRU−486((11b、17b)−11
−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)
−エストラ−4,9−ジエン−3−オン);CDB−2914(17α−アセトキシ−1
1β−[4−N,N−ジメチルアミノフェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン
−3,20−ジオン);CDB−4124(17α−アセトキシ−21−メトキシ−11
β−[4−N,N−ジメチルアミノフェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−
3,20−ジオン);CDB−4453(17α−アセトキシ−21−メトキシ−11β
−[4−N−メチルアミノフェニル]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20
−ジオン);RTI 3021−022(Research Triangle Ins
titute);ZK 230211(11−(4−アセチルフェニル)−17−ヒドロ
20
キシ−17−(1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル)エストラ−4,9−ジエン
−3−オン);ORG31710(11−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−メチル
−4’,5’−ジヒドロー(エストラ−4,9−ジエン−17,2’−(3H)−フラン
)−3−オン);ORG 33628(Organon);オナプリストン(ZK 98
299);アソプリスニル;ウリプリスタル;抗プロゲステロン抗体;抗プロゲステロン
受容体抗体などを含むが、これらに限定されない。
【0107】
<プロスタグランジン>
プロスタグランジン及び/又はそのアナログの例は、天然型プロスタグランジン、ラタ
ノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、ミンプロスチン(minprostin
30
) F2アルファおよびビマトプロスト(bimtoprost)などのプロスタグラン
ジンアナログ、SQ29548、JB004/Aなどを含むが、これらに限定されない。
【0108】
<アデノシン受容体モジュレーター>
アデノシン受容体モジュレーターの例は、ATL313(4−(3−(6−アミノ−9
−(5−シクロプロピルカルバモイル−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2−
イル)−9H−プリン−2−イル)プロプ−2−イニル)ピペリジン−1−カルボン酸メ
チルエステル);GW328267X((2R,3R,4S,5R)−2−{6−アミノ
−2−[(1−ベンジル−2−ヒドロキシエチル)アミノ]−9H−プリン−9−イル−
5−(2−エチル−2H−テトラゾル−5−イル)テトラヒドロフラン−3,4−ジオー
40
ル);CGS 21680塩酸塩(4−[2−[[6−アミノ−9−(N−エチル−b−
D−リボフランウロンアミドシル)−9H−プリン−2−イル]アミノ]エチル]ベンゼ
ンプロパン酸ヒドロクロリド);CV 1808(2−フェニルアミノアデノシン);p
−DITC−APEC(2−[4−[2−[2−[(4−イソチオシアナトフェニル)チ
オカルボニルアミノ]エチルアミノアルボニル]エチル]フェネチルアミノ(phene
thylamino)]−5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン);SDZ WA
G994(N−シクロヘキシル−2′−O−メチルアデノシン);CVT−3146(リ
ガデノソン;1−(9−(3,4−ジヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)オキソラン
−2−イル)−6−アミノプリン−2−イル)ピラゾール−4−イル)−N−メチルカル
ボキサミド);ATL−146e(4−{3−[6−アミノ−9−(5−エチルカルバモ
50
(31)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
イル−3,4−ジヒドロキシ−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−9H−プリン−2−
イル]−プロプ−2−イニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル);5’−n
−エチル−カルボキサミドアデノシン;テカデノソン;CVT−510(N−(3(R)
−テトラヒドロフラニル)−6−アミノプリンリボシド);CCPA(2−クロロ−N6
−シクロペンチルアデノシン);CPA(N6−シクロペンチルアデノシン);GR 7
9236(N−[((1S、2S))−2−ヒドロキシシクロペンチル]アデノシン);
2’−MeCCPA;PD81723((2−アミノ−4,5−ジメチル−3−チエニル
)−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メタノン);PSB 36(1−ブチル−
8−(ヘキサヒドロ−2,5−メタノペンタレン−3a(1H)−イル)−3,7−ジヒ
ドロ−3−(3−ヒドロキシプロピル)−1H−プリン−2,6−ジオン);リバビリン
10
;CHA(N6−シクロヘキシルアデノシン);GW493838(GSK);(−)−
N6−(2−フェニルイソプロピル)アデノシン;GW684067(((2R,3R,
4S,5R)−5−エチニル−2−[6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ
)−9H−プリン−9−イル]テトラヒドロフラン−3,4−ジオール);CVT−36
19(2−(6−((2−ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)プリン−9−イル)−5
−((2−フルオロフェニルチオ)メチル)オキソラン−3,4−ジオール);2−Cl
−IB−MECA(CF102;2−クロロ−N6−(3−ヨードベンジル)−5’−N
−メチルカルボモイルアデノシン);HEMADO;IB−MECA(CF101;N6
−(3−ヨードベンジル)−5’−N−メチルカルボモイルアデノシン);CP−532
903(N6(2,5−ジクロロベンジル)−3’−アミノアデノシン−5’−N−メチ
20
ルカルボキサミド);CF502(Can−Fite BioPharma);LJ−5
29(2−クロロ−N(6)−(3−ヨードベンジル)−5’−N−メチルカルバモイル
−4’−チオアデノシン);BAA(8−ブチルアミノアデノシン);6−アミノ−2−
クロロプリンリボシド;2−クロロアデノシン;NECA(5’−N−エチルカルボキサ
ミドアデノシン);APNEA(N6−2−(4−アミノフェニル)エチルアデノシン、
などを含むが、これらに限定されない。
【0109】
他の免疫抑制剤は、例えば、米国出願第12/472,034号および第12/427
,663号に記載されており、それらの薬剤は、引用として本明細書に組み込まれ、本明
細書に示される実施形態の範囲内にあるとして熟考される。
30
【0110】
細胞毒性薬剤及び/又は化学療法剤
本明細書に開示された製剤とともに使用するために熟考されるのは、細胞増殖障害の結
果として、症状または影響を低減する、または改善する活性薬剤である。従って、本明細
書に記載の方法と組成物のいくつかの実施形態は、限定されないが、癌を含む副鼻腔の及
び/又は耳の疾病を処置するための細胞毒性薬剤の使用を取り入れる。
【0111】
細胞毒性薬剤の例は、メトトレキサート(RHEUMATREX(登録商標)、アメト
プテリン)シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))、サリドマイド(THA
LIDOMID(登録商標))、アクリジンカルボキサミド、actimid(登録商標
40
)、アクチノマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン、
アミノプテリン、アムサクリン、アントラサイクリン、抗悪性腫瘍薬、アンチネオプラス
トン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BL22、ベンダムスチン、ビリコダル、ブ
レオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン、ブスルファン、カリクリン、カンプトテ
シン、カペシタビン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、
クロファラビン、シタラビン、ダカルバジン、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン
、ジクロロ酢酸、ディスコデルモリド、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、
エポチロン、エリブリン、エストラムスチン、エトポシド、エキサテカン、エクシスリン
ド、フェルギノール、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、ホスフェス
トロール、ホテムスチン、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、IT−101、イダルビシン
50
(32)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
、イホスファミド、イミキモド、イリノテカン、イロフルベン、イクサベピロン、ラニキ
ダル、ラパチニブ、レナリドミド、ロムスチン、ラルトテカン、マホスファミド、マソプ
ロコール、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、マイトマイシン、ミトタ
ン、ミトキサントロン、ネララビン、ニロチニブ、オブリメルセン、オキサリプラチン、
PAC−1、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、ピクサ
ントロン、プリカマイシン、プロカルバジン、プロテアソームインヒビター(例えばボル
テゾミブ)、ラルチトレキセド、レベッカマイシン、revlimid(登録商標)、ル
ビテカン、SN−38、サリノスポラミドA、サトラプラチン、ストレプトゾトシン、ス
ウェインソニン、タリキダル、タキサン、テガフール・ウラシル、テモゾロミド、テスト
ラクトン、チオTEPA、チオグアニン、トポテカン、トラベクテジン、トレチノイン、
10
トリプラチン四硝酸塩、トリス(2−クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラシ
ルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ボリノ
スタット、ゾスキダルなどを含むが、これらに限定されない。
【0112】
他の細胞毒性薬剤は、例えば米国出願第12/493,611号に記載されており、そ
れらの薬剤は引用によって本明細書に組み込まれる。
【0113】
エストロゲン受容体モジュレーター
本明細書に開示の製剤とともに使用するために熟考されるのは、エストロゲン受容体を
調節する活性薬剤である。従って、本明細書に記載の方法と組成物のいくつかの実施形態
20
は、限定されないが、副鼻腔及び/又は耳の構造体におけるポリープ及び/又は癌を含む
副鼻腔及び/又は耳の疾病を処置するためのエストロゲン受容体モジュレーターの使用を
取り入れる。エストロゲン受容体モジュレーターの例は、PPT(4,4’,4’’−(
4−プロピル−[1H]−ピラゾール−1,3,5−トリイル)トリスフェノール);S
KF−82958(6−クロロ−7,8−ジヒドロキシ−3−アリル−1−フェニル−2
,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンザゼピン);エストロゲン;エストラジオ
ール;限定されないが、17−βエストラジオール、エストロン、エストリオール、合成
エストロゲン組成物またはそれらの組み合わせを含むエストラジオール誘導体、を含むが
、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ERβアゴニストは、ERβ−
131、植物性エストロゲン、MK 101(bioNovo);VG−1010(bi
30
oNovo);DPN(ジアリールプロピオリトリル(diarylpropiolit
rile));ERB−041;WAY−202196;WAY−214156;ゲニス
テイン;エストロゲン;エストラジオールなどである。
【0114】
成長因子
本明細書に開示された製剤と共に使用するために熟考されるのは、上皮細胞成長を調節
する薬剤である。従って、本明細書に記載の方法と組成物のいくつかの実施形態は、鼻の
、副鼻腔の及び/又は鼻咽頭の領域における異常な増殖に関係する副鼻腔の及び/又は耳
の疾病を処置するための成長因子及び/又は成長因子のモジュレーターの使用を取り入れ
る。本明細書に記載の組成物に組み込むために熟考される成長因子の例は、例えば、線維
40
芽細胞成長因子(FGF)、インシュリン様増殖因子(IGF)、表皮増殖因子(EGF
)、血小板由来増殖因子(PGF)、表皮増殖因子(EGF)受容体のアゴニスト、肝細
胞増殖因子(HGF)、形質転換増殖因子アルファ(TGF−α)、形質転換増殖因子ベ
ータ(TGF−β)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のモジュレーター、神経栄養因
子等を含む。
【0115】
アポトーシスモジュレーター
本明細書に開示の製剤とともに使用するために熟考されるのは、アポトーシスの結果と
しての疾病または影響を低減する、または改善する薬剤である。従って、本明細書に記載
の方法と組成物のいくつかの実施形態は、異常なアポトーシスに関係する副鼻腔の及び/
50
(33)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
又は耳の疾病の処置のためのアポトーシスモジュレーターの使用を取り入れる。アポトー
シスのインヒビターは、アポトーシス経路に関係するMAPK/JNKシグナル伝達カス
ケードAKTインヒビター、IKKインヒビター、JAKインヒビター、PI3キナーゼ
インヒビター、NF−κBインヒビター、p38インヒビター、ERKインヒビター、S
rcインヒビターなどのインヒビターを含む。アポトーシス経路の他のモジュレーターは
、カスパーゼまたはサーチュインのモジュレーターを含む。
【0116】
<JNKモジュレーター>
いくつかの実施形態において、抗アポトーシス剤は、MAPK/JNKシグナル伝達カ
スケードの活性を(部分的にまたは完全に)抑制する薬剤である。いくつかの実施形態に
10
おいて、抗アポトーシス剤は、ミノサイクリン;SB−203580(4−(4−フルオ
ロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)1H−
イミダゾール);PD 169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニト
ロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール);SB 202190(4
−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)
1H−イミダゾール);RWJ67657(4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−
(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル)
]−3−ブチン(butyn)−1−オール);SB 220025(5−(2−アミノ
−4−ピリミジニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−(4−ピペリジニル)イミ
ダゾール);又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、MAPK/J
20
NKシグナル伝達カスケードを拮抗する薬剤、D−JNKI−1((D)hJIP175
−157−DPro−DPro−(D)−HIV−TAT57−48)、AM−111(
Auris)、SP600125(アントラ[1,9−cd]ピラゾール−6(2H)−
オン)、JNKインヒビターI((L)(HIV−TAT48−57−PP−JBD20
),JNKインヒビターIII(L)(HIV−TAT47−57−ギャバ−c−Jun
δ3357)、AS601245(1,3−ベンゾチアゾール−2−イル(2−[[2−
(3−ピリジニル)エチル]アミノ]−4−ピリミジニル)アセトニトリル、JNKイン
ヒビターVI(H2N−RPKRPTTLNLF−NH2)、JNKインヒビターVII
I(N−(4−アミノ−5−シアノ−6−エトキシピリジン−2−イル)−2−(2,5
−ジメトキシフェニル)アセトアミド)、JNKインヒビターIX(N−(3−シアノ−
30
4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−1−ナフトアミド)、
ジクマロール(3,3′−メチレンビス(4−ヒドロキシクマリン))、SC−236(
4−[5−(4−クロロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−
1−イル]ベンゼン−スルホンアミド)、CEP−1347(Cephalon)、CE
P−11004(Cephalon);又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施
形態において、抗アポトーシス剤は、AM−111(Auris)である。
【0117】
<JAK(ヤヌスキナーゼ)モジュレーター>
本明細書に開示された製剤とともに使用するために熟考されるのは、JAKキナーゼを
完全にまたは部分的に阻害する活性薬剤である。いくつかの実施形態において、抗アポト
40
ーシス剤は、VX−680、TG101348、TG101209、INCB01842
4、XL019、CEP−701、AT9283またはそれらの組み合わせである。
【0118】
<Aktモジュレーター>
いくつかの実施形態において、抗アポトーシス剤は、Akt1の活性を(部分的にまた
は完全に)阻害する薬剤である。いくつかの実施形態において、抗アポトーシス剤は成長
因子である。いくつかの実施形態において、成長因子は、EGFである。
【0119】
<PI3キナーゼモジュレーター>
いくつかの実施形態において、抗アポトーシス剤は、PI3キナーゼの活性を(部分的
50
(34)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
にまたは完全に)阻害する薬剤である。いくつかの実施形態において、抗アポトーシス剤
は、740Y−P;SC 3036(KKHTDDGYMPMSPGVA);PI 3−
キナーゼアクチベータ(Santa Cruz Biotechnology, Inc
.)、ウォルトマンニン、ウォルトマンニンアナログ(例えば、PX−866);又はそ
れらの組み合わせである。
【0120】
<NF−kBモジュレーター>
いくつかの実施形態は、NF‐kB転写因子を調節する活性薬剤の使用を取り入れる。
特定の例において、NF‐kB転写因子を調節する薬剤は、NF‐kBのアンタゴニスト
、半アゴニスト、逆アゴニスト、中性若しくは競合的アンタゴニスト、アロステリックア
10
ンタゴニスト、及び/又はオルソステリックアンタゴニストである。いくつかの実施形態
において、NF‐kB転写因子アゴニスト、半アゴニスト、及び/又は正アロステリック
モジュレーターは、Pam3Cys((S)‐(2,3‐ビス(パルミトイルオキシ)‐
(2RS)‐プロピル)‐N‐パルミトイル‐(R)−Cys−S)−Ser(S)−L
ys4−OH,トリヒドロクロライド);Act1(NF‐kBアクチベータ1);アセ
チル‐11‐ケト‐b‐ボスウェル酸;アンドログラフォライド;コーヒー酸フェネチル
エステル(CAPE);グリオトキシン;イソヘレニン;NEMO‐結合ドメイン結合ペ
プチド(DRQIKIWFQNRRMKWKKTALDWSWLQTE);NF‐kB活
性化インヒビター(6‐アミノ‐4‐(4‐フェノキシフェニルエチルアミノ)キナゾリ
ン);NF‐kB活性化インヒビターII(4‐メチル‐N1‐(3‐フェニルプロピル
20
)ベンゼン‐1,2‐ジアミン);NF‐kB活性化インヒビターIII(3‐クロロ‐
4‐ニトロ‐N‐(5‐ニトロ‐2‐チアゾリル)‐ベンズアミド);NF‐kB活性化
インヒビターIV((E)‐2‐フルオロ‐4’‐メトキシスチルベン);NF‐kB活
性化インヒビターV(5‐ヒドロキシ‐(2,6‐ジイソプロピルフェニル)‐1H‐イ
ソインドール‐1,3‐ジオン);NF‐kB SN50(AAVALLPAVLLAL
LAPVQRKRQKLMP);オリドニン;パルテノリド;PPM‐18(2‐ベンゾ
イルアミノ‐1,4‐ナフトキノン);Ro106‐9920;スルファサラジン;TI
RAPインヒビターペプチド(RQIKIWFNRRMKWKKLQLRDAAPGGA
IVS);ウィザフェリンA;オウゴニン;BAY11‐7082((E)3‐[(4‐
t−ブチルフェニル)スルホニル]‐2‐プロペンニトリル);BAY11‐7085(
30
(E)−3−[(4‐メチルフェニル)スルホニル]‐2‐プロペンニトリル);(E)
カプサイチン;又はそれらの組み合わせである。
【0121】
<p38モジュレーター>
いくつかの実施形態は、p38を調節する活性薬剤の使用を取り入れる。いくつかの実
施形態において、p38を調節する薬剤は、p38のアンタゴニスト、半アゴニスト、逆
アゴニスト、中性アンタゴニストまたは競合的アンタゴニスト、アロステリックアンタゴ
ニスト、及び/又はオルソステリックアンタゴニストである。いくつかの実施形態におい
て、p38のアンタゴニスト、半アゴニスト、逆アゴニスト、中性アンタゴニストまたは
競合的アンタゴニスト、アロステリックアンタゴニスト、及び/又はオルソステリックア
40
ンタゴニストは、ARRY−797(Array BioPharma);SB‐220
025(5‐(2‐アミノ‐4‐ピリミジニル)‐4‐(4‐フルオロフェニル)‐1‐
(4‐ピペリジニル)イミダゾール);SB‐239063(trans‐4‐[4‐(
4‐フルオロフェニル)‐5‐(2‐メトキシ‐4‐ピリミジニル)‐1H‐イミダゾル
‐1‐イル]シクロヘキサノール);SB−202190(4‐(4‐フルオロフェニル
)‐2‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐5‐(4‐ピリジル)1H‐イミダゾール);J
X‐401(‐[2‐メトキシ‐4‐(メチルチオ)ベンゾイル]‐4‐(フェニルメチ
ル)ピペリジン);PD−169316(4‐(4‐フルオロフェニル)‐2‐(4‐ニ
トロフェニル)‐5‐(4‐ピリジル)‐1H‐イミダゾール);SKF‐86002(
6‐(4‐フルオロフェニル)‐2,3‐ジヒドロ‐5‐(4‐ピリジニル)イミダゾ[
50
(35)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
2,1‐b]チアゾールジヒドロクロライド];SB‐200646(N‐(1‐メチル
‐1H‐インドール‐5‐イル)‐N’‐3‐ピリジニルウレア);CMPD‐1(2’
‐フルオロ‐N‐(4‐ヒドロキシフェニル)‐[1,1’‐ビフェニル]‐4‐ブタン
アミド);EO−1428((2−メチルフェニル)−[4−[(2−アミノ−4−ブロ
モフェニル)アミノ]−2−クロロフェニル]メタノン);SB−253080(4−[
5−(4−フルオロフェニル)−2−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−イ
ミダゾル−4−イル]ピリジン);SD‐169(1H‐インドール‐5‐カルボキサミ
ド);SB‐203580(4‐(4‐フルオロフェニル)‐2‐(4‐メチルスルフィ
ニルフェニル)‐5‐(4‐ピリジル)1H‐イミダゾール);又はそれらの組み合わせ
である。
10
【0122】
<Srcモジュレーター>
本明細書に記載の方法および組成物で使用するために熟考されるのは、Srcモジュレ
ーターである。いくつかの実施形態において、Srcのアンタゴニスト、半アゴニスト、
逆アゴニスト、中性アンタゴニストまたは競合的アンタゴニスト、アロステリックアンタ
ゴニストおよび及び/又はオルソステリックアンタゴニストは、1‐ナフチルPP1(1
‐(1,1‐ジメチルエチル)‐3‐(1‐ナフタレニル)‐1H‐ピラゾロ[3,4‐
d]ピリミジン‐4‐アミン);ラベンダスチン A(5‐[[(2,5‐ジヒドロキシ
フェニル)メチル][(2‐ヒドロキシフェニル)メチル]アミノ]2‐ヒドロキシ安息
香酸);MNS(3,4‐メチレンジオキシ‐b‐ニトロスチレン);PP1(1‐(1
20
,1‐ジメチルエチル)‐1‐(4‐メチルフェニル)‐1H‐ピラゾロ[3,4‐d]
ピリミジン‐4‐アミン);PP2(3‐(4‐クロロフェニル) 1‐(1,1‐ジメ
チルエチル)‐1H‐ピラゾロ[3,4‐d]ピリミジン‐4‐アミン);KX1‐00
4(Kinex);KX1‐005(Kinex);KX1‐136(Kinex);K
X1‐174(Kinex);KX1‐141(Kinex);KX2‐328(Kin
ex);KX1‐306(Kinex);KX1‐329(Kinex);KX2‐39
1(Kinex);KX2‐377(Kinex);ZD4190(Astra Zen
eca;N‐(4‐ブロモ‐2‐フルオロフェニル)‐6‐メトキシ‐7‐(2‐(1H
‐1,2,3‐トリアゾル‐1‐イル)エトキシ)キナゾリン‐4‐アミン);AP22
408(Ariad Pharmaceuticals);AP23236(Ariad
30
Pharmaceuticals);AP23451(Ariad Pharmace
uticals);AP23464(Ariad Pharmaceuticals);
AZD0530(Astra Zeneca);AZM475271(M475271;
Astra Zeneca);ダサチニブ(N‐(2‐クロロ‐6‐メチルフェニル)‐
2‐(6‐(4‐(2‐ヒドロキシ‐エチル)‐ピペラジン‐1‐イル)‐2‐メチルピ
リミジン‐4‐イルアミノ)チアゾール‐5‐カルボキサミド);GN963(tran
s‐4‐(6,7‐ジメトキシキノキサリン‐2イルアミノ)シクロヘキサノールスルフ
ェート);ボスチニブ(4‐((2,4‐ジクロロ‐5‐メトキシフェニル)アミノ)‐
6‐メトキシ‐7‐(3‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニル)プロポキシ)‐3‐キノリ
ンカルボニトリル);又はそれらの組み合わせである。
40
【0123】
<カスパーゼモジュレーター>
いくつかの実施形態において、限定されないが、カスパーゼ‐8及び/又はカスパーゼ
‐9を含むカスパーゼ標的のアンタゴニスト、半アゴニスト、逆アゴニスト、中性アンタ
ゴニストまたは競合的アンタゴニスト、アロステリックアンタゴニスト、及び/又はオル
ソステリックアンタゴニストは、本明細書に記載の方法および組成物における使用に適し
ている。いくつかの実施形態において、カスパーゼインヒビターは、z‐VAD‐FMK
(ベンジルオキシカルボニル‐Val‐Ala‐Asp(OMe)‐フルオロメチルケト
ン);z‐LEHD‐FMK(ベンジルオキシカルボニル‐Leu‐Glu(OMe)‐
His‐Asp(OMe)‐フルオロメチルケトン);B‐D‐FMK(boc‐アスパ
50
(36)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ルチル(Ome)‐フルオロメチルケトン);Ac−LEHD‐CHO(N‐アセチル‐
Leu‐Glu‐His−Asp−CHO);Ac−IETD‐CHO(N‐アセチル‐
Ile‐Glu‐Thr‐Asp−CHO);z‐IETD‐FMK(ベンジルオキシカ
ルボニル‐Ile‐Glu(OMe)‐Thr‐Asp(OMe)‐フルオロメチルケト
ン));FAM‐LEHD‐FMK(ベンジルオキシカルボニル Leu‐Glu‐Hi
s‐Asp‐フルオロメチルケトン);FAM‐LETD‐FMK(ベンジルオキシカル
ボニル Leu‐Glu‐Thr‐Asp‐フルオロメチルケトン);Q‐VD‐OPH
(キノリン‐Val−Asp−CH2‐O‐Ph);又はそれらの組み合わせである。
【0124】
<サーチュインモジュレーターモジュレーター>
10
いくつかの実施形態は、活性薬剤として、1以上のサーチュインのアンタゴニスト、半
アゴニスト、逆アゴニスト、中性アンタゴニストまたは競合的アンタゴニスト、アロステ
リックアンタゴニスト、及び/又はオルソステリックアンタゴニストの使用を組み入れる
。いくつかの実施形態において、サーチュイン活性のアゴニスト、半アゴニスト、及び/
又は正アロステリックモジュレーターは、スチルベン、フラボン、イソフラボン、フラバ
ノン、カテキン、遊離基保護化合物、イソニコチンアミド、ジピリダモール、ZM336
372(3−(ジメチルアミノ)−N−[3−[(4−ヒドロキシベンゾイル)−アミノ
]−4−メチルフェニル]ベンズアミド)、カンプトテシン、クメストロール、ノルジヒ
ドログアヤレト酸、エスクレチン、SRT‐1720(Sirtris)、SRT‐14
60(Sirtris)、SRT‐2183(Sirtris)、レスベラトロル、ピセ
20
タノール、ラポンチン、デオキシラポンチン、ブテインカルコン(例えば、カルコン(c
halcon);イソリキリチゲニン(isoliquirtigen);ブテイン;4
,2’,4’−トリヒドロキシカルコン;3,4,2’,4’,6’−ペンタヒドロキシ
カルコン);モリン、フィゼチン;ルテオリン;ケルセチン;ケンペロール;アピゲニン
;ゴシペチン:ミリセチン;6‐ヒドロキシアピゲニン;5‐ヒドロキシフラボン;5,
7,3’,4’,5’‐ペンタヒドロキシフラボン;3,7,3’,4’,5’‐ペンタ
ヒドロキシフラボン;3,6,3’,4’‐テトラヒドロキシフラボン;7,3’,4’
,5’‐テトラヒドロキシフラボン;3,6,2’,4’‐テトラヒドロキシフラボン;
7,4’‐ジヒドロキシフラボン;7,8,3’,4’‐テトラヒドロキシフラボン;3
,6,2’,3’‐テトラヒドロキシフラボン;4’‐ヒドロキシフラボン;5‐ヒドロ
30
キシフラボン;5,4’‐ジヒドロキシフラボン;5,7‐ジヒドロキシフラボン;又は
それらの組み合わせである。
【0125】
他のアポトーシス促進性のおよび抗アポトーシスの薬剤は、米国出願第12/500,
486号に記載されており、それらの薬剤は、引用によって本明細書に組み込まれ、およ
び、本明細書に示される実施形態の範囲内にあるものとして熟考される。
【0126】
抗ヒスタミン剤
本明細書に開示された製剤とともに使用するために熟考されるのは、副鼻腔の通路にお
ける膨疹および発赤の結果としての症状または影響を低減する、または改善する薬剤であ
40
る。従って、本明細書に記載の方法および組成物のいくつかの実施形態は、副鼻腔の疾病
の処置のために抗ヒスタミン剤を使用することを取り入れる。本明細書に記載の方法と組
成物に適している抗ヒスタミン剤の例は、限定されないが、メクリジン、ジフェンヒドラ
ミン、ロラタジン、レボセチリジン、フェキソフェナジン、クエチアピン、メピラミン、
ピペロキサン、アンタゾリン、カルビノキサミン、ドキシルアミン、クレマスチン、ジメ
ンヒドリナート、フェニラミン、クロルフェナミン、クロルフェニラミン、デキスクロル
フェニルアミン、ブロムフェニラミン、トリプロリジン、シクリジン、クロルサイクリジ
ン、ヒドロキシジン、プロメタジン、アリメマジン、トリメプラジン、シプロヘプタジン
、アザタジン、ケトチフェン、オキサトミド、塩酸メクリジン、塩酸ブロメタジン、ヒド
ロキシジンパモエート、クロルペラジンなどを含む。
50
(37)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0127】
他の抗ヒスタミン剤は、米国出願第12/472,034号および第12/427,6
63号に記載されており、それらの薬剤は、引用として本明細書に組み込まれ、および本
明細書に示される実施形態の範囲内にあるものとして熟考される。
【0128】
イオンチャンネルモジュレーター
NMDA受容体モジュレーター
本明細書に開示された製剤とともに使用するために熟考されるのは、副鼻腔の空洞を裏
打ちする上皮細胞における及び/又は耳有毛細胞における異常なイオンチャンネル活性の
結果としての症状または影響を低減するまたは改善する薬剤である。幾つかの例において
10
、異常なNMDA受容体活性は、上皮細胞中のCa2+及び/又はNa+イオンの流入に
関係する。従って、本明細書に記載の方法および組成物のいくつかの実施形態は、異常な
イオンチャンネル活性に関係する副鼻腔の及び/又は耳の疾病の処置のために、NMDA
受容体アンタゴニストまたはNMDA受容体アゴニストの使用を取り入れる。NMDA受
容体拮抗剤の例は、アミノアダマンタン、デキストロメトルファン、デキストロルファン
、イボガイン、ケタミン(RまたはSケタミンを含む)、亜酸化窒素、フェンシクリジン
、リルゾール、チレタミン、メマンチン、ネラメキサン、ジゾシルピン、アプチガネル、
レマセミド(remacimide)、7−クロロカイヌレナート(7−chlorok
ynurenate)、DCKA(5,7−ジクロロキヌレン酸)、キヌレン酸、1−ア
ミノシクロプロパンカルボン酸(ACPC)、AP7、(2−アミノ−7−ホスホノヘプ
20
タン酸)、APV(R−2−アミノ−5−ホスホノペンタノアート)、CPPene(3
−[(R)−2−カルボキシピペラジン−4−イル]−プロプ−2−エニル−1−ホスホ
ン酸);(+)−(1S,2S)−1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−(4−ヒド
ロキシ−4−フェニルピペリジノ)−1−プロパノール);(1S,2S)−1−(4−
ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジノ
)−1−プロパノール);(3R、4S)−3−(4−(4−フルオロフェニル)−4−
ヒドロキシピペリジン−1−イル−)−クロマン−4,7−ジオール;(1R*、2R*
)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−(4−フルオロフェニル
)−4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−プロパノ−1−オール−メシレート);A
M−101、L−701324、デキストロメトルファン(dextrometorph
30
an)、エリプロディル、及び/又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されな
い。
【0129】
ENaC受容体モジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、ENaCチャンネルのモジュレーターであ
る。上皮性ナトリウムチャンネル(ENaC、非神経細胞性ナトリウムチャンネル1(s
odium channel non−neuronal 1)(SCNN1)またはア
ミロライド感受性ナトリウムチャンネル(ASSC))は、Li+イオン、プロトンおよ
びNa+イオンに対して透過性のある膜結合型のイオンチャンネルである。ENaCは、
+
極性化された上皮細胞の頂端膜に位置し、経上皮Na
40
イオン輸送に関係する。Na
+
/
K+−ATPアーゼもNa+輸送およびイオン恒常性に関係する。ENaCの活性のモジ
ュレーターの例は、一例として、鉱質コルチコイドアルドステロン、トリアムテレンおよ
びアミロライドを含む。
【0130】
カルシウムチャンネルモジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、カルシウムチャンネルのアゴニストまたは
アンタゴニストである。幾つかの実施形態において、カルシウムチャンネルアンタゴニス
トはシンナリジン、フルナリジンまたはニモジピンである。他のカルシウムチャンネル遮
50
(38)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
断薬は、限定されないが、ベラパミル、ジルチアゼム、オメガ‐コノトキシン、GVIA
、アムロジン、フェロジピン、ラシジピン、ミベフラジル、NPPB(5−ニトロ−2−
(3−フェニルプロピルアミノ)安息香酸)、フルナリジンおよび/またはそれらの組み
合わせを含む。
【0131】
カリウムチャンネルモジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、カリウムチャンネルのアゴニストまたはア
ンタゴニストである。幾つかの実施形態において、カリウムチャンネルのアゴニストはニ
コランジル;ミノキシジル、レブクロマカリム;レマカリム;クロマカリム;L−735
10
,334(14−ヒドロキシCAF−603オレアート);レチガビン;フルピルチン;
BMS−204352(3S)−(+)−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)−1,
3−ジヒドロ−3−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)−2H−インドール−2−オ
ン);DMP−543(10,10−ビス((2−フルオロ−4−ピリジニル)メチル)
−9(10H)−アントラセノン);又はそれらの組み合わせである。
【0132】
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)カリウムチャンネル活性を調節し、カリウムチャンネルのアンタゴニスト(
例えばカリウムチャンネル遮断薬)である。いくつかの実施形態において、カリウムチャ
ンネルのアンタゴニストは、リノピルジン;XE991(10,10−ビス(4−ピリジ
20
ニルメチル)−9(10H)−アントラセンオン);4−AP(4−アミノピリジン);
3,4−DAP(3,4−ジアミノピリジン);E−4031(4’−[[1−[2−(
6−メチル−2−ピリジル)エチル]−4−ピペリジニル]カルボニル]−メタンスルホ
ンアニリド);DIDS(4,4’−ジイソチオシアノスチルベン−2,2’−ジスルホ
ン酸);Way 123,398(N−メチル−N−(2−(メチル(1−メチル−1H
−ベンズイミダゾール(benzimidazol)−2−イル)アミノ)エチル)−4
−((メチルスルホニル)アミノ(ベンゼンスルホンアミドHCl);CGS−1206
6A(7−トリフルオロメチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)ピロロ−[1,
2−a]キノキサリン);ドフェチリド;ソタロール;アパミン;塩酸アミオダロン;ア
ジミリド;ブレチリウム;クロフィリウム;テジサミル;イブチリド;セマチリド;ニフ
30
ェカラント;又はそれらの組み合わせである。
【0133】
ナトリウムチャンネルモジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、ナトリウムチャンネルのアゴニストまたは
アンタゴニストである。幾つかの実施形態において、Na+チャンネル遮断薬は、ビンポ
セチン((3a,16a)−エブルナメニン −14−カルボン酸エチルエステル);シ
パトリギン(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−5−(2,3,5−トリクロロ
フェニル)−ピリミジン−4−アミン);アミロライド(3,5−ジアミノ−N−(アミ
ノイミノメチル)−6−クロロピペラジンカルボキサミドヒドロクロライド);カルバマ
40
ゼピン(5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−カルボキサミド);TTX(オクタヒ
ドロ−12−(ヒドロキシメチル)−2−イミノ−5,9:7,10a−ジメタノ(o−
10aH−[1,3]ジオキソシノ[6,5−d]ピリミジン−4,7,10,11,1
2−ペントール);RS100642(1−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−2−エ
チルアミノプロパンヒドロクロライド));メキシレチン((1−(2,6−ジメチルフ
ェノキシ)−2−アミノプロパンヒドロクロライド;QX−314(N−(2,6−ジメ
チルフェニルカルバモイルメチル)トリエチルアンモニウムブロミド);フェニトイン(
5,5−ジフェニルイミダゾリジン−2,4−ジオン);ラモトリジン(6−(2,3−
ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン−3,5−ジアミン);4030W92(
2,4−ジアミノ−5−(2,3−ジクロロフェニル)−6−フルオロメチルピリミジン
50
(39)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
);BW1003C87(5−(2,3,5−トリクロロフェニル)ピリミジン−2,4
−1.1 エタンスルホネート);QX−222(2−[(2,6−ジメチルフェニル)
アミノ]−N,N,N−トリメチル−2−オキソエタナミニウム(ethanimini
um)クロライド);アンブロキソール(trans−4−[[(2−アミノ−3,5−
ジブロモフェニル)メチル]アミノ]シクロヘキサノールヒドロクロライド);R568
65(N−[1−(4−(4−フルオロフェノキシ)ブチル]−4−ピペリジニル−N−
メチル−2−ベンゾ−チアゾールアミン);ルベルゾール;アジュマリン((17R,2
1アルファ)−アジュマラン−17,21−ジオール);プロカインアミド(4−アミノ
(amno)−N−(2−ジエチルアミノエチル)ベンズアミドヒドロクロライド);フ
レカイニド;リルゾール(riluzoleor);又はそれらの組み合わせである。
10
【0134】
AMPA受容体モジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、AMPA受容体アンタゴニストである。幾
つかの実施形態において、AMPA受容体に拮抗する薬剤は、CNQX(6−シアノ−7
−ニトロキノキサリン−2,3−ジオン);NBQX(2,3−ジヒドロキシ−6−ニト
ロ−7−スルファモイル−ベンゾ[f]キノキサリン−2,3−ジオン);DNQX(6
,7−ジニトロキノキサリン−2,3−ジオン);キヌレン酸;2,3−ジヒドロキシ−
6−ニトロ−7−スルファモイルベンゾ−[f]キノキサリン);又はそれらの組み合わ
せである。
20
【0135】
代謝型グルタミン酸受容体モジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、生化学的カスケードの活性化によってイオ
ンチャンネルの開放を間接的に制御する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、
薬剤は、mGlu受容体のモジュレーターである。
【0136】
グループII型mGlu受容体アゴニストである薬剤の例は、LY389795((−
)−2−チア−4−アミノビシクロ−ヘキサン−4,6−ジカルボキシラート;LY37
9268((−)−2−オキサ−4−アミノビシクロ−ヘキサン−4,6−ジカルボシラ
30
ート);LY354740((+)−2−アミノビシクロ−ヘキサン−2,6ジカルボキ
シラート);DCG−IV((2S,2’R,3’R)−2−(2’,3’−ジカルボキ
シシクロプロピル)グリシン);2R,4R−APDC(2R,4R−4−アミノピロリ
ジン−2,4−ジカルボキシラート)、(S)−3C4HPG((S)−3−カルボキシ
−4−ヒドロキシフェニルグリシン);(S)−4C3HPG((S)−4−カルボキシ
−3−ヒドロキシフェニルグリシン);L−CCG−I((2S,1’S,2’S)−2
−(カルボキシシクロプロピル)グリシン);などを含むが、これらに限定されない。グ
ループIII型mGlu受容体アゴニストである薬剤の例は、ACPT−I((1S,3
R,4S)−1−アミノシクロペンタン−1,3,4−トリカルボン酸);L−AP4(
L−(+)2−アミノ−4−ホスホノ酪酸);(S)−3,4−DCPG((S)−3,
40
4−ジカルボキシフェニルグリシン);(RS)−3,4−DCPG((RS)−3,4
−ジカルボキシフェニルグリシン);(RS)−4−ホスホノフェニルグリシン((RS
)PPG);AMN082(,N’−ビス(ジフェニルメチル)−1,2−エタンジアミ
ンジヒドロクロリド);DCG−IV((2S,2’R,3’R)−2−(2’,3’−
ジカルボキシシクロプロピル)グリシン);などを含むが、これらに限定されない。他の
mGlu受容体モジュレーターは、3,5−ジメチルピロール−2,4−ジカルボン酸2
−プロピルエステル4−(1,2,2−トリメチル−プロピル)エステル(3、5−ジメ
チルPPP);3,3′−ジフルオロベンザルダジン(DFB)、3,3′−ジムレトキ
シベンザルダジン(DMeOB)、3,3′−ジフルオロベンザルダジン(DCB)およ
びMol.Pharmacol.2003,64,731−740に開示の他のmGlu
50
(40)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
R5のアロステリックモジュレーター;(E)−6−メチル−2−(フェニルジアゼニル
)ピリジン−3−オール(SIB 1757):(E)−2−メチル−6−スチリルピリ
ジン(SIB 1893);2−メチル−6−(フェニルエチニル)ピリジン(MPEP
)、(2−メチル−4−((6−メチルピリジン−2−イル)エチニル)チアゾール(M
TEP);7−(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロマン(chromen)−
1α−カルボン酸エチルエステル(CPCCOEt)、N−シクロヘキシル−3−メチル
ベンゾ[d]チアゾロ[3,2−a]イミダゾール−2−カルボキサミド(YM−298
198)、トリシクロ[3.3.3.1]ノナニルキノキサリン−2−カルボキサミド(
NPS 2390);6−メトキシ−N−(4−メトキシフェニル)キナゾリン−4−ア
ミン(LY 456239)、ピラセタム、オキシラセタム、アニラセタム、プラミラセ
10
タム、フェニルピラセタム(カルフェドン(Carphedon))、エチラセタム(E
tiracetam)、レベチラセタム、ネフィラセタム、ニコラセタム(Nicora
cetam)、ロルジラセタム、ネブラセタム、ファソラセタム、コルラセタム、ジミラ
セタム、ブリバラセタム、セレトラセタム、ロリプラムなどを含むが、これらに限定され
ない。
【0137】
TRPV1モジュレーター
幾つかの実施形態において、活性薬剤は、(例えば、耳有毛細胞における、副鼻腔の上
皮における)イオンチャンネル活性を調節し、TRPV1アゴニストまたはアンタゴニス
トである。幾つかの実施形態において、TRPV受容体の1以上のアゴニストは、カプサ
20
イシン、レシニフェラトキシン、またはそれらの組み合わせである。
【0138】
他のイオンチャンネルモジュレーターは、プリン受容体モジュレーター、GABA受容
体モジュレーターなどを含む。米国出願第12/506,664号、第12/427,6
63号および第12/494,156号に記載されるイオンチャンネルモジュレーターは
、引用として本明細書に組み込まれ、本明細書に示される実施形態の範囲内にあるものつ
として熟考される。
【0139】
抗血管新生薬、
本明細書に開示された製剤とともに使用するために熟考されるのは、抗血管新生剤であ
30
る薬剤である。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、副鼻腔内の(
intrasinusoidal)及び/又は鼻の及び/又は鼻咽頭の領域において、抗
血管新生の徐放を可能にする。幾つかの実施形態において、抗血管新生剤は、VEGF1
及び/又はVEGF2受容体(複数可)のモジュレーターである。本明細書に記載の方法
において使用するのに適した抗血管新生剤の例は、ベバシズマブ、サリドマイド、リノミ
ド、TNP−470、マトリックスメタロプロテアーゼインヒビター、VEGFRアンタ
ゴニストなどを含むが、これらに限定されない。
【0140】
免疫抑制剤
本明細書に開示の製剤と共に使用するために熟考されるのは、免疫抑制剤である薬剤で
40
ある。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される製剤は、例えばヴェグナー肉
芽腫症のような疾病の長期的な処置のために影響を受けた領域における免疫抑制剤の徐放
を可能にする。
さらに、本明細書に記載の副鼻腔内の及び/又は鼻の及び/又は鼻咽頭の製剤は投薬頻度
を減らして投与され、それによって、長期処置が指摘される場合の患者の薬剤服用順守お
よび安心を改善する。免疫抑制剤の例は、シクロスポリン、6−MPおよびメトトレキサ
ートを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、免疫抑制剤は、グル
ココルチコイド受容体(例えば、限定されないが、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレ
ドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ト
リアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、アルドステロンなどを含む
50
(41)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
本明細書に記載の任意のグルココルチコイド)で作用する薬剤である。
【0141】
RNAi
幾つかの実施形態において、標的の阻害またはダウンレギュレーションが望まれる場合
(例えば、1以上のカルシニューリン、IKK、TACE、TLRまたはサイトカインを
コード化する遺伝子)、RNA干渉が利用される。いくつかの実施形態において、標的を
阻害またはダウンレギュレーションする薬剤は、siRNA分子である。特定の例におい
て、siRNA分子は、RNA干渉(RNAi)による標的の転写を阻害する。いくつか
の実施形態において、標的に相補的な配列を備えた二本鎖RNA(dsRNA)分子が、
(例えばPCRによって)生成される。いくつかの実施形態において、標的に相補的な配
10
列を備えた20∼25bpのsiRNA分子が生成される。いくつかの実施形態において
、20∼25bpのsiRNA分子は、各鎖の3’ヒドロキシル末端上に2∼5bpのオ
ーバーハング(overhang)、および3’末端および5’リン酸塩末端を有する。
いくつかの実施形態において、20∼25bpのsiRNA分子は、ブラントエンドを有
する。RNAを生成するための技術については、Molecular Cloning:
A Laboratory Manual、second edition(Sambr
ook et al.、1989)およびMolecular Cloning:
A Laboratory Manual、third edition(Sambro
ok and Russel、2001)、(本明細書に「Sambrook」として共
同で引用されている);Current Protocols in Molecula
20
r Biology(F.M.Ausubel et al.、eds.、1987、2
001を通じての補足を含む);Current Protocols in Nucl
eic Acid Chemistry John Wiley & Sons, In
c.、New York、2000)を参照、これらは、そのような開示のために引用と
して本明細書に組み込まれる。
【0142】
幾つかの実施形態において、dsRNAまたはsiRNA分子は本明細書に記載の徐放
製剤に組み込まれ、副鼻腔の及び/又は耳の空洞または構造体付近に、またはその付近で
注入される。
【0143】
30
特定の例において、dsRNAまたはsiRNA分子の投与の後、投与位置の細胞(例
えば、副鼻腔の経路の細胞、耳の有毛細胞)は、dsRNAまたはsiRNA分子で形質
転換される。形質転換に続く特定の例において、dsRNA分子は、約20∼25bpの
多数のフラグメントへと切断され、siRNA分子を与える。特定の例において、フラグ
メントは、各鎖の3’末端の上に約2bpのオーバーハングを有する。
【0144】
特定の例において、siRNA分子は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)
によって、2つの鎖(ガイド鎖および非ガイド鎖)に分割される。特定の例において、ガ
イド鎖は、RISCの触媒作用成分(つまり、アルゴノート)に組み入れられる。特定の
例において、ガイド鎖は、補足的な標的mRNA配列に結合する。特定の例において、R
40
ISCは、標的mRNAを切断する。特定の例において、標的遺伝子の発現はダウンレギ
ュレーションされる。
【0145】
幾つかの実施形態において、標的に相補的な配列は、ベクターに結合される。いくつか
の実施形態において、配列は2つのプロモータ間に配置される。いくつかの実施形態にお
いて、プロモータは反対方向で位置づけられる。いくつかの実施形態において、ベクター
は、細胞と連絡する。いくつかの例において、細胞は、ベクターで形質転換される。形質
転換に続くいくつかの例において、配列のセンス鎖および非センス鎖が生成される。特定
の例において、センス鎖および非センス鎖は、siRNA分子へと切断されるdsRNA
分子を形成するためにハイブリッド形成される。特定の例において、鎖は、siRNA分
50
(42)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
子を形成するためにハイブリッド形成される。いくつかの実施形態において、ベクターは
、プラスミド(例えば、pSUPER;pSUPER.neo;pSUPER.neo+
gfp)である。
【0146】
幾つかの実施形態において、ベクターは、徐放性のミクロスフェア若しくは微小粒子、
ヒドロゲル、リポソームまたは熱可逆性ゲルに組み込まれる。
【0147】
他の薬剤
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤で使用するのに適している薬剤は、
副鼻腔及び/又は鼻の通路及び/又は耳有毛細胞の内側を裏打ちする上皮細胞の活性を調
10
節する薬剤を含む。上皮細胞の活性を調節する薬剤の例は、限定されないが、PTEN経
路のモジュレーター;PPARのモジュレーター;EGFRのモジュレーター;限定され
ないが、TGFベータを含む成長因子、および線維芽細胞成長因子;及び/又は上皮細胞
付着のモジュレーターを含む。
【0148】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤で使用するのに適している薬剤は、
ケラチン(例えばアクチノマイシンD、ビタミンAなど)の合成及び/又は活性を調節す
る薬剤を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の副鼻腔内製剤で使用するの
に適している薬剤は、好酸球及び/又は炎症性のサイトカインを調節する薬剤を含む。好
酸球及び/又は炎症性のサイトカインの活性を調節する薬剤の例は、限定されないが、ロ
20
イコトリエン遮断薬(例えばモンテルカスト (monteleukast)、Sing
ulair(登録商標))、プロスタグランジンD2受容体(PGD2)モジュレーター
、リゾホスファチジン酸受容体(LPA)モジュレーター、5−リポキシゲナーゼ活性化
タンパク質(FLAP)モジュレーター、CRTH2(DP2)モジュレーターなどを含
む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の副鼻腔内製剤で使用するのに適してい
る薬剤は、カドヘリン(例えば、トリコスタチンA、ADH1(Molecular a
nd Cellular Neuroscience,28,2005,253−263
)、抗体sc−59778など)を調節する薬剤を含む。
【0149】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤と適合性の活性薬剤は、活性な神経
30
障害の処置のための神経毒を含む。そのような神経毒は、限定されないが、A型ボツリヌ
ス毒素(Botox(登録商標))、エラブトキシン、テトロドトキシン、バトラコトキ
シン、モーロトキシン、アジトキシン、カリブドトキシン、マーガトキシン、スロトキシ
ン、スキラトキシン、ヘフトキシン、カルシセプチン、タイカトキシン、カルシクルジン
、PhTx3などを含む)を含む毒液、チャンネル薬剤及び/又は神経薬剤を含む。幾つ
かの実施形態において、本明細書に記載の製剤と適合性の活性薬剤は、血管の及び/又は
前庭の反応抑制薬を含む。前庭の反応抑制薬の例は、限定されないが、メクリジン、アミ
トリプチン(amytriptyline);ドロペリドールおよび米国出願第12/4
86,697号に記載の他の血管の及び/又は前庭の反応抑制薬を含み、そこに記載の血
管の及び/又は前庭の反応抑制薬は、引用として明細書に組み込まれる。幾つかの実施形
40
態において、本明細書に記載の製剤と適合性の活性薬剤は、損傷を受けた耳感覚毛細胞の
再増殖を調節する薬剤を含む。幾つかの例において、WNT経路の調節は、損傷を受けた
耳感覚毛細胞の形態形成及び/又は再増殖を促進する。WNTシグナル伝達タンパク質は
、WNT1、WNT2、WNT2B、WNT3、WNT3A、WNT4、WNT5A、W
NT5B、WNT6、WNT7A、WNT7B、WNT8A、WNT8B、WNT9A、
WNT9B、WNT10A、WNT10B、WNT11またはWNT16など遺伝子によ
ってコード化されたタンパク質生成物を含む。WNT経路のモジュレーターは、制限され
ないが、2−アミノ−4−[3,4−(メチレンジオキシ)ベンジル−アミノ]−6−(
3−メトキシフェニル)ピリミジン、シグナル伝達分子ケルベロスなどを含む。
【0150】
50
(43)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
本明細書に記載の製剤と適合性の他の活性薬剤は、限定されないが、米国出願第第12
/427,663号、第12/466,310号、第12/472,034号、第12/
486,697号、第12/493,611号、第12/494,156号、第12/5
00,486号、第12/504,553号、第12/506,091号、第12/50
6,127号、第12/506,573号、第12/506,616号および第12/5
06,664号に記載の活性薬剤を含み、その中に記載された活性薬剤の開示は、引用と
して本明細書に組み込まれる。
【0151】
併用療法
抗菌剤と抗炎症剤
10
抗炎症剤と組み合わせた抗菌剤を含む組成物が、本明細書に示された実施形態の範囲内
で熟慮される。具体的な実施形態において、本明細書に記載の製剤は、抗炎症剤(例えば
本明細書に記載の任意の抗炎症剤)と組み合わせた抗菌剤(例えば本明細書に記載の任意
の抗菌剤)を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤はコルチコステロイ
ドと組み合わせた抗生物質(例えば本明細書に記載の任意の抗生物質)を含む。
【0152】
幾つかの実施形態において、抗生物質とコルチコステロイドを含む組成物には、活性薬
剤の各々のための異なる放出特性を有する。他の実施形態において、抗生物質とコルチコ
ステロイド薬剤を含む組成物には、活性薬剤の各々に対して、ほぼ同様の放出特性を有す
る。
20
【0153】
特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、デキサメタゾンと組み合わせた抗
生物質を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、メチルプレドニゾロ
ンまたはプレドニゾロンと組み合わせた抗生物質を含む。特定の実施形態において、本明
細書に記載の製剤は、デキサメタゾンと組み合わせたシプロフロキサシンを含む。特定の
実施形態において、本明細書に記載の製剤は、メチルプレドニゾロンまたはプレドニゾロ
ンまたはトリアムシノロンと組み合わせたシプロフロキサシンを含む。
【0154】
幾つかの実施形態において、抗生物質とコルチコステロイドを含む組成物は、1つまた
は両方の薬剤を、多微粒子(multiparticulates)(例えば、微粉化さ
30
れた活性薬剤)として含む。一例として、幾つかの実施形態において、水溶性のデキサメ
タゾンおよび低い水溶解性の多微粒子の形態のシプロフロキサシンを含む組成物は、少な
くとも3日間デキサメタゾンの持続放出を提供し、および少なくとも10日間シプロフロ
キサシンの持続放出を提供する。一例として、幾つかの実施形態において、低い水溶解性
のデキサメタゾンの多粒子の形態(例えば、微粉にした粒子)、およびシプロフロキサシ
ンの水溶性の形態を含む組成物は、少なくとも3日間シプロフロキサシンの持続放出を提
供し、少なくとも10日間デキサメタゾンの持続放出を提供する。一例として、幾つかの
実施形態において、低い水溶解性の形態デキサメタゾンの多微粒子(例えば、ミクロンサ
イズの粒子、ナノ粒子、大きさが一定でない(non−sized)粒子)、および低い
水溶解性を有するシプロフロキサシンの形態の多微粒子(例えばミクロンサイズの粒子、
40
ナノ粒子、大きさが一定でない粒子)を含む組成物は、少なくとも7日間各々の活性薬剤
の持続放出を提供する。
【0155】
併用療法に適している他の活性薬剤は、限定されないが、米国出願第12/427,6
63号、第12/466,310号、第12/472,034号、第12/486,69
7号、第12/493,611号、第12/494,156号、第12/500,486
号、第12/504,553号、第12/506,091号、第12/506,127号
、第12/506,573号、第12/506,616号および第12/506,664
号に記載される薬剤を含み、そこに記載の薬剤は、引用として本明細書に組み込まれる。
【0156】
50
(44)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
画像化装置
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の製剤は、処置されている疾病をモ
ニタリングする、または検査する、機械的装置または画像化装置と組み合わせて使用され
る。例えば、磁気共鳴映像(MRI)装置は、本明細書に記載の実施形態の範囲内である
と想定されており、ここで、MRIデバイス(例えば、3 Tesla MRIデバイス
)は、疾患の進行の評価をし、その後の、本明細書に開示の医薬製剤による処置を評価す
ることができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、ガドリニウムベ
ースの染料、ヨウ素ベースの染料、バリウムベースの染料などを含み、本明細書に記載の
任意の活性な障害の処置において使用され、及び/又は本明細書に記載の任意の機械的装
置または画像化装置、または方法(例えばCATスキャン)と共に使用される。そのよう
10
な製剤は、疾患の進行及び/又は製剤の浸透(例えば、製剤の内耳への正円窓膜を横切っ
た浸透及び/又は治療の有効性)の視覚化を可能にする。特定の実施形態において、三次
元リアル反転回復法(3D−real IR)及び/又は三次元フレアー法(fluid
−attenuated inversion recovery)(3D−FLAIR
)磁気共鳴画像法(MRI)、及び/又は、疾患の重症度(例えば鼻ポリープのサイズ)
、投与部位での製剤浸透、及び/又は製剤の治療効果を評価するための本明細書に記載の
任意の製剤と組み合わせて、造影剤(例えば、ガドリニウム水和物注入)が使用される。
幾つかの例において、本明細書に製剤は、処置の部位に対する十分な量の造影剤の送達を
容易にし、疾患の進行及び/又は製剤の浸透及び/又は製剤の治療効果の視覚化を可能に
する。
20
【0157】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、投与及び/又は処置の標的部
位への製剤の浸透の視覚化を高めるのを助けるための染料を含む。そのような実施形態の
いくつかにおいて、本明細書に記載の組成物と適合性である染料は、限定されないが、エ
バンスブルー、メチレンブルー、イソスルファンブルー、トリパンブルー、インドシアニ
ングリーンなどを含む。
【0158】
外科手術および移植
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、移植(例えば、人工内耳)
(例えば、その移植、その短期の使用、その長期の使用、またはその除去)と組み合わせ
30
て使用される。本明細書において使用されるように、移植は、医療用具を含み、その例は
、人工内耳、聴力付与デバイス、聴力改善デバイス、短電極、鼓膜切開チューブ、マイク
ロプロステーシスまたはピストン様プロステーシス;針;幹細胞移植;薬物送達デバイス
;任意の細胞ベースの治療;薬物送達ステント;カテーテル、バロン造鼻術;などを含む
。
【0159】
幾つかの実施形態において、手術と組み合わせた本明細書に記載の医薬製剤の投与は、
外部の活発な介入(例えば、外部デバイスの設置または手術)によって引き起こされる付
随的損傷(例えば、刺激、炎症及び/又は感染)を遅らせ、または予防する。幾つかの実
施形態において、活発な介入と組み合わせた本明細書に記載の医薬製剤の投与は、手術後
40
の及び/又は移植後の合併症(例えば、炎症、細胞障害、感染、骨新生(osteone
ogenesis)など)を減らし、または除く。いくつかの例においては、本明細書に
記載の製剤による手術の領域のかん流(perfusion)は、手術後のまたは移植後
の回復時間を短くする。1つの態様において、本明細書に記載の製剤、およびその投与の
様式は、手術中の、手術の前の、または手術の後の、またはそれらの組み合わせで、手術
の部位での、直接のかん流の方法に適用可能である。具体的な実施形態において、抗微生
物因子(例えばシプロフロキサシンなどの抗生物質)または抗炎症剤(例えばデキサメタ
ゾン、トリアムシノロンなどのコルチコステロイド)を含む本明細書に記載の製剤、また
はそれらの組み合わせは、手術(例えばコレステリン腫または中耳炎のための耳の手術)
と組み合わせて投与される。
50
(45)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0160】
滅菌
本明細書に開示される実施形態には、ヒトにおいて使用するための、本明細書に開示の
医薬製剤を滅菌するための手段および工程(process)が含まれる。目標は、感染
を引き起こす微生物を比較的含まない、安全な医薬品を得ることである。米国食品医薬品
局は、http://www.fda.gov/cder/guidance/5882
fnl.htmで利用可能な刊行物「Guidance for Industry: Sterile Drug Products Produced by Asepti
c Processing」において規制手引きを提供しており、それは、その全体が引
用によって本明細書に組み込まれる。
10
【0161】
本明細書で使用されるように、滅菌は、生成物または包装に存在する微生物及び/又は
発熱物質を破壊するか、または除去するために使用される工程を意味する。微生物を不活
性化するのに利用可能な方法としては、限定されないが、激しく熱を加えること、致死性
の化学物質、またはγ線を適用することが挙げられる。
【0162】
乾熱減菌法は、少なくとも121℃の温度での飽和水蒸気オートクレーブの使用、また
は乾熱滅菌(例えば、130−140℃の内部粉末温度で約3−11時間、または150
−180℃の内部温度で1−2時間、乾燥粉を加熱すること)を含む。ろ過滅菌は、溶液
から微生物を除去するために用いられる方法である。
20
【0163】
幾つかの実施形態において、製剤は最終的な滅菌にさらされる。言い換えれば、加圧滅
菌される製剤は、活性薬剤およびすべての賦形剤を含む。他の実施形態において、賦形剤
はすべて、乾熱減菌にさらされ、活性薬剤は別々に滅菌され;その後、活性薬剤と賦形剤
は無菌的に混合される。さらに他の実施形態において、活性薬剤は、別々に滅菌され(例
えば、乾熱滅菌、放射線照射滅菌、蒸気滅菌され)、他の賦形剤は滅菌ろ過され;その後
、無菌の活性薬剤および滅菌ろ過された溶液は無菌的に混合される。さらなる実施形態に
おいて、熱硬化性ポリマーを含む溶液中の活性薬剤の無菌の懸濁液は、熱硬化性ポリマー
および随意に第2の活性薬剤を含む第2の溶液と無菌的に混合される。
【0164】
30
幾つかの例において、従来から使用されている滅菌方法(例えば、熱処理(例えば、オ
ートクレーブでの)、γ線、ろ過)によって、製剤中のポリマー成分(例えば、熱硬化性
ポリマー成分)、および/または活性薬剤は、不可逆的に分解する。幾つかの例において
、膜(例えば、0.2μmの膜)を介するろ過による医薬製剤の滅菌は、その製剤が、に
するチキソトロピー性ポリマーを有するならば、不可能である。
【0165】
従って、本明細書には、滅菌の工程の間のポリマー成分及び/又は活性薬剤の分解を防
ぐ、医薬製剤を滅菌するための方法が提供される。幾つかの実施形態において、製剤用の
特定の緩衝液及び/又はpH領域と組み合わせた適切な熱硬化性ポリマーの使用によって
、治療剤及び/又はポリマー賦形剤がほとんどあまり分解されずに本明細書に記載の製剤
40
の高温の最終滅菌が可能となる。
【0166】
製剤中で使用する活性薬剤に依存して、任意の適切な緩衝剤が使用される。いくつかの
例において、温度がで上昇するにつれてTRISのpKaは約−0.03/℃小さくなり
、温度が上がるにつれPBSのpKaは約0.003/℃大きくなるため、華氏250℃
(摂氏121℃)でのオートクレーブ処理は、TRIS緩衝液中では顕著な下方へのpH
シフトを引き起こす(すなわち、より酸性になる)が、一方、PBS緩衝液中ではpHシ
フトは相対的にほとんど上がらず、従って、PBS中よりもTRIS中で、活性薬剤の加
水分解および/または分解がはるかに増える。活性薬剤及び/又は高分子成分の分解は、
緩衝液および熱感受性ポリマーの濃度の適切な組み合わせを使用することによって低減さ
50
(46)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
れる。
【0167】
特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の徐放製剤は、製剤1gあたり、約1
00コロニー形成単位未満、約60コロニー形成単位未満、約50コロニー形成単位未満
、約40コロニー形成単位未満、または約30コロニー形成単位未満の微生物因子を有す
る。本明細書に記載の無菌の製剤は、微生物を実質的に含まない。
【0168】
滅菌工程のさらなる態様は、微生物を殺して生じる副生成物を除去することである。発
熱物質除去(depyrogenation)工程によって、サンプルからそのような発
熱物質は除去される。エンドトキシンの分子の大きさが広範囲にわたってさまざまなため
10
、エンドトキシンの存在は、「エンドトキシン単位」(EU)で表わされる。1EUは、
E.coli LPSの100ピコグラムに相当する。ヒトは、わずか5EU/kg体重
の反応を生じる場合がある。特定の実施形態において、本明細書に記載の活性組成物は、
従来の許容可能なエンドトキシンレベル(例えば、5EU/被験体の体重1kg)と比較
して、より低いエンドトキシンレベルを有する(例えば、被験体の体重について、<5E
U/被験体の体重1kg、<4EU/被験体の体重1kg)。特定の実施形態において、
本明細書に記載の組成物は、実質的に発熱物質を含まない。
【0169】
pHおよび実際のモル浸透圧濃度
幾つかの実施形態において、本明細書に開示の医薬製剤は、体液(例えば、内耳環境内
20
の内リンパ及び/又は外リンパ、鞘空内髄液など)に適合性のあるイオン平衡を提供する
ために調剤される。
【0170】
本明細書で使用されるように、「実際のモル浸透圧濃度(容積モル浸透圧濃度/重量モ
ル浸透圧濃度)」または「送達可能なモル浸透圧濃度(容積モル浸透圧濃度/重量モル浸
透圧濃度)」は、ゲル化剤および/またはポリマー薬剤(例えば、ポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレンコポリマーなど)を除く活性薬剤とすべての賦形剤のモル浸透圧濃
度(容積モル浸透圧濃度/重量モル浸透圧濃度)を測定することによって決定されるよう
な、製剤のモル浸透圧濃度(容積モル浸透圧濃度/重量モル浸透圧濃度)を意味する。本
明細書に開示の製剤の実際のモル浸透圧濃度は、任意の適切な方法、例えば、Viega
30
s et.al.,Int.J.Pharm.,1998,160,157−162に記
載されるような凝固点降下法によって測定される。いくつかの例において、本明細書に開
示の製剤の実際のモル浸透圧濃度は、より高い温度で製剤のモル浸透圧濃度を決定するこ
とができる、蒸気圧浸透圧法(例えば、蒸気圧降下法)によって測定される。幾つかの例
においては、蒸気圧降下法は、例えば熱感受性ポリマーのゲル化温度のようなより高温で
、熱感受性ポリマーを含む製剤のモル浸透圧濃度の測定を可能にする。
【0171】
幾つかの実施形態において、標的作用部位(例えば、内耳の外リンパ、髄液、副鼻腔液
など)の浸透圧は、本明細書に記載の製剤の実際の浸透圧(すなわち、耳内の正円窓膜を
横切る、または浸透する物質の浸透圧)とほぼ同じである。
40
【0172】
本明細書に開示の耳用製剤の実際の浸透圧は、約100mOsm/kg∼約1000m
Osm/kg、約200mOsm/kg∼約800mOsm/kg、約250mOsm/
kg∼約500mOsm/kg、または約250mOsm/kg∼約320mOsm/k
g、または約250mOsm/kg∼約350mOsm/kg、または約280mOsm
/kg∼約320mOsm/kgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載
の製剤は、約100mOsm/L∼約1000mOsm/L、約200mOsm/L∼約
800mOsm/L、約250mOsm/L∼約500mOsm/L、約250mOsm
/L∼約350mOsm/L、約250mOsm/L∼約320mOsm/L、または約
280mOsm/L∼約320mOsm/Lの実際のモル浸透圧濃度を有する。幾つかの
50
(47)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
実施形態において、実際のモル浸透圧濃度は、緩衝液のモル浸透圧濃度、および水中のゲ
ル化されたポロクサマーの上清のモル浸透圧濃度の加法的な組み合わせとして推測される
。
【0173】
具体的な実施形態において、本明細書に記載の製剤の実際のモル浸透圧濃度は、細胞ベ
ースのアッセイにおいて測定される。モルモットから分離された赤血球によってみられた
モル浸透圧濃度は、溶血指数の関数として測定された。RBCは、濃度を変化させたポロ
クサマー溶液中に置かれた。食塩水中の10%のモルモットの赤血球0.5mLが、緩衝
液中のポロクサマー407溶液2.5mLへ加えられた。結果として生じる懸濁液は連続
的に希釈され、RBCの溶血指数が各々の溶液について記録された。溶血指数は、540
10
nmでの0.9%の生理食塩水の吸光度に対する540nmでのサンプルの吸光度の比と
して定義される。1の溶血指数は、RBCによってみられた「実際のモル浸透圧濃度」が
内耳の投与に適していることを示す。RBCは、適切な実際のモル浸透圧濃度で培地にお
いて無傷(intact)である(図28)。ポロクサマー溶液のモル浸透圧濃度はまた
、凝固点降下方法または蒸気圧法によって測定された。製剤の実際のモル浸透圧濃度は、
市販の浸透圧計を使用して測定され、値は溶血アッセイによって確認される。
【0174】
表10は、連続希釈の細胞ベースのアッセイと、凝固点降下法または蒸気圧法を用いる
直接測定によって測定される場合のモル浸透圧濃度の比較を示す。連続希釈法は、内耳環
境と適合性の実際のモル浸透圧濃度を予測する。
20
【0175】
【表2】
30
40
【0176】
幾つかの実施形態において、有用な製剤は、1以上のpH調節剤または緩衝剤も含む。
50
(48)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
適切なpH調節剤または緩衝剤は、酢酸塩、炭酸水素塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩
、リン酸塩、それらの薬学的に許容可能な塩、およびそれらの組み合わせまたは混合物を
含むが、これらに限定されない。本開示の特定の実施形態において、ゲル製剤に含まれる
緩衝剤の量は、ゲル製剤のpHが、体内の天然の緩衝系及び/又は体液の浸透圧に影響し
ないような量である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤のpHは、約3
.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5または7.0と、約7
.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11
.5または12.0の間である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤のp
Hは、約3.0から約12.0の間である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載
の製剤のpHは、約4.5から約10.0の間である。幾つかの実施形態において、本明
10
細書に記載の製剤のpHは、約3.5から約8.5の間である。幾つかの実施形態におい
て、本明細書に記載の製剤のpHは、約5.5から約8.0の間である。幾つかの実施形
態において、本明細書に記載の製剤のpHは、約6.5から約8.0の間である。幾つか
の実施形態において、本明細書に記載の製剤のpHは、約7.0から約7.8の間である
。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤のpHは、約7.0から約7.6の
間である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤のpHは、約7.0から約
7.4の間である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤のpHは、約7.
4から約7.8の間である。
【0177】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載するようなpH
20
および/または実際のモル浸透圧濃度を有し、約1μMと約10μMの間、約1mMと約
100mMの間、約0.1mMと約100mMの間、約0.1mMと約100nMの間の
濃度の活性な医薬成分を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、
本明細書に記載するようなpHおよび/または実際の浸透圧を有し、製剤中の活性成分の
重量で、約0.01%−約40%の間、約0.01%−約20%の間、約0.01%−約
10%の間、約0.01−約7.5%の間、約0.01%−約6%の間、約0.01%−
約5%の間、約0.1%−約40%の間、約0.1%−約30%の間、約0.1%−約2
0%の間、約0.1%−約10%の間、または約0.1%−約6%の間の濃度の医薬品活
性成分を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載
するようなpHおよび/または実際のモル浸透圧濃度を有し、製剤中の活性成分の重量で
30
、約1%−約40%の間、約5%−約40%の間、約10%−約40%の間、約15−約
40%の間、約10%−約30%の間、約10%−約20%の間、約15%−約25%の
間、または約20%−約30%の間の濃度の活性な医薬薬剤を有する。いくつかの実施形
態において、本明細書に記載の製剤は、本明細書に記載するようなpHおよび/または実
際のモル浸透圧濃度を有し、製剤中の活性薬剤の容積で、約1μg/mL∼約500μg
/mLの間、約1μg/mL∼約250μg/mLの間、約1μg/mL∼約100μg
/mLの間、約1μg/mL∼約50μg/mLの間、または約1μg/mL∼約20μ
g/mLの間の濃度の活性な医薬成分を含む。
【0178】
調整可能な放出特性
40
粒径
本明細書に記載の任意の製剤について、表面積を増加するため、及び/又は、製剤の溶
解特性を調節するため、及び/又は、一貫した平均粒径分布(PSD)(例えば、マイク
ロメートルの大きさの粒子、ナノメートルの大きさの粒子など)を維持するために、サイ
ズを小さくすること(size reduction)が使用される。幾つかの実施形態
において、本明細書に記載の任意の製剤は、多微粒子を含み、すなわち、複数の粒径(例
えば、微粉化した粒子、ナノサイズの粒子、大きさが一定ではない粒子、コロイド状粒子
)を有し、すなわち、この製剤は、多微粒子製剤である。幾つかの実施形態において、本
明細書に記載の任意の製剤は、1以上の多微粒子の(例えば、微粉化された)治療薬剤を
含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の任意の製剤は、微粉化された治療薬剤を
50
(49)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
含む。微粉化は、固体物質の粒子の平均直径を小さくする工程である。いくつかの実施形
態において、微粉化された固体中の粒子の平均直径は、約0.5μm∼約500μmであ
る。いくつかの実施形態において、微粉化された固体中の粒子の平均直径は、約1μm∼
約200μmである。いくつかの実施形態において、微粉化された固体中の粒子の平均直
径は、約2μm∼約100μmである。いくつかの実施形態において、微粉化された固体
中の粒子の平均直径は、約3μm∼約50μmである。幾つかの実施形態において、活性
薬剤の多微粒子の使用によって、多微粒子でないまたは水溶性の活性薬剤を含む製剤と比
較して、本明細書に記載の任意の製剤からの活性薬剤の持続放出および/または徐放が可
能となる。
【0179】
10
具体的な実施形態において、微粉化された活性薬剤を含む徐放医薬製剤を、それを必要
とする個体に投与するとき、微粉化された活性薬剤の粒子は、ゲルが摩滅した(erod
e)後さえ、活性薬剤のさらなる持続放出のためのデポー剤として役立つ。そのような実
施形態のうちの幾つかにおいて、微粉化された粒子は、活性な表面へ付着して残る。従っ
て、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法に適している徐放性の医薬製剤は
、実質的に高い濃度の微粉化された活性薬剤を含む。そのような実施形態のうちの幾つか
において、徐放性の医薬製剤は、微粉化された活性薬剤を含む懸濁液である。
【0180】
幾つかの例において、本明細書に記載の任意の製剤中の任意の粒子は、被覆された、ま
たは被覆されていない粒子(例えば、被覆された微粉化された粒子、ナノ粒子)および/
20
またはミクロスフェア(microsphere)および/またはリポソーム粒子である
。粒径を小さくする技術としては、一例として、粉砕、製粉(例えば、空気摩擦による製
粉(ジェットミルによる製粉)、ボールミルによる製粉)、コアセルベーション、複合コ
アセルベーション、高圧均質化法、スプレー乾燥および/または超臨界流体による結晶化
が挙げられる。いくつかの例において、粒子は、機械的衝撃(例えば、ハンマーミル、ボ
ールミルおよび/またはピンミルによる)によって大きさが調節される。いくつかの例に
おいて、粒子は、流体エネルギー(例えば、スパイラルジェットミル、ループジェットミ
ル、および/または流動床型ジェットミルによる)によって大きさが調節される。
【0181】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、結晶性粒子および/または等方
30
性粒子を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、アモルファス粒子
および/または異方性粒子を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
、治療薬剤が、治療薬剤の遊離塩基、または塩、またはプロドラッグ、またはこれらの任
意の組み合わせである治療薬剤粒子を含む。
【0182】
図2に示されるように、多微粒子の(例えば、微粉化された)活性薬剤を含む組成物は
、非微粒子の及び/又は水溶性の活性薬剤を含む組成物と比較して、より長い期間にわた
る持続放出を提供する。幾つかの例において、多微粒子、及び/又はあまり水溶性でない
活性薬剤は、遅い分解によって活性薬剤の安定した供給(例えば、+/−20%)を提供
し、活性薬剤のためのデポー剤として役立ち;そのような貯蔵効果は、耳内での活性薬剤
40
の滞留時間を増加させる。特定の実施形態において、組成物中の熱感受性ポリマー成分の
量と組み合わせる活性薬剤(例えば微粉化された活性薬剤)の適切な粒径および溶解度(
水である)の選択は、数時間、数日、数週または数か月の期間の活性薬剤の放出を可能に
する調整可能な持続放出特性を与える。
【0183】
溶解度
本明細書に記載の製剤からの活性薬剤の放出特性は、生体の及び/又は水性の媒体内で
の活性薬剤の溶解度を変更することにより調整される。活性薬剤の放出を拡張するための
1つの手法は、可溶性の活性薬剤を非可溶性にすることである。生体液及び/又は体液中
の薬物の溶解度は、不溶性であるか、または薬剤単独または薬物の異なる塩より低い溶解
50
(50)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
度を有する、薬理学的に許容可能な塩の選択によって変更される。特定の例において、生
体液及び/又は体液中の薬物の溶解度は、不溶性であるか、または他の塩形態若しくは薬
物単独より低い溶解度を有する、結晶性の塩の形態(多形体)の選択によって変更される
。
【0184】
一例として、陰イオン薬物(例えば、カルボン酸、リン酸、硫酸などのような酸性部分
を有する活性薬剤)の場合、可溶性の薬物は、周期表の第1族の金属イオンン(例えば、
ナトリウムまたはカリウム)からの対イオンを、周期表の第2族(例えばカルシウムまた
はマグネシウム)または他の多価の陽イオン(例えば、鉄、亜鉛、バリウム、セシウムな
ど)からの対イオンへと交換することによって、生体液及び/又は液体において不溶性で
10
あるか、または難溶性とされる。一例として、オリゴヌクレオチドの陰イオンの薬物(例
えば、アリカホルセン(alicaforsen))は、そのカルシウム塩の形成によっ
て、生体液及び/又は体液中で不溶性であるか、または難溶性とされる。一例として、タ
ンパク質(例えばインスリン)は、その亜鉛塩の形成によって、生体液及び/又は体液中
で不溶性であるか、または難溶性とされる。
【0185】
一例として、陽イオンの薬物(例えば、1級、2級、又は3級の脂肪族又は芳香族アミ
ンを含む活性薬剤)に対して、可溶性の薬物は、アミン部分の少なくとも1つのpKaで
、またはそのpKaより上で製剤すること(formulating)により、生体液及
び/又は体液中で不溶性であるか、または難溶性とされる。一例として、薬剤中のアミン
20
部分についてpKa∼5に対して、pH>5で製剤することは、生体液及び/又は体液中
で薬物の溶解度を減少させる。一例として、メクリジンは、2つのアミン基(pKa∼5
および9)によって水に溶けないが、溶液のpHがpH5.5以下に維持されるとき、そ
れは容易にポロクサマー製剤中で可溶性になり、それは、pH6より上でポロクサマー製
剤中で不溶性である。一例として(活性薬剤が陽イオンの薬剤(例えば、pKa∼5の少
なくとも1つのアミン部分を有する薬剤)であるとき、pH4.5のポロクサマーゲル製
剤は、pH7.4でのポロクサマー製剤と比較して、より小さい平均溶解解時間(MDT
)を有する。
【0186】
さらに、活性薬剤の溶解度を変えることはまた、熱感受性ゲルの特性に影響を与え得る
30
。一例として、アミトリプチリンは水溶性(100mg/mL以上)で、ポロクサマー製
剤のゲル化温度を上昇させる。(例えばプロドラッグの形成によって)アミトリプチリン
の溶解度を低減することによって、ポロクサマー製剤のゲル化温度の調整が可能となる。
【0187】
さらに、陽イオンの薬物(例えば、1以上のアミン部分を有する薬物)は、鉱酸塩(例
えば、塩化水素酸または硫酸塩)からのそのような薬物の塩を、小さなサイズから中間の
サイズの有機酸の塩(例えばシトラート、マレイン酸エステル、ニコチナート、またはベ
シル酸塩besylate salt)など)に交換することによって、生体液及び/又
は体液中で不溶性であるか、または難溶性とされる。一例として、酢酸デキサメタゾンは
、生体液及び/又は体液中でデキサメタゾン塩酸塩ほど可溶性ではない。一例として、水
40
溶性活性薬剤は、10mg/mL以上の溶解度を有する。体液及び/又は生体液中で難溶
性または不溶性とされる活性薬剤は、10mg/mL未満、1mg/mL未満または0.
1mg/mL未満の水溶解度を有する。活性薬剤及び/又はその任意の塩の放出特性は、
本明細書に記載のインビトロのおよびインビボの手順を使用して比較される。
【0188】
活性薬剤の溶解及び/又は放出特性を制御するための第2の手法は、生体液及び/又は
体液中で活性薬剤の溶解を遅らせる錯体形成薬剤と活性薬剤の複合体を形成することであ
る。そのような錯体形成薬剤の例は、クリプタンド(例えば[2.2.2]クリプタンド
、ジアザ−18−クラウン−6)、シクロデキストリン、クラウンエーテルなど(例えば
12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラ
50
(51)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ウン−6など)などを含むが、これらに限定されない。更なる例において、一例として、
陰イオンの活性薬剤、陽イオンの(例えば、アミンベースの)活性薬剤および両性イオン
の活性薬剤は、ポリマー(例えばヒアルロン酸)、不溶性有機化合物(例えば、リン脂質
などの界面活性剤)または多価金属イオン(例えば、セシウム、カルシウム、マグネシウ
ム、鉄、亜鉛などを有する多重結合錯体)との錯体形成によって、生体液及び/又は体液
中で不溶性であるか、または難溶性とされる。一例として、ウシ血清アルブミン(BSA
)またはゼラチン部分を有するタンパク質(例えばインスリン)の錯体コアセルベーショ
ン(complex coacervation)は、本明細書に記載の製剤からのタン
パク質の溶解及び/又は放出特性を変化させる。
【0189】
10
一例として、内耳及び/又は耳の骨格内における外リンパに到達する、全身的に投与さ
れた(例えば、経口、あるいは静脈内に投与された)ビスホスホネートの量は、リセドロ
ネート(rosidronate)について約0.6ng/日であり、およびゾレドロン
酸について約0.1ng/日であり、蝸牛の機能を変更する。本明細書に記載の製剤は、
全身性の経路を介して投与されるビスホスホネートと比較して、外リンパ及び/又は活性
な嚢(active capsule)により、治療上有効な量のビスホスホネートを送
達し、従って、ビスホスホネートの毒性を低減する。一例として、ゾレドロネートの持続
放出性製剤(例えば、カルシウムイオンとゾレドロネートの錯体を含む製剤)は、(例え
ば送達部位におけるカルシウム欠乏によって)蝸牛の機能を変更することができる、より
高量のゾレドロネートによって引き起こされる任意の毒性を低減する治療上有効な量のゾ
20
レドロネートを放出する。図6は、カルシウムとゾレドロネートの錯体を含む16%のP
407製剤に対する、ゾレドロネートを含む16%のP407製剤のインビトロの平均溶
解時間(MDT)の比較を示す。カルシウムとの錯体形成は、ゾレドロネートの平均溶解
時間を2時間から8時間に増加させる。
【0190】
本明細書に記載の製剤からの活性薬剤の放出特性を調整するさらに別の手法は、活性薬
剤の塩または遊離塩基と、高分子電解質(例えば、ポリ(ナトリウムスチレンスルホネー
ト)、ポリアクリル酸、ポリアミンなど)との複合体を形成する(complex)こと
である。高分子電解質と活性薬剤の塩または遊離塩基の間のイオン相互作用は、生体液及
び/又は体液中で活性薬剤の溶解特性を変更する。一例として、生体の及び/又は水性の
30
媒体中の遺伝物質の溶解度は、陽イオンポリマーの付加及び/又は陽イオンミセルの形成
によって変更される。活性薬剤およびその錯体の放出特性は、本明細書に記載のインビト
ロのおよびインビボの手順を使用して比較される。
【0191】
本明細書に記載の製剤からの活性薬剤の放出特性を持続するためのさらなる手法は、活
性薬剤のプロドラッグを使用することである。活性薬剤(陰イオン、陽イオン、両性イオ
ン、または中性)は、薬剤単独より生体の及び/又は水性の媒体中で不溶性または難溶性
であるプロドラッグを形成することによって、生体の及び/又は水性の媒体中で不溶性ま
たは難溶性とされる。そのようなプロドラッグは、親薬物に、部分(例えば、エステル、
または、安息香酸、アミン、脂肪酸、環式または芳香族酸またはアルコールのようなかさ
40
高いまたは水不溶性のアミド、ポリマー鎖など)を共有結合することによって形成される
。活性薬剤およびそのプロドラッグの放出特性は、本明細書に記載のインビトロのおよび
インビボの手順を使用して比較される。
【0192】
活性薬剤の溶解特性及び/又は放出特性を調整するためのさらなる方法は、特定の徐放
性賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
など)で活性薬剤の粒子をコーティングすることである。一例として、活性薬剤は微粉に
され、微粉化された粒子は、徐放性賦形剤でコーティングされ;コーティングされた活性
薬剤粒子は、その後、本明細書に記載の組成物のいずれか中に製剤される。
【0193】
50
(52)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
活性薬剤の濃度
活性薬剤の放出特性は、製剤中の活性薬剤の濃度を変えることにより調整される。一例
として、活性薬剤の増加した濃度では、a)(外リンパで測定される場合)内耳に達した
最初の薬物濃度は高く、b)曝されている期間増加する。図3は、ポロクサマーゲルに調
剤された場合の、薬剤の用量比例効果(dose proportionality e
ffect)を示す。図4は、放出動態アッセイにおけるインビトロの用量比例効果を示
し、薬物濃度を増加させることは、平均溶解時間の増加に関係する。製剤中の活性薬剤濃
度の増加は、耳の中の活性薬剤の滞留時間及び/又はMDTを延長する。いくつかの実施
形態において、本明細書に記載の製剤からの活性薬剤に関するMDTは、約30時間から
約48時間までである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤からの活性
10
薬剤に関するMDTは、約30時間から約96時間までである。製剤の平均溶解時間(M
DT)とP407(PF−127、Pol−407、Pluronic−127としても
知られる)の濃度との間の直線相関は、活性薬剤は、ポリマーゲル(ポロクサマー)のエ
ロージョンによって放出され、拡散を介さないことを示している。非線形の相関は、拡散
及び/又はポリマーゲルの変質の組み合わせによる活性薬剤の放出を示す。
【0194】
MDTは、本明細書に記載の組成物からの活性薬剤の放出速度に反比例する。実験的に
、放出された活性薬剤は、以下のKorsmeyer−Peppas方程式に随意にあて
はめられる。
【0195】
【数1】
20
【0196】
ここで、Qは時間tにおいて放出される活性薬剤の量であり、Qαは活性薬剤の全放出
量であり、kはn次の放出定数であり、nは溶解機構に関する無次元数であり、bは軸切
30
片であり、n=lがエロージョン抑制機構を特徴づける初期バースト放出機構を特徴づけ
ている。平均溶解時間(MDT)は、薬物分子が放出前にマトリクス内にとどまっている
異なる時間間隔の和を分子の総数で除したもので、次の式によって随意に算出される。
【0197】
【数2】
40
【0198】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤からの活性薬剤に関するMDTは
、約30時間から約1週までである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製
剤に関するMDTは、約1週から約6週までである。いくつかの実施形態において、本明
細書に記載の製剤からの活性薬剤に関する平均滞留時間(MRT) は、約20時間から
約48時間までである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤からの活性
薬剤に関するMRTは、約20時間から約96時間までである。いくつかの実施形態にお
いて、本明細書に記載の製剤からの活性薬剤に関するMRTは、約20時間から約1週ま
でである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤からの活性薬剤に関する
50
(53)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
MRTは、約1週から約6週までである。
【0199】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の中間または最終の耳の製剤は、乾燥した
耳の状態または湿った耳の状態において活性薬剤の治療レベルを維持することを可能にす
る。一例として、シプロフロキサシン、約40−60%の熱可逆性ポリマー、緩衝液、お
よびエタノールのようなさらなる溶媒を含む、本明細書に記載の製剤は、少なくとも7日
の間シプロフロキサシンの徐放を提供し、および中耳流体において検知される薬物レベル
は、最小阻止濃度(MIC)と同じ、またはそれより高く、すなわち、そのような製剤は
、少なくとも7日の間、中耳流体(MEF)において1μg/mLを超えるシプロフロキ
サシン濃度を提供する。他の例において、デキサメタゾン、約40−60%の熱可逆性ポ
10
リマー、緩衝液、およびエタノールのようなさらなる溶媒を含む、本明細書に記載の製剤
は、少なくとも7日の間、デキサメタゾンの徐放を提供し、中耳流体において検知される
薬物レベルは、少なくとも7日の間、1−40mcg/mLを超える。図15−19は、
製剤が中耳に投与されるときの、本明細書に記載の製剤からの耳用薬剤の徐放特性を示す
。図20は、Ciprodex(登録商標)の放出特徴と比較した時の、本明細書に記載
の製剤の徐放特徴を示す。図21は、耳の溶液(Ciprodex(登録商標))および
本明細書に記載の製剤に関する治療上の有効性の比較を示し、本明細書に記載のゲル製剤
の投与時に起こる最小の聴力シフトを示す。
【0200】
ゲル強度
20
活性薬剤のゲル強度および濃度は、組成物から活性薬剤の放出動態(例えば、平均溶解
時間)に影響を与える。例えば、低いポロクサマー濃度では、排出速度は加速される(平
均溶解時間(MDT)はより低い)。図5は、高い溶解度対低い溶解度の、および溶液製
剤対ゲル製剤の、インビトロの平均溶解時間を示す。
【0201】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤からのポロクサマーに関するMD
Tは、少なくとも6時間である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤か
らのポロクサマーに関するMDTは、少なくとも10時間である。いくつかの実施形態に
おいて、本明細書に記載の製剤からポロクサマーのためのMDTは、少なくとも24、4
8、60、100、150または250時間である。MDTは、本明細書に(例えば、実
30
施例6に)記載の技術を使用して測定される。図7は、特定の製剤に関するMDTを示す
。
【0202】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の製剤に関する外リンパにおける活
性薬剤の平均滞留時間(MRT)は、約5、7、10、15、20、24、36、48、
60または80時間と、約100、200、300、400、500または600時間の
間にある。図8は、モルモットにおける中耳内注入後の特定の製剤からの、デキサメタゾ
ン(Dex)、リン酸デキサメタゾンナトリウム(DSP)および酢酸デキサメタゾン(
DA)に関するMRTを示す。図9は、モルモットにおける中耳内注入後の特定の製剤か
らの、可溶型のメチルプレドニゾロン(MPS)および不溶型のメチルプレドニゾロン(
40
MP)に関するMRTを示す。図10は、モルモットにおける中耳内注入後の17%のポ
ロクサマー407製剤中の0.6%のL−701324に関するMRTを示す。図11は
、モルモットにおける中耳内注入後の17%のポロクサマー407製剤中の0.5%のS
P−600125に関するMRTを示す。図12は、モルモットにおける中耳内注入後の
17%のポロクサマー407製剤中の2%のメクリジンに関するMRTを示す。
【0203】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、微粒子(micropart
iculates)または微粉化された活性薬剤の溶液であり、熱感受性ポリマー成分を
実質的に含まない。そのような実施形態の幾つかにおいて、組成物は、基本的に活性薬剤
の即時放出を提供する。他の実施形態において、熱感受性ポリマー成分を実質的に含まな
50
(54)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
い微粒子または微粉化された活性薬剤の懸濁液は、活性薬剤の中間の徐放を提供する。特
定の他の実施形態において、微粒子または微粉化された活性薬剤および熱感受性ポリマー
を含む製剤は、活性薬剤の持続された徐放を提供する。本明細書で使用されるように、活
性薬剤の即時放出は、約5時間未満で製剤からの活性薬剤の放出を実質的に終えると言わ
れる。本明細書で使用されるように、徐放は、例えば、少なくとも2、3、5、7、14
、21、28日、または少なくとも1、2、3、4、5または6か月、または1年にわた
る活性薬剤の徐放のような、製剤からの活性薬剤の持続放出を指す。
【0204】
幾つかの実施形態において、本明細書に提供される医薬製剤は、少なくとも1日の間、
活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形
10
態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも2日の間、活性薬剤(例えば
、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明
細書で提供される医薬製剤は、少なくとも2日の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロ
イド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される
医薬製剤は、少なくとも3日の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)
の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、医薬製剤、本明細書で提供されたもの、
提供する、少なくとも4日の期間の活性薬剤(例えばコルチコステロイド(抗生物質))
に徐放幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも5日の
間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実
施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも6日の間、活性薬剤(例
20
えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、
本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも7日の間、活性薬剤(例えば、コルチコス
テロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供さ
れる医薬製剤は、少なくとも8日の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物
質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、
少なくとも9日の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供
する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも10日
の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの
実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも2週間の間、活性薬剤
(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態におい
30
て、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも3週間の間、活性薬剤(例えば、コル
チコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で
提供される医薬製剤は、少なくとも4週間の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド
、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬
製剤は、少なくとも5週間の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の
徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なく
とも7日の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも6週間の間、
活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形
態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも7週間の間、活性薬剤(例え
40
ば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本
明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも8週間の間、活性薬剤(例えば、コルチコス
テロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供さ
れる医薬製剤は、少なくとも3か月の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生
物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は
、少なくとも4か月の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を
提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも5
か月の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つ
かの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも6か月の間、活性
薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態に
50
(55)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
おいて、本明細書で提供される医薬製剤は、少なくとも7か月の間、活性薬剤(例えば、
コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細
書で提供される医薬製剤は、少なくとも8か月の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロ
イド、抗生物質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される
医薬製剤は、少なくとも10か月の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物
質)の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬製剤は、
少なくとも12か月の間、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗生物質)の徐放を
提供する。
【0205】
放出特性はまた、共結晶の形成(ノルフロキサシンは共結晶を形成すると知られている
10
、Crystal Growth & Design,Vol.6,No.12,200
6 Basavoju et al.)によって変えることができる。例として、シプロ
フロキサシンの遊離塩基は、デキサメタゾンと共結晶を形成し、それは、共結晶の放出を
変える。16%のP407中のシプロフロキサシン(Cipro)/デキサメタゾン(D
ex)またはリン酸デキサメタゾン(DSP)の懸濁液のMDTは、以下の表に見られる
ように、共結晶または包接結晶の形成によって操作される。
【0206】
【表3】
20
30
【0207】
上に記載されるように、溶液または懸濁液またはゲルの製剤からの活性薬剤の放出特性
は、調整可能である。従って、特定の実施形態において、微粒子または微粉化された活性
薬剤の懸濁液は、中間の(intermediate)徐放または持続された徐放を提供
する。特定の実施形態において、熱感受性ポリマー、および微粒子または微粉化された活
性薬剤を含む組成物は、中間の持続された徐放または持続された徐放を提供する。特定の
実施形態において、活性薬剤の溶液は、即時放出または中間の徐放を提供する。
【0208】
40
体内分布
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤からの薬剤のインビボの分布は、受
動拡散によって支配される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の熱感受性ゲル
を含む製剤は、活性薬剤のほぼ一様な分布を好都合に可能にし、インビボでの薬物曝露の
ばらつきを低減する。例えば、熱感受性ポリマーを含んでいないデキサメタゾンの溶液は
、蝸牛内の活性薬剤の不均等分布(大きな勾配)を提供する。図13は、熱感受性ポリマ
ーを含む製剤の投与時の蝸牛内でのデキサメタゾンのほぼ一様な分布、および中耳内注入
後の熱感受性ポリマーを含んでいないデキサメタゾン溶液の投与時の蝸牛内のデキサメタ
ゾンの不均等分布を示す。
【0209】
50
(56)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
薬物動態
本明細書に記載の製剤から放出された活性薬剤の薬物動態の特性は、ビヒクルの性質に
依存する(例えば、熱感受性ポリマーを含んでいない水溶液に対する熱感受性ポリマーを
含む水溶液)。さらに、活性薬剤の薬物動態の特性は、上に記載されるような活性薬剤の
物理化学的性質に依存する。従って、適切な熱感受性ポリマービヒクルおよび薬剤の物理
化学的性質の組み合わせは、最適化された放出特性を提供する。一例として、17%のポ
ロクサマー407製剤に関して、デキサメタゾンかメチルプレドニゾロンのいずれかが水
溶性塩(すなわち、それぞれ、DSPおよびMPS)として存在する場合、MDTの値は
、約3時間である。しかしながら、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロンの水不溶
性の形態(例えば、DEX、DAおよびMP)のMDTの値は、40から71時間の範囲
10
である。一例として、DSP水溶液は、0.3時間のMDTを有し、一方、水中の微粉化
されたDEX懸濁液は、44時間のMDT値を有する。
【0210】
幾つかの実施形態において、薬物の溶解度は、製剤の中で使用されるビヒクルにかかわ
らず薬物動態を調節する。一例として、モルモットにおける水溶性のビヒクルまたはヒド
ロゲルビヒクルのいずれかの中のDSPの中耳内の投与は、制限された内耳の曝露(AU
Cは28から57μg.h/mlまでの範囲)および内耳区画(inner ear c
ompartment)からの迅速な排出(4−7時間のMRT)を引き起こした。しか
しながら、水溶性かヒドロゲルのいずれかのビヒクル中の難溶性の薬剤(すなわち、DE
XまたはDA)の投与は、外リンパにおけるより高いデキサメタゾン曝露(84−359
20
μg.h/mlのAUC)および延長された滞留時間(MRT 17−82時間)を導い
た。
【0211】
一例として、メチルプレドニゾロンの内耳特性は、可溶形態(MPS)および水不溶性
形態(MP)を用いることによって調整可能である。外リンパ内のメチルプレドニゾロン
レベルは、モルモットにおけるMPSヒドロゲルの中耳内投与後に、6.5μg/mlで
急速にピークに達し、3日以内にピークレベルの数分の1(0.8−1.0%)まで減少
した(decreased to a fraction of the peak l
evels)。対照的に、難溶性のMPを含む製剤の投与は、結果としてより高いピーク
レベル(19.2μg/ml)となり、10日間にわたってゆっくり減少した。
30
【0212】
従って、特定の実施形態において、ビヒクルの性質および組成物、および製剤中に存在
する薬物の水溶解度の程度は、標的領域の平均滞留時間及び/又は曝露のような薬物動態
のパラメータに影響を与える。
【0213】
特定の例において、一旦薬の薬物曝露(例えば、外リンパ、副鼻腔液、脳脊髄液などの
中の濃度)が、定常状態に達すると、薬物の濃度は、拡張された期間(例えば、1日、2
日、3日、4日、5日、6日、あるいは1週、3週、6週、2か月)の間、その治療量で
、またはその治療量あたりでとどまる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の徐
放製剤から放出された活性薬剤の定常状態の濃度は、徐放製剤でない製剤から放出された
40
活性薬剤の定常状態の濃度の約5倍から約20倍である。幾つかの実施形態において、本
明細書に記載の徐放製剤から放出された活性薬剤の定常状態濃度は、徐放製剤でない製剤
から放出された活性薬剤の定常状態の濃度の約20倍から約50倍である。
【0214】
具体的な実施形態において、本明細書に記載の任意の製剤は、少なくとも7日、少なく
とも10日、少なくとも2週、少なくとも4週、少なくとも6週、少なくとも8週、少な
くとも12週または少なくとも16週の間、活性薬剤の持続放出を提供する。
【0215】
医薬製剤
本明細書には、少なくとも1つの活性薬剤と、薬学的に許容可能な希釈剤(複数可)、
50
(57)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
賦形剤(複数可)または担体(複数可)とを含む医薬製剤が提供される。
【0216】
熱感受性ゲル
ポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレンで構成されるポリマーは、水溶液に取
り込まれると、熱感受性ゲルを形成する。これらのポリマーは、体温に近い温度で液体状
態からゲル状態へと変化する能力を有し、それ故、標的とする構造体(複数可)に有用な
製剤を適用することを可能にする。液体状態とゲル状態の相転移(ゲル化温度)は、ポリ
マー濃度、緩衝液濃度、および溶液中の成分に依存する。幾つかの実施形態において、本
明細書に記載の組成物に適している熱感受性ゲルは、ポリオキシプロピレンおよびポリオ
キシエチレンのポリマーを含む水性ゲルである。
10
【0217】
ポロクサマーは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの合成ブロックポリマーであ
る。ポロクサマー407(PF−127、P407)は、ポリオキシエチレン−ポリオキ
シプロピレンコポリマーから成る熱可逆性ポリマーである。他のポロクサマーとしては、
124、188(F−68グレード)、237(F−87グレード)、および338(F
−108グレード)が挙げられる。ポロクサマーの水溶液は、酸、アルカリ、金属イオン
存在下で安定である。PF−127(またはP407)は、平均分子量が13,000の
、市販されているポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマーで
ある。このポリマーは、ポリマーのゲル化性を増強する適切な方法によってさらに精製さ
れることができる。このポリマーは、約70%のエチレンオキシドを含有し、この部分が
20
、その親水性を与える。このポリマーは、ポロクサマーABAブロックコポリマーの一種
(one of the series)であり、そのメンバーは、以下に示す化学式を
共有している。
【0218】
【化1】
30
【0219】
ポロクサマーは、いくつかのタイプにおいて入手可能であり、約2000から約150
00までの範囲の異なる分子量を有する。α−ヒドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチ
レン)a(ポリ(オキシプロピレン)bポリ(オキシエチレン)aブロックコポリマーは
、以下に示すような、aおよびbの異なる割合を含む:
【0220】
【表4】
40
50
(58)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0221】
特定の実施形態において、本明細書に記載の熱感受性ゲル製剤は、ポロクサマーを含む
。具体的な実施形態において、本明細書に記載の熱感受性ゲル製剤は、P407を含む。
身体と接触させて配置すると、そのようなゲル調製物は、半固体構造を形成し、徐放性の
デポ剤を形成する。更に、ポロクサマー(例えば、P407)は、よい可溶化能力、低毒
性を有しており、生体適合性である。
【0222】
代替的な実施形態において、熱感受性ゲルは、PEG−PLGA−PEGトリブロック
コポリマーを含む(Jeong et al,Nature(1997),388:86
0−2;Jeong et al,J.Control.Release(2000),
10
63:155−63; Jeong et al, Adv. Drug Deliv
ery Rev.(2002),54:37−51)。このポリマーは、約5%w/wか
ら約40%w/wまでの濃度にわたってゾル−ゲル反応(sol−gel behavi
or)を示す。望ましい性質に依存して、PLGAコポリマー中のラクチド/グリコリド
のモル比は、約1:1∼約20:1の範囲内である。得られるコポリマーは、水に可溶性
であり、室温では自由に流動する液体を形成するが、体温ではゲルを形成する。
【0223】
ReGel(登録商標)は、米国特許第6,004,573号、第6,117,949
号、第6,201,072号、および第6,287,588号に記載されているような可
逆的な熱ゲル化性を有する、1つのクラスの低分子量の生分解性ブロックコポリマーに対
20
するMacroMed Incorporatedの商標名である。それはまた、未決定
の米国特許出願第09/906,041号、第09/559,799号および第10/9
19,603号に開示の生分解性の高分子医薬担体を含む。生分解性薬物担体は、ABA
型またはBAB型のトリブロックコポリマーまたはこれらの混合物を含み、Aブロックは
、相対的に疎水性であり、生分解性ポリエステルまたはポリ(オルトエステル)を含み、
Bブロックは、相対的に親水性であり、ポリエチレングリコール(PEG)を含み、この
コポリマーは、疎水性含量が50.1∼83重量%であり、親水性含量が17∼49.9
重量%であり、最終的なブロックコポリマーの分子量は、2000∼8000ダルトンで
ある。
【0224】
30
幾つかの実施形態において、他の熱感受性ポリマーは、使用する特定の活性薬剤、他の
医薬品または賦形剤/添加剤によっては有用であり、それ自体、本開示の範囲に入ると考
えられる。例えば、他の市販のグリセリン系ゲル、グリセリンから誘導される化合物、接
合したゲルまたは架橋したゲル、マトリックス、ヒドロゲル、ポリマー、および、ゼラチ
ンおよびゼラチン誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸塩系ゲル、さらに、種々の天然およ
び合成のヒドロゲルおよびヒドロゲルから誘導される化合物は、すべて、本明細書に記載
の医薬製剤で有用であると予想される。幾つかの実施形態において、生体に許容可能な(
bioacceptable)ゲルは、限定されないが、アルギン酸塩ヒドロゲル、SA
F(登録商標)−Gel(ConvaTec,Princeton,N.J.)、Duo
derm(登録商標)Hydroactive Gel(ConvaTec)、Nu−g
40
el (登録商標)(Johnson & Johnson Medical,Arli
ngton, Tex.);Carrasyn(登録商標)(V)アセマンナンヒドロゲ
ル (Carrington Laboratories,Inc.,Irving, Tex.);グリセリンゲル剤Elta(登録商標)ヒドロゲル(Swiss−Amer
ican Products,Inc.,Dallas,Tex.)、K−Y(登録商標
)Sterile(Johnson & Johnson)、ゼラチンヒドロゲル、キト
サン、シリコン系ゲル(例えばMedgel(登録商標))などを含む。本明細書に記載
の組成物に適している他の熱感受性及び/又は生体に許容可能なゲルは、アクリル酸系ポ
リマー(例えばCarbopol(登録商標))、セルロース系ポリマー(例えば、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、アルキルアリー
50
(59)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ルポリエーテルアルコール系ポリマー(例えばTyloxapol(登録商標))などを
含む。
【0225】
ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーの精製
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の活性組成物は、精製された熱感受
性ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意の活性組成物は、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーからなる、分画された(frac
tionated)精製された熱感受性ポリマーを含む。そのような実施形態の幾つかに
おいて、熱感受性ポリマーは、ポロクサマーである。
【0226】
10
ポロクサマーの精製は、低分子量の成分(例えば、オリゴマー、反応しない物質及び/
又は生産または貯蔵の間に生成された他の不要な不純物)、及び/又は高分子量の成分(
不要な多量体−多量体反応からの成分)の除去に基づく。結果として生じる精製された生
成物は、元の物質とほぼ同じ分子量を有するより狭いPDIを有する。幾つかの実施形態
において、精製されたポロクサマーは、よりよいゲル化特性を有する(例えば、同じ%の
ポロクサマー濃度に関してより低いTgelを有しつつ、ゲル状態でより高い粘度を提供
する)。
【0227】
本明細書で使用されるように、精製された熱感受性ポリマーは、低い多分散性(すなわ
ち、その中の個々のポリマー鎖中における狭い分子量分布)を有する。例えば、市販のポ
20
ロクサマーは、それらが産生される方法の性質に起因して、ポリ(オキシエチレン)ホモ
ポリマーおよびポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ジブロックポリマー
のような一定の不純物を含む。成分ブロックの分子量が増加するにつれて、これらの副産
物の相対量は増加する。幾つかの例において、市販のポロクサマー407において、副産
物は、メーカーによって、ポリマーの重量で約15から約50%まで構成することもあり
、そのため高い多分散性を結果として生じる。実施例15は、市販のP407において多
分散性を低減するP407の分画のための手順を示す。
【0228】
幾つかの実施形態において、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを分画するため
に超臨界流体抽出技術が使用される。米国特許第5,567,859号を参照、その中に
30
記載されたポリマーの分画のための開示は、引用によって本明細書に組み込まれる。この
技術では、商業的に購入されたポリマー中のより低い分子量分画(fraction)は
、2200ポンド/平方インチ(psi)の圧力および40℃の温度で維持されたCO2
の流れ中で取り除かれ、それによって、低い多分散性を有する精製されたポリマーを提供
する。
【0229】
幾つかの実施形態において、ゲル浸透クロマトグラフィーは、ポリマーの画分の分離を
可能にする。欧州特許出願WO92/16484を参照;その中に記載される低い多分散
性および飽和度を有するポロクサマーの分画を分離するためのゲル透過クロマトグラフィ
ーの使用は、引用によって本明細書に組み込まれる。
40
【0230】
幾つかの実施形態において、コポリマーの製造前に1以上のブロックが精製される。一
例として、コポリマーの合成の間のポリオキシプロピレンセンターブロックかコポリマー
生成物自体のいずれかを精製すること(米国特許第5,523,492号、および第5,
696,298号を参照、これらは、そのような開示のために引用によって本明細書に組
み込まれる)によって、精製されたポロクサマーの製造が可能となる。
【0231】
幾つかの実施形態において、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの分画は、塩抽
出および液相分離技術(米国特許第5,800,711号を参照、その中に記載された多
量体の精製の工程は、引用として本明細書に組み込まれる)を使用してバッチ式低分子量
50
(60)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
種の除去によって達成される。そのような分画は、市販のポロクサマー(例えばBASF
からP407 NFグレード)と比較して、増加したゲル強度、減少した多分散性、より
高い平均分子量、低下したゲル化濃度及び/又は、拡張したゲル溶解特性を含む改善され
た物理的特性を有するポリオキシアルキレンブロックコポリマー(例えばポロクサマー4
07、ポロクサマー188など)を作り出す。ポリマーの精製及び/又は分画の他の工程
は、例えばUS6,977,045およびUS6,761,824に記載され、それらの
工程は、引用として本明細書に組み込まれる。
【0232】
幾つかの例において、ポリマー(例えばポロクサマー)の低分子量汚染物質は、インビ
ボの有害な副作用を引き起こし;本明細書に記載の医薬製剤中の精製されたポロクサマー
10
の使用は、そのようなインビボの副作用を低減する。
【0233】
従って、本明細書に提示された実施形態の範囲内で、ポリ(オキシエチレン)ホモポリ
マー及び/又はポリ(オキシプロピレン)/ポリ(オキシエチレン)ジブロックの副産物
を実質的に含まない、精製されたポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ト
リブロックポリマーを含む製剤が熟考され、それによって、ブロックコポリマーの分子量
分布が狭められる(すなわち、低い多分散性を提供する)。幾つかの実施形態において、
そのような精製されたポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロック
ポリマー(例えば分画されたポロクサマー)は、分画されていないポリ(オキシエチレン
)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーを含む活性組成物と比較して、より
20
低い濃度のポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーを
含む活性組成物の製剤を可能にする。
【0234】
好都合なことに、より低い濃度の分画されたポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプ
ロピレン)トリブロックポリマー(例えばポロクサマー)を含むそのような組成物は、よ
り低い濃度のポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマー
(例えばポロクサマー)を有するにもかかわらず、ゲル化性(例えば、約15℃と約42
℃の間のゲル化)および徐放特性(例えば、少なくとも3日、5日または7日にわたるデ
キサメタゾンの徐放)を保持する。
【0235】
30
従って、一例として、微粉化されたデキサメタゾンおよびより低い濃度の分画されたP
407(例えば、約5%から約14%の間のP407)を含む製剤は、微粉化されたデキ
サメタゾンおよび分画されていないP407(例えば、約14.5%から約25%の間の
BASFからのP407 NF)を含む製剤のゲル化特性及び/又は徐放特性とほぼ同じ
、またはより良いゲル化特性及び/又は徐放特性を有する。
【0236】
ゲル化温度調節剤
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、ゲル化温度調節剤を含む。
「ゲル化温度調節剤(gelation temperature modifying
agent/gel temperature modifying agent)」
40
は、本明細書に記載の任意の製剤に加えられる添加剤であり、製剤のゲル化温度が約14
℃と約42℃の間に維持されるように、製剤のゲル化温度を変更する。ゲル化温度調節剤
は、製剤がゲル化温度を約14℃と約42℃の間に維持されるように、本明細書に記載の
任意の製剤のゲル化温度を増加または減少させる。
【0237】
幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、ゲル化温度を上昇させる薬剤である
。例えば、熱感受性ポリマーを含む製剤が14℃未満のゲル化温度を有する場合、ゲル化
温度上昇剤(例えば、P188、P388、シクロデキストリン、カルボキシメチルセル
ロース、ヒアルロン酸、Carbopol(登録商標)、Tween20、Tween4
0、Tween60、Tween80、Tween81、Tween85、nメチルピロ
50
(61)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
リドンおよび短鎖脂肪酸塩(例えば、オレイン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カ
プリル酸ナトリウムなど))は、製剤のゲル化温度を14℃以上に、約14℃と約42℃
の間にまで増加させる。
【0238】
幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、ゲル化温度を低下させる薬剤である
。例えば、熱感受性ポリマーを含む製剤が42℃より高いゲル化温度を有する場合、ゲル
化温度下降剤(例えば、P188、P388、シクロデキストリン、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒアルロン酸、Carbopol(登録商標)、Tween20、Tween
40、Tween60、Tween80、Tween81、Tween85、nメチルピ
ロリドン、脂肪酸塩(例えば、オレイン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル
10
酸ナトリウムなど))は、製剤のゲル化温度を42℃未満に、約14℃と約42℃の間に
低下させる。
【0239】
幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、pH感受性ポリマー(例えば、キト
サン)である。幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、熱感受性ポリマーであ
る。幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、イオン感受性のポリマー(例えば
、カルシウムイオンの存在下のアルギン酸塩ゲル)である。幾つかの実施形態において、
ゲル化温度調節剤は、アクリル酸系ポリマー(例えば、Carbopol(登録商標))
である。幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、セルロースベースのポリマー
(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)で
20
ある。幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、アルキルアリールポリエーテル
アルコール系ポリマー(例えば、Tyloxapol(登録商標))である。
【0240】
幾つかの実施形態において、ゲル化温度調節剤は、ポロクサマーである。一例として、
約16%のP407を含む製剤に約5%以下のポロクサマー188を加えることは、16
%のP407の製剤のゲル化温度を約5℃増加させる。
【0241】
ゲル化温度
1つの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、およそ室温で液体である。特
定の実施形態において、医薬製剤は、室温と体温(重篤な発熱、例えば、約42℃まで、
30
の個体を含む)との間で相転移することによって特徴付けられる。幾つかの実施形態にお
いて、相転移は、体温より少なくとも約1℃低い温度と体温の間で、体温より少なくとも
約2℃低い温度と体温の間で、体温より少なくとも約3℃低い温度と体温の間で、体温よ
り少なくとも約4℃低い温度と体温の間で、体温より少なくとも約6℃低い温度と体温の
間で、体温より少なくとも約8℃低い温度と体温の間で、体温より少なくとも約10℃低
い温度と体温の間で、体温より少なくとも約15℃低い温度と体温の間で、または体温よ
り少なくとも約20℃低い温度と体温の間で、生じる。
【0242】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約5℃、10℃、14℃、15
℃、16℃、17℃、18℃、19℃または20℃と、約25℃、28℃、30℃、33
40
℃、35℃、37℃、40℃または42℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形
態において、本明細書に記載の製剤は、約5℃と約42℃の間のゲル化温度を有する。い
くつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約10℃と約42℃の間のゲル化
温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約14℃と約4
2℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
、約14℃と約40℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細
書に記載の製剤は、約14℃と約37℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態
において、本明細書に記載の製剤は、約14℃と約35℃の間のゲル化温度を有する。い
くつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約16℃と約35℃の間のゲル化
温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約18℃と約3
50
(62)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
5℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
、約20℃と約42℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細
書に記載の製剤は、約20℃と約37℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態
において、本明細書に記載の製剤は、約20℃と約35℃の間のゲル化温度を有する。い
くつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約20℃と約30℃の間のゲル化
温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約20℃と約2
8℃の間のゲル化温度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
、約20℃と約25℃の間のゲル化温度を有する。
【0243】
熱感受性ゲルのポリマー系は、低温(reduced temperatures)で
10
はより完全に溶解するので、溶解の方法は、低温で使用される水の量に対して必要な量の
ポリマーを加える工程を含む。一般的に、振盪することによってポリマーを湿らせた後、
混合物に蓋をし、ポリマーを溶解させるために、約0∼10℃の冷たいチャンバーに入れ
るか、または恒温容器に入れる。幾つかの実施形態において、溶解は、約10℃と約20
℃の間の温度で行われる。より急速に熱感受性ゲルポリマーを溶解させるために、混合物
は撹拌され、または振盪される。幾つかの例において、活性薬剤および/または他の医薬
活性薬は、それが水に不溶性の場合は、懸濁される。製剤のpH/モル浸透圧濃度は、適
切な緩衝剤を加えることによって調節される。
【0244】
粘度
20
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約10,000∼1,000
,000センチポイズの間の粘度を与えるのに十分な熱感受性ポリマーを含む。いくつか
の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約50,000∼1,000,000セ
ンチポイズの間の粘度を与えるのに十分な熱感受性ポリマーを含む。いくつかの実施形態
において、本明細書に記載の製剤は、約150,000∼1,000,000センチポイ
ズの間の粘度を与えるのに十分な熱感受性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において
、本明細書に記載の製剤は、約50,000∼600,000センチポイズの間の粘度を
与えるのに十分な熱感受性を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤
は、約100,000∼500,000センチポイズの間の粘度を与えるのに十分な熱感
受性ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約150
30
,000∼400,000センチポイズの間の粘度を与えるのに十分な熱感受性ポリマー
を含む。一例として、本明細書に記載の組成物中の約15.5%の熱感受性ポリマーの濃
度は、約270,000cPの見掛け粘度を提供する。一例として、本明細書に記載の組
成物中の約16%の熱感受性ポリマーの濃度は、約360,000cPの見掛け粘度を提
供する。一例として、本明細書に記載の組成物中の約17%の熱感受性ポリマーの濃度は
、約480,000cPの見掛け粘度を提供する。
【0245】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、体温で低粘度の製剤である。幾
つか実施形態において、本明細書に記載の低粘度の製剤は、約100cPから約10,0
00cPまでの見掛け粘度を提供する。
40
【0246】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、体温で約1,000∼1,0
00,000センチポイズの間の粘度を与えるのに十分な粘度増強ポリマーを含む。いく
つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、体温で約1,000∼500,00
0センチポイズの間の粘度を与えるのに十分な粘度増強ポリマーを含む。いくつかの実施
形態において、本明細書に記載の製剤は、体温で約1,000∼250,000センチポ
イズの間の粘度を与えるのに十分な粘度増強ポリマーを含む。いくつかの実施形態におい
て、本明細書に記載の製剤は、体温で約1,000∼100,000センチポイズの間の
粘度を与えるのに十分な粘度増強ポリマーを含む。
【0247】
50
(63)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
1つの実施形態において、およそ室温(例えば、約18℃から約28℃の間)での本明
細書に記載の任意の製剤の投与は、冷たい(例えば約18℃より下の温度)の耳用製剤の
中耳内の投与に関係する眩暈を低減し、または防ぐ。
【0248】
幾つかの実施形態において、より高い濃度の活性薬剤の使用は、より低い濃度の活性薬
剤を有する製剤と比較して、より高い粘度を有する製剤を結果として生じる。実施例15
に示されるように、製剤中の薬剤の濃度の増加、および精製されたポロクサマーの使用は
、製剤の重量でより低い濃度の熱感受性ポリマーの使用を可能にする。
【0249】
粘度は、円錐平板粘度計(参照として、0.08rpmのCP50スピンドルを備えた
10
Brookfield DVII+Pro粘度計)を使用して、0.31s−1のずり速
度で測定される。
【0250】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約0.1%、0.5%、1%、
2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、
30%、35%、40%、45%、50%または55%と、約0.5%、1%、5%、1
0%、15%、20% 25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、6
0%、65%、70%、75% 80%または89%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾
つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約0.1%と約50
%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は
20
、組成物の重量で約0.5%と約30%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形
態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約0.1%と約20%の間の粘度
増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重
量で約0.1%と約10%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、
本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約0.1%と約1%の間の粘度増強ポリマーを
含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約0.1%
と約0.5%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記
載の製剤は、組成物の重量で約1%と約30%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの
実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約1%と約10%の間の粘
度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の
30
重量で約10%と約80%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、
本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約10%と約50%の間の粘度増強ポリマーを
含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約10%と
約30%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の
製剤は、組成物の重量で約20%と約75%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実
施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約20%と約65%の間の粘
度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の
重量で約20%と約50%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、
本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約25%と約75%の間の粘度増強ポリマーを
含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約15%と
40
約75%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の
製剤は、組成物の重量で約30%と約75%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実
施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約35%と約75%の間の粘
度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の
重量で約40%と約75%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、
本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約45%と約75%の間の粘度増強ポリマーを
含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約45%と
約65%の間の粘度増強ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の
製剤は、組成物の重量で約40%と約60%の間の粘度増強ポリマーを含む。そのような
実施形態のうちの幾つかにおいて、粘度増強ポリマーは、ヒドロゲル、熱可逆性ポリマー
50
(64)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
、アクリル酸ベースのポリマー、pH感受性ポリマー、イオの濃度に感受性のあるポリマ
ー(例えば、カルシウムイオンの存在下のアルギン酸塩ゲル)などである。
【0251】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、約10%、15%、20%、2
5%、30%、35%、40%、45%、50%または55%と、約25%、20%、2
5%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、7
5%または89%の間の熱可逆性ポリマーを含む。そのような実施形態のうちの幾つかに
おいて、熱可逆性ポリマーはポロクサマーである。幾つかの実施形態において、結果とし
て生じる製剤は熱可逆性ゲルであるが、それは熱可逆性である必要がない;すなわち、組
成物中の熱可逆性ポリマーの量に依存して、結果として生じるゲルは、熱可逆性かもしれ
10
ないし、または熱可逆性ではないかもしれない。分類「熱可逆性ポリマー」は、摂氏15
度から42度の範囲で熱可逆性ゲル剤を形成することができるポリマーを指す。そのよう
な実施形態のうちの幾つかにおいて、ポロクサマーは、プルロニック−127(PF−1
27、Pol−407)である。一例として、約15−25%の間のポロクサマーを含む
緩衝されたポロクサマー407溶液は、熱可逆性ゲル化特性を有し、水溶液環境において
分解する(degrades)。一例として、組成物の重量での約35%と約80%の間
のポロクサマーおよびエタノールのようなさらなる溶媒を含む緩衝化されたポロクサマー
407溶液は、実質的に低下された熱可逆性ゲル化特性を示し、水溶液環境においてほぼ
安定している。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、組成物の重量で約35%と
約80%の間のポロクサマー、アルコール(例えばエタノール)、および水を含む製剤は
20
、およそ室温(例えば約25℃)、またはおよそ体温(例えば、熱を持った個体を含む、
約37℃−42℃)で高い粘度(例えば、5000−8000cP)を示す。
【0252】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約10%と約8
0%の間のPF−127を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、
組成物の重量で約10%と約75%の間のPF−127を含む。幾つかの実施形態におい
て、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約15%と約75%の間のPF−127を
含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約20%と
約75%の間のPF−127を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤
は、組成物の重量で約25%と約75%の間のPF−127の熱感受性ポリマーを含む。
30
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約30%と約75
%の間のPF−127の熱感受性ポリマーを含む。幾つかの実施形態において、本明細書
に記載の製剤は、組成物の重量で約35%と約75%の間のPF−127を含む。幾つか
の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約40%と約75%の間
のPF−127を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の
重量で約45%と約75%の間のPF−127を含む。幾つかの実施形態において、本明
細書に記載の製剤は、組成物の重量で約45%と約65%の間のPF−127を含む。幾
つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、組成物の重量で約40%と約60%
の間のPF−127を含む。
【0253】
40
緩衝液
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、緩衝液を含む。1つの実施
形態において、緩衝液は、わずかに酸性pHでの酢酸塩またはクエン酸塩の緩衝液である
。1つの実施形態において、緩衝液は、約4.5∼約6.5のpHを有する酢酸ナトリウ
ム緩衝液である。1つの実施形態において、緩衝液は、約5.0∼約8.0、または約5
.5∼約7.0のpHを有するクエン酸ナトリウム緩衝液である。
【0254】
代替的な実施形態において、使用される緩衝剤は、わずかに塩基性のpHでの、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン、炭酸水素塩、炭酸塩またはリン酸塩である。1つの
実施形態において、緩衝液は、約6.5∼約8.5、または約7.0∼約8.0のpHを
50
(65)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
有する炭酸水素ナトリウム緩衝液である。別の実施形態において、緩衝液は、約6.0∼
約9.0のpHを有する二塩基性リン酸ナトリウム緩衝液である。
【0255】
幾つかの実施形態において、緩衝液成分の濃度は、本明細書に記載の任意の製剤の実際
のモル浸透圧濃度を生体適合性の範囲内にするために調節される。
【0256】
溶媒
幾つかの実施形態において、濃縮された製剤の放出特性は、適切な溶媒または溶媒の組み
合わせの選択によって変更される。本明細書に記載の製剤中の幾つかの実施形態において
、溶媒は水である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、溶媒の混合物
10
(例えば、水とアルコールなどの更なる溶媒との混合物)を含む。幾つかの実施形態にお
いて、本明細書に記載の製剤は、限定されないが、エタノール、プロピレングリコール、
PEG 400、DMSO、N−メチルピロリドンまたは任意の他の耳に適切な溶媒を含
むさらなる溶媒を含む。いくつかの実施形態において、さらなる溶媒は、水混和性の溶媒
である。幾つかの実施形態において、溶媒の混合物を含む製剤の投与に続いて、体液及び
/又は生体液へと拡散し、それによって、組成物を濃縮する。幾つかの実施形態において
、さらなる溶媒は、約5%から約50%の間、約10%から約40%の間、約10%から
約30%の間、あるいは約10%から約20%の間の本明細書に記載の製剤中に存在する
溶媒を含む。一例として、本明細書に記載の製剤は、溶媒として水(緩衝液の中にある水
を含む)を、およびさらなる溶媒としてエタノールを含む。図15は、溶媒として、水を
20
含む組成物と、水とエタノールの混合物を含む組成物からの中耳流体中の耳用薬剤のイン
ビトロの放出特性の比較を示す。図16は、溶媒として、水を含む組成物と、水とエタノ
ールの混合物を含む組成物からの中耳流体中の耳用薬剤のインビボの放出特性の比較を示
す。
【0257】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤において、溶媒は水である。幾つか
の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、溶媒の混合物(例えば、水とアルコール
などの更なるとの混合物)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤に
おいて、溶媒はエタノールと水の混合物である。
【0258】
30
さらなる賦形剤
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、さらに、さらなる生体適合性の
賦形剤を含む。さらなる賦形剤の例は、画像化及び/又は視覚化のための薬剤、浸透促進
剤(限定されないが、アルキル糖(例えばドデシルマルトース配糖体など)、ヒアルロン
酸(限定されないが、Hyalastine(登録商標)、Hyalectin(登録商
標)、Hyaloftil(登録商標)を含む)、及び/又はその部分的なエステル及び
/又は塩(例えばヒアルロン酸のバリウム塩、またはWO/1998/017285に記
載のヒアルロン酸の他の塩、その中に記載される塩は、引用によって本明細書に組み込ま
れる)、ヒアルロニダーゼ(例えばPH−20(Halzoyme))を含む)、または
本明細書に記載の任意の製剤の放出特性及び/又は安定性及び/又は浸透性及び/又は薬
40
剤取り込み及び/又はバイオアベイラビリティ及び/又は毒性及び/又は免疫性及び/又
はゲル化特性を調節する任意の他の賦形剤を含む。さらなる賦形剤は、米国出願第12/
427,663号、第12/466,310号、第12/472,034号、第12/4
86,697号、第12/493,611号、第12/494,156号、第12/50
0,486号、第12/504,553号、第12/506,091号、第12/506
,127号、第12/506,573号、第12/506,616号および第12/50
6,664号に記載され、その中に記載された賦形剤の開示は、引用として本明細書に組
み込まれる。
【0259】
投薬方法
50
(66)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、耳の及び/又は副鼻腔の構造体
でかん流される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、髄腔内の空洞に
、または、副鼻腔の構造体(例えば鼻ポリープ、腫れた鼻甲介)の周辺に、髄腔内の空間
に、滑膜腔に、耳に(例えば、中耳内の注射によって、耳の正円窓膜で、またはその近く
で)、注射針またはカニューレまたはカテーテルによって投与される。幾つかの実施形態
において、本明細書に記載の製剤は、滴剤、ペイント剤(paint)、フォーム剤(f
oam)、インサイツのスポンジ剤(in situ sponge)などとして投与さ
れる。
【0260】
投与の頻度
10
幾つかの実施形態において、本明細書に開示の組成物は、それを必要とする個人に一回
投与される。幾つかの実施形態において、本明細書に開示の組成物は、それを必要とする
個人に二度以上投与される。
【0261】
組成物がそれを必要とする個人に投与される回数は、医者の判断、その障害、障害の重
症度、および製剤に対する個人反応に依存する。幾つかの実施形態において、本明細書に
記載の製剤は、予防的に、治療的に、または拡張された期間にわたる慢性の処置として投
与される。
【0262】
患者の状態が、改善する場合、医者の判断により、活性薬剤の化合物の投与を継続し;
20
あるいは、投与される薬物の投与量を特定の期間、一時的に減らしたり、一時的に中止し
たりすることもある(休薬期間)。休薬期間の長さは、2日から1年の間で変化され、ほ
んの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20
日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、20
0日、250日、280日、300日、320日、350日、および365日を含む。休
薬期間の間の用量の減少は、10%∼100%であり得、ほんの一例として、10%、1
5%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、6
5%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む。
【0263】
一旦、患者の活性の症状が改善すると、必要ならば維持活性薬剤の用量が投与される。
30
その後に、改善された疾患、障害又は疾病が維持される水準になるまで、症状に応じて、
投与量もしくは投与頻度又はこれら両方が随意に減らされる。特定の実施形態において、
患者は、いかなる症状の再発時にも長期的に間欠的処置を必要とする。
【0264】
<キット/製品>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、それを必要とする個体に投
与される一回の成分溶液を使用する準備ができているものとして、製造される。他の実施
形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、乾熱滅菌された多微粒子(例えば、微粉化
された、ナノ粒子、大きさが一定でない粒子)の活性薬剤粉末、乾燥した粉末を再構成す
るための媒質(media)(例えば、滅菌水または緩衝液または生理食塩水)、及び/
又は熱感受性ポリマーおよび緩衝液を含む溶液、を含む多成分キットとして製造される。
乾燥した粉末は、医薬製剤を、それを必要とする個体に投与する直前に、熱感受性ポリマ
ーおよび緩衝液を含む無菌培地及び/又は溶液で再構成される。
【実施例】
【0265】
<実施例1−微粉化されたデキサメタゾン粉末を含む熱感受性ゲルデキサメタゾン組成物
の調製>
【0266】
40
(67)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表5】
10
20
【0267】
2.0%のデキサメタゾンを包含する一回分10gのゲル製剤を調製する。粉末化され
た、13.8mgのリン酸ナトリウム二塩基性二水和物USP(Fisher Scie
ntific.)、及び3.1mgのリン酸ナトリウム一塩基一水和物USP(Fish
er Scientific.)+74mgの塩化ナトリウムUSP(Fisher S
30
cientific.)を、無菌ろ過された脱イオン水(DI water)8.2gで
溶解し、pHを1MのNaOHで7.4に調整する。緩衝溶液を、冷却し、適切な量のポ
ロクサマー407(BASF Corp.、約100ppmのBHTを含む)または生成
したポロクサマー(以下の実施例15を参照)を、混合している間に、冷却したPBS溶
液中へ振り入れ、全てのポロクサマーが溶解するまで溶液を混合する。ポロクサマーを、
33mmのPVDF0.22μmの無菌の注射器フィルター(Millipore Co
rp.)を用いて無菌ろ過し、無菌の環境において2mLの無菌のガラスバイアル(Wh
eaton)へと送達し、バイアルを、無菌のブチルゴム栓(Kimble)で締め、1
3mmのAlシール(Kimble)で圧着密閉する。20mgの微粉化されたデキサメ
タゾンを、別々の清潔な発熱性物質を除かれたバイアルに置き、バイアルを、無菌のブチ
40
ルゴム栓(Kimble)で締め、13mmのAlシール(Kimble)で圧着密閉し
、バイアルを、140℃で7時間(Fisher Scientific Isotem
p ovenによって)乾熱滅菌する。本明細書に記載される実験のための投与の前に、
1mLの冷たいポロクサマー溶液を、1mL無菌注射器(Becton Dickins
on)に取り付けられた21G注射針(Becton Dickinson)を使用して
、20mgの無菌微粉化デキサメタゾンを含むバイアルに送達し、懸濁が確実に均質にな
るように懸濁液を振ってよく混ぜる。その後、懸濁液を、21G注射器を用いて回収し、
注射針を、投与用の27G注射針へ取り替える。
【0268】
<実施例2−5>アモキシシリン、モキシフロキサシン、トリアムシノロンおよびプレド
50
(68)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ニゾロンをそれぞれ含む製剤を、上記の手順を使用して調製する。
【0269】
<実施例6−熱感受性ゲルゾレドロネート組成物の調製>
<50mMのTRIS緩衝液中の16%のポロクサマー407NF>:塩化ナトリウム(
Fisher scientific)0.4518g+トロメタミン(Fisher scientific)0.6034gを秤量し、82gのDI水で溶解し、その後、5
NのHCl 850μLを加えpHを7. 5に調節し、溶液のモル浸透圧濃度は277
mOsm/kgである。上記の緩衝液67.3gを表量し、緩衝液を冷却し、その後、混
合している間に12.8gのポロクサマー407 NF(Spectrum chemi
cals)を振り入れる。透明な溶液が得られるまで撹拌する。その溶液を、0.2μm
10
の殺菌フィルターを用いてフィルター滅菌する。
【0270】
50mMのTRIS緩衝液中の16%のP407内でのゾレドロン酸の3.4mMの製
剤を、50mMのTRIS緩衝液中の16%のポロクサマー407 17gへ、ゾレドロ
ン酸一水和物(Betapharma)17.6mgを溶かすことにより調製し、pHは
、5NのNaOHによって7.3に調節した。
【0271】
50mMのTRIS緩衝液中の16%のP407内のカルシウムと共に複合体を形成し
た(complexed with)ゾレドロン酸性の3.4mMの製剤は、ゾレドロン
酸一水和物(Betapharma) 17.6mgを50mMのTRIS緩衝液中の1
20
6%のポロクサマー407 17gへ溶解させることにより調整し、pHを5NのNaO
Hによった7.3に調節した。その後、塩化カルシウム無水物2mgを上記の溶液2 m
Lに加え、均質になるまで、混合物を撹拌した。
【0272】
溶解を、スナップウェル(0.4μmの後継を有する、直径6.5mmのポリカーボネ
ート膜)内で、37℃で行った。製剤0.2mLをスナップウェルへ入れ、放置し硬化さ
せ、それから、0.9%の生理食塩水0.5mLを、リザーバに入れ、Labline orbit shakerを用いて70rpmで振盪した。サンプルを、1時間毎に採取
する(0.1mLを取り除き、暖かい緩衝液と交換する)。サンプルを、ゾレドロン酸濃
度に関して、Evolution160 UV/Vis分光光度計(Thermo Si
30
entific)を使用して215nmのUVで分析した。定量化を、外部検量基準に対
して行った。
【0273】
【表6】
40
【0274】
<実施例7−熱感受性ゲルJNK阻害剤組成物の調製>
16%のポロクサマー407中の0.5%w/wのSP600125を含む製剤を、5
0mMのTris緩衝液中の16%のP407 994.7mg中に、SP600125
(LC Labs)5.3mgを分散させることにより作製した。ゲル中の溶解度を測定
すると、 ̄190μg/mLであった。報告されたSP600125の水溶解度は、3.
2のLogD(7.4)および183度の融点で11μg/mLである。
【0275】
50
(69)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
溶解度試験を上記のように行った。16%のポロクサマー407ゲル中の0.5%のS
P600125に関するMDTは、60時間であると算定された。
【0276】
<実施例8−ポロクサマー407を、単独またはポロクサマー188と組み合わせて含む
熱感受性ゲルの血管抑制剤(vascular suppressant)組成物の調製
>
<16%のポロクサマー407中の2%のアミトリプチリンHCl>アミトリプチリンH
Cl(MP biomedicals)102mgを、50mMのTRIS緩衝液、pH
6.8−の中の16%のポロクサマー407により、5gまで定量化した(QS to 5g)。アミトリプチリンが溶解するまで、混合物を撹拌した。Tgelの測定を、温度
10
制御ユニット(1.6度/分で15から37℃まで温度に勾配が付けられている(tem
perature ramped))を装備している0.08rpm(ずり速度0.31
s−1)で回転するCP−51スピンドルを備えるBrookfield粘度計RVDV
−II+Pを用いて行う。Tgelを30.7℃で測定した。
【0277】
【表7】
20
【0278】
<TRIS緩衝液中の16%のポロクサマー407/2%のポロクサマー188中の2%
の二塩酸メクリジン (Meclizine di−HCl)(最終pH4.7)>:二
塩酸メクリジン(MP biomedicals)100.5gを、50mMのTRIS
30
緩衝液中の16%のポロクサマー407/2%のポロクサマー188の溶液により5.0
23gまで定量化した。5NのNaOHの20マイクロリットルを、pH4.7に調節し
、透明になるまで混合し、0.22μmのPESシリンジフィルターを介してろ過した。
この製剤のゲル化温度は、26℃であった。
【0279】
<TRIS緩衝液中の16%のポロクサマー407/1%のポロクサマー188中の2%
の二塩酸メクリジン (最終pH 6.8)>塩酸メクリジン(MP biomedic
als) 102.5gを、50mMのTRIS緩衝液中の16%のポロクサマー407
/1%のポロクサマー188の溶液により5.023gまで定量化した。上記の溶液1 mLをとり、5NのNaOH 7μLを加え、pHを6.8に調節し、結果として生じる
懸濁液を確実に均質になるまで混合した。この製剤のゲル化温度は24℃であった。
【0280】
40
(70)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表8】
10
【0281】
【表9】
20
【0282】
<実施例9−微粉化されたシプロフロキサシン水和物粉末またはシプロフロキサシン粉末
および微粉化デキサメタゾン粉末を含む熱感受性ゲル組成物の調製>
実施例1における手順を用いて以下の製剤、ゲル化温度調節剤を含む製剤(製剤Aおよ
びC)、およびP407を単独で含む製剤(製剤B)、を調製する。
【0283】
30
(71)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表10】
10
20
30
40
【0284】
製剤A、BおよびCのゲル化温度を比較する。製剤Aは、およそ体温でゲル化すると予
想され、製剤Bは、体温より高い温度でゲル化すると予想され、製剤Cは、およそ体温で
ゲル化すると予想される。従って、P188は、製剤Aにおいてゲル化温度下降剤である
と予想される。
50
(72)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0285】
カルボキシメチルセルロースは、製剤Cおいてゲル化温度上昇剤であると予想される。
【0286】
<実施例10 PBS緩衝液中の加圧滅菌された17%のポロクサマー407NF/2%
の活性薬剤に関する、分解生成物に対するpHの影響>
17%のポロクサマー407/2%の活性薬剤の保存液を、351.4gの塩化ナトリ
ウム(Fisher Scientific.)、302.1mgのリン酸ナトリウム二
塩基性無水物(Fisher Scientific.)、122.1mgのリン酸ナト
リウム一塩基無水物(Fisher Scientific.)、及び適切な量の活性薬
剤を、79.3gの無菌ろ過したDI水を用いて溶解させることによって調製する。溶液
10
を、氷冷槽中で冷却し、その後、ポロクサマー407NF(SPECTRUM CHEM
ICALS) 17.05gを、混合している間に、冷却した溶液中へ振り入れる。
ポロクサマーが完全に溶解するまで、混合液をさらに混合する。
この溶液のpHを測定する。
【0287】
pH5.3のPBS中の17%ポロクサマー407/2%の活性薬剤。上記保存液の一
定分量(aliqout)(約30mL)を取り出し、1MのHClを加えてpHを5.
3に調整する。
【0288】
pH8.0のPBS中の17%ポロクサマー407/2%の活性薬剤。上記保存液の一
20
定分量(約30mL)を取り出し、1MのHaOHを加えてpHを8.0に調整する。
【0289】
PBS緩衝液(pH7.3)を、塩化ナトリウム(Fisher Scientifi
c.) 805.5mg、リン酸ナトリウム二塩基無水物(Fisher Scient
ific.) 606mg、リン酸ナトリウム一塩基無水物(FisherScient
ific.) 247mgを溶解させることによって調製し、その後、無菌ろ過したDI
水を用いて200gに定量化(QS)する。
【0290】
PBS pH7.3中に活性薬剤の2%溶液を、PBS緩衝液中に適切な量の活性薬剤
を溶解させることによって調製し、その後、PBS緩衝液を用いて10gに定量化する。
30
【0291】
サンプル1mLを、個々に、3mLねじ式キャップガラスバイアル(ゴム内張付き)中
に入れ、固く締める。バイアルを、Market Forge−sterilmatic
autoclave(設定、スローリキッド)に配し、華氏250℃で15分間滅菌す
る。加圧滅菌後、サンプルを、放置し室温まで冷却し、その後、冷蔵庫にいれる。サンプ
ルを、冷却している間、バイアルを混ぜることによって均質化する。
【0292】
外観(例えば、変色及び/又は沈殿物)を観察し、記録する。HPLC分析を、全部で
15分の間、(0.05%のTFAを含んでいる、水−アセトニトリル混合液)の30∼
80のアセトニトリル勾配(1∼10分)を用いる、Luna C18(2)、3μm、
40
100Å、250×4.6mmカラム)を備えているAgilent 1200を用いて
行う。サンプルの30μLを取り、1:1のアセトニトリル水混合物1.5mLで溶解す
ることによって、サンプルを希釈する。加圧滅菌したサンプル中の活性薬剤の純度を記録
する。
【0293】
前記手順によって調製した、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、微粉化デキサメタ
ゾンを含む製剤を、加圧滅菌する工程の間の分解に対するpHの影響を測定するために、
前記手順を用いて試験する。
【0294】
<実施例11 加熱滅菌(加圧減菌)後のポロクサマー407NFを含む製剤に関する、
50
(73)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
分解生成物に対する緩衝液のタイプの影響>
TRIS緩衝液を、塩化ナトリウム(Fisher Scintific) 377.
8mgと、トロメタミン(Sigma ChemicalCo.)602.9mgを溶解
することによって作製し、その後、無菌ろ過したDI水で100gに定量化(QS)し、
pHを1MのHClで7.4に調節した。
【0295】
TRIS緩衝液中の25%ポロクサマー407溶液を含む保存液:TRIS緩衝液45
gを秤量し、氷冷浴槽内で冷やし、その後、混合している間、ポロクサマー407NF(
Spectrum Chemicals)15gを緩衝液へと振り入れる。混合物を、さ
らに、全てのポロクサマーが完全に溶解するまで、混合する。
10
【0296】
一連の製剤を、前記保存液によって調製する。適切な量の活性薬剤(またはその塩若し
くはプロドラッグ)及び/又は微粉化された/コーティングされた/リポソームの粒子とし
ての活性薬剤(またはその塩若しくはプロドラッグ)を、全ての実験に使用する。
【0297】
<PBS緩衝液中に25%のポロクサマー407溶液を含む保存液(pH7.3)>上記の
PBSの緩衝液を使用する。塩化ナトリウム(Fisher Scientific)
704mgと、リン酸ナトリウム二塩基性無水物(Fisher Scientific
) 601.2mgと、リン酸ナトリウム一塩基性無水物(Fisher Scienti
fic)242.7mgを、140.4gの無菌ろ過したDI水で溶解する。溶液を、氷
20
冷水浴槽で冷却し、その後、50gのポロクサマー407NF(SPECTRUM CH
EMICALS)を、混合している間に、冷たい溶液中に振り入れる。ポロクサマーが完
全に溶解するまで、混合液をさらに混合する。
【0298】
一連の製剤を、前記保存液によって調製する。適切な量の活性薬剤(またはその塩若し
くはそのプロドラッグ)及び/又は微粉化された/コーティングされた/リポソームの粒子と
しての活性薬剤(またはその塩若しくはプロドラッグ)を全ての実験に使用する。表4およ
び5は、上述の手順を用いて調製したサンプルの一覧表である。適切な量の活性薬剤を各
サンプルに加え、最終濃度2%のサンプル中の活性薬剤を提供する。
【0299】
30
(74)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表11】
10
20
30
【0300】
(75)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表12】
10
20
【0301】
1mLのサンプルを、別々に、3mLねじ式キャップガラスバイアル(ゴム内張付き)
中に配し、固く締める。バイアルを、Market Forge−sterilmati
cオートクレーブ(設定、スローリキッド)内に置き、華氏250℃で25分間滅菌する
。加圧滅菌後、サンプルを放置し、室温になるまで冷却する。バイアルを、冷蔵庫に置き
、冷却している間、混合しサンプルを均質化する。
【0302】
HPLC分析を、全部で15分の間、(0.05%のTFAを含んでいる、水−アセト
30
ニトリル混合液)の30∼80のアセトニトリル勾配(1∼10分)を用いる、Luna
C18(2)、3μm、100Å、250×4.6mmカラム)を備えているAgil
ent 1200を用いて行う。サンプルの30μLを取り、1:1のアセトニトリル水
混合物1.5mLで溶解することによって、サンプルを希釈する。加圧滅菌したサンプル
中の活性薬剤の純度を記録する。TRIS緩衝液およびPBS緩衝液中の製剤の安定性を
、比較する。
【0303】
粘度の測定を、ウォータージャケットの(water jacketed)温度制御ユ
ニット(1.6℃/分で15から34℃まで温度に勾配が付けられている(temper
ature ramped))を装備している0.08rpm(ずり速度0.31s−1
40
)で回転するCPE −51スピンドルを備えるBrookfield粘度計RVDV−
II+Pを用いて行う。Tgelを、粘度の増加がゾル‐ゲルの遷移に起因して起こる、
曲線の屈曲点として定める。加圧減菌の後に何の変化も示さない製剤だけを分析する。
【0304】
ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、デキサメタゾンを含む製剤を、前記手順を用い
て試験し、加熱滅菌(加圧減菌)後の2%の分解生成物、および活性薬剤と17%のポロ
クサマー407NFを含む製剤の粘度、を測定する。微粉化された活性薬剤を含む製剤の
安定性を、微粉化していない製剤対照物(compartment)と比較する。
【0305】
<実施例12:ゲル温度の調節>
50
(76)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ポロクサマー188及びリン酸ナトリウムデキサメサゾンの、ポロクサマー407のゲ
ル化温度並びに粘度に対する影響を、ゲル化温度を操作する目的で評価する。
【0306】
PBS緩衝液中の25%のポロクサマー407保存液と、実施例11からのPBS保存
液を使用した。BASFからのポロクサマー188NFを使用した。
【0307】
【表13】
10
20
【0308】
20%のポロクサマー407/10%のポロクサマー188に関する平均溶解時間(M
DT)は、2.2時間と測定され、20%のポロクサマー407/5%のポロクサマー1
88は、2.6時間であることを示した。表7は、変化(change)が、組成物中の
ポリマーの混合物の取り込み時のゲル化温度であることを示す。
【0309】
【表14】
30
40
【0310】
得られたデータを式にあてはめ、式を利用して、F127/F68混合物(17∼20
%のF127と0∼10%のF68)のゲル化温度を概算することができる。
Tgel=−1.8(%F127)+1.3(%F68)+53
【0311】
50
(77)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
得られたデータを式にあてはめ、式を利用して、実施例6および8で得られた結果を用
いて、F127/F68混合物(17∼25%のF127と0∼10%のF68)のゲル
化温度に基づいて平均溶解時間(時間)を概算することができる。
MDT=−0.2(Tgel)+8
【0312】
<ゲル化温度調節剤および中耳内の投与の後のモルモットにおけるPKに対する影響>:
表8は、調製された以下の製剤を記載する:
【0313】
【表15】
10
20
【0314】
サンプルを、以下の一般的な方法を用いて調製した。
【0315】
生理食塩水−脱イオン化水中のTris緩衝液を作成し、続いて調節剤を加えた(また
は加えなかった)。この混合物のモル浸透圧濃度を、必要ならば、250-300mOsM
/kgに調節した。その後、その溶液を冷却し、ポロクサマー407を、混合している間
に、透明な溶液が得られるまで振り入れた。この溶液を無菌ろ過し、1.5%w/vのデ
キサメタゾンの濃度に達するのに十分なデキサメタゾンを含む無菌のデキサメタゾンに加
えた(deliverd)。本明細書に記載されるように、Tgelおよび最大粘度を測
定した。
【0316】
モルモットは中耳内の送達によって50μlを投与され、本明細書に記載されるように
、外リンパ中のPKが測定された。表9は特定の測定値を記載する。
【0317】
30
(78)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表16】
10
20
【0318】
<実施例13:インビトロでの放出特性の比較>
溶解を、スナップウェル(0.4μmの孔径を有する、直径6.5mmのポリカーボネ
ート膜)内で、37℃で行い、本明細書に記載のゲル製剤0.2mLを、スナップウェル
へ置き、放置し硬化させ、それから、緩衝液0.5mLを、リザーバに置き、Labli
ne orbit shakerを用いて70rpmで振り混ぜる。サンプルを、1時間
毎に採取する(0.1mLを取り除き、暖かい緩衝液で交換する)。活性薬剤の濃度に関
して、外部較正標準曲線に対して、245nmのUVによって、サンプルを分析する。プ
30
ルロニック濃度を、チオシアン酸コバルト法を用いて624nmで分析する。%P407
の関数としての平均溶解時間(MDT)の相対ランクオーダー(rank−order)
を決定する。製剤の平均溶解時間(MDT)とP407濃度との間の線形的な関係は、活
性薬剤が、ポリマーゲル(ポロクサマー)のエロージョン(erosion)によって放
出されるのであり、拡散を介さないことを示している。非線形の関係は、拡散及び/又は
ポリマーゲルの変質の組み合わせによる活性薬剤の放出を示す。
【0319】
MDTは、本明細書に記載の組成物からの活性薬剤の放出速度に反比例する。実験的に
、放出された活性薬剤は、Korsmeyer−Peppas方程式に随意にあてはめら
れる。
40
【0320】
【数3】
【0321】
ここで、Qは時間tにおいて放出される活性薬剤の量であり、Qαは活性薬剤の全放出量
であり、kはn次の放出定数であり、nは溶解機構に関する無次元数であり、bは軸切片
50
(79)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
であり、n=lがエロージョン抑制機構を特徴づける初期バースト放出機構を特徴づけて
いる。平均溶解時間(MDT)は、医薬分子が放出前にマトリクス内にとどまっている異
なる時間間隔の和を分子の総数で除したもので、次の式によって算出される。
【0322】
【数4】
10
【0323】
代替的に、サンプルを、Li Xin−Yuの文献(Acta Pharmaceut
ica Sinica 2008,43(2):208−203)に記載の方法を用いて
分析し、%P407の関数としての平均溶解時間(MDT)のランクオーダーを決定する
。
【0324】
<実施例14 ポロクサマー濃度および活性薬剤の濃度の放出動態に対する影響>
ゲル化剤および微粉化デキサメタゾンの濃度を種々に変化させたものを含む一連の組成
物を、上述の手順を使用して調剤した。表3内の各組成物の平均溶解時間(MDT)を、
上述の手順を使用して測定した。
20
【0325】
【表17】
30
【0326】
製剤からの活性薬剤の放出動態に対するゲル強度および活性薬剤濃度の影響を、ポロク
サマーに関するMDTの測定および活性薬剤に関するMDTの測定によって決定した。活
40
性薬剤の半減期および活性薬剤の平均滞留時間(MRT)を、本明細書に記載のKors
meyer−Peppasを使用して外リンパ内での活性薬剤の濃度の測定によって、各
製剤について決定した。
【0327】
<実施例15 ポロクサマーの精製>
<方法A>ポロクサマー407(BASF Corporation、ロットWPEB6
12B))を、75/25の水/イソプロパノールv/v溶液に溶解する。その溶液を2
7℃で平衡に保つ。塩化ナトリウムを激しく混合することによって加え、溶液を遠心分離
にかけ、2つの透明で無色の相を生じさせる。下相を排水し、溶液を、水/イソプロパノ
ール75/25v/v溶液を加えることによって、その最初の重量/容量の近くまで再び
50
(80)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
希釈し、27℃で平衡にし、塩化ナトリウムを加える。溶液を遠心分離にかけ、2つの明
瞭で無色の相を形成させる。下相を2回目に排出し、水/イソプロパノール溶液を加える
ことによって、その最初の重量の近くまで戻し、以前に記載のように塩化ナトリウムを加
える。結果として生じる溶液を遠心分離機にかけ、下相を排出し廃棄する。第3の抽出か
らの上相を乾燥させ、その後、クロロホルムにより抽出する。その後、クロロホルム層を
真空内で蒸発させる。残留物を真空下で乾燥させる。
【0328】
<方法B>BASF Corporation,Mount Olive,N.J.からの
ポロクサマー407を脱イオン水中に溶解する。その溶液を凍結近くまで維持し、その後
、硫酸アンモニウムを加える。溶液を2℃で平衡化し、2つの別々の相を形成し、その後
10
、下相を捨て、上相を集め、秤量する。脱イオン水を加え、溶液を2℃で平衡化し、続い
て、撹拌しながら硫酸アンモニウムを加える。塩を溶解後、2つの相が形成されるまで溶
液をほぼ2℃に保持する。上相を分離し、脱イオン水により希釈する。溶液を約2℃まで
冷却し、硫酸アンモニウムを加える。相を、上記のように分離させる。上相を分離し、ジ
クロロメタンで抽出する。2相を一晩で形成させる。有機相(下相)を分離し、硫酸ナト
リウムを介して乾燥させる。ジクロロメタン相をPTFEフィルター(0.45μmの孔
径)を介してろ過し、溶解していない塩を除去する。ジクロロメタンを真空内で取り除き
、残留物を乾燥器(oven)で一晩乾燥させる。
【0329】
サンプルの調製
20
以下のシプロフロキサシン/デキサメタゾンのサンプルを、以下のように調製した。
【0330】
50mMのTRIS緩衝液食塩水(pH7.4および280mOsMのモル浸透圧濃度
)中の冷たい16%のP407を、空の容器に入れ、その後、シプロフロキサシン遊離塩
基またはシプロフロキサシン遊離塩基水和物(3.5モル)を、混合している間、振り入
れた。シプロフロキサシン懸濁液を、少なくとも10分間混合し、その後、微粉化された
デキサメタゾンを、混合している間、ゆっくり加えた。その後、均質の懸濁液を、3mL
のバイアルに移し、異なる容量(v1=4g、v2,3gおよびv3 2g)で充填した
。ガラスバイアルを、Westストッパー(fluorotec coated)および
アルミニウムシールで密閉し、その後、華氏250℃で30分間加圧滅菌した。
【0331】
以下のデキサメタゾン懸濁液を、28%のデキサメタゾンの濃度で、2%のP407ま
たは10%のP407のいずれか中に微粉化されたデキサメタゾンを分散させることによ
り調製した。その後、均質の懸濁液1mLを20mLのバイアルに移した。ガラスバイア
ルを、Westストッパー(fluorotec coated)およびアルミニウムシ
ールで密閉し、その後、30分間、華氏250℃に加圧滅菌した。
【0332】
30
(81)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表18】
10
【0333】
【表19−1】
20
30
40
【0334】
(82)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表19−2】
10
20
30
【0335】
シプロフロキサシン遊離塩基が使用されるとき、明らかな粒径の増加が、加圧滅菌後に
40
見られ、主に、シプロフロキサシン注射針のサイズの増加として見られる。シプロフロキ
サシン遊離塩基水和物が3%の濃度を超えて使用される時、加圧減菌の後に最小限の成長
(minimal growth)または再結晶が観察される。
【0336】
6%のシプロフロキサシン水和物/2%のデキサメタゾンで観察される粘度と比較して
、2%のシプロフロキサシン/0.7%のデキセドリンで作られた懸濁液のより高い粘度
が見られる。デキサメタゾンが、10%までのP407を有する高濃度で加圧滅菌される
とき、最小限の分解または変化が観察される。
【0337】
<実施例16−デキサメタゾンの乾熱滅菌>
50
(83)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
微粉化されたデキサメタゾン粉末(Spectrum lot XD0385)10m
gを2mLのガラス製の小瓶に入れ、13mmのブチルstrゴム栓(butyl st
r rubber stopper)(Kimble)で密閉し、7∼11時間、異なる
温度で乾燥器中に入れた。
【0338】
HPLC分析を、溶媒B(溶媒A 35%のメタノール:35%の水:30%の酢酸緩
衝液、溶媒B 70%のメタノール:30%の酢酸緩衝液 pH4)の30−95の勾配
(1∼6分)、その後、均一濃度(95%の溶媒B)で11分間、全実行22分間、を用
いる、Luna C18(2)、3μm、100Å、250×4.6mmカラムを備えて
いるAgilent 1200を用いて行った。サンプルをエタノール中に溶解し、分析
10
した。微粉化されたデキサメタゾンの、最大138℃の温度での乾熱滅菌は、微粉化され
たデキサメタゾンの粒径分布に影響を与えなかった。HPCL分析は、乾熱滅菌された、
微粉化されたデキサメタゾンの99%の純度を示した。
【0339】
乾熱滅菌されたデキサメタゾンを、投与前に滅菌ろ過されたポロクサマー溶液と随意に
無菌的に混合する。
【0340】
<実施例17−デキサメタゾンおよびモキシフロキサシンを含む熱感受性ゲルの調製>
【0341】
【表20】
20
30
【0342】
微粉化されたデキサメタゾンおよびモキシフロキサシンを含む製剤を、上記の実施例1
に従って調製する。分画されたポロクサマーを、本明細書に記載の実施例15に従って調
製する。
【0343】
40
<実施例18−微粉化されたデキサメタゾン粉末およびシプロフロキサシン粉末を含む組
成物の調製>
【0344】
<16%のポロクサマー407中の2%のデキサメタゾンおよび2%のシプロフロキサシ
ンHCl>
シプロフロキサシンHCl(LKT laboratories)115.5mg+微
粉化されたデキサメタゾン(Pfizer)100.2mgを、TRIS緩衝液中の16
%のポロクサマー407により5gの重量に懸濁し、pHを5NのNaOH60μLによ
って7.5に調節した。
【0345】
50
(84)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
<ポロクサマー407 50%/エタノール25%/水25%中の2%のデキサメタゾン
、2%のシプロフロキサシンHCl>
プルロニックF127(Sigma Chemical Co)2.5g+エタノール(
200 proof, Acros)1.25gを秤量する。混合物を熱(40−60℃)
を加えることにより溶解し、その後、水1.25gを、混合している間加えた。シプロフ
ロキサシンHCl(LKT laboratories)115.6mg+微粉化された
デキサメタゾン(Pfizer)111.7mgを、ポロクサマー/エタノール/水中に
懸濁した。
【0346】
ポロクサマー407 50%/エタノール25%/水25%を、0.22μm PES
10
注射器フィルターを介して滅菌ろ過する。P407/EtOH/水の混合物は、約300
0−8000cPの初期粘度を有しており、投与時に濃縮される。
【0347】
スナップウェル(0.4μmの孔径を有する、直径6.5mmのポリカーボネート膜)
内で、37℃で溶解を行い、製剤0.2mLを、スナップウェルへ入れ、放置し硬化させ
、その後、0.9%の生理食塩水0.5mLを、リザーバに入れ、Labline or
bit shakerを用いて70rpmで振り混ぜた。サンプルを、1時間毎に採取し
た(0.1mLを取り除き、暖かい緩衝液と交換する)。245および270nmのUV
によって、それぞれ、Evolution 160 UV/Vis分光光度計(Ther
mo Scientific)を使用して、デキサメタゾンおよびシプロフロキサシン濃
20
度に関してサンプルを分析する。外部較正標準に対して定量化を行った。
【0348】
【表21】
30
【0349】
<実施例19−21>アモキシシリン+トリアムシノロン、モキシフロキサシン+プレド
ニゾロン、およびゾレドロネート+デキサメタゾンの組み合わせを含む製剤を、上記の手
順を用いて調製する。
【0350】
<実施例22 シプロフロキサシンヒドロゲル製剤の製造および特性>
<3%のシプロフロキサシンヒドロゲル>
NaCl(fisher lot 080788)1.1399g+トロメタミン(f
isher lot 081507)1.5022g+Millipore DI水20
40
5gを怦量する。溶解し、5NのHCl溶液∼1.8mLで最終的なモル浸透圧濃度27
3mOsm/kgでpH7.75に調節する。上記の緩衝液58.8gを秤量し、冷却し
、その後、ポロクサマー407NF(BASF lot WPNF580C)11.29
1gを、混合している間、振り混ぜ、完全に溶解するまで混合する。35mmの撹拌棒を
含む100mLガラスびんへ16%のP407(上記の溶液)64.8gを怦量し、その
後のシプロフロキサシン水和物(Neuland lot CHI071000)2.2
915gを振りいれる。冷却している間、11分の設定(IKA撹拌プレート)で、少な
くとも2時間混合し、その後、およそ2gの懸濁液で31個の2mLのバイアルを充填し
、13mmのWestストッパーでそれらに栓をし、Alシールでそれらを密閉し、25
0℃で30分間加圧滅菌する。
50
(85)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0351】
<放出特性>
スナップウェル(0.4μmの孔径を有する、直径6.5mmのポリカーボネート膜)
内で、37℃で溶解を行い、ゲル0.2mLを、スナップウェルへ置き、放置し硬化させ
、0.9%の生理食塩水0.5mLを、リザーバに置き、Labline orbit shakerを用いて70rpmで振り混ぜた。サンプルを1時間ごとに採取した(すべ
ての生理食塩水を取り除き、モル浸透圧濃度290mOsmの温かい0.9%の生理食塩
水と交換した)。サンプルをHPLCによってシプロフロキサシンに関して分析した。
【0352】
<流動特性>
10
Tgelの測定を、温度制御ユニット(1.6℃/分で15―37℃まで温度に勾配が
付けられている)を装備している0.08rpmで回転する(ずり速度0.31s−1)
CP−51スピンドルを備えているBrookfield粘度計RVDV−II+Pを用
いて行う。7.5から375s−1までずり速度のCP−40スピンドルを有するBro
okfield粘度計RVDV−II+Pを用いて、20℃で粘度を測定した。製剤の塑
性粘度を計算し、薬物生成物の降伏応力(yield stress)を得るために、デ
ータをCassonモデルにあてはめた。
【0353】
【表22】
20
30
【0354】
シプロフロキサシンのクロマトグラフィー純度を、下記の表に示す。
【0355】
40
(86)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表23】
10
【0356】
20
<12%のシプロフロキサシンヒドロゲル>
上記の緩衝液(3%のシプロフロキサシンヒドロゲル)126.1gを秤量し、冷却し
、ポロクサマー407 NF(BASF lot WPNF580C)24.0gを、混
合している間、振り入れ、完全に溶解するまで混合する。35mmの撹拌棒を含む100
mLガラス瓶へ、16%のP407(上記の溶液)34.68gを怦量し、その後、シプ
ロフロキサシン水和物(Neuland lot CHI071000)5.38gを振
り入れる。冷却している間、11分の設定(IKA撹拌プレート)で、少なくとも2時間
混合し、その後、およそ2gの懸濁液で7個の2mLのバイアルを、3gの懸濁液で1個
の3mLのバイアルを、および8gの懸濁液で1個の10mLのバイアルを充填し、その
後、Westストッパーでそれらに栓をし、Alシールでそれらを密閉し、250℃で3
30
0分間加圧滅菌する。
【0357】
0.6、2、および6%のシプロフロキサシンヒドロゲルを調製するために、以下の手
順を用いた:16%のP407をガラスバイアルに配し(deliver)、加圧滅菌し
、その後、加圧滅菌された12%のシプロフロキサシン水和物の特定量を無菌的に加え、
徹底的に混合した(詳細については、下記の表を参照)。
【0358】
【表24】
40
【0359】
シプロフロキサシンヒドロゲル製剤のインビトロの放出特性を以下に示す。
【0360】
50
(87)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【表25】
10
【0361】
16%のポロクサマー407中のシプロフロキサシン懸濁液の粘度を、温度制御ユニッ
ト(温度設定20℃)を装備している、1−50rpmのランプ速度で回転する(ずり速
度3.8から192s−1)CP−40スピンドル、または1−50rpmのランプ速度
20
−1
で回転する(ずり速度3.8から192s
)CP−51スピンドルを備えているBr
ookfield粘度計RVDV−II+Pを用いて測定した。
【0362】
突出力は、Poiseuilleの式によって表わされるように懸濁液の粘度に正比例
する。
【0363】
【表26】
30
40
【0364】
<実施例23−正円窓膜上への増強された粘度の医薬製剤の適用>
実施例1に従って製剤を調製し、27ゲージのルアーロックの使い捨ての針に取り付け
られたシリコンで処理された5mlのガラス製注射器へと充填する。リドカインを、鼓膜
に対して局所的に適用し、中耳の空洞を可視化するために小さい切り込みを作る。針先を
、正円窓膜上へ導き、製剤を、直接正円窓膜上に適用する。
【0365】
<実施例24−モルモットにおける、製剤の鼓膜内注射のインビボでの試験>
およそ6−8週齢の、体重200−300gである雌のモルモット(Charles
River)を使用する(1群あたりN=4)。いずれの手順前にも、キシラジン(10
50
(88)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
mg/kg)、ケタミン(40mg/kg)およびアセプロマジン(0.75mg/kg
)の組み合わせを用いて、1時間までの間、筋肉内の経路で麻酔をかける。必要ならば、
もとの投与量の10分の1に相当する術中ブースターを腹腔内投与する。中耳内の注入−
正円窓の隙間への注入に好ましい角度で頭を並べる(the head is titl
ed)ように各動物を配置する。簡単に言うと、手術用顕微鏡による視覚化のもと、0∼
50%の活性薬剤および異なる濃度のP407を含む製剤50μlを、動物に投与する。
製剤を、(その後ろに正円窓の隙間が位置する)上後部の四分円(superior p
osterior quadrant)に鼓膜を介して27Gまたは30Gの注射針を使
用して注入する。手順の間、および回復まで、意識が回復するまで(その時、動物は動物
飼育場に戻される)、動物を、熱制御された(40℃)加温パッド上に置く。外リンパの
10
サンプリング手順−麻酔をかけられたモルモットの耳の後ろの皮膚の毛を剃り、ポビドン
−ヨードで殺菌する。それから、耳の後ろに切開を入れ、筋肉を水疱上から慎重に削ぐ。
中耳が曝され、アクセス可能なように、歯科用バーを用いて水疱を介して穴をあける。蝸
牛および正円窓膜を、実体外科用顕微鏡下で視覚化する。正円窓に隣接している蝸牛(活
性な嚢(active capsule))の硬質の甲(bony Shell)を介し
て独特の微小の穴(microhole)を手で開けた。その後、蝸牛の鼓室階に挿入さ
れたミクロキャプラリを用いて、外リンパ(5μl)を集める。血漿およびCSF収集の
方法−心臓の穿刺によって血液をヘパリンコーティングした管へ収集する。脳脊髄液(C
SF)を収集するために、頭蓋の頭頂のちょうど後部に小さな皮膚切開を入れる。その後
、皮膚を削いで、僧帽筋を後頭骨からこすり取る。その後、骨を介して小さな穴を開ける
20
。硬膜を鋭いメスで切り、マイクロピペットを挿入して、血液を含まないCSF(50μ
l)を集める。
【0366】
<分析の方法>
活性薬剤濃度の測定を、質量分析法検出(MS)と組み合わせた高圧液体クロマトグラ
フィー(HPLC)を用いて行う。その方法の検出限界は、1.0ng/mlである。ジ
クロロメタン:ヘキサン:MTBE(1:1:1v/v/v)を用いて、液液抽出によっ
てサンプル(外リンパ、血漿およびCSF)を抽出する。その後、有機部分を乾燥させ、
抽出物を、水:メタノール溶液(1:1,v/v)で再構成する。サンプルを、40℃に
維持されたAltantis dC18カラムを用いて逆相HPLC(1100シリーズ
30
、Agilent)によって分析する。移動相を、Z−sprayソース/インターフェ
ースにおいて、加熱窒素を用いて霧状にし、イオン化された化合物を、MS/MS(Ta
ndem quadrupole mass spectrometer,Quattr
o Ultima,Waters)を用いて検出する。活性薬剤のピーク高さを、Mas
sLynxソフトウェア(Waters)を用いて測定する。MassLynxを用いて
、適切な式に分析物/内部標準のピーク高さ比および標準濃度をあてはめることによって
、較正曲線を得る。その後、サンプルの活性薬剤濃度を、較正曲線から導き出した式を使
用して補間する。
【0367】
<データ分析>
40
従来の非コンパートメント薬物動態法(noncompartmental phar
macokinetic methods)を用いて薬物動態パラメータを計算する。見
掛けのクリアランス(CL app)を、投与された中耳内の投与量と曝露(AUC)の
間の比として計算する。このように、製剤における活性薬剤の注入量と濃度を、前臨床及
び臨床研究の最適パラメータを決定するために試験する。
【0368】
<実施例25−ヒツジにおける製剤の鼓膜内注入のインビボ試験>
およそ2−4年齢の、体重50−65kgの雌のヒツジ(Buckham Sheep
Farm、Kalamazoo、MI)を使用する(1群あたりN=1、2つの耳)。
いずれの手順の前にも、吸入によるイソフルランに加えて、IM投与されるキシラジン(
50
(89)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
0.22mg/kg)、グリコピロレート(0.01mg/kg)およびケタミン(15
mg/kg)の組み合わせを用いて動物に麻酔をかける。中耳内の注射−挿管された動物
を固定し、それぞれ、確実に正円窓にアクセスするために、額角をわずかに傾けて、逆ト
レンデレンブルグ体位で横に置く。耳洗浄(Otocalmおよび暖かい生理食塩水を使
用する)に続いて、耳鏡による視覚化の下で、0∼50%の活性薬剤とP407を含む製
剤600μlを、動物に投与する。製剤を、正円窓の隙間に向けて後部内の四分円(po
sterior inferior quadrant)へ鼓膜を介して25Gまたは2
7Gの注射針を使用して注入する。薬注後、投与した溶液が鼓室腔へ落ち着くことができ
るように、およそ30分間、動物を、頭を上にして斜めにしておく。その後、手順を他方
の耳に対して繰り返す。外リンパのサンプリング手順−動物に挿管し横臥して置く。耳後
10
部の皮膚切開を入れ、耳後部の血管を探し出し、結紮する。水疱と側頭骨をむき出しにす
るために焼灼(cautery)を行う。窒素を動力とするドリルおよび先端が円形のバ
ー(bur)を用いて、中耳へアクセスする。正円窓膜を破損しないように注意しながら
、中耳小骨を脇に押し込む。変更した縫い針で貫通するのに充分骨が薄くなるまで、0.
5−1mmの先端が円形のバーを用いて、蝸牛の基底回転へ穴を手で開ける。その後、蝸
牛の鼓室階に挿入された28−32Gの注射針に連結されたハミルトン注射器を使用して
、外リンパ(50μl)を集める。血漿とCSF収集の方法−頚静脈からヘパリンをコー
ティングした管へ血液を収集する。脳脊髄液(CSF)を収集するために、大槽にわたっ
て小さな皮膚切開を入れ、血液を含まないCSF(500μl)をサンプリングするため
に22G注射針を挿入する。
20
【0369】
上に記載されるように、サンプルを分析する。各製剤に対するゲル排出の時間経過を、
測定する。製剤のより早いゲル排出の時間経過は、より小さい平均溶解時間(MDT)を
示す。前臨床及び臨床研究の最適パラメータを決定するために、このように、製剤におけ
る活性薬剤の注入量と濃度を試験する。
【0370】
<実施例26−耳におけるインビボでの持続放出の動力学>
21匹のモルモット(Charles River、体重200−300gの雌)のコ
ホートに、280mOsm/kgで緩衝された、製剤の重量で1.5∼35%の活性薬剤
を含んでいる、15−17%のプルロニックF−127製剤50μLを中耳内に注入する
30
。1日目に動物に投薬する。製剤に対する放出特性を、外リンパ及び/又は中耳流体の分
析に基づいて決定する。
【0371】
<実施例27−中耳炎動物モデルにおける耳用薬剤製剤の評価>
<中耳炎の誘発>
体重が400∼600gで、耳鏡検査及びティンパノメトリー検査により確認された正
常な中耳を有する、健康な成体のチンチラを、これらの研究に用いる。接種材料が耳管か
ら流れ出るのを防ぐため、予防接種の24時間前に耳管閉塞を行う。4−h−対数期(4
−h−log phase)の3型S.pneumoniae株(およそ40コロニー形
成単位(CFU)の個体を含む)1ミリリットルを、チンチラの両中耳鼓室下の水疱中へ
40
直接入れる。対照マウスには、1ミリリットルの無菌のPBSを接種する。
【0372】
<処置>
接種されたS.pneumoniae及び対照群マウスを、2つの群へと分類する(各
々の群においてn=10)。アモキシリンを含む耳用薬剤製剤を、動物の1つの群の鼓室
腔の壁に適用する。アモキシリンを含まない対照群製剤を、第2の群に適用する。最初の
適用から3日後に、アモキシリン製剤及び対照製剤を再度適用する。7日目の処置後に殺
動物を処分する。
【0373】
<結果の分析>
50
(90)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
中耳流体(MEF)を、肺炎球菌予防接種(pnumoccal inocultio
n)の1時間後、2時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、及び、7
2時間後にサンプリングする。50CFU/mlに定められた計量閾値で、ヒツジ血液寒
天上で定量的なMEF培養を行う。血球計によって炎症細胞の量を計り、差動的な細胞の
数え上げ(differential cell enumaration)を、ライト染
色(Wright’s stainning)で行った。
【0374】
<実施例28−外耳炎動物モデルにおける耳用薬剤製剤の評価>
外耳道組織を悪化させるために、プラスチックピペットを使用して、20匹のスプレー
グ・ドーリーラットに外耳炎を誘発する。全てのラットは、1日以内にOEを進行させる
10
。注射針と注射器を使用して、半分のラットの耳に実施例2の製剤を投与し、一方、残り
のラットには、耳用薬剤を含まない同じ製剤を与える。外耳道組織を、疾病を特徴づける
赤みおよび腫れについて観察する。光学顕微鏡を用いて、ラットからの生検サンプルを分
析する。
【0375】
<実施例29−滲出性中耳炎の処置のための鼓室穿孔術と組み合わせた耳用薬剤製剤の臨
床試験>
この研究の目的は、鼓室穿孔術と組み合わせて投与されたシプロフロキサシンとデキサ
メタゾンの組み合わせを含む組成物が、耳管(ear tubes)を有する患者の中耳
感染を予防及び/又は処置することにおいて安全かつ有効かどうかを判断することである
20
。
【0376】
<研究タイプ>:介入(interventional)
【0377】
<研究設計>:これは、現在の標準治療に対して、鼓室穿孔術と組み合わせた中耳内の組
成物の持続放出の使用を比較するための、非劣性オープンラベル研究(non−infe
riority open label study)である。現在の標準治療は、外科
手術後5−7日間の耳用滴剤の使用を必要とする。研究は、手術の時に徐放性組成物の投
与が、外来患者処置の必要をなくすか否かを試験するように設計されている。試験の仮説
は、手術の時の持続放出組成物の単独注射の投与が、手術の後の耳用滴剤の投与より劣っ
30
ていないということである。
【0378】
<包含基準>:
6か月から12歳、片方の耳または両方の耳において滲出を伴う急性中耳炎
患者は、昨年、管の交換以外に耳の手術を受けなかった
患者は、研究の実施に否定的に影響を与える任意の疾患または疾病を有していない
患者は、研究の間に他の全身性の抗菌治療を必要としない
(アセトアミノフェン以外の)鎮痛剤の使用は許されない
患者は、知覚神経の難聴という傾向をあらかじめ持っていない
【0379】
40
<除外基準>:年齢
【0380】
<研究デザイン>:20人の患者を2つの群に分ける。患者の第1の群に、外科手術の手
順の間に、微粉化されたシプロフロキサシンおよび微粉化されたデキサメタゾンを含む持
続放出組成物の注射をする。各患者に、管の配置用の鼓室穿孔術をする。外科手術の手順
中に、外科医は、すべての耳の滲出液を洗浄し、鼓膜切開(myngotomoy in
cision)が開いている間、外科医は、中耳の空間に試験組成物を注入する。中耳の
空間への持続放出組成物の注入の後に、管を挿入する。試験組成物を、他の賦形剤ととと
もに、シプロフロキサシンおよびデキサメタゾンの乾燥した微粉化された粉末を懸濁する
ことによって、手術室内で調合するか、または、試験組成物は、注入のための準備のでき
50
(91)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
ている調製された懸濁剤であるかのいずれかである。
【0381】
患者の第2の群に、手術後5−7日間投与される即時放出成分として、微粉化されてい
ない水溶液形態のシプロフロキサシンおよび微粉化されていない水溶液形態のデキサメタ
ゾンを含む点耳液を与える。
【0382】
1か月の間、毎週のフォローアップ訪問において患者をモニターする。2つの群の間の
処置結果のどのような差も、記録する。
【0383】
<第一評価項目>:患者を介して親または保護者によって記録される耳漏の停止時間
10
【0384】
<第二評価項目>:臨床治癒率;微生物学的結果(Microbiological o
utcome);処置不成功;疾患の再発。
【0385】
鼓室穿孔術と組み合わせたシプロフロキサシンとデキサメタゾンを含む持続放出組成物
の投与が、鼓室穿孔術に関連した耳漏、感染または炎症の減少ための手術の後のシプロフ
ロキサシンとデキサメタゾンを含む点耳液を投与する場合より有効か否かを判断するため
に、患者の各群の処置結果を比較する。
【0386】
<実施例30−動物モデルにおける副鼻腔炎の処置およびインビボでの徐放の評価>
20
American Journal of Rhinology, 2007, 21, 5−
9においてChiu et al.によって記載された動物モデルをこの研究の中で使用す
る。
【0387】
ホワイトラビットの上顎洞小孔を、上顎骨の前部の面に作成された乳突洞開口を介して
外科用綿撒糸により塞ぐ。洞に緑膿菌を接種する。7日後に、乳突洞開口術を再開し、小
孔の閉塞を取り除き、単一の内腔カテーテルを配置する。ラビットの1つの群において生
理食塩水を、7日間カテーテルを介して洗浄し(プラセボ群)、一方、対照群は、洗浄し
ない。第3の試験群に、試験の副鼻腔内製剤の1回量を与える。研究の7日目に、ラビッ
トを安楽死させ、光学顕微鏡下で分析し、鼻の洗浄液の細菌数を測定する。対照と生理食
30
塩水洗浄の両方中の膿、粘膜の骨の下の炎症(mucosal and underly
ing bony inflammation)によって、副鼻腔炎の存在を確認する。
処置群における鼻の洗浄液中の細菌数、膿および炎症の低減は、有効な治療上の結果を示
す。
【0388】
活性薬剤の徐放を、洗浄液の活性薬剤の検出のための適切な技術(例えば、UV分光法
、HPLC、質量分析)を用いて、鼻の洗浄液または鼻腔の洗浄液において測定する。副
鼻腔の通路からの上皮の擦過を、活性薬剤の組織曝露を測定するために使用する。
【0389】
<実施例31:手術と組み合わせた副鼻腔内製剤の評価のための臨床試験>
40
これは、副鼻腔炎の長い病歴があり、および薬物治療に失敗した薬剤小児科の患者にお
いて、副鼻腔炎の再発を低減する際に副鼻腔内製剤およびバルーン造鼻術の組み合わせの
安全性および有効性を測定する研究である。
【0390】
<適格性>:2歳∼17歳、両方の性別;患者の法定後見人によって同意されたPIによ
って推奨された計画された外科的処置(すなわち内視鏡検査法の鼻腔手術、咽頭扁桃切除
、培養物を得るための鼻腔洗浄);長年の副鼻腔炎:1年あたり3より多いmo症状ある
いは6つの発症、および陽性のCTスキャンが後続する2つのコースの抗生物質に失敗。
【0391】
<除外基準>:標的の小孔(ostia)における広範囲な以前の副鼻腔の手術;嚢胞性
50
(92)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
繊維症;広範囲な副鼻腔の骨新生(osteoneogenesis);副鼻腔の腫瘍ま
たは閉塞性病変;鼻腔組織を歪めて、鼻腔小孔に対するアクセスを不可能にする顔の外傷
の病歴;繊毛の機能障害
【0392】
<研究デザイン>:洞のバルーン拡張を、洞ガイドカテーテル、洞ガイドワイヤ、洞交換
と洗浄カテーテル、洞バルーンインフレーション装置および洞バルーンカテーテルを含む
市販のデバイスを使用して行う。バルーン拡張を、ビデオ文書化機能を備えた内視鏡検査
の技術を使用して行う。実施例9からの副鼻腔内製剤の1回量を、副鼻腔内の空洞へカテ
ーテルを介して投与する。患者を1年間モニターする。
【0393】
10
<第一評価項目>:
12か月を通じてのバルーン拡張中の鼻腔に関連する有害事象;
鼻腔症状のスコアにおける改善。
【0394】
<第ニ評価項目>:
1年を通じての薬物治療の有効性;手術後の介入治療によって測定されるような手術お
よび副鼻腔内の組成物の有効性;学童保育の日(days out of school
);再発率
【0395】
<実施例32:鼻のポリープ症の処置における副鼻腔内の組成物の効果>
20
この研究の目的は、実施例9の副鼻腔内製剤の投与が、鼻ポリープの大きさを低減し、
鼻ポリープの厚さを低減し、慢性の副鼻腔炎(CRS)を有する人々の症状を和らげるか
否かを決定することである。
【0396】
<適格性>:被験体は、CRSの基準を満たさなければならない、すなわち、彼らは、(
1)少なくとも3か月連続した間、少なくとも2つの主要基準(顔面痛/圧迫症(pre
ssure)または頭痛、鼻閉、前鼻または後鼻のドレナージ、嗅覚減退/無嗅覚症);
(2)エントリーの3か月以内に文書化された、少なくとも2つの鼻腔領域における異常
な鼻腔CTスキャン、または疾患の内視鏡検査の証拠、を有していなければならない;被
験体は、鼻ポリープの証拠を伴う、CTまたは内視鏡検査によって証明される両側性ポリ
30
ープ症か、または以下の領域:右上顎洞、左上顎洞、右前篩骨洞、左前篩骨洞、の少なく
とも2つにおける検査上のポリープ状粘膜のいずれか、加えて、基線の鼻鏡検査試験にお
ける最小のポリープ/ポリープ状のスコア4、を有していなければならない。鼻ポリープ
は、中鼻道領域において目に見える目立たないポリープとして定義される。
【0397】
<除外基準>:スクリーニング訪問の3週間以内に抗生物質を受けた被験体;制御されな
い中度から重度の喘息(エントリーの前の週の間、喘息対照テスト<19で、FEV1<
80%として定義される)、最近の増悪、または研究登録の6週間以内の全身性ステロイ
ドバーストの使用、のある被験体。コルチコステロイドの維持量を受けている被験体。
【0398】
40
<研究デザイン>:患者は、鼻ポリープへ、または鼻ポリープの付近にカテーテルによっ
て実施例9の副鼻腔内の組成物の1回量を直接投与される。患者は1年間モニターされる
。
【0399】
<第一評価項目>
洞CTスキャンの上の前部篩骨および上顎洞内でのポリープ状粘膜の肥厚の定量化。症
状及び/又はポリープの再発。
【0400】
<実施例32−メニエールの患者内におけるイオンチャンネルモジュレーターの投与の評
価>
50
(93)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【0401】
研究目的
【0402】
この研究の主目的は、ヒト被験体においてメニエール病を改善する際のデキサメタゾン
の安全性および有効性を評価することである。
【0403】
研究設計
【0404】
これは、片側のみの疾患を持った患者におけるメニエール病の処置におけるデキサメタゾ
ン投与をプラセボと比較する、前向き、無作為化された、二重盲検の、プラセボ対照の、
10
多施設の、第1Bフェーズの研究である。およそ100人の被験体がこの研究で登録され
る。各群は、デキサメタゾンを含むイオンチャンネルモジュレーター製剤か、またはプラ
セボ処置のいずれかの徐放の単回投与を受ける。
【0405】
研究を終えない被験体は、交代しない。研究薬を受け取る患者に、被験体の正円窓膜上
へ実施例1のゲル製剤を直接投与し、3か月の間モニターする。各患者は、処置の前、お
よび研究薬の投与後2週間ごとに、前庭と聴力の評価を受ける。
【0406】
第一評価項目
【0407】
20
この研究の主目的は、プラセボに対してデキサメタゾンの2つの増加する用量の安全性
および耐性を評価することである。安全事前評価を、デキサメタゾンまたはプラセボの単
回の中耳内の注入の後、3か月の間行う。
【0408】
第二評価項目
【0409】
この研究の副次的な目的は、プラセボに対するデキサメタゾンの2つの用量の臨床的な
活性を評価することである。眩暈の頻度に関する基線の変化を評価する。日常生活動作に
対する耳鳴の影響を測定する。影響を受けた耳における聴力の喪失を、聴力検査試験によ
って測定する。生活の質を、患者の報告されたアンケートによって測る。眩暈の発症の重
症度を、患者の報告された眩暈スコアによって測る。
【0410】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示されるとともに記載されてきたが、このよ
うな実施形態はほんの一例として提供されるものである。本明細書中に記載の実施形態の
様々な代替形態が、本発明を実行する際に任意に採用される。以下の特許請求の範囲が本
発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法及び構造体及びそれらの
均等物がそれによって包含されることが意図されている。
30
(94)
【図1】
【図2】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(95)
【図3】
【図4】
【図5】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(96)
【図6】
【図7】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(97)
【図8】
【図9】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(98)
【図10】
【図11】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(99)
【図12】
【図13】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(100)
【図14】
【図15】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(101)
【図16】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(102)
【図17】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(103)
【図18】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(104)
【図19】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(105)
【図20】
【図21】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(106)
【図22】
【図23】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(107)
【図24】
【図25】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(108)
【図26】
【図27】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(109)
【図28】
JP 2013-508381 A 2013.3.7
(110)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
【国際調査報告】
10
20
30
40
(111)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
10
20
30
40
(112)
JP 2013-508381 A 2013.3.7
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 31/573
(2006.01)
A61K 31/573
A61K 31/496
(2006.01)
A61K 31/496
A61K 31/43
(2006.01)
A61K 31/43
A61K 31/424
(2006.01)
A61K 31/424
A61K 31/4412
(2006.01)
A61K 31/4412 A61K 31/5383
(2006.01)
A61K 31/5383 A61K 47/36
(2006.01)
A61K 47/36
A61K 47/12
(2006.01)
A61K 47/12
A61P 31/04
(2006.01)
A61P 31/04
A61P 29/00
(2006.01)
A61P 29/00
A61P 43/00
(2006.01)
A61P 43/00
121 A61P 27/16
(2006.01)
A61P 27/16
A61P 35/00
(2006.01)
A61P 35/00
A61P 11/02
(2006.01)
A61P 11/02
10
(31)優先権主張番号 61/255,780
(32)優先日 平成21年10月28日(2009.10.28)
20
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 61/297,170
(32)優先日 平成22年1月21日(2010.1.21)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 61/297,138
(32)優先日 平成22年1月21日(2010.1.21)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 61/364,288
(32)優先日 平成22年7月14日(2010.7.14)
(33)優先権主張国 米国(US)
30
(31)優先権主張番号 61/366,677
(32)優先日 平成22年7月22日(2010.7.22)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,T
M),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,R
S,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,
BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,I
D,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO
,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,
40
ZA,ZM,ZW
(72)発明者 ピウ,ファブリス
アメリカ合衆国 92131 カリフォルニア州 サンディエゴ ストーンデール・コート 11
859
Fターム(参考) 4C076 AA09 AA22 AA94 BB25 BB26 DD41P EE23P EE39P FF17 FF31
FF68
4C084 AA17 MA23 MA27 MA56 MA59 NA10 ZB112 ZB352 ZC752
4C086 AA01 AA02 BC50 CB05 CB22 CC04 CC07 DA10 GA07 GA12
MA02 MA05 MA23 MA27 MA56 MA59 NA10 ZA34 ZB11 ZB26
50
(113)
ZB35 ZC75
JP 2013-508381 A 2013.3.7