月刊PDF 1月号 - 日本貿易関係手続簡易化協会

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一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会
2016- 01
今月号の内容
年頭のご挨拶
一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会理事長
小 林 栄 三 …… 1
新年のご挨拶
財務省関税局長
佐 川 宣 寿 …… 3
年 頭 所 感
経済産業省貿易経済協力局長
寺 澤 達 也 …… 5
年頭のご挨拶
国土交通省総合政策局情報政策本部長
持 永 秀 毅 …… 7
2016年 JASTPRO 行事予定
(国際関係)………………………………………………… 9
2016年 JASTPRO 行事予定
(国内関係)………………………………………………… 10
記事1.平成27年度JASTPROセミナー開催のご案内 …………………………………… 11
記事2.AFACT 2016年中間会議開催のご案内 ………………………………………… 14
記事3.第33回AFACT Plenary
(総会)
出席報告 ………………………………………… 15
記事4.UN/LOCODE新設 ………………………………………………………………… 24
記事5.国連CEFACTからのお知らせ ……………………………………………………… 25
=JASTPRO広報誌電子版のご案内=
裏表紙にJASTPRO広報誌電子版のご案内を掲載しておりますので、ご参照下さい。
謹 賀 新 年
平成 28 年元旦
旧年中は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。
皆様のご健勝とご多幸をお祈り致しますと共に
本年もご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
朝日に映えるノートルダム ド ラ ガルド寺院(マルセイユ・フランス)
第 26 回国連 CEFACTフォーラム開催地のマルセイユ市街より撮影
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年 頭 のご 挨 拶
一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会
理事長 小 林 栄 三 平成 28 年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
2016 年(平成 28 年)の干支は『申(さる)』、
「申」は伸ばすという意味を含んでおります。草木が伸びきり果実
が成熟して堅くなっていく状態を表すともいわれており、株式市場では「続伸」
「急伸」
「上伸」など上昇場面に
おいて良く使われる字でもあります。2016 年においては世界経済と日本経済が再び成長軌道を取り戻して株式
市場も大きく伸び、騒ぐ(さる)年となることを祈念しています。
さて、昨年の世界経済は、先進国経済が牽引する形でかろうじて拡大基調を維持しました。米国は雇用拡
大を背景に個人消費が、また、ユーロ圏はユーロ安を追い風に輸出が景気拡大を主導しましたが、新興国は、
中国が過剰生産力などの構造的な問題が表面化し一段と減速、資源価格や通貨の下落によりロシアやブラジ
ルがマイナス成長に陥り、ASEAN でもインドネシアやマレーシアが資源価格の下落により下押しされるなど全体
として低調でした。
本年も、当面は先進国頼みの緩慢な拡大が続く可能性が高いと見られております。米国経済は、ドル高によ
る下押しはあるものの、労働需給の改善が賃金上昇につながり個人消費の堅調な拡大が続くため、潜在成長
率程度の拡大ペースを維持し、ユーロ圏も、金融緩和の継続やユーロ安により景気の回復が続くと見られてい
ます。新興国は、中国経済が過剰生産力の調整は続くものの在庫調整の進展により悪化には歯止めが掛かり、
ASEAN 経済はインドネシアやタイが徐々に持ち直し、フィリピンが好調を持続するため、緩やかに回復に向かう
と見られています。
我が国に目を転じますと、2016 年の日本経済は、消費増税前の駆け込み需要により個人消費や住宅投資
が押し上げられること、先送りされた設備投資が実行に移されること、海外経済の改善により輸出も持ち直すこ
とから、徐々に成長ペースを速めるものと見られています。
一方、経済のグローバル化は着実に進んでおり、地域経済圏の創設に向けた動きがより活発化しています。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関しては、周知のとおり昨年 10月5日、米国アトランタにおける閣僚
会合において、日米など 12 ヶ国が大筋合意を見たところであります。TPPは、世界のGDPの約 4 割(3,100 兆
円)
という、かってない規模の経済圏をカバーする経済連携であり、人口 8 億人という巨大市場が創出され、モ
ノの関税の削減・撤廃のみならず、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有
企業の規律など、幅広い分野で新しいルールを構築するものです。
我が国経済の成長を持続的なものとするには、成長する海外市場の需要を取り込んでいくことが不可欠であ
るとの認識のもと、昨年 6月30日に閣議決定されました「日本再興戦略」において我が国政府は、2018 年まで
にFTA 比率 70%(2015 年 6月時点:23.3%)に引き上げることを目標としております。TPPは、新しい「アジア・
太平洋の世紀」の幕開けを告げるもので、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
、さらにはアジア太平洋自
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由貿易圏(FTAAP)
と、アジア・太平洋の国々とともに大規模経済圏をつくり上げていくことが期待されており、
このほか日EU・EPAについても合意に向け交渉会合が進展しております。
他方、世界貿易機関(WTO)は、多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の交渉分野の一つである貿易円滑
化協定を採択し、貿易規則の透明性の向上に関する措置や輸出入手続の簡素化・迅速化等に関する規則
の整備等、事実上の貿易障壁の解消に向けた措置を講ずることとなっており、同協定の早期の発効が期待さ
れております。
これらの地域経済圏の創設やWTO 貿易円滑化措置においてより大きなメリットを享受するためにも、国際貿
易取引等に係る各種手続の簡素化、電子化の推進がますます肝要となっており、国境を越えた電子データ交
換のためのインフラ整備が進んでいます。
他方、国際貿易の安全確保と円滑化の両立も大きな課題であります。我が国においては、
AEO(Authorized
Economic Operator)制度に係る各国との相互承認が進められるとともに、詳細な積荷情報を電子的に税関
に報告することを義務付ける「出向前報告制度」が運用されております。加えて、経済連携協定における原産
地手続きについては、EPA 税率の適用を受けるためこれまでの第三者証明とともに輸出入者自らが作成する自
己申告制度が導入され、TPP 協定においてはこの自己申告制度が適用されることとなっております。さらには、
AEO 輸出入申告について特例的に非蔵置官署への申告を認める輸出入申告官署の自由化を、平成 29 年度
のNACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)更改時までに実施すべく検討が
進められております。
このように、経済のボーダーレス化の進展に伴う国際貿易の安全性と円滑化のためにも、昨今のIT 技術の
利活用の推進と国際標準の導入は喫緊の課題であり、当協会が参画する国連欧州経済委員会(UNECE)
に設置された国連 CEFACT(貿易円滑化と電子ビジネスのための国連センター)における国際標準化活動は、
その重要性を増しております。
当協会は、一般財団法人としてこれまでの事業活動を踏まえたうえで、引き続き貿易関係団体や業界団体、
企業からのご支援を賜りつつ、これらの課題を解決すべく、より幅広い分野において活動していく所存であり
ます。
最後になりましたが、平素より当協会の活動に対しご支援をいただいております会員各位に改めて御礼を申し
上げますとともに、本年も引き続きご理解とご協力を賜れれば幸甚に存じます。
皆様の益々のご発展とご健康を祈念し、新年のご挨拶とさせて頂きます。
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新 年 のご 挨 拶
財 務 省 関 税 局 長
佐 川 宣 寿 平成 28 年の年頭にあたり、謹んで新年のお祝いを申し上げます。
一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会の皆様方には、旧年中は関税政策・税関行政に多大なる
ご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。本年が皆様にとりましてより良い一年となりますよう、心からお祈
りいたします。
新年のご挨拶にあたり、財務省関税局・税関の主な取組みについて申し上げます。
まずは、水際取締りについてですが、昨年 11月にパリ市内において同時多発テロが発生するなど、一層の
緊迫感を持って、テロ対策に当たることが税関にも求められております。本年 5月の伊勢志摩サミットや平成
32 年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、テロ対策の強化はまさに喫緊の課題となって
おります。
テロ未然防止のため、関係機関と緊密に連携を図りつつ、銃器・爆発物といったテロ関連物資の厳正な
水際取締りを行っていく必要があると考えております。
また、大きな社会問題となっている危険ドラッグについては、昨年4月に指定薬物を関税法上の「輸入しては
ならない貨物」に追加し、積極的な取締りを行っているところです。その結果、水際において多くの不正輸入を
阻止してきたところであり、今後もしっかりと対応をしていきたいと考えております。
一方で、貿易円滑化への取組みも、税関の重要な使命です。
輸出入申告官署の自由化については、昨年 12月、関税・外国為替等審議会の答申が行われ、政府税制
大綱が決定されました。その中で、蔵置官署に対して輸出入申告を行う原則は維持しつつ、AEO 事業者等
については、いずれの税関官署に対しても申告を可能とすることとされております。
併せて、通関業法については、輸出入申告官署の自由化に伴い通関業の営業区域制限を廃止するほか、
昨今の通関手続を取り巻く環境変化等に対応するための見直しを行うこととされております。
これらに関しては、現在、関係する法案の国会提出に向けた準備を進めているところです。
また、増大する貿易量に対応するため、平成 29 年度に予定されている次期 NACCS 稼働時までに通関関
係書類の電子化・ペーパーレス化の推進等にも取り組んでいるところです。
一層の貿易のセキュリティ確保と円滑化の両立に向けて、関税局・税関一体となって対応してまいりたいと考
えております。
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国際面での大きな動きとしては、昨年 10月にTPP 協定交渉が大筋合意されました。TPP 協定は、世界の
GDPの約 4 割を占める巨大な経済圏において、モノの関税の削減・撤廃だけでなく、サービス・投資の自由化
を進め、さらには幅広い分野で新しいルールを構築するものです。関税局・税関においても、必要な関係法令
の整備に向けた準備や、貿易関係事業者への周知に取り組んでいるところです。
またTPP 協定のほかに、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
、日中韓 FTA、日EU・EPAといった広
域をカバーするEPAについても積極的に交渉に取り組んでいるところです。
以上、関税局・税関における課題を紹介いたしましたが、本年におきましても、関税政策・税関行政の運営
にあたり、貴協会の皆様方から、引き続きご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
最後に、貴協会の益々のご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
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年 頭 所 感
経済産業省 貿易経済協力局長
寺 澤 達 也 平成 28 年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は日本の貿易投資を取り巻く環境が大きく変化した一年となりました。インフラ輸出については、各国の
金融支援策の強化、新興国との受注競争の激化、OECDにおける石炭火力発電の公的輸出信用に関する
合意等、状況は複雑さを増しております。また、二重課税問題や多国籍企業による課税逃れに対応する「BEPS
(税源侵食と利益移転)プロジェクト」の最終報告書が 10月に公表され、国際課税制度の見直しに向けて各国
が協調していくこととなりました。さらに、大筋合意されたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、政府調
達市場へのアクセス改善や貿易・投資の自由化等により、インフラ受注や対内直接投資への追い風となること
が予想されております。本年も、変化する国際情勢に機動的に対応しながら、貿易投資促進を通じて日本経
済への貢献を図ってまいります。
急速に需要が拡大するアジア等の新興国に向けたインフラシステム輸出は、日本再興戦略の重要な柱の一
つです。昨年 7月には、改正貿易保険法が成立し、
(独)日本貿易保険(NEXI)の特殊会社への移行等が決
まり、スピーディーかつ高度なリスク審査体制ときめ細やかな顧客対応に取り組むことが可能になりました。11月
には、OECD で石炭火力に係る輸出信用アレンジメントの改定が合意されました。この改定では、
「高効率石
炭火力は現実的な気候変動対策である」という日本の考えが反映され、日本企業が強みを持つ高効率石炭火
力の輸出支援が引き続き可能となりました。同月のASEANビジネス投資サミットでは、安倍総理より、5月に公
表した「質の高いインフラパートナーシップ」について、円借款の手続き迅速化やサブ・ソブリン向けファイナンス
の対応強化、投資保険期間延長といった貿易保険の幅広い機能強化等の抜本的な制度拡充を表明いたしま
した。本年は、拡充策を利用した案件形成を進めながら、APECやASEAN、G20 等の国際枠組みを活用し
つつ、
「質の高いインフラ」の国際標準化を図り、我が国の強みを活かしたインフラシステム輸出を加速化してま
いります。
拡大する海外市場の獲得のためには、日系企業の進出先国における事業環境の改善も重要です。新興国
等に進出した日系企業が実態と乖離した強引な課税を受ける事例が数多く報告されている中、租税条約の新
規締結や改正、現地政府への働きかけ等により、その改善を進めてまいります。同時に、OECD が公表した
「BEPSプロジェクト最終報告書」を踏まえ、日本における制度整備が、企業の海外事業活動の実態と整合的
で、国際競争力を損なうことのないよう、関係省庁と連携しつつ検討を進めてまいります。
また、我が国を世界の資本と人材が集まるイノベーション拠点とするためには、国内の事業環境・生活環境
を世界に向けて徹底的に開く
「内なる国際化」を推進し、多様性を受け入れる経済・社会を実現することが不
可欠です。海外資本の呼び込みについては、2020 年における対内直接投資残高を35 兆円に増加させるとの
目標に向け、総理・閣僚によるトップセールスや事業環境整備、誘致体制の強化等の取組を強化するとともに、
日本企業と外国企業との円滑な提携の促進に取り組んでまいります。人材の呼び込みについては、海外からの
高度人材の受入れに向けた課題の検証を進め、留学生を含めた優秀な外国人を日本に呼び込むための仕組
みづくりを進めてまいります。
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さらに、日本企業の海外進出促進のため、産業界のニーズに合った海外人材育成支援も実施してまいります。
ASEANビジネス投資サミットで、総理よりアジア産業人材育成協力イニシアティブを発表し、アジア地域におい
て、今後 3 年間で4 万人の産業人材育成をオールジャパンで実施することを表明しました。経済産業省として
は、今後 3 年間でアジア域内の20 程度の大学に寄付講座を設立し、主に製造分野において現地で設計開発
を担うような高度なものづくり人材の育成に取り組みます。また、質の高いインフラに必要となる設計、運営・管
理といった幅広い分野の能力構築支援や、海外拠点を活用した産業人材育成など、従来の裾野産業育成に
加え、人材育成の「質」
・
「量」共に高める取組を実施してまいります。
続きまして、貿易管理について申し述べたいと思います。
我が国を取り巻く安全保障環境は、厳しさを増しているところであります。輸出管理当局としては、工作機械、
炭素繊維などの汎用技術が海外で兵器に利用されないよう、国際輸出管理レジームの合意等に則り、外国為
替及び外国貿易法に基づき、厳格な輸出管理等を実施しており、違法輸出等には、引き続き厳正に対処して
まいります。防衛装備の海外移転については、防衛装備移転三原則に基づいて、平和貢献・国際協力の積
極的な推進に資する場合や、我が国の安全保障に資する場合に限り、適正な管理を確保した上で厳格かつ
慎重に実施してまいります。
また、安全保障以外の分野でも、我が国経済・社会の健全な発展を実現するべく、国内法令及び国際約
束の義務の履行のため、適切な輸出入管理を引き続き行ってまいります。
貿易管理を厳格に実施する一方、貿易手続の円滑化も重要です。特に、平成 29 年 10月の税関における
「通関手続きに係る電子手続きの原則化」など、ますます輸出入手続きの電子化の流れが顕著となってまいりま
す。事業者の皆様のご要望を踏まえながら申請手続の負担軽減を図りつつ、引き続き電子申請の利便性を高
め、利用促進に努めてまいります。
貿易管理には、公正な貿易の推進という課題もあります。国際ルールに則った貿易が行われるよう、現在、
大韓民国及び中華人民共和国産の水酸化カリウムに関するアンチ・ダンピング調査を行っているところです。
また、国内産業にとってアンチ・ダンピング調査の申請の負担を軽減するため、運用改善の改革を行うとともに、
団体の申請適格要件について、団体構成員の過半数要件を撤廃する等、国内制度の改正を財務省に要望
しているところです。
本年も、国際ルールに則った貿易が行われるよう、産業界からの声を聞きながら適切に調査を行い、公正な
貿易の確保に努めるとともに、制度活用の環境整備に引き続き取り組んでまいります。
また、昨年 10月、大筋合意に至ったTPP(環太平洋パートナーシップ)協定では、輸出者等が自ら原産地
証明書を作成する制度(自己証明制度)が採用されました。TPP 協定の活用を促進するため、本制度に係る
セミナー開催や相談窓口を設置するなど、中小事業者等へのきめ細やかな制度の普及・啓発を行って、TPP
やEPAを活用した事業者の方々の海外事業展開を支援してまいります。
本年も、日本経済の再生を確実なものにするため、経済協力等を活用しつつ、貿易投資についてインバウンド・
アウトバウンドの両面から推進するとともに、貿易管理の適切な実施を図ってまいりたいと思います。
貿易経済協力政策に対する皆様のご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げて、新年のご挨拶
といたします。
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年 頭 のご 挨 拶
国土交通省総合政策局 情報政策本部長
持 永 秀 毅 平成 28 年を迎え、年頭のご挨拶を申し上げます。
一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会並びに関係の皆様におかれましては、日頃より貿易関係手続
に関するEDI
(電子データ交換)の促進や貿易手続の簡素化に係る活動を通じて国土交通行政に対して多大
なご支援とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
今、世界ではIoT・ビッグデータ・AIの活用による「第四次産業革命」とも呼ぶべき大変革が着実に進みつ
つあり、これらの技術による変革は従来にないスピードとインパクトで進むことが予想されます。我が国としても昨
年改訂した日本再興戦略の中で新時代への挑戦を加速する重要な施策と位置づけ、取組んでいるところです。
このような情報通信技術の革新を受け、国土交通省では、①自動運転の早期実用化に向け、車車間通信
等を利用した事故防止や車両の円滑な制御が可能となる「安全運転支援システム」の開発・普及促進、②船
舶・船用機器のIoT化やビッグデータ解析等を活用した先進的な技術・システムの開発支援による海難事故の
減少や海事産業の国際競争力強化、③誰もがストレスなく円滑に移動できる社会を目指し、屋内外の電子地
図や屋内測位環境等の空間情報インフラの整備・活用、及び移動に資するデータのオープンデータ化等を推
進することによる、歩行者移動支援サービスの普及促進、④交通関連ビッグデータを活用した地域公共交通
活性化、⑤ICTの全面的な活用、規格の標準化、施工時期の平準化等による建設現場の生産性向上の取
組である「i−Construction」の推進等、新技術の積極的な活用による、国民の安全・利便性の向上や経済
の活性化に資する様々な情報化施策を推進してまいります。
貴協会に関係が深い物流分野に目を転じますと、ミャンマーの主要な貨物港であるヤンゴン港における港湾
EDIシステムの導入に関して、昨年、ミャンマーに対する無償資金協力に関する交換公文の署名が行われ、
本年度中には、本格システムの運用開始が予定されております。
このような、我が国港湾手続システムの諸外国におけるスタンダード化や日本に準拠したシステムの導入は、
海外に進出する日本企業の物流コストの削減や国際競争力の強化につながるものであり、引き続き、効率の良
いスムーズな物流網の構築に取り組んでまいります。
貴協会が国連CEFACT・AFACTにおいて取り組まれている、貿易関係手続の電子化や、電子商取引の
ための国際標準化等の各種活動は、貿易関係手続の効率化・簡素化に資するものであります。TPPが大筋
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合意され、今後ますます、経済のグローバル化やネットワーク化が進むことが予想される中、貿易取引をはじめ
とする国際物流の効率化・簡素化に対する重要性は高まる一方であり、国土交通省として貴協会の活動と成
果に対して大きな期待を寄せております。
最後に、貴協会並びに関係者の皆様の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして新年のご挨拶とさせてい
ただきます。
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2016年 JASTPRO 行事予定
(国際関係)
○ 4月21日(木)
∼ 22日(金)
第 22 回国連 CEFACT 総会
ジュネーブ(スイス)
○ 4月25日(月)
∼ 29日(金)
第 27 回国連 CEFACTフォーラム
ジュネーブ(スイス)
○ 5月23日(月)
∼ 25日(水)
第 34 回 AFACT 中間会議
浜松市 アクトシティ浜松
○ 9月∼ 10月頃
第 8 回 APTFF
開催国未定
○ 9月∼ 10月頃 第 28 回国連 CEFACTフォーラム
開催候補地:バンコック
(タイ)
○ 10月∼ 11月 第 34 回 AFACT 総会 開催候補地:東京
< 国連 CEFACT:United Nations Centre for Trade Facilitation and Electronic Business>
(貿易円滑化および電子ビジネスのための国連センター)
国連 ECEの下部組織であり、各国間のビジネス、貿易、管理組織の能力向上を支援している。その
使命は、手順、手続、情報の流れについて簡素化を進め、調和を図ることによって、国内・国際業務
の簡素化を図り、世界の貿易の発展に寄与することにある。
<AFACT:Asia Pacific Council for Trade Facilitation and Electronic Business>
(貿易円滑化および電子ビジネスに関するアジア太平洋協議会) アジア・太平洋地域での国連 CEFACTに関係する共通課題についての意見交換と域内での普及促
進を目的としている。ホスト国は一年毎に交代し、本年は日本がホスト国となりJASTPRO が事務局を担
当する。
<APTFF:Asia Pacific Council for Trade Facilitation Forum>
(アジア−太平洋貿易円滑化フォーラム)
アジア太平洋地域の貿易手続簡易化と電子化を促進するため、例年、国連 ESCAPとアジア開発銀行
の協賛により開催されるフォーラム。各国の貿易手続簡易化を進めるため、各国間の情報交換を行うとと
もに、協力して貿易手続簡易化戦略を検討している。
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2016年 JASTPRO 行事予定
(国内関係)
○ 2月9日(火) JASTPROセミナー
副 題:
「アフリカでの貿易取引とその電子化の動向」
開催日時:2016 年 2月9日(火) 13:30 開始
会 場:鉄鋼会館 8 階 801 会議室
○ 3月(予定)
評議員会・理事会 :2016 年度事業計画・収支予算等
○ 6月(予定)
評議員会・理事会 :2015 年度事業報告・決算報告等
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記事1. 平成27年度JASTPROセミナー開催のご案内
∼アフリカでの貿易取引とその電子化の動向∼
平成 27 年度のJASTPROセミナー開催につきましては、昨年(平成 27 年)12月、JASTPRO 広報誌第 446
号(「平成 27 年度 JASDTPROセミナー開催のお知らせ」)におきまして、その概要を広報させて頂きました。
この度、JASTPROセミナーの内容ならびにご参加要領等、詳細な内容が確定しましたので、平成 28 年
1月5日付けで、以下の通り、賛助会員様を始めとする関係団体等に対し正式なご案内をさせて頂いており
ます。多くの皆様にご来場いただきますようお待ち申し上げます。
《正式な開催ご案内文》
一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)は、貿易関係業界等の方々に役立つ内容を
テーマに、毎年、
「JASTPROセミナー」を開催しております。
平成 27 年度におきまして当協会は、事業活動の一環としてアフリカに焦点をあて、同地域が高成長を続ける
中で、多様な経済活動の拠点として、また消費マーケットとして注目を集め、多くの日本企業が事業展開を行っ
ている状況等を踏まえ、アフリカでの貿易取引とその電子化の現状等につきまして調査活動を展開しております。
また、本年は「第 6 回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)」が平成 5 年の開催以降、初めてアフリカ・ケニアで
開催される予定であり、今後は我が国の官民一体となったアフリカ市場の開拓や企業交流など、更なるビジネ
ス関係の強化が期待されております。
そこで、この度「アフリカでの貿易取引とその電子化の動向」と題しまして、下記のとおりセミナーを開催致し
ますので、多くの皆様にご来場いただきますようお待ち申し上げます。
なお、本セミナーへの申込み等ご案内は、以下のJASTPROホームページにてお知らせしておりますので、
ご参照下さい。
http://www.jastpro.org/topics/index.html
記
1.開催日時:平成 28 年 2月9日
(火)
13 : 00:受付開始(鉄鋼会館 801 号室)
13 : 30:セミナー開始
17 : 10:閉会
2.会場:鉄鋼会館 8 階 801 号室
〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町 3-2-10
※会場アクセスは下記をご参照下さい:
http://www.tekko-kaikan.co.jp/access/access.html
3.参加費:無料
̶ 11 ̶
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4. 定員:150 名
5.申込方法:
当 JASTPRO Website 掲載の「参加申込書」に必要事項をご記入の上、Eメール添付にて
「(一財)日本貿易関係手続簡易化協会」セミナー係([email protected])
までお送り願います。
6. 申込期限:平成 28 年 2月2日
(火)
(定員になり次第締め切らせていただきます。)
7. 講演プログラム:
13:00∼13:30
13:30∼13:35
受 付
ご挨拶:一般財団法人 日本貿易関係手続簡易化協会
専務理事 山内大二郎
テーマ1:アフリカ概要と日・アフリカ関係等
( 内 容 )① 我が国のアフリカ外交とTICADプロセス
② アフリカにおける貿易円滑化協力の取り組み
「本年
(平成 28 年)
は
「第 6 回アフリカ開発会議
(TICAD Ⅵ)」
が、平成 5 年
の開催以降、初めてアフリカ地域
(ケニア)
で開催される予定。今回は外務省
様より我が国のアフリカ外交とTICAD の概要について、そしてJICA 様より
13:35∼14:25
アフリカでの税関支援を含む貿易円滑化協力の取り組み
(OSBP:OneStop
Border Postなど)
について、それぞれご紹介頂きます。」
講 師:① 外務省アフリカ部アフリカ第二課
地域調整官兼 TICAD 事務局次長 望月 寿信 様
② 独立行政法人 国際協力機構
(JICA)
様
(質疑応答:10 分)
テーマ2:アフリカにおける貿易取引等の電子化に関する調査の概要等
( 内 容 ) 当協会は、平成 27 年 10 月5日
(月)
∼ 7日
(水)
までの間、AACE(African
Alliance for Electronic Commerce)主 催 の「International Single
Window Conference 2015(ISWC)」に参加。その参加国から得られた情
報等をもとに、アフリカでの貿易取引とその電子化の動向についてご報告いた
14:25∼15:15
します。
講 師:JASTPROシニア・アドバイザー
渡邊 浩吉 様
(質疑応答:10 分)
15:15∼15:30
休 憩
̶ 12 ̶
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テーマ3:Africa and Trade facilitation Challenges: Example of AAEC
(アフリカにおける貿易円滑化への挑戦
(AAEC(※)
を例として)
)
( 内 容 ) 国連 CEFACT(貿易の電子化と電子ビジネスのための国連センター)
のアフリ
カ地 区ラポータとして活 躍されているセネガルの「Ibrahima nour Eddine
DIAGNE 様」
を招聘し、AAECおよびアフリカにおける経済共同体等につい
て、ご紹介頂きます
(逐次通訳に対応)
。
15:30∼17:00
※
(AAEC: African Alliance for Electronic Commerce)
講 師:Administrateur General Managing Director
国連 CEFACT アフリカ地区ラポータ
Ibrahima nour Eddine DIAGNE 様
(質疑応答:10 分)
17:00
閉 会
以上
̶ 13 ̶
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記事2. AFACT 2016年中間会議開催のご案内
AFACT(Asia Pacific Council for Trade Facilitation and Electronic Business:貿易円滑化と電子ビ
ジネスのためのアジア太平洋協議会)では毎年度メンバー各国がホスト役を交替により担当し、開催しています。
2016 年度は、昨年 12月のAFACT 総会における決定事項として当 JASTPRO が事務局として運営を担当す
ることとなりました。
AFACT 会議は中間会議および総会の年間 2 回会合を開催致しますが、まず中間会議につきまして以下の
とおり開催することとなりました。
今後、開催内容ならびに参加要領等 以下のWebsiteにて順次ご案内致しますので多数の参加をお待ち
致しております。
http://www.jastpro.org/afact2016/mid-term.html
(写真:浜松観光コンベンションビューロー提供)
1.開催日時
2016 年 5月23日
(月)
∼ 25日
(水)
2.開催場所
浜松市中区板屋町 111−1 アクトシティ浜松(コングレスセンター)
3.本会合は浜松市のご後援を受け開催することとしております。
以上
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記事3. 第33回AFACT Plenary
(総会)
出席報告
AFACT: 貿易簡易化と電子ビジネスのためのアジア太平洋協議会
<Asia Pacific Council for Trade Facilitation and Electronic Business>
2015 年 12月13日(日)
∼ 16日(水)の4日間、イラン・テヘランにて開催されました第 33 回 AFACT Plenary
について下記のとおり概要を報告します。
*AFACTの概要につきましてはJASTPROのWebsiteをご参照ください。
http://www.jastpro.org/un/afact.html
(Plenary 出席者による記念撮影)
1.会議全体の構成
【会 場】 LALEH International Hotel
【会議日程】 12月13日(日)AM
同 AFACT 準備会合
PM
AFACT 運営委員会(StC)
12月14日(月)終日
AFACT 委員会 / 作業部会
12月15日(火)終日
eASIA 賞審査会・表彰会
12月16日(水)AM
AFACT 総会
2.出席者
今次第 33 回 AFACT 総会は、日本、台湾、イラン、インド、シンガポールの5カ国ならびに国連アジア太
平洋経済委員会(UNESCAP)から総勢約 30 名が参加しました。なお、主要メンバー国である韓国およびタ
イは、それぞれ国内担当組織の改編が行われたこともあり、代表団の参加は見送られました。
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昨年度第 32 回総会はタイ・バンコックにて開催され、日本、韓国、台湾、タイ、イラン、インドの6ヵ国なら
びにUNESCAPの40 名弱が参加しました。 【日本代表団】
日本から以下の6 名が参加しました。
(敬称略)
菅又久直 : 国連 CEFACT日本委員会サプライチェーン情報基盤研究会事務局
(Technology & Methodology Committee(以下 TMC)議長)
鈴木耀夫 : NPO 法人 観光情報流通機構(以下 JTREC)専務理事
(Travel, Tourism & Leisure Working Group(以下 TT&L W/G))
河合邦彦 : 小島プレス工業株式会社 専務取締役
内藤和弘 : 同 情報システム課
下條紹寛 : 同 経理課
石垣 充 : JASTPRO 業務部業務一部長 /日本代表団長(HOD)
なお、小島プレス工業株式会社の3 氏は、今回の主要テーマである、AFACT e-ASIA 賞の最終審査
会に臨むため出席されました。
3.トピック
今次 Plenaryを通じての特記事項(トピック)は以下のとおり。
3.1 e-ASIA Awards(e-ASIA 賞)選考会
e-ASIA 賞は、AFACTメンバー諸国・地域における貿易促進、円滑化・簡易化および商取引の電
子化促進についての顕著な功績を顕彰し、併せて当該電子化促進に向けた開発経験の共有化を図る目
的で創設されたもので、2 年毎に実施されています。
第一次選考の後、今次 Plenaryの最終審査会には以下の4 部門に4か国(日本、イラン、インド、台湾)
から合わせて11のプロジェクトが参加しました。
①貿易の促進、円滑化、および簡易化
②公共部門(政府機関など)の取引や申請手続き等の電子化
③民間部門の商取引の電子化
④ Internetなど IT 利用の格差解消
(最終審査結果は後述)
3.2 2016 年度及び 2017 年度のホストメンバー国の選定
2016 年度は日本、2017 年度は台湾が、それぞれホストメンバーとなることが決定されました。席上、日
本代表団の石垣団長から、次回第 34 回中間会議を2016 年 5月23日(月)∼ 25日(水)までの間、浜松
市にて開催することについて説明しました。
開催案内は以下のwebsiteにて適宜行うこと、そして多数の参加をお願いする旨の要請を行いました。
http://www.jastpro.org/afact2016/mid-term.html
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J AS T P RO
3.3 2016 年度 AFACT Steering Committee(StC : 執行委員会)
の委員の選任
AFACT 規約(Bylaw)にそって以下の各氏が選任されました。
(敬称略)
○ 議長 : 石垣 充(日本)ホスト国 HOD・国連 CEFACTアジア地区ラポータ
○ 副議長(2 名): Mohammad Garakani(イラン)前年度ホスト国 HOD
Gary Gong(台湾)次年度ホスト国 HOD
○ 国連 CEFACT : T.A.Khan(インド)国連 CEFACTビューロ副議長
○ ELECTED(特別選任)HOD : Anil Sinha(インド)
Kok Keong Chong(シンガポール)
○ Executive Committeeの各議長
Community Support Committee(CSC): Eva Yi-Yuan(台湾)
Technology & Methodology Committee(TMC): 菅又久直(日本)
Business Domain Committee(BDC):(空席)
○ UNESCAP : Yann Duval
○ AFACT General Secretary : Mahmood Zargar(イラン)
3.4 UNESCAP の AFACT Bylawに於ける位置づけ:
UNESCAPは2012 年以降 AFACTの中間・Plenary 会合に直接もしくはWeb 経由にて参加していま
すが、これまでAFACT 規約上の位置づけが定義されていませんでした。今次 StCにて審議の結果、
AFACTのLiaisonメンバーとして位置付ける方向でBylawを改訂することが決定されました。
3.5 UNESCAPが国連 CEFACTに対し、勧告として提案している貿易運輸円滑化モニタリング手法
(TTFMM: Trade and Transport Facilitation Monitoring Mechanism)
TTFMMは、UNESCAP が進めている手法であり近々、ネパール、バングラディッシュ、ブータンへの
導入がアジア開発銀行の協同で開始される予定とのことです。第 26 回国連 CEFACTフォーラム(2015
年 11 開催)の貿易手続ドメイン(ITPD)にてプレゼンテーションが行われ、その場では今後新規プロジェク
トとして進めるかどうかについて決定されず、今後の継続検討事項とされました。今次 AFACTの作業部
会にてDuval 氏(UNESCAP)
より同様にプレゼンテーションがあり、出席したインドの専門家により好意的
な意見が出されました。
UNESCAP が TTFMMを国連 CEFACTに対して新規勧告として提案しようとしている本件について、
TMC 議長より、AFACTとしてサポート
(支持)
してはどうかとの提案が、AFACT Plenaryに提出され、
席上、出席者から特段の反対意見はなく、承認されました。この決定結果は、石垣氏(国連 CEFACT
アジア地区ラポータ)
より国連 CEFACTの本件担当者に通知されます。
3.6 UNESCAPによる報告
貿易投資部のYann Duval 氏からESCAPのLegistrative(主にメンバー国間の貿易円滑化に関する
ルール作り)
、Knowledge(主に調査研究内容の開示)
、Capacity Building(開発途上国への普及教
育活動)の3 つの分野での活動について概略の説明がありました。
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特に Legislative の分野について、2012 年の UNESCAP 会合で合意された決議事項(Resolution
68/3)及び 2015 年の会合の決議(Res70/6)に基づいて設定されたInterim Intergovernmental Steering
Group for Cross-Border Paperless Trade Facilitation(ISG-CBPT)が、Regional Arrangement on
cross-border paperless trade facilitation(略してR/A)の詳細案確定のため設定されたことに触れ、更
に具体的な作業部会(Legal Working Groupおよび Technical Working Group)の活動状況についての
説明がありました。この成果を受けて2016 年 3月31日∼ 4月1日に第二回 ISG-CBPTの開催を予定している
とのことです。
3.7 「Capacity Building Workshop on Paperless Trade for Regional Connectivity」
(地域連携を目指したペーパーレス貿易のための教育プログラムワークショップ)
AFACT Plenary 会合に引き続き、同会場にてUNESCAP 主催にてECO(Economic Cooperation
Organization)メンバー国のための貿易円滑化ワークショップが開催されました。ECOは中央アジアのモス
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リム国家の経済協力機構であり、イランが活動の中心を担っています。
<ECOのメンバー国 >
イラン、カザフスタン、キルギス、パキスタン、タジキスタン、トルコ、アフガニスタン、アゼルバイジャン、
ツルクメニスタン(不参加)
、ウズベキスタン(不参加)
冒頭、主催者であるUNESCAP からの発言の後、特別参加としてAFACT からMahmood Zargar 氏
(General Secretary)
と菅又久直氏(TMC Chair)によるプレゼンテーションの機会が得られ、AFACT
の活動の概略、特にこれまでのeASIA 賞の栄冠を得た優れたプロジェクトの研究概要についての説明が
行われました。
4. AFACT の作業会合の内容
TMC/CSC/BDC 合同の作業部会及び Travel Tourism & Leisure(TT&L)作業部会の二つの作業
会合が 12月14日(火)終日を使って行われました。
4.1 TMC/CSC/BDC 合同作業会合
イラン、日本、インド、台湾の4 か国約 20 名が参加し、TMC 議長の菅又氏の議事進行にて以下に挙
げた話題等について活発な意見交換が行われました。 4.1.1 新技術への対応
菅又氏からAFACTに提出した「A note for the discussion on Trendy Technology」をベース
に次の意見交換が行われました。また、製造業のプロセスにおける企業間情報共有について、新技術
(ロボット、IOT、FinTechなど)
との関わりについて私案としての紹介がありました。
AccounƟng
Fund
Transfer
Buy
Commercial
TransacƟon
Delivery
Order
Scheduling
SynchronizaƟon
Product
Assembly
M2M
SynchronizaƟon
FinTech
AccounƟng
Sell
IoT
Robot
Dispatch
Advice
Parts
ProducƟon
参加者から以下の意見が出されました。
○ 特定のユーザグループに新技術適用による課題解決の具体的提案を出してみてどうかとの意見に
対し、菅又議長より
「現状のTMCには調査・開発(R&D)機能を提供できるリソースは目下無い
ので、ユーザー要請に基づいてユーザーと一緒に進めることにしたい。先ずはAFACTメンバー
内で新技術適用経験の情報交換を積極的に推進すべきであろう。」
とのコメントが出されました。
○ 特定の領域(旅行、製造)
におけるメンバー国の経験について情報交換を行うこととしたい。
○ e-ASIA 賞の評価クライテリアの一つに、新技術の有効活用に関する項目を追加を検討したい。
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○ 製造ドメインにおいてはインダストリー4.
0対応検討プロジェクトを考えてはどうか。
○ 新技術対応のBUY/SHIP/PAY サプライチェーンモデルのフレームワークを再検討したい。
なお、本件の審議は、次回日本で5月に開催する第 34 回中間会議においても継続することが合意さ
れました。
4.1.2 eInvoice 実証実験
(台湾:Mei Li Chen)
食品安全を目的とした、eInvoiceを活用した食品トレーサビリティの実証実験が台湾より提案され、こ
れまでタイとの合同実験の計画が進められていましたが、タイ側の対応が不透明(今回欠席)の状況に
あるとのことです。このことから、台湾より日本と実証実験をしたいとの要請があり、台湾よりプロジェクト
についての詳細情報が提供されれば、それに基づき日本国内で受け入れ組織の有無をJASTPRO が
各方面に打診することとなりました。
4.1.3 クラウドコンピューティング
(台湾:Ping Hsien Chi 氏)
台湾が策定した、クラウドコンピューティング構築ベースVMwareによるプラットフォームCAKEにつき
説明があり、CAKE 上でのアプリケーション実証を推進中とのことで、現在までにタイでのタイムスタンプ・
プロジェクトの実装に成功し、更に旅行プロジェクトでの実証が予定されているとのことです。
4.1.4 UNESCAP 提案「貿易運輸円滑化モニタリング手法
(TTFMM: Trade and Transport Facilitation Monitoring Mechanism)
」
UNESCAP 貿易円滑化ユニットのYann Duval 氏よりTTFMMの紹介が行われました。TTFMM
は、輸出者から輸入者までの間の運送と手続きを含む全時間を計測するもので、特定 2 国間または2地
域間の総時間の改善のために行うものです。現在は、一国の税関への搬入から搬出までの時間を計
測するTRS(Time Release Study)が主に使用されていますが、2 国間貿易の効率性を測ることがで
きない状況にあります。特にTTFMMは、道路や鉄道による越境における効果的な分析資料になり、ラ
ンドロック・カントリーの貿易円滑化推進に役立てることができるとのことです。
UNESCAPは、TTFMMを国連 CEFACTの勧告の一つとして標準化したい意向があり、前回の
国連 CEFACTフォーラム(2015 年 11月開催)にて紹介を行ったものの未だ、正式なプロジェクト提案は
行われていません。
4.2 旅行・ツーリズム&観光ワーキンググループ
(TT&L W/G)
Plenary では鈴木耀夫氏より報告がありました。
W/GはリーダのKo 氏(韓国)が欠席のため、副リーダのMorris Hsiao 氏(台湾)が議長を務め、
イラン(5)
、台湾(1)
、日本(1)
、インド(2)の計 9 名が出席しました。
4.2.1 小規模宿泊施設
(Small scaled Lodging House : SLH)
プロジェクト及び
地域観光情報
(DTI: Destination Travel Information Process)
プロジェクト
日本、韓国、台湾、タイ、イラン、インドの6ヵ国にて実証実験第 2ステージを2016 年完了目標にて
推進中です。スケジュールの見直しが以下図のとおり合意されました。
SLH 及び DTI 両プロジェクトの成果を活用したビジネスモデルが整理され、地域観光の促進には両
輪として不可欠であることの理解が深まりました。
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4.2.2 イランCulture Heritage, Handcraft & Tourism Organization への訪問
本 Organizationは政府系組織にて、同組織を訪問し、多くの管理者クラスのメンバーとの面談を行
いました。出席者は、AFACT がこれまで進めてきたSLHおよび DTIプロジェクトの成果に深い興味を
示し、今後 AFACT でのプロジェクト推進に協力するとの発言が得られました。
5. e-ASIA 賞
12月15日(水)の終日を使い、最終選考に残った11のプロジェクトのリーダよりプロジェクトの成果について
プレゼンテーションが行われました。各プロジェクトの内容はどれも極めて興味深いものがあり、審査委員との
活発な質疑が行われました。審査委員は各メンバー国から選任され、その審査委員の評価を最終集計して
以下の4 つのプロジェクトが 1 位と認定されました。
○ 貿易の促進、円滑化、および簡易化 -- Trade Facilitation
「Iran Single Window for Cross-Border Trade(ISWCBT)」
(イラン)
○ 公共部門(政府機関など)の取引や申請手続き等の電子化
-- Electronic Business in the Public Sector
「SHAPARAK, Iranian Electronics Card Payment System」
(イラン)
○ 民間部門の商取引の電子化
-- Electronic Business in the Private Sector
(台湾)
「Nationwide RFID-based Multi-lane Free Flow Freeways ETC System and Service」
○ Internet など IT 利用の格差解消 -- Bridging Digital Divide
「Advanced program of Health Diet for students in Chinese Taipei」
(台湾)
日本からは小島プレス工業(株)が「民間部門の商取引の電子化」部門に「"Business Platform"
corresponding to Industry 4.0 ∼Achieving "Financial EDI cooperation" among SMEs∼(インダスト
リー 4.0に呼応したビジネスプラットフォーム∼ SMEsによる活用を目指したファイナンシャルEDIの達成∼)」
と題
したプロジェクトを提案しました。
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下図は当該プロジェクトの核となる、発注元からの振込指示情報から受注先への振込明細情報に至る流
れで、受注先の消込業務の大幅な削減を図ることが可能となります。
惜しくも同部門では2 位でしたが、当日の河合専務取締役の分かり易く内容の濃いプレゼンテーションには
プロジェクトの成果と同社の今後の挑戦に多くの出席者の興味を喚起しました。
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また、事前に開催されたSteering Committeeにて委員全員の賛同を得て、2011 年就任以来これまで
AFACT Genera1 Secretaryとして多大な貢献をしてきたMahmood Zargar 氏(イラン)に特別名誉賞が
授与されました。
左:Mahmood Zargar 氏
中:Yann Duval 氏(UNESCAP)
右:Azadeh Bagheri 氏(イラン事務局)
(e-ASIA 賞参加者全員の記念写真)
以上
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記事4. UN/LOCODEの新規承認
後記「国連 CEFACT からのお知らせ」の「5−2」にも紹介しておりますが、今回 2015−2(2015 年後期版)
と
して、以下の16 件が日本に関する新規 UN/LOCODEとして承認されましたので報告します。
コード
都道府県名
日本語名
英文地名
緯度・経度
JPHOK
北海道
北斗
Hokuto Hokkaido
4149N 14039E
JPAUR
福島
田村
Tamura
3726N 14034E
JPNQU
福島
二本松
Nihonmatsu
3735N 14025E
JPSRW
福島
白河
Shirakawa
3707N 14012E
JPFSS
東京
福生
Fussa
3544N 13919E
JPOJS
新潟
小千谷
Ojiya
3719N 13848E
JPRPJ
富山
南栃
Nanto
3635N 13655E
JPTNM
富山
砺波
Tonami
3638N 13657E
JPZGO
長野
須坂
Suzaka
3639N 13819E
JPGSE
奈良
御所
Gose
3427N 13544E
JPAYW
香川
綾川
Ayagawa
3425N 13355E
JPUIK
香川
さぬき
Sanuki
3419N 13410E
JPKOW
和歌山
紀の川
Kinokawa
3416N 13521E
JPSGP
熊本
錦
Nishiki, Kumamoto
3212N 13050E
JPCWN
沖縄
北谷
Chatan
2618N 12746E
JPUMA
沖縄
うるま
Uruma
2622N 12751E
以上
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記事5. 国連CEFACTからのお知らせ
5−1 17 December 2015:
Following the intersessional approval period that ended on 15 December 2015, the revised
Recommendation No. 4 on National Trade Facilitation Bodies( ECE/TRADE/425)has been
approved and published.
2015 年 12月17日 勧告第 4 号「各国貿易円滑化機関」改訂版(ECE/TRADE/425)が 2015 年 12月15日までの会期間承認
を経て、国連 CEFACT 総会で承認され公開されました。
5−2 17 December 2015:
UNECE Secretariat has released the 2015-2 UN/LOCODE directory.
2015 年 12月17日 国連 CEFACT 事務局はUN/LOCODEに係る港・内陸地等の新規登録等を反映した2015−2 版を公開
しました。
5−3 14 December 2015:
UNECE co-organized a workshop on "Delivering on the Trade Facilitation Agreement: The
role of standards and regulatory frameworks" on the side-lines of the 10th WTO Ministerial
Conference in Nairobi, Kenya.
2015 年 12月14日 UNECEは、ナイロビ・ケニアで開催された第 10 回 WTO 閣僚会議のサイドイベントとして、
「貿易円滑化協
定(TFA)
に関する成果物:標準と制度のフレームワークの役割」
と題するワークショップを開催しました。
5−4 08 December 2015:
Following approval of the eCROP Project Proposal this is to announce a call for participation.
This project describes the business processes for the exchange of electronic exchange of data
involved of plant production farming, between farmers and his suppliers, service providers,
the customers and the competent authorities, vise versa, and the crop cultivation data along
the supply chain.
Plant production farming includes horticulture, fresh fruits, vegetables and arable farming
crops, animal feed crops(pasture)and aquaculture crops(seaweed, algea). The data involved
in the message includes information about the crop fields, cropping schema, treatment, plant
health, supplies, operation advise and instruction and crop monitoring data, labour
and
certificates. The messages are used by the farmer and his partners and by the partners in
the supply chain to insure sustainable farming, food quality and food safety.
This Project concerns developing the agricultural information entities for the UN/CEFACT
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J AS T P RO
Core Components Library and development of ebXML message schemas.
To register interest in participating or for more information please contact Mr Henk Zwinkels
or Mr Frans van Diepen.
The development of this Project can be followed on the UN/CEFACT Collaboration
Environment https://www2.unece.org/cefact
2015 年 12月8日 eCROPプロジェクト提案がビューロにより承認され、ここにプロジェクト参加者の募集を行います。
このプロジェクトは農業生産者、そのサプライヤー、サービスプロバイダー、消費者ならびに承認機関相互
間の Plant production farming(植物生産物の耕作)
に係る電子データ交換についてのビジネスプロセス
について記述します。またサプライチェーンにおける当該生産物の栽培に関するデータも対象とします。
Plant production farmingには園芸品、生鮮果実、野菜、畑栽培の作物、飼料(牧草)
や水栽培の作
物(海藻類)
を含みます。メッセージに含まれるデータには、耕作地、栽培計画、トリートメント、作物の病害
対策、供給・オペレーションの指導と指示や作物の観察データ、労働、証明書などの情報が含まれます。
このメッセージは農家及びそのパートナー、サプライチェーンにおけるパートナーにより、持続性のある耕作、
食物の品質と安全性について保証するために利用されます。
このプロジェクトは、国連 CEFACT のコア構成要素ライブラリー
(CCL)
の Agriculture のエンティティ―情
報の開発、及び ebXMLメッセージスキーマの開発を対象とします、プロジェクトへの参加にご興味のある方、
もしくは更に情報を求める方は、Mr Henk ZwinkelsもしくはMr Frans van Diepen.にコンタクトください。
このプロジェクトの開発は国連 CEFACT 提供の Collaboration 環境(ツール)(https://www2.unece.
org/cefact)
に従って開発が実施されます。
以上
̶ 26 ̶
̶ 協会ホームページのリンク集のご案内 ̶
http://www.jastpro.org/link/index.html
当協会のホームページのリンク集には、当協会の活動にご興味を持たれる方や日本輸出入者コードの
利用者の方々のご参考として関係諸組織・団体ホームページへのリンクを下記の分類で掲載しております
のでご活用下さい。
▲
当協会に関係する我国の官公庁・公的機関(独立行政法人を含む)
▲
輸出入関係手続きに関係する業界団体等
▲
輸出入関係手続きに〔国内物流〕関係する情報源と用語集
▲
国際空港の公式ページ
▲
国際貿易港の公式ページ
▲
貿易簡易化や電子商取引の標準化組織・団体(国内)
▲
貿易簡易化や電子商取引の標準化組織・団体(海外)
▲
貿易振興・簡易化や電子商取引の標準化に関係する国際機関
▲
その他の組織・機関
JASTPRO 第41巻 第9号 通巻第447号
・禁無断転載
平成28年1月15日発行 JASTPRO刊15-09
発 行 所 (一財)
日本貿易関係手続簡易化協会
東京都中央区八丁堀2丁目29番11号
八重洲第五長岡ビル4階
電 話 03- 3555- 6031
(代)
ファクシミリ 0 3- 3555- 6032
http://www.jastpro.org
編 集 人
山 内 大 二 郎
本誌は再生紙を使用しております。
̶ JASTPRO広報誌電子版のご案内 ̶
電子版は、当協会ウェブページのお知らせ欄にてご覧いただけます。
http://www.jastpro.org/topics/index.html
掲載通知をご希望の皆様には、メールにてその旨ご案内申し上げますので、ご希望の方は毎月20日までに
次の内容を下記の E-mailアドレスにお知らせくださいますようお願いいたします。
▲
ご所属の組織名称 ▲
所属されている部署
▲
申込者氏名
▲
連絡先電話番号
▲
送達をご希望のメールアドレス
【申込み宛先】
(一財)日本貿易関係手続簡易化協会
業務部 業務一部長 石垣 充
E-mail address: [email protected]