News Release 平成25年6月13日 消 費 者 庁 特定商取引法に基づく行政処分について 本日、北海道経済産業局が特定商取引法に基づく行政処分を実施しましたの で公表します。 本件は、特定商取引法第69条第3項の規定に基づき、消費者庁長官の権限 委任を受けた北海道経済産業局長が実施したものです。 平成25年6月13日 経済産業省北海道経済産業局 特定商取引法違反の訪問販売業者に対する 指示処分について ○ 経済産業省北海道経済産業局は、下着、日用品、装身具などの訪問販売を行っていた株 式会社西日本マルショー(本社:岡山市北区)に対し、本日、特定商取引法第7条の規 定に基づき、次のとおり違反行為の是正を指示しました。 ・訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、売買契約の 締結について勧誘をする目的及び当該勧誘に係る商品の種類を明らかにすること。 ・訪問販売に係る売買契約の締結について、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対 し、当該売買契約の締結について勧誘しないこと。 ・訪問販売に係る売買契約を締結したときは、法令で定める事項を記載した書面を交付す ること。 ○ 認定した違反行為は、勧誘目的不明示、再勧誘、書面記載不備です。 ○ 処分の詳細は、別紙のとおりです。 ○ なお、本処分は、特定商取引法第69条第3項の規定に基づき、消費者庁長官の権限委 任を受けた北海道経済産業局長が実施したものです。 1.株式会社西日本マルショー(以下「同社」という。 )は、主として一人暮らしの高齢者 宅など、消費者の住居を訪問し、同社の営業所以外の場所において、下着、日用品、装 身具など(以下「本件商品」という。 )の訪問販売を行っていました。 2.認定した違反行為は以下のとおりです。 (1)同社は、過去に日用品などを販売した消費者宅を訪問し、世間話などを始め消費者 宅に上がり込み、「血液の検査をしてみましょう。」などと言って血流の検査を開始し ていましたが、勧誘に先立って、その相手方に対し、売買契約の締結について勧誘を する目的である旨及び当該勧誘に係る商品の種類が高額なネックレス等の装身具であ る旨を明らかにしていませんでした。このため消費者は、過去に取引のあった安価な 日用品ではなく、高額な装身具の購入の勧誘を受けているという明確な意識を持ち得 ないまま勧誘を開始されていました。 (勧誘目的不明示) 1 (2)同社は、「要らない、要らない。」、「買う気は全くありません。」などと売買契 約を締結しない旨の意思表示をした消費者に対し、次々と商品を見せる、又は「買わ なくても良いです。話だけ聞いてください。」などと言って、しつこく勧誘をしてい ました。 (再勧誘) (3)同社は、本件商品に係る売買契約を締結した際、 「契約書兼納品書」と題する書面を 交付していましたが、特定商取引法に定められた商品名やクーリング・オフに関する 事項の記載に不備のある書面を交付していました。 (書面記載不備) 【本件に関する御相談先】 本件に関する御相談につきましては、消費者庁から権限委任を受けて消費者庁と ともに特定商取引法を担当している経済産業局の消費者相談室で承ります。お近くの 経済産業局まで御相談ください。 北海道経済産業局消費者相談室 電話 011-709-1785 東北経済産業局消費者相談室 022-261-3011 関東経済産業局消費者相談室 048-601-1239 中部経済産業局消費者相談室 052-951-2836 近畿経済産業局消費者相談室 06-6966-6028 中国経済産業局消費者相談室 082-224-5673 四国経済産業局消費者相談室 087-811-8527 九州経済産業局消費者相談室 092-482-5458 沖縄総合事務局経済産業部消費者相談室 098-862-4373 2 別紙 株式会社西日本マルショーに対する行政処分の概要 1.事業者の概要 (1)名 称:株式会社西日本マルショー (2)代 表 者:代表取締役 菊池 昭雄(きくち あきお) (3)所 在 地:岡山県岡山市北区辰巳29番地113(支店・営業所:23拠点) (4)資 本 金:3,000万円 (5)設 立:昭和53年9月1日 (6)取引類型:訪問販売 (7)取扱商品:下着、日用品、装身具など 2.取引の概要 株式会社西日本マルショー(以下「同社」という。)は、主として一人暮らしの高 齢者宅など、消費者の住居を訪問し、同社の営業所以外の場所において、下着、日用 品、装身具など(以下「本件商品」という。)の訪問販売を行っていた。 3.指示の内容 特定商取引法第2条第1項第1号に規定する訪問販売に関する業務のうち、次の事 項を遵守すること。 (1)訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立って、その相手方に対し、売 買契約の締結について勧誘をする目的及び当該勧誘に係る商品の種類を明らか にすること。 (2)訪問販売に係る売買契約の締結について、契約を締結しない旨の意思を表示し た者に対し、当該売買契約の締結について勧誘しないこと。 (3)訪問販売に係る売買契約を締結したときは、法令で定める事項を記載した書面 を交付すること。 4.命令の原因となる事実 同社は、以下のとおり特定商取引法に違反する行為を行っており、訪問販売に係る 取引の公正及び購入者の利益が害されるおそれがあると認められた。 (1)勧誘目的不明示(特定商取引法第3条) 同社は、過去に日用品などを販売した消費者宅を訪問し、世間話などを始め消 費者宅に上がり込み、「血液の検査をしてみましょう。」などと言って血流の検査 を開始しているが、勧誘に先立って、その相手方に対し、売買契約の締結につい て勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品の種類が高額なネックレス等 3 の装身具である旨を明らかにしていなかった。このため消費者は、過去に取引の あった安価な日用品ではなく、高額な装身具の購入の勧誘を受けているという明 確な意識を持ち得ないまま勧誘を開始されていた。 (2)再勧誘(特定商取引法第3条の2第2項) 同社は、「要らない、要らない。」、「買う気は全くありません。」などと売買 契約を締結しない旨の意思表示をした消費者に対し、次々と商品を見せる、又は 「買わなくても良いです。話だけ聞いてください。」などと言って、しつこく勧誘 をしていた。 (3)契約書面の記載不備(特定商取引法第5条第1項及び第2項) 同社は、本件商品に係る売買契約を締結した際、「契約書兼納品書」と題する書 面を交付しているが、特定商取引法に定められた商品名やクーリング・オフに関す る事項の記載に不備のある書面を交付していた。 5.勧誘事例 【事例1】 同社の営業員Zは、消費者A宅を訪問し、「下着類を売り歩いています。話し だけでも聞いてもらえませんか。」と言った。Aは下着を買う気は全くなかった ので、「下着は要りません。」、「買う気は全くありません。」とはっきり断っ た。しかしながら、Zは「買わなくても良いです。話だけ聞いてください。」と 言い、帰らなかった。この日は、Aが玄関先で応対していても寒さを感じるほど 寒い日で、何度断ってもZは「話だけでも聞いてください。」と言うので、Aは 「下着は買いませんよ、話を聞くだけですよ。」と念を押して「ここでは寒いか ら中で聞くから。」と言って家の中に入れた。この後、Zは持っていた手提げバ ッグから下着類のカタログを色々と出して「こんなのもあるのですよ。」などと 説明した。 この数週間後、Zは再びA宅を訪問し、無断で家の中に上がり込み、「私また、 来ちゃった。」と言った。AはZの非常識な振る舞いに憤りを感じたが、追い出 すこともできず、「下着等は買いませんよ。」と言うのが精一杯だった。この時 もZは「話を聞いてもらえば良いです。」と言い、カタログを出しては「汗を吸 収する素材で出来た下着です。」などと商品の説明をした。さらに、説明が終わ ると、それまでは買わなくても良いと言っていたにもかかわらず、Zは、「何か 買ってもらえませんか。」と執拗に勧誘を続けるので、Aは何か商品を買わなけ ればZは帰らないと思い、「ショーツはあるの。」と聞いた。結局、早く帰って もらいたく、Aはショーツを購入することにした。 4 【事例2】 同社の営業員Yは、一年ほど前にショーツを販売した消費者B宅を訪問し、玄 関に座り込み天気などの世間話を始め、「体の調子はどうか。」などと言って、 Bから体質的に体温が低いなど健康に関する不安を聞き出した。その後、同社の 営業に同行していたXが大きなバッグのようなものを持って「お邪魔します。」 と言って、B宅に入ってきた。この際、Bは、いつもの日常品とは違う物を勧め られるのではないかと思い、「何も買いませんよ。」と何度も言ったにもかかわ らず、Yは「いいから、まず話だけ聞いて。絶対悪い話でないから聞くだけ聞い てちょうだい。」と言った。 すると、Xは血流を検査する機械を出し、Bの血流を測った上で、Bの首にネ ックレスを掛けようとした。Bは「そういうものは一切要らない。こんな物買え ないし、買う気もない。要らない。要らない。」と言い続けたにもかかわらず、 Xは「まず、私たちが居る間だけでも着けてみなさい。」と言って、ネックレス を着けさせ、着用させている間、ネックレスを着けて効果があった色々な人の話 を延々とした。また、しばらくネックレスを着けた後、Xは、もう一度Bの血流 を測り、血流が良くなった旨を告げ、さらに、「足にも着けるかい。」と言った が、Bはこれを断った。その後、Yは、ネックレスは足が疲れたら足首に2重に して着けると効果があるなどと説明した。Bはネックレスなどのアクセサリーは 購入する気は全くなかったので、「要りませんから。」と何度も断ったにもかか わらず、YやXは持ってきたネックレスの見本を次々と見せて説明した。Yは「私 を見てごらん、もうこうやって汗をかいているのよ。いつも汗かいているのよ。」 と言い、自分が着けているネックレスとブレスレットをBに見せた。Bが「それ なら高いでしょう。」と聞くと、Yは「これは高い方で、頑張って買ったのよ。 私も体温低かったけど、これを着けたら体温が上がって元気になって、こうやっ て仕事もずっと続けられるの。」とネックレスが体に良く、体温を上げる効果が あると説明した。 Bは、体温が上がるのなら安い物でも購入しようかと思い、ネックレスの見本 を見始めると、安い物と比べると高額な物は色や粒も違っているため、やはり高 額な物に目がいってしまい、どうせ買うなら高額でも良い物をと思うようになっ た。それでもBは「買えない。」と言うと、Yは「カードにしなさい。カード使 えるんだよ。」と何度もカードで購入するよう勧めた。結局、Bは、体温が上が るのなら良いと思い、カードで購入した。 5 【事例3】 外出から帰宅した消費者C宅前にワゴン車が止まっていた。すると、一年ほど 前に布巾を販売した同社の営業員Wがワゴン車から降りてきた。玄関先に居たC は、Wがまた何かを売りつけに来たと思い、「あんただったの。もう駄目だよ、 買えないよ。」と言った。 Cが玄関の鍵を開け中に入るとWも一緒に入って来たので、Cは、再び「年金 生活で、お金がないから何も買えませんよ。」と勧誘を断ったにもかかわらず、 Wは「買ってもらわなくていいです。トイレを貸してください。」と言ったので、 Cは家の中に入ることを承諾してトイレを貸した。 トイレを済ませたWは「ありがとうございました。」と言って、Cが居た居間 に入って来た。この時、玄関先で「ごめんください。」という声がするので、C が対応に出るとワゴン車の運転席に乗っていたVが玄関先に立っていた。CはW が居間に居るのでVを家の中に入れない訳にもいかず、二人を居間に入れた。V は、居間に入るとすぐに血圧計のような機械を指さし「これで血液の検査をして みましょう。」と言って準備を始めた。 Cは、Vに言われるままに自分の右手人指し指を血圧計のような機械に当て た。すると、Vは、機械を見ながら「血液の流れが悪いですね。」と言うと、自 分が着けていたネックレスをCに見せて「これを着ければ血液の流れも良くなり ますよ。」と言い、Wに視線を向けるよう示唆した。Cが、Wを見るとVと同じ ネックレスを着けていることがわかった。 Cは、血液検査の結果を聞き、ネックレスを目の前で見せられたため、体調を 改善するためには自分も着けた方が良いと思った。CはVに「そのネックレスは 高い物なんでしょう。」と聞くと、Vは「ネックレスは36万円の品物ですが、 身体に着けていると血液の流れが改善され体調も良くなりますよ。」と説明し、 WもVのこの説明にうなずいてみせた。Cは「そんな高い物は買えない。」と言 ったところ、Vは、足首に着けるアンクレットもあって血の流れを改善する効果 があると言葉巧みに説明し、Cは、VとWの言うことを信用して体調を良くする ためにアンクレットを購入した方が良いと思い、購入することを決断した。 6
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