日本の古典文学を読む

日本の古典文学を読む
一般教育科教授 高島 要
平安時代の漢詩・漢文、江戸時代の漢詩集の注釈的研究。そして物語文学・
日記文学・和歌集の読みを通して、古典文学を味わってみましょう。
■地域のみなさんと読む古典文学
■日本漢詩文の研究
かぐや姫の話や光源氏の物語。王朝の物語や日記
の文学を、市民のみなさんと原文で読む活動をして
います。伊勢物語や土佐日記といったお馴染みの作
品から、うつほ物語や堤中納言物語などの新鮮な驚
きを与える作品まで、ナマの古典の文章は私たちに
心地よい響きを与えてくれます。
これまでに取りあげたテーマ、今年の計画済みの
テーマの一部を紹介しましょう。
研究テーマは、日本の漢詩文の
表現及び漢詩の注釈的研究です。
奈良時代の『懐風藻』、平安時代で
は、菅原道真の『菅家文草』をは
じめ、源氏物語時代の『本朝麗藻』
など、王朝時代は漢詩漢文が大変
盛んでした。今、この方面の研究
が活況を呈しています。私も、
『本朝麗藻』の注釈な
どの作業を進めております。この本には、あの紫式
部の父の藤原為時などの漢詩も収められています。
これら王朝漢詩のほとんどを収録する『日本詩紀』
の研究をすすめています。平成 9~11 年度の科学研
究費、平成 14 年度は科学研究費出版助成金の交付を
受け、その成果を『日本詩紀本文と総索引』
(勉誠出
版)として 15 年 2 月に出版しました。
(写真上)
15 年度からは、科学研究費で江戸時代の漢詩集
『東瀛詩選』の研究を開始し、18 年度科学研究費出
版助成金の交付を受け、その成果を『東瀛詩選本文
と総索引』(勉誠出版)として 19 年 2 月に出版しま
した。(写真下)
20 年度からは、
科研費「近世日本漢
詩総集『日本詩選』
についての総合的
研究」を開始し、現
在続行中です。
王朝古典講座シリーズ
○源氏物語千年紀によせて(輪島市・金沢市)
○大伴家持と能登の歌(輪島市門前図書館)
○「紫のゆかり」を読む(北国文化センター)
○源氏物語を読む(白山市美川中央図書館)
○源氏物語の女君たち(今年 中能登町図書館)
○能登守源順と平安文学(「石川を知る講座」 石
川県能登分室)
○源氏物語の謎ー色ごのみ(今年 北国文化セン
ター)
■こんな形の地域協力も
文学研究や、読書活動を通して、次のような立場
で地域へのお手伝いをさせていだいております。そ
の折々にまたいろいろ教えていただければ幸いです。
・金沢市史編さん委員会専門委員
『金沢市史 学芸編』(
「漢詩」執筆)
・門前町史編さん委員会専門委員
『新修門前町史 資料編』(分担執筆)
・白山市制定「島清恋愛文学賞」推薦委員
(最近の主な授賞作品)
桐野夏生 『ナニカアル』
(新潮社)
村山由佳 『ダブルファンタジー』(文藝春秋)
阿川佐和子『婚約のあとで』(新潮社)
江國香織 『がらくた』(新潮社)
石田衣良 『眠れぬ真珠』
(新潮社)
小手鞠るい『欲しいのは、あなただけ』
(新潮社)
井上荒野 『潤一』
(マガジンハウス)
谷村志穂 『海猫』
(新潮社)
阿久悠
『詩小説』(中央公論新社)
小池真理子『欲望』
(新潮社)
■授業は「国語」と「日本文学」を担当
1年生の国語(古典)と4年生の日本文学の授業
です。1年生の国語は、伊勢物語などの古典の読み。
4年の日本文学は、これは少し堅く「上代中古日本
文学史」の講義ですが、なるべく「親しみやすく」
を心がけています。
高島
要
(たかしま
かなめ)
一般教育科教授
(国語・日本文学担当)
日本文学・
和漢比較文学専攻