アジア・オセアニアからの IFRS への新風

仮
訳
アジア・オセアニア会計基準設定主体
グループ(AOSSG) ビジョン・ペーパー
2011 年
-アジア・オセアニアからの IFRS への新風-
議長からのメッセージ
近年、アジア・オセアニア地域の経済は大幅に拡大しており、現在「世界経済の牽引役」
として広く認識されている。さらに、多くの法域が国際財務報告基準(IFRS)とのコンバ
ージェンスの取組みを進めており、任意又は強制のいずれかで IFRS の適用を始めている。
当地域の会計設定主体のグループであるアジア・オセアニア会計基準設定主体グループ
(AOSSG)は、グローバル化する財務報告基準に関する知識を互いに活用するとともに、
基準の適用に関する経験を共有するために、2009 年に設立された。設立以来、当グループ
の有用性は、特に国際会計基準審議会(IASB)又は IFRS 財団の他の機関が公表した提案
へのコメントに関して、すぐに認知されるようになった。「IFRS への新風」という標語の
もとで結成されている AOSSG は、グローバルな財務報告基準の設定に貢献していくよう活
動を続けている。我々は、目的を達成するために努力を続けるとともに、グローバルな基
準設定において主導的役割を果たすものと見られるように、より大きな責任を担っていく
つもりである。以下は、我々の将来の展望に関する幾つかの考えを示したものである。
当面の活動
 AOSSG は、地域の意見をよりよく反映するために、メンバーを拡大するとともに、各
メンバーの能力向上のためにより多くの資源を注いでいく。
 AOSSG は、IASB 及び IFRS 財団の他の機関とのコミュニケーションの増進を、テクニ
カルな議題と戦略的な議題の両方に関して続けていく。
 AOSSG は、グループの認知度を高めるために、利害関係者と関係を強化する。
将来に向けたビジョン
 AOSSG は、IFRS 財団のリエゾン・オフィスを有効に活用することを考慮しつつ、当地
域におけるメンバーの知識及び経験をさらに効果的に結集していくよう、努力する。
 AOSSG は、基準の整合的な適用に関してメンバーを支援するとともに、IASB ないし
解釈指針委員会に照会すべき共通の問題点を識別していくことが考えられる。
 AOSSG は、各メンバーのリソースや経験を活用し、基準適用後のレビュー、フィール
ド・ビジット、影響度分析の実施に関して IASB を支援することが考えられる。
 AOSSG は、基準の公表前及び公表後に、重要な検討課題に関するメンバーへの助言を
行うことを検討することが考えられる。
 AOSSG は、事務局の役割の継続性確保を通じ、事務局機能の強化を検討していくこと
が考えられる。
 AOSSG は、内在する課題を認識しつつも、非営利及び公的部門の企業に関する会計基
準に関する役割の拡大を検討することが考えられる。
西川 郁生
AOSSG 議長
2011 年 6 月
目次
I. はじめに....................................................................................................................................... 1
II. AOSSGとは - AOSSGの概要 - ................................................................................................. 2
1. アジア・オセアニア地域における最近の動向 - AOSSGの設立- .................................... 2
2. AOSSGの目的 .......................................................................................................................... 7
3. 組織の構成及びメンバー ....................................................................................................... 7
III. これまでの取組 ....................................................................................................................... 9
1. 活動の概要 ............................................................................................................................... 9
2. IASB及びIFRS財団に対する地域の意見の伝達.................................................................. 9
3. 知識及び情報の共有 ............................................................................................................. 10
4. 利害関係者とのコミュニケーション ................................................................................. 10
5. 研究活動 ................................................................................................................................. 11
IV. 当面の活動 ............................................................................................................................. 12
1. メンバーの拡充 ..................................................................................................................... 12
2. IASB及びIFRS財団の他の機関とのコミュニケーションの拡充.................................... 12
3. 外部の利害関係者とのコミュニケーションの強化 ......................................................... 13
V.
将来へ向けたビジョン ......................................................................................................... 14
1. グローバルな会計基準設定における指導的役割 ............................................................. 14
2. 主体的な研究等 ..................................................................................................................... 15
3. 整合的な適用に関する地域での活動 ................................................................................. 15
4. IASBに対するその他の支援 ................................................................................................ 16
5. メンバー国向けの助言及び協議 ......................................................................................... 16
6. AOSSGの事務局 .................................................................................................................... 17
7. その他 ..................................................................................................................................... 17
VI. おわりに ................................................................................................................................. 19
付録 1: AOSSGのサブグループのメンバー構成及び提出物 ..................................................... 20
付録 2: データ.................................................................................................................................. 23
I. はじめに
資本市場が発展を続けるに従い、財務報告の重要性は、投資家の信頼を確保し、各国経
済及び国際経済の健全な成長を保証する上で、最重要なものとなった。投資家を保護する
ことのできる重要な方策の一つが、高品質でグローバルに認められる単一の会計基準の開
発及び適用であることは現在広く認識されている。こうした状況下で、世界中の多くの法
域が、高品質と認識されている会計基準へのコンバージェンス又はその適用の過程にある。
これは、経済が力強く成長し、世界経済及び資本市場への影響力が着実に高まっているア
ジアとオセアニアの地域についても例外ではない。
本文書は、地域の会計基準設定主体が構成する機関であるアジア・オセアニア会計基準
設定主体グループ(AOSSG)の活動、また、その目的を達成するために将来どのような活
動を考えているかを取り上げている。本文書は、AOSSGメンバーの内外双方のさまざまな
利害関係者から関心を寄せられるとともに、次のように多くの方法で参照されうるもので
ある。
 AOSSG のメンバーが、将来、グループの活動をどのように進めていくのかに関する議
論の検討材料とするため。
 新たにメンバーやオブザーバーになろうとする者が、グループに参加する前に AOSSG
の運営を適切に理解し、どのような貢献が実現可能なのかを検討するため。
 国際会計基準審議会(IASB)、IFRS 解釈指針委員会、IFRS 財団評議員会が、グローバ
ルな財務報告基準の開発における活動に AOSSG がどのように協力できるのかをより正
確に理解するため。
 他の地域的組織や他地域の各国基準設定主体が、互いに協力しうるかどうか、どのよう
に協力すべきかをよりよく理解するため。
 AOSSG と同様のモデルを検討している法域が、どのように地域的な枠組みを創設する
とともに効果的な運営を行っていけるかについて理解するため。
 各法域の利害関係者が、各国基準設定主体が AOSSG と関わっていく理由及び協力の方
法をよりよく理解するため。
1
II. AOSSG とは - AOSSG の概要 1.
アジア・オセアニア地域における最近の動向 - AOSSG の設立アジア・オセアニア地域は、先進国と新興国で構成されており、その経済発展の段階は
さまざまである。当地域における各国経済の多くは、新興経済に分類され、急速な経済成
長を経験しており、近年のGDP成長率は二桁又は一桁後半に上っている。当地域のGDPは
約19兆米ドルで、2009年には世界のGDPの30%以上を占めている。
また、当地域は人口が多く、天然資源も豊富である。当地域には世界の人口の60%以上
(42億人)が住んでいる。地域内取引及び国際取引は、かつてないほど活気があり広範に
及んでいる。世界に販売される商品及びサービスの市場シェアは増大している。また、地
域内の企業の時価総額も大きく上昇しており、最近の時価総額の増加の速度は、世界経済
の速度を上回っている。例えば、アジア・パシフィック及び中東の上場企業の時価総額は、
2009年の17兆米ドルから2010年の21兆米ドルへと21%以上増加したが、当該期間中の世界
の時価総額の増加は約15%であった。これらの事実は、当地域の経済が勢いを増しており、
世界経済の中で今までになく競争力及び影響力が高まっていることを示している。
さらに、国際財務報告基準(IFRS)の当地域における受入れがますます拡大しており、
他の法域は、IFRSの採用を検討中であるか又はIFRSとのコンバージェンスを進めていると
ころである。過去10年間、欧州と米国が、グローバルな会計基準設定における中心的な役
割を果たしてきた。グローバルな基準の検討課題を主導してきたのは、第一には欧州で、
第二はIFRSと米国基準とのコンバージェンス・プログラムであった。しかし、アジア・オ
セアニア地域の重要性の高まりを踏まえ、利害関係者からは、グローバルな基準への機運
を維持し、IASBの信用及び的確な反応を確保するために、当地域の会計基準設定主体がグ
ローバルな基準設定にさらに大きな役割を果たすべきだという提案がますます多くなって
いる。こうしたことを背景に、2009年に、アジア・オセアニア地域における各法域の認知
された会計基準設定主体のグループであるAOSSGが設立された。
2
現在、AOSSG は次の 25 のメンバーで構成されている。
表 1: AOSSGメンバーの一覧 1
1
企業会計基準委員会(ASBJ)
2
ネパール会計基準審議会
3
シンガポール会計基準評議会
4
オーストラリア会計基準審議会
5
中国会計基準委員会
6
ドバイ金融サービス機構
7
ニュージーランド勅許会計士協会 財務報告基準審議会 2
8
フィリピン財務報告基準評議会
9
香港会計士協会 (HKICPA)
10
パキスタン勅許会計士協会
11
イラク会計士監査人組合
12
韓国会計基準委員会
13
マレーシア会計基準審議会
14
ブルネイ財務省
15
ベトナム財務省
16
モンゴル勅許会計士協会
17
カンボジア会計評議会
18
ウズベキスタン会計士監査人協会
19
サウジアラビア公認会計士協会
20
カザフスタン共和国監査人協会
21
マカオ監査人会計士登録委員会
22
インドネシア会計士協会 財務会計基準審議会
23
タイ会計業連盟
24
インド勅許会計士協会
25
スリランカ勅許会計士協会
1
2
メンバーはアルファベット順に掲載。
2011 年 7 月より、ニュージーランド会計基準審議会(NZASB) が会計基準の設定権限を有することになる。
3
AOSSG のメンバーは、アジア及びオセアニア地域の大部分を占めており、下記の地図に
青色で示されている。
地図 1:
AOSSG メンバー
4
表 2: IFRSの適用状況 3
法域
IFRS へ
のコンバ
ージェン
スが進め
られてい
る
IFRS へ
の完全な
コンバー
ジェンス
を達成
オーストラリ
ア
ブルネイ
すべての
会社に
IFRS を
要求
監査報告
書に
IFRS へ
の準拠の
旨を記載
X
Yes
X
X
Yes
X
Yes
X
X
Yes
Yes
X
Yes
X
Yes
X
Yes
Yes
ブルネイには証券取引所がない。
カンボジア
中国
ドバイ
香港
インド
インドネシア
イラク
日本
カザフスタン
韓国
マカオ
マレーシア
モンゴル
ネパール
ニュージーラ
ンド
パキスタン
フィリピン
サウジアラビ
ア
シンガポール
スリランカ
タイ
ウズベキスタ
ン
ベトナム
合計
国内上場会社
IFRS を
IFRS を
一部の会
容認せず
容認
社に IFRS
を要求
カンボジアには証券取引所がない。
X
X
X
X
X
マカオには証券取引所がない。
X
X
X
X
X
X
Yes
X
X
X
7
1
2
3
3
1
9
10
この表は、公表情報又は AOSSG メンバーから提出された情報に基づいているが、基準レベルでの情報の精査は行って
いない。
5
(注記)

新しい中国企業会計基準(CASs) は、2006年に財務省(MoF)から公表され、2007年1月1日に発効した。
これらの基準は、中国固有の状況及び環境を反映する一部の修正(すなわち、長期的資産に関する減
損の戻し入れを認めない)を除き、IFRSにほぼコンバージェンスされている。2010年4月に、財務省
は、CASとIFRSとのコンバージェンスの継続のためのロードマップを公表した。現在、CASは、IFRS
への完全なコンバージェンスを達成している。CASは、PRC上場会社、金融機関、及び他の大規模並
びに中規模企業を含む企業に強制されている。
2007年12月に、HKICPAは、HKFRS(IFRSと同一)とCASとの同等性を認めた。2010年12月に、香港証
券取引所は、香港に上場している中国企業に、CASを使用して財務諸表を作成するとともに、承認さ
れた中国の監査事務所による監査を受ける選択肢を認めることを決定した。EU委員会は、中国の発行
体がEU市場に参加する際に、EUが承認したIFRSに従った財務諸表への調整をせずにCASを利用する
ことを認めている。

香港は中国の特別行政区である。香港の会計基準は、2005年1月1日にIFRSと完全にコンバージェンス
されている。香港基準は、対応するIFRSと同一の文言を含んでいる。ただし、当初に2005年1月1日を
発効日としてコンバージェンスされた若干の基準の経過措置が、従前の香港基準の要求事項からの経
過措置を規定するために変更されている。2005年1月1日以降は、公表 されたすべてのHKFRSは、IFRS
と発効日及び経過措置が同じになっている。

インドは、2012年から2014年の間にさまざまな企業について段階的にIFRSとコンバージェンスする計
画を発表した。

インドネシアはIFRSとのコンバージェンスに関して、大きな進展を遂げている。2012年1月より、イ
ンドネシアの会計基準はIFRSとほぼ同一となる予定である。

ASBJは、2007年の「東京合意」に従って、日本基準とIFRSとのコンバージェンスを進めている。2009
年12月に金融庁は、一部の上場会社の連結財務諸表に関して、2010年3月31日終了事業年度から、金融
庁長官が指定したIFRSの任意適用を認める内閣府令を公表した。当該企業の連結財務諸表を監査する
際に、監査人は、監査報告書に指定された基準に準拠した旨の記載をするよう要求されているが、双
方の基準が同一の場合は、IFRS(IASBが公表したもの)への準拠を記載することが可能である。

韓国は、2011年から韓国財務報告基準としてIASBにより公表されたすべてのIFRSを採用しており、
2009年から早期適用が認められている。

マレーシア証券取引所に上場している外国企業は、IFRSを利用することができる。マレーシアは、2012
年1月1日を発効日としてマレーシア基準をIFRSと完全にコンバージェンスする計画を発表した。

サウジ証券取引所に上場するすべての銀行及び保険会社は、IFRSを利用しなければならない。

シンガポールでは、シンガポール証券取引所(SGX)に上場している外国企業に、IFRSの利用を認めて
いる。国内企業については、シンガポール会計企業規制庁(ACRA)の承認を条件として、IFRSを適用
することが認められる。シンガポールは、IFRSと同等のシンガポール基準(SFRS)としてIFRSの殆どの
基準をほぼ一語一句採用している。2009年5月にシンガポール政府は、2012年までにSFRSをIFRSと完
全にコンバージェンスする計画を発表した。完全にコンバージェンスした基準は、SGXに上場するす
べての国内企業に適用される。
 タイでは、 会計士連盟(FAP) が、タイ証券取引所に上場され活発に取引が行われている50社(SET 50)
に対してタイ基準としてIFRSを完全に採用する計画を2011年に発表した。その後、2013年にSET100
社にIFRSを完全に採用することが計画されている。 残りの上場企業及び新興企業向け市場(MAI)に上
場している企業は、2015年にIFRSを完全に採用することが要求される。
6
2.
AOSSG の目的
覚書に記載されているとおり、AOSSGは次の4つを目的としている。
(1) 当地域内の各国による国際財務報告基準(IFRS)の採用及びIFRSとのコンバージェン
スを促進すること
AOSSGは、当地域内の各国による国際財務報告基準(IFRS)の採用及びIFRSとのコンバ
ージェンスの促進を目指す。
(2) 当地域内の各国によるIFRSの整合的な適用を促進すること
AOSSGは、共通する会計上の論点を解決することを通じて、IFRSの整合的な適用を促進
し、当地域内の金融市場の透明性を高めることを目指す。
(3) IASBの専門的活動に対する当地域からの意見を調整すること
AOSSGは、当地域の公益に資するよう、IASBの専門的活動に積極的な役割を果たし、高
品質で単一のグローバルな財務報告基準に貢献することを目指す。
(4) 当地域の財務報告の品質改善のため、政府や規制当局、他の地域組織や国際機関と協
力すること
AOSSGは、政府、規制当局、並びに他の地域的機関及び国際的な機関との関係を確立す
ることを目指し、当地域における会計実務の改善、財務報告の品質向上、並びにクロスボ
ーダー取引、投資、及びガバナンスの促進を図る。
3.
組織の構成及びメンバー
AOSSG は、議長、副議長、ワーキング・グループ及び議長諮問委員会で構成されている
(下記の組織図を参照)。
議長及び副議長は、組織の運営において重要な役割を果たしている。議長は、任期中、
事務局の役割も担っており、AOSSG メンバー間の議論及び活動を調整する責任がある。議
長職は、その役割を果たす意欲と能力のある AOSSG メンバーが順番で担当する。
ワーキング・グループは、IASB の専門的活動に関してコメントすべき当地域の意見を調
整するために設置された。議長は、ワーキング・グループの進捗状況や機能を監視すると
ともに、他の利害関係者の状況を理解し AOSSG の利益を増進する目的のため、当地域及
び世界の他の組織、政府、及び規制機関とのリエゾンとしての役割を果たす。2011 年 5 月
現在、10 のワーキング・グループがあり、そのうち 1 つ(農業)は最近設置された。
1) 金融商品
2) 公正価値測定
3) 収益
4) 財務諸表表示
7
5)
6)
7)
8)
9)
10)
連結
リース
保険契約
排出量取引スキーム
イスラム金融に関連する財務報告
農業
議長諮問委員会は、議長及び副議長による組織運営を補佐するとともに、ワーキング・
グループが対象としていない活動を扱うために設置された。諮問委員会は、議長、副議長、
及び議長と副議長が指名した他のメンバーで構成される。
図表 1: AOSSG の組織図
議長&
副議長
議長諮問
委員会
ワーキング・グループ
金融商品
公正価値
測定
収益
リース
保険契約
排出量取引
スキーム
財務諸表
表示
財務報告:
イスラム金融
8
連結
農業
III. これまでの取組
設立以来、AOSSG は、前述の目的を達成するために、さまざまな活動を行ってきた。活
動には、IASB との討議、ワーキング・グループ及び議長諮問委員会を通じてのコメント提
出及び文書作成、主要な利害関係者やメディア等との会合やコミュニケーションが含まれ
る。
1.
活動の概要
設立以来、AOSSG のメンバーは、当初の 16 か国から 25 か国へと急速に拡大した。これ
は、当グループへの関心の高まりを示している。AOSSG は、地域の意見を多く集約するほ
ど、IASB の専門的活動に対する見解の表明を通じて AOSSG の発言力を強化することがで
きると考えている。
AOSSG は、4 つのワーキング・グループ(金融商品、公正価値測定、収益、及び財務諸
表表示)を当初発足させた。IASB の動向を考慮に入れて、当組織は、第 2 回年次総会まで
に 5 つのワーキング・グループ(連結、リース、保険契約、排出量取引スキーム、イスラ
ム金融に関連する財務報告)を追加した。2011 年以降のプロジェクトを考慮して、農業に
関するワーキング・グループが 2010 年後半に設置された。これらのワーキング・グループ
は、IASB に対してインプットを提供してきた。
上記のワーキング・グループの活動に加えて、AOSSG は、イスラム金融への IFRS の適
用に関するリサーチ・ペーパーを公表した。また、AOSSG は、今後の活動を検討するため、
メンバー各国の IFRS 適用状況、当組織が対処すべきと考えられる論点、及び当組織の追加
的な活動に関するサーベイも実施した。知識を高めるため、メンバーの間でさまざまなト
ピックに関する実態調査、情報共有、及び教育セッションを実施してきた。
2.
IASB 及び IFRS 財団に対する地域の意見の伝達
(ワーキング・グループ)
ワーキング・グループは、IASBの進行中の作業をモニターし、AOSSGメンバーによる検
討のために概念的及び実務的な論点を特定することを目的としている。メンバーは、IASB
の公開草案及び他の協議資料に対するAOSSGの貢献(アイディアや提言の提出を含む)を
促進することも目指している。さらに、これらの目的を果たすため、ワーキング・グルー
プは、論点ペーパーを作成後AOSSGに提示するとともに、関連する利害関係者及びIASB
と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 っ て い る 。 詳 細 に つ い て は 、 AOSSG ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.aossg.org/) に掲載しているコメント・レターを参照されたい。ワーキング・グ
ループのメンバーと、各ワーキング・グループが行った作業は、付録 1 に示している。
9
(議長諮問委員会)
議長諮問委員会は、ワーキング・グループが対象としていない論点を扱うために、関連
する組織(IASB、IFRS 財団評議員会、及び IFRS 財団モニタリング・ボードなど)が公表
した協議文書への対応を行っている。議長諮問委員会及びそのコメント・レターについて
は、付録 1 を参照されたい。
3.
知識及び情報の共有
AOSSG は、当地域での IASB の提案内容を効果的に理解し、当地域における適用上の論
点をより適切に識別する方法を検討している。このため、AOSSG は、教育セッションを随
時開催している。当地域では、各国の IFRS 適用のレベルがさまざまであり、すでに IFRS
を採用している国もあれば、IFRS の採用又はコンバージェンスが進行中の国もある。
教育セッションを通じて、先行している国々が適用上の経験や事例の共有によって他の
国々を支援することを通じて、メンバーの能力の構築を図っている。
4.
利害関係者とのコミュニケーション
AOSSG の活動の認知度を高めるために、AOSSG 議長及び副議長は、各国の会議や世界
会計士会議などのさまざまなフォーラムでスピーチを行ってきた。AOSSG の活動の認知度
が高まるにつれ、他の地域の各国基準設定主体から、当組織がどのように開発されたのか、
また、どのように運営が行われているのかという質問を受けるようになっている。我々は、
喜んでこれまでの経験を利害関係者と共有したいと考えている。
当組織の目的の実現に向けて、AOSSG は、政府及び規制機関と密接な関係を確立してい
る。AOSSG 及びメンバーは、IFRS 地域政策フォーラムでの課題や経験の共有などを通じ
て、当該関係者とのコミュニケーションをいくつかの手段で行っている。基準設定プロセ
スでは、基準の承認前に法律上又は規制上のデュー・プロセスを要することが多いが、規
制機関は通常、専門的な会計事項については基準設定機関の専門性に依拠することが多い
ことから、こうしたコミュニケーションや共同作業は、特に重要である。また、証券監督
者国際機構(IOSCO)が IFRS データベースの開発を進めており、当該データベースを利用
することで機構のメンバーが IFRS に基づく財務報告に係る非違事例を共有できるようす
ることを目指しているから、証券規制当局は AOSSG の活動に特に関心を持つ可能性があ
る。基準だけでは財務報告に関する欠点のすべてを是正することはできないため、このよ
うな共同作業は、当地域の財務報告の品質を改善する観点から、公益に寄与するものであ
る。
AOSSG は、2010 年 11 月にウェブサイトを設置した。これにより、メンバー間の効果的
かつ効率的なコミュニケーションが可能となり、また、他の利害関係者の間での AOSSG
10
の認知度が高まった。AOSSG は、アジア・オセアニア地域の企業に関連性のある広範な会
計基準設定上の論点について、情報を適時に更新していく予定である。これには、AOSSG
のワーキング・グループの活動や、IASB への AOSSG のコメント・レターに関する情報な
どが含まれる。また、当組織に関する雑誌記事も、ウェブサイトを通じてアクセスできる。
5.
研究活動
AOSSG は、研究を行い、文書を公表している。これまでに、イスラム金融に関連する財
務報告に関するリサーチ・ペーパーを 2010 年に公表した(ウェブサイトで入手可能)。リ
サーチ・ペーパーの目的は、イスラム金融取引に IFRS を適用する際の論点をより総体的に
検討して説明することである。このペーパーは、読者がイスラム取引の会計処理における
さまざまな見解を理解できるように、15 の論点を挙げている。このペーパーは、リース会
計の関連でイスラム金融の論点をよりよく理解するために、2011 年 5 月の IASB 会議で参
照された。AOSSG は、この公表物は将来の活動のモデルだと考えており、もっと多くの研
究活動をより主体的に行っていくべきと考えている。
11
IV. 当面の活動
AOSSG は、IASB 及び IFRS 財団の他の委員会のディスカッション・ペーパーや公開草
案を含む公表物に対して域内からのインプットを提供することに優先順位を置いてきた。
今後の 2 年間で、我々は、メンバー構成を強化し、活動の範囲を拡大することができると
想定している。このセクションは、我々が目的を達成するにあたり、近い将来に我々が何
を行っていくのかを論じる。
1.
メンバーの拡充
現在、AOSSG は域内の 25 の法域メンバーで構成されているが、IFRS の理解の水準は各
法域で大きく異なっている。我々は、メンバーの拡大を継続的に図りつつ、グローバルな
基準設定について良質なインプットを提供できるようにするには、AOSSG の IFRS への理
解の水準を高めるとともに、域内の論点をさらに効果的に集約することが最も重要だと考
えている。
さらに、より多くのメンバーがワーキング・グループに参加することが推奨されている。
より多くのメンバーが参加することにより、さまざまな意見に触れ、我々が提示するコメ
ントの質の改善につながるとともに、メンバーにも役に立つ活動となるであろう。メンバ
ーの多様性によって、AOSSG が統一見解をまとめることは難しくなるかもしれないが、そ
の多様性により、議論されないかもしれない重要な論点をメンバーが発見する機会を作り
出すものと我々は考えている。
また、ワーキング・グループのレベルでの教育セッションを通じた情報共有をもっと頻
繁に推進すべきである。当組織はこれまで厳選したトピックに関するセッションを開催し
てきたが、IFRS への理解の水準を高めるために、もっと多くの領域を取り上げる予定であ
る。さらに、基準の整合的な適用を促進するために、IFRS の翻訳により生じうる相違を削
減したいと考えるメンバーを支援することも考えられる。
最後に、各法域又は AOSSG 全体の活動として、重要なトピックに関するワークショッ
プ又はセミナーを開催することは、効果的かもしれない。いくつかの IFRS は複雑と考えら
れているため、関心のあるメンバーに対するそうしたワークショップ又はセミナーは、域
内における IFRS の適用を促進する上で有益であろう。
2.
IASB 及び IFRS 財団の他の機関とのコミュニケーションの拡充
我々は、IASB 及びそのスタッフとのより頻繁で直接的かつ有意義なコミュニケーション
により、互いの懸念や基準設定の環境についての相互理解が得られると考えている。
12
これまで、AOSSG は、コメント・レターを通じて、また対面会議を開催することで IASB
に対し提案や懸案事項を伝えてきた。他方、対面会議を開催することで IASB に対して我々
の意見や懸念事項をより効果的に伝えることができることから、AOSSG は今後対面会議の
開催頻度を年に 3 から 4 回程度に増やすことを検討したい。その際、他の国際的・地域の
会議の開催時期と合わせて開催することができれば、多くの AOSSG メンバーが対面会議
に参画することができよう。
さらに、新しいまたは改正される基準に関する IASB の暫定決定に関して重大な懸念が
あるか否かについて、IASB が非公式に AOSSG メンバーから意見を募る可能性も考えられ
る。この点、AOSSG メンバーは協議機関となることで、全体的な方向性の決定や域内で発
生しうる適用に係る課題の特定に関し、IASB をサポートすることができる。AOSSG と
IASB の幹部の間での適時のコミュニケーションも、我々が IASB の戦略的な目的に関する
見解を提示する上で重要である。特に、米国会計基準とのコンバージェンス・プロジェク
トが完了に近づき、IASB が今後の議題を検討しようとしているため、当地域が特に関心を
持つ論点に議題をシフトさせることが可能であろう。AOSSG は、2011 年以降のプロジェ
クトに関し今回開催される 3 年ごとの公開協議において、IASB に主体的なインプットを提
供したいと考えている。
また、AOSSG は、メンバーのビジネスや規制環境に纏わる課題について、適時に IFRS
解釈指針委員会や IASB とコミュニケーションをとる仕組みを構築する必要があると考え
る。
3.
外部の利害関係者とのコミュニケーションの強化
AOSSG のメンバー間や IASB とのコミュニケーションの強化に加えて、AOSSG が他の
組織との関係を強化することも必要である。例えば、AOSSG は、重要な利害関係者を会議
のオブザーバーとして招くことを検討する可能性がある。他の当事者との広範なコミュニ
ケーションによって、我々の懸念や解釈を示す機会を得ることができる。また、重要な利
害関係者も、彼らの考えや懸念を AOSSG と伝えることができる。メンバーの合意次第で
あるが、オブザーバーには国際的又は地域の規制機関又は公益の任務を有する他の機関を
含めることも考えられる。これは、AOSSG が他の地域の現状を把握するのに役立つだけで
なく、当地域の財務報告の品質の改善にも役立つであろう。
13
V. 将来へ向けたビジョン
会計基準に関する深い知識を有するとともに、地域における論点について深く理解して
いる組織のグループとして、AOSSG は、目的に適合するよう、活動範囲の一層の拡大を検
討することが考えられる。
2010 年 9 月に AOSSG メンバーの間で行ったサーベイで、次のことが明らかになった。
回答者のうちの 40%が IFRS の採用又はコンバージェンスをすでに行い、40%が IFRS の採
用又はコンバージェンスに関する発表を行っている。
メンバーが直面している課題として、基準の適用上・実務上の問題、専門知識の不足、
地域社会からの支援の不足等が見られた。こうした問題に対処するために、メンバーは、
地域の懸念及び問題の IASB への伝達、新しい考え方の提唱、適用上の支援の実施に、
AOSSG がさらに積極的に関与することを望むであろう。以下は、我々が影響力のある地域
組織として将来どのように発展していくのかに関するいくつかの考えを示している。
1.
グローバルな会計基準設定における指導的役割
アジア・オセアニア地域の経済の発展と IFRS の採用又はコンバージェンスへ向けて加速
する動きを考慮すると、AOSSG は、グローバル的な会計基準設定の旗手となろうとするこ
とが考えられる。IFRS 財団評議員会の戦略レビューに対してすでに述べているとおり、
我々は、グローバルな会計基準設定の将来に関する自身の見解を提供する中期的な一層の
機会を歓迎する。
AOSSG の強みは、当地域の知識と経験を集約して、グローバルな基準設定プロセスに改
善されたインプットを提供する能力であると強調することが重要である。AOSSG は、今後
の財務報告のあり方の調査・研究や、新たな問題の特定をサポートする会計基準について
の統合されたシンクタンクとして機能することができる。 その際 AOSSG は、どのよう
にしてさらに効果的に自身の見解を集約することができるのかも検討することが考えられ
る。AOSSG が、単に域内のさまざまな提案を検討材料として示すのではなく、メンバーの
間での合意を得ることによって「地域の意見」を形成できれば、我々の発言力がもっと強
いものとなり得る。
また、すべての IASB 会議は、現在、テクニカルなリソースが集中しているロンドンで
開催されている。しかし、将来、IASB 会議を他の地域でも開催することにより、さまざま
な利害関係者との有意義なコミュニケーションやアウトリーチの強化が促進され、地域の
論点について直接理解を深めるのに役立つことが想像できる。この点で、AOSSG は、2012
年に東京に設置される予定の IFRS 財団のリエゾン・オフィスと協力して、IASB とより緊
密に作業を行うために自らのリソースを利用したいと考えている。AOSSG は、リエゾン・
14
オフィスが、域内で広く行われている事業慣行を効果的に識別すること等を通じて、
AOSSG の活動と IFRS 財団との連携を一層強化する上で極めて重要な役割を果たすことを
期待している。リエゾン・オフィスの運営開始前に、AOSSG は、リエゾン・オフィスをど
のように利用するのが最善なのかをさらに検討する予定である。
2.
主体的な研究等
世界の地域的基準設定主体グループの一つとして、AOSSG は、グローバルな会計基準設
定、会計基準の基礎となる原則、及び AOSSG と IASB の両方にとって関心のあるトピック
について、現時点の及び今後予想される論点に関する主体的な研究の強化又はディスカッ
ション・ペーパーの公表を行いたいと考えている。
適切なトピックの選択には慎重な検討が必要となる。優先順位はそれぞれの法域の環境
(例えば、特定の産業セグメントの強みや市場の動向など)によって異なるからである。
それでも、プロジェクト実施前に適切なトピックについて共通理解を共有することは、メ
ンバーの貴重な資源を最大限活用できるようにするために有用である。このため、適時性
は重要であるものの、正式な形であれ暗黙の形によるものであれ、AOSSG と IASB の間で
事前に合意を得ることは、広範な作業を行う前に重要であろう。戦略的な議論への関与を
増大させることは、望ましい効果を達成するために有用となりであろう。
トピックの選択において、AOSSG メンバーにおけるトピックの関連性の高さや、リサー
チがどのようにメンバーの便益となるかという点が最も重要な基準となろう。従って、焦
点を当てるトピックとしては、イスラム金融や農業のような特定の会計トピック、または
財務諸表の表示・開示や統合報告のような概念的又は新しい考え方を模索するような分野
となることが考えられる。 AOSSG にリサーチを行うために必要な専門性が欠ける場合に
は、関心を持つ他のリサーチ・ネットワークやリサーチ・センターと協働することもでき
よう。
3.
整合的な適用に関する地域での活動
IFRS は、原則ベースの会計基準であり、適用は状況によって異なる可能性がある。高品
質でグローバルな単一の会計基準の便益は、基準が世界中で首尾一貫して適用される場合
にのみ得られうる。IASB は、個々の基準に関する解釈を提供しないことを好んでいるが、
各法域あるいは会計事務所が独自の見解を設定しており、その見解が互いに異なっている
場合がある。
当地域における整合的な基準の適用は、すべての関係者が域内の課題に対し共通の理解
を示すことにより初めて達成することができる。AOSSG メンバーが、ビジネスや社会環境
の共通性を認識し、論点の共通理解の形成が必要又は適切と考える場合には、IASB 又は
15
IFRS 解釈指針委員会に検討してもらうための共同提案を策定できるであろう。必要に応じ
て、AOSSG は、IFRS 解釈指針委員会のメンバーを会議に招待したり、東京のリエゾン・
オフィスのテクニカル・スタッフと意見交換をしたりすることができる。さらに、会計基
準設定主体とその他関係者の間で意見が異なるようなことがある場合は、すべての利害関
係者が集まり議論する機会を設けることが有益である。利害関係者には、AOSSG メンバー
をはじめ、主要な監査事務所の(グローバルおよびローカルの)テクニカル・チームや、
IASB のメンバーおよびスタッフが含まれ、共通な理解を達成するために、課題を議論する
ことができる。このようなコミュニケーションは、リエゾン・オフィスのスタッフの支援
を得ることによって促進しうることが考えられる。
さらに、AOSSG は、IT やウェブサイトを活用し、チャット・ルーム又は掲示板システ
ムでケース・スタディや適用の経験を含むトピックに関してメンバー間で活発な議論を行
うようにすることもできる。議論の成果を参考資料としてメンバーと共有したり、AOSSG
のウェブサイトに掲載することも可能である。しっかりとした国内基準の設定・維持は、
IFRS の適用の成功に不可欠であり、インフラに関する助言や必要とする者への協議のアク
セスを含め、AOSSG がオンラインによるテクニカルなリソースを提供することを検討する
ことも考えられる。さらに、進行経済国のメンバーは適用に関する有用な情報及び実例を
必要とする可能性が高いため、AOSSG は、メンバーの要望に対応して、このための教育活
動を追加すべきである。
4.
IASB に対するその他の支援
AOSSG は、適用上の問題を識別するために、ロンドン又は東京のリエゾン・オフィスの
IASB スタッフと協力することにより基準適用後レビューの実施の際に IASB を支援するこ
とが考えられる。このようなレビューは、IASB が当初の想定とは異なって理解されている
領域や高品質な財務報告を実現する上で十分でない分野を識別するのに役立ちうるもので
ある。
さらに、AOSSG は、IASB がフィールド・ビジット/テストや影響度分析(又はインパ
クト評価)に関する方法について合意・適用していくに当たって、メンバーのリソース及
び経験を活用して支援できるかもしれない。AOSSG 又はそのメンバーは、こうした取組み
に適切な者を特定しやすい立場にあると考えられるため、このような形で協力することは
有用であろう。
5.
メンバー向けの助言及び協議
当地域において IFRS の適用を成功させるためには、しっかりとした国内の基準設定が不
可欠である。AOSSG は、それぞれの法域における基準設定を尊重するが、各法域の基準設
定主体の権限を妨げずに、IASB が提案又は公表した基準を適用すべきかどうか、また、ど
のように適用すべきかに関してメンバーの見解を集約することで助言や協議を提供できる
16
であろう。この活動を通じて、AOSSG は、国内基準設定の推進を支援し、地域の意見・声
という観点でのより大きな影響力を得るとともに、有効に機能する基準設定主体の地域グ
ループとしての地位を確立することができるであろう。
6.
AOSSG の事務局
AOSSG のメンバー構成は地理的に幅広く、メンバーが集まって会議を行うのは欧州ほど
容易ではない。したがって、事務局は、AOSSG の作業を調整し、外部とのコミュニケーシ
ョンを代表する上で、極めて重要な役割を果たすものである。現在、AOSSG の事務局は、
毎年議長が変わるごとにメンバーの間で順番に担当している。AOSSG は、基準設定主体の
任意参加のグループであり、議長職を引き受ける法域の能力に関係なく、活動の維持及び
編成などの事務局の機能の継続性を確保することが、組織として重要である。メンバー構
成の多様性を考慮すると、AOSSG の意見を策定して地域外の利害関係者に示すためには、
より強力な継続性のある事務局が極めて重要であろう。
将来的に、我々は、次の選択肢のうちの一つ又は複数の採用を検討することができるで
あろう。
(a) 事務的事項や対外関係構築のスキルが含め、これまでに蓄積した経験を活用する。そ
の際、新しく議長職を引き受ける法域への助言や支援を提供できるように、経験豊富
な人材で構成される支援スタッフのグループの設置を検討することが考えられる。こ
のような仕組みは、事務局の運営の継続性に貢献し、IASB メンバー及びスタッフを含
む外部の利害関係者との持続的な関係の基盤を提供することになるであろう。
(b) 我々は、「トロイカ・システム」を採用することもできる。継続性を確保し、事務局
の指導的機能を強化するために、前職の議長及び副議長が現職の議長を補佐するシス
テムである。
(c) 将来の議論次第であるが、AOSSG は、適切と考えられれば常設の事務局を設置する可
能性を検討することも考えられる。
7.
その他
現時点では、AOSSG は主に IASB のプロジェクトに重点を置くべきである。しかし、
AOSSG メンバーは、当組織が将来的に非営利・公的企業の会計基準に関する論点を検討す
ることを提案している。一部の法域では、会計基準は伝統的に、すべての種類の企業(営
利、非営利、公的セクター)が適用できるように開発されている。全種類の報告企業が共
通して利用することができるグローバルな会計基準の開発には数年を要するかもしれない
が、IFRS 財団も戦略レビューを行っており、我々はその必要性を認識して今後論点を検討
すべきである。
また、AOSSG は、XBRL 利用の促進を検討し、IFRS 版のタクソノミが英語圏以外の法
域で効果的に利用できるようにする一方で、XBRL タクソノミの開発を基準設定プロセス
17
に組み込むことができるかどうか、また、どのように組み込めるのかを検討することが考
えられる。さらに、我々の目的にも示されている財務報告の実務の改善及び財務情報の品
質の向上のために、共通の監査基準を利用することにも目を向けることが考えられる。
18
VI.
おわりに
グローバルに認められる高品質な単一の会計基準の開発は、投資家の信頼を得るととも
に、投資家保護、及び資本市場の透明性を確保する上で非常に重要である。AOSSG のメン
バーの多くが IFRS を適用しており、適用及び実務上の問題、専門知識の不足、地域社会か
らの支援の不足、財政的制約、言語の障壁などのさまざまな課題に直面している。
このような状況を考えると、財務報告の質を改善するために他者の経験を求めることは
有用である。我々の地域からのグローバルな会計基準設定への貢献は重要性を増しており、
AOSSG はその使命を果たすためにさまざまな活動を続けていくつもりである。
2010 年に開催した第 2 回 AOSSG 年次総会におけるテーマと類似する「アジア・オセア
ニアからの IFRS への新風」というテーマのもと、我々は、この組織がグローバルな会計基
準設定における主導的なプレーヤーの一つとして近いうちに認知されていくであろうこと
を確信している。
19
付録 1: AOSSG のサブグループのメンバー構成及び提出物
ワーキング・グループ
金融商品
リーダー:オーストラリア
メンバー:中国、香港、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、シンガポ
ール、タイ
公正価値測定
リーダー:中国
メンバー:香港、日本、韓国、マレーシア
収益
リーダー/副リーダー:日本/シンガポール
メンバー:オーストラリア、中国、インドネシア、香港、マカオ、マレーシア、ニュージ
ーランド
財務諸表表示
リーダー/副リーダー:韓国/中国
メンバー:オーストラリア、香港、イラク、日本、マカオ、マレーシア、ニュージーラン
ド
連結
リーダー/副リーダー:シンガポール/中国
メンバー:香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、スリラン
カ、タイ、ウズベキスタン
リース
リーダー/副リーダー:シンガポール/インドネシア
メンバー:オーストラリア、中国、香港、日本、韓国、マカオ、マレーシア、ネパール、
ニュージーランド、パキスタン、スリランカ、タイ、ウズベキスタン
保険契約
リーダー/副リーダー:韓国/中国
メンバー:オーストラリア、香港、インドネシア、日本、マレーシア、ネパール、ニュー
ジーランド、パキスタン、スリランカ、タイ
排出量取引スキーム
リーダー/副リーダー:中国/日本
メンバー:インド、韓国
イスラム金融に関する財務報告
リーダー:マレーシア
20
メンバー:オーストラリア、中国、ドバイ、インドネシア、韓国、パキスタン、サウジア
ラビア
農業
リーダー/副リーダー:インド/マレーシア
メンバー:中国、香港、インドネシア、日本、韓国
議長諮問委員会 (2011)
議長:日本
副議長:オーストラリア
メンバー:中国、香港、インド、韓国、マレーシア、シンガポール
ワーキング・グループ及び議長諮問委員会による提出状況
ワーキング・グループ
金融商品
金融商品ワーキング・グループは、次の文書に関するコメントを提出した:
IASB ED/2009/12「金融商品:償却原価及び減損」
IASB ED/2010/4「金融負債に関する公正価値オプション」
IASB の FASB 公開草案「金融商品に関する会計処理、並びに、デリバティブ金融商品及
びヘッジ活動に関する会計処理の改訂」に関するコメント募集
IASB ED/2010/13「金融商品:ヘッジ会計」(2011 年 3 月)
IASB の ED/2009/12「金融商品:償却原価及び減損」への補足(2011 年 4 月)
IASB ED/2011/1「金融資産と金融負債の相殺」(2011 年 4 月)
公正価値測定
公正価値測定ワーキング・グループは、公表予定の IFRS の IASB スタッフ・ドラフト「公
正価値測定」のに関するコメントを提出した(2010 年 12 月)
収益
収益ワーキング・グループは、IASB ED/2010/6「顧客との契約から生じる収益」に関する
コメントを提出した(2010 年 10 月)
財務諸表表示
財務諸表表示ワーキング・グループは、公開草案の IASB スタッフ・ドラフト「財務諸表
の表示」に関するコメントを提出した(2011 年 1 月)
連結
連結ワーキング・グループは、「連結財務諸表」に関する IASB の暫定決定に関するコメ
ントを提出した(2010 年 12 月)
21
リース
連結ワーキング・グループは、IASB ED/2010/9 「リース」に関するコメントを提出した(2010
年 12 月)
保険契約
保険契約ワーキング・グループは、IASB ED/2010/8 「保険契約」に関するコメントを提出
した(2010 年 11 月)
排出量取引スキーム
排出量取引スキームワーキング・グループは、AOSSG メンバーを対象にサーベイを実施し、
IASB に対していつくかの提案を行った。
イスラム金融関連財務報告
金融商品ワーキング・グループは、次の文書に関するコメントを提出した:
IASB ED/2010/6「顧客との契約から生じる収益」(2010 年 10 月)
IASB ED/2010/8「保険契約」(2010 年 11 月)
IASB ED/2010/9「リース」(2010 年 12 月)
IASB ED/2010/13「金融商品:ヘッジ会計」(2011 年 3 月)
IASB Supplement to ED/2009/12「金融商品:償却原価及び減損」への補足(2011 年 4 月)
IASB ED/2011/1「金融資産と金融負債の相殺」(2011 年 4 月)
農業
農業ワーキング・グループが新たに設立され、現在は論点について議論を行っている。
議長諮問委員会 (2011)
議長諮問委員会は、次の文書に関するコメントを提出した:
IASB 意見募集「発効日と移行方法」(2011 年 1 月)
IFRS 財団評議員会協議文書「IFRS 解釈指針委員会レビュー」(2011 年 1 月)
IFRS 財団評議員会協議文書「戦略レビュー」(2011 年 2 月)
IFRS 財団モニタリング・ボード「IFRS 財団のガバナンスの見直し」(2011 年 4 月)
22
付録 2: データ
表 3: 2009 年 GDP(単位:十億 US ドル)
Country
Islamic Republic of Afghanistan
Albania
Algeria
Angola
Antigua and Barbuda
Argentina
Armenia
Australia
Austria
Azerbaijan
The Bahamas
Bahrain
Bangladesh
Barbados
Belarus
Belgium
Belize
Benin
Bhutan
Bolivia
Bosnia and Herzegovina
Botswana
Brazil
Brunei Darussalam
Bulgaria
Burkina Faso
Burundi
Cambodia
Cameroon
Canada
Cape Verde
Central African Republic
Chad
Chile
China
Colombia
Comoros
Democratic Republic of Congo
Republic of Congo
Costa Rica
Côte d'Ivoire
Croatia
Cyprus
Czech Republic
Denmark
Djibouti
Dominica
Dominican Republic
Ecuador
Egypt
El Salvador
Equatorial Guinea
Eritrea
Estonia
Ethiopia
Fiji
Finland
France
Gabon
The Gambia
Georgia
GDP in the AOSSG member region
USD bn
Country
14.483 Germany
12.224 Ghana
139.763 Greece
74.474 Grenada
1.118 Guatemala
310.057 Guinea
8.541 Guinea-Bissau
994.246 Guyana
382.073 Haiti
43.076 Honduras
7.377 Hong Kong SAR
20.59 Hungary
94.602 Iceland
3.895 India
48.975 Indonesia
472.103 Islamic Republic of Iran
1.352 Iraq
6.65 Ireland
1.269 Israel
17.464 Italy
17.043 Jamaica
11.684 Japan
1,574.04 Jordan
10.405 Kazakhstan
47.101 Kenya
8.105 Kiribati
1.33 Korea
10.871 Kosovo
22.189 Kuwait
1,336.07 Kyrgyz Republic
1.576 Lao People's Democratic Republic
1.986 Latvia
6.853 Lebanon
161.621 Lesotho
4,984.73 Liberia
232.403 Libya
0.537 Lithuania
11.108 Luxembourg
9.605 Former Yugoslav Republic of Macedonia
29.318 Madagascar
22.496 Malawi
67.695 Malaysia
23.603 Maldives
190.321 Mali
310.093 Malta
1.049 Mauritania
0.362 Mauritius
46.714 Mexico
55.553 Moldova
187.954 Mongolia
21.101 Montenegro
12.219 Morocco
1.873 Mozambique
19.305 Myanmar
32.319 Namibia
2.948 Nepal
238.607 Netherlands
2,656.38 New Zealand
11.015 Nicaragua
0.969 Niger
10.745 Nigeria
19,312 World GDP
USD bn
Country
3,338.68 Norway
15.33 Oman
330.78 Pakistan
0.615 Panama
37.661 Papua New Guinea
4.55 Paraguay
0.839 Peru
2.056 Philippines
6.56 Poland
14.268 Portugal
210.57 Qatar
129.54 Romania
12.138 Russia
1,236.94 Rwanda
539.377 Samoa
325.938 São Tomé e Príncipe
65.838 Saudi Arabia
222.356 Senegal
195.39 Serbia
2,118.26 Seychelles
12.64 Sierra Leone
5,068.89 Singapore
25.113 Slovak Republic
107.891 Slovenia
30.143 Solomon Islands
0.13 South Africa
832.512 Spain
5.387 Sri Lanka
98.416 St. Kitts and Nevis
4.57 St. Lucia
5.598 St. Vincent and the Grenadines
25.927 Sudan
34.528 Suriname
1.623 Swaziland
0.879 Sweden
60.238 Switzerland
37.118 Syrian Arab Republic
52.432 Taiwan Province of China
9.371 Tajikistan
8.589 Tanzania
4.723 Thailand
192.955 Democratic Republic of Timor-Leste
1.307 Togo
8.986 Tonga
8.008 Trinidad and Tobago
3.029 Tunisia
8.589 Turkey
874.81 Turkmenistan
5.403 Uganda
4.203 Ukraine
4.152 United Arab Emirates
91.374 United Kingdom
9.831 United States
34.262 Uruguay
9.394 Uzbekistan
12.894 Vanuatu
796.651 Venezuela
117.794 Vietnam
6.149 Republic of Yemen
5.273 Zambia
168.843 Zimbabwe
57,825 Regional GDP as % of World GDP
Source: International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2010
Note: Data include estimates.
23
USD bn
378.592
46.115
161.994
24.859
7.907
14.216
126.766
161.196
430.736
233.478
98.313
161.521
1,231.89
5.245
0.558
0.189
376.268
12.789
42.967
0.79
1.856
182.231
88.21
48.6
0.657
287.219
1,467.89
42.203
0.557
0.973
0.571
54.644
2.955
3
406.072
491.923
52.635
378.524
4.982
21.308
263.979
0.556
3.151
0.313
19.626
43.523
614.466
n/a
15.804
117.404
223.874
2,178.86
14,119.05
31.511
32.816
0.637
325.678
93.164
25.131
12.805
4.62
33.4%
表 4: 2009 年世界の人口(単位:百万人)
Country
Islamic Republic of Afghanistan
Albania
Algeria
Angola
Antigua and Barbuda
Argentina
Armenia
Australia
Austria
Azerbaijan
The Bahamas
Bahrain
Bangladesh
Barbados
Belarus
Belgium
Belize
Benin
Bhutan
Bolivia
Bosnia and Herzegovina
Botswana
Brazil
Brunei Darussalam
Bulgaria
Burkina Faso
Burundi
Cambodia
Cameroon
Canada
Cape Verde
Central African Republic
Chad
Chile
China
Colombia
Comoros
Democratic Republic of Congo
Republic of Congo
Costa Rica
Côte d'Ivoire
Croatia
Cyprus
Czech Republic
Denmark
Djibouti
Dominica
Dominican Republic
Ecuador
Egypt
El Salvador
Equatorial Guinea
Eritrea
Estonia
Ethiopia
Fiji
Finland
France
Gabon
The Gambia
Georgia
Population in the AOSSG member region
mn
Country
28.89 Germany
3.186 Ghana
34.977 Greece
17.312 Grenada
0.085 Guatemala
40.134 Guinea
3.267 Guinea-Bissau
21.955 Guyana
8.363 Haiti
8.977 Honduras
0.341 Hong Kong SAR
1.039 Hungary
162.221 Iceland
0.276 India
9.48 Indonesia
10.78 Islamic Republic of Iran
0.328 Iraq
9.381 Ireland
0.675 Israel
10.227 Italy
3.904 Jamaica
1.815 Japan
191.481 Jordan
0.41 Kazakhstan
7.569 Kenya
14.365 Kiribati
8.108 Korea
14.148 Kosovo
19.926 Kuwait
33.69 Kyrgyz Republic
0.513 Lao People's Democratic Republic
4.442 Latvia
9.973 Lebanon
16.984 Lesotho
1,334.74 Liberia
44.978 Libya
0.666 Lithuania
64.772 Luxembourg
3.756 Former Yugoslav Republic of Macedonia
4.62 Madagascar
21.385 Malawi
4.429 Malaysia
0.797 Maldives
10.425 Mali
5.511 Malta
0.804 Mauritania
0.073 Mauritius
9.7 Mexico
14.117 Moldova
76.704 Mongolia
5.824 Montenegro
1.276 Morocco
5.162 Mozambique
1.34 Myanmar
82.812 Namibia
0.883 Nepal
5.352 Netherlands
62.632 New Zealand
1.475 Nicaragua
1.672 Niger
4.385 Nigeria
4,271 World Population
mn
Country
81.767 Norway
23.108 Oman
11.162 Pakistan
0.103 Panama
14.013 Papua New Guinea
10.079 Paraguay
1.61 Peru
0.77 Philippines
9.923 Poland
7.468 Portugal
7.065 Qatar
10.031 Romania
0.319 Russia
1,199.06 Rwanda
231.547 Samoa
74.1 São Tomé e Príncipe
31.234 Saudi Arabia
4.459 Senegal
7.27 Serbia
59.779 Seychelles
2.699 Sierra Leone
127.551 Singapore
5.98 Slovak Republic
15.568 Slovenia
35.884 Solomon Islands
0.1 South Africa
48.758 Spain
Sri Lanka
3.536 St. Kitts and Nevis
5.37 St. Lucia
6.32 St. Vincent and the Grenadines
2.261 Sudan
3.857 Suriname
2.496 Swaziland
4.134 Sweden
6.333 Switzerland
3.339 Syrian Arab Republic
0.495 Taiwan Province of China
2.061 Tajikistan
20.754 Tanzania
13.931 Thailand
27.761 Democratic Republic of Timor-Leste
0.315 Togo
13.667 Tonga
0.416 Trinidad and Tobago
3.105 Tunisia
1.281 Turkey
107.551 Turkmenistan
3.568 Uganda
2.71 Ukraine
United Arab Emirates
31.703 United Kingdom
21.162 United States
59.981 Uruguay
2.082 Uzbekistan
27.913 Vanuatu
16.525 Venezuela
4.321 Vietnam
5.742 Republic of Yemen
14.191 Zambia
151.874 Zimbabwe
6,732 Regional Population as % of World Population
Source: International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2010
Note: Data include estimates.
24
mn
4.843
2.883
163.774
3.465
6.339
6.277
29.101
92.227
38.111
10.627
1.639
21.47
141.9
9.792
0.181
0.163
25.519
12.82
7.382
0.085
5.7
5.009
5.418
2.016
0.518
49.32
45.828
20.242
0.054
0.172
0.107
39.117
0.522
1.026
9.299
7.742
20.127
23.12
7.469
40.538
66.983
1.115
6.791
0.103
10.435
70.538
5.353
32.797
45.706
4.908
61.798
307.374
3.345
27.911
0.241
28.611
87.211
23.687
11.97
11.732
63.4%
表 5: 2009 年と 2010 年の時価総額(単位:百万 US ドル)
Exchange
Americas
Bermuda SE
BM&FBOVESPA
Buenos Aires SE
Colombia SE
Lima SE
Mexican Exchange
NASDAQ OMX
NYSE Euronext (US)
Santiago SE
TSX Group
Asia - Pacific
Australian SE
Bombay SE
Bursa Malaysia
Colombo SE
Hong Kong Exchanges
Indonesia SE
Jasdaq
Korea Exchange
National Stock Exchange India
New Zealand Exchange
Osaka SE
Philippi ne SE
Shanghai SE
Shenzhen SE
Singapor e Exchange
Taiwan SE Corp.
Thailand S E
Tokyo SE
Europe - Africa - Middle East
Amman SE
Athens Exchange
BME Spanish Exchanges
Borsa Italiana
Budapest SE
Cyprus SE
Deutsche Börse
Egyptian Exchange
Irish SE
Istanbul SE
Johannesburg SE
Ljubljana SE
London SE
Luxembourg SE
Malta SE
Mauritius SE
MICEX
NASDAQ OMX Nordic Exchange
NYSE Euronext (Europe )
Oslo Børs
Saudi Stock Market - Tadawul
SIX Swiss Exchange
Tehran SE
Tel Aviv SE
Warsaw SE
Wiener Börse
Area
Region (Asia-Pacific & Middle East)
World
End 2009
End 2010
YoY % Change
1,360
1,337,248
45,745
140,520
71,663
352,045
3,239,492
11,837,793
230,732
1,676,814
1,535
1,545,566
63,910
208,502
103,347
454,345
3,889,370
13,394,082
341,799
2,170,433
12.9%
15.6%
39.7%
48.4%
44.2%
29.1%
20.1%
13.2%
48.1%
29.4%
1,261,909
1,306,520
286,157
9,547
2,305,143
214,941
89,567
834,597
1,224,806
35,507
138,330
86,349
2,704,778
868,374
481,247
657,610
176,956
3,306,082
1,454,491
1,631,830
408,689
19,924
2,711,316
360,388
1,091,911
1,596,625
271,831
157,321
2,716,470
1,311,370
647,226
818,490
277,732
3,827,774
15.3%
24.9%
41.3%
108.7%
17.6%
67.7%
31,827
112,632
1,434,540
655,848
30,037
10,269
1,292,355
91,207
61,291
233,997
799,024
12,141
2,796,444
105,048
4,080
6,582
736,307
817,223
2,869,393
227,233
318,734
1,064,687
59,184
188,734
150,962
114,076
30,864
67,586
1,171,625
27,708
6,834
1,429,719
84,277
60,368
307,052
925,007
9,383
3,613,064
101,129
4,194
7,753
949,149
1,042,154
2,930,072
295,288
353,410
1,229,357
86,642
227,614
190,232
126,032
End 2009
17,525,376
49,145,688
Source: World Federation of Exchanges
25
End 2010
21,288,984
56,752,790
30.8%
30.4%
96.5%
82.2%
0.4%
51.0%
34.5%
24.2%
57.0%
15.8%
-3.0%
-40.0%
-18.3%
-7.8%
-33.5%
10.6%
-7.6%
-1.5%
31.2%
15.8%
-22.7%
4.6%
-3.7%
2.8%
17.8%
28.9%
27.5%
2.1%
30.0%
10.9%
15.5%
46.4%
20.6%
26.0%
10.5%
YoY % Change
21.5%
15.5%
% Share
(2010)
37.5%
100.0%