エアバス社の最新中型機 A350 XWB について

(公財)航空機国際共同開発促進基金 【解説概要26-3】
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エアバス社の最新中型機 A350 XWB について
1.概要
2006 年 12 月にローンチされたエアバス社の A350 XWB(エクストラ・ワイド・ボディ)型機
は最新の中型ワイドボディ機ファミリーである。全長が異なる 3 機種、A350-800 型機(標準
座席数 276 席)、A350-900 型機(標準座席数 315 席)、A350-1000 型機(標準座席数 369 席)
で構成される。航続距離は A350-800 型機が 15,300 キロ/8,250 海里、A350-900 型機が 14,350
キロ/7,750 海里、A350-1000 型機が 14,800 キロ/8,000 海里。ロールス・ロイス社製次世代エ
ンジン「トレント XWB」を搭載する。中距離から長距離路線の運航で高い効率性を確立し、幅
広いゆとりの客室を備え、快適な居住空間を乗客に提供しながら、航空会社が直面する燃料
費の高騰や将来に向けた環境問題にも対応する最新鋭機である。
2014 年 12 月末時点での受注数は 40 社から 780 機。機種別では、標準型の A350-900 型機が
最も受注数が多く 595 機。A350-1000 型機が 169 機、A350-800 型機が 16 機を受注している。
顧客の種類は幅広く、フルサービスの大手航空会社からリース会社、格安航空会社(LCC)、
チャーター運航会社などがあり、アジア太平洋、欧州、北米、中南米、中東、アフリカとい
った世界の全地域の顧客から受注している他、3 つのアライアンス(航空連合:スターアライ
アンス、スカイチーム、ワンワールド)をカバーしている。2014 年 12 月 22 日には、ローン
チ・カスタマーのカタール航空に初号機が納入された。カタール航空は 2015 年 1 月中にもド
ーハ・フランクフルト線に投入する計画という。
エアバス社の最新の航空機市場予測(2014 年-2033 年)「グローバル・マーケット・フォー
カスト(GMF)」は、今後 20 年間で航空輸送量は年間 4.7%ずつ増加し、100 座席以上を装備す
る航空機(旅客機と貨物機)の需要を 31,358 機(4 兆 6,000 億米ドルに相当)と予測してい
る。そのうち A350 XWB 型機を含む 250 席から 400 席を装備する 2 通路型旅客機の需要は 7,250
機である。広胴型新造旅客機の需要の約半数がアジア太平洋地域の航空会社に引き渡される
見通しで、次に中東(16%)、欧州(15%)、北米(9%)と続く(図 1)。
図 1 今後 20 年間(2014~2033)の新規双通路型旅客機の地域別納入予測
(出典:エアバス社資料)
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A350 XWB 型機は A350-800 型機、A350-900 型機、A350-1000 型機で一つのファミリーを形成
し、様々な市場のニーズに対応する。ファミリーの中で航空会社はそれぞれの路線の需要に
最適な機種を運航させ、利益を最大限生み出すことができる。パイロットは 3 機種ともすべ
て同じ免許で操縦が可能である。キャビンクルーと整備士も共通の免許であるため、運用効
率性に優れ、航空会社の利益性をさらに高める。
最新のエンジンと最先端の空力性能を備えるため、有害物質の排出を大幅に抑え、将来の
環境規制にも対応する。乗客一人当たりの CO2 排出量は既存の同クラスと比べて最大 25%削
減され、外部騒音レベルは ICAO の「チャプター4」の基準よりも 15EPN デシベル低い。
2.客室の特徴
A350 XWB 型機はボーイング社の 787 型機と比べて胴体幅が 5 インチ(12.7 センチ)広い。
客室は左端の座席の肘掛から右端の座席の肘掛まで幅 220 インチ(5.58 メートル)の広さが
あり、幅広い客室によって、エコノミー・クラスで横 9 列 18 インチ(45.72 センチ)幅の座
席を備えることができる。
そのほか A350 XWB 型機の客室の特徴として挙げられるのは、従来よりも大きくなった窓と
収納量の増した手荷物スペースである。また、客室の壁がカーブの少ない垂直に近い曲線で
あるため広々とした印象を与える。照明はすべて LED で、照明管理や 1,670 万色ものムードラ
イティングが可能。照明の質がさらに充実したものになっている。
機内エンターテイメント・システム(IFE :In-Flight Entertainment)は第 4 世代の IFE を
提供。新世代の IFE では全クラスで高画質の映像をワイドスクリーンで観ることができる。座
席の配線ボックスはよりコンパクトになり、足元のスペースも広くなった。
客室の空調は最新の管理システムによって快適な状態を保持する。高性能フィルターを通
して空気を浄化し、揮発性有機化合物やオゾンを除去する。温度は一定に管理され、
客室内空気は2分から3分毎に換気される。7 ゾーンごとに温度調整が可能である。また、客室
内の気圧は高度 6,000 フィート相当に保たれている。
乗務員用の休憩室においては、パイロットと客室乗務員それぞれの休憩室を機体上部に設
置し、サービス・カートをその下に収納することができるため、より多くの座席を設けるこ
とができ、航空会社の収益に影響を与えずに済む。パイロットの休憩室はパイロットが客室
に出ることなくコックピットから出入りができる。ニーズに応じて下部デッキか上部デッキ
に休憩室を装備することが可能である。
A350 XWB 型機の客室は独ハンブルクのエンジニアおよび研究チームによって開発されてい
る。独ハンブルクのエアバス社の施設には、「カスタマー・デフィニション・センター
(CDC)」と呼ばれる A350 XWB 型機の客室専用の施設が置かれている。CDC ではリードタイム
の短縮につながる効率的な客室設計や機内仕様の確定プロセスを顧客に提案する。顧客はシ
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ョールームのような環境でカタログによる提案を実際に見て、体験し、試験をすることがで
き、LED 照明や多様なギャレー・オプションなども実際に評価することが可能である。第 4 世
代 IFE コンソールや高画質ディスプレー類も体験することができる。航空会社がそれぞれの
A350 XWB 型機の機内装備について効率的に仕様を確定することができるワンストップショッ
プのような施設であり、これまでのエアバス社の航空機にはなかった新しい顧客向けのサー
ビス施設である。
3.最新技術を採用
A350 XWB 型機はまったく新しい設計に基づいて製造された航空機である。最先端の技術を
採用し、空力性能を高めることによって、ボーイング社の 777 型機よりも燃費性能を 25%向
上させた(図 2)。
図 2 旅客キロ当り二酸化炭素排出量の機種別比較
(出典:エアバス社資料)
最先端技術の一つの例として、機体に複合材やチタニウム、アルミニウム合金などの新素
材を 70%以上使用している。特に複合材は 53%と、主翼、胴体、尾翼など主要部位にそれ
ぞれ大幅に採用された(図 3)。主翼への複合材の適用は、主に重量の削減と疲労強度向上
に焦点を当てた。外板や前後部翼桁など外翼に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用
することで約 2.5 トンの重量削減を実現。構造部の部品点数が少なくなり整備が簡略、腐
食耐性も向上した。また、A380 型機で開発した技術を取り入れ A350 XWB 型機の中央翼で
も上下パネルおよび翼桁に CFRP を適用している。一方で胴体との結合部分には金属材料
を使用している。胴体はハイブリッド CFRP 胴体である。CFRP と金属材料を混成させるこ
とでそれぞれの利点を取り入れ、機体を最適化する。たとえば、CFRP の使用によって機
体を軽量化できるとともに、疲労と腐食を最小限に抑制することができる。そして金属材
の使用により、電気伝導性を保持し、アクシデントによる衝撃への強度を向上した上、補
修しやすくした。複合材技術を活用した A350 XWB 型機の胴体は 4 つの長いパネルからで
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きており、整備の簡略に貢献している。プリプレグ・テープで製造される外板は重量効率
に優れた設計である。
図3
A350XWB 型機で使用されている素材割合
(出典:エアバス社資料)
その他のエアバス機ファミリーと同様に、A350 XWB 型機もフライ・バイ・ワイヤ技術が採
用され、コックピット仕様、様々なシステム、操縦特性などが共通化されている。共通性の
おかげで、パイロットはエアバス機ファミリーの様々な機種の資格を得ることができ、訓練
時間を短縮できる。整備訓練や整備手順も簡便化され、スペア部品も削減できるので大幅な
コスト削減が可能である。
また、A330 型機と共通のタイプ・レーティング(機種別操縦免許)の認可を取得したため、
A330 型機の運航資格を持つパイロットは差異訓練を受けることによって A350 XWB 型機のパイ
ロット訓練を開始することができ、フルフライトシミュレーターを使用する必要がないため、
大幅なコスト削減を実現する。
訓練時間が 65%削減され、移行訓練はわずか 8 日である。これによって A330 型機と A350
型機を共に運航する航空会社に多大な運航柔軟性をもたらす。
A350 XWB 型機に搭載されるロールス・ロイス社製ターボファンエンジン、トレント XWB の
推力は A350-800 型機が 75,000/79,000 ポンド、A350-900 型機が 84,000 ポンド、A350-1000 型
機が 97,000 ポンド。トレント XWB エンジンは 2012 年 2 月から A380 試験機のエンジン一基と
換装され、一連の飛行試験を実施。A350-800 型機および A350-900 型機に搭載されるトレント
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XWB エンジンの型式証明は 2013 年 2 月に取得した。エンジン飛行試験プログラムは約 175 時
間。これまでのプログラムにおける試験時間の約 3 倍の時間の試験を実施した。
4.試験
機体の飛行試験の前に、地上での静強度試験、疲労試験を行った。静強度試験はフルスケ
ールの供試体が用いられ、セクション 11/12 の機首部、胴体中央部と主翼、胴体後部と垂直尾
翼の構造部毎に実施。主翼の終極荷重試験では、運用で予想される荷重の 1.5 倍の荷重が加え
られた。また、疲労試験では、ダミーの前脚が付いた機首部、ウイングボックスとベリーフ
ェアリングの付いた胴体部位、垂直安定板とダミーの水平安定板及びテールコーンの付いた
尾部に分けて試験を実施した。
A350 XWB 型機の初飛行は 2013 年 6 月 14 日に実施された。飛行時間は 4 時間 5 分。221 トン
の重量で離陸し、フランス南西部を飛行しながら飛行エンベロープを調査している。この初
飛行から約 15 ヶ月かけて 2,600 時間以上の飛行試験を行い、2014 年 9 月 30 日に欧州航空安
全庁(EASA)より A350-900 型機の型式証明を取得した。さらに 11 月 12 日には米連邦航空局
(FAA)から型式証明を取得した。
飛行試験は合計 5 機の試験機で実施。試験の効率性を考慮し、5 機の飛行試験機にはあらか
じめ役割が決められた。
初飛行を行ったのは MSN1。操縦性能チェックと着氷試験、各種システムおよびエンジン系
統の試験を担った。2 番目の試験機は MSN3。飛行性能の計測、高温と低温試験、各種システム
およびエンジン系統の試験を行った。3 番目の試験機は MSN2。初めて客室が取り付けられ、客
室関連システムの試験を実施。初期長距離飛行(Early Long Flight)を行い、飛行時におい
て客室を評価した。その他、客室の高温、低温試験、機内エンターテイメント・システム
(IFE)の試験を実施した。4 番目の試験機は MSN4。外部騒音、落雷試験、アビオニクスの試
験、さらに初号機の運航会社と整備チームの訓練機として使用した。5 番目の試験機は MSN5。
客室が装備され、客室の運用試験や訓練を実施。路線実証飛行を行い、180 分超の双発機によ
る長距離進出運航(ETOPS:Extended-range Twin engine OPerationS)の認可を取得した。
初号機の就航前に 180 分超の ETOPS が承認されたのは A350 XWB が初めてである。また、航
空会社の選択に応じて、300 分の ETOPS、370 分の ETOPS も可能。これにより代替となる空港ま
での距離を最大 2,500 海里(4,630 キロ)まで延ばすことができる。
5 機の飛行試験機で行った代表的な試験内容を次に記す。
•
高地試験(MSN3):ボリビアの高度 8300 フィートにあるコチャバンバと高度 1 万
3300 フィートにあるラ‐パスの飛行場で、高高度地におけるエンジン、APU、様々な
システム、離着陸、オートパイロットなど一連の試験を実施。
•
寒冷地試験(MSN3):カナダのイカルイトでマイナス 28 度の気温の中、APU やエンジ
ン始動、様々なシステムの作動状況、低速走行、離陸中断などの試験を実施。
5
•
水吸い込み試験(MSN4): 仏イストルで滑走路に長さ 100m、幅 29mの水溜りをつく
った後そこに深さ約 22mmの水を張り、試験機を 60 ノットから 140 ノットまでさま
ざまな速度で滑走させた。これにより、雨でひどく濡れた滑走路で水しぶきがエンジ
ンおよびAPUに影響を与えないことを実証。逆噴射装置の使用など様々な状況下を
想定して多くの走行を実施した。
•
高温試験(MSN3):アラブ首長国連邦のアル・アインで気温 40 度以上の環境下におけ
るエンジンやシステムの動作を確認。航空機を炎天下数時間地上に置き、その後様々
な冷却システムの動作を確認する試験など飛行中と地上で様々な試験を実施した。
•
離陸中断試験(MSN1):仏イストル空軍基地で高速、高重量で離陸中断を行い、問題
なく機体を停止することができるブレーキ・システムの機能を実証した。
•
初期長距離飛行試験(MSN2):2 度にわたって実施。第 1 回目は日中に 7 時間飛行し、
エールフランス航空の客室乗務員が乗務した。2 回目は夜の時間帯で 12 時間飛行。ル
フトハンザ ドイツ航空の客室乗務員が乗務した。エアバス社従業員で構成される合
•
計 500 人の乗客と、エアバス社および装備品メーカーから客室の専門家約 30 名が
搭乗し、空調や照明、防音環境、機内エンターテイメント(IFE)、ギャレー、電
気システム、トイレ、排水システムなどを検査した。
路線実証飛行試験(MSN5):航空会社による実際の商業飛行に向けた A350 XWB の運用
性を実証するためのもの。高高度での飛行性能や自動着陸試験、空港でのターンアラ
ウンド、ハンドリングサービスなどをチェック。世界の主要 14 空港へ飛行し、エア
バス社のフライトクルーと欧州航空安全庁(EASA)のパイロットが同乗した。
5.製造
トゥールーズにある最終組み立て工場 A350 XWB FAL(Final Assembly Line)は 7 万 4,000 平
方メートルの広さを持つ。
2012 年 10 月に正式稼動した。工場建設から環境に配慮し、旧建物のコンクリートや土台を
リサイクルし再利用した。また、エネルギー管理システムによってエネルギーを効果的に利
用することが可能で、屋根に太陽光発電パネルを取り付けて工場に必要な電力の大部分をま
かなう。製造工程の最適化のため、同じワイドボディ機である A330 ファミリーの最終組立工
場に隣接して建造された(組み立て工程のうち、客室装備の仕上げとエンジン、APU、関連シ
ステムの試験が A330 ファミリーの工場で行われる)。さらに、作業効率を最適化するため、
A350 XWB 型機の製造方法はこれまでのエアバス機プログラムとは異なる方法を採用している。
A350 XWB は最終組立工場に運ばれる前の大型部品の組立工程の中で試験も実施。各主要構
造部の組み立ては、機首部・中央胴体がサン=ナゼール、後部、前部胴体と垂直尾翼が
ハンブルク、主翼がブロートン(装備はブレーメン)、水平尾翼がヘタフェ/イジェス
カス、パイロンとナセルがトゥールーズでそれぞれ行われる。
最終組立工場での作業はまず 3 つに分かれた胴体の結合から開始されるが、その結合作業
前にギャレーと乗務員休憩室部分が胴体内部に入れられる。その後、次の作業エリアに移り、
胴体の結合作業と平行して前部乗務員休憩室と後部ギャレー装備、前脚の取り付けを行う。
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ジグは可動式で胴体の異なる A350-800 型機、A350-900 型機、A350-1000 型機の 3 機種とも収
容することができる。
次の作業エリアでは、主翼と胴体の結合、水平尾翼と垂直尾翼、主脚とエンジンパイロン
が取り付けられる。主翼と尾部の取り付けと平行して客室の壁や頭上手荷物棚、カーペット、
床、パーテーションなど客室装備の作業も行われる。このように作業を並行して行うことで
組立作業の時間を大幅に削減することが可能となった。ここでは最初の電源投入も実施され、
地上試験の準備が整う。さらに別の作業エリアに移動し、座席や配線、ドアや貨物室、ギャ
レー関連装備などと同時に、ベリーフェアリングやランディングギア・ドア、主翼前縁部の
取り付けが行われる。また、空調システムや機内エンターテイメント・システム、客室イン
ターコミュニケーション・システムなど客室関連の試験も実施される。
さらに次の場所に移動して客室与圧や燃料システム、客室コミュニケーション・システム
の試験、搭乗口と貨物室ドアの検査を実施。ここでの作業が完了すると機体の塗装作業に入
る。塗装作業は最新の環境規制を遵守し、低ポリウレタン塗料と低 VOC 溶剤使用。塗装デザイ
ンにより塗装作業は 7 日から 18 日間要する。塗装作業が終了すると、A330 型機の工場に移動
し、客室装備の仕上げやエンジンと APU の取り付け、関連システムの試験を実施する。それら
が完了すると A350 型機はフライトラインに入り、飛行試験など顧客への引き渡しまでの最終
作業に移る。
A350 XWB 型機は量産体制では月産最大 10 機となる。新しく取り入れた作業の新方式に
より、最終組立の最初の工程から最終的な引き渡しまでの期間が 2.5 ヶ月となり、時間を
30%短縮することが可能となった。
6.おわりに
商業運航の開始前から約 780 機もの受注を世界中の航空会社やリース会社から獲得した
A350 XWB は、今後 20 年、30 年後も主力機として活躍することのできる次世代航空機である。
今後 20 年間で 7200 機を超える需要が予測される市場において、A350 XWB はその他のエアバ
ス機と同様に年々変化する市場ニーズに柔軟に対応するため常に様々な改良が重ねられるだ
ろう。2017 年には A350-900 より大型の A350-1000 が商業運航を開始するが、A350-1000 は市場
の要望に応えて当初より搭載するトレント XWB エンジンの推力を増強し、ペイロード(有償搭
載量)と航続距離能力が強化された。また、受注の 30%以上がアジア太平洋地域の航空会社
からであり、2019 年から開始される日本航空への納入と合わせて、日本の空での存在感が大
きくなるにつれて観光需要にも寄与することができる。
今後、月産 10 機の量産化を目指し、工場での生産能力の向上や部品輸送の効率化も求めら
れる。2018 年後半に量産化が実現すれば年間およそ 120 機が納入されることになり、より多
くの人々が A350 XWB によるまったく新しい空の旅を楽しめるようになるだろう。効率性、環
境性、快適性における航空業界の基準を塗り替えるこの次世代機が、さらにその先の革新技
術の誕生へとつながり、航空業界が目指す持続可能な未来の航空輸送実現に向けた大きな戦
力となることが期待される。
参考文献等
1) A350 XWB の特設サイト http://www.a350xwb.com/
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