日米宇宙フォーラム 日米宇宙協力のための中期目標及び短期的優先事項 日米宇宙フォーラムは産官学の宇宙政策専門家による常設委員会であり、両国間の宇宙関連活 動のための重要な発展と機会を検討するために定期的に開催している。このフォーラムは、 Frank Jannuzi(モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団)及び Saadia Pekkanen (ワシントン大学国際関係学部)により開催され、日米友好基金の援助を受け、 IHI エアロス ペース、三菱電機、三菱重工、 NEC、及び慶應義塾大学の支援協力を得ている。 メンバー ※ 秋山 正雄 青木 節子 浅田 正一郎 Phillip Dobberfuhl Frank Jannuzi Ed Jew オブザーバー 株式会社 IHI エアロスペース 慶應義塾大学 三菱重工業株式会社 米国空軍 (共同議長)マンスフィールド財団 Lockheed Martin Space Systems Company 岸 耕一 小山 浩 小澤 秀司 日本電気株式会社 Ronald Lopez John Mittleman Robert Morrissey Scott Pace Saadia Pekkanen Gregory Schulte Sheila Smith Stephen Town Boeing 豊田 正和 山川 宏 日本エネルギー経済研究所 京都大学 Peter Marquez Planetary Resources 株式会社 IHI エアロスペース 関野展弘 プログラムマネジャー Ryan Shaffer MELCO 日本電気株式会社 アメリカ海軍研究所 Raytheon ジョージワシントン大学 (共同議長)ワシントン大学ジャクソンスクール 元米国国防総省 外交問題評議会 Raytheon マンスフィールド財団 ー 報告書の要約 ー 以下の緊急の理由により、宇宙政策に関する日米の強固な調整が緊急かつ重要である。 1. 宇宙における能力は、日米同盟に必要不可欠であること 2. 日米は宇宙技術と能力において指導的立場にあること 3. 2008 年の宇宙基本法、2015 年の新宇宙基本計画、アメリカのアジア「回帰」、防衛装備移 転三原則及び集団的自衛権により新しい協力の機会が示されたこと 4. 共に予算制約に直面するなかで、協力が効率性と節約をもたらすこと 以上の点、そして宇宙におけるアクターと物体の増加、並びに、宇宙拒否能力と宇宙配備兵器 によりもたらされる増大する脅威を踏まえ、日米宇宙フォーラムは両国間の協力のための以下 の優先事項を確認した。 ※この文書で述べられた見解は、グループ内の議論の主調を反映してはいるが、必ずしもコンセ ンサスを反映するものではない。また、参加者の所属組織、企業又は政府の見解を示すものでも ない。 宇宙の平和利用に関する日米のリーダシップのための中期目標 1.1 ( Congested, Contested, Competitive に加え)4 番目の C―「協力的な」宇宙 多数国間活動に対する技術的、政策的、法的な能力を構築する国際的な協力のための、新規、 実際的な目標(安全保障から科学まで)を先導する。 1.2 政治・広報活動 宇宙活動による利益が安全保障に加えて、通信、災害管理・対応、ナビゲーション、地図作 成・画像取得、天気予報等などにも及ぶことを国民に周知する。 1.3 宇宙外交の活性化 宇宙活動の国際的な安定と長期持続性を強化する国際行動規範に対する、日米のビジョンを進 展させる。 1.4 産業基盤、技術力及び人的資源の確保 初期段階から、システム要求の企画と定義に、民間部門を組み入れる。パイロットプロジェク トは、両国民間部門に対する目的の方向性と確実性を提供するのに役立つであろう。 1.5 協力と競争力を高めるための規制改革の整理・活用 ・ 日米の産業間の調達と開発の基準を調整する。 ・ 機密データの許可なしの開示に対する罰則を含む、機密情報の取り扱いについての基準を調 整する。 ・ 宇宙通信、測位、地球観測等に関する協力のための機会を通じて、相互運用性を向上させる アメリカの輸出規制改革を活用する。 1.6 宇宙と集団的自衛権 宇宙資産に対する敵対的攻撃が行われた場合の日米安保条約の適用の仕方などの課題を十分に 考慮して、集団的自衛権における宇宙活動の役割について議論する。 日米宇宙協力のための短期的優先事項 2.1 統合宇宙運用センター( JSpOC)での日本の役割を正式なものとすること 日米安保条約に一致した運用上の適合性を高めるため、統合宇宙運用センターへの日本(防衛 省)の参加を招請する。 2.2 机上演習における日本の参加 アメリカは、国家安全保障・国土安全保障組織(例えば沿岸警備隊など)が主催する宇宙関連 の机上演習への完全な参加者として日本を招待すべきである。 2.3 海洋状況監視( MDA)のための宇宙の利用に関する日米のリーダシップ ・ 海洋データに関するアメリカの現行の情報共有政策を、日本を含めるように拡大する。 ・ MDA のために宇宙を利用する海上演習と訓練を通じて、知識と経験の基礎を構築する機会 を日本に提供する。 ・ 宇宙と地上の資産を MDA 全体の中に組み入れる際に、広範囲の海上監視と日本が直面する 課題にどう対応するかを明確にする。 ・ 自衛隊と米海軍の地域協力・情報共有を促進するための日本の組織(法執行機関、及び関連 する規制主体)を設立することを検討する。 2.4 相互防衛物資調達に関する覚書( RDPMOU) アメリカ国防総省( DOD)、日本の防衛省( MOD)及び経済産業省( METI)は即座に RDPMOU に関する協議に妥結をもたらし、日米の宇宙技術・装備を統合するための機会を拡 大すべきである。 2.5 リモートセンシングのための世界市場という機会の活用 ・ 第一に災害軽減及び MDA のような分野における協力的イニシアチブに焦点を当て海外の商 業リモートセンシングビジネスのための効率的・迅速な取決めを模索する。 ・ (日本の宇宙基本計画の履行スケジュールで示されているように)民間のリモートセンシング 活動に対する、明確で予測可能な規制と免許制度を設ける。 ・ 汎用技術・能力を管理する日本の包括的なデータ政策アプローチの創設を通じて、日米の企 業間の協力を促進する。
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