付録1 付録1 オシロスコープと信号発生器 オシロスコープと信号発生器 A.オシロスコープ オシロスコープは真空管[CRT,ブラウン管]を使用し,電圧の時間変化を,真空中を動 く電子の運動の変化に変えて表示部に見えるものとする装置である(図 付1). 図 付1 オシロスコープ前面 オシロスコープの表示画面は,縦方向が電圧,横方向が時間を表す.つまり,表示画面の 縦方向は電圧軸で電圧目盛,横方向は時間軸で時間目盛が刻まれており,それぞれ,電圧測 定と時間測定に用いられる.入力信号は電圧軸に加えられる.時間軸はオシロスコープ内部 で作られた波形(のこぎり波[鋸歯状波 図 付4 参照])が加えられて,信号波形が画面 上に表示されることになる. 入力 入力端子には Ch.1 と Ch.2 があり,端子側の突起に合わせてプローブを差し込み,右にね じって固定する.入力端子の直ぐ右にあるレバーで,交流(AC)表示[直流電圧分を除いた表 示],直流表示(DC)を選択する.また,GND を選ぶことでグランドレベル[入力電圧が 0V] を表示させることもできる(図 付2). 図 付2 オシロスコープの操作パネル - 23 - 時間・電圧測定 (図 付3 参照) 時間測定 オシロスコープの表示面の表示と,ビームの横軸方向の移動速度(掃引速度)[時間軸ツ マミ(TIME/DIV)で設定できる]との関係を図 付4に示す.表示面に示されるのは鋸歯状波 の1周期分であるため,入力信号は同じでも,時間軸ツマミにより掃引速度を変えることに より表示面上に示される波形が異なることになる.掃引速度が小さいときには鋸歯状波の1 周期分に相当する入力信号(図の場合,正弦波の5周期分)の波形が表示され,一方,掃引 速度が小さいときには,同じく鋸歯状波の1周期分に相当する,短い時間の信号波形(図の 場合,正弦波の2周期分)が表示される. 上述のことから,波形が水平(時間)軸で詰まり過ぎたり,逆に間延びし過ぎる場合,時 間軸ツマミを操作して波形を観測しやすい形に調整すればよいことが分かる.調整後,時間 軸ツマミの設定値[TIME/DIV の値]と,波形の繰り返しが何目盛分であるかを求めること により,波形の周期を測定できる.例えば,ツマミの白線の位置(読み)が 1μs / div で, 波形が 3.4 目盛毎の繰り返しである場合には,周期が 3.4μs と求まる. 電圧測定 波形が垂直(電圧)軸からはみ出したり,小さすぎて変動が判別できないときには,電圧 軸ツマミを調整して波形を見易い大きさにすることができる.こうしたとき,電圧軸ツマミ の読みと,波形の最小から最大までの幅[波形幅 VP と呼ぶ]が何目盛分であるかを知るこ とにより,波形幅の大きさ VP [V]を測定できる.例えば,ツマミの読みが 1 mV/ div で,波 形幅が 6.2 目盛分あるとすると,電圧幅 VP は 6.2 mV と求まる. 電圧設定 上述の電圧測定の方法から,電圧設定の方法が容易に導かれる.このとき,(波形の)電 圧をできるだけ正確に設定するため,表示される波形の高さ(peak-to-peak とする)が電圧 軸目盛で数個(3~7)となるようにする.すなわち,設定すべき電圧値 VS の 1 / 3~ 1 / 7 に 相当する電圧軸ツマミを見出して設定する(この値を VS / k とする).表示面で波形を観 察しながら,波形幅(peak-to-peak)がほぼk目盛となるように,信号発生器の AMPLITUDE ツマミを調整する.たとえば,0.1 V に設定する場合,電圧軸ツマミを 20μV/div に設定し(k = 5.0),波形幅を,ほぼ 5.0 となるように調整する.このようにして設定した電圧値は,電圧 測定法により測定して記録する.有効数字2桁以上. 表示位置 波形 を上 下, 左右に 移動さ せた い場 合,そ れぞれ ,垂 直軸 Position ツマミと 水平 軸 Position ツマミで調整できる. 2信号の表示 2つの信号を同時に表示画面に表示させたいとき,表示切替ツマミの ALT か CHOP を用 いる.一般的には,ほぼ 20 kHz までは CHOP,それ以上の周波数の場合には ALT を用いる. ALT(Alternate)は,1回表示する毎に信号Aと信号 B とを交互に表示する方式. CHOP(Chop)は,2つの信号を約 150 kHz の高周波信号でサンプリングし,サンプル値を 交互に表示する方式で,各信号は細かく見れば細切れに表示される。 - 24 - ■ 時間の測定(周波数の測定) 時間(s)= 距離(div)× 掃引時間(s/div) ■時間の測定(周波数の測定) 時間(s)= 距離(div)× 掃引時間(s/div) 図 付3 表示画面を用いた時間測定と電圧測定 - 25 - B.信号発生器(Function Generator FG と略することもある) 図 付4に信号発生器の前面を示す.この発生器からの信号を取り出すには右側にある出力 端子[OUTPUT]にケーブルを と同じである. 接続する.接続はオシロスコープへのプローブの取り付け方法 三角波,方形波の3種類から右上にあるボタンで選択する.信号の 大きさ(振幅)は,調節ツマミの右端にある AMPLITUDE ツマミを回して調節する.出力の大 きさはオシロスコープで確認する.なお,小さな信号出力が必要な場合には AMPLITUDE ツ マミの上にある-20 dB,-40 dB のボタンを押すことにより,それぞれ,1/10 と 1/100 の大 きさに抑えることができる. 一方,信号の周波数は,上側にある周波数範囲設定ボタンを選択することで大枠を決め, 調節ツマミの左端にある FREQUENCY ツマミで連続的に細かな調節ができる.発生される信 号の周波数は,表示窓に数字で示される.この数字の単位は Hz か kHz のランプ点灯で表示 出力波形は,正弦波, される. 図 付4 信号発生器前面 - 26 - オシロスコープと信号発生器の使い方 信号発生器とオシロスコープを 接続し、正弦波の波形が観測できるようにする。 時間測定 - 1周期の時間を測定する。 - 手順 - 1. 、約 10kHz に設定する。 信号発生器で発生させる正弦波の周波数を FREQUENCY つまみ と 選択ボタンを使用 2. オシロスコープの横軸つまみ[TIME/DIV](掃引時間)を 50μs に合わせる。 こうした時の波形の1周期( 山から 山、 あるいは 谷 から谷 )の間の時間を求める。 3. 山から山までの目盛[約 1cm 間隔]の数を読みとる(小数点以下1桁まで) 4. 次に、TIME/DIV の値とこの目盛数とを掛け合わせて1周期の時間が求まる。 信号発生器はそのままにして 1. TIME/DIV](掃引時間)を 20μs に合わせる。 こうした時の波形の1周期( 山から 山、 あるいは 谷 から谷 )の間の時間を求める。 2. 山から山までの目盛[約 1cm 間隔]の数を読みとる(小数点以下1桁) 3. 次に、TIME/DIV の値とこの目盛数とを掛け合わせて1周期の時間が求まる。 オシロスコープの横軸つまみ[ 両者で結果がほぼ同じになることを確認せよ。 ⇒ オシロスコープの操作では、信号そのものは変化しない 様式の例(後で経過を確かめたくなった時それができるように) 周波数 周 期 備 考 数値 単位 TIME/DIV 目盛数 周期(単位) 周波数×周期 10.2 kHz 50μs 1.9 95μs 0.97 10.2 kHz 20μs 4.9 98μs 1.0 50μs 20μs 記録 - 27 - 電圧測定 – 波形の大きさ(振幅)を測定する。 - 手順 - 、約 10kHz そのままとする。 Amplitude つまみ と 選択ボタン(-20dB, -40dB)を用いて、波形の大きさを調整する。 1. オシロスコープの縦軸つまみ[VOLTS/DIV](偏向感度)を 0.2V に合わせる。 波形の 谷 から 山 までが 、 上下方向の目盛でほぼ 4 目盛分となるように 、 信号発生器の Amplitude つまみで調整する。 こうした時の波形の大きさ[谷 から 山の間の電圧](p-p 電圧 =振 幅の2 倍 )を求める。 [p-p: peak-to-peak] 2. 谷から山までの目盛[約 1cm 間隔]の数を読みとる(小数点以下1桁まで) 3. 次に、VOLTS/DIV の値とこの目盛数とを掛け合わせて p-p 電圧が求まる。 信号発生器で発生させる正弦波の周波数は 信号発生器はそのままにして 1. VOLTS/DIV]を 0.5V に合わせる。 こうした時の波形の大きさ[谷 から 山の間の電圧](p-p 電圧)を求める。 2. 谷から山までの目盛[約 1cm 間隔]の数を読みとる(小数点以下1桁) 3. 次に、VOLTS/DIV の値とこの目盛数とを掛け合わせて p-p 電圧が求まる。 オシロスコープの縦軸つまみ[ 両者で結果がほぼ同じになることを確認せよ。 ⇒ オシロスコープの操作では、信号そのものは変化しない 様式の例(後で経過を確かめたくなった時それができるように) 周波数 電圧 V (peak to peak) 数値 単位 TIME/DIV 目盛数 電圧(単位) 10.2 kHz 0.2V 3.8 7.6V 10.2 kHz 0.5V 1.6 8.0V 0.2V 0.5V 記録 - 28 -
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