空間演習I 08:設計プレゼンテーション 2009/06/08

構成
設計プレゼンテーション
−論理・表現・伝達−
プレゼンテーションの文化
プレゼンテーションの基本
‹ プレゼンテーションのテクニック
‹ 最終発表に向けてのコツと注意事項
‹
‹
アメニティ創造のまちづくり実習 講義
村尾修
Institute of Policy and Planning Science
University of Tsukuba
www.murao.net
プレゼンテーションとは
‹
Presentation
‹
Presence
– 1 提出,提示[物];イ実演,発表,説明,プレゼンテーション
プレゼンテーションの文化
– 1 イいる[ある]こと;存在;イウ出席,同席(⇔absence)
‹
‹
記号論的には,相手が知覚するすべてのものがプレゼン
テーションである.
裏に何かが隠されていても,表出された事実だけがすべ
てである,という考え方もできる.
– (論文発表,面接,ファッション,生活態度・・・)
プレゼンテーションの文化
『はじめにプレゼありき』
−意匠系でよく聞かれる言葉−
‹
東京計画1960,丹下健三研究室
「ていねいに字を書きなさい」
まずプレゼが良くないと,詳細を聞く気にならない
(仕事の交渉でも就職の面接でも)通常は,交渉のた
めの時間は限られている.
‹ 相手に興味を惹かせるためには,良いプレゼンテー
ション(第一印象)が必要
‹ その後で,ようやく説得が始まる
‹ 良いプレゼンテーションは,成功をもたらす
‹
‹
プレゼンテーションの文化
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
プレゼンテーションの文化
1
世界で最も美しく,そして最も際立ったオフィスビルを設計せよ ,1922
ロイズ・オブ・ロンドン
リチャード・ロジャース,1986
プレゼンテーションの文化
プレゼンテーションの文化
シカゴ・トリビューン設計競技
ブレードランナー ,1982
監督:リドリー・スコット/美術:シド・ミード/原作:P.K.ディック
プレゼンテーションの基本
プレゼンテーションの文化
論理⇒表現⇒伝達
‹
論理
表現
‹
伝達
美しく,綺麗である
‹ 明快なコンセプト
‹ 意図したことは話さなくてもある程度伝達できる
ように
‹
– 言いたいことが何なのか,自問する
– 自分の中で明快なロジックをしっかりとつくる
‹
良いプレゼンテーションとは
– ロジックをベースに適切な表現を用いる
– 表現されたものはメディアとして伝達される
– 図面,スケッチ,模型,ダイアグラム,写真,説明文,
口頭などそれぞれの表現手段で適切に伝達する.
プレゼンテーションの基本
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
プレゼンテーションの基本
2
プレゼンテーションの種類
‹
二次元メディア
– 図面(配置図,平面図,立面図,断面図,アクソメ,アイソメ・・・)
– ドローイング(スケッチ,イメージ,完成予想図,透視図,模型写
真,コラージュ,コンピュータグラフィック・・・)
‹
ALEXANDRIA
COMPLEX
1992
三次元メディア
– 模型・・・
‹
Virginia Polytechnic Institute
Summer Seminar Project
四次元
– 動画,映像・・・
‹
コンセプト説明書
– ダイアグラム
– 主旨説明書・・・
プレゼンテーションの基本
プレゼンテーションの基本
形態の対立
素材の対立
公私空間の対立
立面図・断面図
プレゼンテーションの基本
プレゼンテーションの基本
公共空間における場の展開
プレゼンテーションの基本
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
模型
プレゼンテーションの基本
3
Kawasaki Nouvelle Vague
1988
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションの基本
ドローイング
‹
実現の可否にかかわらず,一枚のドローイング
が,社会あるいは我々の生活に対する強烈なビ
ジョンを示すことがある
‹
それぞれの建築家は,個性を表現するプレゼン
テーション手法を身につけるようになる
プレゼンテーションのテクニック
サグラダ・ファミリア
アントニオ・ガウディ,1883-
プレゼンテーションのテクニック
新都市(未来派)
アントニオ・サンテリア,1914
フリードリヒ街の
オフィスビル
ミース・ファン・デル・ローエ
1919
プレゼンテーションのテクニック
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
プレゼンテーションのテクニック
4
パリのヴォアサン計画
(「300万人のための現代都市(1922)」)
ル・コルビュジェ,1925
レイクショアドライブ
アパートメント
ミース・ファン・デル・ローエ
1951
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
マンハッタンのジオデシックドーム
バックミンスター・フラー,1961
マイル・ハイ・スカイスクレイパー
フランク・ロイド・ライト,1956
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
ウォーキング・シティ
アーキグラム,1964
ボーンマスの
インスタントシティ
アーキグラム
1969
プレゼンテーションのテクニック
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
プレゼンテーションのテクニック
5
ホロニックスタジアム ARK
マイケル・グレイブス,1986
香港ピーク設計競技案
(リゾートコンドミニアム)
ザハ・ハディド,1983
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
東京都庁設計競技案
磯崎新,1986
成城 BETWEEN
早川邦彦,1988
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
中之島プロジェクトII<アーバンエッグ>
安藤忠雄,1988
直島コンテンポラリーアートミュージアム
アネックス
安藤忠雄,1995
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
6
ヒューマ ックス・パビリオン・ 渋谷
若林広幸,1992
白金台のプロジェクト
高松伸,1988
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
ハーヴァード大学美術館
増築案
レンゾ・ピアノ,1997-
プレゼンテーションのテクニック
コーネル大学建築学部棟
設計競技案
スティーヴン・ホール,2001
プレゼンテーションのテクニック
模型
‹
模型と言っても,その目的によっていろいろなタ
イプの模型がある
–
–
–
–
完成予想模型
ケーススタディ用模型
ボリューム模型
コンセプト模型・・・
プレゼンテーションのテクニック
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
ジェファーソン・メモリアル
階段の実物大模型
イーロ・サーリネン,1962
プレゼンテーションのテクニック
7
幕張メッセ
槇文彦,1989
NANI NANI BLG.
フィリップ・スタルク,1989
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
オペラハウス(東京)設計競技案
ジャン・ヌーベル,1998 ?
コンセプト表現
ダイアグラム
アイソメ,アクソメ
‹ イメージスケッチ
‹
‹
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
MIZOE 2
藤井博巳,1988
アセニウム
リチャード・マイヤー,1976
プレゼンテーションのテクニック
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
プレゼンテーションのテクニック
8
東京都戦没者霊苑
相田武文,1988
相鉄文化会館
原広司,1989
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
コンピュータ
New Guggenheim Museum in New York City
フランク・O・ゲーリー
複雑な形態を再現し,建設可能とするための
ツールとして
‹ コンピュータ的建築を表現する手段として
‹ コンピュータ・シミュレーションを用いた形態を創
造するためのツールとして
‹
‹
時間概念をとりいれた動画作成として
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
ニール・M・ディナーリ
Hydrogen House,グレッグ・リン
プレゼンテーションのテクニック
プレゼンテーションのテクニック
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
9
最終提出物
‹
‹
最終発表に向けてのコツと注意事項
‹
‹
‹
配置図(1:500)
地区断面図(1:500) 2面
住棟基準階平面図(1:100)典型となる棟
住棟立面図(1:100)典型となる棟2面以上
住棟断面図(1:100)典型となる棟1面以上
(原則として長手方向)
‹
設計意図(A4 住戸・住棟計画,動線図,緑地計画図,
周辺環境との関係,面積表)
‹
模型(1:500)
最終発表に向けてのコツと注意事項
提出物を仕上げるためのアドバイス1(図面)
コツ
‹ 陰影をつける
‹ 色鉛筆を用いる場合は,同じ方向に統一して描く
‹ 自分で綺麗に描けているか自問する
‹ 点描(植栽,水辺,人間を入れる)
‹ 製図トレースを生かす
注意事項
‹ シングルラインは不可
‹ 寸法・方位・名称を忘れずに
提出物を仕上げるためのアドバイス2(設計意図)
コツ
‹ わかりやすいダイアグラムを用いる
‹ 自分のやりたかったことを整理
‹ 言葉とヴィジュアルで考える
– 言葉:まずはキーワードやコピーにしてみる
– ヴィジュアル:言葉の後は,図や表で表現できないか考える
– 平面図・断面図・立面図・配置図などと関連づけてみる
‹
×
○
明確なコンセプトといい設計は表裏一体
注意事項
‹ ダイアグラムなどヴィジュアルに表現できないことは,明
確なコンセプトがないことが原因
最終発表に向けてのコツと注意事項
最終発表に向けてのコツと注意事項
提出物を仕上げるためのアドバイス3(模型)
提出物を仕上げるためのアドバイス4(その他)
‹
最終的な完成されたイメージが如実に表現される.
コツ
‹
白だけの模型:
–
–
–
‹
コンセプトをモデル化したクールなイメージ
時間が比較的節約
模型の精度が如実に表われる
外壁の色や模様を入れた模型:
–
–
–
–
リアリティが出る
外壁はPCなどでつくれば簡単
少し時間がかかるが綺麗にできる
デザインやコンセプトに自信がなくてもそれなりに見栄えする
‹
スタイロフォーム模型
‹
色と材料
–
–
–
–
王道なし
‹ どこまで具体的に考えられたか(例;各種のス
ケール,敷地の読み方,動線,機能など)が,成
功のカギ
‹ 明らかに未完成であることを物語る表現は出さ
ないほうがまし
‹
ボリューム用なので,周辺模型に使う
スタイロフォームの模型は色を塗ったほうがよい
自分の性格あるいは設計意図にあった材料を使う
材料の選び方や全体のトーンを考える
注意事項
‹ 周辺模型も忘れずに
最終発表に向けてのコツと注意事項
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
最終発表に向けてのコツと注意事項
10
おわりに
‹
‹
‹
‹
プレゼンテーションされたもの(作品,ドローイング,図面,
模型,説明書,映像,研究論文,梗概,言ってしまった言
葉などすべてのもの)は,自分の手元から離れたとたん,
いい意味でも,悪い意味でも,一人歩きをしてしまうもの
です.
ですから,自分の提示したものに対して責任を持ってくだ
さい.
また設計された建築や都市というものは,公的な存在で
もあります.
いろいろな批判をかわせるよう十分に考え抜いておいて
ください.
都市計画実習II 設計プレゼンテーション資料(村尾)
設計プレゼンテーション
−論理・表現・伝達−
完
11