ショッピングセンター運営面での潮流と課題点(その2)!!

流通とSC・私の視点
2004 年2月 18 日
視 点 (426)
ショッピングセンター運営面での潮流と課題点(その2)!!
(流通とSC・私の視点(425)より続く)
いずれにしても、SCの賃料を高めSCの不動産価値(不動産利益と立地創造利益が融合した価値)を最
大化し、J・REIT(不動産投資信託)等による投資家の評価の高いSCづくりが求められている。それ
ゆえに、SCの運営の目的は理論賃料の最大化であり、理論賃料を高めれば余力賃料が高まり、結果的に実
際賃料のアップに結びつくことになる。
実は売上高を 20%高めて、粗利を2ポイント高めると、粗利額の増加分が売上高の8%相当になり、実質
的に現在支払っている賃料と同額となる。それゆえに、SCの運営ノウハウによってテナントの実質賃料を
無料化することができる。このようにSCのデベロッパーは単なる不動産管理業ではなく、テナントの収益
構造をも変える力を持っている。正に、プロパティマネジメント会社はこの使命を背負って登場した事業で
ある。
2.SCの運営はマーチャンダイジングデベロッパーとノンマーチャンダイズリテイラーへ進化
SCのみならず商業施設は「商品・サービス」と「満足」を融合して売る装置である。商品・サービスを
売る仕組みはMDing戦略であり、満足を売る仕組みは顧客満足度(CS)戦略である。このMDing
と顧客満足度を融合させ、ソフト・ハード面でシステム化し、最大の利益を目指すノウハウがSCの運営業
務である。
このSCの運営は次の4つの機能が必要である。
①経営管理機能
経営管理機能は、総務機能とコントローラー機能から成り立っている。いずれにしても、SC全体の
運営・管理機能の統合的役割を持つ部門であり、総務機能はその事務局機能、コントローラー機能は
SC全体の方向性を決定する部門である。
特に重要な部門はコントローラー機能であり、SCの長期繁栄体制づくりのための長期戦略策定(リ
ニューアルによるパワーアップ計画)や年次の売上・賃料目標管理さらにはローコスト管理を行う。
②運営管理機能
運営管理機能はSCの長期繁栄体制づくりをソフト面で支援する部門である。商圏内ニーズを潜在レ
ベルで把握するマーケットマネジメント部門、商圏内ニーズを顕在化する販売促進部門、テナントの方
向性の設定・管理を行うテナント管理部門、さらには、テナントのリーシングを継続的に行うと同時に
契約管理を行うリーシング部門で構成される。特にマーケットからテナントのMDingまでトータル
的に把握し、SC全体の売上高の維持・向上に一番、力を発揮する部門が、運営管理部門である。
③施設管理機能
施設管理機能はSCの長期繁栄体制づくりをハード面で支援する部門である。建物・売場のメンテナ
ンスから始まり、来街者の快適環境の維持向上、さらには、安全性の維持・向上まで、生活者の、アメ
ニティをハード面で演出する機能を担う部門である。特に、SCの施設の「快適性」
(アメニティ)と「安
全性」
(セーフティ)はSCの施設管理の2大役割であり、SCの長期繁栄体制づくりにとって重要な位
置づけにある。
④コミュニティ管理機能
コミュニティ管理機能は、これからSCが地域密着性を商品という面からだけではなく、コミュニケ
ーションという面から対応していかなければならない視点から必要性が高まっている。SCは生活全面
に対応した生活創造産業であり、コミュニティ社会の基軸となる施設である。SCは消費者の視点から
生活者の視点、さらには、住民・市民の視点から商業活動を行った方が、長期繁栄が容易になる。地域
の新しいニーズの創出と地域住民との一体化を担うのがコミュニティ管理部門である。
(流通とSC・私の視点(427)へ続く)
(株)ダイナミックマーケティング社
代
Copyright (C)1993-2004 Dynamic Marketing Co.,Ltd. All rights reserved.
む
表 六
ぐるま
車
秀 之