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目 次
1 普及に移す技術・品種
ページ
(1) 水稲乾田V溝直播における安定生産のための収量構成要素および幼穂形成期の適正生育量
1
(2) 「シュウレイ」の安定多収のための適正栽植密度
3
(3) 種子生産におけるいもち病ともみ枯細菌病、ばか苗病を防除するための種子消毒法
5
(4) 土壌の健康診断に基づくダイズ茎疫病の対策マニュアルの策定
7
(5) タマネギ苗の葉先枯れ症の原因と防除対策
9
(6) ニンニク品種「上海早生」の種子りん片の植付け深さおよび向きが収量・品質に与える影響
11
(7) ニンニク「上海早生」栽培における収量向上のための花茎の処理方法
13
(8) 無加温ハウスを活用した冬どりレタスの栽培方法
15
(9) リーキの本県栽培および業務実需に適した品種の選定
17
(10) 促成栽培で八重咲きチューリップの花弁数を確保する中温処理開始時期
19
(11) チューリップに発生したTRV新系統とその診断法
21
(12) ニホンナシ「幸水」の摘心処理による生産安定
23
(13) ニホンナシ「あきづき」熟期判定専用カラーチャート
25
(14) ブドウ新品種「クイーンニーナ」の特性
(15) 性選別精液活用による受精卵生産技術の確立
27
29
(16) 繁殖性を改良した新系統豚「タテヤマヨークⅡ」の造成
31
2 普及上参考となる技術
(1) 育苗労力を軽減する軽量培土の特徴と留意点
33
(2) 水稲乾田V溝直播栽培における気温によるノビエの葉齢推定法
35
(3) 水稲乾田V溝直播栽培における生育量不足改善に向けた追肥時期
37
(4) 県下水田土壌の変化と実態(7巡目調査結果)
39
(5) ダイズ黒根腐病の発生が収量と品質に及ぼす影響
41
(6) 春まきタマネギの貯蔵病害の発病温度特性
43
(7) 赤ネットによるアザミウマ類の侵入抑制効果
45
(8) 秋まきタマネギの球重確保に向けた生育指標と追肥時期
47
(9) 春播きニンジンの不織布べたがけによる早期収穫および収量の向上
49
(10) EOD反応を活用してチューリップの促成切り花長を伸ばせる
51
(11) 球根掘取り直後の高温処理がチューリップの花芽分化に与える効果
53
(12) リンゴ「ふじ」の蜜入り優良系統
55
(13) リンゴ「ふじ」のホウ素欠乏症状の発生を防止するホウ砂の葉面散布
57
(14) リンゴ中生品種「シナノドルチェ」の特性
59
(15) 乾乳前期における栄養水準の抑制は分娩後の繁殖機能の回復を早める
61
(16) 肥育後期牛への飼料用米多給と生稲わらサイレージの給与で国産飼料の安定供給が可能
63
3 これまでの普及に移す技術・品種及び普及上参考となる技術 65
平成15年度~平成24年度
4 写真
75
○普及に移す技術
[タイトル]水稲乾田V溝直播における安定生産のための収量構成要素および幼穂形成期の適正生育量
[要約]コシヒカリの乾田V溝直播における安定生産のための着粒数は 27,000 粒/㎡、穂数は 340 本/㎡で
ある。着粒数 27,000 粒/㎡を確保するための幼穂形成期の目安は、草丈 70cm、茎数 450 本/㎡、群落葉色
3.9 であり、生育量は 123,000 である。
[キーワード]乾田V溝直播、コシヒカリ、㎡当たり着粒数、登熟歩合、穂数、幼穂形成期、生育量
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・栽培課
[連絡先]電話 076-429-5280
[背景・ねらい]
乾田V溝直播栽培は「作期および作業分散」
、
「耐倒伏性」
、
「鳥害回避」等の長所を有するため、富山県
における栽培面積は年々増加し、2013 年度は約 313ha となっている。本県における安定生産に向け、2010
年に乾田V溝直播栽培の適正着粒数の指標を示したが、2011 年から新たな肥効調節型全量基肥(LPs40:
LP70:LPss 直播用=2.5:2.5:5)に切り替わり、肥料成分の発現時期が異なることにより、生育パター
ンや目標となる収量構成要素が異なることが想定された。加えて、これまで目標とする収量構成要素に誘
導するための幼穂形成期の適正生育量についても明らかになっていない。そこで、コシヒカリの乾田V溝
直播における安定生産のための収量構成要素および幼穂形成期の適正生育量の目安を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 着粒数が 20,000~38,000 粒/㎡の範囲では、着粒数が多いほど収量は増加する(図 1)
。また、着粒数
が多いほど登熟歩合は低下する(図 2)
。
2 2011 年から普及している乾田V溝直播栽培専用の肥料を用いた場合においても、移植栽培並の収量
540kg/10a および登熟歩合 85%を確保するための着粒数は 27,000 粒/㎡であり(図 1、2)
、この着粒
数を確保するための穂数は 340 本/㎡で、以前の配合比の肥料での収量構成要素とほぼ同程度となる
(図 3、表)
。
3 また、幼穂形成期の生育量(草丈×茎数×群落葉色)と㎡当たり着粒数、また、幼穂形成期の茎数と
穂数には正の相関が認められ(図 4、5)
、着粒数 27,000 粒/㎡、穂数 340 本/㎡を確保するための幼穂
形成期の適正生育の目安は、草丈 70cm、茎数 450 本/㎡、群落葉色 3.9 であり、生育量は 123,000 で
ある。
[成果の活用面・留意点]
1 富山県内のコシヒカリの乾田V溝直播栽培に活用できる。
2 本成果は代かきを前年の 11 月に行い、播種期が 4 月 20 日頃で、播種量が 2.6~8.6kg/10a、基肥とし
て肥効調節型全量基肥を窒素成分で 6.5~11.5kg/10a 施用した結果である。
3 目標の収量構成要素および生育量に誘導するために、播種量は 6~8kg/10a、基肥窒素施用量は
10kg/10a を目安とする。
― 1 ―
[具体的データ]
700
650
600
550
500
450
85
80
75
70
65
400
200
250
300
350
㎡当たり着粒数(×100粒/㎡)
400
2011少肥
2011
2012
2013
380
360
340
300
280
260
240
220
200
300
350
400
穂数(本/㎡)
200
250
300
350
㎡当たり着粒数(×100粒/㎡)
450
500
400
図 2 ㎡当たり着粒数と登熟歩合の関係(2011~2013)
注)穂肥相当の窒素施用量 図 1 と同じ。
表 収量構成要素の目安
項目
収量
(kg/10a)
穂数
(本/㎡)
1穂着粒数
(粒/穂)
㎡当たり着粒数 (×百粒/㎡)
登熟歩合
(%)
千粒重
(g)
320
250
60
400
図 1 ㎡当たり着粒数と収量の関係(2011~2013)
注)穂肥相当の窒素施用量 2011 少肥:3.2kg/10a、
2011~2013:5.3~5.7kg/10a
㎡当たり着粒数(×100粒/㎡)
2011少肥
2011
2012
2013
90
登熟歩合(%)
収量(kg/10a)
95
2011少肥
2011
2012
2013
現肥料
540
340
80
270
85
23.5
旧肥料
540
340
80
270
83
24.0
注)現肥料 LPs40:LP70:LPss 直播用=2.5:2.5:5、
旧肥料 LP40:LPs40:LPss 直播用=2:2:6
図 3 穂数と㎡当たり着粒数の関係(2011~2013)
注)穂肥相当の窒素施用量 図 1 と同じ
500
生観2011
生観2012
生観2013
農研2011
農研2012
農研2013
360
340
320
生観2011
生観2012
生観2013
農研2011
農研2012
農研2013
450
穂数(本/㎡)
㎡当たり着粒数(×100粒/㎡)
380
300
280
260
240
400
350
300
220
250
200
50
350
100
150
200
250
幼穂形成期の生育量(×1000)
図 4 幼穂形成期の生育量と㎡当たり
着粒数の関係(2011~2013)
400 450 500 550 600
幼穂形成期の茎数(本/㎡)
650
図 5 幼穂形成期の茎数と穂数の関係
(2011~2013)
[その他]
研究課題名:乾田V溝直播の安定栽培技術の確立
予 算 区 分:県単(革新技術開発普及事業)
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:野村幹雄、長岡 令、中山拓也(元・農研)
、高橋 渉
発表論文等:なし
― 2 ―
○普及に移す技術
[タイトル]
「シュウレイ」の安定多収のための適正栽植密度
[要約]
「シュウレイ」において、稔実粒数を確保するための総節数は 450 節/㎡以上である。また、その
節数を確保し、高位安定生産を実現するための適正栽植密度は 12~15 本/㎡である。
[キーワード]大豆、シュウレイ、栽植密度、総節数、収量
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・栽培課
[連絡先]電話 076-429-5280
[背景・ねらい]
県では平成 23 年度から大豆品種
「シュウレイ」
を奨励品種とし、
大豆の安定多収や収穫時期の分散を図っ
てきている。
「シュウレイ」は、
「エンレイ」に比べ裂皮粒が発生しやすいが、成熟期が5日程度遅く、大
粒でしわ粒が少ない。また、自然落下損失は少なく、刈取適期は長くなる(H24 成果と普及)などの特
徴があり、今後さらに作付面積を拡大していくために、高位安定生産に向けた栽培技術の確立が求められ
ている。そこで、
「シュウレイ」の安定した収量を確保するための栽植密度を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 栽植密度を高くすることにより、総節数が多くなる(図1)
。
2 総節数が 500 節/㎡までは、総節数が多くなると稔実粒数が増え、450 節/㎡以上確保することにより、
安定収量に結びつく稔実粒数 1100~1200 粒/㎡を確保できる。一方、総節数が 600 節/㎡を上回ると、
稔実粒数は減少する(図2)
。
3 総節数を 450 節/㎡以上確保するための栽植密度は、12 本/㎡以上である(図3)
。
4 栽植密度が 15 本/㎡を上回ると、百粒重は低下する(図4)
。
5 安定した収量を確保できるのは、栽植密度が 12~15 本/㎡である。なお、栽植密度と裂皮粒発生率の
関係はみられない(図5)
。
6 以上のことから、
「シュウレイ」における高位安定生産のための適正栽植密度は 12~15 本/㎡である。
[成果の活用面・留意点]
1 県内の「シュウレイ」栽培に活用できる。
2 本試験の播種時期は 6 月上旬、80cm 条間、基肥は窒素成分で 2.5~3.4kg/10a 施用した結果である。
3 栽植密度を高くすると、過繁茂となり、結実率の低下を招き、1 莢粒数の減少につながる。
― 3 ―
[具体的データ]
800
1300
稔実粒数(粒/㎡)
1200
600
1100
500
2012
2013
2012生観
2013生観
1000
400
900
300 400 500 600 700 800
総節数(節/㎡)
300
9 13 17 19 22
8 12 1
15 10 15 17 22 24 26
2011年 2012年 2013年
栽植密度(本/㎡)
図1 栽植密度と総節数の関係(2011-2013)
図2 総節数と稔実粒数の関係(2012-2013)
34
800
33
700
32
百粒重(g)
総節数(節/㎡)
600
500
31
30
2012
2013
2012生観
2013生観
400
300
5
10 15 20 25
栽植密度(本/㎡)
29
28
9 13 17 19 22
30
38
1
10 15 17 22 24 26
図4 栽植密度と百粒重の関係(2011-2013)
42
40
8 12 15 2011年 2012年 2013年
栽植密度(本/㎡)
図3 栽植密度と総節数の関係(2012-2013)
30
精子実重
裂皮粒発生率
25
20
34
32
15
30
28
10
裂皮粒発生率(%)
36
精子実重(kg/a)
総節数(節/ ㎡)
700
26
24
5
22
20
0
9 13 17 19 22
8 12 15
10 15 17 22 24 26
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
2011年 2012年 2013年
栽植密度(本/㎡)
図5 栽植密度と精子実重および裂皮粒発生率の関係(2011-2013)
[その他]
研究課題名:畑作物生産力高度化試験、農地の高度利用に向けた麦あと大豆の安定栽培技術の確立
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:長岡 令、野村幹雄、中山拓也(元・農研)
、吉田 稔、中村一要(農産食品課)
発表論文等:野村ら(2012)北陸作物・育種学会 第 49 回講演会発表
― 4 ―
○普及に移す技術
[タイトル]種子生産におけるいもち病ともみ枯細菌病、ばか苗病を防除するための種子消毒法
[要約]いもち病に対し、ベンレート水和剤、モミガード C・DF の効果が高い。テクリード C フロ
アブルとシードラック水和剤を混用することで、もみ枯細菌病とばか苗病の同時防除が可能であ
る。また、もみ枯細菌病については、播種時にカスミン液剤およびイソチアニル剤含有箱施薬剤を
施用することでより高い効果が得られる。
[キーワード]イネ、種子生産、いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病、種子消毒、箱処理剤
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・病理昆虫課、育種課
[連絡先]電話 076-429-5249
[背景・ねらい]
近年、西日本各地で QoI 剤耐性いもち病菌の報告が相次ぎ、主要な種子生産地である本県では「耐
性菌を発生させない・持ち込ませない対策」が急務となっている。また、近年増加傾向にあるもみ枯
細菌病とばか苗病について、現在の種子消毒法よりも安定した防除法の確立が必要となっている。そ
こで、これら病害に対する効果的な種子消毒法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 いもち病に対して、ベンレート水和剤、モミガード C・DF で通常使用濃度の 1/50 濃度において
も高い防除効果が得られる。両剤を混用することにより、その効果は高まる(図 1)
。
2 いもち病に対して、テクリード C フロアブル及びシードラック水和剤では希釈すると防除効果が
低下するが、それぞれベンレート水和剤、モミガード C・DF と混用することで十分な効果が得
られる(図 1)
。
3 もみ枯細菌病に対してはシードラック水和剤の効果が高く、ばか苗病に対してはテクリード C フ
ロアブルの効果が高い。種子消毒時に両剤を混用することで両病害に対して高い防除効果が得ら
れる(図 2)
。
4 もみ枯細菌病に対して、は種時にカスミン液剤およびイソチアニル含有箱施薬剤を組み合わせて
施用することによって、防除効果が安定する(図 3)
。
5 種子消毒にシードラック水和剤を使用すると、発芽率がやや低下する(表)
。
[成果の活用面・留意点]
1 健全種子生産の指針として活用される。
2 いもち病の汚染が特に懸念される種子には、モミガード C・DF を使用するか、テクリード C フ
ロアブルにベンレート水和剤を混用する。
3 もみ枯細菌病の発生が特に懸念される種子には、DMI 剤等にシードラック水和剤を混用する。
4 シードラック水和剤を使用する場合は、発芽が遅れたり発芽率が低下することを考慮する。
― 5 ―
50 40 30 20 10 0 通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
通常
1/5
1/25
1/50
1/100
分生子形成率(%)
[具体的データ]
無
処
理
ベンレート
テクリードC
モミガードC
シードラック
テクリードC
+
ベンレート
テクリードC
+
シードラック
モミガードC
+
ベンレート
モミガードC
+
シードラック
図 1 各種種子消毒剤の希釈濃度別のいもち病菌分生子形成率
※ベンレート水和剤:通常濃度 500 倍希釈、テクリード C フロアブル:通常濃度 200 倍希釈
モミガード C・DF:通常濃度 200 倍希釈、シードラック水和剤:通常濃度 400 倍希釈
※試験方法:24 時間薬液に浸漬後、15℃で約 5 日間浸種したのちブロッター法で種子表面の分生子形成率を調査。
表 浸種前の各薬剤浸漬が発芽に及ぼす影響
無処理
無処理
40.9
TC+Ag 9.0 Ag
もみ枯細菌病TC+Ag 1.7
Ag
2.1
TC
68.0 0 100
ばか苗病
14.9
TC
2.3
20 40 60 80 100 0
20
40
60
80 100
発病苗率
発病度
図 2 各種薬剤のもみ枯細菌病およびばか苗病に
対する防除効果
※( )内は、発芽した種子のうち生育が遅いもの
※Be:ベンレート水和剤、MC:モミガード C・DF
TC:テクリード C フロアブル
Ag:シードラック水和剤
※TC:テクリード C フロアブル、Ag:シードラック水和剤
※浸種前 24 時間処理
浸種前
無処理
Be
Ag
TC
MC
Ag + TC
TC + Be
Ag + TC + Be
Ag + MC
MC + Be
Ag + MC + Be
発芽率(%)
97.3 (18.8)
98.9 (16.8)
90.6 (39.5)
98.7 (20.5)
98.9 (23.0)
94.4 (34.0)
99.2 (24.4)
92.1 (30.4)
94.4 (21.1)
97.9 (12.6)
94.1 (28.8)
は種時
無処理
TC
TC
無処理
1.9 TC
KSM
10.9 TC+KSM
0.9 TC
イソチアニル
TC+イソチア…
TC
KSM イソチアニル
TC+KSM+…
2.7 0.2 TC+Ag
TC Ag
イソチアニル
TC+Ag+…
TC Ag
もみ枯細菌病の発生に及ぼす影響
0.6 TC+Ag+… 0.1 TC Ag
KSM
TC Ag
TC+Ag+…
KSM イソチアニル
0.0 0 [その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
図 3 各種薬剤の種子処理、は種時処理が
1.5 5 10 15 発病度
水稲健全種籾生産技術の開発
県単
2013 年度(2012~2013 年度)
田村美佳、守川俊幸、木谷吉則、岩田忠康
なし
― 6 ―
※TC:テクリード C フロアブル
Ag:シードラック水和剤
KSM:カスミン液剤(5 倍希釈液 50ml/箱)
イソチアニル:ツインターボフェルテラ箱粒剤
(50g/箱)
○普及に移す技術
[タイトル]土壌の健康診断に基づくダイズ茎疫病の対策マニュアルの策定
[要約]排水性や過去の発生、土壌 pH などの診断項目から、茎疫病の発病ポテンシャルを推定
し、リスクに応じた防除強度を設定できる対策マニュアルを策定した。
[キーワード]ダイズ、茎疫病、発病ポテンシャル、対策マニュアル
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・病理昆虫課
[協力機関]農業環境技術研究所
[連絡先]電話 076-429-5249
[背景・ねらい]
土壌病害を合理的に管理するには、土壌の健康状態に応じた防除(治療)強度を設定する必要
があり、このような概念を HeSoDiM(Health checkup based Soil–borne Disease Management)
と呼ぶ(Tsushima ら,2012)。ダイズ茎疫病については、近年、種子処理剤などの防除メニュー
はそろってきたが、防除実施上の指標はなく、さらに排水対策などの栽培管理技術の最適化が本
病防除の基礎であることから、これらを加味した HeSoDiM(図)に基づく対策マニュアルを策
定する。
[成果の内容・特徴]
1
本マニュアルでは、ダイズ茎疫病の発生生態や耕種的防除法、薬剤防除法を紹介するととも
に、診断の項目、発病ポテンシャル推定法とこれに応じた防除対策が提示されている(図)
。
2
診断項目は、①過去および地域の発生、②圃場の排水性(降雨後の停滞水の状況)、③播種様
式(平床、畝立)、④土壌 pH、⑤土壌群、⑥土壌の生物性(PCR-DGGE 法)の計 6 項目
とする(表1)。
3
上記 6 項目のうち、判定可能な項目について 0~3 までのリスク値を決定し、そのリスク値を
積算して診断項目数で割ることにより、発病ポテンシャル(0~3)を算出する(表 1)。
4
防除対策は、圃場の排水対策、播種深度の適正化、石灰質資材の施用を基本防除とし、次に
発病ポテンシャルに応じた防除強度の設定を行う。なお、薬剤の生育期散布は、発生した場
合の随時防除となる(表 2)。
[成果の活用面・留意点]
1
本病を合理的に制御し、生産性を向上させるための資料として活用する。
2
診断項目ごとのリスク値を知ることにより、改善すべき問題点が抽出される。
3
すべての項目を診断する必要はないが、項目数が多いほど正確な発病ポテンシャルを予想で
きる。
今後、各診断項目の重要性(寄与度)に応じて係数を与えることにより、信頼性が向上する
と期待される。
4
― 7 ―
[具体的データ]
土壌の健康診断に基づく
「ダイズ茎疫病」対策マニュアル
ステップ1:診断表による現状の発病ポテンシャルの推定
平成26年1月
富山県農林水産総合技術センター
農業研究所
1.はじめに
多発要因の理解
改善可能な項目の対策を実施
ダイズは水田の転作作物として特
に重要な品目となっていますが、
水田転換畑は排水不良となりやす
く、停滞水を好む「茎疫病」が大
きな問題になります。一方、ダイ
ズの収益性を高めるには、コスト
をかけない防除の組み立てが必要
です。そのためには、発生のリス
クに応じた、防除強度を設定して、
ムダの無い必要な防除を行う仕組
みが必要です。
2.茎疫病とは
比較
分析
改善可能な診断項目:圃場の排水性の向上(暗渠・明渠)
播種様式(平畦→畦立播種)
土壌pH(石灰質資材の施用)
健康状態の
改善につな
がる思考
ステップ2:改善を加えた後の発病ポテンシャルの推定
土中で4年以上生存
水中を遊泳
卵胞子
卵胞子から発芽した遊
走子のう
遊走子のうから放
出された遊走子
ステップ3:発病ポテンシャル応じた防除メニューの選定と実施
生育初期に発病し、欠株の目立つ圃場
感染、発病した株
ダイズ茎疫病は、Phytophthora sojaeという卵菌類の一種によって引き起こ
される病害で、卵胞子の状態で長期間土壌に残存し、伝染源になります。ダイ
ズあるいは一部のマメ科植物にのみ感染し、水田転換畑では、水稲作付け期間
中は土壌中で休眠状態にあると推定されます。卵胞子あるいは罹病組織から遊
走子のうを形成し、そこから多数の遊走子を放出して、感染、被害が拡大しま
す。この遊走子は水中を遊泳して植物体に到達するため、本病の発生と拡大に
は一定期間の停滞水が必要です。このことが、排水不良な圃場で本病の発生が
多くなる原因となっています。
1
ステップ4:栽培後の対策の評価、次年度へのフィードバック
図
表1
マニュアル(全 10 ページ)と HeSoDiM に
基づく病害管理の流れ
発病ポテンシャルを推定するための診断票
リスク値
診 断 項 目
1
0
過去および地域の発生
(発病株率)
1
無
(1) 茎挿し法による検出
2
該当するリスク値を入力
2
3
小
(1-5%)
中~多
(6%以上)
無
圃場の排水性
(30mm以上のまとまった降雨後
畝間の停滞水がほぼ消失するまでの日数)
不明な項目は空欄
→
有
良
中
やや不良
不良
(0日)
(1日)
(2日)
(3日以上)
→
3
播種様式
畝立播種
4
土壌pH
6.5以上
5
土壌群
黒ボク土
6
生物性
豊富
6.0-6.4
中間
平床播種
→
5.5-5.9
5.0~5.4
→
灰色低地土
グライ土
→
乏しい
→
リスク値の合計
A
項目数
B
発病ポテンシャル =A÷B
表2
発病ポテンシャルに応じた防除メニューの選定(生育初期の茎疫病対策)
基本防除
排水対策、播種深度の適正化、石灰質資材の施用
↓
発病ポテンシャル
発病ポテンシャルに
応じた防除
防除メニュー
2.6以上
作目の変更
1.7~2.5
畝立播種+種子処理剤、畝立播種+亜りん酸施用
0.8~1.6
いずれかから選択(種子処理剤、畦立播種、亜りん酸施用)
0~0.7
防除対策不要
↓
薬剤の生育期散布
発生状況に応じて随時防除を実施
[その他]
研究課題名:土壌診断法を活用したダイズ立枯性病害の防除技術の開発
予 算 区 分:受託(農林水産省委託プロジェクト研究「気候変動に対応した循環型食料生産等
の確立のためのプロジェクト」)
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:守川俊幸、田村美佳
発表論文等:なし
― 8 ―
○普及に移す技術
[タイトル]タマネギ苗の葉先枯れ症の原因と防除対策
[要約]剪葉後のタマネギ苗に生じる伝染性の葉先枯れ症は、細菌の一種 Pantoea ananatis に起
因する。本病は汚染した刃物で伝染するが、刃物は洗浄後にアルコール消毒することにより除
菌できる。剪葉の前日~剪葉直後の殺菌剤散布に防除効果が認められる。
[キーワード]タマネギ苗、剪葉、葉先枯、Pantoea ananatis、刃物伝染、防除法
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・病理昆虫課
[連絡先]電話 076-429-5249
[背景・ねらい]
タマネギのセルトレイ育苗では、育苗中の倒伏防止と機械定植の作業性の向上を目的に、数度
の剪葉が実施されている。この剪葉後に急速に切り口から白く枯れ上がる被害が発生している。
そこで、その原因と対策を明らかにし、タマネギ苗の生産技術の向上を図る。
[成果の内容・特徴]
1
剪葉後に切り口から進展する葉先枯れ症状は、剪葉機の進行方向に沿って発病する(図 1)。
2
患部からは分離された黄色コロニーを形成する病原細菌は、生理学的性質および 16S rDNA
の塩基配列の相同性から Pantoea ananatis と同定される(データ略)
。
3
病原細菌で汚染した刃物で本病は伝染する(表 1、図 2)。
4
汚染した刃物の除菌は、洗浄のみでは不十分で、洗浄後にアルコール製剤(食品添加物、68%
エタノール含有)を噴霧することにより除菌できる(表 2)。
5
軟腐病の防除薬剤を剪葉前日~剪葉直後の間に散布すると、本症状の発生が著しく減少する
(図 3)。
[成果の活用面・留意点]
1
セルトレイ育苗中の細菌性病害の防除対策として活用する。
2
消毒に用いるアルコール製剤は、食器等の消毒用で食品添加物の標記があるものを用いる。
3
2013 年 12 月の時点でアグリマシイン-1000 水和剤とナレート水和剤は軟腐病に登録がある
が、本病への適用はない。
4
病原細菌 Pantoea ananatis は、種子伝染することが知られているが、稲わら、籾殻にも普
遍的に生息することから、育苗施設におけるこれら伝染源の撤去等の衛生管理を徹底する。
5
発病苗を定植した場合、本圃の葉枯症や貯蔵中の鱗茎腐敗が発生するリスクが高いので注意
する。
― 9 ―
[具体的データ]
表1 刃物による伝染試験
発病株数/供試株数
試験1
試験2
汚染ハサミ
12/12
10/12
非汚染ハサミ
0/12
0/12
注)発病株と健全株をそれぞれ切除したハサミ
(汚染ハサミおよび非汚染ハサミ)で剪葉した
苗の発病を剪葉1週間後に調査
図1
図2
剪葉後に発生した葉先枯れ症状
刃物による伝染
右:汚染ハサミ
左:非汚染ハサミ
(現地育苗ハウス、剪葉機の進行方向に
沿って発病)
表2 ハサミの洗浄・消毒がPantoea ananatis の残存に及ぼす影響
残存菌数(cfu/ハサミ)
対無処理比
処理
1
2
3
平均
無処理
6,160,000 9,240,000 2,660,000 6,020,000
洗浄
749,000
511,000
518,000
592,667
1/ 10
洗浄+アルコール消毒
2,100
3,150
0
1,750
1/ 3,440
アルコール消毒
133,000
20,650
5,600
53,083
1/ 113
注)発病葉磨砕液をハサミに塗沫し、24 時間後に除菌処理を行った。洗浄:流水中で洗浄、
アルコール消毒:アルコール製剤(食品添加物、68%エタノール含有)を噴霧。除菌処理
後のハサミは滅菌水中で超音波処理(20 秒間)し、NSVC-In 培地を用いて液中の病原菌濃
度を測定。
薬剤と散布時期
翌日
直後
コサイド3000
1000倍
前日
翌日
ナレートW
1000倍
アグリマイシン
1000倍
無処理
翌日
直後
前日
直後
前日
0
図3
20
40 60 80 100
発病株率(%)
苗の剪葉時の薬剤散布が P. ananatis による葉先枯れ症の発生に及ぼす影響
注)病原細菌に汚染されたハサミで剪葉
[その他]
研究課題名:東北・北陸地域における新作型開発によるタマネギの端境期生産体系の確立
予 算 区 分 :受託(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「東北・北陸地域における新
作型開発によるタマネギの端境期生産体系の確立」)
研 究 期 間:2013 年度(2012~2014 年度)
研究担当者:守川俊幸、田村美佳、宮元史登(砺波農振セ)
発表論文等:なし
― 10 ―
○普及に移す技術
[タイトル]ニンニク品種「上海早生」の種子りん片の植付け深さおよび向きが収量・品質に与える
影響
[要約]ニンニクは種子りん片の植付け深さが浅いほど多収となるが、緑化球が発生しやすくなる。
また、植付け向きは収穫時のりん茎の形状に影響する。高品質のニンニクを生産するためには、種
子りん片を深さ 10cm、上向きに植えつけ、緑化球と変形球の発生を防止する。
[キーワード]ニンニク、上海早生、植付け 緑化、変形
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・野菜課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
ニンニク品種「上海早生」の種子りん片の植付け深さ・方向と収量・品質との関係について具体的
な報告が無いことから、収量・品質向上対策のため、その影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 種子りん片の植付け深さは、収量・品質に影響し、植付け深さが浅いほど球径・球重ともに大き
くなり多収となる。しかし、植付けの深さが 7cm より浅い場合は、りん茎が肥大とともに地上に
露出しやすくなり、緑化球の発生頻度が高くなる(表 1、図 1)。
2 種子りん片の植付け方向は収量に影響し、下向きに植えると球重が軽く、収量は減少する。品質
面での影響は、横・下向き植付けはりん茎が傾いた変形球が発生する(表 2、図 2)。
3 横向き植付けで最も多く発生する変形球は斜めに傾いたりん茎であり、下向き植付けでは、横向
きりん茎が最も多くなることから、ニンニクには植付け時の種子りん片の傾きを生育期間中に、
ある程度上方向へ修正する働きがあると考えられる(表 2、図 2)。
[成果の活用面・留意点]
1 本県におけるニンニク栽培の品質向上対策として活用できる。
2 栽培はマルチ無で、肥料は分施で行った。
3 植付け深さは、植付け時のりん片上部から畝面までの高さである。
― 11 ―
[具体的データ]
表 1 植付け深さが収量・品質に及ぼす影響(収穫時)
植付け深さ
(cm)
3
5
7
10
草丈 生葉 全重 球径 球重
(cm) (枚) (g) (mm) (gFW)
87.4 2.5
87.8 2.5
89.2 2.5
89.8 2.8
126
122
120
121
59.0 86.0
56.6 82.1
55.3 80.2
53.7 77.5
理論収量
(kgFW/10a)
1,434
1,369
1,337
1,292
品質(%)
緑化 裂球
88.3
51.8
15.4
0
0
0
0
0
植付け深さ:植付け時のりん片上部から畝面までの高さ
植付け:2012 年 10 月 19 日、収穫:2013 年 6 月 18 日 栽植密度:4 条、条間 24cm,株間 15cm マルチ無
施肥:基肥 N-P2O5-K2O=9-9-9(kg/10a)
,追肥 3/19:N-P2O5-K2O=4.8-0-4.8(kg/10a)
,4/1:N-P2O5-K2O=4.5-4.2-3.0(kg/10a)
図 1 左:畦中から露出した鱗茎(植付深さ 3cm) 右:緑化球(植付深さ 3cm)
表 2 植付方向が収量・品質に及ぼす影響(収穫時)
植付け 植付深さ 草丈 生葉数 全重 球径 球重
理論収量
方向
(cm) (cm) (枚) (g) (mm) (gFW) (kgFW/10a)
横
10
89.1 2.6 120 53.4 79.6
1,326
下
10
85.1 2.8 100 50.4 66.9
1,040
下
5
95.6 2.6 112 56.0 77.2
1,287
上
10
89.8 2.8 121 53.7 77.5
1,292
りん茎の品質・形状割合(%)
斜め 横
下 緑化 裂球
70.0 1.7
0
0
0
5.4 53.6 39.3 0
0
16.7 58.3 23.3 6.7
0
0
0
0
0
0
※りん茎の形状の斜め・横・下は,図 2 の示すとおり。
植付:2012 年 10 月 19 日、収穫:2013 年 6 月 18 日 栽植密度:4 条、条間 24cm,株間 15cm マルチ無
施肥:基肥 N-P2O5-K2O=9-9-9(kg/10a)
,追肥 3/19:N-P2O5-K2O=4.8-0-4.8(kg/10a)
,4/1:N-P2O5-K2O=4.5-4.2-3.0(kg/10a)
斜め
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
横
図 2 変形球の形状
ニンジン、ニンニク等の安定生産技術の開発
県単
2013 年度(2012~2014 年度)
野原茂樹、西畑秀次、岡田 功
なし
― 12 ―
下
○普及に移す技術
[タイトル]ニンニク「上海早生」栽培における収量向上のための花茎の処理方法
[要約]ニンニク「上海早生」の花茎伸長後に総ほうだけを除去すると、りん片と珠芽との肥大の競
合を避けることができ、さらに、花茎のソース能(光合成)及びシンク能(貯蔵)を活かすことが
できることから、この処理方法は、りん茎の肥大確保に有効である
[キーワード]ニンニク、上海早生、花茎、総ほう、りん茎
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・野菜課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
抽だい性が完全となる中緯度型品種の栽培では、花茎を放任すると減収につながるため早めに花茎
を摘除することが各地の栽培技術として定着しているが、花茎摘除の方法や効果についての知見は乏
しい。そこで、花茎の摘除時期や位置がりん茎肥大に及ぼす影響についても検討を行った。
[成果の内容・特徴]
1.花茎の処理方法(図1)は、収穫時りん茎重(収量)に影響し、種子りん片重 5g未満では、花
茎を放任すると顕著に収穫時りん茎重が小さくなる。種子りん片重 5g以上では、花茎処理方法
による収量への影響は小さい。種子りん片重 4g未満では、花茎伸長完了後に花茎を下部から摘
除すると、総ほうだけの摘除に比べてりん茎重が小さくなる(表1)。
2.花茎を放任すると、珠芽の肥大に伴って総ほうの保持のため花茎に乾物が蓄積し、花茎が太く硬
くなる。さらに、珠芽の肥大とりん片の肥大は競合する。一方、総ほうを除去すると、保持が不
要となることから、花茎への乾物蓄積は起こらない(図2、図3)
。
3.収穫時の総乾物重は、花茎放任区と総ほう摘除区が同等で、総ほうと花茎を摘除した花茎収穫区
では小さくなること、りん片重は総ほう摘除区が大きく、総ほうと花茎を摘除すると小さくなる
ことから、花茎にソース能(光合成)があると思われる。また、りん片肥大最盛期には花茎の乾
物重が若干低下することから、花茎にシンク能(貯蔵)があると思われる(図4)
。
4.以上、花茎は伸長後に総ほうだけを除去するとことで、りん片と珠芽との肥大の競合を避けると
ともに、花茎のソース能(光合成)およびシンク能(貯蔵)を活用でき、高い収量が得られる。
[成果の活用面・留意点]
1 当成果は、中緯度型の上海系品種「上海早生」に適用できる。
[具体的データ]
図1 花茎の処理区
― 13 ―
表1 花茎摘除方法と収穫時りん茎重(g)
花茎処理方法
花茎放任
花茎伸長前摘除
花茎伸長後花茎収穫
花茎伸長後総ほう摘除
種子りん片重
3g~4g
4g~5g
3g未満
30.85 b
61.1 bc
72.5
34.11 ab
60.85 c
83.86
32.98 b
67.74 b
93.56
39.21 a
76.26 a
95.34
c
b
a
a
5g以上
97.77
100.25
97.32
99.7
同列同アルファベットは5%レベルで有意差無し
品種:「上海早生」
植付け日:2011年10月21日、収穫日:2012年6月21日
図4 異なる花茎処理が総乾物重に及ぼす影響
[その他]
研究課題名:
予算区分 :
研究期間 :
研究担当者:
発表論文等:
ニンジン、ニンニク等の安定生産技術の開発
県単(革新)
2013 年(2012~2014 年度)
西畑秀次、岡田 功、野原茂樹、浅井雅美
平成 25 年度園芸学会北陸支部大会講演要旨.P32
富山県農林水産総合技術センター園芸研究所研究報告第4号.25-31
― 14 ―
a
a
a
a
○普及に移す技術
[タイトル]無加温ハウスを活用した冬どりレタスの栽培方法
[要約]レタス品種「インカム」「しずか」「トリガー」を 9 月中下旬に播種し、無加温ハウスで
栽培すると 1 月~2 月に収穫できる。
[キーワード]レタス 無加温ハウス 冬どり
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・野菜課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
レタスは年間を通して需要がある品目で、県内では露地で春まき、夏まき、秋まき栽培が可能
であるが、降雪があることから露地での秋まき冬どりレタス栽培は不可能であり生産されていな
い。そこで、冬期に使用されていない水稲育苗ハウスを活用した冬どりレタスの栽培方法を検討
する。
[成果の内容・特徴]
1.9 月中旬から下旬に播種すると 1 月~2 月にレタスが収穫できる。9 月上旬までの播種では 11
月中に収穫となり、冬どり用品種ではハウス内の高温により抽だいする可能性が高い。10 月
上旬の播種では収穫が 3 月となり、水稲育苗作業と競合する(図1)。
2.定植から収穫までの日積算温度(畝上 30cm)は約 900℃である(表1)。
3.品種は「インカム」
「しずか」「トリガー」が無加温ハウス栽培でも調製重が確保でき、形状
が良好である(表2)。
4.不織布のべたがけによりレタスの生育は早くなるが、過湿による腐敗と高温・遮光による奇
形が多くなる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1.本試験では 200 穴セルトレイで育苗した。栽植密度は畝幅 70cm、株間 30cm、2 条植え(720
株/1a ハウス)とし、かん水は点滴かん水チューブで行った。
2.冬季のハウス内は過湿状態になりやすく、晴天日の日中に換気を行うとともに、11、12 月に
細菌病に対する予防のための防除を徹底する。
3.野鼠による食害発生が懸念される場合は対策を講じる。
[具体的データ]
図1
無加温ハウス栽培における冬どりレタスの播種日と収穫時期
― 15 ―
表1 2011~2013 年度のレタスの栽培期間と積算温度(畝上 30cm)
2011年度
播種日
9月20日
9月25日
定植日
10月19日 10月25日
収穫日
12月22日
1月30日
播種後収穫までの日数
93
127
定植後収穫までの日数
64
97
定植後収穫までの積算温度
861
866
*2011年は黒マルチ栽培、2012年、2013年は無マルチ栽培
2012年度
9月18日
9月25日
10月16日
10月23日
1月31日
2月18日
135
146
107
118
910
924
表2 収穫時のレタスの生育(2012 年)
表3 不織布のべたがけの影響(2013 年)
* 腐敗率は菌核病と斑点細菌病による
* 播種日:9 月 18 日、定植日:10 月 10 日、収穫日:1 月 10 日
* べたがけ資材:パオパオ 90、べたがけ期間:11 月 11 日~収穫日
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
加工・業務需要に対応した野菜安定生産技術の開発
県単
2011~2013 年度
浅井雅美
なし
― 16 ―
2013年度
9月18日
10月10日
1月10日
114
92
892
○普及に移す技術
[タイトル]リーキの本県栽培および業務実需に適した品種の選定
[要約]本県の水田転換畑におけるリーキ栽培は、秋冬作型で可能である。肥大が良く、良食味で業
務実需の評価が高い「ラリー」が優れる。
[キーワード]リーキ,水田転換畑,秋冬作型、ラリー
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・野菜課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
リーキは,県内実需者の作付希望品目の上位に挙げられるが、栽培法や優良品種が不明でごくわず
かの作付面積しかない。また、新幹線開通に向けた地域の特色づくりが急務であるが、リーキは主要
食材として地元産の魚や肉と組合わせたメニュー開発が可能であり、対策として期待できる。生産者
のメリットとしては、ネギの栽培技術が応用でき比較的取り組み易いこと、販売価格が高いことが挙
げられる。そこで、栽培作型の検討および優良品種の選定を行う。
[成果の内容・特徴]
1 発芽勢・発芽率は、全ての設定温度において「ラリー」が優れた。また、
「ラリー」の発芽が最も
安定していた温度は、15℃および 20℃である(図 1)
。
2 調製重が重く、可販本数・可食部・収量が最も多いのは、
「ラリー」である(表 1)
。
3 「ラリー」の遊離糖含量は、葉鞘の果糖を除いたすべての糖および部位で、11 月下旬収穫の方が
高くなる(図 2)
。
4 「ラリー」を「利用できる」と評価した実需は 7 店舗 6 店舗で、残り 1 店舗も利用が可能と評価
している(表 2)
。
5 「ラリー」の食味評価は、3 店舗が「甘みが強い」
、
「辛みと甘みのバランスが良い」との理由か
ら良いと評価している(表 3)
。
[成果の活用面・留意点]
1 本県の水田転換畑の秋冬栽培で活用できる。
2 収穫時期を冬期にすることにより糖含量が増加することから「とやまのカン(寒)・カン(甘)野菜」
として活用できる。
3 希少品目で価格が下落しにくいので、大型品目と組合わせた所得安定対策として活用できる。
4 発芽促進の加温は、15-20℃で行う。
5 生存率・品質の低下を防ぐため、土寄せ作業は土の跳ね上げを抑制し、葉身の損傷および葉身と
葉鞘の付け根への土の混入を防止する。
6 防除は、ネギに準じる。
― 17 ―
[具体的データ]
※シャーレに 2 号濾紙を敷き、水 5g を加えた。
発芽勢・発芽率は幼根が 1mm 以上出た割合
図 1 品種と発芽温度の関係
表 1 品種による収量・品質の違い
品種名
可販本数 調製径 葉鞘長
(本/㎡) (mm)
ラリー
ポワロ
ストライカー
サーファー
ギンカ
9.4
8.1
9.2
8.1
8.9
35.9
29.8
37.2
37.5
30.1
可食部
(cm)
調製径×葉鞘長
24.5
20.7
20.6
17.1
16.9
881
616
767
643
510
調製重
(g/本)
可販収量 播種:2013 年 3 月 11 日,定植:5 月 17 日,
(g/㎡) 収穫:11 月 27 日,220 穴セルトレイ
304.2
231.7
289.9
293.7
194.6
2,873
1,888
2,658
2,366
1,730
栽植密度:条間 90cm、株間 10cm ,
施肥(kg/10a):基肥 N-P 05-k20=5.0-5.0-5.0
2
追肥 N-P205-k20=4.0-3.7-2.6
(毎月 1 回、8 月、9 月は、半量)
計 N-P205-k20=25.0-23.4-18.0
培土:7 月 12 日,8 月 29 日,10 月 7 日(中耕)
n=5
80℃熱水抽出後 HPLC で測定
移動相:75%アセトニトリル
カラム:ジーエルサイエンス HILIC カラム
NH2 4.6×250mm
収穫日
部位
図 2 遊離糖含量の推移
表 2 利用の可否
表 3 食味評価
ラリー ストライカー
項目
使える
6
6
良い
使えない
1
悪い
普通
他に無ければ使う
1
(現在使ってい
フレンチ 2、イタリアン 3、創作料理 1、洋食 1、
るものと同程度)
計 7 実需による評価
項目
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
ラリー ストライカー
3
1
4
加工・業務需要に対応した野菜安定生産技術の開発
県単
2013 年度(2011~2013 年度)
野原茂樹,西畑秀次
なし
― 18 ―
6
・「良い」の評価理由は、
甘みの強さ。辛みと甘み
のバランスの良さ。
・「悪い」の評価理由は、
すじっぽい、味が淡白。
○普及に移す技術
[タイトル]促成栽培で八重咲きチューリップの花弁数を確保する中温処理開始時期
[要約]促成栽培における八重咲きチューリップ球根は、常温で花弁が 10 枚以上分化した後、中温
処理(20℃)を開始することによって、開花時の花弁数を確保することができる。
[キーワード]チューリップ、促成栽培、中温処理、花弁数
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・花き課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
チューリップの促成栽培用球根は、通常 7 月中・下旬から中温処理(20℃)を行うが、八重咲き品種
に同様の処理を行うと花弁分化が充分に進まないうちに花芽が完成するため、切り花の花弁数が確保
できず、ボリューム不足となる。そこで、八重咲き品種の花弁数が確保できる中温処理法を明らかに
する。
[成果の内容・特徴]
1 花芽分化時期の温度が高くなるほど、花芽分化が緩慢となり花芽完成時期は遅延するが、開花時
の花弁数は多くなる(図 1)
。
2 常温で花弁が 10 枚以上分化した後の中温処理開始は、
常温貯蔵(無処理)より花芽が早く完成
し、通常の中温処理開始よりも花弁数が多くなる(図 1,2)
。
3 常温で花弁が 10 枚以上分化した後の中温処理開始は、通常の中温処理開始で花弁が 10 枚ないし
20 枚以上分化した後に常温貯蔵した場合よりも花芽完成期が早まり、
花弁数を確保できる
(図 3)
。
[成果の活用面・留意点]
1 八重咲き品種の促成栽培において活用できる。
2 花芽分化は気温等により年次変動があるため、花芽観察を行いながら処理する。
3 本試験は「モンテカルロ」
,
「アンジェリケ」
,
「春のあわゆき」で行ったものである。
― 19 ―
[具体的データ]
35
開花時の花弁数(枚)
花 30
弁
数 25
枚
0
( )
※
雄
し
べ
含
む
10
20
30
40
慣 行
(中温処理20℃)
花芽完成
常 温
20枚分化後
20
15
花芽完成
22.5℃
10枚分化後
中温処理開始
20枚分化後
10
5
8/12
8/19
8/26
開始
慣 行
(中温処理20℃)
22.5℃
9/9
**
10枚分化後
10枚分化後
1/27
20枚分化後
2/4
2/9
雄しべ
注)花芽完成後は 15℃2 週間,5℃8 週間冷蔵して
植付け、最低 15℃で栽培
9/2
*
1/29
花弁
0
8/5 処理
(月 日)
22.5℃
常 温
(平均25.4℃)
花芽完成
慣 行
中温処理開始
10枚分化後
開花日
20枚分化後
9/16
常 温
(平均25.4℃)
図 2 花芽分化期の温度処理による
開花時の花弁数(2011 年)
* 10枚分化後:常温で貯蔵して花弁が10枚以上分化した後に中温処理を開始
**20枚分化後: 〃 20枚以上 〃
(供試品種:Angelique)
図 1 花芽分化期の温度処理と花芽完成までの花弁分化数(2011 年)
:常温貯蔵
月/日
試験区
7/27
8/7
:中温処理(20℃) :花芽完成
8/14
8/24
8/27
9/3
常 温
(平均22.8℃)
10枚分化後
20枚分化後
10枚まで中温
20枚まで中温
慣 行 ※
※
9/17
開
花
率
開
花
日
茎
長
切
り
花
重
花
弁
数
(%)
(月/日)
(c m)
(g)
(枚)
※
8 1.8
2/9
2 9 .9
3 3 .4
2 9 .1
a
9 0.0
1/ 1 8
3 4 .1
3 1 .1
2 2.8 *
b
10 0
1/ 2 6
3 2 .5
3 0 .7
2 2 .5
bc
10 0
1/ 2 8
3 2 .2
3 1 .8
2 1 .5
bc
10 0
1/ 2 5
3 3 .2
2 9 .9
2 0 .0
bc
8 3.3
1/ 1 8
3 2 .6
2 9 .2
1 8.4 *
c
※
※
※
※10枚分化後:常温で貯蔵して花弁が10枚以上分化した後に中温処理を開始
※20枚分化後: 〃 20枚以上 〃
※10枚ま で中温:中温処理で花弁が10枚以上分化した後で常温に戻す
※20枚ま で中温: 〃 20枚以上分化 〃
※慣行:7/27から 花芽完成ま で中温処理
※異なる英文字の間には 5%水準で有意差あり(Tukey-Kramer)
*開花時の花弁
図 3 中温処理時期が
花弁分化及び生育開花に及ぼす影響
(2009 年)
(供試品種:Angelique)
慣行区
[その他]
研究課題名:品種特性を発揮させる促成栽培技術の開発
予 算 区 分:県単、国委(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)
研 究 期 間:2012 年度(2008~2013 年度)
研究担当者:西村麻実、辻 俊明・浦嶋 修・石黒 泰1・天橋 崇2
(1:現岐阜大学、2:元高岡農林振興センター)
発表論文等:2012 年度園芸学会北陸支部研究発表要旨
― 20 ―
10 枚分化後区
○普及に移す技術
[タイトル]チューリップに発生した TRV 新系統とその診断法
[要約]2013 年に県内のチューリップに発生したモザイク症状は Tabacco rattle virus(TRV)新系
統に起因する。TRV-TCM 系統の CP 領域に特異的なプライマーを用いた RT-PCR により診断で
きる。
[キーワード]チューリップ、TRV、モザイク病
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・花き課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
2013 年 5 月に県内のチューリップ栽培圃場において、ウイルス様症状株が発生した。既存の抗血清
による血清学的診断(TBIA)を行ったところすべて陰性であったが、検定植物への汁液接種により、
えそ症状を呈したことから、ウイルスの感染が疑われた。そこで、病原ウイルスの同定、球根伝染率
の調査を行い、診断法を確立する。
[成果の内容・特徴]
1 チューリップにおける病徴は、葉にモザイクや退緑条斑(図1a、b)、花にモザイク(図1c)を
呈する。
2 罹病株からは、棒状で、2 成分(大きさ 85nm、175~185nm)からなるウイルス粒子が観察され
る(図2)
。
3 罹病株から分離したウイルス株をチューリップに汁液接種することにより原病徴が再現され(図
3)
、同ウイルスが再分離される。
4 分離したウイルス株の CP 領域のアミノ酸配列の相同性は TRV-TCM 系統(国内未発生、X03955)
と 100%一致した(データ略)
。以上から、本モザイク症状は TRV 新系統に起因すると考えられる。
5 次年度の子球への伝染率は 100%である(表1)
。
6 過去に富山県で発生した TRV の抗血清(TRV-T)とは反応しない。TRV-TCM 系統の CP 領域に
特異的なプライマー(表2)を用いた RT-PCR により、診断が可能である。
[成果の活用面・留意点]
1 本情報は、TRV によるチューリップモザイク病の蔓延を防ぐための情報として活用される。
2 本ウイルスは 100%球根伝染するため、圃場での病株の抜き取りを徹底する。
3 白、黄色品種は花にモザイクを呈しないため、葉のモザイク症状で判断する。
4 TRV はセンチュウ(Paratrichodorus 属種と Trichodorus 属種(どちらも国内発生種)
)によっ
て媒介されるため、発生圃場では球根掘り取り後に圃場の湛水処理を行い、センチュウの密度を
下げる。
― 21 ―
[具体的データ]
(a)
(b)
(c)
図1 チューリップに発生した TRV 新系統によるモザイク症状
(a) 葉のモザイク症状.品種「プリンセプス」(b) 葉のモザイク症状.品種「白雲」(c) 花のモザイク症
状.品種「プリンセプス」
図2
TRV 新系統のウイルス粒子の電子顕微鏡写真
Bar=200 nm
図3
分離株の原宿主での病徴再現
品種「ハルクロ」
表1 TRV 新系統のチューリップにおける球根伝染率
当年度感染率(%) 次年度感染率(%)
100 (25/25)
100 (6/6 *)
*
( )内は感染球数/検定球数.RT-PCR により検定を行った.品種「プリンセプス」
表2 TRV-TCM 系統を検出する RT-PCR 用プライマー配列と増幅される DNA 断片長
塩基配列
TRV-TCM_F 5'-ATGGCAGGTAGTTATGGGGAAA-3'
TRV-TCM_R 5'-TCAAACTAGGTTCCAGGTCCA-3'
増幅DNA断片長
618 bp
[その他]
研究課題名:チューリップ病害に対する品種抵抗性等を活用した制御技術の開発
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2013 年度(2011~2015 年度)
研究担当者:桃井千巳、森脇丈治
発表論文等:なし
― 22 ―
○普及に移す技術
[タイトル]ニホンナシ「幸水」の摘心処理による生産安定
[要約]ニホンナシ「幸水」において、側枝上の新梢に摘心処理を行うことで着果数の年次変動が小
さくなり、収量は増えて安定する。摘心処理に要する時間は新たに発生するが、側枝の棚付けと新
梢誘引に要する作業時間は少なくなる。
[キーワード]ニホンナシ、幸水、摘心、収量、生産安定
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・果樹研究センター
[連絡先]電話 0765-22-0185
[背景・ねらい]
ニホンナシ「幸水」は短果枝の着生が少ないため、長果枝(えき花芽)に着果させる栽培方法が全
国的に主流となっている。しかし、長果枝の花芽着生は年次変動が大きいことから、生産の不安定要
因となっている。一方、摘心栽培は短果枝を確保でき生産の安定が期待できる技術として注目されて
いるが、本県での効果は明らかになっていない。そこで、本県における摘心栽培の有効性を明らかに
するとともに、本県に適した摘心栽培方法を開発する。
[成果の内容・特徴]
1 摘心処理を行った側枝は、
長果枝にくらべると着果数の年次変動が小さく収量は安定している
(表
1)
。
2 側枝利用 1 年目は、摘心処理により葉数は減少するものの、2 年目以降の葉数は長果枝と変わら
ない(表1)
。
3 摘心処理を行った側枝は長果枝にくらべると収穫期は遅い傾向にある(表1)
。
4 摘心処理は、80~150 ㎝のいずれの長さの側枝に対しても、着果数、果重、収量の違いがないた
め
(表2)
、
側枝としては勢力が強く扱いにくい 130~150 ㎝の長大な枝も側枝として利用できる。
5 樹勢が旺盛で長果枝の花芽着生が不安定な樹では、摘心処理を導入することで着果数の確保が容
易となり、収穫果数が増加し 4~5t/10aの収量が期待できる(図1)
。
6 長さ 30 ㎝以上の新梢を摘心処理すると果実肥大が劣る場合もあるので(データ略)
、摘心処理は
満開 40 日以降、新梢の長さが 30 ㎝以上にならないよう 10 日毎に 4 回程度、側枝先端新梢を除い
たすべての新梢をロゼット葉を残して基部から切除する。また、摘心後に再伸長した新梢は再度
摘心処理を行う。
7 摘心処理と仕上げ摘果を並行して実施した場合の作業時間は、摘心処理を行わないで摘果のみを
行った場合にくらべると多くなるが、
側枝の棚付けや新梢誘引に要する時間は少なくなる
(表3)
。
[成果の活用面・留意点]
1 側枝には予備枝あるいは主枝、亜主枝から直接発生した長果枝を利用し摘心処理を行う。側枝は
基部が太くなり過ぎない限り 4 年程度は利用可能である。
2 予備摘果が遅れると摘心処理と作業が競合するので、
予備摘果は満開 40 日後までに終えることが
できるよう、開花前の花芽整理を徹底して結実果そう数を制限する。
3 新梢の発生が少ない古い側枝は、摘心処理を行うことで果実肥大への影響も懸念されるため、古
い側枝は側枝更新を図った上で摘心処理を導入する。
― 23 ―
[具体的データ]
表1 「幸水」の摘心処理が葉数、着果数、果重、収量、収穫日に及ぼす影響
着果数
果 重
収 量
葉数 y
年次
処理区 z
(枚/m側枝) (果/m側枝) (g) (kg/m側枝)
摘心区
長果枝区
x
有意性
摘心区
長果枝区
有意性
摘心区
長果枝区
有意性
摘心区
長果枝区
有意性
2009年
(1年目)
2010年
(2年目)
2011年
(3年目)
2012年
(4年目)
171.0
219.9
**
190.0
188.3
N.S.
199.7
203.6
N.S.
235.3
218.5
N.S.
3.3
3.3
N.S.
4.2
2.5
**
5.1
4.3
*
5.0
1.7
**
520
521
N.S.
475
421
N.S.
441
460
N.S.
479
444
N.S.
1.7
1.6
N.S.
2.0
1.1
**
2.3
2.0
N.S.
2.4
0.7
**
収穫日
(月.日)
8月27日
8月25日
N.S.
9月8日
8月30日
**
9月3日
8月31日
N.S.
9月3日
8月30日
**
z 1年目の摘心区は長果枝を利用し、2~4年目は1年目と同一側枝を複数年利用、摘心処理は満開
40日後から約10日間隔で4回実施、樹齢48年生樹(2009年)~51年生樹(2012年)
y 7月下旬における調査結果
x t検定によりN.S.は有意差なし、 **は1%水準、*は5%水準で有意差あり
表2 側枝の長さが着果数、果重、収量に及ぼす影響
着果数
果 重
収 量
年次
処理区 z
(果/m側枝) (g) (kg/m側枝)
80~95㎝
2009年
110~120㎝
(1年目) 130~150㎝
有意性
80~95㎝
110~120㎝
2010年
(2年目) 130~150㎝
有意性
80~95㎝
110~120㎝
2011年
(3年目) 130~150㎝
有意性
4.2
4.5
4.4
N.S.
4.3
4.5
4.3
N.S.
5.2
5.2
5.0
N.S.
562
550
521
N.S.
435
431
460
N.S.
432
433
459
N.S.
2.2
2.3
2.2
N.S.
1.9
1.9
2.0
N.S.
2.3
2.2
2.3
N.S.
20,000
作業名
棚付け
花芽整理
予備摘果
摘心+仕上げ摘果
仕上げ摘果
新梢誘引
せん定
計
x
摘心区zy
(a)
22.9
8.2
43.0
49.9
12.2
32.4
168.6
w
5.0
16,000
果/10a
14,000
4.0
12,000
収
3.0
10,000
量
収 8,000
穫
6,000
果
数 4,000
2.0
1.0
2,000
収穫果数
0.0
2006
2007 2008
2009
2010
2011
2012年
図1 摘心処理導入後の収穫果数と収穫量の推移
・樹勢が比較的旺盛な45年生樹(2006年)~51年生樹(2012
年)16樹(10a)を供試、2007年以降、摘心処理を導入
・長果枝比率は2006年が60~80%、2012年が20~35%
(時間/10a)
対照区z
a-b
(b)
31.8
-8.9
7.1
1.1
44.6
-1.6
25.6
24.3
16.4
-4.2
34.9
-2.5
159.1
9.5
z 摘心区は長果枝比率が29%、対照区は47%
x 摘心処理は仕上げ摘果と並行して実施
w 2011年(20年生樹)と2012年(21年生樹)の平均値
ニホンナシ「幸水」の摘心栽培による生産安定技術の確立
県単
2013 年度(2009~2013 年度)
関口英樹
なし
― 24 ―
収量
0
y 摘心処理は満開40~70日後の間に3~4回実施
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
t/10a
6.0
導入後
18,000
z 各処理区とも1年目は長果枝を利用し、2~3年目は1年目と同
一側枝を利用、摘心処理は満開40日後から約10日間隔で4回
実施、樹齢48年生樹(2009年)~50年生樹(2011年)
表3 主要作業時間
導入前
○普及に移す技術
[タイトル]ニホンナシ「あきづき」熟期判定専用カラーチャート
[要約]ニホンナシ「あきづき」の果皮色から熟度が判定できる専用カラーチャートを開発した。専
用カラーチャートは、果実に直接当てて直感的に判断できるよう果実画像を利用しており、従来の
熟度判断指標である地色と同様に糖度の変化に対応している。
[キーワード]ニホンナシ、あきづき、カラーチャート
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・果樹研究センター
[連絡先]電話 0765-22-0185
[背景・ねらい]
高品質な果実を収穫、出荷する上で、果実熟度の判断は極めて重要である。ニホンナシ「あきづき」
の熟度判断は、
熟度との相関が高い地色の変化を地色カラーチャートで確認する方法をとっているが、
地色の判断には表皮のコルク層を削らなければならず、実際の収穫、出荷作業の場面では、表面の果
皮色で熟度を判断する必要があり、また、表面色カラーチャートは「あきづき」においては市販され
ていない。そこで、ニホンナシ「あきづき」の果実画像を用い、熟度を果皮色から直感的に判断でき
る専用カラーチャートを作成する。
[成果の内容・特徴]
1 専用カラーチャートの基となる果実画像は、本県産の「あきづき」を用いて撮影したものである。
2 専用カラーチャートは、指数が1~6の6段階で、果実に直接当てて直感的に判断できるように
2等分した果実画像を用いており、専用ソフトでカラーマッチング処理を行なって作成したもの
である(図1)
。
3 「あきづき」の果皮色は、RGB 色空間のある直線上に分布していることから(図2)
、チャート
として利用する6枚の果実画像は、RGB 値を基に候補を抽出し、さらに印刷後の実物果実およ
び各チャート間の色の違いを比較して選んだものである。
4 専用カラーチャートは、従来の熟度判断指標である地色の変化と対応している(図3)
。
5 専用カラーチャートは、糖度とはほぼ直線的な関係にあり、糖度の変化を判断するのに適してい
る(図4)
。
[成果の活用面・留意点]
1 ニホンナシ「あきづき」の収穫適期の判断、および販売、出荷の際の品質管理に活用できる。
2 判定は、果実ていあ部で行なう。
3 硬度、pH は個体差が大きいため、本カラーチャートは従来の地色と同様、硬度、pH の判断指標
には向かない。
4 ラミネートによる光の反射を避けるため、直射日光下での測定は避ける。
― 25 ―
[具体的データ]
・チャートには1つの果実を2分割処理した画像を利用
・各チャートの RGB 値は以下のとおり
1=R:145.3 G:119.7 B:72.8 2= R:157.3 G:129.3 B:77.5
3=R:161.0 G:128.8 B:77.3 4=R:166.2 G:132.1 B:84.1
5=R:174.8 G:137.1 B:87.9 6= R:141.5 G:100.8 B:64.1
図1 ニホンナシ「あきづき」専用カラーチャート
B
6
R
5
N=58
4
指
数
3
(
地
色
)
G
N=100
N=137
N=230
N=301 N=224
2
縦線は標準偏差を示す
1
1
2
3
4
5
6
専用カラーチャートの評価値
図2 RGB 色空間における果皮色分布
図3 専用カラーチャートによる評価値と地色との関係
・地色は「農林水産省果樹試験場基準ニホンナシ(地色)
果実カラーチャート」を利用
14.5
N=224
N=301
14.0
・カラーチャートの使用経験のない7名による評価
・果実 50 果を対象に 1 果につき 3 回繰り返し評価
N=230
( )
糖
度
%
13.5
13.0
N=137
N=100
N=58
12.5
12.0
縦線は標準偏差を示す
11.5
1
2
3
4
5
6
専用カラーチャートの評価値
図4 専用カラーチャートによる評価値と糖度との関係
・カラーチャートの使用経験のない7名による評価
・果実 50 果を対象に 1 果につき 3 回繰り返し評価
[その他]
研究課題名: 県産果実のブランド強化に向けた果実熟度客観的評価指標(専用カラーチャート)
の作成
予 算 区 分: 県単
研 究 期 間: 2013 年度(2012~2013 年度)
研究担当者: 関口英樹
発表論文等: なし
― 26 ―
○普及に移す品種
[タイトル]ブドウ新品種「クイーンニーナ」の特性
[要約]ブドウ新品種「クイーンニーナ」は、露地栽培で「巨峰」より約 10 日遅く 9 月上~中旬に成
熟する赤色大粒種である。ジベレリン処理による種なし果は 1 粒重 15g、糖度 20%以上に達し、酸
度は巨峰より低く果肉が硬く、食味良好な品種である。1 結果枝に対し 1 果房とし、1 果房あたり
30~35 粒に制限することで着色が安定する。
[キーワード]ブドウ、クイーンニーナ、赤色品種、9 月上中旬成熟
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・果樹研究センター
[連絡先]電話 0765-22-0185
[背景・ねらい]
現在、富山県のブドウ生産地では主に露地栽培で「巨峰」、「藤稔」などの品種が栽培され、8 月
中下旬~9 月上旬まで販売されているがそれ以後の時期に有力な品種がない。また一方、近年多様化
する消費者ニーズに対応し赤色で外観が美しく、食味が良好な品種の導入が求められている。
「クイーンニーナ」は、
(独)果樹研究所において、
「安芸津 20 号」
(紅瑞宝×白峰)に「安芸クイー
ン」を交雑して育成され、平成 23 年 3 月 18 日に品種登録された。そこで本県における露地栽培での
「クイーンニーナ」の栽培特性、品質を検討した。
[成果の内容・特徴]
1 開花期は巨峰と比較して盛期で 4 日遅い。収穫時期は始期 9 月 3 日、盛期 9 月 9 日、終期 9 月 16
日で始期は「巨峰」
「安芸クイーン」と比較してそれぞれ 10、15 日遅く、盛期は同じく 13、14
日遅い(図 1、表 1)
。
2 果実品質は 1 粒重 15g、糖度 21.6%で「巨峰」
「安芸クイーン」より高く、酸度は低い。はく皮性
は難で、果肉は硬く崩壊性で噛み切りやすく食味良好である(表 2)
。
3 果皮色は鮮やかな赤色で外観は良好である(図 2)
。
4 1 結果枝に対し 1 果房とし、1 果房あたり 30~35 粒に制限することによって糖度が高く商品性の
高い着色果房(カラーチャート 4 以上)を安定して生産することができる(表 3、図 3、4)
。
[成果の活用面・留意点]
1 巨峰系品種のなかで唯一 9 月中旬の販売に対応できる。4 倍体品種であり、花ぶるい性が強いこ
とから満開時と満開 10~15 日後にジベレリン水溶剤 25ppm を花(果)房浸漬することで、無核
化と果粒肥大が図られる。
2 樹齢 10 年生未満の若樹では花穂の成長にバラツキが大きくなることがある。
成長が遅い弱小花穂
では、着粒不足となることがあるので早期に切り取る。
3 1 果房あたり着粒数が 40 粒以上では着色が遅れ、収穫時に着色が不十分となる場合がある。
4 露地栽培での防除は「巨峰」に準じて行う。
― 27 ―
[具体的データ]
図 1 「クイーンニーナ」の収穫時期のイメージ(県推奨品種比較)
表1 「クイーンニーナ」の生育(H19~25の平均)
発芽期 展葉期
開花期
品種
始
盛
クイーンニーナ 4月18日 4月28日 6月10日 6月13日
巨峰
4月15日 4月24日 6月5日 6月9日
安芸クイーン 4月14日 4月21日 6月4日 6月7日
図 2 収穫時期の「クイーンニーナ」
収穫期
盛
9月9日
8月27日
8月26日
始
9月3日
8月24日
8月19日
表2 「クイーンニーナ」の特性(H19~25の平均)
1果房重 1粒重
糖度
酸度
品種
(g)
(g)
Brix(%)
(%)
クイーンニーナ
407
15.0
21.6
0.39
巨峰
334
10.9
18.3
0.67
安芸クイーン
341
13.5
19.7
0.44
満開時、満開10日後GA25ppm処理
果粒形
短楕円
短楕円
短楕円
果皮色
はく皮
赤
青黒
赤
難
中
中
終
9月16日
9月4日
9月2日
果肉
特性
崩壊性
中間
中間
果肉
硬度
中~硬
中
中
z
表3 果房着色率 の推移(H25)
試験区 8月1日
8月6日
8月20日 9月6日
30粒区
13.9
31.2a
73.0a
91.1a
35粒区
11.4
23.7ab
64.6a
87.6a
40粒区
6.2
12.7b
42.3b
72.0b
y
n.s.
**
**
**
有意性
z:果房着色率 着色面積%
y:分散分析により**1%水準で有意差有りn.s.有意差なし 異符号間はtukeyの多重検定で有意差あり
23.5 6.0 a
23.0 a
a
4.0 3.0 b
22.0 2.0 21.5 1.0 21.0 0.0 ab
22.5 b
糖度(Brix%)
カラーチャート指数値
5.0 20.5 30粒区
35粒区
40粒区
図3 着粒数と着色との関係
異符号間は tukey の多重検定で有意差あり
30粒区
35粒区
40粒区
図4 着粒数と糖度との関係
異符号間は tukey の多重検定で有意差あり
[その他]
研究課題名:系統適応性・特性検定試験および品種比較試験
予 算 区 分:県単
研 究 期 間 :2013 年度(2004~2013 年)
研究担当者:太田象一郎、大城克明
発表論文等:なし
― 28 ―
○普及に移す技術
[タイトル]性選別精液活用による受精卵生産技術の確立
[要約]性選別精液を用いた体内受精卵生産において、精液量を倍増し、子宮角深部に注入すること
で通常精液を用いた場合と遜色ない正常卵率が得られる。このことにより、性判別操作が不要で、
希望する性の受精卵を効率的に生産することができる。
[キーワード]ホルスタイン種、性選別精液、過剰排卵処理
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・畜産研究所・酪農肉牛課
[連絡先]電話 076-469-5921
[背景・ねらい]
産子の雌雄を決める性染色体の DNA 量の違いを利用した、セルソーターと呼ばれる装置により、希望
の性を決定できる精子を 90%の精度で選別する技術が確立され、これを凍結した産み分け用性選別精子
(以下、性選別精液)が市販されている。これを受精卵生産に利用できれば、生産した受精卵のうち 9 割
が希望した性となり、効率よい生産が期待できる。しかし、この性選別精液は選別していない精液(以下、
通常精液)と比べ精子数が少なく、精子活力も弱いため、通常精液を用いた場合と比べ、過剰排卵処理に
よる採卵において、移植可能受精卵の回収率が低くなる傾向がある。
そこで、人工授精(AI)方法を見直すことにより、性選別精液による効率的な受精卵生産技術を開発し
た。
[成果の内容・特徴]
1.ホルスタイン種未経産牛において、AI 時に性選別精液を子宮体部ではなく子宮角深部に 1 本ずつ
(通常精液の倍量)注入することで、通常精液を用いた場合と同様の正常卵率が得られる(表 1)。
2.ホルスタイン種未経産牛において、2 回の AI のうち、初回を 12 時間後(通常法)と、24 時間後
(遅め)にしたときの正常卵率に差はなく、いずれの方法でも通常精液を用いて通常法で AI し
た場合と遜色ない採卵成績が得られる(表 2)。
3.ホルスタイン種経産牛において、発情時に排卵誘発処理(GnRH 投与)し、その 24 時間後のみ
子宮角深部に性選別精液を 1 本ずつ AI することでも良好な正常卵率が得られる(表 3)。この際の
過剰排卵処理プログラムを図 1 に示す。
[成果の活用面・留意点]
1.受精卵の生産で、通常精液を用いた場合と遜色ない正常卵率が得られたことから、希望する性の
受精卵を 90%の確率で生産でき、より効率的な受精卵生産方法として活用できる。
2.性選別精液が流通している種雄牛は少数であり、血統的に利用できる供卵牛は限られる。
3.本採卵試験に供試した性選別精液は、国内で生産されたものであり、輸入性選別精液についての
効果は確認していない。
― 29 ―
[具体的データ]
表 1.性選別精液を用いた未経産牛における AI 部位の違いによる採卵時正常卵率
AI部位
頭数
正常卵率
子宮角
7
67.6
子宮体
6
52.1
(参考)
38
62.2
通常精液(子宮体AI)
注)通常精液:性選していない精液
通常精液のデータは経産牛による
AIの実施時期は発情から8~14時間後とその半日後の2回である。
1回のAIでAI用精液2本(子宮角区は左右子宮角深部に1本ずつ) 使用 表 2.性選別精液を用いた、未経産牛における AI 時期の違いによる採卵時正常卵率
頭数
正常卵率
24H後
7
62.7
12H後
6
52.1
(参考)
38
62.2
通常精液(12時間後)
注)通常精液:性選していない精液
通常精液のデータは経産牛による
発情確認後初回AIの時間で示す。AI部位はすべて子宮体部
1回のAIでAI用精液2本を使用 表 3.性選別精液を用いた経産牛における AI 回数の違いによる採卵時正常卵率
回数
頭数
正常卵率
1回
3
90.0
2回
3
52.2
注)発情より1回区は24時間後、2回区は12,24時間後にAIを実施
両区とも左右子宮角深部にAI用性選別精液を1本ずつ注入
0日目
起点※1
CIDR挿入
EB投与
17~19日目
5~7日目
過剰排卵処理
1日目
2日目
3日目
4日目
FSH漸減投与(朝夕2回、合計28AU)、PG投与等 ↑
処理開始4日目午前中にCIDR抜去
5日目
6日目
発情時GnRH
AI※2
13日目
受精卵回収
※1 発情周期にかかわらずCIDR挿入時を起点とする。
※2 GnRH投与から24時間後に性選別精液を,左右子宮角深部に1本ずつ注入
CIDR:膣内留置型黄体ホルモン EB:安息香酸エストラジオール FSH:卵胞刺激ホルモン PG:プロスタグランジンF 2α
GnRH:性腺刺激ホルモン放出ホルモン
図 1.性選別精液を用いた過剰排卵処理プログラム(経産牛)
[その他]
研究課題名:性選別精液活用による受精卵生産技術の確立
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2011~2013 年度
研究担当者:前田尚子、四ツ島賢二、沖村朋子、中島宗雄
発表論文等:前田ら(2012)北信越畜産学会報第 105 号 第 61 回新潟県大会講演要旨集:16
― 30 ―
○普及に移す品種
[タイトル]繁殖性を改良した新系統豚「タテヤマヨークⅡ」の造成
[要約]「タテヤマヨーク」の後継系統豚として「タテヤマヨークⅡ」を造成した。その特性は、
「タテヤマヨーク」と比較して、産子数が 1 頭多く、背脂肪厚も概ね 3.5mm 薄い。
[キーワード]大ヨークシャー種、系統豚、タテヤマヨークⅡ
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・畜産研究所・養豚課
[連絡先]電話 076-469-5921
[背景・ねらい]
畜産研究所では、平成 5 年に発育性に優れた大ヨークシャー種の系統豚「タテヤマヨーク」を造成
し、県内肉豚生産の基幹種豚として普及し生産性向上に貢献してきた。しかし、現場においては、発
育性や産肉能力については高く評価される反面、繁殖性や背脂肪厚について改善要望もあった。
このため、平成 18 年度より、
「タテヤマヨーク」の後継豚として、これまで、要望のあった繁殖性
や背脂肪厚を改良した新系統豚の造成に取り組んできた。
[成果の内容・特徴]
1.タテヤマヨークⅡは、タテヤマヨーク(雄 8 頭、雌 32 頭)
、ナガラヨーク(雄 3 頭、雌 10 頭)
、
フジヨーク(雄 8 頭、雌 6 頭)を改良の基となる基礎豚に用いて、閉鎖群育種により 6 世代かけ
て産子数(以降LS)と背脂肪厚(以降BF)を改良した系統豚である。
2.改良は、総合育種価上位の個体を選抜する方法で行った。総合育種価は、LS(初産)とBF(体
重 105kg 時に体長 1/2 部位をスキャニングスコープで測定)の表型値(測定値)と血縁情報から
MTDFREML を用いて算出した育種価(遺伝的な能力の推定値)と、Sindex で算出した経済重
要度から、2.23×LS育種価-2.21×BF育種価として求めた。
3.LSとBFの育種価は、ともに世代の経過に伴い、LSが増加し、BFが薄くなるように推移し、
G5では、LSが雄 0.59、雌 0.60、BFが雄-4.11、雌-4.53 であった(図1、2)
。G5選抜豚
では、いずれの個体もLSとBFの両育種価が基礎豚の平均値を上回り、また、育種価の標準偏
差もLSが 0.30、BFが 0.92 と、基礎豚(0.41、2.11)と比較して小さくなるなど、遺伝的能
力が高く、斉一性も高まった(図3、4)
。
3.タテヤマヨークⅡ(第 5 世代)の産子数は 10.2 頭であり、基礎豚 8.8 頭と比較して 1.4 頭増加し、
また、タテヤマヨーク(認定時、初産の成績)との比較では約 1 頭多い(図5)。
4.タテヤマヨークⅡ(第 5 世代の産子)の背脂肪厚は、雄 20.5mm、雌 21.5mm で、基礎豚の雄 20.8mm、
雌 25.2mm と比較して、雄で 0.3mm、雌で 3.7mm 薄く改良された。タテヤマヨークとの比較では、
雄で 3.8mm、雌で 3.4mm 薄くなった(図6)。
[成果の活用面・留意点]
1.大ヨークシャー種の種豚として活用できる。
2.タテヤマヨークⅡは、平成 26 年 3 月 31 日付けで系統豚として認定され、供給開始は平成 26 年度
中を予定している。
― 31 ―
[具体的データ]
2.0 1.0 ♀
1.5 の
L
S
0.5 育
種
価
【♀】
0.56
0.49
0.59
0.29
1.0 0.07
0
♂
の
L
S
育 0.5 種
価
0.57
0.49
0.6
0
G0
G1
5.0 G2
G3
G4
0.0 ‐0.5 ‐1.0 ‐10.0 G5
8 厚
0
【BF】
薄
G1
G2
G3
G4
G5
図2.背脂肪厚(BF)育種価の推移
8 6 標準偏差
LS 0.41
BF 2.11
標準偏差
LS 0.30
BF 0.92
4 2 0 0.0
0.5
1.5 -1.5
1.0
-1.0
-0.5
0.0
‐2 ‐2 ‐4 ‐4 ‐6 ‐6 ‐8 ‐8 0.5
1.0
図4.G5の各個体の育種価
11
30
10.22 10
25.18
25
9.30 20.84
8.83 15
7
10
6
5
基礎豚
24.3
20.47
24.9
21.52
20
8
5
(頭)
‐4.11
‐15.0 G0
図3.基礎豚の各個体の育種価
9
‐2.63
‐10.0 0 -0.5
‐1.82
【♂】
2 -1.0
の
B
F
育
0.0 種
価
‐5.0 ‐0.89
6 4 -1.5
‐2.57
‐0.11
多
【LS】
‐0.69
‐4.04
図1.産子数(LS)育種価の推移
(G0:基礎豚世代、Gn:n世代を表す)
小
‐0.36
0
‐2.03
♂
の
B
F ‐5.0 育
種
価
【♂】
0.04
5.0 ♀
【♀】
0.0 0.27
0.0 10.0 タテヤマヨークⅡ(G5)
タテヤマヨーク(認定時)
0
(mm)
♂
♀
基礎豚
図5.タテヤマヨークⅡの産子数
タテヤマヨークⅡ(G5産子)
タテヤマヨーク
図6.タテヤマヨークⅡの背脂肪厚
[その他]
研究課題名:閉鎖群育種による高繁殖能力豚の育成
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2006~2013 年度
研究担当者:国吉 誠、前坪直人、新山栄一、水上暁美
発表論文等:平成 25 年度富山県畜産関係業績発表会
― 32 ―
1.5
○普及上参考となる技術
[タイトル]育苗労力を軽減する軽量培土の特徴と留意点
[要約]軽量培土を用いて育苗した苗の生育、根張り、田植え時の植付け精度は「いなほ加工床土」
と同程度であり、軽量化によって育苗の労力軽減が図られる。なお、かん水時の吸水を安定させ
るために覆土量の調整が重要である。
[キーワード]水稲、軽量培土、省力、育苗
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・栽培課
[協力機関]広域普及指導センター
[連絡先]電話 076-429-5280
[背景・ねらい]
農業従事者の高齢化が進んでおり、低コスト化と作業労力の軽減が求められている。近年、市販さ
れている多くの種類の軽量培土は、搬出などの作業労力を軽減できることから、県内の使用量は徐々
に増え、2013 年度の使用面積は 6 銘柄で約 3 割となっている。一方、不適切なかん水方法などにより
苗の乾きが極端に早くなり、苗を枯らすなどの事例も報告されている。そこで、軽量培土の特徴を整
理するとともに、安定して健苗を育成するための留意点を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.育苗期間を通して軽量培土は、
「いなほ加工床土」より重量が軽い(表 1)
。
2.いずれの培土も播種後 20 日には、田植え機に積み込む際に必要とされる根張りの強さを表す引張
強度 80Nを上回る苗となる(図 1)
。
3.いずれの軽量培土でも播種後 20 日で草丈 12cm 程度となり、葉色、乾物重も「いなほ加工床土」
と同等である(表 2)
。
4.かん水をしない場合の苗が水分不足になるまでの日数が長いことから、軽量培土は「いなほ加工
床土」に比べて保水性が高い(図 2)
。
5.圃場における植付本数および植付け精度は、
「いなほ加工床土」と同等である(表 3)
。また、田
植え後1か月の草丈および茎数も「いなほ加工床土」と同等である。
6.覆土を育苗箱の上面すりきりまで入れると水が培土に吸水される前に苗箱外に流出する量が多く
なる。覆土を入れる際に育苗箱の上面よりやや少なめとすることで、培土の吸水量を増す効果が
期待できる(図 3)
。
[成果の活用面・留意点]
1.前年から持ち越した培土は、吸水性が低下している場合があるので使用しない。また、床土入れ
を事前に行う場合は、長期間放置せず播種する。
2.覆土に軽量培土を使用する場合は、播種時の覆土ムラで種子が露出しないよう覆土量の調整を行
う。
3.培土の色では乾き具合は判別しにくい。原則として 1 日 1 回早朝に十分なかん水を行う。
4.播種後 25 日にはすべての培土で葉色が淡くなる。20 日を超える育苗期間では、肥料不足等によ
る苗の活力低下が懸念される。
5.軽量培土は受注生産であり、購入にあたっては最寄りの農協窓口などへ相談する。
― 33 ―
[具体的データ]
表 1 供試培土の使用量と播種後 20 日の苗箱の重量
試験資材名
培土の厚さ
床土
覆土
(mm) (mm)
20
10
20
10
15
7
18
7
18
7
20
5
18
5
略称
いなほ加工床土
いなほすみかる培土
いなほ軽良培土
ヰセキ培土ライト
ヰセキ軽量ゆめ培土
軽量ホーネンス培土1号
ホーネンス培土1号Si
加工床土
すみかる
軽良
ライト
ゆめ
ホネン軽
ホネンSi
※育苗箱:ダイヤカット、重量 600g
播種後20日
重量 相対値
(kg)
(%)
7.9
100
7.1
90
5.6
71
6.6
84
5.5
70
4.5
58
6.8
86
内容量 4.9L
※培土量はメーカー推奨の量とし、床土
と覆土は同一資材
※播種日 5/2、品種 コシヒカリ
※播種量は乾籾 120g/箱
※播種後 20 日の重量:かん水前の重量
で苗箱の重さ含む、3 反復
※以下の表については略称で表記
表 2 播種後 20 日の草丈、葉色、第 1 葉鞘長、乾物重
葉 色
(SPAD)
31.3
30.7
25.6
31.6
25.8
32.5
34.3
第1葉鞘長
(cm)
3.5
3.6
2.9
3.0
3.1
2.9
2.8
160
乾物重:根
(mg/個体)
4.4
4.4
4.5
4.4
(4.0)
4.2
4.2
※「ゆめ」の根重は培土中の夾雑物除去
の際、切根したため参考値とした。
30 個体、2 反復
1.6
8
140
7
培土重量(kg)
120
引張強度(N)
乾物重:茎葉
(mg/個体)
15.0
16.4
12.4
12.2
12.2
14.4
15.0
100
80
60
40
20
加工床土
6
すみかる
5
ホネン Si
4
ライト
ゆめ
3
0
軽良
2
ホネン軽
かん水直後の増加重量(kg)
草 丈
(cm)
加工床土 13.6
すみかる
12.5
軽良
12.1
ライト
11.8
ゆめ
12.6
ホネン軽
13.4
ホネンSi
12.3
資材名
1.4
覆土少なめ
覆土すりきり
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
AMAMPMAMPMAMPMAMPMAM
+0
+1
+2
+3
+4
+5
かん水中止後日数
培土の種類
図 1 培土の種類と引張強度の関係
※ 播種後 20 日に自作の引張強度
図 2 かん水中止後の培土重量変化と
萎れ点
測定装置で測定、3 反復
培土の種類
図 3 覆土量と苗箱のかん水
直後の重量変化の関係
◇苗箱の半分が針状
※ 播種後 15 日の苗で試験
▲苗箱の全体が枯死
※ かん水量は 1.6ℓ/箱
※ 覆土少なめ:メーカー
表 3 田植時および移植1か月後の苗の状況
加工床土
すみかる
軽良
ライト
ゆめ
ホネン軽
ホネンSi
植付本数
(本/株)
3.6
3.6
3.8
3.4
3.5
3.6
3.3
田植時
欠株率
(%)
5
4
5
0
1
4
3
植付姿勢
0.7
0.7
0.8
0.4
0.5
1.0
0.9
推奨の量で育苗箱上面
0
移植1か月後
より 5~8 ㎜下がる
1
草丈
茎数
(cm) (本/株)
2
44
30
44
30
3
43
29
植付姿勢の指標 (0 立~3 倒)
42
25
42
28
※ 播種後 21 日の苗を田植機により植付け
43
26
連続 50 株、2 反復
42
23
[その他]
研究課題名:奨励品種の収量構成要素年次変動解析試験
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2012~2013 年度
研究担当者:大窪延幸、小島洋一朗(広域普及指導セ)
発表論文等:なし
― 34 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]水稲乾田V溝直播栽培における気温によるノビエの葉齢推定法
[要約]水稲の乾田V溝直播栽培において、日平均気温を用いて入水前のノビエの最大葉齢を推定するこ
とが可能である。
[キーワード]乾田V溝直播、ノビエ、最大葉齢、日平均気温
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・栽培課
[連絡先]電話 076-429-5280
[背景・ねらい]
乾田V溝直播栽培は「作期および作業分散」
、
「耐倒伏性」
、
「鳥害回避」等の長所を有するため、富山県
では栽培面積は年々増加し、2013 年度は約 313ha となっている。これまで、除草コストの低減および薬剤
の飛散防止の観点から、
「選択性茎葉除草剤」と「体系是正剤」の 2 剤による雑草防除体系を確立している
(H24 成果と普及)
。この体系では、選択性茎葉除草剤の散布適期をノビエが 5 葉となる前の播種後 25~30
日頃としているが、春先の気象条件により、ノビエの葉齢進展が変動すると考えられる。そこで、日平均
気温を用いたノビエの葉齢推定法を確立する。
[成果の内容・特徴]
1 乾田V溝栽培における入水前のノビエ葉齢が 1~7 葉の範囲では、
水稲の播種日からの積算平均気温と
ノビエの最大葉齢の間には年次ごとに高い正の相関関係が認められる(図 1)
。
2 播種後 1 週間頃におけるノビエの葉齢は年次等により異なる(表 1)
。
3 播種後 5~10 日頃にノビエの葉齢を確認し、日平均気温を用いることにより、年次を越えて入水前の
ノビエの最大葉齢を推定することが可能である(図 2、3、表 2)
。
-3
n
Yn=8.402×10 ΣT i+L k
i=k
Yn:播種から n 日後のノビエの最大葉齢、Ti:日平均気温、
Lk:圃場で確認したノビエの最大葉齢、k:ノビエの葉齢を確認した播種後日数
[成果の活用面・留意点]
1 富山県内の水稲乾田V溝直播栽培における 4 月中下旬播種した場合の茎葉除草剤による雑草防除に活
用できる。
2 本成果は代かきを前年の 11 月に行った圃場において得られた結果である。
― 35 ―
[具体的データ]
8
2009 r= 0.986 **
2010 r= 0.995 **
2011 r= 0.989 **
2012 r= 0.989 **
2013 r= 0.989 **
7
最大葉齢(L)
6
表1
年度
5
2009
2010
2011
2012
2013
4
3
2
播種後日数とノビエ最大葉齢の関係
播種日
ノビエ確認
確認日
播種後日数
(月/日)
(月/日)
(日)
4/23
4/30
7
4/21
5/3
12
4/21
5/1
10
4/19
4/28
9
4/23
4/29
6
最大葉齢
(葉)
1.0
1.5
1.3
1.4
2.0
1
0
0
200
400
600
800
播種後の積算平均気温(℃)
図 1 水稲の播種からの積算平均気温とノビエ
の最大葉齢の関係(2009~2013)
1.0L
1.2L
1.4L
1.7L
図 2 ノビエの葉齢
注)左から、1.0 葉、1.2 葉、1.4 葉、1.7 葉
8
r=0.97**
7
1:1
RMSE=0.33
推定値(L)
6
5
4
2009
3
2010
2011
2
2012
1
2013
0
0
1
表2 ノビエの確認から5.0葉に達するまでの日数の例
日平均気温
確認されたノビエ葉齢 (L)
(℃)
1.0
1.2
1.5
1.7
2.0
14
34
32
29
28
25
15
31
30
27
26
23
16
29
28
26
24
22
17
28
26
24
23
21
18
26
25
23
21
19
19
25
23
21
20
18
20
23
22
20
19
17
注) 播種日が4/20、ノビエの確認が4/25の事例
2
3
4
5
6
7
8
実測値(L)
図 3 日平均気温によるノビエ最大葉齢の推定
(2009~2013)
[その他]
研究課題名:乾田V溝直播の安定栽培技術の確立
予 算 区 分:県単(超低コスト栽培体系の確立と実証)および県単(革新技術開発普及事業)
研 究 期 間:2013 年度(2009~2013 年度)
研究担当者:野村幹雄、齋藤綾乃(富山農振セ)
、川口祐男(農業技術課)
発表論文等:なし
― 36 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]水稲乾田V溝直播栽培における生育量不足改善に向けた追肥時期
[要約]コシヒカリの乾田V溝直播栽培において、苗立ち不足等により初期生育が確保できない場合、最
高分げつ期より前の 6 月下旬から 7 月初めの追肥施用で穂数および㎡当たり着粒数を増加させることに
より収量を増加させることが可能である。
[キーワード]乾田V溝直播、コシヒカリ、追肥、収量、穂数、1 穂着粒数、㎡当たり着粒数、登熟歩合
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・栽培課
[連絡先]電話 076-429-5280
[背景・ねらい]
乾田V溝直播栽培は「作期および作業分散」
、
「耐倒伏性」
、
「鳥害回避」等の長所を有するため、富山県
では栽培面積は年々増加し、2013 年度は約 313ha となっている。乾田V溝直播栽培では、安定多収のため
に苗立数を 150~200 本/㎡程度を確保することとしているが、春先の気象条件などの影響により苗立ち不
足等のため初期生育が不良となり、目標とする穂数が確保できず、低収となる事例がみられている。そこ
で、コシヒカリの乾田V溝栽培における生育量不足を改善するための追肥時期を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 苗立数が不足している場合、有効分げつ終期から最高分げつ期にあたる出穂前 41~52 日(6 月下旬か
ら 7 月初め)に追肥を施用することにより、幼穂形成期の目標茎数(450 本/㎡)が確保できる(図 1)
。
2 その結果、穂数は標準的な苗立ちが確保された場合と同程度に回復し、㎡当たり着粒数が確保され、
精玄米重は 5%程度増加する(図 1、2)
。
3 一方、最高分げつ期から幼穂分化始期にあたる出穂前 29~38 日(7 月上中旬)に追肥を施用すると、
幼穂形成期の葉色が濃くなる(図 3)
。
4 その結果、2 次枝梗粒を中心として 1 穂着粒数が増加するものの、登熟歩合が低下するため、精玄米
重は増加しない(図 3、4)
。
[成果の活用面・留意点]
1 富山県内のコシヒカリの乾田V溝直播栽培に活用できる。
2 本成果は代かきを前年の 11 月に行い、播種期が4月 20 日頃で、播種量が 2.6~8.6kg/10a、基肥と
して肥効調節型全量基肥を窒素成分で 9.0~11.5kg/10a施用した結果である。また、追肥量は窒素成
分で 1.5kg/10aとした。
3 本技術は苗立ちが不足した場合(100 本/㎡、1m間に 20 本程度以下)の緊急対応的な技術である。追
肥等による着粒数や収量の制御は、生育ステージが遅くなるほど困難となる。このため、収量、品質
および食味の確保には、播種時の播種量、施肥量の確認、苗立ち向上に向けた圃場の排水対策および
適正な除草剤使用など基本技術の励行が重要である。
― 37 ―
[具体的データ]
110
550
105
苗立不足・無追肥
対標準苗立区比
苗立不足・追肥①
450
茎数(本/㎡)
苗立不足・無追肥
標準苗立
500
標準苗立
400
350
300
250
苗立不足・追肥①
100
95
90
85
200
幼形期
80
成熟期
穂数
調査時期
図 1 有効分げつ終期~最高分げつ期の追肥施用が
茎数および穂数に及ぼす影響(2011~2013)
43
41
40
4.0
39
3.9
38
37
3.8
36
3.7
35
苗
苗
無立
追立
追不
肥不
肥足
②足
・
・
図 3 最高分げつ期~幼穂形成期の追肥施用が
幼穂形成期の群落葉色および 2 次枝梗粒
比率に及ぼす影響(2011~2013)
標
準
苗
立
125
42
標準苗立
苗立不足・無追肥
120
苗立不足・追肥②
115
対標準苗立区比
4.1
注1)Y軸の値は、標準苗立区を100とした相対値(図4も同じ)
注 2)追肥時期は図 1 と同じ
2次枝梗粒比率(%)
幼形期の群落葉色
幼形期・群落葉色
2次枝梗粒比率
精玄米重
図 2 有効分げつ終期~最高分げつ期の追肥施用が
収量および収量構成要素に及ぼす影響(2011
~2013)
注 1)苗立数 標準:203~225 本/㎡、・不足:79~131 本/㎡、
(以下、図 2~4 も同じ)
注 2)追肥時期 追肥①:出穂前 41~52 日
4.2
㎡着粒数
110
105
100
95
90
85
一穂着粒数
登熟歩合
精玄米重
図 4 最高分げつ期~幼穂形成期の追肥施用が
収量および収量構成要素に及ぼす影響
(2011~2013)
注 1)追肥時期 追肥②:出穂前 29~38 日
注 1)追肥時期は図 3 と同じ
[その他]
研究課題名:乾田V溝直播の安定栽培技術の確立
予 算 区 分:県単(革新技術開発普及事業)
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:野村幹雄、長岡 令、中山拓也(元・農研)
、高橋 渉
発表論文等:なし
― 38 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]県下水田土壌の変化と実態(7 巡目調査結果)
[要約]県下水田土壌の pH は、上昇に転じたが、依然 61%の地点で診断基準を下回っている。
栄養成分で不足が目立つ項目は、有効態ケイ酸、有効態リン酸および交換性カリで、特に交換性カ
リは、土壌区分にかかわらず減少傾向が継続している。
[キーワード]水田土壌、pH、有効態リン酸、交換性カリ、有効態ケイ酸
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・土壌・環境保全課
[連絡先]電話 076-429-5248
[背景・ねらい]
高品質な農産物の安定生産に重要となる健全な土作りを推進するため、県下全域に設定した定点ほ
場(水田)において、作土層の土壌化学性を中心に継続調査を実施し、その実態を明らかにするとと
もに経年的な変化をモニタリングして地力増強対策の基礎資料を得る。調査は昭和 54 年に開始し、
5 年間で全 56 地点を 1 巡するサイクルとしており、今回は 7 巡目の調査結果を追加して評価する。
[成果の内容・特徴]
1 土壌 pH の平均値は前回調査(H16-19 年)より上昇に転じたが、診断基準(6.0)に満たない地
点数の割合(基準未達率)は 61%で、依然として高い(図 1)
。
2 有効態リン酸の基準未達率は、沖積粘質土・洪積土で増加傾向にあり、今回の調査で 56%に達し
ている。また、その平均値は今回調査までに診断基準値(15mg/100g)と同程度まで減少している
(図 2)
。なお、沖積砂質~壌土の基準未達率は今回調査で 10%である。
3 交換性カリ含量は、いずれの土壌区分においても減少傾向にあり、基準未達率は、沖積砂質~壌
土で 70%、沖積粘質土・洪積土で 53%である。さらに、沖積砂質~壌土の平均値は、前回調査よ
。
り診断基準値(15mg/100g)を下回っている(図 3)
4 有効態ケイ酸の基準未達率は、沖積土壌で 59%、洪積土壌全体では 67%であり、前回より 10 ポ
イント程度減少したが、依然として高い。平均値は診断基準値と同等か 1~2 割程度低い水準であ
る(表)
。
[成果の活用面・留意点]
1 pH、有効態ケイ酸、交換性カリ(沖積粘質土・洪積土では有効態リン酸を追加)について積極的
に土壌診断を実施し、不足する成分を土づくり資材等で補給する。
2 有効態ケイ酸は、今回よりリン酸緩衝液抽出法に対応した診断基準(平成 24 年度策定)を適用し
て評価する。
3 調査対象ほ場の地点変更は、
前回調査までに 14 地点で、
前回から今回調査にかけての変更はない。
― 39 ―
[具体的データ]
21%
5.6
5.6
15%
11%
5.7
19%
5.6
5.9
18%
地点数割合(%)
53%
49%
5.0~5.5
48%
5.0未満
44%
38%
26%
9%
0
S54
‐57
S59
‐62
34%
2%
H1
‐4
40%
23%
19%
4%
H6
‐9
4%
H11
‐14
60
基準未達率
80
6以上
5.5~6.0
45%
58%
70
平均値
39%
53%
〈沖積粘質土・洪積土〉
100
有効態リン酸平均値(mg/100g)
5.8
100
基準未達率(%)
平均値 6.1
50
60
40
40
30
20
20
11% 17%
10
0
S54
‐57
H16 H21
‐19 ‐24年
S59
‐62
H1
‐4
H6
‐9
H11
‐14
H16 H21
‐19 ‐24年
0
図1 pH の階級別地点割合と平均値の推移
図2 有効態リン酸の基準未達率と平均値の推移
※棒グラフ上の数値は pH の平均値
※1基準未達率は、診断基準を満たさない調査地点数の割合
※2平均値に標準偏差を表示、破線は診断基準値
60
80
基準未達率(%)
50
60
40
40
30
20
20
0
10
S54
‐57
S59
‐62
H1
‐4
H6
‐9
H11
‐14
H16 H21
‐19 ‐24年
〈沖積粘質土・洪積土〉
100
70
平均値
60
基準未達率
80
50
60
40
40
30
20
20
0
10
0
S54
‐57
S59
‐62
H1
‐4
H6
‐9
H11
‐14
H16 H21
‐19 ‐24年
交換性カリ平均値(mg/100g)
基準未達率
70
基準未達率(%)
平均値
交換性カリ平均値(mg/100g)
〈沖積砂質~壌土〉
100
0
図3 交換性カリの基準未達率と平均値の推移
※1基準未達率は、診断基準を満たさない調査地点数の割合
※2平均値に標準偏差を表示、破線は診断基準値
表 有効態ケイ酸の基準未達率と平均値の推移
H11~14
リン酸吸収係数
平均値
基準未達率
(mg/100g)
(mg/100g)
(%)
沖積土壌
65.0
24.3
洪積土壌 1000未満
0.0
45.5
1000~1500
66.7
38.5
1500以上
66.7
54.2
全体
46.2
47.9
土壌区分
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
H16~19
H21~24
基準未達率 平均値
(mg/100g)
(%)
基準未達率 平均値
(mg/100g)
(%)
70.7
50.0
75.0
100.0
80.0
20.0
28.3
30.4
30.5
29.9
土壌機能モニタリング調査
県単(土壌生産力向上技術確立試験)
2013 年度(2009~2013 年度)
八木麻子 齊藤 毅 小池 潤(農業技術課)
なし
― 40 ―
59.0
50.0
75.0
71.4
66.7
24.6
30.7
34.7
45.3
38.6
〔診断基準〕
(mg/100g)
25
30
40
55
-
○普及上参考となる技術
[タイトル]ダイズ黒根腐病の発生が収量と品質に及ぼす影響
[要約]ダイズ黒根腐病が発生すると稔実莢数と大粒比率が低下して収量が減少するとともに、
しわ粒が増加する。有効な殺菌剤を施用して本病の発生を減らすことにより、この被害を軽減
できる。
[キーワード]ダイズ、黒根腐病、収量、しわ粒、薬剤
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・病理昆虫課
[連絡先]電話 076-429-5249
[背景・ねらい]
ダイズ黒根腐病は、根を黒色に腐敗させる土壌伝染性病害で、生育の後期には葉の黄化と早期
落葉をもたらす。ただし、根が腐敗していても地上部に病徴が生じるとは限らないことから、本
病の発生に気づかないことが多い。
県外では本病の収量に対する影響は報告されているものの(荒
井ら,2010;黒田,2012)、品質も含めた本県における被害の実態は不明である。そこで、本病の
発生が収量と品質に及ぼす影響を明らかにし、高品質ダイズ生産のための基礎資料を得る。
[成果の内容・特徴]
1
個体の発病程度が高まると、各個体の収量は減少し、しわ粒が増加する(図 1)。
2
その減収要因は、稔実莢数の減少と大粒比率の低下である(図 2、3)。
3
群落の発病度が高まると、収量は減少し、しわ粒率が高まる(図 4)。
4
以上、本病はダイズの収量減少と品質低下の大きな要因の一つである。
[成果の活用面・留意点]
1
生産性向上のための資料として活用する。
2
地下部で発病していても地上部に病徴が生じないことも多いことから、発生状況を知るには、
黄葉期以降に抜き株して根部の発病を調査する必要がある。
3
本病に対してA剤:シルバキュアフロアブルの株元散布が有効であるが、平成 26 年 1 月の時
点で本剤は農薬登録されていない。
4
本成果は「エンレイ」を用いて得られた情報である。
― 41 ―
[具体的データ]
70 発病程度3
4
4
4
3
発病程度2
3
3
2
発病程度1
2
2
1
発病程度0
1
1
60 しわ粒率 %
50 40 30 20 10 0 ‐1
0
1
2
3
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 30
4
図 1
40
茎径cm
発病程度
黒根腐病の発病程度が異なる個体の収量としわ粒
率(2012 年、現地試験)
図 2
50
60 0
主茎長cm
200
400
600
稔実莢数/10株
黒根腐病の発病程度の異なる個体の茎径、
主茎長および稔実莢数(2012 年、現地試験)
注)発病程度を、3:ゴボウ根、2:根 1/3 残存、1:根 2/3
残存、0:ほぼすべて残存
大
中
小
発病
程…
発病
程…
発病
程…
発病
程…
発病程度3
発病程度2
発病程度1
発病程度0
0%
20%
40%
60%
80%
0
100%
粒径比率
図3
20 40 60
収量g/株
黒根腐病の発病程度の異なる個体から収穫した子実の粒径比率(2012 年、現地試験)
100
300
しわ粒率(%)
収量(kg/10a)
80
200
A剤100倍液
100
A剤200倍液
60
40
20
無処理
0
0
0
20
40
60
80
0
20
40
60
80
発 病 度
図4
薬剤試験区における黒根腐病の発生が収量・品質に及ぼす影響(2011 年、所内試験圃場)
注)A 剤は培土前の株元散布、
発病度は、Σ(各発病程度×該当株数)/3/調査株数×100
[その他]
研究課題名:土壌診断法を活用したダイズ立枯性病害の防除技術の開発
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:守川俊幸、田村美佳、岩田忠康
発表論文等:堀井香織・守川俊幸・蛯谷朋佳・藤牧寛充・真栗一也・向井
村美佳・青木由美・岩田忠康
環・越智
直・田
(2014) ダイズ黒根腐病の発生が収量と品質に及ぼ
す影響 北陸病虫研報 62:33(講要).
― 42 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]春まきタマネギの貯蔵病害の発病温度特性
[要約]高温多湿条件下で収穫・貯蔵される春まき栽培で特に注意すべき病害は、既往の主要病
害に加え、Burkholderia spp.、Pantoea ananatis、Dickeya sp. による細菌病、そして黒かび
病である。
[キーワード]タマネギ、鱗茎腐敗、発病温度
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・病理昆虫課
[連絡先]電話 076-429-5249
[背景・ねらい]
当県では春まきタマネギの作型開発を行っているが、本作型では 7~8 月の高温多湿期に収穫・
貯蔵されるため、収穫後に多発する鱗茎腐敗の対策が大きな課題となっている。そこで、防除の
対象とすべき病害を特定するとともに、収穫後の適切な温度管理条件を定めるため、各種病原菌
の鱗茎における発病温度特性を明らかにし、生育期防除あるいは適切な貯蔵温度管理のための情
報を得る。
[成果の内容・特徴]
1
発病適温が 30℃以上の病原細菌は Burkholderia spp.、Pantoea ananatis、Dickeya sp. で
ある(図 1)
。
2
多くの病原細菌が 40℃以上では病徴を発現しないが、Burkholderia spp. は 40℃以上でも病
斑が拡大する(図 1、2)
。
3
糸状菌病の発病適温は、乾腐病菌 Fusarium oxysporum が 28~30℃であるのに対し、黒か
び病菌 Aspergillus niger は 35~40℃と明らかに高く、鱗茎に高温障害を生じる 44℃でも病
斑が拡大する(図 1)。
4
12℃以下では Fusarium oxysporum や Erwinia rhapontici を除き、病斑の拡大は認められ
ない(図 1)
。
5
発病温度特性から、春まきタマネギ栽培で注目すべき病害は,既往の主要病害に加え、
Burkholderia spp.、Pantoea ananatis、Dickeya sp. による細菌病、そして黒かび病と予想
される。
[成果の活用面・留意点]
1
春まき作型における防除暦策定の資料とする。
2
秋まき作型も含めた貯蔵管理の基礎資料として活用する。
3
貯蔵中の被害を防ぐには、本圃での発生を防ぐととともに、収穫後は速やかに乾燥させるな
どの対策も同時に行う。
4
4℃で Fusarium oxysporum や Erwinia rhapontici の病斑拡大は認められない(データ略)。
― 43 ―
[具体的データ]
10
15
20
25
30
35
40
45
10
15
20
25
30
35
40
45
Burkholderia gladioli Burkholderia cepacia
細 菌
Pantoea ananatis
Dickeya sp.
Pectobacterium carotovorum Pectobacterium sp.1
Erwinia rhapontici 糸状菌
Aspergillus niger
Fusarium oxysporum
温度 (℃)
図 1 各種病原菌の発病温度域(太い帯は各接種菌の最大病斑を 100 とした時の 60~100 の範囲)
注) りん片腐敗病:Burkholderia gladioli, 腐敗病:Burkholderia cepacia, Erwinia rhapontici, 軟
腐 病 : Pectobacterium carotovorum, Dickeya sp., 病 名 未 定 : Pantoea ananatis, 黒 か び 病 :
Aspergillus niger, 乾腐病:Fusarium oxysporum f.sp. cepae
26℃
31℃
36℃
41℃
Burkholderia gladioli Burkholderia gladioli Burkholderia gladioli Burkholderia gladioli Burkholderia cepacia
Burkholderia cepacia
Burkholderia cepacia
Burkholderia cepacia
Pantoea ananatis
Pantoea ananatis
Pantoea ananatis
Pantoea ananatis
Dickeya sp.
Dickeya sp.
Dickeya sp.
Dickeya sp.
P. carotovorum P. carotovorum P. carotovorum P. carotovorum Pectobacterium sp.1
Pectobacterium sp.1
Pectobacterium sp.1
Pectobacterium sp.1
0
20
40
60
80
0
20
40
60
80
0
20
40
60
80
0
20
40
60
80
病斑直径 (mm)
図 2 各種病原細菌の温度別の病斑直径(Dickeya sp.は接種 2 日後、その他は 3 日後に調査)
[その他]
研究課題名:東北・北陸地域における新作型開発によるタマネギの端境期生産体系の確立
予 算 区 分:受託(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「東北・北陸地域における新
作型開発によるタマネギの端境期生産体系の確立」)
研 究 期 間:2013 年度(2012~2014 年度)
研究担当者:守川俊幸、田村美佳
発表論文等:なし
― 44 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]赤ネットによるアザミウマ類の侵入抑制効果
[要約]園芸ハウスの側面被覆において、0.8mm 赤ネットは 0.4mm 白ネットと同等にアザミウマ
類の侵入を抑制する。また、露地白ネギにおいても、0.8mm 赤ネットは 0.8mm 白ネットと比較
して抑制効果が高い。
[キーワード]赤ネット、ハウス側面、白ネギ、アザミウマ類
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・農業研究所・病理昆虫課
[連絡先]電話 076-429-5249
[背景・ねらい]
薬剤抵抗性の発達が顕在化しているアザミウマ類に対して、ネットによる被覆は有効な防除手
段であるが、その目合が小さいと通気性の低下により被覆内部の温度や湿度上昇など作物の生育
に悪影響を及ぼすだけでなく作業環境の悪化を招く。そこで、通常の目合で色彩作用により侵入
抑制効果があるとされる赤ネットについてアザミウマ類に対する防除効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
1
園芸ハウスの側面に張った通常目合 0.8mm の赤ネット(商品名:サンサンネットe-レッド)
は、微細目合 0.4mm の白ネットと同等にアザミウマ類の誘殺数が少なく、侵入抑制効果があ
る(図 1)。
2
露地白ネギにおいて、通常目合 0.8mm の赤ネットは通常目合 0.8mm の白ネットと比較してネ
ギアザミウマの寄生数および被害が少なく、無被覆と比較して抑制効果が高い(図 2)。
また、1 カ月間被覆しても白ネギの草丈に差は無く、生育への影響は認められない(図 3)。
[成果の活用面・留意点]
1
ハウス側面および開口部の展張により、外部からのアザミウマ類侵入抑制対策に活用できる。
2
露地の野菜類被覆栽培におけるアザミウマ類侵入抑制対策に活用できる。
3
通常目合 0.8mm の赤ネットを導入することにより、微細目合 0.4mm の白ネットと比較して、
資材費を 38%削減できる(表)。
― 45 ―
露地
10
赤ネット(0.8㍉)
400
200
白ネット(0.4㍉)
5
0
0
2 9 16 23 30 7 14 21 28 4 11 18 25 2 9 16 23 30
4月
図1
5月
6月
20
2013年
露地
15
100
赤ネット(0.8㍉)
10
50
白ネット(0.4㍉)
5
0
0
1 8 15 22 29 6 13 20 27 3 10 17 24 1 8 15 22 29
7月
4月
5月
6月
7月
赤ネットのハウス側面張りによるアザミウマ類侵入抑制効果
栽培作目はトマト、防除は定植時のオルトラン粒剤(2g/株)のみ
ハウス内および露地の誘殺数は青色粘着トラップ(ホリバー)による両面2カ所平均
誘殺されたアザミウマの主要種はヒラズハナアザミウマ、ネギアザミウマ
a
60
10
50
8
6
b
4
b
40
30
10
0
無被覆
a
20
b
2
図2
a
70
12
被害度
1株当り寄生虫数(頭)
14
白ネット
赤ネット
(0.8mm)
(0.8mm)
0
無被覆
白ネット
赤ネット
(0.8mm)
(0.8mm)
露地白ネギの赤ネット被覆によるネギアザミウマ侵入抑制効果
被覆期間は 6 月 14 日~7 月 12 日の 28 日間
被覆前日にトクチオン乳剤 1,000 倍液 1L/10a 散布
寄生虫数は成幼虫数の合計、被害度は国が定めている病害虫発生予察調査基準により算出し、
被害程度により 0~100 で表す
縦線は標準誤差
図中の異なる英小文字間には Tukey 法の多重比較により有意差があることを示す(P<0.05)
70
28日後
60
被覆前
草丈(㎝)
50
40
表 0.4mm白ネットを100とした場合の単価比率(%)
30
種類
20
赤ネット
白ネット
10
0.8mm
62
57
0.4mm
-
100
0
無被覆
図3
白ネット
赤ネット
各処理間における白ネギの草丈
縦線は標準誤差
[その他]
研究課題名:アザミウマ類の発生動態の解明によるウイルス感染拡大防止技術の開発
予 算 区 分:県単(病害虫発生予察および防除対策試験)
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:青山政義、西島裕恵
発表論文等:なし
― 46 ―
露地7日当り誘殺数(頭)
2012年
15
ハウス内7日当り誘殺数(頭)
20
露地7日当り誘殺数(頭)
ハウス内7日当り誘殺数(頭)
[具体的データ]
○普及上参考となる技術
[タイトル]秋まきタマネギの球重確保に向けた生育指標と追肥時期
[要約]秋まきタマネギは越冬後急速に根数が増加し、窒素の吸収量が増えることから、越冬後の肥
効は収量に影響する。ただし 4 月中旬以降の追肥では球重が低下するため、追肥の晩限は 4 月中旬
である。タマネギ越冬後の葉鞘径は、収穫時球重と関係が強いことから生育指標となる。
[キーワード]タマネギ 球重 葉鞘径
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・野菜課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
448 穴セルを用いた秋まきタマネギの機械化一貫体系において、安定した収量を得るための生育指
標が存在しておらず、技術指導の上で非常に問題となる。そこで収量に最も影響するタマネギの球重
を確保するための生育指標を明らかとし、技術対策を検討する。
[成果の内容・特徴]
1.秋まきタマネギは融雪後急速に根数が増加し、窒素の吸収量が増える(図 1、2)
。
2.止肥を施用しないと球重は低下するが、窒素を 3.2 ㎏/10a 以上施肥しても球重は変わらない
(表 1)
。
3.止肥の施肥時期が遅れると球重は低下する(表 2)
。
4.タマネギの生育で球重と最も関係があるのは葉鞘径であり、4 月中下旬の葉鞘径と球重に高い相
関関係が見られる(表 3)
。
5.タマネギ越冬後の葉鞘径は収穫時球重と関係が強く、生育の指標として適する。L品以上を得る
には 4 月 15 日の葉鞘径は約 12mm が目安となり(図 3)
、そのためには越冬後 4 月中旬までの追肥
が重要となる。
[成果の活用面・留意点]
1.タマネギ品種「ターザン」
「ターボ」での試験結果である。
2.止肥施肥量が多いと乾腐病の発生が多くなる。
(平成 24 年度普及に移す技術「追肥量がタマネギ
乾腐病の発生に及ぼす影響」
)
3.タマネギの葉鞘はだ円であり、葉鞘径は葉鞘の最も細い部分(最下位葉の下)の短径を計測した
(下図参照)
。
― 47 ―
70
7
基肥N0kg区
60
窒
素6
吸5
収
量4
基肥N9kg区
( )
根
数 50
292g
基肥N9kg区
追肥 3/4、3/19、4/2
(
本 40
収穫球重
基肥N0kg区
286g
g 3
/
2
㎡
30
)
20
10
1
0
0
11/1 11/16 11/30 3/15
4/1
11/16 11/30 3/15
図 1 根数の推移(2013 年 品種「ターザン」
)
4/1
4/15
図 2 窒素吸収量の推移(2013 年 品種「ターザン」
)
*追肥窒素量(kg/10a)3/4:3.0、3/19、4/2:3.2
表 1 止肥施肥量と収穫物(2012 年)
表 2 止肥施肥時期と収穫物(2012 年)
止肥施肥量
N kg/ 10a
0.0
3.2
6.4
止肥施肥時期
球径
mm
77.2
79.1
78.6
球高
mm
77.2
78.0
77.0
球径
mm
4月中旬(4/13) 78.6
4月下旬(4/23) 73.4
5月上旬(5/2) 73.9
1球重
g
232.9
255.6
256.6
*品種:
「ターボ」 施肥日:4 月 13 日
球高
mm
77.0
74.7
74.8
1球重
g
256.6
214.5
213.2
*品種:
「ターボ」 施肥窒素量 6.4kg/10a
表 3 タマネギの生育と球重の相関係数
4/1調査
草丈 葉鞘径 生葉数 草丈
2012年 0.562 0.722 0.712 2013年 0.700 0.660 0.579 0.673
4/8調査
4/15調査
4/22調査
5/1調査
葉鞘径 生葉数 草丈 葉鞘径 生葉数 草丈 葉鞘径 生葉数 草丈 葉鞘径 生葉数
0.291 0.747 0.702
0.292 0.387 0.184
0.804 0.648 0.703 0.823 0.652 0.652 0.849 0.747
-
*品種:
「ターザン」
450
400
2013年収穫
350
2012年収穫
300
(
球
250
重
g 200
)
150
平均
標準誤差
中央値
100
50
0
0
2
4
6
8
10
12
葉鞘径 4/15
14
16
18
図 3 葉鞘径と球重の関係(品種:
「ターザン」
)
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
タマネギ機械化体系に対応した栽培技術の開発
県単(革新)
2012~2013 年度
浅井雅美、西畑秀次
なし
― 48 ―
葉鞘径(㎜) 球重(g)
11.9
268.8
0.2
4.5
11.8
263.0
○普及上参考となる技術
[タイトル]春播きニンジンの不織布べたがけによる早期収穫および収量の向上
[要約]春播きニンジンにおいて、播種後不織布でべたがけすることにより無被覆に比べ生育が促進
され、根重の増加が速まり、早期の収穫が可能となり収量も向上する。
[キーワード]春播きニンジン、べたがけ、生育促進、収量
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・野菜課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
本県の春播きニンジンは、積雪や春先の天候不順のため播種は早くても 4 月に入ってからとなる。
一方収穫は 7 月となるが、この頃は夏の高温期でニンジンの品質低下や腐敗防止のためできるだけ早
く収穫する必要がある。このように限られた期間の栽培となるため、ニンジンの生育量が十分確保で
きず根重が軽く、夏播きに比べ収量は低下する。そこで、初期の生育促進による収量向上を目的にべ
たがけ栽培の検討を行った。
[成果の内容・特徴]
1 春播きニンジンにおいて播種後不織布をべたがけすることで、生育が促進され収穫時の根重も重
くなる。また抽苔率は低下するものの、抽苔しやすい「彩誉」では完全に抑制できない(表 1,2)
。
2 べたがけの被覆期間は 35 日以上あれば生育促進効果が期待でき、
早期収穫や収量の増大につなが
る。増収の要因として抽苔数が少ないこともあるが、根重の増加や 80g 以下の規格外品の減少に
よる影響が大きい(表 1,2,図 1)
。
3 べたがけの保温効果により地温が上昇し、
地表下1cm では無被覆に比べ2℃程高く推移する(図2)。
4 べたがけした場合、根腐れ病によるしみ症状(黒斑)の発生が多くなる傾向にある(図 1)
。
[成果の活用面・留意点]
1 本県の春播きニンジンに活用できる。
2 本試験の結果は品種「彩誉」によるものである。また、べたがけ資材はパオパオ 90 を使用した。
3 春まきの作型は抽苔しやすいので晩抽性の品種を使用する。
4 べたがけを被覆するときは、ニンジンの成長を考慮しやや浮かした状態とする。
5 根腐れ病予防のため、播種前に必ず土壌殺菌剤を使用する。
― 49 ―
[具体的データ]
表 1 べたがけ処理後の生育状況(4 月 9 日播種、播種後 52 日後調査)
被覆日数
無
35日
45日
52日
葉数
葉長
根径
1本重
枚
cm
mm
g
4.6
5.7
5.8
5.7
16.8
25.4
27.6
28.9
5.4
11.9
11.7
11.4
4.5
16.3
16.1
16.4
被覆除去時
葉数
2.1
4.2
-
品種「彩誉」
表 2 べたがけの有無による収穫時の生育状況(7 月 3 日収穫)
根長
根径
葉重
根重
cm
cm
mm
g
g
65.7
68.5
70.8
68.8
15.2
17.2
17.5
16.8
33.1
40.4
41.7
41.7
73.4
88.2
88.9
76.6
75.8
126.7
137.6
130.1
℃
20
15
80g未満
10
1.5 割・岐根
5
1.0 A品
0
べた
がけ
露地
3半旬
2.0 0.5 0.0 4月
52日
3半旬
しみ
2.5 45日
43.5
52.0
48.0
50.5
2半旬
3.0 35日
本
25
1半旬
平均地温
3.5 無
収穫本数
品種「彩誉」
4.0 収
量
k
g
/
㎡
抽苔率
%
25.7
8.8
12.0
7.8
6半旬
注、収穫本数には抽苔株を含まない
5半旬
無
35日
45日
52日
葉長
4半旬
被覆日数
5月
図 2 べたがけによる地温の変化(地表下 1cm)
図 1 べたがけの有無による規格別収量
注)「しみ」は主に根腐れ病による黒斑
A品:80g 以上で形状が正常なもの
品種「彩誉」
[その他]
研究課題名:ニンジン、ニンニク等の安定生産技術の開発
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:平成 25 年度(平成 24~26 年)
研究担当者:岡田 功
発表論文等:無し
― 50 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]EOD 反応を活用してチューリップの促成切り花長を伸ばせる
[要約]チューリップ促成栽培において、日没後の 4 時間、740nm をピークとした波長の LED 電球
を照射強度 10mW/㎡以上で照射することにより、切り花の茎長を伸ばすことができる。
[キーワード]EOD 反応、チューリップ、LED 電球、黄小町
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・花き課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
日没の時間帯(End Of Day)から数時間の光照射ならびに温度による植物の反応を EOD 反応とよ
び、スプレーギクやトルコギキョウでは遠赤色光照射(EOD-FR)で茎の伸長効果が確認されている。
そこで、チューリップ切り花栽培において、短茎品種の茎を伸ばす手段として、日没の時間帯の遠赤
色光照射の効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
1 チューリップ品種「春天使」
、
「Leen van der Mark」の促成栽培では 730、740nm をピークとした
波長の LED 電球の照射で茎伸長効果がみられ、伸長の効果は主に脚長に起因している(図1)
。
2 チューリップ品種「黄小町」の促成栽培期間中に 740nm をピークとした波長の LED 電球を日没
後薄暮の状態から 4 時間照射することによって、切り花長 38cm 以上の切り花の割合を約 40%増
加できる(表 1、図 2)
。
3 短茎ではない品種「ラルゴ」では、照射の効果は認められない(表2)
。
4 LED電球による照射効果が得られるのは、照射強度10 mW/㎡以上の地点である(表3)
。
5 照射強度 10 mW/㎡以上を維持するには、LED 電球1灯の場合、2m間隔の設置となる(データ
略)
。
[成果の活用面・留意点]
1 品種「黄小町」の促成栽培において活用できる。
2 使用した電球は、農業用市販品であり、LED 電球の照射は、現地試験では、定植 1 週間後から調
査日まで連続して行った。
3 LED 電球照射の効果は、栽培温度によって変動することがある。
4 LED 電球照射の効果には、品種間差がある。
― 51 ―
[具体的データ]
40
春天使
春天使
Leen van der Mark
Leen van der Mark
脚長(cm)
茎長(cm)
9
30
7
5
20
700
対照
730
740
760
730+760
700
対照
波長(nm)
730
740
760
730+760
波長(nm)
図1-a 茎長
図1-b 脚長
図1 各波長が茎長に及ぼす影響(2011 年度温室試験)
・植え付け:春天使 2011 年 11 月 24 日、Leen van der Mark 2012 年 1 月 26 日最低温度 15℃を目標にした温室で栽培
・照射時間:16:30~19:30
表1 LED電球の照射による影響(2012年度現地試験)
照射
無
茎長
草丈
脚長
cm
cm
cm
28.1
a
28.5
a
6.0
切り花重
切り花長38cm
以上の割合
%
g
a
29.8
0
a
有
32.2 b
31.0 b
7.5 b
29.0 a
40.0
植え付け1週間後の2012年12月11日より照射開始、照射時間16時30分より4時間、2013年1月
17日調査
Turkey-KramaerのHSD検定により同一英小文字間には1%水準で有意差がないことを示すn=15
供試品種「黄小町」、ピーク波長740nmのLED電球を使用
表2 LED電球の照射による影響(2012年度温室試験)
茎長
草丈
脚長
切り花重
照射
cm
cm
cm
g
34.7 NS
9.6 NS
27.0
無
35.3 NS
有
34.5 NS
34.7 NS
10.4 NS
26.9
NS
NS
植え付け日2012年11月13日より点灯開始、点灯時間16時30分より3時間、
2013年1月5~12日調査
供試品種「ラルゴ」、ピーク波長740nmのLED電球を使用
表3 照射強度の影響(2013年度)
脚長
電球からの 照射強度
mW/㎡
cm
距離
*
直下
27.6
7.0 b
70cm**
20.6
7.0 b
**
140cm
10.0
7.1 b
210cm**
4.2
6.2 a
無照射
0
5.7 a
*:電球から120cm地点で測定、
測定機器;コニカミノルタCL-500A
**:直下からの距離
Turkey-KramaerのHSD検定により同一英小文
字間には1%水準で有意差がないことを示す
n=10
2013年度園芸研究所温室試験
供試品種:黄小町
[その他]
研究課題名:
予 算 区 分:
研 究 期 間:
研究担当者:
発表論文等:
対照区
照射区
図2 LED 電球の照射効果(2013 年度園芸研究所温室試験)
積雪地帯における切り花栽培技術の現地実証
国委(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)
2013 年度(2011~2013 年度)
辻 俊明、西村麻実、浦嶋 修
― 52 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]球根掘取り直後の高温処理がチューリップの花芽分化に与える効果
[要約]球根掘取り直後に 33~35℃で 3 日間行う高温処理は、花芽分化を誘導する効果があり、花
芽分化も促進するため、八重咲きチューリップの中温処理開始を早めることができる。
[キーワード]チューリップ、高温処理、中温処理
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・花き課
[連絡先]電話 0763-32-2259
[背景・ねらい]
八重咲きチューリップの促成栽培では、
常温で花弁が 10 枚以上分化した後に中温処理(20℃)を開始
することにより開花時の花弁数を確保できるが、開花日を早めるため、球根掘取り直後の高温処
理効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
1 早掘り・適期掘りした球根の高温処理は花芽誘導効果が高まるが、遅掘りした球根では花芽分化
開始後の高温処理になることから、花芽誘導効果は認められない(図1)
。
2 掘取り直後の高温処理は、積算温度が高いほど花芽完成時期が早くなる(図2)
。
3 掘取り直後の高温処理は花芽分化が早く進み、花弁が 10 枚以上に達する時期は常温で貯
蔵した球根よりも 1 週間程早くなる(図3)
。
4 球根掘取り直後の高温処理を 33~35℃で 3 日間行った場合は、
開花日や花弁数に差はないが、
38℃
処理では品種によって開花率が低下する(図4)
。
[成果の活用面・留意点]
1 促成栽培において、高温処理する際の参考となる。
2 高温処理は花芽分化開始前に処理が終わるよう期間を設定する。
3 高温処理温度に対する感受性には品種間差がある。
4 花芽分化は気温等により年次変動があるため、花芽観察を行いながら処理する。
― 53 ―
[具体的データ]
球根の
掘取時期 着色程度
18 花芽分化した球根の割合
処理区
0%
50%
100%
( )
(平均23.1℃)
6/11掘取り
高温処理
枚
35℃
※
雄
し
べ
含
む
常 温
適期掘り (6割)
(平均21.9℃)
6/18掘取り
高温処理
35℃
常 温
遅掘り (10割)
38℃3日間
10 8 6 4 2 高温処理
35℃
※球根掘取り後、3日間処理した後に常温で貯蔵(平均22.3℃:6/11~6/28)
0 6/18 6/25 7/2 7/9 7/16 7/23 7/30 8/6 8/13 8/20
図1 掘取り時期別の花芽分化誘導効果(2012 年)
(供試品種:春のあわゆき)[調査日 6/26~28]
月/日
処理区
6/25
調
6/28
査
8/2
7/5
注)球根掘取り(6/18)直後に処理し、
処理後は常温貯蔵
図3 高温処理が八重咲き品種の
(2012 年)
積算温度 花弁分化数に与える影響
日
8/16
8/24
8/30 (温度×日数) (供試品種:春のあわゆき)
花芽分化開始
( 平均2 2 . 9 ℃)
35℃3日間
(平均23.2℃)
6/25堀取り
常 温
33℃3日間
花 14 弁
数 12 常 温
早掘り (1割)
常温
16 35℃1日間
38℃1日間
高
温 30℃3日間
処
33℃3日間
理
35℃3日間
35
38
90
99
38℃3日間
105
114
※球根掘取り( 6 / 1 2 ) 直後から処理し、処理後はすべて常温で貯蔵( 平均2 5 . 4 ℃: 6 / 1 2 ~8 / 3 0 )
:花芽完成
図2 球根掘取り直後の高温処理が花芽分化に与える影響(2012 年)
(供試系統:砺波育成 128 号/DH 系統)
:常温貯蔵
:中温処理(20℃) :花芽完成
処理後はすべて 常温貯蔵( 平均2 5 . 4 ℃: 6 / 1 4 ~9 / 2 0 )
月/日 7/18
8/10
8/20
試験区
8/30
9/20
茎
長
切
り
花
重
花
弁
数
(% )
(月/日)
(c m)
(g)
(枚)
※
2/1
3 0 .0
3 1 .0
2 7 .7
a
9 1 .7
12/30
2 9 .8
2 1 .7
1 4 .2 *
c
** 8 6 .4
1/8
3 0 .6
2 7 .5
2 4 .0
b
**
8 0 .0
1/8
3 1 .2
2 8 .9
2 4 .5 *
b
**
6 2 .2
1/7
2 7 .8
2 7 .1
2 5 .5
ab
(平均22.6℃)
*
高 33℃3日間
温
35℃3日間
処
理 38℃3日間
開
花
日
9 5 .5
常 温
慣 行
開
花
率
*慣行:7/18 から中温処理
(供試品種:Largo)
**常温で花弁 10 枚以上分化した後に中温処理開始
注)球根掘取り(6/13)の翌日から処理を開始し、
花芽完成後は 15℃2 週 5℃8 週間冷蔵した後、最低 15℃で栽培
※異なる英文字の間には 1%水準で有意差あり(Tukey-Kramer)
*開花時の花弁
図4 高温及び中温処理が花芽完成時期と
花弁数に及ぼす影響(2012 年)
慣行区
[その他]
研究課題名:品種特性を発揮させる促成栽培技術の開発
予 算 区 分 :国委(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年度)
研究担当者:西村麻実、辻 俊明、浦嶋 修
発表論文等:2013 年度園芸学会北陸支部研究発表要旨
― 54 ―
35℃ 3 日間区
○普及上参考となる技術
[タイトル]リンゴ「ふじ」の蜜入り優良系統
[要約]リンゴ「ふじ」の選抜系統 No.60、No.61 は、秋季の気温が高い年でも蜜入りが多い系統であ
る。
[キーワード]リンゴ、ふじ、蜜入り、選抜
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・果樹研究センター
[連絡先]電話 0765-22-0185
[背景・ねらい]
「ふじ」では着色良好な着色系「ふじ」は多数選抜されているが、蜜入りを評価基準とした系統選
抜は行われていない。一方で、消費者からの蜜入りの多い「ふじ」に対する要望は強いが、秋季の気
温が高い年は蜜入りが不安定となり、ニーズに応えられない場面がある。そこで、本研究では所内に
おいて蜜入りの多い「ふじ」の収集を行い、蜜入り優良系統「ふじ」を選抜する。
[成果の内容・特徴]
1.選抜した系統 No.60、No.61 は果樹研究センター内に植栽されている普通「ふじ」で他の 12 樹体
に比較し蜜入りの多い樹体である。
2.収穫盛期における蜜入りは、いずれの系統も対照樹と比べ多く、蜜入り指数 2 以上の果実割合も
高い。系統 No.60 は系統 No.61 と比べると蜜入りがやや少なく、蜜入り指数 2 以上の果実割合が
やや低い傾向にある(図 1、表 1)
。
3.いずれの系統も収穫始期、収穫終期においても対照樹と比べると蜜入りは多い(表 1)
。
4.いずれの系統も秋季の気温が高い年でも対照樹と比べ、蜜入りが多い(図 2)
。
5.いずれの系統も蜜入り以外の果実品質は対照樹と差が小さく、十分な商品性がある(表 2)
。
[成果の活用面・留意点]
1.この試験に用いた普通「ふじ」は 2013 年時点で樹齢 31 年生、43 年生および 50 年生のマルバ台
樹であり、選抜した系統 No.60、No.61 は 43 年生である。
2.いずれの系統も、わい性台木等に接ぎ木した育成苗の果実品質については検討中である。
― 55 ―
[具体的データ]
図 1 蜜入り程度 左から蜜入り指数 0、1、2、3、4
表 1 収穫期における普通「ふじ」の蜜入りの比較
(2009~2013 年)
年次
系統名
系統No.61
系統No.60
R² = 0.3408
)
*対照は同一園地内12樹の平均値
*蜜入り指数は0:無~4:大の5段階評価
対照(12樹)
R² = 0.3102
(
系統No.60
2009年 系統No.61
対照
系統No.60
2010年 系統No.61
対照
系統No.60
2011年 系統No.61
対照
系統No.60
2012年 系統No.61
対照
系統No.60
2013年 系統No.61
対照
蜜入り(指数)
蜜入り指数2以上
3
始期 盛期 終期 個数割合(%)
1.8
60.0
1.4
40.0
2.5
0.7
18.4
蜜
1.9
64.9
入
2
2.5
83.3
り
1.3
38.1
指 1.5
1.6
50.0
数
2.0
74.0
1.1
29.2
1
1.9
1.4
67.5
2.2
1.6
77.5
1.4
1.0
41.5
0.5
1.5
1.2
40.0
14
2.0
2.3
86.7
0.8
0.8
16.7
R² = 0.738
16
18
20
気温(℃)
図 2 11 月上旬の最高気温と蜜入りの関係
(2009~2013 年)
表 2 収穫盛期における普通「ふじ」の果実品質(2009~2011 年)
年次
系統名
系統No.60
2009年 系統No.61
対照
系統No.60
2010年 系統No.61
対照
系統No.60
2011年 系統No.61
対照
果重
(g)
321
318
309
236
240
242
344
322
336
地色 着色面積 硬度
糖度
(指数)
(%)
(lbs) (Brix%)
5.5
78.0
14.4
15.6
5.9
81.0
14.7
15.3
5.7
76.9
14.6
16.0
5.3
84.0
16.1
15.7
5.7
81.6
15.7
14.9
5.1
78.8
15.6
15.6
5.3
85.3
14.5
16.2
5.4
85.8
14.9
15.7
5.4
78.3
14.6
16.1
酸度
(%)
0.38
0.36
0.40
0.35
0.34
0.36
0.45
0.42
0.43
デンプン
(指数)
0.8
0.9
0.8
1.2
1.0
1.2
0.8
0.4
0.3
*対照は同一園地内12樹の平均値
[その他]
研究課題名:リンゴ「ふじ」における気候温暖化に対応した蜜入り促進技術の開発
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2013 年度(2008~2013 年)
研究担当者:南條雅信、大城克明(富山農振)
、濱谷聡志(高岡農振)
、舟橋志津子(新川農振)
、
村上知矢
発表論文等:平成 24 年度園芸学会北陸支部大会(2012.12.04)
― 56 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]リンゴ「ふじ」のホウ素欠乏症状の発生を防止するホウ砂の葉面散布
[要約]樹体内のホウ素濃度が基準値を下回ったリンゴ「ふじ」に対するホウ砂 2,000 倍の新梢停止
期 1 回の葉面散布は、葉中ホウ素濃度を高め、果実のホウ素欠乏症状およびホウ素過剰症状の発生
も無い。
[キーワード]リンゴ、ふじ、ホウ素、葉面散布
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・果樹研究センター
[連絡先]電話 0765-22-0185
[背景・ねらい]
本県のリンゴ主産地である魚津市加積地区では、過去、
「ふじ」果実にホウ素過剰症状が発生し、問
題となったことから葉分析による栄養診断を行っている。しかし、近年ではホウ素の施用が控えられ
ることから、樹体内のホウ素濃度が基準値の 15ppm を下回り、果実にホウ素欠乏症状が発生する場
合もある。
そこで、葉中ホウ素濃度が基準値を下回った樹体を対象に、ホウ素資材の施用方法、施用量の違い
が樹体内のホウ素濃度並びに果実品質に及ぼす効果を解明し、葉分析の栄養診断に基づいた施用方法
を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.新梢停止期(6 月下旬)の葉中ホウ素濃度が 12~14ppm の樹体において、ホウ砂 500~2,000 倍
の開花期前後 3 回の散布は、葉中ホウ素濃度および、果実中ホウ素濃度を高めるが、ホウ砂 500
倍および 1,000 倍の散布は、果実のホウ素過剰症状を発生させる(表 1、図 1)
。
2.新梢停止期(6 月下旬)の葉中ホウ素濃度が 9~11ppm の樹体では、ホウ砂 2,000 倍の新梢停止
期 1 回の葉面散布は、葉中ホウ素濃度を基準値内まで高め、果実のホウ素欠乏症状およびホウ素
過剰症状、薬害の発生も無い(表 2、図 1、2、薬害データ略)
。
[成果の活用面・留意点]
1.葉中ホウ素濃度は、新梢停止期以降の中庸な生育の新梢葉において 15~25ppm が基準である。
ホウ砂の葉面散布実施は、葉中ホウ素濃度が基準を下回った場合に翌年の新梢停止期に行う。
2.ホウ砂は冷水では溶けにくいので 40℃程度のぬるま湯で溶かし、果面の荒れを避けるためクレフ
ノン 500 倍を加用し、散布液がしたたる程度に樹上全面散布する。
― 57 ―
[具体的データ]
表 1 ホウ砂の葉面散布におけるホウ素濃度と果実のホウ素障害発生程度(場内:2012 年)
葉中ホウ素濃度(ppm)
6月25日
7月25日
試 験 区
基部葉
先端葉
中位葉
y
ホウ砂 500倍 16.7 b 16.0 b
18.5 b
ホウ砂1,000倍 15.8 b 15.5 b
16.6 ab
ホウ砂2,000倍 15.3 ab 14.9 b
17.4 b
対 照(無処理) 13.8 a 12.3 a
15.4 a
x
**
**
**
有意性
z
果実中ホ
ウ素濃度
(ppm)
14.6
14.5
11.6
9.6
**
果実のホウ素 w
障害発生程度
過剰症状
欠乏症状
微
微
無
無
-
無
無
無
無
-
b
b
ab
a
z
ホウ砂は開花直前(2012年4月27日)、満開2週間後(同年5月14日)、満開3週間後(同年5月23日)に所
定の濃度に水で希釈後クレフノン500倍を加用し、動噴を用いて散布液がしたたる程度(3~5㍑/
樹)に樹上全面散布した。
y
tukeyの多重比較検定により、異符号間で有意差あり。
x
分散分析により、**1%水準で有意差あり。
w
症状の発生割合を微:5%未満、少:5~10%、中:10~20%、多:20%以上で区分
表 2 ホウ砂の葉面散布におけるホウ素濃度と果実のホウ素障害発生程度(現地:2013 年)
葉中ホウ素濃度(ppm) 果実中ホウ
果実のホウ素 v
障害発生程度
6月24日
7月24日
素濃度
試 験 区
(ppm)
過剰症状
欠乏症状
中位葉
中位葉
z
x
15.4 b
16.4 b
8.5 b
無
無
2,000倍3回散布
y
10.5 ab
15.1 ab
7.8 ab
無
無
2,000倍1回散布
対 照(無処理)
8.9 a
13.1 a
6.7 a
無
無
w
*
*
△
-
-
有意性
z
開花直前(2013年4月18日)、満開2週間後(同年5月14日)、満開3週間後(同年5月21日)にホウ砂
を水で2,000倍に希釈後クレフノン500倍を加用し、動噴を用いて散布液がしたたる程度(3~5
㍑/樹)に樹上全面散布した。
y
満開8週間後(2013年6月24日)にホウ砂を水で2,000倍に希釈後クレフノン500倍を加用し、動
噴を用いて散布液がしたたる程度(5㍑/樹)に樹上全面散布した。
x
tukeyの多重比較検定により、異符号間で有意差あり。
w
分散分析により、*5%、△10%水準で有意差あり。
v
症状の発生割合を微:5%未満、少:5~10%、中:10~20%、多:20%以上で区分
図 1 果実のホウ素過剰症状
(矢印:果実肩部の果肉褐変)
図 2 果実のホウ素欠乏症状(左・果実外観:果皮
の凹凸
右・果実断面:コルク状の褐変)
[その他]
研究課題名:リンゴ「ふじ」に対するホウ素資材の施用方法の解明
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2013 年度(2011~2013 年)
研究担当者:南條雅信
発表論文等:なし
― 58 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]リンゴ中生品種「シナノドルチェ」の特性
[要約]リンゴ「シナノドルチェ」は、9 月下旬に収穫できる中生品種である。果皮は鮮赤色で、果
形は長円、大玉で玉揃いが良い。サクサクとした食感で果汁が多く、甘酸適和で食味良好である。
[キーワード]リンゴ、中生品種、シナノドルチェ
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・園芸研究所・果樹研究センター
[連絡先]電話 0765-22-0185
[背景・ねらい]
富山県におけるリンゴ栽培は、農家の庭先等での直売を中心とし、年末贈答需要の大きい晩生品種
「ふじ」に偏重している。さらなる販売拡大を推進するためには、本県に適した魅力ある品種を導入
し、多様化する消費者ニーズに応えることが重要である。
「シナノドルチェ」は、長野県で「ゴールデンデリシャス」に「千秋」を交配して育成され、2005
年に品種登録された中生品種である。長野県では 9 月下旬に収穫でき、
「千秋」に代わる中生品種とし
て有望であることから、本県における品質・栽培特性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.樹姿は中間で樹勢は「やや強」である。短果枝の着生は少ない(表 1)
。
2.開花盛期は 4 月 28 日で「千秋」
、
「秋陽」
、
「秋映」とほぼ同じである(表 1)
。
3.収穫始期は 9 月 21 日で「千秋」と同じ、
「秋陽」
、
「秋映」より早い。収穫盛期は 9 月 23 日で「千
秋」より 4 日早い(表 1、図 1)
。
4.生産力は「千秋」と同程度、果重は 340g 程度で「千秋」
、
「秋映」より大きい(表 1)
。
5.果肉はサクサクとした食感で香りが良く、果汁が多い。硬度は 12.7 ポンド、糖度は 13.5%程度、
酸度は 0.30%程度、甘酸適和で食味は良好である(表 1)
。
6.貯蔵性は室温で 7 日程度、冷蔵(5℃)で 30 日程度であり、
「秋陽」よりも貯蔵性が良い(表 1)
。
7.果皮は鮮赤色で、縞は明瞭である。果実の形状は円筒~長円。こうあ部にわずかなサビを発生す
る場合があるが、ほとんど目立たない(図 2)
。
[成果の活用面・留意点]
1.収穫期が 9 月下旬で「千秋」とほぼ同時期であり、
「つがる」と「秋映」の間に収穫できることか
ら、
「千秋」に代わる優良中生品種としてバラエティ豊かな品種の構成が可能である。
2.2013 年 4 月に長野県外への苗木販売が開始され、富山県内での栽培は可能である。
3.S 遺伝子型は S2S7 で「王林」とは不和合性であるが、
「ふじ」等その他主要品種とは和合性であ
る。
4.早採りすると食味が淡白となるため、
「ふじ」用地色カラーチャートで地色 5.0 程度を目安に食味
を確認して収穫する。
5.心かびの発生がみられる年がある。
6.非陽光面は着色しにくいので、葉摘みや玉回し等の着色管理が重要である。また、収穫期が高温
の年は着色がやや劣る。
7.収穫期が高温の年は収穫前落果が発生する場合があるため、落果防止剤の散布が必要である。
8.
「千秋」のような収穫期の裂果の発生はなく、袋掛けは必要ない。
― 59 ―
[具体的データ]
表 1 「シナノドルチェ」の特性
品種名
樹姿 樹勢 短果枝
シナノドルチェ
千秋
秋陽
秋映(推奨品種)
中間 ヤ強
中間 強
中間 中
開張 中
少
少
ヤ多
ヤ多
開花日
始期 盛期
4/24 4/28
4/26 4/29
4/24 4/29
4/24 4/28
始期
9/21
9/21
9/23
9/29
収穫日
盛期
9/23
9/27
9/30
10/4
果実の
生産力
揃い
終期
9/27
中
ヤ良
10/5
中
中
10/5
高
良
10/12 ヤ高 ヤ良
x
貯蔵性(日)
着色 デン y
硬度
糖度
酸度 蜜入り
品種名
面積
プン
冷蔵
室温
(5℃)
(g) (指数) (%) (指数) (lbs) (Brix%) (%) (指数)
シナノドルチェ 337
5.0
67.0
0.6
12.7
13.6
0.31
0.0
7
30
千秋
270
4.6
56.3
0.8
13.1
13.3
0.32
0.0
秋陽
354
4.3
63.4
1.8
15.0
14.7
0.45
0.0
7>
14
秋映
322
4.7
84.8
1.9
15.5
14.0
0.39
0.0
※2009~2013 年の平均値。ただし「千秋」は 2009~2012 年の平均値。
z
地色指数は、
「ふじ」用カラーチャートによる評価。 y デンプンは、0(染色なし)~5(ほぼ全面)で評価。
x
蜜入りは、0(発生なし)~4(大)で評価。
果重
地色 z
9 月
中 旬
つ が る
下 旬
上 旬
10 月
中 旬
シナノドルチェ
千 秋
秋 陽
こ う た ろ う
秋 映
陽 光
図 1 「シナノドルチェ」と主な中生品種の収穫期(イメージ)
図 2 「シナノドルチェ」の外観(左から、こうあ部、がくあ部、赤道部)
[その他]
研究課題名:系統適応性・特性検定試験および品種比較試験
予 算 区 分:県単
研 究 期 間:2013 年度(2009~2013 年)
研究担当者:南條雅信、舟橋志津子(新川農振)
、村上知矢
発表論文等:なし
― 60 ―
下 旬
○普及上参考となる技術
[タイトル]乾乳前期における栄養水準の抑制は分娩後の繁殖機能の回復を早める
[要約]乾乳前期に 20%程度の栄養制限をすると、分娩後の初回排卵が早くなり、発情徴候が早期に
出現する傾向があることから、繁殖機能の回復を改善させる可能性がある。
[キーワード]高泌乳牛、乾乳期、繁殖機能
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・畜産研究所・酪農肉牛課
[連絡先]電話 076-469-5921
[背景・ねらい]
近年、乾乳期間の短縮や遺伝的改良により分娩後の過剰なエネルギー不足を回避して泌乳曲線を平
準化させるなどの新たな取り組みが進められており、泌乳曲線の平準化は泌乳初期における負のエネ
ルギーバランスを軽減し、繁殖機能の回復に寄与することが示唆されている。しかしながら、高泌乳
牛の分娩前後の飼養管理については、依然として高栄養高生産による急激な乳量増加をもたらすよう
な管理方法が一般的であり、泌乳平準化に対応する新たな指標に基づく飼養管理基準を示すことが急
務となっている。
そこで、乾乳前期における栄養水準が分娩後の卵巣周期回復や発情徴候の発現に及ぼす影響を明ら
かにする。
[成果の内容・特徴]
1.供試牛には、公立 4 研究所で飼養されている 305 日乳量が 10,000kg 以上の高泌乳牛 25 頭を用いた。
乾乳期間 60 日のうち前期(40 日)の栄養水準について日本飼養標準(乳牛 2006 年版)TDN 要
求量の 130%(高栄養区),105%(適栄養区),80%(低栄養区)で管理する 3 処理区を設けた。乾乳
後期の栄養水準は全処理区において TDN 要求量の 100%とし、分娩後は自由採食として分娩後
15 週までを試験期間とした(図1)
。
2.分娩直後から 15 週目まで週 2 回、乳汁を採取し遠心分離して脱脂乳とした。脱脂乳中のプロジェ
ステロン(P4)濃度を酵素免疫測定法で測定した。乳汁中 P4 濃度が 1ng/ml 以上の値が 2 回以上
持続した場合に黄体機能ありと判断し、
最初に 1ng/ml 以上に上昇した日の 5 日前を排卵日と推定
した。
3.乳汁中 P4 濃度の推移から推定した分娩後の初回排卵日は、低栄養区で平均 24.6 日であり、高栄
養区(36.3 日)や適栄養区(38.9 日)よりも早くなる(表1)。分娩後 25 日以内の早期に初回
排卵が出現する牛の割合についても、低栄養区が 75.0%と最も高い(表1)。
4.分娩後 70 日以内に発情徴候が発現する牛の割合は、低養区で 87.5%と最も高いが、外部徴候の観
察による発情発見率は各処理区ともに低い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
1.乾乳期には可消化養分総量(TDN)58.9%、粗蛋白質(CP)11.2%である粗飼料主体型乾乳期
用混合飼料を用い、高栄養区には TDN 83.2%、CP 24.0%である乾乳期用配合飼料を添加して
いる。
2.泌乳期用飼料には、同一ロットのアメリカ産輸入チモシーおよび配合飼料と大豆粕で調製した混
合飼料(TDN 75%,CP 15.7%)を用いている。
3.本試験では栄養制限を 20%としており、それ以上の制限による影響は不明である。
4.外部徴候による発情発見率は低いため、繁殖成績の向上には内部徴候を正確に捉えていくことが
重要となる。
― 61 ―
[具体的データ]
試験期間
栄養処理期間※
自由採食
自由採食
自由採食
図 1 試験期間中の栄養水準の概要
※栄養処理期間中は日本飼養標準(乳牛 2006 年版)TDN 要求量に対して 130%,105%,80%で管理
表1 乾乳前期栄養水準が分娩後の初回排卵※に及ぼす影響
初回排卵日
区分
25日以内
初回排卵
出現率(%)
頭数
平均 ±SE
高栄養
9
36.3 ±6.9
44.4 ab
適栄養
8
38.9 ±7.3
25.0 a
低栄養
8
24.6 ±6.5
75.0 b
a, b ; p<0.05
※乳汁中P4濃度からの推定による
(乳汁中P4濃度が1ng/ml以上の値が2回以上持続した場合に黄体機能ありと判断)
(最初に1ng/ml以上に上昇した日の5日前を排卵日と推定)
表2 乾乳前期栄養水準が分娩後の発情徴候に及ぼす影響
初回発情日
区分
70日以内
発情徴候※
出現率(%)
外部徴候
による発情
発見率(%)
頭数
平均 ±SE
高栄養
7
50.1 ±9.8
66.7
22.7
適栄養
8
65.0 ±11.3
62.5
27.3
低栄養
6
57.8 ±4.5
87.5
20.8
※内部発情徴候も含む
注)発情徴候には行動など外部からの観察で発見できる外部発情徴候と、子宮や卵巣の
様子など直腸検査や超音波診断装置を用いないと発見できない内部発情徴候がある。
[その他]
研究課題名:高泌乳牛における泌乳平準化を図る新たな周産期栄養管理技術の開発
1)泌乳平準化と繁殖成績向上に対応する乾乳期栄養水準適正化
予 算 区 分:受託(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)
研 究 期 間:2011~2013 年度
研究担当者:沖村朋子、高橋正樹(自然保護課)
、廣瀬富雄
発表論文等:沖村ら(2012)第 61 回北信越畜産学会大会講演要旨集:17
― 62 ―
○普及上参考となる技術
[タイトル]肥育後期牛への飼料用米多給と生稲わらサイレージの給与で国産飼料の安定供給が可能
[要約]肥育後期の黒毛和種去勢牛へ飼料用米を多給する場合の粗飼料として、生稲わらサイレージ
は乾燥稲わらと同様に利用可能である。また、飼料用米や生稲わらサイレージの利用により、さら
なる国産飼料の安定供給が可能になる。
[キーワード]飼料用米多給、生稲わらサイレージ、黒毛和種去勢牛、肥育後期、国産飼料
[担当場所・課]農林水産総合技術センター・畜産研究所・酪農肉牛課
[連絡先]電話 076-469-5921
[背景・ねらい]
購入飼料への依存度が高い肉用牛肥育経営において、国産飼料の活用による飼料自給率向上は極め
て重要な課題である。その対策として、輸入穀物の代替品として注目されている飼料用米や回収時に
天候の影響を受けにくく安定的な供給が期待される生稲わらサイレージの活用が考えられる。
飼料用米の多給については、肥育後期(20~26 ヵ月齢)の黒毛和種去勢牛に濃厚飼料の 5 割を飼料
用米に置きかえた配合飼料を給与してもトウモロコシ給与時と同等の枝肉成績等が得られることを明
らかにしたが、多給時の粗飼料として生稲わらサイレージを給与した場合の成績については明らかで
はない。
そこで本研究では、肥育後期黒毛和種去勢牛の飼料用米多給時に 2 種類の粗飼料(乾燥稲わらと生
稲わらサイレージ)を給与し、飼養成績や枝肉成績について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1.肥育後期(20~26 カ月齢)に、飼料用米の混合割合を乾物中 50%とした配合飼料と乾燥稲わらを
分離給与する「飼料用米 50%+乾わら区」と同配合飼料と生稲わらサイレージを分離給与する「飼
料用米 50%+生わらサイレージ区」の 2 試験区で飼養試験を実施した。飼料用米や乾燥稲わらお
よび生稲わらサイレージの活用で国産飼料の利用割合は 64%にまで高まる(表1)
。
2.乾物摂取量や日増体量に差はないが、粗飼料乾物摂取量は飼料用米 50%+生わらサイレージ区で
やや多いが、飼料要求率に差はない。また、試験期間中の 1 頭あたりの飼料費は、飼料用米 50%
+生わらサイレージ区で約 1 割低減できる(表2)
。
3.枝肉成績は、飼料用米 50%+生わらサイレージ区できめ・締まり等級がやや優れ、4 等級以上の
上物率も 100%と高い。また、BMS No.に差はない(表3)
。
4.血中ビタミンA濃度は、両区とも 23 ヵ月齢で欠乏症状が認められる。また、ビタミンE濃度は飼
料用米 50%+生わらサイレージ区でやや高く推移する(図1)
。
[成果の活用面・留意点]
1.肥育後期牛に、飼料用米多給時の粗飼料として生稲わらサイレージを給与しても乾燥稲わら給与
時と同等の飼養成績および枝肉成績が得られる。
2.給与した生稲わらサイレージは、調製貯蔵後 1 年経過したものである。また、飼料用米は、富山
県産の「てんたかく」の玄米を飼料用米破砕機(デリカ製)で 2mm 程度に破砕したものである。
3.飼料用米の多給は、トウモロコシ給与に比較し血中ビタミンA濃度が低下するため、欠乏レベル
(30IU/dL 以下)にならないよう留意する。
― 63 ―
[具体的データ]
表2 肥育後期に飼料用米を給与した牛の乾物摂取量、体重、日増体量
飼料用米50%
飼料用米50%
+乾燥稲わら +生わらサイ
区
レージ区
(n=6)
(n=7)
合計摂取量
8.06±0.64
7.82±0.51
NS
7.44±0.50
7.05±0.48
NS
乾物摂取量 濃厚摂取量
(kg/日)
粗飼料摂取量
0.62±0.18
0.77±0.09
†
粗飼料摂取割合(%)
7.6
9.9
*
飼料要求率
12.7±1.4
13.4±3.3
NS
開始時
605±46
643±42
NS
体重(kg)
出荷時
727±62
750±39
NS
0.65±0.12
0.61±0.15
日増体量(kg/日)
NS
注)
83,112±6,148 73,506±5,914
試験期間中の飼料費(円/頭)
表1 試験牛への給与形態、供試飼料の配合割合、成分組成、代替率等
飼料用米50%
飼料用米50%+
+生わらサイ
乾燥稲わら区
レージ区
給与形態
分離
分離
給与粗飼料
乾燥稲わら
生稲わらサイ
レージ
配合割合(乾物%)
注1)
34.5
41.0
自家配合飼料
飼料用米(破砕玄米)
生米ぬか
カルシウム
乾燥稲わら
34.6
41.0
4.2
4.2
1.0
19.3
1.0
0.0
0.0
19.2
生稲わらサイレージ
注2)
成分組成(乾物%)
TDN(DM%)
CP(DM%)
80.5
11.8
80.5
11.8
濃厚飼料中の米の割合(DM%)
50.8
50.8
米によるTDN代替率(%)
国産飼料の利用割合(%)
48.3
64.5
48.3
64.4
注)
当所の購入価格等を基に積算
NS:有意差なし、*:p<0.05、†:p<0.1
注1) 圧ペントウモロコシ、圧ペン大麦、ふすま、大豆粕を混合.
注2) 日本標準飼料成分表(2009年版)による設計値.
表3 肥育後期牛に飼料用米を給与した牛の枝肉成績
ロース芯面積(cm )
ばら厚(㎝)
(n=6)
464.6±42.1
52.7±7.5
8.0±0.5
飼料用米50%
+生わらサイ
レージ区
(n=7)
475.4±22.8
54.3±3.4
8.2±0.4
皮下脂肪厚(㎝)
歩留基準値
脂肪交雑(BMS No.)
肉色(BCS No.)
きめ・締り等級
脂肪色(BFS No.)
肉質等級
A5
等級(頭)
A4
2.4±0.5
73.7±0.8
5.7±1.6
4.0
4.0±0.6
3.0
3.8±0.8
1
3
2.8±0.4
73.5±0.6
7.1±1.2
3.7±0.5
4.7±0.5
3.0
4.6±0.5
4
3
2
66.7
100
飼料用米50%+
乾燥稲わら区
枝肉重量(kg)
2
A3
上物率(%)
NS
NS
NS
NS
NS
NS
NS
†
NS
NS
NS:有意差なし、†:p<0.1
IU/dL
ビタミンA
600
90
450
60
300
両区とも23ヵ月齢にビタ
ミンA製剤を経口投与
(50万IU)
30
ビタミンE
μg/dL
120
飼料用米
50%+乾燥
稲わら区
飼料用米
50%+生わら
サイレージ区
150
0
0
開始時(20ヵ月齢)
23ヵ月齢
開始時(20ヵ月齢)
26ヵ月齢
23ヵ月齢
26ヵ月齢
図1 肥育後期に飼料用米を給与した牛の血中ビタミン濃度の推移
[その他]
研究課題名:飼料用米や地域未利用資源を活用した肉用牛向け発酵 TMR の調製・給与技術の開発
予 算 区 分:委託プロ(国産飼料プロ)
研 究 期 間:2013 年度(2010~2014 年度)
研究担当者:髙平寧子、中村真貴、松原禎敏、松原久美子、廣瀬富雄
発表論文等:髙平ら(2013)日本畜産学会大 116 回大会講演要旨:109
― 64 ―
平成15年度
普及に移す技術・品種 技術 18
品種育成 2
(品種数2)
DNAマーカーによる水稲品種「コシヒカリ富山BL」の品種識別
農業試験場
生物工学課
葉いもちに対する各種苗箱施薬剤の防除効果
農業試験場
病理昆虫課
水稲の生育状況を診断するポータブルセンシングマシンの開発
農業試験場
機械営農課
収量・倒伏面からみた「コシヒカリ」点播栽培の適正籾数
農業試験場
機械営農課
大麦の効率的発芽試験法
農業試験場
作物課
トップジンM剤使用中止後の耐性ダイズ紫斑病菌の推移と防除対策
農業試験場
病理昆虫課
ダイズ収穫時期の拡大のための「オオツル」の適正栽植密度
農業試験場
機械営農課
莢先熟抑止および安定多収のための大豆潅水時期
農業試験場
機械営農課
半促成トマトの耐病性台木を用いた青枯病防除技術
野菜花き試験場
野菜課
畝内分離によるサトイモ収穫調整作業の省力化体系
野菜花き試験場
野菜課
チューリップ微斑モザイク病発病株を効率的に除去するための病斑指標
野菜花き試験場
花き課
チューリップ微斑モザイク病に対する品種抵抗性の評価
野菜花き試験場
花き課
チューリップ病害虫の診断と防除・品種抵抗性データベース
野菜花き試験場
花き課
省力的なチューリップ各種ウイルス病の多検体診断法
野菜花き試験場
晩生で明赤色に浅橙色の覆輪の花壇用チューリップ新品種「砺波育成109号」(春万
野菜花き試験場
葉)
極晩生で黄白色の花壇用チューリップ新品種「砺波育成110号」(白ずきん)
野菜花き試験場
花き課
花き課
旧盆に合わせた夏秋小ギクの電照抑制栽培による開花調整技術
野菜花き試験場
花き課
中生リンゴ新品種「こうたろう」の摘果技術
果樹試験場
カキ極早生品種「早秋」の特性
果樹試験場
家畜ふん堆肥化における未利用木質資源の副資材適正
畜産試験場
普及上参考となる技術
花き課
飼料環境課
技術 15
いもち病がイネの品質に及ぼす影響
農業試験場
病理昆虫課
紋枯病がイネの品質・食味に及ぼす影響
農業試験場
病理昆虫課
ダイシストン粒剤の播種溝処理によるフタスジヒメハムシの防除
農業試験場
病理昆虫課
未利用木質資源を副資材として活用した牛糞堆肥の水田への利用
農業試験場
土壌肥料課
「ファイバースノウ」における高品質安定生産のための追肥条件
農業試験場
土壌肥料課
中京圏市場等の評価に基づく富山県産白ネギの産地誘導方向
企画管理部
企画情報課
ネギ疫病菌による根腐れ症状の発生と薬剤効果
農業試験場
病理昆虫課
根深ネギ栽培における肥効調節型窒素肥料を用いた初期生育向上技術
野菜花き試験場
野菜課
葉ダイコン栽培による赤カブ根こぶ病軽減効果
野菜花き試験場
野菜課
チューリップ条斑病株から特異的に検出されるウイルスと血清学的診断法
野菜花き試験場
花き課
チューリップ微斑モザイク病の発生が球根肥大に及ぼす影響
野菜花き試験場
花き課
干し柿原料「三社」の収穫後の保存方法
果樹試験場
ブドウ新品種「ハニービーナス」の特性
果樹試験場
イネ穀実サイレージ給与による黒毛和種去勢牛の肥育
畜産試験場
酪農肉牛課
転作田に適する飼料用栽培ヒエの品種と刈取ステージ
畜産試験場
飼料環境課
― 65 ―
平成16年度
普及に移す技術・品種 技術 7
品種育成 1
(品種数1)
気象温暖化条件におけるコシヒカリの白未熟粒発生軽減のための適正栽植密度 農業試験場
機械営農課
水田転換畑における短葉性ネギの春まき夏どり作型の安定栽培技術
野菜花き試験場
野菜課
チューリップ条斑病に対する抵抗性の品種間差異
野菜花き試験場
耐病性に優れた晩生大型の花壇用チューリップ新品種「砺波育成112号」(紅ずき
野菜花き試験場
ん)
リンゴ「ふじ」の早期成園化に有効な新わい性台木品種「JM7」
果樹試験場
花き課
花き課
大玉で食味良好なニホンナシ中晩生新品種「あきづき」
果樹試験場
ニホンナシ「幸水」における花芽制限および省力器具による作業時間の短縮
果樹試験場
携帯電話を使った牛の分娩開始の感知
畜産試験場・企画管理部
酪農肉牛課・企画情報課
普及上参考となる技術
技術 16
県下水田土壌の変化と実態
農業試験場
土壌肥料課
収量確保のための「てんたかく」の適正着粒数
農業試験場
機械営農課
「てんたかく」の全量基肥施肥栽培における葉色の目安
農業試験場
土壌肥料課
無農薬・無化学肥料などの米に対する消費者の意識
企画管理部
企画情報課
化学農薬・化学肥料を使わないコシヒカリの栽培実証
農業試験場
土壌肥料課ほか
ダイズにおけるウコンノメイガの防除基準
農業試験場
病理昆虫課
ダイズのリゾクトニア根腐病と有効薬剤
農業試験場
病理昆虫課
露地栽培カラーにおけるアザミウマ類の防虫ネットによる防除
農業試験場
病理昆虫課
リンゴ「ふじ」におけるナミハダニの加害許容量調査法
農業試験場
病理昆虫課
モモ早生品種「千曲」等の着果管理技術と収穫開始予測
果樹試験場
肥育前期における黒毛和種去勢牛への稲発酵粗飼料給与
畜産試験場
酪農肉牛課
品種内系統間交雑を用いた系統豚「タテヤマヨーク」の繁殖能力の改善
畜産試験場
養豚課
飼料イネの熟期別および貯蔵後のβーカロテンおよびαートコフェロール含量
畜産試験場
飼料環境課
シバ型放牧草地に適する草種とセル苗による育苗方法
畜産試験場
飼料環境課
ウワバミソウの温床利用による促成栽培
林業試験場
中山間地域資源課
海洋深層水を利用したタラの芽促成栽培
林業試験場
中山間地域資源課
― 66 ―
平成17年度
普及に移す技術・品種 技術 11
品種育成 1
(品種数1)
温湯処理と催芽時食酢浸漬の体系処理による種籾消毒法
農業試験場
病理昆虫課
イネ紋枯病の育苗箱施薬剤による省力・安定防除
農業試験場
病理昆虫課
水稲育苗箱の根張りを確保するため育苗日数
農業試験場
機械営農課
大麦「ファイバースノウ」における容積重、整粒歩合を高めるための適正穂数
農業試験場
機械営農課
検定植物による赤カブ栽培土壌の根こぶ病の発病予測
野菜花き試験場
野菜課
タマネギの品種特性を活かした連続長期出荷
野菜花き試験場
野菜課
チューリップの摘花後に発生する激発型の褐色斑点病の効率的防除
野菜花き試験場
花き課
促成適応性に優れた小型の白系チューリップ新品種「砺波育成113号」(春天使)
野菜花き試験場
花き課
暑熱対策時期の判定と通風等による乳牛ストレスの緩和
畜産試験場
酪農肉牛課
β-カロテン含量低減稲発酵粗飼料の黒毛和種去勢牛への肥育全期間給与
畜産試験場
酪農肉牛課
β-カロテン含量の低い肥育牛向け稲発酵粗飼料の調製法
畜産試験場
飼料環境課
高消化性ソルガムの刈取り適期とロールベールサイレージ調製水分
畜産試験場
飼料環境課
普及上参考となる技術
技術 19
田畑輪換ほ場における窒素収支
農業試験場
土壌肥料課
長期輪換ほ場の堆肥連用による土壌肥沃度の増強
農業試験場
土壌肥料課
ヘアリーベッチ、エンバクの播種時期と播種量の目安
農業試験場
土壌肥料課
湛水処理による水稲のカドミウム吸収抑制効果
農業試験場
土壌肥料課
アカヒゲホソミドリカスミカメの合成性フェロモントラップの設置条件と有効性
農業試験場
病理昆虫課
砂質土壌における「てんたかく」の幼穂形成期の適正生育量
農業試験場
機械営農課
大豆しわ粒発生に及ぼす生育後半における窒素吸収の効果
農業試験場
土壌肥料課
大豆の生育初期における土壌の過湿が生育に与える影響
農業試験場
機械営農課
しわ粒の発生からみた、大豆の刈取り開始時期
農業試験場
機械営農課
短葉性ネギについての消費者の評価と商品開発の方向性
企画管理部
企画情報課
大カブの効果的な窒素追肥
農業試験場
土壌肥料課
自動点滴かん水装置と緩効性肥料を用いた半促成トマトの簡易栽培技術
野菜花き試験場
野菜課
チューリップ黒かび病の多発要因
野菜花き試験場
花き課
モモ新品種「まさひめ」と「よしひめ」の特性
果樹試験場
ニホンナシ「幸水」高齢樹における短果枝の摘芽・摘蕾による効果的な葉数確保法 果樹試験場
牛受精卵の性判別精度の向上
畜産試験場
酪農肉牛課
パーコール液を用いた品質の良いウシ卵子の簡易回収法
畜産試験場
酪農肉牛課
飼料中分解性及び非分解性蛋白質含量と高増体乳用育成牛の発育速度
畜産試験場
酪農肉牛課
肥育豚飼料へのアミノ酸添加による窒素排出量の低減
畜産試験場
養豚課
― 67 ―
平成18年度
普及に移す技術・品種 技術 10
品種育成 1
(品種数1)
本県に適する優良晩生品種「富山67号」の育成(てんこもり)
農業試験場
作物課
アカヒゲホソミドリカスミカメおよびトゲシラホシカメムシの両種に対する有効薬剤
農業試験場
病理昆虫課
大麦「ファイバースノウ」における気温を用いた出穂期予測
農業試験場
機械営農課
サトイモ「大和」のマルチ栽培における生分解性フィルムの増収効果
野菜花き試験場
野菜課
チューリップ球根生産における球根専用緩行性肥料を用いた施肥法
野菜花き試験場
花き課
除草剤を用いたウイルス羅病株除去法
野菜花き試験場
花き課
チューリップXウイルスの発生とその伝染方法
野菜花き試験場
花き課
ニホンナシ「あきづき」の高品質安定生産を目的とした結果枝育成法
果樹試験場
ブドウ「ハニービーナス」の無核化、果粒肥大技術
果樹試験場
携帯テレビ電話を活用した牛の分娩監視装置の改良および実用化
畜産試験場
酪農肉牛課
豚ふんの吸引通気式堆肥化における簡易スクラバと林地残材による脱臭技術
畜産試験場
飼料環境課
普及上参考となる技術
技術 9
共優性型DNAマーカーを利用した水稲および大豆品種の判別技術
農業試験場
作物課
ヘアリーベッチの鋤込みが大豆の収量およびちりめんじわ粒発生に及ぼす効果
農業試験場
土壌肥料課
ダイズリゾクトニア根腐病菌のイネとの伝染環
農業試験場
病理昆虫課
キャベツ栽培における紙マルチの利用とその効果
野菜花き試験場
野菜課
エダマメ(黒豆・中生種)の品種特性
野菜花き試験場
野菜課
春どり一本ネギの適応品種
野菜花き試験場
野菜課
夏秋小ギクにおける発らい期前後の昼の高温による開花遅延
野菜花き試験場
花き課
チューリップ球根の土壌水分管理法
野菜花き試験場
花き課
果樹せん枝チップの土壌表面施用法
果樹試験場
積雪地域でのギョウジャニンニクの無加温促成栽培技術
林業試験場
― 68 ―
中山間地域資源課
平成19年度
普及に移す技術・品種
技術 12
品種育成 3
(品種数4)
いもち病抵抗性新品種「コシヒカリ富山BL7号」の育成
農業試験場
作物課
高級酒醸造向け水稲新品種「富山酒69号」の育成(富の香)
農業試験場
作物課
イネ紋枯病に対する薬剤散布適期
農業試験場
病理昆虫課
粒剤の1回散布により斑点米カメムシ類の防除が可能
農業試験場
病理昆虫課
水稲早生品種「てんたかく」の刈取始期のめやす
農業試験場
機械営農課
品質・食味からみた水稲品種「てんこもり」の直播栽培における適正着粒数と生育指標
農業試験場
機械営農課
ヘアリーベッチの品種特性およびダイズほ場への施用効果
農業試験場
土壌肥料課
緑肥作物すき込み後のダイズにおけるタネバエの発生と薬剤の防除効果
農業試験場
病理昆虫課
ダイズ茎疫病に対する生育期の有効薬剤
農業試験場
病理昆虫課
短葉性ネギ新品種「越中なつ小町」、「越中ふゆ小町」の育成
野菜花き試験場
野菜課
ニホンナシ「あきづき」の生産安定のための適正着果量
果樹試験場
リンゴ「ふじ」における青実果発生要因の解明と軽減技術
果樹試験場
乳牛の直腸温測定による夏季の繁殖性低下牛の発見
畜産試験場
酪農肉牛課
生稲わらサイレージの調製・貯蔵法と肥育後期黒毛和種去勢牛への給与効果
畜産試験場
飼料環境課・酪農肉牛課
養豚用低蛋白質アミノ酸飼料への酵素剤添加による消化率改善効果
畜産試験場
養豚課
普及上参考となる技術
技術 10
土壌窒素肥沃度に対する田畑輪換の影響
農業試験場
土壌肥料課
富山県内から分離されたダイズ茎疫病菌のレース
農業試験場
病理昆虫課
アカヒゲホソミドリカスミカメの増殖を抑制する転作牧草地の草種および作付体系
農業試験場
病理昆虫課
地産地消向け野菜等9品目の生育特性
野菜花き試験場
野菜課
トマトの葉柄中カリウムイオン濃度の維持による葉先枯れ防止技術
野菜花き試験場
野菜課
チューリップサビダニに対するアクテリック乳剤の短時間球根浸漬の防除効果
農業試験場
病理昆虫課ほか
夏秋小ギク新品種「いずみ」のエスレルによる開花調節及び簡易開花予測法
野菜花き試験場
花き課
スプレーギク新品種の電照抑制栽培における切り花品質向上技術
野菜花き試験場
花き課
黒毛和種受胚牛への複数の黄体誘起による受胎率向上効果
畜産試験場
酪農肉牛課
生稲わらサイレージに生米ぬかを混合した肥育牛用発酵TMRの品質と採食性
畜産試験場
酪農肉牛課
― 69 ―
平成20年度
普及に移す技術・品種
技術 18
品種育成 0
(品種数0)
高温登熟条件下における収量・品質面から見たコシヒカリの移植時期の晩限
農業研究所
栽培課
5月6半旬のコシヒカリ移植栽培における生育指標および栽培法
農業研究所
栽培課
収量と品質・食味から見た「てんこもり」の移植栽培における適正着粒数と生育指標
農業研究所
栽培課
水稲における被覆尿素肥料(LPSS100)からの簡易な窒素溶出確認の方法
農業研究所
土壌・環境保全課
条間を狭め栽植密度を高めることによる大豆の収量向上技術
農業研究所
栽培課
土壌pH矯正に必要なアルカリ資材施用量の推定法
農業研究所
土壌・環境保全課
ダイズにおける薬剤の種子塗沫処理によるフタスジヒメハムシの防除
農業研究所
病理昆虫課
大カブの播種期分散を可能とする耕うん同時作業機による省力作業体系
園芸研究所
野菜課
コギクにおけるキクわい化ウイロイドによるキクわい化病の被害と発生の推移
園芸研究所
花き課
ニホンナシ「あきづき」の軸折れ軽減のための摘果方法
園芸研究所
果樹研究センター
ニホンナシ新品種「なつしずく」の特性
園芸研究所
果樹研究センター
ニホンナシ新品種「なつしずく」の収穫基準
園芸研究所
果樹研究センター
ブドウ新品種「シャインマスカット」の特性
園芸研究所
果樹研究センター
自給粗飼料多給による乳用育成牛の早期分娩技術
畜産研究所
酪農肉牛課
生稲わらサイレージ・生米ぬか混合発酵TMRの黒毛和種去勢牛への給与法
畜産研究所
酪農肉牛課
飼料米を配合した低蛋白質アミノ酸飼料給与による特色ある豚肉生産技術
高水分牧草サイレージの調製・貯蔵方法
γ-アミノ酪酸(GABA)を高生産する乳酸菌の同定とかぶらずしへの利用
畜産研究所
畜産研究所
食品研究所
養豚課
飼料環境課
食品加工課
普及上参考となる技術
技術 6
県下水田土壌の変化と実態(6巡目調査結果)
農業研究所
土壌・環境保全課
MBI-D剤耐性イネいもち病菌の県内初確認
農業研究所
病理昆虫課
転換畑土壌における各種アルカリ資材のpH矯正効果
農業研究所
土壌・環境保全課
ダイズの養分集積量および収量に及ぼす土壌pH矯正の影響
農業研究所
土壌・環境保全課
栽培温度と施肥量が切り花用ハボタンの観賞部位の発色に及ぼす影響
園芸研究所
花き課
乳用哺育牛の増体および下痢に対するシンバイオティクス給与効果
畜産研究所
酪農肉牛課
― 70 ―
平成21年度
普及に移す技術・品種
技術 9
品種育成 2
(品種数2)
短稈性といもち病抵抗性をもつ「コシヒカリ富筑SDBL」の育成
農業研究所
育種課
子実水分を利用したオオムギ「ファイバースノウ」の収穫適期予測法
農業研究所
栽培課
前年秋季の畝仮造成による初夏どりキャベツの安定生産技術
園芸研究所
野菜課
白色の八重咲きチューリップ新品種「砺波育成116号」(仮称)の育成
園芸研究所
花き課
チューリップ病害の診断・防除の情報が入手できるウェブサイト
園芸研究所
花き課
整畦植込み機によるチューリップ球根の植付け同時施肥
園芸研究所
花き課
ニホンナシ新品種「なつしずく」の着果管理技術
園芸研究所
果樹研究センター
水田転換畑におけるJM7台木「ふじ」の開園時の排水性改善技術
園芸研究所
果樹研究センター
水稲育苗ハウスを活用した高品質甘ガキのポット栽培
園芸研究所
果樹研究センター
肥育後期における生稲わらサイレージ給与は牛肉中のビタミンE含量を高める
畜産研究所
酪農肉牛課
乳牛の乾乳期間を40日に短縮しても分娩状況、乳生産性、繁殖性に影響しない
畜産研究所
酪農肉牛課
普及上参考となる技術
技術 10
水稲の生育に対する影響と除草効果からみた体系是正剤の処理適期
農業研究所
水稲生育後半の湛水管理が水稲に及ぼす影響
農業研究所
水稲生育後半の湛水管理が地耐力低下に及ぼす影響
農業研究所
栽培課
土壌・環境保全課
栽培課
土壌・環境保全課
栽培課
食酢と生物農薬を用いたイネの種子消毒
農業研究所
病理昆虫課
砂質浅耕土地帯におけるダイズ「エンレイ」の収量向上のための生育指標
農業研究所
栽培課
初夏どり根深ネギ安定栽培のための「羽緑一本太」を用いたセル育苗技術
園芸研究所
野菜課
無加温ハウスを活用し、冬期収穫を目的とした小株どりミズナの栽培方法
園芸研究所
野菜課
ほ場排水性および定植時期がモモの生育に及ぼす影響
離乳後の繁殖豚の飼養管理には、ボディコンディションスコア(BCS)に血中総コレステ
ロール値を加味する必要がある
生稲わらのβ-カロテン・α-トコフェロール含量と予乾やサイレージ調製による変化
園芸研究所
果樹研究センター
畜産研究所
養豚課
畜産研究所
飼料環境課
― 71 ―
平成22年度
普及に移す技術・品種
技術 10
品種育成 1
(品種数1)
5月中旬移植コシヒカリにおける適正な育苗日数
農業研究所
栽培課
沖積砂壌土の乾田V溝直播栽培における播種時の適正な土壌水分
農業研究所
栽培課
新酒造好適米品種「富の香」の安定栽培法
農業研究所
栽培課ほか
大豆新奨励品種「シュウレイ」の特性
農業研究所
育種課
土壌pHの矯正と薬剤の種子塗沫処理によるダイズ茎疫病の防除
農業研究所
病理昆虫課
効率的な夏作緑肥導入技術の確立
農業研究所
土壌・環境保全課
夏作緑肥導入後コシヒカリの基肥施肥量
農業研究所
土壌・環境保全課
被覆資材を用いた高温期のタマネギ発芽安定技術
園芸研究所
野菜課
非選択性茎葉処理除草剤を用いたウイルス罹病株除去法
園芸研究所
花き課
ユリのりん片腐敗性病害の病原菌と薬剤防除
園芸研究所
花き課
リンゴ中生黄色系品種「シナノゴールド」の収穫基準
園芸研究所
果樹研究センター
普及上参考となる技術
技術 20
多収で倒伏に強い「コシヒカリ富農SCM1号」の育成
農業研究所
育種課
沖積砂壌土の乾田V溝直播栽培におけるコシヒカリの適正着粒数
農業研究所
栽培課
コシヒカリのケイ酸吸収に対応した分析法による土壌中有効態ケイ酸の検証
農業研究所
土壌・環境保全課
Pythium arrhenomanesによるイネ苗立枯病の発生と発病特性
農業研究所
病理昆虫課
赤米品種の米ぬかがもつ健康機能性の評価
農業研究所
農業バイオセンターほか
合成性フェロモントラップ誘殺数を用いたウコンノメイガの要防除水準
農業研究所
病理昆虫課
本県で発生するネギの葉枯性病害の種類と「まだら症」の原因
農業研究所
病理昆虫課
夏季のホウレンソウ栽培ハウスにおける高温対策技術
園芸研究所
野菜課
球根専用緩効性肥料によるチューリップ微斑モザイク病の発生抑制
園芸研究所
花き課
CSNVによるアスターおよびトルコギキョウの新病害「茎えそ病」
園芸研究所
花き課
ニホンナシ「幸水」における間植樹の生育促進法
園芸研究所
果樹研究センター
植物成長調整剤「ヒオモン水溶剤」を利用したリンゴ「ふじ」のつる割れ軽減技術
園芸研究所
果樹研究センター
モモ品種「つきあかり」の特性
園芸研究所
果樹研究センター
ブドウ袋掛け直前の殺菌剤の選定
園芸研究所
果樹研究センター
ブドウ袋掛け直前の殺虫剤の選定
園芸研究所
果樹研究センター
経膣採卵・体外受精技術を活用した優良産子生産
畜産研究所
酪農肉牛課
生稲わらサイレージ・生米ぬか混合発酵TMRの肥育中期からの給与法
畜産研究所
酪農肉牛課
育成期の黒毛和種去勢牛に対する稲発酵粗飼料給与技術
畜産研究所
酪農肉牛課
黒毛和種去勢牛における肝臓廃棄と枝肉価格との間に関連性は認められない
畜産研究所
酪農肉牛課
吸引通気式堆肥化で捕集した高濃度発酵臭気の農林副産物利用による持続的
畜産研究所
脱臭
飼料環境課
― 72 ―
平成23年度
普及に移す技術・品種 技術 7
品種育成 4
(品種数4)
「コシヒカリ」の美味しさを受け継ぐ黒米粳品種「富山黒75号」の育成
農業研究所
「コシヒカリ」の美味しさを受け継ぎふ先色を有する赤米粳品種「富山赤78号」の育成
農業研究所
増収・省力が実現できる大麦あと大豆の耕うん同時畝立て狭畦栽培技術
農業研究所
企画管理部
育種課
育種課
農業バイオセンター
栽培課
企画情報課
発生予察調査に基づいた防除の適正化による農薬低減技術
農業研究所
病理昆虫課
7月上旬どり短葉性ネギの育苗期低温馴化による初期生育促進技術
園芸研究所
野菜課
7月上旬どり短葉性ネギの1回目土寄せ適期
園芸研究所
野菜課
エダマメのマルチ栽培における施肥方法と裁植密度
園芸研究所
野菜課
夏播きブロッコリーの優良品種とその作型モデル
園芸研究所
野菜課
高温期のタマネギ育苗における苗質向上技術
園芸研究所
野菜課
白色に赤紫色糸覆輪の晩生チューリップ新品種「砺波育成121号」(仮称)の育成
園芸研究所
花き課
紅白の八重咲き晩成チューリップ新品種「砺波育成122号」(仮称)の育成
園芸研究所
花き課
普及上参考となる技術
技術 12
水稲種子用コンバインの収穫ロスの低減と高品質な種子生産のための作業速度
農業研究所
栽培課
発酵鶏糞を用いた水稲基肥のりん酸・加里成分の代替技術
農業研究所
土壌・環境保全課
りん酸・加里が土壌改良目標値を下回る水田での減肥の影響
農業研究所
土壌・環境保全課
ケイ酸質資材の施用による水稲の割籾率の低減と斑点米被害の抑制
農業研究所
病理昆虫課
アカヒゲホソミドリカスミカメのトラップ誘殺数と割籾率による「てんたかく」の斑点米
被害発生予測
農業研究所
病理昆虫課
夏秋コギクの夏期の高温による開花遅延症状と品種間差異
園芸研究所
花き課
リンゴ中生品種「秋陽」の特性
園芸研究所
果樹研究センター
モモ品種「なつっこ」の特性
園芸研究所
果樹研究センター
産子体重と繁殖成績の変化からみた繁殖牛の適切な更新年齢
畜産研究所
酪農肉牛課
乳用牛に適する飼料用イネ専用品種の選定と給与効果
畜産研究所
酪農肉牛課
肥育後期牛に対するハトムギ茶残さを含む発酵TMRの給与効果
畜産研究所
酪農肉牛課
飼料用米給与が離乳子豚の発育性と消化性に及ぼす影響
畜産研究所
養豚課
― 73 ―
平成24年度
普及に移す技術・品種 技術 14
品種育成 2
(品種数2)
水稲乾田V溝直播栽培における雑草防除体系の省力化 農業研究所
栽培課
水稲乾田V溝直播栽培における播種後の通水による発芽促進および苗立ち安定化技術
農業研究所
栽培課
収穫ロスおよび汚粒を低減する「エンレイ」のコンバイン収穫のポイント
農業研究所
栽培課
水田土壌のケイ酸栄養診断技術の改訂
農業研究所
土壌・環境保全課
イネばか苗病を管理するための種子消毒法と本田での発病特性
企画管理部
病林昆虫課、育種課
濃赤色のユリ咲きチューリップ新品種「砺波育成125号」(仮称)の育成
園芸研究所
花き課
淡黄色の八重・ユリ咲きチューリップ新品種「砺波育成131号」(仮称)の育成
園芸研究所
花き課
薬剤のブームスプレーヤ散布によるチューリップ土壌伝染性ウイルス病の防除
園芸研究所
花き課
大腸菌発現外被タンパク質抗血清を用いたチューリップ条斑病の診断
園芸研究所
花き課
水稲育苗ハウスを活用したブドウボックス栽培
園芸研究所
果樹研究センター
ニホンナシ「なつしずく」のジベレリン処理による熟期促進
園芸研究所
果樹研究センター
モモ「あかつき」熟期判定用専用カラーチャート
園芸研究所
果樹研究センター
リンゴ「ふじ」熟期判定用専用カラーチャート
園芸研究所
果樹研究センター
簡易で牛へのストレスが少ない黒毛和種向け過剰排卵処理法
畜産研究所 酪農肉牛課
普及上参考となる技術
技術 22
栽植密度および穂数を確保するための田植機掻取量の適正化
農業研究所
栽培課
収量損失およびしわ粒の発生を低減するための大豆品種「シュウレイ」の刈取適期
農業研究所
栽培課
大麦「ファイバースノウ」の硝子率低減のための窒素栄養管理と生育指標
農業研究所
土壌・環境保全課
カドミウム汚染を除去した客土水田における土壌肥沃度の経年変化と施肥管理指針
農業研究所
土壌・環境保全課
中干し開始時期と水稲の生育・収量
農業研究所
土壌・環境保全課
適正な播種深度によるダイズ茎疫病の発病抑制
農業研究所
病理昆虫課
ネギ育苗後期の低温馴化処理による定植後生育促進効果の解析
園芸研究所
野菜課
主穀作複合経営における短葉性ネギ経営モデル
企画管理部
企画情報課
秋まきタマネギにおける分球の発生要因と生育指標
園芸研究所
野菜課
高温時期のタマネギ育苗における施肥方法の違いが生育・収量に及ぼす影響
園芸研究所
野菜課
ニンニク「上海早生」における種子りん片品質と収量との関係
園芸研究所
野菜課
追肥量がタマネギ乾腐病の発生に及ぼす影響
農業研究所
園芸研究所
病理昆虫課
野菜課
富山県におけるファイトプラズマの初発生とタマネギ萎黄病の発生状況
園芸研究所
野菜課
高輝度 Red-LEDを利用した暗期中断によるキク花芽分化抑制技術
園芸研究所
花き課
キクを加害するカメムシ類の主要種と有効薬剤
農業研究所
病理昆虫課
リンゴ極早生品種「あおり16」の特性
園芸研究所
果樹研究センター
水稲育苗ハウスでの小果樹類のポット栽培における特性
園芸研究所
果樹研究センター
環状剥皮処理によるカキ「三社」の成熟促進
園芸研究所
果樹研究センター
県産牛肉の脂肪に含まれるオレイン酸割合についての実態
畜産研究所
酪農肉牛課
大麦わらの効率的な飼料調製・貯蔵法
畜産研究所
飼料環境課
破砕処理した飼料用玄米は肥育後期の配合飼料を50%代替できる
畜産研究所
酪農肉牛課
農林副産物資材を利用した生物脱臭実規模プラントで1年以上の脱臭持続が可能
畜産研究所
飼料環境課
― 74 ―
(P10) 図1 剪葉後に発生した葉先枯れ症状
(現地育苗ハウス、剪葉機の進行方向に沿って発病)
(P10) 図2 刃物による伝染
右:汚染ハサミ
左:非汚染ハサミ
(P12) 図1 左:畦中から露出した鱗茎(植付深さ 3cm) 右:緑化球(植付深さ 3cm)
斜め
横
(P12) 図2 変形球の形状
(P13)
― 75 ―
下
*開花時の花弁
慣行区
(P20) 図3
10 枚分化後区
中温処理時期が花弁分化及び生育開花に及ぼす影響(2009 年)
(供試品種:Angelique)
(a)
(b)
(c)
(P22) 図1 チューリップに発生した TRV 新系統によるモザイク症状
(a) 葉のモザイク症状.品種「プリンセプス」(b) 葉のモザイク症状.品種「白雲」
(c) 花のモザイク症状.品種「プリンセプス」
(P22) 図2
(P26) 図1
TRV 新系統のウイルス粒子の
電子顕微鏡写真 Bar=200 nm
(P22) 図3
分離株の原宿主での病徴再現
品種「ハルクロ」
ニホンナシ「あきづき」専用カラーチャート
・チャートには1つの果実を2分割処理した画像を利用
・各チャートの RGB 値は以下のとおり
1=R:145.3 G:119.7 B:72.8 2= R:157.3 G:129.3 B:77.5
3=R:161.0 G:128.8 B:77.3 4=R:166.2 G:132.1 B:84.1
5=R:174.8 G:137.1 B:87.9 6= R:141.5 G:100.8 B:64.1
― 76 ―
(P28) 図2 収穫時期の「クイーンニーナ」
1.0L
(P36)
1.2L
1.4L
図2 ノビエの葉齢
注)左から、1.0 葉、1.2 葉、1.4 葉、1.7 葉
(P47)
葉鞘径の測定部位
(葉鞘の最も細い部分(最下位葉の下)の短径を計測)
慣行区
対照区
1.7L
35℃ 3 日間区
(P54) 図4 高温及び中温処理が花芽完成
時期と花弁数に及ぼす影響
(2012 年)
照射区
(P52) 図2 LED 電球の照射効果
(2013 年度園芸研究所温室試験)
― 77 ―
(P56)
図1
蜜入り程度
左から蜜入り指数 0、1、2、3、4
(P58)
図1
果実のホウ素過剰症状
(矢印:果実肩部の果肉褐変)
(P60)
図2
(P58)
図2
果実のホウ素欠乏症状
(左・果実外観:果皮の凹凸
右・果実断面:コルク状の褐変)
「シナノドルチェ」の外観(左から、こうあ部、がくあ部、赤道部)
― 78 ―