子供のスポーツ活動ガイドライン

子供のスポーツ活動ガイドライン
子供のスポーツ活動ガイドライン
スポーツに取り組む子供たちと共に
平成26年9月
つがる市教育委員会
<目
次>
スポーツ指導者 10の心得
第1章 本ガイドラインの趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2章 子供にとってのスポーツの意義
子供にとってのスポーツの意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・2
1
2
子供にとってのスポーツの意義及び運動部活動の効果・役割・問題点
地域や各競技団体との連携・協働
第3章 子供のスポーツ活動の在り方に関すること
子供のスポーツ活動の在り方に関すること ・・・・・・・・・・・4
1
2
組織全体として運営の在り方を考え、指導の目標、方針を共有しましょう
適切な指導体制を整えましょう
3
子供たちの実態を踏まえ、目標や内容を明確にした活動計画を作りましょう
第4章 子供のスポーツ活動の指導に関すること
子供のスポーツ活動の指導に関すること ・・・・・・・・・・・・9
1
効果的な指導に向けて、適切な指導方法やコミュニケーションの充実等により、
子供たちの自主的・自発的活動を促し、スポーツ活動への意欲を高めましょう
2 身体を動かすことが大好きな幼児、運動やスポーツが大好きな児童を育てましょ
う
3 望ましいスポーツ指導者を目指し、年1回は研修会に参加しましょう
4 体罰のない指導をしましょう
第5章 スポーツ活動における事故防止や安全の確保について・・・・・・14
スポーツ活動における事故防止や安全の確保について
1 子供たちの体調等を把握するとともに、活動場所の安全を確保しましょう
2 スポーツによるけがや熱中症等を予防しましょう
スポーツ指導者のセルフチェック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
小学生のスポーツ活動の進め方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
文部科学省初等中等教育局長・スポーツ・青少年局長(平成 25 年 3 月 13 日付 24 文科初第
1269 号)『体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)』
青森県教育委員会(平成20年3月)『スポーツ活動の指針(改訂版)』
は じ め に
子供たちにとってスポーツは、体力の向上はもとより、仲間を尊重し協調す
る精神と公正さと規律を学ぶ態度や克己心を身につけるとともに、スポーツに
よって培われた思考力・判断力・表現力は、子供達の「生きる力」の伸長に大
きな影響を与えるものです。
現在、つがる市における小・中学生のスポーツ活動は、スポーツ少年団、学
校部活動、総合型地域スポーツクラブをはじめとする社会体育活動を主として
活動しています。その運営については、
「地域の方」
「保護者」
「学校の教職員」
等の指導のもと行われています。
子供たちを健全に育てて行く上で指導者の果たす役割は、とても大きいと考
えています。
一方、本来はスポーツと無縁のはずの暴力、セクシャルハラスメント等の反
倫理的行為がスポーツ界で行われている実態が明らかになっており、部活動や
スポーツ少年団等で子供たちの健やかな成長、発達が脅かされる事案が全国的
に報告されています。
また、指導者が子供の発達段階を理解しないまま行われる練習による怪我、
過度な活動や厳しい指導による意欲の減退、燃えつき症候群など、子供たちの
スポーツ活動指導のあり方について改善すべき多くの課題があります。
そこで、本来あるべきバランスのとれた子供のスポーツ指導を目指し、「子
供のスポーツ活動ガイドライン」を作成いたしました。
どうか、本ガイドラインを子供たちの健全育成のためにご活用ください。
1 あいさつやマナーの指導を大切にしよう。
2 活動時以外にもあいさつやマナーが生きるような指導を心
がけよう。
3 勝ち負けよりも、そのスポーツの楽しさを味わわせるため
の指導をしよう。
4 レギュラー中心の練習のみではなく、すべての
レギュラー中心の練習のみではなく、すべての子供
子供たちが
子供たちが
満足できる練習を心がけよう。
5 子供たちの発達段階や個人差を考え、指導しよう。
子供たちの発達段階や個人差を考え、指導しよう。
6 子供
子供の表情や様子などを見て、心身の健康状態や練習内容
の表情や様子などを見て、心身の健康状態や練習内容
を考慮しよう。
を考慮しよう。
7 大声や暴言を吐いたり、たたいたりしないようにしよう。
8 子供
子供たちのミスを責めるより、できたところを褒めるよう
たちのミスを責めるより、できたところを褒めるよう
心がけよう。
9 常にけがや事故が起きないように心がけよう。
10 精神論による指導ではなく、様々なトレーニング方法を用
いた指導を心がけよう。
第1章 本ガイドラインの趣旨について
子供たちは、スポーツ少年団、小学校や中学校での運動部活動(以下「運動部活動」と
いう)をはじめ、各競技団体が運営しているスポーツ教室やスポーツクラブなど、様々な
場面でスポーツを楽しんでいます。
子供たちが様々な場面でスポーツを楽しむことは心身の健全な発達を促し、特に自己
責任、克己心やフェアプレイの精神を養うとともに、仲間や指導者との交流を通じて、
子供たちのコミュニケーション能力を育成し、豊かな心と他人に対する思いやりの心を
育むなど、子供たちの人格の形成に大きな影響を及ぼしています。
しかしながら、このようなスポーツの場面において、全国各地で指導者による体罰の
事案が報告され、部活動や、スポーツ少年団において体罰等の不適切な指導事案が発生
し、指導者や保護者の中には体罰を容認する考えが未だに存在しています。
指導者が子供の発達段階を理解しないまま行われる指導や練習による怪我、過度な活
動や厳しい指導による意欲の減退など、子供たちのスポーツ活動、指導の在り方につい
て、改善すべき多くの課題があります。
本ガイドラインに記述する内容は、平成20年3月青森県がまとめた「青森県スポーツ
活動の指針」及び平成25年5月、国の「運動部活動での指導のガイドライン」をもと
に、今後の子供たちのスポーツ活動での指導において必要である、又は配慮が望まれる
基本的な事項、留意点を改めて整理し、示したものです。
本ガイドラインは、学校、競技団体、スポーツ少年団、スポーツクラブなどにおいて、
子供たちのスポーツ活動に携わるすべての指導者、保護者等の関係者が、本ガイドライ
ンの内容を踏まえ、スポーツ活動での具体的な指導の在り方、その方法について現在の
活動を見直していただくものです。
一人ひとりの指導者が本ガイドラインに掲載されている「スポーツ指導者10の心得」
を実行するとともに、定期的に自らの指導、運営についてセルフチェックを行っていた
だくことを期待しています。そして、必要な見直し、創意工夫、改善及び研究を進め、
より適切で効果的な指導を行うことにより、子供たちのスポーツ活動が一層充実し、子
供たちが人間性豊かな社会人として成長することを期待します。
-1-
第2章
子供にとってのスポーツの意義
子供にとってのスポーツの意義
1 子供にとってのスポーツの意義及び運動部活動の効果・役割
子供にとってのスポーツの意義及び運動部活動の効果・役割・問題点
にとってのスポーツの意義及び運動部活動の効果・役割・問題点
スポーツは、今日、私たちが生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で
不可欠なものとなっています。とりわけ心身の成長の過程にある幼児及び小学生、中学
生のスポーツ活動は、体力を向上させるとともに、豊かな人間性を育む基礎となるもの
です。
現在、子供たちは、スポーツ少年団やスポーツクラブ、学校における運動部活動など、
自分の興味関心に応じてスポーツ活動に取り組んでいます。
スポーツは、子供たちに次のような様々な意義や効果をもたらすと考え
られます。
◇喜びと生きがいの場
◇体力の向上と健康の増進
◇豊かな人間性の育成
◇明るく充実した学校生活の展開
◇生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続するための基礎づくり
このことから、学校における運動部活動は各学校の教育課程での取組みとあいまって、
学校教育が目指す「生きる力」の育成、豊かな学校生活を実現させる役割を果たしてい
ると考えられます。
現在、部活動については、次のような問題点も指摘されています。
①
②
③
④
勝利至上主義的な考え方から児童・生徒に過度の練習を強いるケースがある
児童・生徒の自主性、個性を軽視した運営がなされている場合がある
児童・生徒数の大幅な減少により部員数や指導者数が減少している
運動部活動の指導において、体罰が発生している
-2-
2 地域や各競技団体との連携・協働
「学校」「家庭」「地域」の連携
運動部活動を支える3本柱
学
校
・適切な活動方針及び計画の設定
・児童・生徒の自主性や練習の質を高める
工夫と実践
・「ノー部活デー」の設定と休養日の確保
地
域
・運営に対する理解と協力
・外部指導者として協力
家
庭
・運営に対する理解と協力
・指導者と保護者のコミュニ
ケーションの場への参加
・バランスのとれた食事
・十分な睡眠と休養
学校と生徒:児童・生徒の発達段階や体力等のレベルにあわせた練習計画の作成や目指
すチームの目標を生徒に示しましょう。
児童・生徒がバランスのとれた生活がおくれるよう学業・生活面の指導に
配慮しましょう。
学校と家庭:児童・生徒の生活の基本は家庭です。
保護者との意思の疎通を大切にし、話し合う場を設けるなど、信頼関係を
深めましょう。
特に、練習試合の交通費や合宿費、部費等の負担については、連絡を密に
しましょう。
学校と地域:外部指導者をお願いする時には、学校や部活動の方針や実態を説明し理解
を求めましょう。
-3-
第3章 子供のスポーツ活動の運営の在り方に関すること
子供のスポーツ活動の運営の在り方に関すること
1 組織全体として運営の在り方を考え、指導の目標、方針を共有しましょ
う
(1)スポーツ活動の運営や指導の目標、方針を指導に関わるスタッフ等で検討しましょう。
スポーツ活動の運営や指導が、特定の指導者だけに任せきりとならないようにするこ
とが必要です。運営や指導には、できるだけ多くの人が関わり、指導者の負担軽減にも
配慮することが必要です。
指導者は、スポーツ活動の運営や指導の目標、方針を検討、作成し、日常の活動にお
いて、指導に関わるスタッフ等での意見交換、指導の内容や方法の研究、情報共有を図
ることが必要です。この取組の中で、体罰等が許されないことの意識の徹底を図ること
も重要です。
(2)活動の目標や方針、計画等について、保護者の理解を図りましょう。
子供たちや保護者に対し、活動の目標や方針、計画等について積極的に説明し、理解
を得ることが望まれます。
運動部活動においては、学校組織全体として活動や運営の方針を共有しましょう。
教育活動の中で行われる運動部活動においては、校長のリーダーシップのもと、学校組
織全体として、運動部活動の運営及び指導の目標や方針などを協議して共有化を図るこ
とが必要です。 また、運動部活動の充実を図るためには、学校内の保健体育科担当の
教諭、養護教諭、栄養教諭等の専門的知見を有する関係者の協力を得ることが重要です。
2 適切な指導体制を整えましょう
(1)複数の指導者による指導体制を整えましょう。
指導に関わる者それぞれが協力して、子供たちのスポーツ活動を支えていく体制を整
えることが大切です。
スポーツ少年団や地域のスポーツクラブなどでは、保護者が運営や指導の一部に携わ
ったり、運動部活動においては、顧問の教員などの指導体制等の状況によっては、地域
で優れた指導力を有する外部指導者が中心となって行ったりすることが効果的な場合
も考えられます。
(2)指導方針等を共有した上で指導に当たりましょう。
指導者は、運営や指導の方針、活動計画、具体的な指導の内容や方法、子供たちの状
況(年齢、体力、技能等)、事故が発生した場合の対応等について、指導する者同士で共
通理解を図るとともに、相互に情報を共有することが必要です。
-4-
(3)運動部活動において、協力が得られるよう外部指導者を把握するとともに、外部指導
者には学校目標等の理解を求めましょう。
運動部活動で外部指導者の協力を得るためには、県・市・競技団体・総合型地域スポ
ーツクラブとも連携しながら、協力を得られる外部指導者の情報を把握しておくことが
重要です。外部指導者には、学校の目標等も理解し、部活動にあたることが求められま
す。
また、顧問の教員は外部指導者と練習内容や生徒の状況について十分な調整や情報の
共有化を図り、技術的な指導においても、必要なときには外部指導者と意見交換するな
ど、指導を外部指導者に任せきりとならないようにすることが必要です。
学校のサポート体制
各運動部顧問
各運動部顧問の情報交換
顧問の情報交換
経験の浅い指導者に部活動の
在り方や運営・指導方法等について
アドバイスをする機会として顧問
会を活用しましょう
支えよう運動部活動
顧問や教職員が複数で
顧問や教職員が複数で
見守る体制の整備
見守る
体制の整備
児童・生徒の授業や学級活動と違
う一面を発見することができるので、
できるだけ部活動に関わりましょう。
顧問、担任、養護教諭等が連携を
図り一人でなく複数の教職員で
部活動を見守りましょう
リーダーの育成
キャプテン会議の実施
児童・生徒の自主的・自発的な運
営を進めるため、リーダーを育成し
ましょう。
また、各部のキャプテン同士が
悩みや部活動の良さについて話し
合う場を設けましょう
-5-
◇外部指導者を導入する場合の留意点◇
外部指導者を導入する場合は、事前に、学校の方針や指導の在り方、役割や条件、人選
や任命の仕方などについて「外部指導者導入規定」などを作成し、全教職員の共通理解を
図ることが大切です。
その際、児童・生徒や保護者の意見を十分に配慮するとともに、大会における外部指導
者の位置付けや役割についても、はっきりさせておくことが、必要です。また、委嘱に当
たっては学校長の責任において行うことが重要です。
(例)
外部指導者導入規定
1 導入に当たっては、顧問と生徒(児童)の意向を尊重して決定する。
2
任期は1年とする。ただし、再任は妨げない。
3
4
5
6
7
8
委嘱は校長が行い、委嘱状を交付する。
技術指導を担当し、十分な教育的配慮のもとに指導する。
顧問との意思疎通を十分に図る。
指導計画は、外部指導者と顧問とで作成し、計画に基づいて指導に当たる。
外部指導者にはスポーツ安全保険等に加入してもらう。
顧問との連携を図るため、連絡協議会を設置する。
(例)
委嘱状
殿
貴殿を本校○○部の運動部活動外部指導者に委嘱します。
任期は平成○○年○月○日から平成○○年○月○日までとする。
平成○年○月○日
○○学校長
△△
△△
公印
※上記は参考例です。各団体の活動に合わせてご活用ください。
顧問と外部指導者との役割分担
運動部活動は学校教育活動の一環として行うものですから、運営や活動計画の作成など
は顧問が中心に行い、外部指導者は顧問と協力して計画に従い、主として技術指導をする
ことをはっきりさせ、役割分担の理解を得ておくことが必要です。
-6-
3 子供
子供たちの実態を踏まえ、
たちの実態を踏まえ、目標や内容を明確にした活動計画をつくりまし
ょう
(1)子供たちの状況やニーズを考慮して、適切な目標や方針を検討、設定しましょう。
スポーツ活動の活動計画作成に当たっては、指導者は、対象となる子供たちの状況(年
齢、体力、技能等)やニーズを考慮して、適切な目標や方針を検討、設定することが必
要です。
この場合、「勝つ」結果のみを目指すことのないよう、「負け」から学ぶこと、「負け」
を次にいかすことなど子供たちが生涯にわたってスポーツに親しむ基礎を育むことが
できるよう、発達段階に応じた心身の成長を促すことに十分留意した目標や指導方針の
設定が必要です。
(2)練習方法や活動時間等を明記した計画を作成し保護者等に理解を求めましょう。
活動目標の達成に向けて、指導者は、参加する子供たちの年齢や発達段階に応じた練
習方法、活動の期間や時間を明記した計画を作成し、保護者等に説明し、理解を得るこ
とが重要です。
(3)活動の成果を評価しましょう。
活動の成果を検証し、設定した目標や活動内容を見直すことも必要です。
(4)学校での教育活動を第一に考え、見直しを持った活動となるよう工夫しましょう。
スポーツ活動を優先するあまり、子供たちが学校行事などの教育活動を休んで練習や
試合に参加することがないよう、指導者は、学校の教育活動全体と調和を図るとともに、
見通しを持った活動となるよう留意する必要があります。子供たちがスポーツ活動と学
習を両立できるよう効率的な練習方法等を工夫して、スポーツ活動が学校生活や家庭に
おいて意義ある活動になるよう努めましょう。
(5)運動部活動では、教育課程と関連させながら活動を行いましょう。
運動部活動は、教育課程において学習したことなども踏まえ、自らの適性や興味、関
心などをより深く追求する機会です。各教科等の目標及び内容との関係にも配慮しなが
ら、生徒自身が教育課程における学習内容について改めてその大切さを認識できるよう、
学校全体として教育課程と関連させながら、生徒の「生きる力」の育成を図ることが重
要です。
(6)複数校合同の運動部活動など、児童・生徒のニーズへの対応を工夫しましょう。
児童・生徒数の減少等により一つの学校だけでは、運動部活動を組織することが困難
な場合は、他校との合同の部であっても、そのスポーツをやりたいという児童・生徒の
願いに応えるための環境を整えることが望まれます。
複数校合同の部を設けるときは、それぞれの学校や顧問間で十分な連携を図り、一人ひ
-7-
とりの部員に配慮が行き届くようにすることが必要です。
また、運動部の編成は、児童・生徒の願いをかなえることを第一の目的とし、競技力
が高い児童・生徒のみを集めてチームを編成することのないようにすることが必要です。
(7)練習計画に適切な休養日を設定し、心身の疲労回復を図りましょう。
勝利至上主義的な考えから「休養日」もほとんどなく長時間にわたる活動を子供たち
に強制することは、バランスのとれた生活やスポーツ障害を予防する観点からも改善を
図る必要があります。
やむを得ず運動部活動を実施する場合にも、学校週5日制の趣旨を十分に踏まえ、部活
動のみに終始する一日とならないようにするなど、適切な対応を図ることが必要です。
・長時間の練習・土日等の練習や試合
学
業
+
・過度な早期練習
オーバーワークからくる疲労の慢性化(オーバートレーニング症候群の可能性がありま
す。)
↓
休養日の確保が必要
↓
ノー部活デーの取組
◎平日は最低週1日以上は部活動を行わない。
◎土日等の休業日は、最低月2回以上は部活を行わない。
期待できる効果
・休養や規則正しい生活は、ケガの防止や効率的な体力向上に効果
・家族とのふれあいや趣味等の時間をもつことで、心身をリフレッシュ
・地域のスポーツクラブ等に参加することで地域との交流
(8)指導者や保護者も心身の休養に努めましょう。
休養日には、子供だけでなく、指導者や保護者も心身の休養に努めましょう。
-8-
子供のスポーツ活動に係る練習日や休養日、練習時間の目安
子供のスポーツ活動に係る練習日や休養日、練習時間の目安
小学生のスポーツ活動
中学生のスポーツ活動
多くても
少なくても週2日程度の
週の練習は3日程度とする
休養日を設ける
活
動 平日
2時間を超えない程度
平日
長くても2~3時間程度
時
間 休日
3時間を超えない程度
休日
長くても3~4時間程度
留 ・原則として土曜日か日曜日のい
・原則として休養日の1日は土曜日か日曜
意
ずれかは休養日とする。
事 ・学年間の発達の差に留意する。
日のいずれかに当てることが望ましい。
・土日に活動する必要がある場合は他の曜
項
日で休養日を確保する。
第4章 子供のスポーツ活動の指導に関すること
子供のスポーツ活動の指導に関すること
1 効果的な指導に向けて、適切な指導方法やコミュニケーションの充実等に
より、子供
より、子供たちの自主的・自発的活動を促し、スポーツ活動への意欲を高
子供たちの自主的・自発的活動を促し、スポーツ活動への意欲を高
めましょう
(1)対話を重視した指導
個性を伸ばし、友情を深めるなど好ましい人間関係を育てるという運動部活動の意義
を再確認し、対話を重視した指導を実施することが重要です。
活動の目標・方針や計画を設定する際には、子供の意見を把握し、子供の主体性
を尊重し決定することが必要です。
指導方法の基本
①説
明
言葉で教示
②見
見 本
③試
試 行
動きを観察させて
イメージ化
繰り返して
練習
-9-
④評
評 価
「もう少しこうす
ればさらに良く
なる」
(肯定的評価)
求められている指導
☆子供の自主性、個性を
子供の自主性、個性を
尊重した指導
↓
・スポーツの楽しさを実感させる
・仲間との交流を充実させる
・わかる喜びを体験させる
・できる喜びを体験させる
対話を重視した指導
↓
・ポイントを的確に言葉で教える
・激励、賞賛を欠かさない
このような時に、このような指導者に
体罰は発生しやすい
このような時に
①試合に負けた時
②指示したプレーができなかった時
③児童・生徒のプレーがダラダラしていると感じた時
④普段の生活指導で部員が従わない時
指導者が感情的になった
時
このような指導者
①体罰による強制と服従で優れた競技者が
育成できると信じている
②指導には体罰が必要と考えている
③指導での「愛の鞭」は許されていると考えている
④士気を高め、良いプレーを引き出し、強い
精神力を身に付けるには、体罰が必要であると
考えている。
体罰が必要だと誤認して
いる指導者
いる指導者
社会通念、医・科学に基づいた健康管理、安全確保の点から認め難い練習や、
限度を超えたような肉体的、精神的負荷を課すような練習を強制的にさせる
ことは体罰です。
- 10 -
(2)
子供を伸ばす指導
(体罰にたよる指導ではなく科学的な指導を)
ミ 好ましい指導
ス ミスする原因は何か考えよう
が ・段階的な指導をしてきたか?
指導の具体的な例
(○好ましい指導 ●問題がある指導)
指導中のプレーでミスをした
で ・技術的な指導方法は適切なのか?
た
↓
○児童・生徒に失敗した原因を考えさせ、
欠点を理解させたうえで、反復練習する
と ◎将来の成長に繋がるミスかどうか よう指導する
き 見極めましょう
●ミスをしたことを理由に練習に参加さ
◎子供にミスの原因を考えさせ、自ら せず、1時間スクワット姿勢をとらせる
気づかせてから指導しましょう
連係プレーの練習中にミスをした
◎映像で動きを確認させるなど合理 ○連係した動作では、声をだす、相手を
的な方法を導入しましょう
見てプレーするなどの基本的な技術を指
○休憩を入れて、落ち着かせてから、 導する
やり直しさせましょう
●「練習しても駄目だ、練習の邪魔だ、
やめてしまえ」と言って、長期間練習に
参加させない
試
合
で
負
け
た
と
き
好ましい指導
負けた原因を子供と共に考えよう
・児童・生徒の実力が発揮できていた
か?
・普段の練習どおりプレーができた
か?
↓
◎実力が発揮できるようメンタルト
レーニング等を取り入れましょう
◎個別性等のトレーニング理論を踏
まえた最新の練習方法を得るための
研修会に参加しましょう
○指導者としての目標設定を見直し
ましょう
○部活動の目標、練習計画を見直しま
しょう
- 11 -
指導の具体的な例
(○好ましい指導 ●問題がある指導)
試合で負けた
○チームで負けた原因を話し合い、その
原因を解消するための練習計画や練習方
法について児童・生徒とともに考える
○負けた原因を子供と共に分析し、今後
の練習計画や目標をポジションごとに考
えさせる
●負けたのは、気合いが足りないからだ
と、高温多湿の体育館で、試合後すぐ、
水を飲ませずコートの周りを50周ラン
ニングさせる
●試合後にすぐに、児童・生徒の体力や
健康状態等を考慮せず腹筋1000回、
背筋1000回、腕立て伏せ1000回
をさせる
子 好ましい指導
供 子供の様子を観察しよう
の ・子供の言動が気になる
指導の具体的な例
(○好ましい指導 ●問題がある指導)
練習を無断で休む子供
子供がいた
練習を無断で休む
子供
がいた
態 ・家族のことで悩んでないか
度 友人との人間関係で悩んでないか
○当該子供を呼んで、十分話し合い、児
童・生徒との良好な人間関係を築きなが
が
↓
ら指導する
良 ◎子供の方に意識を向けて、その声、 ●連帯責任として、部員全員で正座を1
く 言葉、気持ちを聴き取りましょう
時間させる
な ○子供一人ひとりの役割や生活態度 顧問の安全に係る指導を無視する子供
顧問の安全に係る指導を無視する 子供が
子供 が
い について、自分たちで話し合う機会を いた
と 設けましょう
○練習上のルールや約束事の重要性につ
感 ○日常から児童・生徒と良好な人間関 いて最優先に厳しく説明し納得させる
じ 係を築きましょう
た
と
き
●顧問の指示は絶対であると人格を否定
するような言動で頭ごなしに怒鳴りつけ
る
◎科学的な指導方法を身に
◎科学的な指導方法を身につ
身につけましょう
2 身体を動かすことが大好きな幼児、運動やスポーツが大好きな児童を育
てましょう
(1)幼児期の特性を考慮し、多種多様な運動遊び体験をさせましょう。
(2)運動の楽しさを体験し運動への意欲が高まる活動を工夫しましょう。
(3)さまざまなスポーツや動きを体験させましょう。
3 望ましいスポーツ指導者を目指し、年1回は研修会に参加しましょう
(1)「望ましいスポーツ指導者」について、考え、実践しましょう。
(2)積極的な研修会への参加により、先進的な指導方法を習得しましょう。
(3)新しい指導技術を積極的に活用しましょう。
(4)多様な指導知識や指導方法を身につけましょう。
(5)運動部活動での指導方法を学校全体で研修しましょう。
- 12 -
4 体罰の
体罰のない指導をしましょう
(1)体罰のない指導をおこないましょう。
スポーツ活動では、指導者と称して殴る、蹴ること等はもちろん、懲戒としての体
罰が禁止されていることは言うまでもありません。また、指導に当たっては、子供たち
の人間性や人格の尊厳を損ねたり、否定するような発言や行為は許されません。体罰等
は、直接受けた子供たちの後々の人生にまで、肉体的、精神的に悪い影響を及ぼすだけ
でなく、その場に居合わせて目撃した子供たちへの悪い影響を及ぼすことになります。
体罰等による指導は、スポーツのもたらす教育的効果と相反する負の効果しかもた
らさないことを認識し、指導者は体罰等に頼らない指導方法を身に付け、体罰等の行為
を起こさない・許さないことが重要です。
(2)体罰等を正当化しない・させないことが大切です。
指導者と子供たちや保護者との間で信頼関係があれば体罰等は許されるという認識
や「場合によっては体罰もやむを得ない」といった考えは間違いです。
スポーツ活動の指導者や学校関係者などが、体罰等を厳しい指導として正当化する
ことは間違いです。
保護者や地域の関係者などにおいても同様の認識を持つことが重要です。
このため、スポーツ指導者や学校の関係者などが保護者や地域の関係者などに対して積
極的に適切な指導について説明し、理解を図ることが望まれます。
体罰等許されない指導に頼ることは、自らの指導力が不足していることを認識すること
が重要です。
体罰等の不適切な指導者に対して、「自分は体罰はしないから関係ない」といった他人
事ではなく、自分の指導を振り返るなど自分事として捉え、体罰等許さない指導に対す
る正しい認識を身に付けることが大切です。
(3)体罰等を許さない体制を進めましょう。
指導者、保護者及び教職員等は「体罰等許されない指導が起こるのは、その組織の
指導体制に問題がある」という問題意識を持つことが必要です。
そのためには、スポーツ活動を通して子供たちをどのように育て導きたいかという、
共通の指導観を全ての関係者が持ち、連携が図られる組織をつくることが欠かせません。
- 13 -
(4)体罰等の未然防止・早期発見・再発防止を実行しましょう。
スポーツ活動に関わる大人は、スポーツ活動の場面だけでなく、地域や家庭を含む
あらゆる場面で、「暴力や体罰等の指導は許さない」という認識を共有することが重要
です。
指導者は、スポーツ活動の様子をオープンにして、閉ざされた空間や、排他的環境
をつくらないようにするとともに、何でも相談できる組織やチームの風土づくりも大切
です。
指導者にとって、体罰等許さない指導に対する正しい認識を身につけることが、体
罰等未然防止・早期発見・再発防止の第一歩です。
第5章 スポーツ活動における事故防止や安全の確保について
1 子供
子供たちの体調等を把握するとともに、活動場所の安全を確保しましょ
たちの体調等を把握するとともに、活動場所の安全を確保しましょ
う
(1)個々の状況を確実に把握し、健康管理上無理のない練習になるようにしましょう。
(2)緊急時に対応できる備えをしましょう。
(3)適切な応急手当の習得と連絡体制を整えましょう。
2 スポーツによるけがや熱中症等を防止しましょう
(1)成長期にある子供たちの成長や発達についての知識を習得しましょう。
スポーツによるけがの大部分は、成長期にある子供の成長や発達の特徴をしって
いれば、予防できます。
(2)参加する大会や練習試合を精選し、効果的な練習方法を導入しましょう。
成長期にある子供たちのスポーツ障害や事故を防ぐためにも、出場する大会の精選
や効果的かつ効果的な練習方法等を導入すること、適切な間隔により休養日を設ける
こと、1日の練習時間を適切に設定するなどに留意して練習計画を作成し、指導する
ことが必要です。
(3)適切な水分の補給により熱中症を予防しましょう。
指導者や子供たちが熱中症の予防策を十分理解して運動に取り組むとともに、運動
の可否等を適切に判断することが重要です。スポーツ活動中の水分及び塩分の補給は、
熱中症を予防するとともに、練習効果を上げるためにも重要です。練習開始から時間
を決めて水分及び塩分の補給時間を設けたりするとともに、必要に応じて、子供たち
がいつでも水分や塩分を補給できる環境を整えておくことが重要です。
- 14 -
熱中症予防運動指針
気温(℃)
基
準
備
考
35
運動は原則中止
特別の場合以外は運動中止する。
31~
31
35
厳重警戒
激しい運動や持久走など体温が上昇しや
28~
警戒
すい運動は避ける。水分・塩分補給を適切
に行う。体力の低い人などは運動中止
31
積極的に休息をとり、適宜、水分、塩分を
補給する。激しい運動では 30 分おきに休
息をとる。
24~
注意
28
24以下
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の
合間に積極的に水分・塩分を補給する。
ほぼ安全
適宜、水分、塩分を補給する。
◇熱中症への対応◇
熱中症への対応◇
1
高温・多湿などの条件下での活動や運動は、屋内外を問わず長期間にならないよう
に配慮する。
2
適度な水分を補給し、休憩時間を十分確保する。
3
スポーツ活動時においては、子供の健康状況を的確に判断し、必要な場合は、計画
を変更するなどの措置を取る。
4
万一の場合に備えて、熱中症の救急処置や対応について、学校内やスポーツ団体の中
で共通理解を図っておく。
5
その他
・屋外での活動時には、日照、気温等に応じて、帽子や服装に配慮し、子供の体調に
合わせ、無理のないようにする。
・特に、体育や部活、スポーツ活動時に熱中症事故が発生しやすいので、活動の中止を
含め、各学校の実情に応じて、適切な措置を講じる。
- 15 -
スポーツ指導者のセルフチェック
次のチェック項目で、あなたの考えや行動に「あてはまる」「あてはまらない」を判断してみてください。
チェック項目
あてはまる
子供達を中心とした方針、目標、指導計画が作成してあります。
1
チームや団体の活動方針や目標が明文化してあります。
具体的な活動計画表を作成しています。
チームや団体の活動目標と指導方針等を共有しています。
指導スタッフと共有しています。
2
子供達と共有しています。
保護者と共有しています。
子供たちの心身の健康状態の把握に努めています。
3
活動前に健康チェックや観察をしています。
子供達の日頃の様子の情報収集をしています。
適切な指導体制で活動をしています。
複数のスタッフでチームや団体の運営をしています。
4
複数のスタッフで子供達の指導をしています。
学 校
他の活動の顧問等とも連携して、活動を支援しています。
適正な活動量で活動しています。
練習日数は多くても週3日程度です。
小学生
平日2時間、休日3時間を超えない活動時間です。
少なくても週2日程度の休養日を設定しています。
5
中学生
長くても平日3時間、休日4時間程度の活動時間です。
少なくても週1日程度の休養日を設定しています。
高校生
長くても平日3時間、休日4時間程度の活動時間です。
共 通 指導者も休養日にはリフレッシュしています。
子供達に練習や試合時の作戦について説明しています。
どうしてこの練習を行うのか目的を子供達に説明しています。
6
練習方法の科学的根拠を子供達に説明しています。
試合時の作戦について子供達と話し合いをしています。
勝利至上主義のスポーツ活動は行いません。
7
試合で、勝利のみを目指した取組はしていません。
できそうにない過重な負担の練習や活動をしていません。
子供達の自主的・自発的活動になるよう促しています。
自発的活動について説明し、活動が見られたときは褒めて認めます。
8
子供達の練習方法等について意見を聞いています。
厳しい指導後には、何がわるかったのかを伝え、子供達が理解できるように
しています。
- 16 -
あてはまらない
チェック項目
あてはまる
あてはまらない
子供達の信頼関係を築くことを心がけています。
9
子供達に活動中や前後に積極的に声かけをしています。
子供達との話し合いの機会を設けています。
運動やスポーツが好きな子供の育成を心掛けています。
10
スポーツの楽しさや面白さが味わえるよう練習を工夫しています。
子供達自らが考えてプレーすることを大切にして指導しています。
体罰など許されない指導の根絶に努めています。
体罰等許されない指導は絶対にしません。
11
スポーツ活動の様子をオープンにして排他的な環境を作らないようにしています。
子供達同士の関係を把握し、コミュニケーションをはかるよう工夫しています。
体罰等許されない指導に関する研修会に参加しています。
積極的に研修会等に参加して、自己研鑚に努めます。
年間に、1回以上のスポーツ指導者研修会に参加しています。
12
他競技の指導者と協議等をして、競技横断的な知識・技能の習得をこころ
がけています。
スポーツ指導者の資格の取得を目指しています。
指導者として望ましい態度について考え、フェアプレイを実践しています。
フェアプレイ宣言を実践しています。
13
日頃から適切な身なりやあいさつ、言葉遣いなどに気を付けています。
普段からスポーツマンシップとうい言葉を口にしています。
スポーツ活動中の事故防止や安全の確保に努めています。
練習前に、施設・用具等の安全点検をしています。
14
活動場所のAEDのあるところをしっており、操作方法を習得しています。
事故発生時の連絡通報体制が確立しています。
スポーツによるけがや熱中症の予防を心がけています。
研修会等で得たスポーツ医学の知識を指導において活用しています。
15
けがをしている子供には適切な休養をとらせます。
活動中にも水分等の補給の時間を設けています。
※あなたの考えや行動に「あてはまらない
あてはまらない」ものがあれば、あなたのその考えや行動について
あてはまらない
一度振り返ってみましょう。
- 17 -
小学生のスポーツ活動の進め方
小学生のスポーツ活動の進め方
□スポーツを通じた子供
スポーツを通じた子供たちの心身の全人格的な健全育成を基本に据え、
子供たちの心身の全人格的な健全育成を基本に据え、
過度な勝利至上主義に陥らないようにする。
※ スポーツ本来の目的が、健全育成であり、勝つことは目標であると理解しつつ、
実際は、レギュラー中心の練習や結果主義、否定的評価など教育的な配慮が不十
分で、勝利至上主義に陥っているチームもあります。
□競技力、規律、忍耐力等を高めるとともに、健康・安全に留意し、事故防
止がおろそかにならないようにする。
※ 大会で勝つために、怪我や病気の子供が無理をして出場しているケースがありま
す。また、スポーツドクターによると、使いすぎによる傷害や熱中症も増えてい
るということです。健康や安全の確保は、何よりも優先されなければなりません。
□学校の教育活動(
学校の教育活動(運動会、学習発表会等)
運動会、学習発表会等)に支障を来たさないように連絡・
調整を密にする。
※ スポーツ大会と学校の運動会や学習発表会等の行事が重なり、学校教育活動に支
障を来たしている事例が見られます。小学校教育は法的な定めのもとに行われる
ものであり、その活動は優先されなければなりません。そのためには、学校と家
庭や指導者が連絡を取り合い、日程を調整することが必要です。
□子供や保護者、指導者間で運営方針や指導理念を理解しあう。
子供や保護者、指導者間で運営方針や指導理念を理解しあう。
※ 活動を進めるにあたって、全ての子供や保護者、指導者の要求に応えることは難
しいことです。活動途中でのトラブルを避けるためにも、運営方針や指導理念を
明確にし、お互いが納得した上で、活動を進めましょう。
□指導者や保護者の負担(
指導者や保護者の負担(経済的・肉体的・精神的・時間的)
経済的・肉体的・精神的・時間的)が過重にならな
いように相談しながら運営する。
※ 指導者の不足や大会参加の増加等により、指導者や保護者の負担増大が懸念され
ます。多くの子供たちが参加できるスポーツ環境をつくるためにも、指導者や保
護者にとって無理のない範囲で活動をすることが大切です。
□保護者、指導者、学校、地域関係者間で必要に応じて話し合いの場を設
け、お互いに強調しあう。
※ スポーツ活動に費やす時間が長く、家族の団らんや地域行事への参加など、生活
経験の幅を広げにくい状況も見られます。できるだけ多様な経験ができるように
環境を整えることが大切です。
- 18 -
□年間の活動計画(大会等参加計画も含む)を作成し、見通しをもった指
導をする。
※ 無計画な活動は、1 回の練習時間を長引かせたり、大会や練習試合の参加回数を
増やしたりすることになり、子供たちへの身体的な負担や時間の浪費、保護者へ
の経済的負担を大きくします。
□週の練習日は 3 日程度までとし、原則として土日のいずれかは休養日に
する。
※ 学習や家族との時間、地域行事への参加、集団遊びなどもできるように、子供た
ちの自由時間を確保しましょう。
□翌日に学校がある場合は、疲れが残らないようにする。
※ 平日の活動時間では、2 時間を超えない程度にする。活動終了時刻は、
帰宅時の安全などを考慮して午後 6 時30分までをめどにすること
が望ましい。学校がある前日の夜、遅くまで練習をしたり、遅くに大
会から帰ってきたりしたために疲れが残り、学業に集中できない子供
もいます。
□1 回の練習時間は、子供
回の練習時間は、子供の体力に十分配慮し、途中に休憩時間を設け
子供の体力に十分配慮し、途中に休憩時間を設け
る。
※ 休日は 3 時間を超えない程度の練習とする。大会数の増加や大会規模の大型化に
よって、練習時間が長くなる傾向にあります。練習時間や内容を体力や年齢の違
いに応じたものにすることが求められます。
【保護者】
□基本的な生活習慣づくりに努めるとともに、学校生活とのバランスを考
える。
※ 子供たちは、スポーツ活動をとおして、栄養や睡眠の大切さ、礼儀などを学ぶこ
とができます。家庭では、規則正しい生活習慣(早寝・早起き・朝ごはん)や礼儀
作法(あいさつ・返事)などを中心としたしつけをきちんとしましょう。
□主体性や自主性を育てるため、子供
主体性や自主性を育てるため、子供たちにできることは、
子供たちにできることは、子供
たちにできることは、子供たち
子供たちに
たちに
任せる。
※ 親の過干渉により、子供たちの自主性や自律性の伸長を妨げられることが心配さ
れます。スポーツ活動をとおして、社会性や道徳性を伸ばすために、子供たちに
できることは、できる限り子供たちに任せるようにしましょう。
- 19 -
□指導者や審判の非難をせず、指導者や子供
指導者や審判の非難をせず、指導者や子供たちの良きサポーターにな
子供たちの良きサポーターにな
る。
※ 勝敗に固執するあまり、指導者や審判、相手チームの非難をする親もいます。ス
ポーツ活動を通して、フェアプレーの精神やフレンドリーシップも教えたいもの
です。まずは、親が手本を示しましょう。
□家庭でもいろいろな運動の機会を設けたり、スポーツの意義や魅力を話
題にしたりする。
※ 単一種目ばかりをしていると、バランスのとれた体力向上が図れません。地域の
スポーツ行事に参加させたり、子供同士で運動遊びをさせたり、親子でスポーツ
を楽しんだりするなど、多様な運動経験をさせましょう。毎月第 3 日曜日の「家
庭の日」には、家族で登山やサイクリング、外遊びなどの運動をして、親子一緒
の時間を過ごされてはいかがでしょう。
□お世話になっている方々に、感謝の気持ちで接する。
※ スポーツクラブやスポーツ少年団の場を託児所扱いにしたり、指導者や保護者同
士でのあいさつができなかったりする方もいるようです。子供たちは、多くの
方々の力添えにより育っています。感謝の気持ちを忘れないようにし、良好な人
間関係づくりに努めましょう。
【指導者】
□結果より過程重視し、一人一人の伸びや頑張りを認め、励ます。
※ 結果のみで子供を評価することは、子供たちの意欲を低下させます。過程の中に
教育的価値がたくさん含まれています。いいところをたくさん見つけて、ほめて
育てましょう。
□指導力を高めるために、研修会等に積極的に参加する。
※ 研修会を開催しても参加する指導者が少ないようです。過去の経験だけで指導す
るのではなく、よりよい指導ができるように、体や心の仕組み、トレーニング法
などを勉強し、指導者としての資質を高めましょう。スポーツは、研究心や向上
心、行動力が大切であることの手本を示しましょう。
□体罰を加えたり、暴言を浴びせたりせず、一人一人を尊重する。
※ 体罰や暴言は、いかなる場合も絶対に許されません。指導者の思いど
おりに動けない子供に怒りをぶつけるなど教育的配慮に欠ける指導
実態も見られます。一人一人のわずかな進歩に目を向け、伸びに気づ
かせたり、励ましたりすることで自信をもたせ、スポーツ好きの子供
を増やしましょう。
- 20 -
□個人差に配慮し、画一的な指導にならないようにする。
※ 能力の高い子供中心の練習を行っているチームもあります。どの子にもスポーツ
や運動の楽しさを保障しなければなりません。画一的な指導では、年齢差や技能
差等に対応することはできませんし、子供たちの活動意欲も低下します。
□学校や保護者との会話を大事にし、好ましい人間関係づくりに努める。
※ スポーツ団体と学校とのかかわりが薄くなっています。また、保護者の中には、
指導者に意見が言いにくい方もいます。平素からお互いの会話を増やすことで、
子供たちの悩みや課題を早期に解決することができます。気軽に会話のできる雰
囲気づくりに努めましょう。
【学 校】
□子供たちの地域スポーツ活動に理解や関心をもち、施設開放や管理等
子供たちの地域スポーツ活動に理解や関心をもち、施設開放や管理等
で協力する。
※ 教師からの賞賛や励ましは、子供たちの意欲を高めます。学校でも子供たちの地
域スポーツ活動の様子について話題にしたり、大会参加に対して応援をしたりす
るなどしましょう。また、運動施設の開放や管理面で健康的で安全な活動ができ
るように、協力をしましょう。
□保護者や指導者と生徒指導や施設利用等についての情報交換に努める。
※ 体調不良や学習意欲の低下、人間関係の悪化などの問題が発生しています。施設
利用上のトラブルも見られます。保護者や指導者との会話を増やし、情報交換に
努めましょう。
□体育の時間だけでなく、教育活動全体をとおして体力つくり活動を推進
する。
※ 業間運動等の体力つくり活動を始業前、放課後等、体育の時間だけでなく、教育
活動全体をとおして推進しましょう。
□地域のスポーツ大会等に参加や協力ができるように配慮する。
※ 地域のスポーツ大会に参加する学校も減っています。学校は、地域と連携を図り、
子供たちのスポーツ活動の場を広げる努力をしましょう。
□指導法や運動プログラム等、スポーツ活動に役立つ情報を提供する。
※ 教員は教えるプロとしてのいろいろな経験と研修を積み重ねています。指導法や
運動プログラム等について、指導者の方に情報提供をすることで、活動の充実に
向けて協力しましょう。
- 21 -
参考資料
(青森県教育委員会(平成20年3月)『スポーツ活動の指針(改訂版)』・文部科学省「体罰の
禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」より引用)
・運動部活動 Q&A
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
・体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知) ・・30
・児童生徒の運動競技について(通知文)
・・・・・・・・・・・・・・33
・家庭の日及びノー行事デイの設定について(通知文)
・・・・・・・・・36
・部活動休止日に関する申し合わせについて(通知文)
・・・・・・・・・38
・スポーツ少年団の理念と行動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
・熱中症を予防しよう ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
・応急手当などをする ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
- 22 -
運動部活動
Q1
A
Q&A
運動部活動には、必ず入部しなければならないのでしょうか。
運動部活動は、スポーツに共通の興味や関心をもつ同好の希望する児童生徒によ
って行われる活動なので、必ず入らなければならないものではなく、自由加入とな
ります。
ですから、全員強制加入はもちろん、指導者が必要だからといって無理に入部さ
せることは望ましいことではありません。
Q2 学校教育活動としての対外運動競技(大会)の参加について教えてください。
A
学校教育活動としての対外運動競技の参加について、次の事項に留意するものと
しています。
① 国、地方公共団体若しくは学校体育団体(小学校においては小学校長会を含
む)の主催又はこれらと関係競技団体との共同主催を基本とすること。
② 大会の規模、日程などが児童生徒の心身の発達からみて無理がないこと。
③ 参加する本人の意志、健康及び学業などを十分配慮するとともに、保護者の理
解をも十分得るようにすること。
なお、小学校においては、特に、児童の心身の発達からみて無理のない範囲と
いう観点から、市にあっては市、町村にあっては郡の区域内における開催・参加
を基本としつつ、県大会については、学校運営上や児童のバランスある生活を配
慮する観点から、年間1回程度としています。
また、中学校においては、県内における開催・参加を基本としつつ、地方ブロ
ック大会及び全国大会については、学校運営や生徒のバランスある生活に配慮す
る観点から、各競技につき、それぞれ年1回程度としています。
Q3
外部(教職員以外)指導者を依頼するに当たって、どのようなことに注意する
必要がありますか。
A
外部指導者を迎えるに当たっては、顧問は機会をとらえ、外部指導者と話し合
い、相互の人間関係を円滑にしておくことが大切です。
あくまでも、部活動の責任者は顧問であり、外部指導者には、学校・顧問の指導
方針に基づいて指導に当たることを理解してもらう必要があります。
- 23 - 23 -
Q4
A
Q5
A
Q6
A
児童生徒にとって、適切な活動時間(一日)及び活動日数(一週間)はどの程
度でしょうか。
児童生徒の体力・集中力や生活全体のバランスから考えて、負担にならない程度
に行うことが大切です。
したがって、小学校においては、一日の活動時間は1~2時間程度、一週間の活
動日数は5日以内に留めることが望ましいです。
また、中学校においては、効率的な練習を行い、長くとも平日は2~3時間程度
以内とし、週当たり2日以上の休養日を設定することが望ましいです。
専門外の競技の顧問になった場合、どのようなことに留意したらよいでしょう
か。
顧問にとって、実技指導ができることが理想ですが、専門外の顧問になるといっ
た状況も多くなっています。顧問の役割としては、実技指導以外にも生活面の指導
や社会的態度の育成等も大切な指導の一つとなります。
そこで、次の事項に留意して指導することが大切です。
① 毎日の活動に努めて立ち会い、部員との人間関係や競技への理解を深める。
② 条件が整えば、専門的な指導力をもった地域の指導者を依頼し、顧問も一緒に
学ぶ。
③ 講習会・研修会等へ積極的に参加し、指導力を高めるとともに、他校の顧問と
交流を図り、情報収集に努める。
「家庭の日」及び「ノー行事ディ」の部活動は、どのようにしたらよいのでし
ょうか。
青森県では、平成11年9月に「家庭の日」及び「ノー行事ディ」を設定しまし
た。
毎月第3日曜日は、「家庭の日」とし、家族の触れ合いを大切にし、家族で過ご
す日としています。
また、毎年5月の第3日曜日を、「ノー行事ディ」とし、原則として各種行事を
行わない日としています。
顧問は、いずれの場合も、その趣旨を踏まえ適切な運動部活動を展開するよう配
慮する必要があります。
24
-24-
Q7
A
Q8
A
Q9
A
部活動を通して望ましい人間関係を育成するためには、どのようなことに配慮
する必要がありますか。
学年を超えた同好の児童生徒によって行われる部活動において、望ましい人間関
係を確立することは大切なことです。そのため、練習等を通して、助け合い、励ま
し合い、教え合う中で、お互いの信頼感、集団としての連帯感・所属感が育まれる
よう、次のことに配慮して指導に当たる必要があります。
① 一人一人を大切にした活動を工夫し、各部員がそれぞれの段階に応じて平等に
練習できるような場を工夫する。
② 円滑な活動を進めるために、部員の役割を明確にし、上級生と下級生が協力す
ることの大切さを学ばせる。
③ 同じ目標に向かって活動する仲間であるという連帯感を育成する。
運動部活動中の事故防止を図るにはどのような配慮が必要ですか。
運動部活動中の事故防止については、普段から細心の注意を払い、事故を未然に
防ぐことが重要であり、特に、次の事項に留意することが必要です。
① 児童生徒の日常の健康状態を把握し、健康観察をはじめとする健康管理を的確
に行う。
② 部員の実態にあった無理のない指導計画を作成する。
③ 施設・設備及び器具・用具の事前点検・整備を励行する。
④ 準備運動や整理運動を十分に行う。
⑤ 普段から自他の安全に留意して活動できる態度を育成する。
会議・出張等で直接指導できない場合には、どのようなことに配慮したらよい
でしょうか。
部活動の活動中には、顧問が練習に立ち会うことが原則ですが、公務等の都合で
できないこともあります。
事前に分かっている場合は、練習日を変更することが必要です。また、急な場合
には、他の顧問に代わってもらい、練習内容を変更し、基本練習に留めるなどの配
慮が必要です。
25
-25-
Q10
A
対外運動競技活動中や休日での部活動実施に伴う登下校中にケガをした場合、
(独)日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象になるのでしょうか。
災害共済給付の対象となる体外運動競技及び休日に行われる部活動(登下校も含
む)は、学校の教育計画上の範囲のものとし、次の要件を満たすものが対象となり
ます。
① あらかじめ学校がその責任において、指導計画を立てて参加又は実施したもの
であること。
② 解散されるまでの間、児童生徒の行動等について、教師の適切な指導が行われ
るものであること。
Q11
部活動中の事故が発生した場合、顧問の責任問題はどのようになるのでしょう
か。
A
顧問に故意又は重大な過失があったときは、その責任が問われますが、適正な指
導計画の下で安全に配慮した指導を行っている場合は、責任は問われません。
Q12
校外の施設に移動する際や対外試合(練習試合を含む)の輸送に、私用自動車
を使うことはできるのでしょうか。
A
私用自動車を対外試合等に使用することは、原則的に禁止しています。
ただし、校長は、一般職員から私用自動車の使用の申出があったときは、次の要
件をすべて満たす場合に、私用自動車の使用を承認することができるものとされて
います。
(平成18年3月31日付け青教県第1484号 県教育長通知)
(平成18年3月31日付け青教義第1334号 県教育長通知)
(1)旅行用務等に照らし、私用自動車の使用がやむを得ないと認められる場合
(2)当該職員が運転免許取得後1年以上である場合
(3)自賠責保険及び任意保険に加入している場合
(4)公用自動車が配置されている所属にあっては、公用自動車を利用できない場合
【考えられる事例】
①電車、バス等の交通機関の不便な地域から出発し、またはそれらの交通機関の
不便な地域に旅行する場合
②旅行目的、時間等に照らし、当該旅行命令に係る事務が自動車を使用しなけれ
ば遂行できない場合、または、自動車を使用しなければ著しく能率が低下する
と認められる場合
なお、私用自動車を公務旅行に使用した場合において、当該私用自動車に故障が
発生し、又は損害を生じても、県教育委員会は、その修理又は弁償の責を負わない
ため、自賠責保険及び職員の加入する任意保険で対応することとなります。
26
-26-
Q13
A
Q14
A
Q15
A
保護者はややもすると試合に勝つことのみを求めがちになる傾向があります
が、本来の部活動の在り方を保護者に理解してもらうためには、どうしたらよい
でしょうか。
保護者に部活動を正しく理解してもらうことは、運営上欠かすことができない大
切なことです。
児童生徒のみならず、保護者の思い、悩み等を把握した上で、部活動の指導方
針、活動計画等の理解を得るため、『部活動だより』の発行や定期的に保護者会を
開催するなどして望ましい部活動の在り方について啓発を図っていく必要がありま
す。
年々、生徒数の減少に伴い、単独校での対外運動競技(大会)への参加が難し
い状況となってきておりますが、そのことに対する国及び県の取組を教えてくだ
さい。
保健体育審議会答申(2000.8)では、生徒数の減少や単独校での実施が困難な小
規模校などの運動部活動においては、近隣の学校と合同で組織し、日常の活動を行
うといった取組とともに、複数校合同の大会参加についての取組を推進する必要が
あるとしています。
なお、中学校体育連盟主催による大会においては、勝利至上主義のためのチーム
編成ではなく、少人数の運動部による単独チーム編成ができないことの救済措置と
して、複数校合同チーム参加規定を定め、参加を認めている種目もあります。
「熱中症」とは、どういうもので、どのように対処したらよいでしょうか。
熱中症とは、暑い環境で生じる障害の総称であり、めまい、失神、脱力、頭痛、
けいれん、意識障害などの様々な症状が見られ、重症の場合は死に至ることもあり
ます。
暑熱環境でのスポーツ活動で起こりますが、急に暑くなった夏の初めに起こるこ
とが多い傾向にあります。基本的には体温の上昇と発汗による水分不足が原因とな
りますので、予防対策として、日頃より水分の補給を含めた暑熱環境下での練習方
法について、指導しておくことが必要です。
(詳細は参考資料参照)
27
-27-
Q16
A
Q17
A
Q18
A
「過呼吸症候群」とは、どういうもので、どのように対処したらよいでしょう
か。
精神的ストレスが原因で呼吸異常が起こり、その結果、様々な症状が現れること
を言います。
女子に多く、トレーニング中に急に呼吸が激しくなり、酸素を吸い過ぎるため、
血中から炭酸ガスが異常に多く排出されることによって、めまい、手、足、口唇な
どのしびれやけいれんなどを起こします。これらの症状でさらに不安が増し、「過
呼吸」となってしまいます。
そのような児童生徒への対処方法として、精神的不安を取り除く「言葉がけ」を
し、ゆっくり呼吸するように指示します。そして、ビニール袋を鼻と口に当て、そ
の中の空気を吸わせることによって、排出した炭酸ガスを再吸入できるので、しだ
いに正常化します。
中学生は、「貧血」を起こす生徒が多いように感じますが、どうしてでしょう
か。
思春期は、体の急速な発育、月経などのホルモン異常、偏食などにより鉄欠乏性
貧血を起こすことが多く、特に女子に多く見られます。
このことから、指導者は、医師の受診断を求めるとともに練習の一環として、栄
養指導を含む体の健康管理についても指導しておくことが大切です。
「燃え尽き症候群」ということばをよく聞きますが、どういうことをいうので
しょうか。
幼少期から一つのスポーツを続けてきた人が、いざこれからという時になって、
そのスポーツがいやになってしまい、離れてしまう現象を一般に「燃え尽き症候
群」といいます。
燃え尽き症候群の発症条件としては、多くのものがありますが、以下はその代表
的なものです。
① 小さいから同じスポーツを続けさせられてきた。
② レギュラー交代などの不安にさいなまされてきた。
③ 権威主義的な指導者のもとにいた。
上記のすべてに共通していることは、スポーツそのものへの興味を失ったのでは
なく、他の事柄(自分の意志に反した強制、苛酷なレギュラー争い、指導者の叱責
や強迫)が強いインパクトとなっていることです。
28
-28-
Q19
A
高等学校と合同で練習したいのですが、留意することがあったら教えてくださ
い。
中学生が高校生と合同で練習を行うことは、交流を図るだけでなく、技術的、精
神的向上にも大きく寄与するものと考えます。
しかしながら、中学生が高校生と同じ質量の練習を続けていくと、発達段階等の
違いから、ややもするとスポーツ傷害を引き起こす可能性もありますので、指導者
は、このことに留意しながら練習計画を組むことが必要です。
また、練習会場及び使用器具、交通手段など、安全に対する配慮ももちろん必要
となります。
- 29 -