1 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 第 2 章 鉄筋とコンクリート の力学的性質 鉄筋の機械的性質 (JIS G 3112) 2.2 鉄筋の力学的性質 種類の記号 SR 235 • 降伏強度または耐力 235 ∼ 625 N/mm • 引張り強さ 380 ∼ 620 N/mm2 引張強さ 引張試験片 伸び 0.2% 耐力 2.2.1 鋼材の種類と特性 2 降伏点または SR 295 SD 295 A SD 295 B • SR (Steel Round: 丸鋼) SD 345 • SD (Steel Deformed: 異形鉄筋) SD 390 SD 490 [N/mm2 ] [N/mm2 ] 235 以上 380 ∼ 520 295 以上 235 以上 295 ∼ 390 345 ∼ 440 390 ∼ 510 490 ∼ 625 440 ∼ 600 440 ∼ 600 440 以上 490 以上 560 以上 620 以上 [%] 2号 20 以上 3号 24 以上 2号 18 以上 3号 20 以上 2 号準拠 16 以上 3号 18 以上 2号 16 以上 3号 18 以上 2号 18 以上 3号 20 以上 2号 16 以上 3号 18 以上 2号 12 以上 3号 14 以上 2 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 異形鉄筋 SD (Steel Deformed) 13 種類の直径: D6 D10 D13 D16 D19 D22 D25 D29 D32 D35 D38 D41 D51 公称直径 (d) (mm) 単位長さ当りの重量から計算 l = 0.3142 × d 0.7854 × d2 2 公称断面積 (S) (cm ) S = 100 単位質量 (kg/m) 0. 785 ×S 公称周長 (l) (cm) リブ 軸方向突起 節 軸方向以外の突起 節の間隔,高さ ⇓ コンクリートとの付着強度に影響 図 異形棒鋼 3 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 2.2.2 鉄筋の応力 – ひずみ曲線と強度 鉄筋の応力 – ひずみ曲線 • 降伏現象 弾性 → 塑性 • ひずみ硬化現象 • 20% 前後のきわめて大きな変形後 → 破断 • 鉄筋の降伏強度 fy :コンクリートの 10 倍 • 降伏開始時のひずみ εy :コンクリートが最大応力に達したときのひずみ ε0 に近い値 図 -2.1 応力 – ひずみ曲線 4 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 鉄筋の強度 (コンクリート標準示方書) • 降伏強度の設計用値 fyd = fyk /γs までは 弾性体 fyk :降伏強度の特性値 −→ JIS 規格の最低値 γs = 1.0 (鉄筋, PC 鋼材) , (疲労 −→ γs = 1.05) • εs > εy では完全塑性体 • εy = fyd /Es , (Es = 200 kN/mm2) • 鉄筋のポアソン比 ν = 0.3 • 圧縮降伏強度の特性値 = 引張降伏強度の特性値 fyk = fyk √ • せん断降伏強度の特性値 : fvyk = fyk / 3 最大せん断ひずみエネルギー説 (von Mises の降伏条件) σv = σx2 − σx σy + σy2 + 2 3τxy < σY √ 純せん断 (σx = σy = 0) =⇒ τY = σY / 3 図 -2.2 設計用応力 – ひずみ曲線 5 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 2.3 コンクリート の力学的性質 2.3.1 コンクリート の圧縮強度 • コンクリートの配合・施工方法・材齢,試験条件 (キャッピングの良否,載荷速度),形状・寸法比,試験 時の乾湿の状態 • 円柱供試体 (φ15 × 30cm) (ヨーロッパ:立方供試体 (1 辺 15cm, 20cm)) 円柱強度 (シリンダー強度)fc は立方強度の 8 割程度 • 設計基準強度 (fck ) : 標準水中養生下の材齢 28 日における圧縮強度の特性値 ダムコンクリート : 材齢 91 日の圧縮強度の特性値 舗装コンクリート : 材齢 28 日の曲げ強度 (fbk ) の特性値 圧縮強度 f28 f7 図 7日 28 日 材齢 コンクリートの材齢と圧縮強度 6 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 2.3.2 コンクリート 強度の特性値と設計強度 • コンクリートの圧縮強度のばらつき −→ 正規分布 • 設計基準強度 fck と配合強度 fcr の関係 斜線部の面積 (fck 以下となる確率 Pr ) を指定することにより決定 fck = fcr − kσ = (1 − kδ) · fcr 図 -2.3 δ : 変動係数 = 標準偏差σ/配合強度fcr 設計基準強度と配合強度および設計圧縮強度の関係 7 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 【例】 fck を下回る確率 Pr を 1/20 にしたい場合, k = 0.0164 (正規分布表より) fck = (1 − 0.0164δ) · fcr コンクリートの設計基準強度 fck と圧縮強度の設計用値 (設計圧縮強度)fcd の関係 f fcd = ck γc γc : コンクリートの運搬,打設条件による変動,締固め不足,型枠不良による局部欠陥, 養生条件の相違の影響 実構造と供試体の相違 (寸法効果),長期載荷の影響 等々 示方書 • 終局限界状態 γc = 1.3 または 1.5 (fck ≥ 60 N/mm2) fck < 60 N/mm2 では γc = 1.5 の場合の設計基準強度以下 • 使用限界状態 γc = 1.0 8 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 • 引張強度 =⇒ 割裂試験 • 曲げ強度 =⇒ 3 等分点載荷方式 • 試験強度が得られない場合 =⇒ 設計基準強度 fck に基づいて算定 2/3 2/3 引張強度 ftk = 0.23fck 曲げ強度 fbk = 0.42fck 付着強度 異形鉄筋 fbok = 0.28fck 2/3 ≤ 4.2 N/mm2 普通丸鋼 : 異形鉄筋の場合の fbok の 40%,半円形フック 支圧強度 fak = ηfck , η = A/Aa ≤ 2, A:コンクリート面の支圧分布面積, Aa:支圧を受ける面積 各種設計基準強度 (単位 N/mm2 ) : 終局限界状態 (使用限界状態) 18 24 30 40 60 80 設計圧縮強度 fcd 13.8 18.5 23.1 30.8 40.0 53.3 設計曲げ強度 fbd 2.2 2.7 3.1 3.8 4.3 5.2 設計基準強度 fck (2.9) (3.5) (4.0) (4.9) (6.4) (7.8) 設計引張強度 fcd 1.2 1.5 1.7 2.1 2.4 2.8 (1.6) (1.9) (2.2) (2.7) (3.5) (4.3) 設計付着強度 fbod 1.5 1.8 2.1 2.5 2.9 3.4 9 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 2.3.3 コンクリート の応力 – ひずみ曲線 《使用限界状態》 • 載荷方法、コンクリート強度、骨材の種類 • 応力: 小 −→ 比例関係 応力: 大 −→ 緩勾配 • 0.2% ひずみ : 最大応力点 fc0 −→ 軟化勾配 (供試体 → 破壊) • コンクリートの応力 – ひずみ曲線 σ c = εc E c 図 -2.5 応力 – ひずみ曲線の模式図 1 初期弾性係数Ei = tan αi 2 割線弾性係数Ec = tan αc 3 接線弾性係数Et = tan αt 表 2.4 ヤング係数 Ec (kN/mm2 ) ∼ fck (kN/mm2 ) 図 -2.6 fck (N/mm2 ) 18 24 30 40 50 60 70 80 普通コンクリート 22 25 28 31 33 35 37 38 13 15 16 19 − 軽量骨材コンクリート コンクリート のヤング係数 − − − 10 第 2 章 鉄筋とコンクリートの力学的性質 《終局限界状態》 ε ε σc = 0.85fcd c 2 − c 0.002 0.002 εc ≤ 0.002 σc = 0.85fcd 0.002 ≤ εc ≤ 0.0035 0.002 ≤ εc ≤ 0.0025 図 -2.7 コンクリート のヤング係数 (fck ≤ 50N/mm2 ) (fck ≥ 60N/mm2 )
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