VWAG Sustainability Report 2012 抜粋翻訳版 p. 8 読者の皆様へ 2012 年の事業年度において、フォルクスワーゲンは非常に良好な業績を収めました。経済 不況にもかかわらず、フォルクスワーゲン グループの販売台数は 930 万台で、前年度に 比べて 100 万台増加、営業利益も増加し、115 億ユーロを達成しました。 これらの成功をフォルクスワーゲンは誇りに思っています。しかしながら同時に、フォルクス ワーゲンの従業員ならびにお客様に対して、そして環境保全および安定した社会的発展に 貢献するという責任の重大性も、より一層強くなりました。2012 年、欧州最大の自動車 メーカーとして、フォルクスワーゲンは、改めてこのような責任を深刻に担っている事を証明 しました。 エネルギーと資源を最大限の効率で活用することは、フォルクスワーゲン グループ全体が 一丸となって取り組んでいる目標です。私たちは、2015 年までに欧州におけるフォルクス ワーゲン グループにより販売される新車に関して、二酸化炭素(CO2 )の平均排出量を 120g/km 未満に削減する予定です。また、2018 年までにフォルクスワーゲン グループの 生産工場における環境適合性を 25%以上改善するという目標への取り組みも、急速に進行 しています。 しかし、最大手という実績に甘んじるのは私たちの本質ではありません。そこでフォルクス ワーゲンでは最近、環境面においてさらに厳しい目標を設定しました。たとえばフォルクス ワーゲン グループでは、2020 年までに、欧州で発売している新車の平均二酸化炭素(CO2) 排出量を 95g/km に削減します。そのために惜しみない努力を続けており、従来の内燃 エンジン、天然ガス駆動、プラグイン ハイブリッド(PHV)、電気駆動(EV)といったあらゆる 範囲の駆動方式を最適化し対応しています。1 リッターあたり 100km の燃費を達成した 「XL1」は、4 万人の研究 開発エンジニアが働いているフォルクスワーゲン グループに おいて、この困難な課題を乗り越えるだけの十分な革新的な能力と情熱があることを実証 しています。 しかしながら、革新的な技術を導入するには、多大な資金が必要です。そのためフォルクス ワーゲンでは、自動車部門だけで、2015 年までに 502 億ユーロの資金を投資する計画を まとめました。これらの資金の 3 分の 2 が、より効率的な車両や技術を開発するために、また 世界中にあるフォルクスワーゲンの 100 か所の生産工場でより環境に適した生産工程を 実現するために投入されます。 1 フォルクスワーゲンでは、サステナビリティには社会的に重要な側面があると考えています。 これには、「働きがいのある人間らしい仕事」の原則に従って作業環境を整備することや、 労働条件の最低基準を尊重し、向上させることが含まれます。ここで重要なのは、共同で 決定するということです。フォルクスワーゲン グループの成功にどれほどの意義があるかは、 労働力の開発が物語っています。2007 年以降、フォルクスワーゲンはドイツ国内での 3 万件 を含め、10 万件以上の新しい雇用を生み出してきました。現在、フォルクスワーゲンには 世界中に 55 万人の従業員がいますが、そのうち 16,000 人の若者たちが 16 か国で、ドイツ の制度にならい、職業訓練を大学などでの勉強と組み合わせて取り組んでいます。 この報告書では、フォルクスワーゲンのサステナビリティ戦略と多様なプロジェクトに関する 情報を提供し、経済、社会、環境のそれぞれの分野における方針を報告します。最大限の 透明性を提供するために、「AA1000AS」基準に基づいて認定されたフォルクスワーゲンの サステナビリティ報告書を再掲いたしました。またこの報告書はグローバル・レポーティング・ イニシアティブ(GRI)から最高の評価(A+)を取得しております。さらに、この報告書はドイツ サステナビリティ原則(German Sustainability Code)の要件を満たしています。持続可能な 開発に対するフォルクスワーゲンの責務は、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・ インデックスや FTSE4Good などの主要な国際指標に記載されていることや、カーボン・ ディスクロージャー・プロジェクトへの参加によっても証明されています。またフォルクス ワーゲンは、サステナビリティと責任を支援する企業のための世界最大のイニシアティブ である国連グローバル・コンパクトに参加することによって、人権保護や腐敗防止に貢献して おります。 フォルクスワーゲンの持続可能な開発に対する皆様のご意見をお聞かせください。この報告 書の内容が皆様にとって有益なものとなりますよう願っております。 マルティン ヴインターコルン(Prof. Dr. Martin Winterkorn) フォルクスワーゲン グループ会長 ベルント オスターロー(Bernd Osterloh) フォルクスワーゲン従業員協議会議長 2 p. 10 - 11 フォルクスワーゲン グループの概要 ドイツのウォルフスブルグを拠点とするフォルクスワーゲン グループは、世界を牽引する 自動車製造企業の 1 つであり、欧州最大手の自動車メーカーです。2012 年、フォルクス ワーゲン グループの乗用車および商用車の販売台数は増大し、927 万 6,000 台を達成 しました(2011 年は 826 万 5,000 台)。これは、世界の乗用車市場の 12.8%に相当します (2011 年は 12.3%)。 グループの構成 フォルクスワーゲン グループは、ドイツの法律に基づく株式上場企業で、欧州 7 か国に フォルクスワーゲン、アウディ、セアト、シュコダ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、 ポルシェ、ドゥカティ、フォルクスワーゲン商用車(Volkswagen Commercial Vehicles)、 スカニア、マンの 12 のブランドを所有しています。各ブランドはそれぞれ個性が異なり、 市場においては独自の法的地位で独立運営されています。 製品範囲 フォルクスワーゲン グループのラインアップは、二輪車や経済的なコンパクトカーから ラグジュアリーな高級車まで多岐にわたっています。商用車部門では、ピックアップからバス や大型トラックまで、あらゆる車両を製造しています。その他の事業部門の製品には、船舶用 や据置型の大型ボア ディーゼルエンジン、ターボチャージャー、ターボ機械(蒸気タービン およびガスタービン)、コンプレッサー、化学反応器などがあります。また、車両や風力 タービン用の特殊ギヤ装置、スライド・ベアリングおよびカップリング、モビリティ部門のテスト センターも製品ラインに含まれます。 財務状況 2012 年のフォルクスワーゲン グループの売上収益は、1,926 億 7,600 万ユーロでした (2011 年は 1,593 億 3,700 万ユーロ)。2012 年度の税引後利益は 218 億 8,400 万ユーロ でした(2011 年度は 157 億 9,900 万ユーロ)。その他の重要な財務データ(136 ページ以降) は、www.volkswagenag.com/ir でも参照していただけます。報告年度末におけるフォルクス ワーゲン AG の発行済み資本の総額は、11 億 9,099 万 5,446 ユーロでした。報告日 における議決権比率は、次のとおりです。シュトゥットガルトのポルシェ・オートモービル・ ホールディング SE が議決権の 50.73%を所有しました。第 2 位株主はニーダーザクセン州で、 議決権の 20.0%を所有しました。第 3 位株主のカタール・ホールディング LLC は議決権の 17.0%を、ザルツブルクのポルシェは議決権の 2.37%を所有しました。普通株式 2 億 9,508 万 9,818 株のうち残りの 9.9%をその他の株主が所有しました。ドイツ証券取引法(WpHG) 3 に基づく議決権数変更は、www.volkswagenag.com/ir 上でお知らせしています。親会社の 役割としてフォルクスワーゲン AG は、AUDI AG、SEAT S.A.、ŠKODA AUTO a.s.、Scania AB、MAN SE,Dr. Ing. h.c. F. Porsche AG,Volkswagen Financial Services AG、および ドイツ国内外の多数のその他の子会社の株式を、直接的または間接的に保有しています。 より詳細な開示情報は、ドイツ商法(HGB)の第 285 条および第 313 条に基づく株主リストに 記載されています。この情報は、www.volkswagenag.com/ir で参照でき、年次財務諸表にも 含まれています。 拠点および従業員 フォルクスワーゲン グループは、世界各地で 100 か所の生産工場を運営しています(2011 年は 94 か所)。欧州におけるグループの生産拠点は、車両および部品の生産工場が昨年同 じく 67 か所です。アジア太平洋地域の重要性も増大しつつあり、現在 17 か所の生産工場が 稼働しています。北米におけるフォルクスワーゲン グループの生産工場は 4 か所、南米では 9 か所、アフリカでは 3 か所となっています。 世界各地の約 55 万人の従業員が、1 日あたり平均 37,749 台の車を生産、自動車関連 サービスを提供、またはその他の業務に従事しています。雇用されている従業員数は欧州で 41 万 427 人、アジアで 6 万 8,704 人、北米と南米で 6 万 3,193 人、オーストラリアで 978 人、 アフリカで 6,461 人となっています。拠点または業務内容の変更はすべて、最新の年次報告 書の「2012 年度の活動内容」に記載されています。 市場状況 フォルクスワーゲン グループの自動車は世界中で販売されています。2012 年にフォルクス ワーゲン グループは、すべての地域において乗用車市場のシェアを増大させました。 フォルクスワーゲン グループの市場シェアは、西ヨーロッパで 24.4%(2011 年は 23.0%)、 中央ヨーロッパと 東ヨーロッパで 15.4%(2011 年は 13.9%)、北米で 4.9%(2011 年は 4.3%)、南米で 19.6%(2011 年は 18.9%)、アジア太平洋で 12.2%(2011 年は 11.3%)を達 成しました。世界市場におけるフォルクス ワーゲン グループのシェアは、12.8%(2011 年は 12.3%)です。世界各地で製品を製造するための資材およびサービスの総購入額は、1,287 億ユーロでした(2011 年は 1,102 億ユーロ)。最大の 調達市場は欧州で約 881 億ユーロ、 次がアジア太平洋地域で 264 億ユーロとなっています。 4 経営 経営の監査および重要な企業決定の承認は、監査役会の責任の下で行われています。また、 役員会のメンバーも監査役会で指名されます。フォルクスワーゲン AG の監査役会の現会長 は、フェルディナンド ピエヒです。フォルクスワーゲン AG の役員会は 9 名で構成されていま す。 各役員は、フォルクスワーゲン グループ内の 1 部門以上の責任者を兼任していま す。特定の 地域の責任者を兼任している役員もいます。役員会の現会長は、マルティン ヴィンターコルン です。フォルクスワーゲン AG の役員会の業務は、各ブランドおよび地域の 委員会および他の グループ系列会社や持株会社によってサポートされています。 主要グループ製品の生産数と販売数は「2012 年度年次報告書」および本報告書の「主要指 標(Key Indicators)」の章にも記載されています。この章には、ブランド別および業務分野別 の収益と利益の内訳(137 ページ以降)、ならびに主要なサステナビリティの指標に関するコ メント(136 ページ以降)も記載されています。 フォルクスワーゲン・グループ 実績データ 20 12 20 11 自動車販売(台数)単位:千台 9,345 8,361 生産(台数)単位:千台 9,255 8,494 従業員数(年間平均)単位:千人 533 454 女性従業員比率(%) 15.2 14.7 3.2 3.4 134 137 425.13 476.89 1.79 1.83 欠勤率(%) 1 欧州新車のCO2排出量(g/km) 直接CO2排出量(kg/車両) 2 燃料消費量(MWh/車両) 2 財務データ(IFRS) 単位:百万ユーロ 20 12 20 11 売上収益 192,676 159,337 営業利益 11,510 11,271 税引前利益 25,492 18,926 税引後利益 21,884 15,799 1 スカニア、マン、ポルシェを除外したフォルクスワーゲン・グループの生産拠点 2 乗用車および軽量商用車 5
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