歯科におけるCT画像診断

北 海 道 保 険 医 新 聞
2012年
(平成24年)
12月5日
(4)
第749号
(昭和40年4月18日 第3種郵便物認可)
歯科におけるCT画像診断
平成24年診療報酬改定に伴い、CTが歯科点数表に新設された。歯科におけるCTは、
これまで医科点数表を準用して算定していたが、
今次改定で初めて独立した項目となった。
歯科におけるCT画像診断と、その保険請求における留意点について解説する。
7−4│4−7
3┼3
病 名
P1
左下顎水平埋伏智歯 P
7−4│4−7 2  ̄
3⏉
─ ̄
3
主 訴 左下奥の歯ぐきが時々腫れて痛くなる。歯ブラシをすると、あちこちの歯ぐ
きから血が出る。
月日
12/1
部 位
療 法 ・ 処 置
点 数
歯科初診料
218
療養担当手当
12
主訴:左下奥の歯ぐきが時々腫れて痛くなる。歯ブラシを
すると、あちこちの歯ぐきから血が出る。
―
全身疾患等の特記事項なし。
口腔内所見:全顎的に辺縁歯肉に発赤および腫脹を認める。
7┼7
パノラマX-Ray …❶
307…❷
7⏉
 ̄
─ ̄
7
(所見) …❸
全顎的に歯槽骨の吸収が著明である。全体に中等度以上
―
の歯周炎が示唆される。⎾8
 ̄が水平に埋伏している。2根で
ある。根尖が下顎管と重なっているようにみえる。
パノラマX-Rayでは、水平埋伏智歯の歯根と下顎管の位置
関係が正確に把握できないことから、CTによる診断の必
―
要性があると考える。…❹
⎾8̄
歯科用3次元エックス線断層撮影(歯CT) …❺
―
診断料 …❻
450
撮影料 …❼
600
電子画像管理加算 …❷
120
(所見) …❸
⎾8̄が水平に埋伏している。歯根は2根であり、下顎管は
―
2根に挟まれるように走行している。
パノラマおよびCTで得られた画像所見を患者に説明し、
次回、歯ぐきの検査、歯石とりに加え、親知らずの抜歯を
―
行う旨を説明し、同意を得た。
《日計》
1,707
12/7
歯科再診料
42
明細書発行体制等加算
1
7┼7
歯周基本検査 (検査結果)略
200
7⏉
 ̄
─ ̄
7
歯科疾患管理料 文書提供 (内容)略
110
機械的歯面清掃処置(ラバーカップ、研磨用ペースト)
60
⎾4
 ̄-
 ̄7
 ̄ スケーリング
66
10
P基処(H2O2)
⎾8̄
自発痛(-)、歯肉発赤・腫脹(-)
―
伝麻(OA+2%キシロカインCt1.8ml)
42+6
抜歯(下顎水平埋伏智歯)
1,050+100
⎾7
 ̄
遠心歯肉骨膜を切開し、剥離のうえ、頬側骨壁削除、歯
―
牙分割し抜去。2糸縫合
3×3
屯ボルタレン錠25mg 25mg 2T×3回分
処方料
42
調剤料
9
薬剤情報提供料
10
《日計》
1,757
12/10
歯科再診料
42
明細書発行体制等加算
1
⎾8̄
腫脹あるも、自発痛・圧痛はわずか
―
―
SP(H2O2)
7 ̄
 ̄
- ̄
4⏋ スケーリング
66
《日計》
109
~ 以下、略 ~
【画像診断における算定の原則】
⑴病院歯科等において医科用CTを使用して撮影する場合や、医科の保険医療機関に依
頼して撮影する場合で、歯科点数表にある画像診断料以外の画像診断料を算定すると
きは、医科点数表により算定する。
⑵同一の部位(フィルム1枚で撮影できる範囲)に対して、同時に(処置なく再度の撮
影)2種類以上の撮影方法でX線撮影を行った場合、診断料および撮影料はともに
50/100となる。
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⑶同一の部位に対して、同時に2枚以上のフィルムを使用して同一の方法で撮影した場
合、診断料、撮影料はともに50/100となる。
⑷電子画像管理加算は、同一の部位に対して同時に2種類以上の撮影方法で撮影した場
合は、主たる(点数の高い方)の所定点数のみの算定となる。
解 説
❶パノラマX線撮影は全顎的に疾病が存在し、その診断を必要とした場合に適応となる。
少なくとも3ブロック以上にわたって対象歯があることが必要である。
❷今次改定で、歯科用3次元エックス線断層撮影(診療録での略称は、歯CT)は「E000
写真診断」の中の一項目として新設されたため、上記算定原則の⑷が適用される。し
たがって、パノラマ撮影と歯CTを同時に行った場合は、歯CTについてのみ電子画
像管理加算を算定する(120点)。この場合、パノラマの算定は、デジタル撮影であ
っても、撮影料182点+診断料125点=307点となる。レセプトでは、X線・検査そ
の他欄に C T 電 とし加算した所定点数、回数を記載する。
❸診断料は、写真診断の所見を診療録に記載した場合に算定できる。
❹歯科用3次元エックス線断層撮影は歯科用エックス線撮影または歯科パノラマ断層撮
影で診断が困難な場合であって、当該画像撮影の必要性が十分認められる以下のいず
れかを3次元的に確認する場合に算定する。
イ 埋伏智歯等、下顎管との位置関係 ロ 顎関節症等、顎関節の形態
ハ 顎裂等、顎骨の欠損形態 ニ 腫瘍等、病巣の広がり
ホ その他、歯科用エックス線撮影または歯科パノラマ断層撮影で確認できない位
置関係や病巣の広がり等を確認する特段の必要性が認められる場合
❺歯科用3次元エックス線断層撮影とは、部位限定エックス線CT診断装置またはアー
ム型エックス線CT診断装置を用いて局所的な撮影を行い、歯科疾患を3次元的に確
認する撮影をいう。
❻歯CTの診断料は、実施した撮影の回数にかかわらず月1回の算定とし、初回の撮影
を実施する日に算定する。歯CTおよびパノラマ撮影にて、同一部位に対して一連の
症状を確認するため、撮影を行った場合は、2回目以降の撮影の診断料は減算しない
取扱いである。また、歯CTについては上記算定原則の⑵は適用されない。すなわち、
パノラマ等他の撮影方法のエックス線撮影と併用しても診断料は50/100とはなら
ず、100/100(450点)を算定する。
❼歯CTの撮影料は600点を算定する。ただし、同一月に2回以上行った場合、2回目
以降の撮影料は80/100(480点)で算定する。造影剤を使用した場合は500点を加
算する(造影剤注入手技料および麻酔料を含む)。
歯科用3次元エックス線断層撮影の算定
診断料
撮影料
電子画像管理加算
合 計
1回目
450
600
120
1,170
同一月2回目以降(*)
-
480
120
  600
一連の症状確認のための
450
600
120
1,170
2回目以降(翌月以降)
*診断装置の性能や撮影の目的により、たとえば、上下顎骨において左右の智歯部を別々
に撮影する場合は、一方を「1回目」で、もう一方を「同一月2回目以降」で算定する。
◎医科用CTを用いた診断
大学病院や総合病院の歯科等において、必要があって医科用CTを用いて画像診断
を行う場合は、従来どおり、医科点数表を準用して算定する。
疑義解釈
平成24年3月30日
問 歯科用3次元エックス線断層撮影以外のコンピューター断層撮影について
は、従前の取扱いのとおり、医科点数表第4部第3節コンピューター断層撮
影診断料の例により算定して差し支えないか。
答
差し支えない。
まとめ
・X線撮影は疾病の正確な診断、適正な療法のためX線診断を必要とする場合に行われ
るものであり、撮影に際しては適応について十分に考慮するべきである。
・歯科診療においてCT撮影は第一選択になりえない。あくまで、パノラマ等により疾
病の存在を確認し、部位を大まかに把握した上で、それでもなお必要があると思われ
る場合にCT撮影すべきである。
・CT撮影診断を行う場合はその後に処置が続くことが前提となる。自院での処置が念
頭にないCT検査は行うべきではなく、紹介先の病院での診断および処置に委ねるべ
きである。
・保険点数の算定に当たっては、処置や検査等に使用する機器が薬事法の承認を得てい
ることが大原則である。歯科用CTを用いた撮影および診断においても、薬事法上の
承認を得た保険適用機種でなければ、保険請求はできない。
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