一括ダウンロード - 武田薬品工業株式会社

Annual Report 2012
Transformation
into a New Takeda
Annual Report
2012
Our Contribution to Financial and Social Responsibility
Contents
2
タケダ スナップショット
Innovation 革新への挑戦
Culture
活力ある企業文化の創造
Growth
持続的な成長
8 財務・非財務ハイライト
10
社長メッセージ 代表取締役 社長 長谷川閑史
17 経営の基本精神
医薬事業による企業価値創造
19 研究開発
取締役
CMSO 山田忠孝 メッセージ
SRIインデックスへの組み入れ状況
SRI(社会的責任投資)インデックスとは、財務面と
ともに、CSR も重要な評価基準としている株価指数
です。タケダは以下の SRIインデックスの構成銘柄と
なっています。
( 2012 年 5 月末現在)
• Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index
(米国:ダウ・ジョーンズ社、
スイス:SAM社)
• FTSE4Good(英国:FTSEインターナショナル社)
• Ethibel Excellence(ベルギー:エティベル社)
• モーニングスター社会的責任投資株価指数(MS-SRI)
(日本:モーニングスター社)
26 パイプライン
29 取締役 ミレニアム社
社長兼 CEO
デボラ・ダンサイア メッセージ
30
31
32
33
34
36
38
44
導入・アライアンス活動
CMC 研究センター/知的財産
生産供給体制
品質保証体制
マーケティング 主力製品
取締役
CCO フランク・モリッヒ メッセージ
市場別 業績概況
取締役 医薬営業本部長 岩﨑真人 メッセージ
CSRによる企業価値創造
49
56
58
60
62
64
66
68
70
タケダの CSR 活動
サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン
組織統治
グローバル・レポーティング・イニシアティブが発行した、全世界で適用できる持続
人権
労働慣行
可能性報告書の枠組みを示したガイドライン。
AA1000
環境
英国アカウンタビリティ社が発行したコミュニケーション・システムなどの策定過程
に、ステークホルダーが関与する体系的なプロセスを示したガイドライン。
公正な事業慣行
ISO26000
消費者課題
コミュニティ参画および発展
経営管理体制
72
73
78
80
82
[非財務情報の開示に関する参考ガイドライン]
特集 : 東日本大震災による被災地への支援
常務取締役 内部統制および特命事項担当
吉田豊次 メッセージ
コーポレート・ガバナンス
取締役、監査役およびコーポレート・オフィサー
タケダの歴史
主要子会社および関連会社
国際標準化機構が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格。先進国お
よび途上国における全ての組織が使用することを意図して作成されています。
【見通しに関する注意事項】
「このアニュアルレポートは、タケダの計画、見通し、戦略、業績
などに関する将来の見通しを含んでいます。この見通しは、現在
入手可能な情報から得られた判断に基づいています。
したがって、実際の業績は、さまざまなリスクや不確実性の影
響を受けるものであり、これらの見通しとは大きく異なる結果と
なることがあることをご承知おきください。将来の見通しに影響
を与えうる要素には、タケダの事業領域をとりまく経済環境、競
争圧力、関連する法規、製品の開発状況の変化、為替レートの変
84
123
124
125
財務セクション
動などがあります。ただし、見通しに影響を与えうる要素はこれら
独立監査人の監査報告書(訳文)
に限定されるものではありません。
会社情報
社会的責任に関する主な指標
(注)
このアニュアルレポートの内容は、2011年度(2011年4月1日∼2012年3月
31日)の実績に基づいています。
(一部、2012年度の活動内容も含みます。)
アニュアルレポート( PDF 版・電子ブック版)は、タケダのホームページでご覧いただけます。
http://www.takeda.co.jp/investor-information/annual-reports/article_3366.html
Takeda Annual Report 2012
統合 版アニュアルレポート 編 集 方 針
「経営の基本精神」に基づく企業活動を総合的にご理解いただくために、
アニュアルレポートとCSR 報告書の統合版をお届けします。
タケダは1781 年の創業以来、
くすりづくりを誠実
このように、社会と企業の関係を統合的に捉えるな
に行うことで、高い倫理観と、強い使命感を培ってきま
かで、諸活動の報告についても統合報告を念頭に置
した。企業活動のグローバル化に伴い、CSR(企業の社
き、2006 年度より、アニュアルレポート上に財務情報
会的責任)に対する要請が高まっていますが、タケダ
だけでなく、人権、環境、
コミュニティへの取り組みなど
は、経営哲学「タケダイズム(誠実=公正・正直・不屈)」
の非財務情報を取り入れた統合版アニュアルレポート
に基づき、
「優れた医薬品の創出」を実現していく企業
を発行してきました。また、2011 年には、ステークホ
活動そのものが、CSR の根幹であると認識していま
ルダーの皆さまに当社の価値創造・維持プロセスを適
す。他方、タケダは、
「 健全な社会のサステナビリティ
切な形で開示する目的で、統合報告の国際的なフレー
(持続可能性)なくして自社のサステナビリティはな
ムワークを提供する「国際統合報告審議会( IIRC )」の
い」
という点についても十分に認識しており、企業市民
パイロットプログラムに参加し、以下の5つの基本原則
として、自社の強みが活かせる分野における社会的な
に則り、開示を試みています。
課題の解決に向け、イニシアティブを発揮したいと考
1.戦略的焦点
2.情報の結合性
3.将来志向
4.反応性およびステークホルダーの包含性
5.簡潔性、信頼性および重要性
えています。
関連情報
P.17 経営の基本精神
P.52 IIRC
タケダにおけるCSRとサステナビリティ
(持続可能性)の関係
CSR 活動=経営理念の実践
持 続 可 能な 社 会
「企業市民」としての活動
• ステークホルダーに対する取り組み
• 医療の発展に向けた基盤整備
持 続 可 能な 企 業
タケダイズムに基 づく
﹁ 誠 実 ﹂な 事 業 経 営
「企業」としての活動
• 優れた医薬品の創出
(CSR活動の根幹)
国際統合報告審議会( IIRC )の統合報告に関するパイロット・プログラムに参加しています。
IIRCは、2010 年に、国際的な企業報告フレームワークの開発を目指して民間企業・投資家・会計士団体・
行政機関等によって設立されました。IIRCは、統合報告の目的を、企業の戦略・ガバナンス・財務パフォー
マンスと、企業が事業活動を行う社会・環境・経済的基盤の間の相関性を明らかにすることとしています。
Takeda Annual Report 2012
1
タケダ スナップショット
画期的な新薬を待ち望んでいる患者さんのために
グループの総力を結集して「革新への挑戦」を加速します。
タケダは、
「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」ことを使命として、
医薬品業界全体が直面する「技術革新の壁」を乗り越える創薬イノベーションを追求することで、
有効性・安全性に優れ、かつ市場競争力を有するパイプラインの開発に取り組みます。
革新への挑戦
Innovation
2
Takeda Annual Report 2012
6
42
重点領域数
臨床後期※のパイプライン数(プロジェクト数)
アンメットメディカルニーズが高く、これまでの研
充実した臨床後期パイプラインを有しています。有
究開発の知見と基盤を最大限に活用できる「代謝
効性、安全性および市場での競合優位性を的確に
性・循環器系疾患」、
「 癌」、
「 中枢神経系疾患」、
「呼
評価し、パイプラインの厳格な優先順位付けと、優
吸器・免疫系疾患」、
「 消化器・泌尿生殖器系疾患」、
「ワクチン」を重点領域と位置付けています。
先課題への積極的な資源配分を行うことで、研究
開発パイプラインを一層強化しています。
※臨床第Ⅲ相試験∼申請段階まで
関連情報
P.19 CMSOメッセージ
関連情報
3,000
P.26 パイプライン
18
億円
研究開発費
研究開発拠点数
持続的な成長のために、今後も年間 3,000 億円レ
グローバルなプレゼンスを最大限に活かして、研究
ベルの研究開発投資を続けていきます。優先順位
開発拠点の連携を図り、パイプラインを強化してい
の高い臨床後期パイプラインへの戦略的投資を実
くことで、さまざまな患者さんのニーズに合致する
施するとともに、開発コストの削減も図っています。
医薬品を創出します。
関連情報
P.8 財務・非財務ハイライト
関連情報
P.23 研究開発ネットワーク
重点領域
代謝性・循環器系疾患領域
アクトス、
ブロプレス、イダービ、アジルバ、ネシーナ、Contrave 、TAK-875
癌領域
ベルケイド、
リュープリン、SGN-35、TAK-700 、MLN8237、MLN9708
中枢神経系疾患領域
ロゼレム、
レミニール、Lu
AA21004、lurasidone、TAK-375SL、AD-4833/TOMM40
呼吸器・免疫系疾患領域
ダクサス、Veltuzumab 、MT203
消化器・泌尿生殖器系疾患領域
デクスラント、オモンティス、
リエンゾ、MLN0002、TAK-438 、Teduglutide
ワクチン
TAK-816、TAK-361S
湘南研究所
Takeda Annual Report 2012
3
タケダ スナップショット
グローバル化とダイバーシティ
(多様性)の推進をさらに進展させ、
「いのち」に携わる企業としての責任を果たします。
タケダは、
くすりづくりの歴史をしっかりと受け継ぎ、
グローバル製薬企業として成長を続けるために、
ダイバーシティを「経営の基本精神」の中の「行動原則」の一つに掲げ、
「 活力ある企業文化の創造」を進めています。
また、良き企業市民として、CSR活動や環境経営への取り組みもさらに充実させていきます。
活力ある企業文化の創造
Culture
4
Takeda Annual Report 2012
©The Global Fund / John Rae
マラリア感染の疑いがある乳児を診察する医師(ナイジェリア)
1781
18%
年
削減
230 年を超える歴史を通じて、くすりづくりを誠実
CO2 排出量
2015年度 削減目標(2005年度比)
に行うことで、高い倫理観と、強い使命感を育み、
中期的な視点から、地球温暖化対策、廃棄物削減、
社会とのより良い関係づくりに向けて、継続的な取
水資源保護などの、環境に関する課題や目標を具
り組みを続けてきました。これからもグローバル製
体化した「武田薬品グループ環境自主行動計画」を
創業年
薬企業としての責任を果たしていきます。
制定し、毎年のフォローアップを通して、その活動
を継続的に推進しています。
関連情報
P.80 タケダの歴史
関連情報
30,305
人
P.64 環境
10
年間継続
アフリカにおける保健医療支援
従業員数
グローバル人材の育成とダイバーシティの推進を
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」
( 世界基金)
加速するとともに、従業員が生き生きと働き成長で
を通じてアフリカの保健医療人材の育成を2010年
きる環境や、画期的な新薬の創生に果敢に取り組
から 10 年間にわたって支援する寄付プログラム
む企業文化の醸成を通じて、サステナブルな組織
「タケダ・イニシアティブ」をはじめ、長期的・継続的な視
の構築を進めています。
関連情報
点に立ったさまざまな企業市民活動を進めています。
P.62 労働慣行
関連情報
P.70 コミュニティ参画および発展
タケダのダイバーシティの進展
アジア・新興国
アジア・
新興国
日本
欧州
日本
北米
2010年度 従業員構成
欧州
北米
2011年度 従業員構成
湘南研究所
湘
湘南
湘南研究
南研究
研究
研
究所
Takeda Leadership Institute 2011年度研修
Takeda Annual Report 2012
5
タケダ スナップショット
新興国市場におけるプレゼンスを飛躍的に高め、
持続的成長軌道への回帰を確かなものにしていきます。
タケダは、成長著しい新興国の患者さんにも、当社の優れた医薬品をお届けしていきます。
先進国市場においては、アンメットメディカルニーズに応える多様な製品ラインナップにシフトするとともに、
コスト削減を図り、持続的な成長を実現する事業モデルへの構造転換を進めます。
Russia
China
持続的な成長
Growth
6
Takeda Annual Report 2012
Brazil
70
12
ヵ国
位
世界売上高ランキング
進出国数
タケダの市場プレゼンスは、ナイコメッド社の統合
製薬企業における世界売上高ランキングは、16 位
によって、28ヵ国から約 70ヵ国へと大きく拡大し
から12 位に浮上しました。今後は、新たな事業基
ました。新興国と先進国という二つの異なるマーケ
盤にタケダの製品およびパイプラインを継続的に
ットに対して、それぞれ市場特性にあった戦略を実
投入することで売上シナジーを最大化するととも
行することにより、持続的な成長を実現します。
に、
コストシナジーを追求します。
関連情報
P.37 医薬品市場に関する業界動向
15,089
17%
億円
2011年度 売上高
グローバルに展開している医療用医薬品事業を主
P.34 主力製品
関連情報
新興国市場におけるタケダの
年平均成長率(2012-16年度 目標)
業としており、2011 年 度 の 売 上 高 構 成 比 率 は
旧ナイコメッド社製品を確実に伸長させるととも
90.1%となっています。
に、新興国の市場ニーズに合致したタケダ製品を
医療用医薬品事業 売上高 13,588億円
ヘルスケア事業 売上高 617億円
順次投入することで、市場全体の 2012-16 年度
その他事業 売上高 931億円
を目指します。
関連情報
P.8 財務・非財務ハイライト
タケダの地域別売上高(2011 年度)
年平均成長率予測(約 11% )を大きく上回る伸長
関連情報
P.36 CCOメッセージ
タケダの進出国
欧州地域
2,636億円
米州地域
4,644億円
(17.5%)
(30.8%)
日本地域
7,334億円
(48.6%)
アジア他地域
475億円
(3.1%)
武田
Pharma Ltda.(ブラジル)
Takeda Annual Report 2012
7
財務・非財務ハイライト
武田薬品工業株式会社および子会社
2012年、2011年、2010年、2009年および2008年3月期
単位:百万円
単位:百万円
単位:百万円
単位:百万円
単位:百万円
増減率
単位:千米ドル ※1
2012年3月期
2011年3月期
2010年3月期
2009年3月期
2008年3月期
2012/2011
2012年3月期
¥ 1,508,932
¥ 1,419,385
¥ 1,465,965
¥ 1,538,336
¥ 1,374,802
6.3%
$ 18,401,610
営業利益
265,027
367,084
420,212
306,468
423,123
(27.8)
3,232,037
税金等調整前当期純利益
252,478
371,572
415,829
398,546
576,842
(32.1)
3,079,000
当期純利益
124,162
247,868
297,744
234,385
355,454
(49.9)
1,514,171
研究開発費
281,885
288,874
296,392
453,046
275,788
(2.4)
3,437,622
資本的支出
1,255,188
148,886
114,505
906,855
38,908
̶
減価償却費
150,194
106,722
114,825
118,081
31,690
40.7
営業活動によるキャッシュ・フロー
¥ 336,570
¥ 326,938
¥ 381,168
¥ 326,273
¥ 292,495
投資活動によるキャッシュ・フロー
(1,093,964)
(99,255)
(117,521)
(767,256)
101,749
̶
(13,341,024)
財務活動によるキャッシュ・フロー
393,789
(146,544)
(148,046)
(425,840)
(262,082)
̶
4,802,305
総資産
¥ 3,577,030
¥ 2,786,402
¥ 2,823,274
¥ 2,760,188
¥ 2,849,279
純資産
2,071,866
2,136,656
2,164,746
2,053,840
2,322,533
(3.0)
(808)
(1,014)
(980)
(1,068)
(322,644)
̶
(9,854)
6.1%
11.8%
14.4%
10.9%
15.1%
¥ 157.29
¥ 314.01
¥ 377.19
¥ 289.82
¥ 418.97
(49.9%)
$ 1.92
180.00
180.00
180.00
180.00
168.00
売上高
(うち自己株式)
自己資本当期純利益率(ROE)
15,307,171
1,831,634
$ 4,104,512
2.9%
28.4%
$ 43,622,317
25,266,659
[1株当たり金額(円および米ドル)]
1株当たり当期純利益(EPS)
1株当たり配当金
ー
売上高の
地域別内訳
日本
¥ 733,438
¥ 721,326
¥ 688,921
̶
̶
※2
米州
464,399
496,435
561,817
̶
̶
[419,489]
[483,410]
[544,493]
̶
263,589
172,883
189,148
アジア他
47,506
28,741
26,079
合計
30,305人
18,498人
19,585人
19,362人
15,487人
63.8%
日本
9,530
9,467
9,305
9,072
8,778
0.7
海外
20,775
9,031
10,280
10,290
6,709
130.0
医薬事業
28,284
16,470
17,568
17,194
13,203
71.7
医療用医薬品事業
27,844
16,035
17,125
̶
̶
73.6
440
435
443
̶
̶
1.1
2,021
2,028
2,016
2,168
2,284
9,275.百万MJ
6,614.百万MJ
6,269.百万MJ
5,908.百万MJ
7,455.百万MJ
[うち米国]
欧州
従業員数
1.7%
その他事業
総エネルギー投入量
407.千トン-CO2
CO2排出量
8,598.千m
3
水資源投入量
291.千トン-CO2
7,309.千m
3
286.千トン-CO2
7,461.千m
3
5,663,402
̶
[(13.2)]
[5,115,720]
̶
̶
52.5
3,214,500
̶
̶
65.3
579,342
306.千トン-CO2
7,771.千m
3
(0.3)
40.2 %
440.千トン-CO2 39.9
9,792.千m3
17.6
※1 当報告書の米ドル額は、便宜上、2012年3月31日現在におけるおよその為替レートである1米ドル=82円で計算しています。
( )内数値は減少を示します。
※2 2011年3月期より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用しております。比較を容易にするため、2010年3月期は改正後の区分に組み替えて表示しております。
※3 就業人員数を表示しております。なお、2011年3月期から工数換算ベースで表示しており、2010年3月期についても変更後の基準に基づき組み替えて表示しております。
関連情報
8
P.92 11年間の要約財務データ
Takeda Annual Report 2012
P.125 社会的責任に関する主な指標
$ 8,944,366
(6.5)
※3
ヘルスケア事業
2.20
売上高
営業利益/営業利益率
(%)
5,000
50
15,089
15,000
4,000
40
7,755
10,000
2,650
3,000
’
09
’
10
’
11
20
1,000
0
年度
10
’
07
’
08
営業利益
’
09
’
10
’
11 年度
0
研究開発費
30
6,000
18.7%
対売上高比率
(%)
(億円)
(%)
(円)
E 500
P
S
20
400
16
2,000
’
11 年度
(円)
R
O
E
200
180.00
100
8
6.1%
100
研究開発費
’
10
12
157.29
10
’
10
’
09
20
200
’
09
’
08
1株当たり配当金
300
’
08
’
07
営業利益率
2,819
’
07
0
EPSおよびROE
研究開発費/対売上高比率
0
1,242
1,000
国内
4,000
3,000
17.6%
7,334
海外
’
08
4,000
2,000
0
’
07
(億円)
30
2,000
5,000
営業利益率
(億円)
営業利益
(億円)
20,000
当期純利益
’
11 年度
0
0
4
’
07
EPS
対売上高比率
CO2排出量
’
08
’
09
’
10
’
11 年度
0
’
08
’
09
’
10
’
11 年度
株主の状況
証券会社 5.32%
30,305
(人)
600
’
07
ROE
従業員数
(千トン-CO2)
0
30,000
その他の法人
当社 0.02%
5.35%
20,775
407
20,000
個人・
その他
300
32.49%
外国
法人等
株主数
24.86%
304,628名
10,000
9,530
0
’
07
’
08
’
09
’
10
’
11
年度
0
’
07
海外
’
08
’
09
’
10
’
11
金融機関
31.96%
年度
国内
Takeda Annual Report 2012
9
社長メッセージ
代表取締役 社長 長谷川
President & CEO
10
Takeda Annual Report 2012
閑史
Yasuchika Hasegawa
Message
from President & CEO
変革を加速し、持続的な成長を実現します。
タケダは 現 在 、主 力 製 品 の 特 許 期 間 満 了 などに
に道筋をつけるための戦略を展開していきます。具体
よって厳しい局面を迎える状況を直視し、
「革新への
的には、新興国における旧ナイコメッド社製品の売上伸
挑戦( Innovation )」と「活力ある企業文化の創造
長に加えて、同社の販売基盤を活用することでタケダ
( Culture )」を通じて「持続的な成長( Growth)」を
製品の売上を拡大し、さらに日米欧においては新製品
成し遂げるという経営方針のもとで、
「新たなタケダ
の確実な上市および早期の市場浸透に注力すること
への変革(Transformation into a New Takeda)」
により、先進国と新興国という二つの異なる市場で、
に向けた取り組みを推進しています。
市場特性に応じた戦略をそれぞれ展開していきます。
その一環として、2011 年度は、欧州および新興国
また、研究開発生産性の向上とパイプラインの充実
に強い事業基盤を有するナイコメッド社の買収により、
を図るために、有望なパイプラインへ経営資源を重点
進出国を28ヵ国から約 70ヵ国へと飛躍的に拡大する
的に投下するとともに、各国・各地域での規制当局へ
ことができました。日米欧の先進国市場は、依然として
の対応を強化していきます。
規模が大きく重要な市場ですが、現在、世界の経済
さらに、営業キャッシュフロー最大化のための財務
成長を牽引しているのはBRICsを中心とする新興国で
戦略として、さらなる資金管理機能の充実を図り、負
あり、このことは医薬品産業も例外ではありません。
債を着実に返済することで健全な財務基盤の維持・強
当面の間、経済規模で約 4 割程度の新興国が、今後の
化に取り組んでいきます。
医薬品市場成長の約 7 割を創出する構図が継続する
なお、グローバル社会の要請に応えるCSR 活動に
と考えられており、当社では引き続き、先進国市場お
ついても積極的に展開することで、事業の持続的な成
よび新興国市場での事業基盤を強化していきます。
長と相まって企業価値の向上に努めます。
また、研究開発活動においては、日本で高血圧症治
世界は大きく変化し続けていますが、私たちを取り
療剤「アジルバ」
(アジルサルタン)、米国で腎性貧血治
巻く事業環境もまた同じです。しかし、タケダの 231
療剤「オモンティス」
(ペギネサタイド)の承認を取得
年にわたる歴史を振り返ってみれば、その道のりは決
し、さらに2 型糖尿病治療薬「 TAK-875 」、前立腺がん
して平坦ではなかったことに気づきます。先人達は、幾
治療薬「TAK-700」をはじめ次期主力製品と位置付け
多の困難に直面しようとも、常にタケダイズム、すなわ
ている多くのパイプライン
(開発品)
を後期ステージに
ち誠実(公正・正直・不屈)の精神を発揮し、乗り越えて
進めることができました。以上を通じて、タケダは、持
きました。タケダは、
これからも経営理念である「優れ
続的な成長の実現に向けての基盤を整備しました。
た医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に
これらの確かな成果を踏まえ策定した新たな 3ヵ年
貢献する」を実現するために、世界中の叡智を結集す
計画である「 12-14 中期計画」では、米国でアクトス
ることで、
どんな変化にも正面から向き合い、ステーク
後発品が参入する2012 年度を起点とした安定成長
ホルダーの皆さまのご期待にお応えしていきます。
社長メッセージの動画を、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/reports-publications/movie.html
Takeda Annual Report 2012
11
社長メッセージ
“
会社がいかに進化しようとも、
未来永劫、変えてはならないのは
「タケダイズム」
=
「誠実(公正・正直・不屈)
」の精神です。
「タケダイズム」が世界的製薬企業として
飛躍するための源泉となることを
”
決して忘れてはならないと考えています。
関連情報
P.17 経営の基本精神「タケダイズム・経営理念」
P.80 タケダの歴史
経営概況と成長戦略
業績概観
12
Takeda Annual Report 2012
経営方針に沿った戦略を着実に実施し、
「新たなタケダへの変革」を加速しました。
2011年度の売上高は15,089億円(対前年6.3%
メッド社の全株式の取得を完了し、100% 子会社とし
増)
、
うち、医療用医薬品事業の売上高は13,588億円
たことです。現在、統合プロセスは順調に進捗してお
(対前年7.2%増)
となりました。これは、旧ナイコメッド
り、2014 年度に完了する予定です。この買収により、
社の 6ヵ月間の売上が計上されたこと、および国内に
タケダの進出国は28ヵ国から約 70ヵ国へと拡大しま
おける2 型糖尿病治療剤「ネシーナ」
(アログリプチン
した。現在、旧ナイコメッド社を活用した欧州全域での
安息香酸塩)、抗癌剤「ベクティビックス」
(パニツム
事業強化と、成長著しい新興国における販売基盤強化
マブ)などの医療用医薬品や、米国における多発性骨
に向けた取り組みを進めています。
髄腫治療剤「ベルケイド」
(ボルテゾミブ)などの主力
研究開発の成果としては、日本において、2012 年
品の売上伸長により、為替の円高による影響や、2 型
1 月に高血圧症治療剤「アジルバ」
( アジルサルタン)
糖尿病治療剤「アクトス」
(ピオグリタゾン塩酸塩)の
の製造販売承認を取得し、米国において、2012年1月
減収をカバーした結果です。営業利益は 2,650 億円
に「ベルケイド」の皮下投与の適応追加承認、2012
(対前年 27.8% 減)で、ナイコメッド社の買収に伴う無
年 3 月に腎性貧血治療剤「オモンティス」
(ペギネサ
形固定資産・のれん償却費等により減益となりました。
タイド)の販売許可を取得するなど、期待のパイプラ
当期純利益は、海外事業合理化に伴う一時費用を特別
インを開発ステージの最終段階にまで進めました。
損失に計上したほか、日本の税制改正による法人税等
また、2012 年 1 月には、癌領域の強化に向けてイン
の一時的な増加もあり、1,242 億円(対前年 49.9%
テリキン社を買収しました。
減)
となりました。
販売活動については、2012 年 2月に米国において
2011 年度は、
「 11-13 中期計画」に基づき、
「新
高血圧症治療剤「イダービ」
(アジルサルタン メドキ
たなタケダへの変革」を一気に加速した年でした。そ
ソミル)
と利尿剤クロルタリドンとの合剤「イダーバク
の主な成果は、2011 年 9 月に96 億ユーロでナイコ
ロー」を発売しました。2012 年 1 月には欧州におい
ても「イダービ」の販売を開始しています。日本では
メディカル&サイエンティフィック オフィサー(CMSO)
2010 年度に発売した「ネシーナ」や「ベクティビック
と、海外における販売機能(国内営業部門とミレニアム
ス」の売上高が順調に伸びており、2011 年 9 月に発
社を除く)を統括するチーフ コマーシャル オフィサー
売した 2 型糖尿病治療剤「リオベル」
(「ネシーナ」と
(CCO)
を新設、
また、2012年1月に、
グローバルでの
「アクトス」の合剤)についても早期市場浸透に取り
ワクチン事業の強化を目的としてワクチンビジネス部
組んでいます。
を設立するなど、
グローバル事業運営体制とガバナン
なお、
タケダでは、2011年11月、
イノベーションの
ス強化に向けた取り組みも積極的に進めています。
推 進 および 研 究 開 発 の 生 産 性 向 上 を 担うチ ー フ
12-14
2011 年度の成果を踏まえて、重要課題を認識し、
中期計画
持続的成長を実現するための戦略を実施します。
「12-14中期計画」では、
「革新への挑戦」
と
「活力あ
3 つの戦略を確実に実行することで、2012 年度を起
る企業文化の創造」を通じて「持続的な成長」を実現す
点とする2016 年度までの 4 年間の年平均成長率に
るという経営方針に引き続き取り組んでまいります。
ついて、売上高で約 5% 、営業利益で 20% 台半ばを達
タケダでは、
「 12-14 中期計画」の期間中における
成することを目指します。
重要課題について、次のように認識しています。
持続的成長を実現するための3つの戦略
① 米 国における「アクトス」後 発 品 参 入 後 の 持 続 的
成長の実現
②研究開発生産性の向上とパイプラインのさらなる充実
③営業キャッシュフロー最大化のための財務戦略の強化
特に上記①の持続的成長の実現については、以下の
① 新興国における旧ナイコメッド社製品の売上伸長
② 旧ナイコメッド社の販売基盤を活用したタケダ製
品の売上拡大
③ 日米欧における新製品の伸長とパイプラインの
確実な承認取得
2012年度を起点に持続的成長を実現
持続的成長期
変革期
2012-16年度 年平均成長率
「12-14中期計画」期間は
2012年度を起点に持続的成長を
売上高
売上高:約
5%
確実にするための変革を継続
2012-16年度 年平均成長率
20%台半ば
営業利益:
営業利益
’
11
’
12
’
13
’
14
’
15
’
16
年度
Takeda Annual Report 2012
13
社長メッセージ
「 12-14 中期計画」の具体的戦略のポイントについ
を実行していきます。先進国は、医療費抑制策の推進・
ては、以下の通りです。
承認審査の厳格化などにより、2016年までの年平均
1.革新への挑戦(Innovation)
タケダは、アンメットメディカルニーズが高く、これ
までの研究開発の知見と基盤を最大限に活用できる
「代謝性・循環器系疾患」、
「 癌」、
「 中枢神経系疾患」、
「呼吸器・免疫系疾患」、
「 消化器・泌尿生殖器系疾患」、
「ワクチン」を重点領域とし、疾患予防と根本治療に貢
献する画期的な新薬の創出に挑戦しています。具体的
には、疾患領域研究を担う組織( Drug Discovery
Unit: DDU)を軸としたグローバル自社研究ネットワー
クを駆使するだけではなく、外部研究機関や大学との
連携もふまえ、創薬基盤研究を強化しています。さらに、
積極的な導入・アライアンス活動、ライフサイクルマネ
ジメントの推進によって競争力のあるポートフォリオを
構築するとともに、
グローバルでの薬事機能を強化し、
開発後期パイプラインの確実な承認取得を実現しま
す。また、新興国などでニーズの高い「ワクチン」につい
てもグローバルでの事業展開を推進していきます。
パイプラインの有効性、安全性、市場性を、早い段階
で、正確に見極め、優先順位付けし、これに従い経営
資源を投下していくことで、研究開発生産性を向上
させていきます。
成長率が 2 %程度に留まるものと予測されています
が、依然として市場規模は大きく、タケダにとって重要
な市場であり、アンメットメディカルニーズを満たす新
薬に対しては高い成長可能性が見出せると考えてい
ます。新興国については、国・地域によっては相対的に
事業環境リスクが高いものの、2016年度までの年平
均成長率が約 11 %と二桁成長が継続し、世界の医薬
品市場成長の約 7 割を創出すると予測しています。短
中期的には、特許の切れた先発品(ブランドジェネリッ
ク)が市場を牽引しますが、中長期的には、新薬の成長
機会が拡大するものと見ています。
このような世界の医薬品市場における見通しを踏ま
えて、
タケダは、日米欧の先進国においては、新製品の
市場浸透を早期に行い、
これまでの大型成熟品を中心
とした製品構成から、アンメットメディカルニーズに応
える多様なラインナップによる製品構成へとシフトし
ます。同時に、コスト削減を進めながら持続的な成長
を実現する事業モデルへの構造転換を進めていきま
す。米国においては、既に、2012 年 6 月に痛風・高尿
酸血症治療剤「コルクリス」
(コルヒチン)を主力品と
するURLファーマ社の買収を完了するなど、製品ライ
ンナップの強化に取り組んでいます。
2.活力ある企業文化の創造(Culture)
また、成長ドライバーである新興国市場において
引き続き、
グローバル人材の育成・獲得と、従業員の
は、旧ナイコメッド社製品を確実に伸長させることで、
ダイバーシティを推進し、世界中の従業員が生き生き
2016 年度までの新興国の市場伸長率 11 %を上回
と働くことができる企業文化・職場環境を創造します。
る17 %の成長を実現したいと考えています。中国、
人材育成においては、日本と世界の各拠点間での人
ロシア/ CIS( 独立国家共同体)、ラテンアメリカにお
材交流を積極的に進めており、グループ全体での多
いては、優秀な人材の確保や新製品の上市準備に向
様性を生かした、
グローバルに通用する人材育成の仕
けた積極的な投資を行い、中長期的な成長ドライバー
組みを構築していきます。また、
グローバルでのコン
として事業基盤の強化に取り組んでいきます。なお、
プライアンスを徹底するとともに、東日本大震災被災地
ブラジルでの事業体制強化の一環として、2012年7月
への継続的な復興支援や新興国での医療支援など、
には同国において需要の高い製品を中心に取り扱っ
良き企業市民として環境や CSRにも配慮した経営を
ているマルチラブ社の買収を完了しました。
実施します。
また、ナイコメッド社の買収によって獲得した新たな
3.持続的な成長(Growth)
事業基盤にタケダの製品を継続的に投入することで
タケダでは、先進国と新興国という二つの異なる
マーケットに対して、それぞれの市場特性にあった戦略
14
Takeda Annual Report 2012
両社の相乗効果を最大化するとともに、
コスト削減効
果を確実に実現していきます。
12-14
中期計画の
業 績 見 通し
新興国でのさらなる売上伸長や、新製品の寄与によって
売上高の拡大を見込んでいます。
2012 年度の業績については、売上高 15,500 億
費の増加、新興国を中心に積極的な投資を行うことに
円(対前年 2.7% 増)、営業利益 1,600 億円(対前年
より減益を見込んでいます。当期純利益については、
39.6% 減)、当期純利益 1,550 億円(対前年 24.8%
インフルエンザワクチン製造設備建設に関する国庫
増)
を見込んでいます。
補助金等の特別利益への計上を見込んでいることに
売上高は、旧ナイコメッド社の売上高が通期で計上
加え、移転価格税制にかかる更正処分の異議決定に
される影響、日本の「ネシーナ」、
「 べクティビックス」、
伴う税金還付があることから増益を見込んでいます。
米国の「ベルケイド」、逆流性食道炎治療剤「デクスラ
2014年度までの業績見通しについては、下表に示
ント」
( デクスランソプラゾール)、痛風・高尿酸血症治
した通りとなっています。2012年度以降は、新興国事
療剤「ユーロリック」
(フェブキソスタット)などの伸長、
業の成長や新製品の成長が寄与し、売上・利益ともに
URLファーマ社の売上高の寄与によって、米国での
回復軌道に入ると見込んでいます。なお、業績予想に
「アクトス」後発品の参入による減収を吸収すること
ついては、URLファーマ社による損益影響( 2012 年
で、増収を見込んでいます。営業利益は、
「アクトス」の
度の売上高で約 440 億円の増収効果、営業利益で約
減収による利益へのマイナス影響に加え、買収に伴う
50億円の増益効果)を織り込んでいます。
無形固定資産、のれん償却費の増加、および研究開発
「 12-14 中期計画」における業績見通し
(億円)
2011年度(実績)
2012年度(見通し)
2013年度(見通し)
2014年度(見通し)
15,089
15,500
16,300
17,000
研究開発費
2,819
3,100
3,050
3,100
営業利益
2,650
1,600
2,250
2,400
営業利益 特殊要因※1除き
4,145
3,050
3,550
3,600
1,500
1,200
売上高
※2
1,242
1,550
EPS(円)
157
196
190
152
EPS(円)特別損益・特殊要因※1除き
314
241
291
285
当期純利益
(注)為替の前提は1 米ドル=80 円、1 ユーロ=105 円 ※ 1 特殊要因:企業買収等に起因する無形固定資産償却費、のれん償却費、棚卸資産のステップアップ(時価評価による増加部分)に係る売上原価の増加および移転価格
税制に係る還付金(ただし還付金は1 株当たり純利益( EPS )に対してのみの特殊要因) ※ 2 移転価格税制に係る還付金( 527 億円)を含む
財務戦略と
株主還元
健全な財務基盤の維持・強化を図り、
株主還元重視の姿勢のもと、安定的な利益配分に努めます。
2012-14 年度における財務戦略の基本方針は、
間 180 円といたしました。
「 12-14 中期計画」期間中
健全な財務基盤の維持・強化、および企業価値向上の
の利益配分については、引き続き、堅調なキャッシュ
ための成長戦略の両立です。有価証券・遊休不動産の
フローをふまえ、株主の皆さまへの還元を重視する姿
処分による資産圧縮などにより、資金管理を強化する
勢のもと、業績見通しに基づき、2012 年度および
ことで、負債を着実に返済するとともに、持続的成長
2013 年度は、1 株当たり配当金について年間 180
のための 3,000 億円レベルの研究開発投資、および
円を継続し、2014 年度以降も安定的な利益の配分
戦略的投資を実施していきます。
に努めてまいります。
2011年度の 1 株当たり配当金は、前期と同額の年
Takeda Annual Report 2012
15
社長メッセージ
CSR 活動
事業成長の機会とリスクに社会的側面から対応し、
持続的成長の実現をサポートします。
タケダは、
「 12-14 中期計画」において、新興国事
さらに、タケダは、社会の変化を先取りし適切に対
業を成長のドライバーのひとつとして位置づけていま
応するだけではなく、より良い社会に向けて自ら変化
すが、新興国には、貧困問題が大きな社会的課題とし
を作り出すイニシアティブに取り組んでいます。具体
て存在しています。貧困を生み出す原因のひとつとし
的には、2011 年 1 月、国連グローバル・コンパクトの
て、国連やWHOからは「保健医療アクセス」の欠如が
「 LEADプログラム※1」メンバーとなり、その理念の実
指摘されており、新興国におけるステークホルダーか
践と普及をリードする活動を推進しています。また、
らは、当該環境で事業を営む製薬企業に対し、社会問
2011年7月、国際統合報告審議会の「パイロット・プロ
題に対する取り組みの要請が高まっています。タケダ
グラム※2」のメンバーとなり、財務情報と非財務情報の
は、本業の医薬事業ならびに企業市民活動を通じて、
統合報告に関わるルールづくりに、自らの経験を踏ま
ステークホルダーの声にお応えする取り組みを進めて
えた提言活動を通じて関わっています。
います。感染症問題については、ワクチン事業のグロ
ーバル展開を着実に進めることに加え、
「 世界エイズ・
結核・マラリア対策基金(世界基金)」に対する長期支援
を2019 年まで継続して実施します。非感染症問題に
ついても、当社の強みである生活習慣病の治療薬を
新興国の患者さんにお届けするだけではなく、専門性
の高い NGOとの協働を通じて、疾患を予防するため
タケダは、
「 12-14 中期計画」に基づいた戦略を果
敢に実行し、
「 優れた医薬品の創出を通じて人々の健
康と医療の未来に貢献する」という経営理念の実現を
目指していきます。引き続き、
ご理解ご鞭撻を賜ります
よう、お願い申し上げます。 ※1 2011年に立ち上げられたプログラム。参加企業には国連グローバル・コンパク
トの理念の実践と普及をリードする活動が求められ、現在、世界で約 60 社が参加し
ている。
の教育・啓発活動を進めていく計画です。
また、社内的には、
グローバル事業の円滑な遂行を
サポートするため、従業員によるダイバーシティへの
理解促進を図るとともに、公正な事業環境を促進に向
けた、汚職防止を含むコーポレート・ガバナンスの強化に
グループ全体で取り組み、タケダイズムの根幹である
誠実な事業活動の推進に努めていきます。
“
世界のリーダーが力を合わせ、
未来に向けてのビジョンを創造し、
人々に活力を与え、
あらゆるレベルで社会的統合を
”
進めなければなりません。
長谷川閑史社長が共同議長を務めた
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)2012
メッセージビデオより
16
Takeda Annual Report 2012
は、国際的に合意された統合報告フレームワークを
※2 国際統合報告審議会(IIRC)
フレームワーク策定
構築することを目的として設立された民間団体。2011年より、
のため「パイロット・プログラム」を実施しており、世界で65社が参加している。
関連情報
P.48 CSRによる企業価値創造
P.72 経営管理体制
代表取締役 社長
経営の基本精神
タケダイズムをはじめとする「経営の基本精神」
が、
私たちの企業活動すべての原点となっています。
環境
社会
患者さん・医療従事者の皆さま
株主・投資家の皆さま
従業員
お取引先
Our Stakeholders
タケダイズム
誠実=公正・正直・不屈
わたしたちタケダグループの従業員は、いかなる場面においても、常に
誠実であることを旨とします。誠実とは、何事にも高い倫理観をもって、
公正・正直に取り組む基本姿勢と、より良き姿を追求し続ける不屈の精神
をいいます。この実践を通じて、わたしたちを取り巻くあらゆる人々との
間に強い信頼関係を築き、事業を発展させていくことで、タケダの経営
理念である「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に
貢献する」を世界で実現していくことを目指します。
経営理念
行動原則
優れた医薬品の創出を通じて
人々の健康と医療の未来に貢献する
高い倫理観を大切にしながら、次の行動に努めます
経営方針
連携
わたしたちタケダグ ル ープは 、グロー バ ル 製 薬 企 業として の
リーダーシップを発揮しながら、
「 革新への挑戦」、
「 活力ある企業
文化の創造」、
「持続的な成長」を追求し、経営理念を実現します
共通の目標の実現に向けて、組織を超えて協力し合います
多様性
世界中の様々な人々とその考えを理解し、尊重します
コミットメント
ステークホルダーの期待に応えるため、自らの責任を全うします
革新への挑戦
透明性
最先端の科学と医学における革新に果敢に挑戦し、優れた医薬
品を研究・開発し、医療と患者さんのニーズに応えます
ステークホルダーとの間に信頼関係を築くため、適切な情報共
有と対話を大切にします
活力ある企業文化の創造
情熱
社会の一員として、従業員がお互いを認め合い、協力し合い、
タイム
リーな意思決定を行うことによって、活力ある企業文化を創ります
医 療と患 者さん の 幸 せに貢 献するという熱 い 想 いと、そ の 実
現に向けて不屈の精神を持ち続けます
持続的な成長
挑戦
重点疾患領域を中心に、優れた医薬品の提供を通じて、持続的
な企業価値向上を目指します
常に革新に挑み、あらゆる可能性を追求します
(注)ステークホルダーとは、企業の事業活動により影響を受ける、または影響を与
える、患者さん、医療従事者の皆さま、株主・投資家の皆さま、従業員、お取引
先、社会、環境などの関係者(存在)を意味します。
Takeda Annual Report 2012
17
医薬事業による
企業価値創造
「優れた医薬品の創出」に
チャレンジし続けること、
それが、世界の人々に対して
タケダが果たすべき使命です。
私たちはタケダイズムに基づいて
くすりづくりを誠実に行い続けます。
19 研究開発
25 ワクチンビジネス部の設立
26 パイプライン
30 導入・アライアンス活動
31 CMC研究センター/知的財産
32 生産供給体制
33 品質保証体制
34 マーケティング
47 ヘルスケア事業
18
Takeda Annual Report 2012
研究開発
Message
from Management
病気との闘いにおける「緊急性」を常に意識し、
世界の患者さんに貢献する創薬イノベーションを追求します。
取締役 チーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサー(CMSO) 山田
460
万人
糖尿病による
世界の死亡者数
(2011年)
国際糖尿病連合(IDF)
「糖尿病アトラス第5版」より
糖尿病の蔓延は、新興国にお
いて深刻化しており、特に中国
とインドで患者数が急速に増
加しています。
忠孝
Dr. Tadataka Yamada
私は、
グローバルな製薬産業に長く関わってきた自らの経験に基づき、成長に向けて、研究開発部門とし
て指針とすべき、4つの重要な原則があると考えています。これを、
タケダにおける「研究開発の行動原則」
と位置付けています。
第 1 の原則は「緊急性」です。世界では、毎年800 万人もの 5 歳以下の子供たちが、本来、予防・治療可能
な疾患により命を落としています。また、代謝性・循環器系疾患、癌、中枢神経系疾患などによっても、日々、
多くの患者さんが亡くなっています。医薬品の研究開
発に携わる者は、日々の業務のなかで、病気と向き合
研究開発の行動原則
う患者さんや、患者さんを愛する人たちが感じている
「少しでも早く、優れた医薬品を生み出してほしい」と
緊急性
イノベーション
いう想いを共有しなければなりません。もし、その患者
患 者 さ ん の た めに
さんが自分の大切な家族であったなら、
この「想い」を
実現するために、昼夜を問わずあらゆる手段を考え、
一刻も早く実行に移そうとするでしょう。その「想い」
連 携
パフォーマンス
評価
こそが、優れた医薬品を創出する力となるのです。
CMSO
2011 年 11 月、イノベーショ
ンの推進および適切な投資配
分による研究開発生産性の向
上を目的として、チーフ メディ
カル&サイエンティフィック オ
フィサ ー( CMSO )を新設し、
山 田 忠 孝 が 就 任 し まし た 。
CMSO は、グローバル・リーダ
ーシップ・コミッティーにおい
て、全ての研究開発活動の総
合的な意思決定を行う部会の
議長を務めます。
Takeda Annual Report 2012
19
研究開発
Message
from Management
第 2 の原則は「イノベーション」です。基
礎研究、臨床開発、品質保証、薬剤設計な
イノベーション (Innovation)
ど、研究開発に関わる全ての部門が一丸と
New Frontier Science
なってイノベーションを追求することで、真
のブレークスルーを達成することができる
と考えています。
また、私たちの革新的な医薬品創出への
挑戦が、
どれだけの価値を生み出したかを
TAK-875
TAK-438
MLN0002
新規分子
化合物
TAK-375SL
AD-4833/
TOMM40
新規
ライフサイクル
マネジメント
Drug Discovery Unit
CMC 研究センター
知るために必要となるのが、第 3 の原則で
ある
「パフォーマンス評価」です。今後は、
「生み出した製品価値に基づくパフォーマンス評価」を実施します。
そして、最後の第 4 の原則が「連携」です。医薬品を創出するプロセスは、長きにわたる忍耐と不屈の精
神が要求されるマラソンにたとえられます。社内外の数多くのパートナーとの連携がなければ、ゴールに
到達することはできません。自社の専門知識を高めていくことに加え、引き続き、オープン・イノベーション
の推進にも積極的に取り組み、社外リソースも最大限に活用していきます。
病気と闘っておられる、世界中の患者さんの想いに応えることこそが、タケダが果たすべき使命です。
私たちは、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創出に挑戦し続けます。
R&Dミーティングの動画を、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/reports-publications/movie.html
20
Takeda Annual Report 2012
Close up
研究開発に関する業界動向
医薬品業界全体が直面する「技術革新の壁」を乗り越え、
真のブレークスルーをもたらす解決策が求められています。
FDAの承認取得者別構成
(1998年∼2007年)
世界の保健医療分野における課題
医薬品は、20 世紀に著しい進歩を遂げましたが、世
界には、いまだ有効な治療法がない疾患が数多く存在
出所:FDAホームページのデータをもとに作成
.
出典:医薬産業政策研究所「米国での創薬プロセスにおけるバイオベンチャーの役割」
(一部改変)
政策研ニュースNo.26(2008年12月)
しており、
これらは「アンメットメディカルニーズ」と呼
ばれています。癌やアルツハイマー病などは根本治療
につながる医薬品が開発されておらず、世界中で、多
くの患者さんとそのご家族が苦しまれています。米国
製薬企業
食品医薬品局( FDA )をはじめとする規制当局は、アン
58%
バイオ
ベンチャー・
アカデミア
42%
メットメディカルニーズに対応する医薬品を優先する
一方で、安全性に対する意識の高まりから、新薬承認
審査はますます厳格化しています。そのため、医薬品
企業は、巨額な研究開発費を投資しつつも新薬承認
創薬イノベーションを取り巻く環境変化
取得が困難になっているのが現状です。
近年、FDAに承認された新薬のうち、バイオベンチ
また、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の研
ャーやアカデミア起源の開発品目の比率が高まってお
究開発、新型インフルエンザ、途上国における感染症
り、特にアンメットメディカルニーズを満たす医薬品に
および非感染性疾患 ※問題、国によって新薬の承認に
おいて顕著となっています。そのような状況も見据え
時間差が生じる「ドラッグ・ラグ」なども大きな課題とな
ながら、タケダでは導入・アライアンス活動を積極的に
っています。 ※心血管疾患、癌、慢性呼吸器疾患、糖尿病など
進めてきました。さらに、2008 年度には、世界有数の
バイオ医薬品企業であるミレニアム社を統合すること
新薬承認数と研究開発投資額
によって、癌領域に関する質の高い研究・開発・販売体
(件)
(億ドル)
60
600
制を構築することができました。
50
500
今後は、湘南研究所を当社の研究活動におけるグ
40
400
ローバルネットワークの中心と位置付けて、バイオベ
30
300
ンチャーやアカデミアとの連携をさらに深めます。さ
20
200
らには、次世代の創薬標的の発掘につながる基盤研究
10
100
やバイオマーカーの同定などについて、共同研究を積
0
極的に推進し、オープン・イノベーションを加速してい
0
’
95
’
96
’
97
’
98
’
99
FDAの新有効成分含有医薬品承認数
’
00
’
01
’
02
’
03
’
04
’
05
’
06
’
07
’
08
’
09
’
10
PhRMA会員の研究開発投資額
きます。
注:2010年の投資額は推定値
出所:NIH FY2012 Budget Overviewをもとに作成
出典:医薬産業政策研究所「
. ドラッグ・リポジショニングと希少疾患イノベーション」政策研ニュースNo.35(2012年3月)
Takeda Annual Report 2012
21
研究開発
製品価値の創出と最大化に取り組み、
将来の成長に向けた研究開発活動を進めていきます。
領域別研究開発費比率
( 2012-14 年度平均)
ワクチン
癌
代謝性・
循環器系疾患
31%
27%
呼吸器・
免疫系疾患
4%
中枢
12%
神経系
疾患
消化器・泌尿
生殖器系疾患
14%
12%
タケダは、
「 革新への挑戦( Innovation )」を経営
重点領域へのリソース集中
方針の一つに掲げており、
「 12-14 中期計画」におい
タケダは、常に医療上のニーズを踏まえ、研究開発
ても、引き続き、新たなタケダへの変革にチャレンジし
戦略を決定しています。
「 12-14 中期計画」において
ていきます。
は、ナイコメッド社の統合により慢性閉塞性肺疾患治
具体的には、チーフ メディカル&サイエンティフィッ
療剤「ダクサス」
(ロフルミラスト)、関節リウマチ治療
ク オフィサー( CMSO)の新設を含む新たなグローバ
薬「 Veltuzumab 」、
「 MT203 」
( namilumab )を獲
ル研究開発体制のもと、各重点領域戦略を確実に実
得したことや自社パイプラインの進捗などを考慮し、
行し、
「 POC&C 」
( P.23を参照)に基づいて見極めた
重点領域の組み替えを行いました。
パイプラインの価値を最大限に高めることによって、
今後は、アンメットメディカルニーズが高く、これま
研究開発生産性の向上に取り組んでいきます。
での 研 究 開 発 の 知 見と基 盤を最 大 限に活 用できる
「代謝性・循環器系疾患」、
「癌」、
「中枢神経系疾患」、
「呼吸器・免疫系疾患」、
「 消化器・泌尿生殖器系疾患」、
20.3 %
的に投 下します 。特に、ワクチン事 業につ い ては 、
(%)
(億円)
30
6,000
2011年度
2012 年 1 月に新設したワクチンビジネス部におい
20.3%
10
2,000
’
07
研究開発費
’
08
’
09
’
10
’
11
対売上高比率
2,769
0
て、同事業のグローバル展開を推進していきます。
20
4,000
研究開発費
医療用医薬品
研究開発費
対売上高比率
「ワクチン」を重点領域と位置付け、経営資源を集中
医療用医薬品 研究開発費/対売上高比率
Takeda Annual Report 2012
の研究開発資産の最大化を図るため、ライフサイクル
マネジメントも推進し、さまざまな患者さんのニーズ
0
年度
対売上高比率
(注)2008年度はTAP社およびミレニアム社統合に伴うインプロセスR&D費含む
22
また、自社研究強化による新薬創出に加えて、当社
に合致する医薬品を創出していきます。
グローバル研究開発拠点
研究拠点
開発拠点
ナイコメッド・デンマーク
ApS
武田グローバル
研究開発センター
日本開発センター
Inc.
武田バイオ開発センター
(株)
武田グローバル
研究開発センター
(欧州) Ltd.
新規進出国・新興国での
販売拡大の支援
ミレニアム・
ファーマシューティカルズ
湘南研究所
Inc.
CMC研究センター
武田上海開発センター
広東テックプール・
バイオファーマ
武田ケンブリッジ
Limited
Co., Ltd.
ナイコメッド
GmbH
武田カリフォルニア
ナイコメッド・ファーマ
Private Limited
インテリキン
武田グローバル
研究開発センター(アジア)
武田シンガポール
Pte. Ltd.
Pte. Limited
Inc.
LLC
武田ベンチャー投資
Inc.
「POC&C」による研究開発生産性の向上
タケダは、2010 年度より、研究開発生産性の向上
を目指す基本戦略として「 POC&C 」を採用していま
「 POC&C 」とは
す。
「 12-14 中期計画」においては、患者さんへの貢
「Proof of Concept & Competitiveness」の
献が明確で市場競争力のある化合物に経営資源を投
略で、臨床試験において、
ヒトにおける有効性・安
入するために、臨床第Ⅲ相試験へのステージアップを
進める際に「 POC&C 」の基準をより厳格に適用し、パ
全性とともに、市場における競争優位性を立証す
ることを意味します。
フォーマンス評価を徹底していきます。
具体的には、
「 POC&C 」を満たす化合物の「製品価
値」を、
「 POC&C 」が達成された時点での予想ピーク
時売上高を用いて表し、研究開発活動による業績を評
価します。
タケダでは、研究、開発、CMC 、知的財産、事業開
発、販売部門からのメンバーで構成される疾患領域
「 POC&C 」を重視する理由
• 製品価値を表す有効な代替指標
• 創出された価値を近似的に測定可能
• 予測ピーク時売上高を重視した評価
• 将来の全社業績の予測に効果的な手法
• 疾患領域ユニットの業績目標として活用
ユニット
( Therapeutic Area Units )を構成し、各
疾患領域戦略に関する責任と権限を一元化すること
の重点領域において、有効性・安全性に優れ、かつ市
によって、研究開発マネジメントの強化を推進してい
場競争力を有するパイプラインの開発に取り組んで
ます。この疾患領域ユニットでは、疾患領域リーダー
いきます。
(Therapeutic Area Leads)が研究開発プロセス
を推進する体制を構築しています。以上を通じ、全て
Takeda Annual Report 2012
23
研究開発
次期主力製品として期待される主な開発品
武田薬品工業
TAK-875
武田
カリフォルニア社
SYR-322
ミレニアム社
MLN0002
旧ナイコメッド社
導入品
DAXAS
OMONTYS
慢性閉塞性肺疾患
腎性貧血
MLN9708
Teduglutide
Lu AA21004
多発性骨髄腫
短腸症候群
大うつ病
TAK-700
MLN8237
前立腺癌
MT203
血液癌および固形癌
関節リウマチ
統合失調症および
双極性障害
Veltuzumab
Contrave
関節リウマチ
肥満症
2型糖尿病
2型糖尿病
潰瘍性大腸炎および
クローン病
TAK-438
SYR-472
酸関連疾患
2型糖尿病
lurasidone
SGN-35
リンパ腫
「連携」による確実な承認取得
タケダは、ナイコメッド社の統合によって、製品価値
ました。TSDCは、癌以外の全ての疾患領域について、
の高い開発品だけでなく、新興国市場を中心としたグ
武田グローバル研究開発センター(アジア)Pte. Ltd.
ローバルなプレゼンスを獲得しました。その強みを最
と連携しながら主に中国での臨床試験を実施し、癌領
大限に活かしながら、
グローバル開発拠点間の連携を
域については日本を除くアジア地域全体の臨床試験
強め、各国規制当局のニーズにきめ細かく対応するこ
を担当します。
とで、後期開発品目のグローバルでの確実な承認取得
を目指します。
積極的な導入・アライアンス活動
新興国市場における開発加速に向けては、2012
タケダは、導入・アライアンス活動を、自社研究開発
年2月に、
「武田上海開発センター」
(TSDC)を設置し
を補完するパイプライン強化策と位置付けており、引
き続き積極的に取り組んでいきます。2012 年 3 月に
は、米国アフィマックス社からの導入品である腎性貧
血治療剤「オモンティス」について、FDAから販売許可
を取得しました。その他、今後 5 年間で 8 品目の導入
品の上市を予定しており、持続的成長の実現に大きく
寄与するものと期待しています。
また、今後も、オープン・イノベーション推進の観点か
ら、バイオベンチャーやアカデミアとの研究提携、イノ
ベーションにつながる革新的な技術導入も積極的に
行うことで、外部の専門知識・技術を活用して自社の
専門知識・技術を補い、競争力があり、かつバランスの
とれたポートフォリオの構築につなげていきます。
24
Takeda Annual Report 2012
Close up
ワクチンビジネス部の設立
日本で長年培ってきた技術や知識を結集、より発展させることで、
グローバルワクチン事業を立ち上げ、世界の公衆衛生の向上に貢献します。
グローバルでのワクチン事業の強化
現在開発中のワクチンについて
タケダは、日本において60 年以上にわたり、小児用
■
ワクチンの供給に努めてきました。ワクチンは最もコ
感染症の主要な原因の一つである、
インフルエンザ菌
スト効率に優れた医療の一つであり、近年、世界の公
b型(Hib)による感染症予防を目的としたワクチンで、
衆衛生の向上に対する多大なる貢献を踏まえ、タケダ
現在、
日本において臨床第Ⅲ相試験を実施しています。
では、ワクチン事業をグローバルに展開することを決
■ 不活化ポリオワクチンを含む 4 種混合ワクチン
定しました。
150
万人
ワクチンで
予防できる病気で
亡くなっている
5歳未満の
子どもたちの数
(2008年)
出典:WHO WEBサイト
Hibワクチン「TAK-816」 小児の肺炎、髄膜炎、耳
「TAK-361S」日本をはじめとする世界のポリオ根絶
事業活動のグローバル展開を目指して、タケダで
計画の一端を担うために、日本ポリオ研究所とのパー
は、2012 年 1 月にワクチンビジネス部を立ち上げ、
トナーシップを通じ、
セービン株を用いた不活化ポリオ
ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でグローバル・ヘル
ワクチン( S-IPV )を含む「小児 4 種混合ワクチン」※ の
ス・プログラムのワクチン・デリバリーディレクターを務
開発を日本において進めています。
めてきたラジーヴ・ヴェンカヤが部門長として就任しま
■ 神田HPVワクチン 子宮頸癌を引き起こす高リスク
した。今後は、小児用ワクチンの自社開発を継続する
型 HPV 、15 種類すべてに有効なワクチンとなる可能
とともに、革新性の高い製品や新規基盤技術の導入
性があり、現在までに6 種類の高リスク型 HPVに対す
を通じてパイプラインを拡充していきます。また、日
る有効性が確認されています。
本のワクチン事業に関しても、一層の強化を図ってい
※既に製造販売している沈降精製百日せき、
ジフテリア、破傷風の 3 種混合ワクチン
に、不活化ポリオワクチン
(S-IPV)
を混合したワクチン。
きます。
ビジョン
障害や致死性疾患の予防を可能にするワクチンの開発、
流通を通じ世界の公衆衛生向上に貢献
新型インフルエンザワクチンについて
■ ヴェロ細胞培養技術 ヴェロ細胞培養技術のバクス
ター社からの技術導入のもと、
ヴェロ細胞培養インフ
方針
• 優れた予防ワクチンの上市により、日本でのワクチン
ビジネスを強化
ルエンザワクチンに関する製造基本技術の確立を進
めています。
• タケダのグローバルな事業基盤を活用し、パートナ
ーとのコラボレーションを通じて既存ワクチンを海
外展開
• 有効なワクチンがなく、アンメットメディカルニーズ
の高い疾患に重点を置いた、新規性の高い小児・成人
向けワクチンの強化
施策
• 日本におけるS-IPV混合小児ワクチン・細胞培養イン
フルエンザワクチンの着実な開発
• タケダが販売基盤を持つ特定市場での、パートナー
企業との共同販売
• 導入や買収を通じた、革新性の高いワクチンや新規
途上国の医療現場を視察するラジーヴ・ヴェンカヤ
基盤技術の確立
Takeda Annual Report 2012
25
研究開発
主な開発品の状況( Phase Ⅱ以降)
開発コード/製品名〈一般名〉
●製品名(国・地域)
薬効(剤形)
適応症
開発地域
開発段階
PhaseⅠ Phase Ⅱ Phase Ⅲ
申請
承認
代謝性・循環器系疾患領域
DPP-4阻害薬(経口剤)
SYR-322
糖尿病(アクトスとの合剤)
〈アログリプチン安息香酸塩〉
• ネシーナ(日本)
欧州
糖尿病
糖尿病(メトホルミンとの合剤)
TAK-491
〈アジルサルタン メドキソミル〉
• イダービ(米国、欧州)
※1
米国
2011.07
日本
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
(経口剤)
高血圧症
※2
米国
欧州
2012.05
中国 ※5
2012.03
米国
2011.11
欧州
2012.06
2011.12
欧州
ブラジル ※5
高血圧症(クロルタリドンとの合剤)
2012.06
2011.11
2011.12
米国
欧州
TAK-536
〈アジルサルタン〉
• アジルバ(日本)
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
(経口剤)
EPA・DHA製剤(経口剤)
TAK-085
高血圧症
日本
高血圧症(アムロジピンベシル酸塩との合剤) 日本
高脂血症
日本
2012.01
2011.09
〈オメガ3 アシド エチル エステル90〉
Contrave®
肥満症
μオピオイド受容体拮抗薬・
ドーパミン/
ノルエピネフリン再取込阻害薬(経口剤)
〈ナルトレキソン/ブプロピオン〉
TAK-875
〈ー〉
GPR40作動薬(グルコース依存性
インスリン分泌促進薬)
(経口剤)
糖尿病
DPP-4阻害薬(経口剤)
糖尿病
※3
米国
米国
欧州
日本
SYR-472
〈ー〉
米国
欧州
日本
ATL-962
リパーゼ阻害薬(経口剤)
肥満症
神経栄養因子産生促進薬(経口剤)
糖尿病神経障害
日本
〈セチリスタット〉
TAK-428
〈ー〉
米国
欧州
中枢神経系疾患領域
Sovrima®
ミトコンドリア標的抗酸化薬(経口剤)
〈イデベノン〉
Lu AA21004
〈Vortioxetine〉
多重作用メカニズム型抗うつ薬
(経口剤)
lurasidone
非定型抗精神病薬(経口剤)
欧州
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
欧州
大うつ病
米国
米国
統合失調症
欧州
双極性障害
欧州
双極性障害
米国
PDE-4阻害薬(経口剤)
慢性閉塞性肺疾患
ロシア ※5
骨吸収抑制薬(経口剤)
月1回投与製剤
日本
CD20モノクローナル抗体(注射剤)
関節リウマチ
MT1/MT2受容体作動薬(舌下剤)
※4
日本
全般性不安障害
〈ルラシドン塩酸塩〉
TAK-375SL
フリードライヒ失調症
〈ラメルテオン〉
• ロゼレム(日本、米国)
呼吸器・免疫系疾患領域 ※6
DAXAS®
2011.08
〈ロフルミラスト〉
NE-58095
2012.03
〈リセドロネート〉
• ベネット(日本)
ー
〈veltuzumab〉
※1 米国食品医薬品局より審査結果通知受領(2012.04) ※2 米国食品医薬品局より審査結果通知受領( 2012.04)
※3 米国食品医薬品局より審査結果通知受領(2011.01) ※ 4 良好な解析結果が得られた場合、再申請
※ 5 日米欧以外の地域について、参考として1ヵ国のみを記載しています。 ※ 6 その他領域を含みます。
開発状況の詳細は、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/research/product-pipeline/article_1044.html
26
Takeda Annual Report 2012
米国
欧州
2012年7月1日現在
次期主力製品として期待される主な開発品
代謝性・循環器系疾患領域
呼吸器・免疫系疾患領域
2型糖尿病治療薬「SYR-322」
(アログリプチン
安息香酸塩)
(日:承認、米:申請、欧:申請)
DPP-4 ※ 阻 害 作 用を有する 2 型 糖 尿 病 治 療 薬と
「ダクサス」は、COPD の症状の急激な悪化を抑制
して、武田カリフォルニア Inc.( 旧武田サンディエゴ
することが明確に示された初めての経口剤です。新興
Inc.)によって創出されました。日本では2010年4月
国では COPD の患者数は先進国を上回っている、と
に承認を取得し、
「ネシーナ」として販売されていま
いう調査結果もあり、今後、新興国において成長ドラ
す。現在、
グローバルでの承認取得に向け、開発・申請
イバーとなることが期待されています。本剤は 2010
を行っています。
年 7 月に欧州で販売許可を取得し、現在は多くの新興
※インスリン分泌を高めるホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1 )を分解
国において申請、
または既に承認されています。
する酵素
9-17
年
基礎研究から承認まで
新薬の開発にかかる年月
慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤「ダクサス」
(ロフルミラスト)
(欧:承認)
2型糖尿病治療薬「TAK-875(
」日/米/欧:第Ⅲ相)
既存の医薬品とは異なる作用機序を持ち、次期大
研究開発の「パイプライン」について
型糖尿病治療薬候補として期待されています。スルホ
「パイプライン」とは、研究開始から承認・発売
候補化合物が
新薬として世に出る
成功確率
ニル尿素系薬剤、
インクレチン関連薬とは異なり、
グル
にいたるまでの開発品を意味します。基礎研究、
コース濃度に依存してインスリン分泌を改善します。
非臨床試験を終えた開発品については、ヒトを
3万1,064分の1
現在、日本・米国・欧州において臨床第Ⅲ相試験を実
対象とした臨床試験が行われます。3 段階の臨
施中です。
床試験を経て、有効性、安全性が証明された開
日本製薬工業協会 調べ
( 2005 ∼ 2009 年)
発 品は、国による承 認 審 査が行われた後 、
「新
薬」として発売されます。
中枢神経系疾患領域
大うつ病・全般性不安障害治療薬「Lu
(vortioxetine)
(日/米:第Ⅲ相)
基礎研究/非臨床試験
AA21004」
「Lu AA21004」は、
デンマークのルンドベック社か
ら導入した、現在発売されている抗うつ剤とは異なる
作用機序を持つ新規化合物です。新たなタイプの大う
つ病・全般性不安障害治療薬として期待されています。
非定型抗精神病薬「lurasidone」
(ルラシドン塩酸塩)
(欧:第Ⅲ相)
「lurasidone」は、大日本住友製薬株式会社が創製
した非定型抗精神病薬で、2010 年 10 月に米国食品
臨床試験
第Ⅰ相(PhaseⅠ)
同意を得た少数の健康人志願者を対象に、
安全性および体内動態を確認。
第Ⅱ相(PhaseⅡ)
同意を得た少数の患者さんを対象に、
有効で安全な投薬量や投与方法などを確認。
第Ⅲ相(PhaseⅢ)
同意を得た多数の患者さんを対象に、
既存薬などと比較して新薬の有効性と安全性を確認。
医薬品局( FDA )より成人の統合失調症治療剤として
承認されています。2011 年 3 月、タケダは、統合失調
申請/承認
症、双極性障害を適応症とする経口剤について、英国
を除くEU 加盟国 26ヵ国およびスイス、ノルウェー、
トルコ、ロシアを対象とした共同開発・独占的販売契約
を締結しました。
Takeda Annual Report 2012
27
研究開発
主な開発品の状況( Phase Ⅱ以降)
開発コード/製品名〈一般名〉
●製品名(国・地域)
薬効(剤形)
適応症
開発地域
開発段階
PhaseⅠ Phase Ⅱ Phase Ⅲ
申請
承認
消化器・泌尿生殖器系疾患領域
Feraheme®/Rienso®
静注用鉄製剤
(注射剤)
鉄欠乏症貧血
〈フェルモキシトール〉
OMONTYS®
〈ペギネサタイド〉
Revestive®
エリスロポエチン受容体作動薬
(注射剤)
透析期患者
(成人)
を対象とした腎性貧血
GLP-2アナログ(注射剤)
短腸性症候群
プロトンポンプ阻害薬
(経口剤)
逆流性食道炎の治療及びその維持療法・
非びらん性胃食道逆流症
カナダ ※
2011.12
欧州
2012.06
2012.03
米国
欧州
2012.02
欧州
2011.03
欧州
2012.03
ブラジル ※
2011.06
〈teduglutide〉
TAK-390MR
〈デクスランソプラゾール〉
• デクスラント(米国、カナダ)
TAK-438
〈ー〉
MLN0002
〈ベドリズマブ〉
日本
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー
(経口剤)
ヒト化抗α4β7インテグリン
モノクローナル抗体
(注射剤)
酸関連疾患
(胃食道逆流症、
消化性潰瘍等)
日本
潰瘍性大腸炎
米国
欧州
クローン病
米国
欧州
AMITIZA®
オピオイド誘発性腸機能障害
(OBD)
米国
子宮内膜症、
子宮筋腫
日本
Hibワクチン(注射剤)
Hib感染症予防
日本
4種混合ワクチン(注射剤)
百日ぜき、
ジフテリア、
破傷風、
ポリオによる感染症の予防
日本
クロライドチャネル開口薬
(経口剤)
〈ルビプロストン〉
TAK-385
〈ー〉
LH-RHアンタゴニスト
(経口剤)
ワクチン
TAK-816
〈ー〉
TAK-361S
〈ー〉
癌領域
TAP-144-SR
LH-RHアゴニスト(注射剤)
〈リュープロレリン酢酸塩〉
• リュープリン(日本)
• ルプロン・デポ(米国)
• エナントンほか(欧州)
プレドニゾロン
合成副腎皮質ホルモン剤
(経口剤)
中枢性思春期早発症
(最大投与量に関する用法・用量の変更)
2011.05
日本
前立腺癌、
閉経前乳癌
(6ヵ月製剤)
日本
多発性骨髄腫
日本
2011.09
皮下投与
米国
2012.01
マントル細胞リンパ腫
(ファーストライン適応)
米国
〈プレドニゾロン〉
• プレドニゾロン(日本)
ベルケイド
プロテアソーム阻害剤
(注射剤)
〈ボルテゾミブ〉
SGN-35
〈ブレンツキシマブ ベドチン〉
CD30モノクローナル抗体
再発性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
米国
再発・難治性のホジキンリンパ腫
欧州
ー薬物複合体
(注射剤)
2011.05
日本
再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫
欧州
2011.05
日本
ベクティビックス
〈パニツムマブ〉
TAK-700
〈orteronel〉
ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体
(注射剤)
非ステロイド系アンドロゲン
合成阻害薬
(経口剤)
再発性皮膚T細胞性リンパ腫
欧州
0000.00
自己幹細胞移植後のホジキンリンパ腫
欧州
0000.00
頭頚部扁平上皮癌
日本
前立腺癌
米国
欧州
日本
MLN9708
〈ixazomib citrate〉
MLN8237
プロテアソーム阻害薬
(経口剤/注射剤)
オーロラAキナーゼ阻害薬
(経口剤)
多発性骨髄腫
再発・難治性の末梢性T細胞性リンパ腫
〈alisertib〉
米国
欧州
進行性非ホジキンリンパ腫、
急性骨髄性白血病、
ハイリスクの骨髄異形成症候群、
卵巣癌
AMG 706
米国
欧州
VEGFR1-3阻害薬(経口剤)
進行性非扁平上皮型非小細胞肺癌
〈モテサニブ ディホスフェート〉
米国
欧州
米国
欧州
日本
AMG 386
〈ー〉
AMG 479
〈ganitumab〉
MLN0518
〈タンデュチニブ〉
乳癌
米国
アンジオポエチン阻害ペプチボディ
(注射剤)
卵巣癌
日本
ヒト型抗IGF-1Rモノクローナル抗体
(注射剤)
転移性膵癌
日本
受容体キナーゼ
(FLT3、
PDGFR、c-KIT) 神経膠腫
阻害薬
(経口剤)
※ 日米欧以外の地域について、参考として1ヵ国のみを記載しています
開発状況の詳細は、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/research/product-pipeline/article_1044.html
28
Takeda Annual Report 2012
0000.00
米国
2012年7月1日現在
を適応症とした販売許可申請を欧州で提出し、2012
次期主力製品として期待される主な開発品
年7月、欧州医薬品評価委員会(CHMP)
より条件付き
消化器・泌尿生殖器系疾患領域
販売承認を推奨する見解が示されました。
炎症性腸疾患治療薬「 MLN0002 」
(ベドリズマブ)
( 米/欧:第Ⅲ相、日:第Ⅰ相)
「 MLN0002 」は、ミレニアム社が創出したα4β7
インテグリン※ 阻害薬です。現在、米国・欧州で、炎症性
腸疾患の二大疾患である潰瘍性大腸炎、
クローン病を
対象とした臨床第Ⅲ試験を実施中で、二つの試験にお
前立腺癌治療薬「TAK-700」
(orteronel)
(日/米/欧:第Ⅲ相)
「 TAK-700 」は、男性ホルモンの生成に重要な役
割を担う17,20リアーゼを選択的に阻害する非ステ
ロイド系の経口の前立腺癌治療薬です。現在、日本・
米国・欧州において臨床第Ⅲ相試験を実施中です。
いて主要評価項目を達成しました。
※リンパ球表面に存在し腸管での免疫反応に関与しているタンパク質のひとつ
癌治療薬「 MLN9708 」
( ixazomib
(米/欧:第Ⅲ相、日:第Ⅰ相)
癌領域
citrate )
「ベルケイド」に続く第2世代のプ
(ブレンツキシマブ ベドチン、 「MLN9708」は、
リンパ腫治療薬「SGN-35」
製品名:
「ADCETRIS」)
(欧:申請、日:第Ⅱ相)
ロテアソーム阻害薬としてミレニアム社が創出した開
「 SGN-35 」は米国シアトルジェネティクス社から導
発品であり、経口剤としては最も早く臨床段階に進ん
入した、CD30抗原を標的とする抗体医薬複合体です。
でいるプロテアソーム阻害薬です。現在、米国・欧州に
2011年5月、タケダは、再発・難治性のホジキンリンパ
おいて臨床第Ⅲ相試験を実施しており、幅広い癌種を
腫および再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫
対象として開発を加速しています。
Message
from Management
「癌を治したい」という強い想いを持って、世界中の患者さんが
待ち望んでいる画期的な新薬の開発に取り組んでいます。
取締役 ミレニアム社 社長兼CEO デボラ・ダンサイア
760
Dr. Deborah Dunsire
癌領域は、
ファーストインクラス※1、ベストインクラス※2だけが一定
万人
癌が原因で亡くなった
世界の患者さんの数
(2008年)
のシェアを獲得できる厳しい市場です。パイプライン強化に向けて、
私たちは、常に「差別化」を意識し、患者さんに大きなベネフィットを
もたらす医薬品の研究開発に注力しています。
そのために、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」
(ボルテゾミブ)や
72
兆円
前立腺癌治療剤「リュープロレリン」で確立した強みを最大限に活か
すとともに、
グローバルなネットワークの連携をさらに強めています。
癌による経済的な
年間損失額
また、
トランスレーショナルメディスン研究 ※ 3など、最新の基礎研究
国際対がん連合(UICC)
資料より
(2008年)
の知見を臨床開発に活用することによって、新薬創出の成功確率を高める取り組みを進めています。
癌は、今この瞬間も、世界中の多くの患者さんの生命を脅かしている、
まさに「緊急性」の高い疾患です。
私たちは、“ We
aspire to cure cancer. ”(癌を治したい)という想いを共有し、画期的な新薬を一日で
も早くお届けできるよう、イノベーションを追求していきます。
※1 画期的新薬 ※2 同種の既存薬に対し、明確な優位性を示す新薬
※ 3 非臨床と臨床試験をスムーズにつなぐために、最新の知見を直接的に臨床開発に利用し、治療に結び付けようとする取組み
R&Dミーティングの動画を、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/reports-publications/movie.html
Takeda Annual Report 2012
29
研究開発
導入・アライアンス活動
2011年4月以降の主な導入・アライアンス活動の進展(概要)
アムジェン社(米国)
• 2011 年 4 月、同社からの導入品である癌治療薬
「 AMG479 」
( ganitumab )について、日本にお
プロノバ社(ノルウェー)
•2011年9月、日本において、同社からの導入品であ
る高脂血症治療薬「 TAK-085 」
( omega-3-acid
ethyl esters 90)について、厚生労働省に製造販
いて転移性膵臓癌を対象とした臨床第Ⅲ相試験を
開始しました。
売承認申請を行いました。
• 2012 年 3月、第 76 回日本循環器学会学術集会に
ルンドベック社(デンマーク)
おいて、日本で実施された臨床第Ⅲ相試験の結果
• 2011 年 5 月、同社からの導入品である多重作用
メカニズム型抗うつ薬「 Lu AA21004」について、
を発表しました。
日本において大うつ病を対象とした臨床第Ⅲ相試
大阪大学(日本)
•2012 年 1 月、国立大学法人大阪大学と、ナノ粒子
験を開始しました。
ワクチンの実用化・産業化に向けた応用基盤の構築
アフィマックス社(米国)
を目的とする3 年間の共同研究講座を設置するこ
• 2011 年 5 月、同社からの導入品である腎性貧血
とに合意しました。
治療薬「ペギネサタイド」※について、米国におい
非営利団体「Structural Genomics
Consortium」
(カナダ)
て、透析期患者(成人)を対象とした腎性貧血効能
にて米国食品医薬品局( FDA )に販売許可申請を
• 2012年3月、創薬ターゲットとなるヒトのタンパク
質の 3 次元構造を同定・解析する共同研究プロジェ
行 い 、2012 年 3 月、FDA より販 売 許 可を取 得 、
2012年4月より販売を開始しました。
クトへ出資し、参加する契約を締結しました。
• 2012 年 2 月、欧州において、同効能にて欧州医薬
品庁(EMA)
に販売許可申請を行いました。
エーマグ社(米国)
• 2 0 1 2 年 4 月 、E M A の 欧 州 医 薬 品 評 価 委 員 会
( CHMP )において、同社からの導入品である鉄欠
乏性貧血治療薬「リエンゾ」
( ferumoxytol 、カナ
ダ製品名:Feraheme)の販売承認を推奨する見解
※ペギネサタイドは一般名。米国製品名は「オモンティス」。
欧州製品名は未定。
シアトルジェネティクス社(米国)
• 2011 年 5 月、同社からの導入品であるリンパ腫
(ブレンツキシマブ ベドチン、欧
治療薬「SGN-35」
州製品名:ADCETRIS )について、欧州において、
EMAに再発・難治性のホジキンリンパ腫および再
が示されました。
発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫を適応症
とした販売許可申請を行いました。なお、タケダは
米国とカナダ以外における販売権を有しています。
• 2011 年 10月、日本において、再発・難治性のホジ
キンリンパ腫および再発・難治性の全身性未分化大
Partner’s Voice
2012 年は、当社とタケダにとって大きな成果を上げた年になり
細胞リンパ腫を対象とし、臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始
ました。何故ならば、腎性貧血治療剤「オモンティス」の販売許可を
しました。
取得し、米国において初めて使用可能となる月一回投与の治療剤を
• 2011 年 12 月、米国血液学会年次総会において、
透析期患者さんにお届けできることになったからです。透析期患者
再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫を対象
さんの貧血治療については、20年以上、限られた選択肢しかありま
とした本薬単剤投与における最新データ、および新
たにホジキンリンパ腫と診断された患者を対象に
せんでしたが、当社とタケダの連
化学療法と併用した際の臨床第Ⅰ相試験の結果を
携の成果として、新たな治療の
発表しました。
選択肢を患者さんおよび医療関
係者の皆さんにご提供できるこ
ノバルティス社(スイス)
とになったことを大変うれしく思
•2011 年 6 月、同社からの導入品であるHibワクチ
ン「 TAK-816 」について、日本における臨床第Ⅲ相
います。
試験を開始しました。
アフィマックス社 CEO
Mr. John A. Orwin
2012年5月11日現在
「導入・アライアンス活動」の詳細は、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.com/licensing-activities/
30
Takeda Annual Report 2012
CMC研究センター
製品化技術を通じた価値創造を追求します
CMC 研究センターでは、
「医薬品の優れた製造プ
「 TAK-375SL(舌下剤)」の開発を通して、製品付加価
ロセスと製剤技術を開発し製品化することで、患者さ
値創出を実現しました。
んへ最大の価値を提供すること」を使命として、製品
また、強くかつ柔軟性のあるCMC 組織の構築を目
付加価値の創出と、それに向けた基盤技術の確立、将
指して、2010 年度に統合したミレニアム社のバイオ
来を見据えた新たな技術獲得に取り組んでいます。
ロジクスCMC 部門に続き、2011 年度はドイツ・デン
2011 年度は、配合剤設計技術を用いた高血圧症
マークの旧ナイコメッド社およびシカゴの医薬開発本
治療剤「ユニシア」や 2 型糖尿病治療剤「リオベル」を
部所属の CMC 機能を統合し、グローバル CMC 体制
はじめ、新規製剤技術を適用した双極性障害治療薬
を確立しました。
知的財産
事業を支える知的財産権
動をサポートしています。そして、全社事業および組
知的財産部は、科学の新しいアイデア(発明)を特
織のグローバル化に対応して、知的財産部の活動もグ
許権で、製品の信用( goodwill )を商標権で、それぞ
ローバル化することが求められます。
れ保護を行い、さらにその活用を促進することで、事
そのためには、まずは世界各拠点にある知的財産
業をサポートしています。
部のチームが一体となってグローバル活動に対応で
一般的に医薬品は少ない特許権、例えば新規有効
きる組織を構築するとともに、また世界中の知財制度
成分の物質特許だけで保護されていると思われてい
がボーダレスに展開される事業に即応できるように各
ます。
しかし、現実にはパテントポートフォリオと称され
種外部団体活動を通してロビーできるような体制を
る特許群によって、市場性(競争優位性)を確保してい
取っています。こうしたグローバルな知財活動を実施
ます。パテントポートフォリオには、有効成分自体を保
することによって、以下のタスクを実現し、研究・開発
護する物質特許をはじめとして、有効成分の用途・製
から販売に至る当社の全事業を支えます。
法・製剤、製造中間体、周辺化合物、疾患マーカーの測
定方法等を保護する各種特許があり、医薬品の事業
を総合的に保護しています。
また、近年には再生医療、細胞治療、遺伝子療法な
①製品・パイプラインの充実化およびその権利保護
②アライアンスサポートによる導入・導出活動の活発化
および適切化
③広域国での権利確保とその保護
ど先端医療技術が開発されてきており、
これら新技術
から生み出される新事業を、どのようなパテントポー
このような活動を通して「新たなタケダへの変革」
トフォリオで保護していくかという新しい命題が医薬
を実現するためには、
とりわけ、パイプラインの強化お
品産業界の知的財産の領域に与えられており、当社
よび進出地域の拡大と新規進出国・新興国市場での
知的財産部の重要な課題にもなっています。
成長が重要な課題です。これに対処するには研究開発
各部門との協働活動が最も重要です。そこで、チーフ
「新たなタケダへの変革」の実現に向けて
メディカル&サイエンティフィック オフィサー(CMSO)の
知的財産部では、新規科学アイデア(発明)と製品
もと、医薬研究本部、CMC 研究センター、医薬開発本
の信用( goodwill )を適切に保護、活用することで、
部などとの強固な連携による機動的な活動を行ってお
「新たなタケダへの変革」の実現を目指す全社事業活
り、
今後もより一層、
パイプラインの強化に貢献します。
「知的財産」の詳細は、
「 CSR データブック」
( PDF 版)に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
31
生産供給体制/品質保証体制
生産供給体制
世界中のお客様に、高品質の医薬品を低コストで、
確実かつ安定的に供給します。
グローバル供給ネットワークマネジメントの強化
タケダでは、販売網の急速なグローバル化に確実に
対応する供給ネットワークと品質保証体制をグローバ
ルに強化しています。
タケダは、2011 年度にナイコメッド社を統合する
以前は、大阪工場、光工場、アイルランド工場(武田
アイルランド Limited)の3工場を中心にグローバル
な生 産 体 制を築 いていましたが、現 在では、タケダ
グループ全体として、世界 14ヵ国に17 の自社製造工
場、アジアに3つの合弁会社による生産拠点、そしてよ
りグローバルな規模でのサプライチェーンを有するよ
うになりました。2012 年度は、タケダグループ全体
大阪工場
で、優れた生産技術のイノベーションや統合による
シナジー効果を活かし、さらなる高品質とコスト競争
力の向上を追求します。また、販売地域の拡大に確実
に対応できる製品供給体制の整備を進めていきます。
特に、市場成長が著しい新興国への対応として、中国
では、天津工場を中国市場向けの供給拠点とする体制
整備を、また、ロシアでは、2014 年度の稼動開始を
目指して新工場を建設中です。
建設中のロシア・ヤロスラブリ工場
関連情報
P.67 グローバルCSR購買
タケダの生産拠点
ポーランド
ノルウェー
デンマーク
ベルギー
エストニア
ロシア
(建設中)
アイルランド
ドイツ
オーストリア
イタリア
中国
日本
インド
メキシコ
コロンビア
インドネシア
ブラジル
アルゼンチン
旧ナイコメッド社の自社製造工場/合弁会社による生産拠点
32
Takeda Annual Report 2012
品質保証体制
文化・宗教の違いや、偽造医薬品問題まで考慮に入れて、
「グローバル製薬企業」にふさわしい品質保証体制を構築しています。
グローバル「質」保証ポリシー
■治験薬および医薬品の製造
タケダは、国内外全てのタケダグループが遵守す
治験薬および医薬品製造に関する規制要件である
べき、
リスク管理、危機管理を含む品質保証活動のあ
GMP(医薬品などの製造管理及び品質管理に関す
り方を包括的に示す指針として、
グローバル「質」保証
る基準)の最新情報を取り入れ、遵守しています。
ポリシーを制定しています。
■市販後の品質管理
品質保証監査室は、タケダグループの品質保証の
製品出荷前の品質管理を行うだけでなく、市場に
要として、
このようなポリシーや関連するガイドライン
出た製品の品質に関する情報を収集し、潜在的な問
を策定し、
グループ内に周知徹底することを通じてグ
題点の早期検知と継続的な品質改善に努めていま
ローバル製薬企業としての品質保証体制の整備・構築
す。日本においては、薬事法に定められているGQP
を推進しています。
(医薬品などの品質管理の基準)も遵守しています。
■医薬品の安全性監視
タケダの考える「質」とは
開発段階から、医薬品の発売後まで、安全性情報を
①原材料・原薬・治験薬・製品、および流通段階
継続して収集し、適正使用方法とともに医療機関・販
での規格適合性
売会社にお届けするファーマコビジランス 活動を
②完結した正確な情報(製品プロファイルを構
実施しています。日本においては、薬事法に定められ
成する情報の取得、記録、文書化、ならびに
ているGVP(医薬品などの製造販売後の安全管理基
コンピューター化システムを含めた検証)
準)も遵守しています。
③顧客への時宜を得た情報伝達(効能・効果、
用法・用量および使用上の注意)
リスク管理、危機管理
医薬品の品質管理、安全管理に万全を期していて
も、想定されていなかった製品の不具合、または副作
製品ライフサイクル全体にわたる品質保証体制
用が発生する可能性があります。タケダは、医薬品に
■研究、非臨床試験
よる健康被害の発生を未然に防ぐための情報収集、
GLP(医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施
評価を世界的なレベルで適切に行い、万一発生して
の基準)を遵守し、試験およびデータ管理を厳密に実
も拡大の防止に努めます。
施しています。
■リスクマネジメント協議会
■臨床開発
タケダは、文化・宗教の違いや政治・経済・社会環境
GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を遵守す
に由来する各国特有の状況、偽造医薬品問題などに
るとともに、それぞれの国や地域に適用される規制要
対応するために、品質保証監査室が主催する「リスク
件、社内基準および治験実施計画書に従って実施して
マネジメント協議会」
( CREAM:Council for Risk
います。
Evaluation And Mitigation )を設置しています。
関連情報
P.68 偽造医薬品対策
「品質保証体制」の詳細は、
「 CSR データブック」
( PDF 版)に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
33
マーケティング
マーケティング活動のグローバル体制を強化し、
高品質な医薬品を、世界中の患者さんにお届けします。
代謝性・循環器系疾患領域
2011年度売上高
2型糖尿病治療剤
2,962 億円
アクトス
ピオグリタゾン塩酸塩
2011年度売上高
2型糖尿病治療剤
155億円
ネシーナ
アログリプチン安息香酸塩
1日1 回の服用でインスリン抵抗性を改善し、膵臓に負担をかけること
武田サンディエゴ社が創製した、
インスリン分泌を高めるホルモンである
なく血糖値を下げる2 型糖尿病治療剤。世界約 90ヵ国で販売され、
メ
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)
を分解する酵素(DPP-4)
を阻害する
トホルミンとの合剤や、
グリメピリドとの合剤も販売しています。
ことにより血糖値を下げる、新しい作用機序の2型糖尿病治療剤です。
●自社販売地域:日本、米国、欧州、アジア
●自社販売地域:日本
各国での製品名:
「アクトス」
(日本、
米国、欧州、
アジア)
、
「グルスチン」
(欧州)
2011年度売上高
高血圧症治療剤
2,163 億円
ブロプレス
カンデサルタン シレキセチル
1 日1 回の服用で、おだやかな降圧効果が長時間持続するアンジオテ
2012年5月
高血圧症治療剤
新発売
アジルバ
アジルサルタン
新規のアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤( ARB )。臨床試験において、
ンシンⅡ受容体拮抗剤 ※
( ARB )。世界約 100ヵ国で販売され、各国の
既存の ARBと比較し、優れた降圧作用が確認されています。
医療機関で高い信頼を獲得しています。慢性心不全の効能も取得して
●自社販売地域:日本
います。また、利尿薬との合剤も高血圧症の効能で、約 60ヵ国で販売
されています。
※血圧を上げるホルモンの一つであるアンジオテンシンⅡの作用を阻害する薬
●自社販売地域:日本、欧州、アジア
各国での製品名:
「ブロプレス」
(日本、
欧州、
アジア)、
「アミアス」
「ケンゼン」ほか
(欧州)
中枢神経系疾患領域
2011年度売上高
不眠症治療剤
64億円
ロゼレム
ラメルテオン
従来の不眠症治療剤とは作用機序が異なる、自然に近い生理的睡眠を
誘導するメラトニン※ 受容体作動薬。抗不安作用や鎮静作用によらず睡
眠をもたらすため、高い安全性が期待されています。
※睡眠を誘発したり、睡眠と覚醒のリズムを調節するホルモン
●自社販売地域:日本、米国、アジア
各国での製品名:
「ロゼレム」
(日本、
米国、
アジア)
2011年度売上高
アルツハイマー型
認知症治療剤
27億円
レミニール
ガランタミン臭化水素酸塩
ヤンセンファーマ社から導入した、海外では標準的治療薬のひとつに位
置付けられているアルツハイマー型認知症治療剤。世界70ヵ国以上で
使用されており、
日本では同疾患領域における約10年ぶりの新薬です。
●自社販売地域:日本
34
Takeda Annual Report 2012
呼吸器・免疫系疾患領域
2011年度売上高
慢性閉塞性肺疾患
治療剤
癌領域
13 億円
2011年度売上高
ダクサス
多発性骨髄腫治療剤
ロフルミラスト
581 億円
ベルケイド
ボルテゾミブ
ファーストインクラスの経口PDE-4(ホスホジエステラーゼ-4)阻害薬。
ミレニアム社が創製し、米国では全生存期間の改善が添付文書に記載さ
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
に関連する全身および肺の炎症を抑制する
れている唯一の多発性骨髄腫治療剤。世界90ヵ国以上で承認され、欧
非ステロイド系薬剤です。
米では、薬物治療を受けた経験のない多発性骨髄腫患者さんへの第一
選択薬として投与できる効能も取得しています。
●自社販売地域:欧州
●自社販売地域:米国
2011年度売上高
痛風・高尿酸血症治療剤
129億円
ユーロリック
フェブキソスタット
2011年度売上高
前立腺癌・乳癌・
子宮内膜症治療剤
1,207 億円
リュープリン
リュープロレリン酢酸塩
帝人ファーマ社が創製した痛風・高尿酸血症治療剤。痛風の原因となる尿
DDS(薬物送達システム)研究の成果を投入した長期持続型のLH-RH誘
酸生成合成酵素を阻害することにより、優れた尿酸低下効果を示します。
導体。世界約80ヵ国で販売され、前立腺癌治療分野におけるスタンダー
●自社販売地域:米国
ド薬となっています。前立腺癌に対し、1回の注射で6ヵ月間治療効果が
持続する剤型も欧州で販売しています。
●自社販売地域:日本、欧州、アジア
各国での製品名:
「リュープリン」
(日本)
、
「エナントン」ほか
(欧州、
アジア)
2012年6月に買収を完了したURLファーマ社の主力製品
痛風・高尿酸血症治療剤
コルクリス
コルヒチン
2011年度売上高
抗癌剤
172 億円
ベクティビックス
パニツムマブ
米国食品医薬品局( FDA )に承認された唯一のコルヒチン製剤。コルヒ
米国アムジェン社から導入した、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)
を阻
チンは高い有効性をもつ痛風治療薬として、何世紀にもわたり使用され
害するヒト型のモノクローナル抗体※。EGFRの機能を抑制することによ
てきましたが、URLファーマ社が、その安全性および利便性を高めるた
り、
優れた抗腫瘍効果を示します。
めに大規模な臨床試験を実施し、2009年に販売承認を取得しました。
※遺伝子工学を利用してつくられた人工の抗体。癌細胞を見分けて攻撃したり、免
疫システムを活性化させる働きがあります。
●自社販売地域:米国
●自社販売地域:日本
消化器・泌尿生殖器系疾患領域
2011年度売上高
消化性潰瘍治療剤
1,221 億円
タケプロン
ランソプラゾール
2011年度売上高
逆流性食道炎治療剤
241 億円
デクスラント
デクスランソプラゾール
消化性潰瘍治療剤として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの症状に、1日1回
プロトンポンプ阻害剤で初めて、時間差をおいて2段階で薬剤が放出さ
の服用で速やかな効果を発揮し、高い治癒率を示すプロトンポンプ※ 阻
れる製剤設計を実現。胃酸分泌を強力かつ持続的に抑制します。
害剤。世界約90ヵ国で販売されており、各国で高い評価を得ています。
●自社販売地域:米国
※胃の壁細胞の中で胃酸分泌過程の最終段階において働く酵素
●自社販売地域:日本、米国、欧州、アジア
2012年4月
各国での製品名:
「タケプロン」
(日本、
アジア)、
「プレバシド」
(米国、
アジア)、
「オガスト」
「ランソックス」
「アゴプトン」ほか
(欧州)
腎性貧血治療剤
新発売
オモンティス
ペギネサタイド
透析期患者(成人)
を対象とした赤血球造血刺激因子(ESA)製剤。米国
でESA製剤として初めて使用可能となる1ヵ月製剤です。
●自社販売地域:米国
Takeda Annual Report 2012
35
マーケティング
Message
from Management
約 70ヵ国に広がったグローバル販売網を最大限に活用し、
より効率的・効果的なビジネスモデルを追求します。
取締役 チーフ コマーシャル オフィサー(CCO) フランク・モリッヒ
Dr. Frank Morich
私は、2011年に海外販売機能を統括するチーフ コマーシャル オフィサー
(CCO)
に就任して以来、
タケダ
のグローバル化を大きく推進するとともに、米国、欧州、
カナダ、新興国、北アジアにおける当社の販売戦略を
強化してきました。
タケダでは今、真のグローバル製薬企業へと飛躍するため、世界中のメンバーたちが力強い歩みを進め
ています。昨年度はナイコメッド社を買収し、米国や日本といった、高いプレゼンスを有している地域以外
においても、事業基盤を強化することができました。医薬品市場が最も早いペースで伸長している国々も
含めて、今や、当社の販売や生産ネットワークは約70ヵ国にまで広がりました。
11 %
医薬品新興国市場の
年平均成長率
(2012-16年度予測)
「12-14中期計画」においては、米国、欧州、
カナダはそれぞれ市場の成長率を上回る成長が、
また、
ロシア
/ CIS や北アジアといった新興国市場においても市場の成長率を上回る成長が可能と考えています。
私が担当している地域は、今後タケダの成長に大きく貢献し、2012-16 年度の全社売上伸長の多くは、
同地域から生み出されるものと期待しています。
Copyright 2012 IMS Health.
All rights reserved.
出典:Market Prognosisを
市場の環境変化はあるものの、私たちは成長著しい新興国市場において、
プレゼンスを高め、先進国に
もとに作成 無断転載禁止
おいても引き続き投資することで、事業基盤を強化していきます。米国、欧州、
カナダにおいては、新製品を
継続的に発売することで、アクトス後発品の参入による影響を、早期に克服したいと考えています。また、
今後、地域特有の患者さんのニーズを満たすような製品導入の機会を探求するとともに、タケダの製品を
新興国市場で上市していくことが重要な戦略となります。同時に、全ての患者さんに適切なタイミングで
製品を供給できる、国境を越えた確固たるサプライチェーン体制を構築していきます。
私たちは多様、多国籍なチームによって活気あふれる組織運営を行い、
これらの戦略を実現していきたいと考
えています。チューリヒにあるCCOの本部だけでも、
40ヵ国以上の国から集まった社員が働いています。私は、
さまざまな個性、専門性、文化が混ざり合い、タケダという組織をより活性化することで、アンメットメディカル
ニーズを満たす画期的な医薬品を世界中のより多くの患者さんにお届けすることができると確信しています。
CCO
2011年11月、ナイコメッド社
を含む全ての海外販売機能
(国内営業部門とミレニアム社
を除く)を統括するチーフ コ
マーシャル オフィサー(CCO)
を新設し、フランク・モリッヒが
就任しました。CCOは、米欧の
重 要 な 市 場に加え、成 長 著し
い新興国市場における販売戦
略を実行します。
地域別売上高予測(医療用医薬品)
2012-16年度
(億円)
年平均成長率
18,000
日本
2.7%
12,000
米州※
5.4%
欧州※
6,000
5.0%
新興国市場・アジア
16.6%
0
’
11
’
12
13
’
新興国市場・アジア
※新興国を除く
36
Takeda Annual Report 2012
’
14 年度
欧州※
米州※
日本
Close up
医薬品市場に関する業界動向
中国、ブラジル、ロシアなどの新興国が
引き続き、医薬品市場全体の成長をリードしています。
新興国市場の動向
世界の医薬品市場の売上高(2011年)
新興国市場 ※ の 2012-16 年度の年平均成長率は
Copyright 2012 IMS Health. All rights reserved.
出典: Estimated based on IMS Market Prognosis Global 2012-2016 May
約 11% で、世界市場の伸長の約 7 割を創出すると予
無断転載禁止
測されています。これら新興国においては、短中期的
には、ブランドジェネリックや一般用医薬品が新興国
市場の成長を牽引していますが、中長期的には新薬
の売上機会が拡大していくと考えています。
※医薬品市場情報調査会社 IMS ヘルスは 2010 年に新興国市場の再定義を行い
ました。ブラジル、
ロシア、
インド、中国のBRICsに、中東・アジア
(タイ、
インドネシア、
ベトナム、
トルコ、パキスタン)、中南米(メキシコ、アルゼンチン、ベネズエラ)、中
その他 984億ドル(10%)
ロシア/CIS
224億ドル(2%)
ブラジル
299億ドル(3%)
ラテンアメリカ
北米
(ブラジルを除く)
394億ドル(4%)
3,444億ドル
9,555
中国
667億ドル(7%)
東欧(ポーランド、ルーマニア、ウクライナ)、アフリカ(エジプト、南アフリカ)の
日本
(36%)
億ドル
1,112億ドル
13ヵ国を加えた 17ヵ国を「医薬品新興国市場」とし、世界の医薬品市場におけ
(12%)
る今後の成長を牽引するキー・マーケットと見ています。
欧州
2,431億ドル
(25%)
新興国市場
(17ヵ国)
先進国市場の動向
先進国については、承認審査の厳格化、医療費抑制
策の推進などの影響で市場の成長は抑制される傾向
にありますが、市場規模は依然として大きく、タケダに
とって重要な市場であることには変わりありません。特
に、アンメットメディカルニーズを満たす新薬には高い
ポテンシャルが見込めると考えています。2012-16年
度の年平均成長率は約2%と予測されています。
先進国および新興国市場の見通し
•日本市場では、処方箋様式の再変更や、調剤報酬改
(10億ドル)
1,200
2012-16 年平均成長率
800
718
全世界 約
5%
先進国 約
2%
755
11%
新興国 約
688
るなど厳しい状況が続いています。
• 米国市場では、
「廉価ヘルスケア法案( ACA )」に関
するいくつかの主要法案が2011 年 1 月から施行さ
れています。
400
294
369
446
2012
2014
2016
0
新興国
定などの後発品の使用促進策がさらに推し進められ
先進国
Copyright 2012 IMS Health. All rights reserved.
出典: Market Prognosisをもとに作成 無断転載禁止
世界全体の
市場成長の約7割は
新興国市場が創出
•欧州市場では、全体を通じて、医療費、医療用医薬品
に対する公費負担を削減する政策が取られており、
各国政府は革新性の高い製品を優遇する傾向があ
ります。
Takeda Annual Report 2012
37
マーケティング
新興国市場
タケダの強みと戦略
[ロシア/CIS市場]
• 新興国事業において最大の売上規模
• 連邦主導の薬剤の償還制度を含む医療制度の整
備が実施されているロシアは新興国事業を支え
る重要地域
• 旧ナイコメッド社製品とタケダのパイプラインで
成長を牽引
[META(中東、
トルコ、アフリカ)市場]
• 旧ナイコメッド社の強力な事業基盤
• 新薬の上市と進出エリアの拡大
ナイコメッド ディストリビューション・センター
Limited Liability Company(ロシア)
ロシア/CIS市場
業績概況
1,260
万人
ロシア 成人の
糖尿病患者数は
世界第4位
(2011年)
出典:国際糖尿病連合(IDF)
「糖尿病アトラス第5版」
旧ナイコメッド社のロシア/CIS市場における2011
ロシア/ CIS 市場の特長は、国による薬剤費の償還
年度下期の売上高は、市場全体の70%を占めるロシア
制度が十分に整備されておらず、薬剤費の 60∼70%
市場の牽引により、309億円(対前年10.9%増)
となり
が患者の自己負担となることです。現地資本の薬局
ました。同社はウクライナにおいては、2011年にもっと
チェーンが市場の大部分を占めますが、中小都市を中
も早く成長した外資系製薬企業であり、
カザフスタンに
心に独立系の薬局も少なくありません。また、全国民を
おいて長年にわたって売上トップ3にランクしています。
対象にした医療保険制度は、現在議論されているとこ
ろで、
まだ整備されていません。
しかし、病院向けの薬
15 %
ロシア/CIS市場での
年平均成長率
目標値
(2012-16年度)
市場概況と成長シナリオ
剤については、今後も成長が見込まれているため、病院
ロシアの医薬品市場の 2012-16 年度の年平均成
向けの製品ポートフォリオの充実が重要となります。
長率は約 11% 、CIS 諸国は2 桁台の成長をすると予測
ロシア/ CIS 市場における主要な成功要因は、小売
されています。
市場で販売可能なブランドジェネリック、先発品および
一般用医薬品から構成されるバランスの取れた製品
ている償還制度や保険制度を見越した画期的な新薬
(億円)
1,000
売上高
の上市も重要になっています。将来の成長を確実にす
るために、国・地方公共団体の入札に参加しうる画期的
500
860
660
0
0
’
10
’
12
Takeda Annual Report 2012
2012-16年度
’
14
な新薬を充実さていくとともに、
イノベーションだけで
年平均成長率
15%
はなく、
ローカライゼーションもますます重要になって
2012-16年度
おり、当社ではロシアのヤロスラブリに2014 年に稼
約
(注)ライセンシー先への売上高は含みません。
38
ポートフォリオを構築していくことです。現在検討され
ロシア/ CIS 市場における見通し
年平均成長率
’
16
年度
動予定の新たな製造工場を建設しています。
タケダでは、ロシア/ CIS 市場において循環器系疾
で評価されるだけでなく、最も働きたい会社の一つ
患が死亡原因のトップであることを踏まえて、旧ナイ
として、優れたブランド力を獲得しました。
コメッド社の主力製品である脳・抹消循環障害改善剤
また、1993 ∼ 94 年のロシア市場参入時点で地
「アクトベジン」、高血圧症治療剤「コンコール」
(ビソ
方までをカバーし、2005 年には医療用医薬品、一般
プロロールフマル酸塩)等に加えて、今後、2 型糖尿病
用医薬品それぞれに専門の販売組織を立ち上げる
治 療 薬 S Y R - 3 2 2( アログリプ チン 安 息 香 酸 塩 )、
など、環 境 変 化に迅 速に対 応してきました。そ の 結
TAK-491(アジルサルタン メドキソミル)などを市場
果、ロシアにおいては、機能的で業務遂行能力に優れ
へ投入していくことを検討しています。
た製薬企業として業界内でも高く評価されており、優
秀な人材の獲得につながっています。
ロシア/CIS市場における事業の歩み
旧ナイコメッド社は、過去20年近くにわたり、ロシア
タケダの進出地域
ロシア
CIS諸国
市場の成長性を見越して地元に根ざした販売組織づ
くりへの投資を行うとともに、製品の承認取得とコー
ポレート・ブランドの 確 立に努 めてきました 。また 、
ロシア市場に適した製品ポートフォリオを自社製品、
およびグローバルなアライアンスによって充実させ
てきました。その結果、旧ナイコメッド社はロシアの
ロシア/CISの
MR数
医薬品業界において、多様な製品構成やサービス力
1,300人
META(中東、
トルコ、アフリカ)市場
業績概況
旧ナイコメッドの META(中東、
トルコ、アフリカ)市
場における2011 年度下期の売上高は、
リビアやエジ
プトにおける政情不安、
トルコでの大幅な薬価引き下
げなどの厳しい状況のなか、71億円(対前年4.1%減)
となりました。
市場概況と成長シナリオ
12-15 %
META市場における
年平均成長率
目標値
(2012-16年度)
人口増加と中流階級の増加、循環器系疾患や、呼吸
器系疾患などの罹患率の上昇が、META における医
薬品市場の成長を牽引しています。また、政情不安定
が解決したとは言えない状況ですが、
「アラブの春」と
ナイコメッド・ファーマシューティカルズ
(Pty)Ltd.(南アフリカ)
呼ばれる民主化の動きが、社会福祉全般の向上、特に
2011年の前半に新たに事務所を設置しており、今後
医療の向上への期待感の高まりにつながっています。
は、モロッコでは 2013 年までにさらにMR を増員す
現在、
トルコ、南アフリカ、アラブ首長国連邦、湾岸
る予定です。2013 年度末には、同市場における進出
諸国、エジプト、サウジアラビア、イラン、
レバノンなど
地域を20ヵ国にまで拡大する予定です。
の 1 0 市 場 でビジネスを 展 開し、ア ルジェリアでは
Takeda Annual Report 2012
39
マーケティング
新興国市場
タケダの強みと戦略
[中国市場]
• 新興国最大の市場であり積極的な投資を継続
•「ダクサス」
「ネシーナ」
「イダービ」
「デクスラント」
「ロゼ
レム」等を投入
• 売上高の伸長を実現
[ブラジル市場]
• 旧ナイコメッド社、マルチラブ社製品(OTCを含む)によ
り、安定した事業基盤を維持し、糖尿病、循環器系疾患、
癌領域といった領域へ参入
[ラテンアメリカ市場(ブラジルを除く)]
• 地理的拡大とともに、多くの新製品によって成長を実現
• メキシコにおいて「デクスラント」
「イダービ」を軌道に
武田薬品(中国)有限公司
乗せ、ラテンアメリカの地域で「メパクト」
「ダクサス」
「ユーロリック」を上市
北アジア市場 ※1
業績概況
9,000
万人
中国 成人の
糖尿病患者数は
世界第1位
(2011年)
出典:国際糖尿病連合(IDF)
「糖尿病アトラス第5版」
新興国最大の市場である中国を含む北アジア市場
れています。
は、引き続き積極的な投資による事業基盤の強化を
中国市場においては、政府の保護政策のもと、
グロ
進めており、2011 年度の売上高は307 億円であり、
ーバル企業は 25% の市場シェアを占めるに過ぎませ
同市場の売上高は、堅調に推移しています。
ん。そのため、外資系企業に対しては、中国における
研究開発拠点の設置、新薬の開発、
ノウハウ移転、人
市場概況と成長シナリオ
材育成を行うことが強く期待されており、画期的な新
中国の医薬品市場は、世界でも最も成長力のある
市場であり続けています。2014 年には、好景気、高
齢化、医療制度改革、政府による医療支出の増加等に
より市場全体の売上高が900 億ドルに拡大し、2015
年には米国に次ぐ世界第 2 位の市場になると予測さ
29 %
中国市場での
年平均成長率
目標値
(2012-16年度)
肺疾患治療剤「ダクサス」
(ロフルミラスト)、2 型糖尿
病治療薬 SYR-322(アログリプチン安息香酸塩)など
の新製品を順次投入していきます。また、2012 年 2
として中国での臨床開発を積極的に進めながら、他社
中国市場における見通し
との戦略的提携も実施していきます。さらに、医薬品
(億円)
600
売上高
の流通・販売経路の見直しによるコスト削減をはじめ
として収益性の向上に努めるとともに、MRを増員して
2012-16年度
400
240
年平均成長率
約
29 %
’
10
’
12
販売力を強化するなど総合的な施策を実行し、2015
年 度 に 売 上 高 5 0 0 億 円 、2 0 2 0 年 度 には 売 上 高
1,000億円の実現を目指します。
22
0
’
14
(注)ライセンシー先への売上高は含みません。
Takeda Annual Report 2012
タケダでは、今後、中国市場に対して、慢性閉塞性
月に新設した武田上海開発センター( TSDC )を中心
300
40
薬のみが優先審査の対象となっています。
’
16
年度
※ 1 中国、韓国、台湾、香港
南アジア市場 ※2
南アジア地域には、成熟した市場(オーストラリア)
か
を促進し、ナイコメッド社の統合による相乗効果を最大
ら新興国市場まで、多様な市場が含まれます。それぞ
化していきます。今後は、慢性閉塞性肺疾患治療剤
れの市場特性を踏まえた製品ポートフォリオ戦略によ
「ダクサス」、逆流性食道炎治療薬 TAK-390MR(デク
って差別化を図ることが重要な成功要因となります。
スランソプラゾール)などを順次投入していき、2016
タケダでは、代謝性・循環器系疾患、呼吸器系疾患、
年度には新製品が全体の 30%を占める競争力の高い
消化器系疾患の重点疾患領域で戦略製品による成長
製品ポートフォリオを構築します。
※2 インドネシア、オーストラリア、タイ、
フィリピン等
ブラジル・ラテンアメリカ市場
業績概況
今後はより充実した製品ラインナップを通じて、多様な
旧ナイコメッド社のブラジル市場における2011 年
患者さんのニーズに応えられるようになるとともに、
さ
度下期の売上高は、146 億円(対前年 10.4% 増)
とな
らに広がった販売ネットワークを活用していきます。
りました。また、ラテンアメリカ市場の 2011 年度下期
メキシコ市場では、主軸である消化器系疾患と生活
の売上高も、99 億円(対前年 15.6% 増)
と大きく伸長
習慣病領域において、逆流性食道炎治療剤「デクスラ
しています。
ント」
( デクスランソプラゾー ル )、高 血 圧 症 治 療 剤
「イダービ」
(アジルサルタン メドキソミル)
を上市しまし
市場概況と成長シナリオ
たが、今後はこれら新製品の売上を拡大していきます。
旧ナイコメッド社では、ラテンアメリカの 5 大市場
※3
メキシコ、アルゼンチン、ベネズエラ、
コロンビア
※3 ブラジル、
において強いプレゼンスを築いてきました。今後は、
タケダの医薬品を順次投入しながら、国ごとだけでは
Takeda’s Voice
なく地域全体を対象とした事業開発活動も推進して
いきます。
私は、昨年タケダグループの一員となって以来、
ブラジル市場においては、癌や循環器疾患、消化器
タケダイズムに基づく公正さが、オープンな環境の
疾患の領域における新薬を発売し、製品ラインナップ
を拡大させるとともに、既存製品や一般用医薬品にお
ブラジル・
ラテンアメリカ市場での
年平均成長率
目標値
(2012-16年度)
公正とは、肌の色、人種、信条による差を設けず、ベ
ストを尽くし、何よりも正しく行動しようとする人に、
いても二桁成長を実現していきます。自前での成長に
より多くの機会を与えるものだと思います。公正で
加えて、地元の製薬会社であるマルチラブ社を買収し
あることによって、全員が共通の目標に向かっている
たことにより、
ブラジルにおいて、当社は上位トップ10
と感じることができます。公正さは、私たちタケダ社
の中に位置付けられるまでになりました。これにより、
14 %
なかで育まれていることを実感しています。
員がしっかりと守っていくべき価値観だと思います。
ブラジル・ラテンアメリカ市場における見通し
(億円)
1,000
売上高
2012-16年度
500
710
520
年平均成長率
14%
約
武田 Distribuidora Ltda.(ブラジル)MR
0
0
’
10
’
12
’
14
’
16
年度
Wanessa Carvalho da Frota
(注)ライセンシー先への売上高は含みません。
Takeda Annual Report 2012
41
マーケティング
欧州市場
タケダの強みと戦略
•「タケプロン」
「パントゾール/コントロロック」
「リ
ュープリン」などの既存品の売上維持・拡大
•「リエンゾ」
「イダービ」
「 ADCETRIS 」など、科学
的な根拠に基づいたプロモーションによる新製
品の早期定着
• 持続的成長を実現するために、プライマリケア
向け製品群を維持しながら、
「ダクサス」などの
スペシャルティケア向けの新製品を加えた、多
様な製品構成へ移行
• 各国・地域の市場環境に応じたスリムな組織体
制の構築
武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル GmbH(スイス)
タケダ・ファルマ GmbH(ドイツ)、ナイコメッド GmbH(ドイツ)
業績概況
欧州市場の売上高は、2 型糖尿病治療剤「アクトス」
30
ヵ国
欧州市場において
タケダがプレゼンスを
確立している進出国
高血圧症治療剤「イダービ」
(アジルサルタン メドキソ
(ピオグリタゾン塩酸塩)の減収や円高による減収影響
ミル)などタケダの今後の成長に貢献する新製品の早
がありましたが、旧ナイコメッド社の売上が加わって
期定着を図り、従来当社が強みを有する疾患領域をさ
2,636 億円(対前年 52.5% 増)となり、大きく伸長し
らに強化していきます。
ました。主力製品の売上高は、下表を参照ください。
タケダは、ナイコメッド社買収を契機とし、
これまで
よりも、広範な医療関係者にアプローチが可能とな
6%
欧州市場での
年平均成長率
目標値
(2012-16年度)
市場概況と成長シナリオ
る、
より力強い販売体制を築いていきます。今後、従来
欧州全体を通じて、全ての医療費に対する公費負担
の 開 業 医 向け製 品 群に、慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患 治 療 剤
を削減する政策が取られており、市場環境はめまぐるし
「ダクサス」
(ロフルミラスト)
や2012年度に上市を予
く変化している状況ですが、各国政府ともアンメットメ
定しているリンパ腫治療薬「ADCETRIS」
(ブレンツキシ
ディカルニーズを満たす画期的な新薬については優遇
マブ ベドチン)などの専門医向けの新製品を加えて多様
する傾向が見られます。
な製品構成に移行します。そのうえで、専門医にフォー
タケダでは、引き続き、既存品の売上維持・拡大、2型
カスした新たなマーケティング戦略を構築し、2012-
糖尿病治療薬SYR-322(アログリプチン安息香酸塩)、
16年度の年平均成長率6%の達成を目指します。
2011年度 主力製品売上高
欧州市場における見通し
売上高(億円) 対前年
新製品
(億円)
316
1.7%増
消化性潰瘍治療剤
「タケプロン」※2
168
2.8%増
2型糖尿病治療剤「アクトス」※3
158
46.6%減
売上高
2012-16年度
5%
年平均成長率
17%
約
2016年度
新製品比率
※2「オガスト」などの製品名で販売されています。
約
※3「グルスチン」の製品名でも販売されています。
0
’
12
’
14
(注)ライセンシー先への売上高は含みません。
Takeda Annual Report 2012
6%
1,500
※1「エナントン」などの製品名で販売されています。
42
既存品
3,000
※1
前立腺癌治療剤「リュープリン」
29%
’
16
年度
米州市場
タケダの強みと戦略
•「コルクリス」
「ユーロリック」
:痛み、炎症の軽減、
未治療の患者さんへの予防、尿酸値を 6mg /
dL 以下に抑えることなど、総合的な治療オプシ
ョンを提供
•「オモンティス」
:薬剤の効果を紹介し、切り替え
のサポート、また本薬に対するアクセスを確保
し使用していただきやすい環境を整備
•「ベルケイド」
:皮下注射および5 年生存データに
よる多発性骨髄腫フロントラインでの処方拡大
• SYR-322(アログリプチン安息香酸塩)
:承認を
目指してFDAとの協議を継続
武田ファーマシューティカルズUSA
Inc.
業績概況
800
万人
米国における
痛風の患者数
米州市場の売上高は、米国における消化性潰瘍治
ンティス」
( ペギネサタイド)を上市しており、より安価
療剤「プレバシド」
( ランソプラゾール)、2 型糖尿病治
に本剤をお届けし、大規模透析施設との契約締結を
療剤「アクトス」の減収や、円高による減収影響など
進めるとともに中小の透析施設にも浸透を図るなど、
により、4,644 億円(対前年 6.5% 減)となりました。
新製品の価値最大化に取り組んでいきます。
主力製品の売上高は、下表を参照ください。
ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.(ミレニ
アム社)の主力製品、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイ
痛風・高尿酸血症治療剤
「コルクリス」
(写真左)
「ユーロリック」
(写真右)
痛風・高尿酸血症治療剤「ユ
ーロリック」
(フェブキソスタ
ット)と「コルクリス」によっ
て複数の治療オプションを
提供し、痛風領域フランチャ
イズを強化していきます。
6%
米国市場での
年平均成長率
目標値
( 2012-16年度)
市場概況と成長シナリオ
ド」は、2011 年 11 月、5 年間の全生存期間延長効果
タケダは、2012 年 4 月にURLファーマ社の買収を
について、添付文書への記載が承認されました。さら
発表し、同社の主力製品である痛風・高尿酸血症治療剤
に、2012 年 1 月には、皮下投与 ※2についての適応追
「コルクリス」
(コルヒチン)を獲得しました。URLファーマ
加承認も取得しました。5 年間の全生存期間の効果や
社は、
武田ファーマシューティカルズUSA Inc.
(TPUSA
皮下投与の承認についてはベルケイドの売上伸長に
※1
社) に統合されます。なお、2011年には未治療の痛
貢献しています。
風 に 対 する疾 患 啓 発 キャン ペ ー ンを 行 い ました 。
米国市場では、
これらを成長要因として、2012-16
TPUSA 社では、2012 年 4月に腎性貧血治療剤「オモ
年度の年平均成長率6%の達成を目指します。
2011年度 主力製品売上高
米国市場における見通し
売上高(億円) 対前年
新製品
(億円)
既存品
4,000
2,445
20.2%減
多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」
581
14.4%増
逆流性食道炎治療剤「デクスラント」
241
32.9%増
痛風・高尿酸血症治療剤「ユーロリック」
129
42.2%増
2型糖尿病治療剤「アクトス」
売上高
2012-16年度
年平均成長率
31%
約
60%
2,000
6%
2016年度
新製品比率
約
0
’
12
’
14
65%
’
16
年度
(注)ライセンシー先への売上高は含みません。
※1 2012年1月、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ Inc.より改称
※2 皮下投与は、経静脈投与と比較し、同等の有効性が示された一方、
グレード3/4以上の末梢神経性障害については、経静脈投与で16%であるのに対し、皮下投与では6%で
あることも示されました。
Takeda Annual Report 2012
43
マーケティング
Message
from Management
新製品の価値最大化を通じて日本の医療に貢献し、
患者さん、医療関係者、そして社会から信頼される存在であり続けます。
取締役 医薬営業本部長 岩﨑
真人 Masato Iwasaki
2010 年度以降、日本市場においては継続的に新製品を上市することができており、糖尿病・高血圧症
等の生活習慣病領域に加えて、不眠症、認知症、癌といったアンメットメディカルニーズの高い新しい薬効
領域への参入、そしてワクチン事業の基盤強化を行い、
より多くの患者さんの幸せの実現に向けて私たち
は日々活動に取り組んでいます。タケダの使命は研究開発型企業として、今後も付加価値の高い新薬を確
実に上市し、数多くの方々にお役立ていただくことです。その過程で製品価値を最大化していくことが今
後の成長の鍵を握っています。
当社の全売上高の約 40%を占める日本市場において、私たちは、タケダの持続的な成長を果たすため
に、全ての重点薬効領域でNo.1 のポジションを目指していきます。2012 年度は特に、次世代戦略製品と
位置付けている2 型糖尿病治療剤「ネシーナ」
(アログリプチン安息香酸塩)のプレゼンス拡大と、高血圧
症治療剤「アジルバ」
(アジルサルタン)の早期市場浸透について、最優先課題として取り組んでいきます。
製品価値の最大化のためには、薬剤の情報提供のみならず、患者さんの個々の病態に応じた治療提案
No.1
タケダMRに対する
医師からの評価
(2012年)
が必要とされます。今後もMR 一人ひとりの能力をさらに高めていくとともに、学術面でのサポート強化、
ならびにITなどを活用した革新的なプロモーション体制を構築していきます。また、
タケダの強みの一つで
ある医薬品卸との連携についてもより強固なものにしていきます。
当社のグローバル化が進むなか、世界中のマーケティング部門はもちろん、研究開発などの他部門のメンバー
出典:エルゼビア・ジャパン発行
Monthlyミクス2月号
「医師が求めるMR」より
44
Takeda Annual Report 2012
とも連携をさらに強化し、新たな価値創造に努め、
日本の医療と患者さんの幸せの実現に貢献していきます。
日本市場
福島営業所 第五エリアチーム
業績概況
1,067
万人
日本人成人の
糖尿病患者数
(2011年)
出典:国際糖尿病連合(IDF )
「リオベル配合剤」
(「ネシーナ」と「アクトス」の合剤)
日 本 市 場における医 療 用 医 薬 品 の 売 上 高 は 、
などを次々と上市し、それぞれの薬効領域において高
2010年度に新発売した2型糖尿病治療剤「ネシーナ」
い評価を得ています。
(アログリプチン安息香酸塩)
、抗癌剤「ベクティビッ
糖尿病領域においては、
タケダが有する経口糖尿病
クス」
( パニツムマブ)などの寄与により、5,922 億円
治療剤の豊富なラインナップから、患者さんの病態に
(対前年 2.4% 増)となりました。主力製品の売上高
応じた薬物治療を提案し、糖尿病領域No.1ポジション
「糖尿病アトラス第5版」
を堅持していきます。なかでも、DPP-4 阻害薬の「ネシ
は、下表を参照ください。
ーナ」は競争の激しいなかで3 番目に発売された医薬
市場概況と成長シナリオ
品ですが、良好な血糖コントロールと安全性の高さが
日本市場では、2010 年度から新製品ラッシュとも
評価され、シェアを大きく伸ばしています。これまでの
言うべき時期を迎えており、
「ネシーナ」、
「 ベクティビ
タケダの糖尿病領域におけるプレゼンスのもと、引き
ックス」をはじめ、不眠症治療剤「ロゼレム」
(ラメルテ
続き情報活動に注力し、糖尿病患者さんの治療に貢
オン)、アルツハイマー型認知症治療剤「レミニール」
献するとともに、
「 ネシーナ」ファミリーの売上伸長を
(ガランタミン臭 化 水 素 酸 塩 )、2 型 糖 尿 病 治 療 剤
3%
日本市場での
年平均成長率
目標値
(2012-16年度)
2011年度 主力製品売上高
図っていきます。
日本市場における見通し
売上高(億円)
対前年
新製品
(億円)
既存品
8,000
1,427
3.4%増
消化性潰瘍治療剤「タケプロン」
765
7.9%増
前立腺癌・乳癌治療剤「リュープリン」
678
2.9%増
2型糖尿病治療剤「アクトス」
318
33.6%減
抗癌剤「ベクティビックス」
172
82.8%増
2型糖尿病治療剤「ネシーナ」
155
約 8.5倍
高血圧症治療剤「ブロプレス」
売上高
2012-16年度
14%
年平均成長率
30%
約
3%
4,000
2016年度
新製品比率
約
0
’
12
’
14
50 %
’
16
年度
Takeda Annual Report 2012
45
マーケティング
日本市場
50%
日本市場の
医療用医薬品売上高に
占める新製品の割合
2016年度見込み
高血圧
高血圧症領域においては、2012 年 5 月に新発売
した「アジルバ」
(アジルサルタン)の早期市場浸透に
消化器
リウマチ
注力していきます。
「アジルバ」は、既存のアンジオテ
ンシンⅡ受容体拮抗薬( ARB )よりも優れた降圧作用
ジェネラル
MR体制
糖尿病
が確認されており、24 時間にわたってより良い血圧
癌
コントロールをもたらす ARBとして、高血圧症の患者
さんに新たな治療オプションを提供できるものと確信
骨粗鬆症
中枢神経
感染症
しています。優れた降圧効果、持続性、安全性に定評
のある高血圧症治療剤「ブロプレス」
(カンデサルタン
シレキセチル)とともに、より多くの高血圧患者さん
患者さんを中心とした情報活動と戦略
タケダでは、約2,000名のMRが全ての医薬品につい
の幸せの実現に貢献していきます。
タケダでは、今後も、生活習慣病をはじめ、癌、中枢
神経系疾患など多様な領域において、成長ドライバー
となる新製品の上市を予定しています。2016 年度
には、新製品の売上高比率を約 50% まで高め、全て
の重点薬効領域で強固なフランチャイズを構築して
て情報活動を行うジェネラル体制を基本として、癌、免
疫系疾患などの専門 MRを全国規模で配置し、専門施
設および一般病院の両方において、一般 MRと専門
MRが連携して情報活動を展開しています。患者さん
を中心としてさまざまな角度から薬物治療を提案する
マルチプロモーションをベースに、高い専門性にも応
いきます。
え得る情報活動を追求していきます。
また、iPad※を用いてMR 自らが医師の治療方針を
聴取したり、薬物治療の提案ができるタケダオリジナ
ルのアプリの開発や、患者さん向けの疾患理解促進サ
イトの開設など、IT を駆使して MR 活動を支援する体
制を構築し、常に他社の一歩先をゆくマーケティング
戦略を実行していきます。
※iPadは、Apple Inc.の商標です。
2010年度∼2012年度に発売した主な新製品
Takeda’s Voice
私は担当地域でより多くの患者さんにタケダの 2 型糖尿病治療剤「ネシーナ」
(アログリプチン安息香酸塩)
をお届けしたいという想いで、エリアNo.1を目指し
て医薬品の情報提供活動を行っています。県内最大の糖尿病専門施設において、
既に300人以上の患者さんに本剤をお届けすることができました。私たち一人ひ
とりの力は小さくとも、皆で力を合わせることで、
より多くの患者さんに医薬品を
通じて貢献できると信じています。長い年月にわたる努力を重ねて本剤を創りあ
げた研究開発部門の皆さんへの感謝の気持ちを忘れず、タケダチームの「リレー
アンカー」
として責任を全うしていきます。
医薬営業本部 福岡支店 熊本営業所 松本
46
Takeda Annual Report 2012
博
ヘ ルスケア事業(一般用医薬品・医薬部外品)
セルフメディケーション時代における、生活者の良きパートナーとなるために。
業績概況
ヘルスケア事業における2011 年度の売上高は、
■ 事業の多角化、地理的拡大に投資
「アリナミン」
「ベンザ」などの基幹ブランドの増収によ
基幹ブランドの安定的成長から得たキャッシュを、
り、617 億円(対前年 2.4% 増)となりました。2011
事業の多角化や地理的拡大に投資し、新たな収益源
年 度 の 一 般 用 医 薬 品( OTC 医 薬 品 )市 場は対 前 年
を確保していきます。具体的には、2012 年度 5 月よ
96.9%に縮小していますが、医療保険制度改革にと
り開始した国内における通信販売事業や、2012 年 2
もない生活者の健康意識が高まるとともに、OTC 医
月に台湾で「アリナミンEXプラス」を新発売するなど、
薬品の社会的役割が今後ますます重要になっていく
成長著しい流通チャネルへの参入や、成長率の高い
ことが予想され、中長期的には成長が期待できます。
アジアを中心とした販売地域の拡大も進めています。
引き続き、
グローバルに展開しているタケダグループ
「12-14中期計画」における成長シナリオ
2.6%
ヘルスケア事業の
年平均成長率
目標値
(2012-14年度)
の医療用医薬品事業部門と連携しながら、ヘルスケア
ヘルスケア事業では、基幹ブランドに注力し、国内
事 業による持 続 的 成 長 の 実 現に向けた取り組 みを
市場の成長率を上回る持続的・安定的な成長を目指し
進めていきます。
ます。2014 年度までの年平均成長率は約 2.6 %を
■ 通信販売事業への進出
見込んでおり、また、2014 年度以降も売上は堅調に
ヘルスケア事業では、
推移していくと見込んでいます。
通信販売市場が拡大して
■ 基幹ブランドへの経営資源の集中
いるなか、生活者の皆さ
投資効率の高い基幹ブランド「アリナミン」
「ベンザ」
まの購買ニーズにより一
に経営資源を集中していきます。2012 年 6 月に発売
層柔軟にお応えしていく
した「アリナミンゼロ7 」を皮切りに多くの新製品を投
ため、2012 年度から日
入し、確実な市場定着を展開していく予定です。
本国内で「タケダ通販シ
タケダ通販ショップ
ョップ」をスタートしました。生活者の皆さまと直接つ
ながる通信販売事業を通じて、皆さまの健康に貢献を
果たせるよう、取り組んでいきます。
新製品「アリナミンゼロ7」の魅力を、
積極的な販促活動によって訴求していきます。
「アリナミンゼロ7」
「アリナミン V」 「アリナミン V&V NEW」 「アリナミン 7」
「アリナミン R」
「ベンザブロックS」
「アリナミンA」
「ベンザブロックL」
「アリナミンA50」
「ベンザブロックIP」
「アリナミンA5」 「アリナミンEXプラス」
Takeda Annual Report 2012
47
CSRによる
企業価値創造
「いのち」に携わる企業として、
また良き企業市民として、
世界の人々に貢献し続けること。
それこそが、
タケダの存在意義であると考えます。
49 タケダのCSR活動
56 特集:東日本大震災による被災地への支援
58 組織統治
60 人権
62 労働慣行
64 環境
66 公正な事業慣行
68 消費者課題
70 コミュニティ参画および発展
48
Takeda Annual Report 2012
タケダのCSR 活動
「原則」、
「実践」、
「開示」、
「対話」に関するCSR の国際標準を参照し、
包括的な視点から価値創造に取り組みます。
CSR 活動に関する
[ CSR の基本的な考え方]
原則
規範フレームワーク
タケダが考えるCSRの根幹とは、経営理念である
「優
れた医薬品の創出を通じて人々の健康と未来の医療
に貢献すること」にあります。そして、
この経営理念を実
グローバル企業として尊重すべき普遍的原則
現するためには、同時に、医薬事業のバリューチェーン
対話
実践
AA1000
ISO
26000
説明責任を果たすための
プロセスを示したガイドライン
社会的責任に関する
国際ガイダンス規格
上で社会に及ぼす多様な影響を事前に認識した上で、
事業プロセス全体の健全性の維持・向上に努めること、
また、企業市民として、社会の持続可能性を高める活動
に関わることが重要であると考えています。
開示
規範フレームワーク
GRI
この 考え方を具 現 化していくために、タケダは、
2009年に国連グローバル・コンパクトに参加し、グロー
IIRC
持続可能性報告の
枠組みを示した
ガイドライン
バル企業として尊重すべき普遍的原則を学び、2010
統合報告の
枠組みを示した
ガイドライン
(案)
年からは、社会的責任に関する国際的なガイダンス規
格であるISO26000を参考にしながら、具体的なCSR
ホリスティック・アプローチ
活動を実践しています。
また活動にあたっては、自社が単独で実施する「コー
情報開示に関しては、従来から参照していたGRIガイ
ポレート・アクション型」
という従来の考え方を拡張し、他
ドラインに加え、2011 年には、IIRC のパイロット・プロ
のステークホルダーとともにCSR活動を実施する「コレ
グラムに参加し、IIRCが提示している原則に基づいた
クティブ・アクション型」、さらには、
アドボカシー、ルール
財務情報と非財務情報の統合開示を試みています。
メイク、
イニシアティブといった、他のステークホルダー
さらにAA1000 のスキームに基づいてステークホル
を巻き込む「プロデュース型」の活動を含むホリスティッ
ダーとの対話を深め、改善点を探るなど、国際社会の
ク
(包括的)な視点を持ち、社会と企業の価値創造に向
要請に応えるCSR活動の充実に努めています。
けた機会を最大限に活用していきたいと考えています。
価値創造に向けた CSR のホリスティック・アプローチ
Corporate Actions
Collective Actions
Actions as Producer
単独で実施する
他社と実施する
プロデュースする
海外連結
同業他社
イニシアティブ ※3
国内連結
異業他社
ルールメイク ※2
本社単体
取引先
アドボカシー ※1
※ 1 問題解決に向けた提言活動 ※ 2 ルールづくりのプロセスへの参加活動 ※ 3 率先して流れを作る活動 Takeda Annual Report 2012
49
タケダの CSR活動
原 則: 国連グローバル・コンパクトの10原則を支持し、
「LEADプログラム」のメンバーとして、
理念の実践と普及をリードする活動を進めています。
[国連グローバル・コンパクト]
国連グローバル・コンパクト
( GC )
とは、企業が責任
ある企業市民として、自主的に行動することを促すた
めの世界的な枠組みです。参加する企業・団体は、
「人
権」
「労働」
「環境」
「腐敗防止」から構成される10 原
則の支持、実践が求められます。タケダは、2009 年
に国連 GCに参加し、GC10 原則を企業活動全般に取
り入れて、ステークホルダーとの関係を深めています。
さらに、2011 年 1 月には新設された「 LEAD プログ
レスポンシブル・ビジネス会議(ヤンゴン)
ラム」のメンバーとなり、約 60 社のグローバル企業と
ともに、国連 GC の理念の実践と普及をリードする活
動を進めています。
リオ+20 国連GCコーポレート・サステナビリティ・フォーラム
LEADプログラム参加企業としてのコレクティブ・アクション型/プロデュース型の諸活動
2011年6月:コペンハーゲン
2011年10月:東京
国連GC年次総会にてLEADプログラム参加企業
に対し
「タケダ・イニシアティブ」を解説
「日本を変えるCSR ∼ 3.11 東日本大震災を経験して」シンポジウムにて
長谷川社長がコレクティブ・アクションの重要性を提言
Copenhagen
Yangon
Tokyo
Rio de Janeiro
2012年5月:ヤンゴン
50
Takeda Annual Report 2012
2012年6月:リオ・デ・ジャネイロ
レスポンシブル・ビジネス会議にて、当社の統合版
国連持続可能な開発会議(リオ+20 )国連 GCコーポレート・
アニュアル・レポートをミャンマー企業に紹介
サステナビリティ・フォーラムに参加し、CSRの方向性を確認
実 践: 国連 GC で掲げられた原則をバリューチェーンごとに
日々の業務に落とし込み、責任ある製薬事業を実践していくための
ツールとして、ISO26000を活用しています。
[ ISO26000 ]
ISO26000 は、2010 年 11 月に国際標準化機構
環境に対する正負の影響を事前に認識し、適切に対
が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格
処すること」が重要であると認識しており、
これらを解
です。7 つの中核主題ごとに分類された「実践活動と
説しているISO26000を積極的に活用しています。
して検討すべき項目」が記載されています。
中核7主題のフレームワークの具体的な活用例
タケダは、中期計画の達成には、
「期間中に発生する
社会・環境
タケダ
影響
1.各主題におけるリスクをバリューチェーンごとに
可能性のある、社会・環境の
洗い出すための整理ツール
変化に起因する事業上の機
2.各主題の主要責任部署との
会とリスクを事前に認識し、
社内コミュニケーション用ツール
3.社外SRIアンケートへの回答案作成時の
適切に対処すること」、およ
タケダと社会・環境が、相互に
与えあうさまざまな影響を踏
まえて、CSR 活動を立案・実践
しています。
手引き用ツール
び「期間中に及ぼす可能性の
4.ステークホルダーに対する開示用ツール
ある、事 業に起 因する社 会・
[バリューチェーン・マネジメント]
バリューチェーン
タケダでは、研究、開発から、調達、生産、物流、販売
レート・コミュニケーション部内に設置したCSR 活動を
原材料の調達から製品・サービ
スが顧客に届くまでの企業活
動全体を、
「価値創造の連鎖」
と捉える考え方。
までのバリューチェーン各段階における社会的課題
推進する専門組織とが連携しながら、具体的な活動を
の認識に努めています。
進めています。
バリューチェーンごとの課題と取り組むべき施策の
関連情報
洗い出しにあたっては、ISO26000 の中核主題フ
P.54 CSR活動の目標と実績
P.58 組織統治
レームワークを活用し、それぞれの責任部署と、
コーポ
バリューチェーン全体での CSR 活動の推進
CSR 活動=経営理念の実践
事業経営を
支える機能
開発
調達
生産
物流
販売
人事・総務
財務・経理
資源の投入
活動の成果
対象者の行動変化
持 続 可 能な 社 会
研究
持 続 可 能な 企 業
経営管理
「企業」
としての活動
社会への波及効果
⋮
宣伝・広報
「企業市民」
としての活動
Takeda Annual Report 2012
51
タケダの CSR活動
開 示:「国際統合報告審議会( IIRC )」の原則に沿って、価値創造・維持プロセスを
適切な形でご理解いただけるよう、開示内容の充実に努めています。
[ IIRC ]
タケダは、2011 年に、ステークホルダーの皆さま
ISO26000の中核主題ごとに、2011年度の目標・実
に当社の価値創造のプロセスを適切な形で開示する
績、2012年度の目標を設定するだけでなく、
「Future
目的で、統合報告の国際的なフレームワークを提供す
Outlook 」の欄を設け、社会との関わり方に関する今
る「国際統合報告審議会( IIRC )」のパイロット・プログ
後の方向性についても開示しています。
ラムに参加しました。本レポートでは、IIRC の 5 つの基
4. 反応性およびステークホルダーの包含性
本原則に則り、以下のような開示を試みています。
事業と関わりのあるステークホルダーを特定し、直
接対話をはじめとする多様なコミュニケーションの機
IIRC の基本原則に沿った情報開示
会を設け、企業価値向上に活用しています。具体的に
1. 戦略的焦点
は、
グローバルなIR 説明会の開催のほか、世界経営者
タケダの事業目標と、それを実現するための具体的な
戦略や実施計画を盛り込んだ中期計画を記載し、企業価
値および社会価値の創造のプロセスを開示しています。
会議や国連グローバル・コンパクトなどへの積極的な
関与を通じ、ステークホルダーからの期待や要請を的
確に捉え、迅速に対応しています。
また、ダイバーシティ経営、ガバナンスの強化、新興国が
抱える社会的課題への対応など、事業機会の拡大に伴う
5. 簡潔性、信頼性および重要性
リスクへの対応についても詳細に説明しています。
株主・投資家を中心とした幅広いステークホルダーに
対して、重要と思われる情報のみを厳選し、開示してい
2. 情報の結合性
ます。例えば、本統合版アニュアルレポートでは、簡潔
研究開発や導入・アライアンスといった川上から、
市場別のマーケティング・販売といった川下にいたる
まで、バリューチェーン毎に事業戦略を開示すること
で、事業全体を結合性に配慮して説明しています。ま
た、ISO26000 の中核主題の枠組みを活用すること
で、CSR 活動に関わる情報についても、関連性を示し
ながら、全体像を包括的に開示しています。
性と信頼性を確保するため、要点のみを掲載し、経営
トップの発言内容(マネジメント・メッセージ)は、動画で
確認できるようウェブ上のリンク先を掲載しています。
また、環境データなど一部の専門家に対して重要
な情報は、
「 CSR データブック」
( PDF 版・電子ブック
版)で詳細に開示しています。
「 CSR データブック」で
は、非財務情報の信頼性を高めるために、独立した第
3. 将来志向
三者の「所見」を継続して掲載するアプローチを採用
将来の事業見通しについては、中期計画による説明に
しています。非財務情報に関する「保証」については、
加え、経営層の考え方を詳細に開示しています。また、
その実効性も含めて検討を進めています。
開示フォーマットの変遷
CSR
AR
AR
AR
IAR
’
03
’
04
’
05
AR
AR
AR
EVR
CSR
紙媒体
PDF版
WEB
AR:アニュアルレポート EVR:環境報告書 CSR:CSR 報告書 IAR:統合版アニュアルレポート CDB:CSR データブック MM: マネジメント・メッセージ
EVR
’
10
’
11
’
12
IAR
IAR
IAR
CDB
CDB
’
06
’
07
’
08
’
09
IAR
IAR
IAR
IAR
CDB
CDB
IAR
※
年度
※
※ 2012 年度から、電子ブック版も掲載しています。
動画
CSR データブック( PDF 版・電子ブック版)は、タケダのホームページでご覧いただけます。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
IAR
IAR
サイト
52
IAR
IAR
IAR
MM
対 話: 開示した情報を適切に発信し、AA1000 のフレームワークを活用して
対話の質を高めることで、企業活動の価値を高めていきたいと考えています。
[ AA1000 ]
AA1000 は、英国アカウンタビリティ社が発行し
ワークを活用し、特定した重要なステークホルダーと
た、コミュニケーション・システムなどの策定過程にス
の多様な対話機会をつくり、CSR 活動の改善に努め
テークホルダーが関与する体系的なプロセスを示した
ています。
ガイドラインです。タケダでは、AA1000 のフレーム
タケダのステークホルダー
患者さん・
医療従事者の
皆さま
タケダは、一人でも多くの方が健康でいられることを願って、優れた医薬品
を、
より早く、
より多く創出するとともに、
「患者さん」のニーズを理解するた
め、患者団体などを通じ、良好な関係を築くことも重要と考えています。また、
医薬事業を通じ、
エビデンスに基づいた、質の高い医薬情報活動を推進する
主な対話方法
• 医薬情報活動
•くすり相談室、ホームページなどを通じた情報提供
• 健康講座などの開催
• 広告を通した情報提供
ことで、
「医療従事者の皆さま」
との間に信頼関係を構築していきます。
株主・投資家の
皆さま
タケダは、
「 株主・投資家の皆さま」のご期待に応えるため、持続的成長の実
現を目指していきます。また、アニュアルレポート、
ホームページを通じた適
時・適切な情報公開を継続し、
「 株主・投資家の皆さま」との間により良い関
係を構築していきます。
社会
タケダは、
グローバル社会の発展が、自社の発展と密接に関係していること
を十分に認識しています。企業市民としてグローバル社会が抱える課題へ
の対応を常に検討し、取り組みを進めていきます。
■ 公的機関との関わり 事業活動を行う国・地域において、国際ルールや現地の法
• アニュアルレポート、ホームページなどを通じた
情報提供
• 株主総会、投資家説明会
• IR 活動
• 社会責任投資家からの CSRアンケート対応
• NGO/NPOと協働したプログラムの実施
• 経済団体、業界団体を通じた諸活動
• 社会人・学生を対象にした CSR 講演
• 意見交換会(ダイアログ)
• ボランティア活動
律を遵守し、公的機関と連携し、その国・地域の発展に貢献していきます。
■ 経済団体との関わり 事業展開している地域における経済団体の活動が、グロー
バル社会の持続的成長に貢献しているとの認識に立ち、経済団体の活動に協力してい
きます。
■ 製薬団体との関わり 自国内の医薬品産業が抱える課題にとどまらず、グローバ
ル社会で問題となっている医薬品アクセスや途上国の疾病問題に、活動地域の製薬団
体と協力し、取り組んでいきます。
環境
タケダは、地球温暖化問題をはじめ、医薬品が生産過程を通して環境に与
える影響を最小限にするため、さまざまな取り組みを行なっています。さら
に、生物多様性や水資源に関わる問題への取り組みも推進していきます。
お取引先
タケダは、優れた品質の医薬品を創出するためには、
「 お取引先」とのパー
トナーシップが重要と考えています。私たちは、優れた品質の医薬品創出に
情報公開
• タケダ・グローバル行動規準、CSR 購買ガイドラ
インに基づいた誠実な購買活動の実践
えています。
• お取引先アンケート調査の実施
• 意見交換会、説明会、勉強会
• お問い合わせ窓口
タケダは、従業員の多様性、人格、個性を含む人権を尊重し、成長の源泉と
• グロー バ ル 風 土 意 識
向けた想いを「お取引先」にご理解いただき、
ともに発展していきたいと考
従業員
• 工場・研究所周辺の地域住民の皆さまとの対話
•アニュアルレポート、ホームページなどを通じた
して人材育成を重視するとともに、全従業員がタケダグループの一員であ
ることを誇りに思えるような環境の構築を目指していきます。
調査
• 社内イントラネット
• 相談窓口
• 労使協議
• カウンセリング
• 社内報
• タケダイズム実 践 月
間の実施
• 能 力 開 発 に 資 する 多
様な研修
ステークホルダーとは、企業の事業活動により影響を受ける、
または企業の活動に影響を与える、
すべての関係者(存在)
を意味します。
関連情報
P.76 ステークホルダーに対する情報開示の実施状況
Takeda Annual Report 2012
53
タケダの CSR活動
社会的責任に関する国際規格「 ISO26000 」の中核主題に従って、
タケダの CSR 活動の取り組み内容を開示します。
CSR 活動の目標と実績
ISO26000 の中核主題
組織統治
人権
GC
2011 年度の目標
2011 年度の実績
社内各部門のCSR意識向上を目的とした、社内イントラ
などを通したCSR情報提供の強化(CSRマネジメント)
社内イントラの CSR サイトをリニューアルし、
グローバルな
情報を掲載したほか、社内CSR説明会を実施した。
ステークホルダー・ダイアログの継続実施(ステーク
ホルダー・エンゲージメント)
タケダ・ウェルビーイング・プログラムによる支援先の NPO
が参加したステークホルダー・ダイアログを開催した。
研究、開発、調達、販売など各業務プロセスにおけ
る人権に関する社内規則の遵守
各プロセスにおいて、社内規則に則った業務を着実に遂行
した。
ダイバーシティ推進の強化
ダイバーシティ推進ビジョンの策定
ニュースレター、WEB サイトによるダイバーシティ推進ビジ
ョンの浸透
Takeda Global Awardsの実施(継続)
世界各国の従業員 137 名が受賞した。
Takeda Leadership Instituteの実施(継続)
第 5 回 TLIを開催し、28 名が参加した。
メンタルヘルスケアの強化(継続)
休務開始から復職後のフォロー体制を強化した。
ワーク・ライフ・バランスの推進
(日本)
ノー残業デーを週 2 回導入した。
武田薬品グループ環境自主行動計画の推進
当計画に基づき、
各部門がそれぞれ目標を設定、
遂行した。
原則1∼6に該当
労働慣行
GC
原則3∼6に該当
環境
「環境防災業務基準」の徹底
評価
当基準に沿った環境防災活動を確実に実施した。
2011 年 11 月に湘南研究所で漏水事故が発生した。原因
環境・防災管理体制の強化充実
の究明と再発防止策の遂行を徹底した。
東日本大震災の経験に基づき、地震防災対策を見直した。
社員全員参加の省エネルギー活動の推進
社内エコポイント制度の開始など、従業員の環境意識向上
に取り組んだ。
環境・防災意識の高揚と教育訓練の充実
各事業所における環境防災訓練を計画通り実施した。
原則7∼9に該当
生物多様性への取り組みの強化
京都薬用植物園において絶滅が危惧される薬用植物の保
全を継続実施した。
公正な事業慣行
タケダ・グローバル行動規準の徹底
各国の法令を踏まえた実施および浸透に努めた。
GC
CSR 購買ガイドラインに基づいたサプライヤーへの
アンケート実施
209社に対して、CSRアンケートを実施した。
原則3∼10に該当
グリーン調達の推進(継続)
基本方針に基づき、着実に実施することができた。
消費者課題
偽造医薬品対策の実施(継続)
新たに策定した「タケダ・偽造医薬品対策 3ヵ年計画」に基づ
き、着実に施策を実施した。
充実した医薬情報活動のための IT 戦略の強化
全MRにタブレット端末を提供し、
医薬情報活動の充実を図った。
治療や予防に関する幅広い情報提供(継続)
健康講座、
セミナーを継続開催したほか、
ホームページを通
じた情報提供を強化した。
東日本大震災による被災地への継続的な支援
長期的な寄付プログラムの実践など、
継続的支援を実施した。
保健医療分野における企業市民活動の推進
(継続)
タケダ・イニシアティブをはじめとする各種プログラムを継続実施した。
医療の発展に資する幅広い分野への助成(継続)
武田科学振興財団、尚志社、発酵研究所などの企業財団を
通した研究助成を推進した。
NGO/NPOとのパートナーシップ(継続)
市民社会創造ファンドなど、
さまざまな団体と協働プログラ
ムを推進した。
企業市民活動に関する基本ポリシーの周知活動の実施
社内イントラにCSR専用サイトを開設し、
周知活動を徹底した。
グローバル寄付ガイドラインの策定
グローバル寄付ガイドラインの策定が完了した。
GC
コミュニティ参画
および発展
国内従業員に対するボランティア活動機会の提供
(継続)
評価: ○:目標を達成した
54
Takeda Annual Report 2012
CSR 専用サイトを通じて、ボランティアの呼びかけを継続的
に案内した。
△:目標に達しなかったが、活動内容が前年度より進捗・向上した ×:目標に達しなかった
2012 年度の目標
CSRに関する従業員の認知・意識の向上
アニュアルレポート 掲載ページ
P.58
P.73
コーポレート・ガバナンス
CSRマネジメント/
ステークホルダー・ダイアログの継続実施(ステークホルダー・エンゲージメント)
人権に関するグローバルポリシー作成の検討
ダイバーシティ推進の強化(継続)
グローバルチャレンジャープログラムの実施
Takeda Global Awardsの実施(継続)
デューディリジェンス
ステークホルダー・エンゲージメント
P.60
P.62 労働慣行
P.75 コンプライアンス
人権課題と取り組み
P.62
グローバル人事ポリシー
ダイバーシティの推進
グローバル人材育成
ワーク・ライフ・バランス
労働組合との関係
Takeda Leadership Instituteの実施(継続)
ワーク・ライフ・バランスの推進(継続)
武田薬品グループ環境自主行動計画の推進(継続)
グローバルEHS 方針の策定
環境・防災管理体制の強化充実(継続)
P.64
環境マネジメント
環境リスクの低減
気候変動/水資源問題/生物多様性
化学物質排出量の削減
大気・水質の保全/廃棄物削減
社員全員参加の省エネルギー活動の推進(継続)
環境・防災意識の高揚と教育訓練の充実(継続)
生物多様性への取り組みの推進(継続)
「タケダ・グローバル行動規準」および「タケダ贈収賄禁止グローバルポリシー」の浸透
P.66
グリーン調達の推進(継続)
公正な事業活動に向けて
業界における取り組み
グローバルCSR購買/
CSR購買ガイドライン
偽造医薬品対策 3ヵ年計画の着実な実施
P.68
IT戦略の強化などにより情報発信の機会を増やし、幅広いニーズに対応する医薬情報活動を実施
偽造医薬品対策
バリューチェーン管理の強化
情報提供
CSR購買ガイドラインに基づいたサプライヤーへのアンケート実施(継続)
P.31 知的財産
P.75 コンプライアンス
P.32 生産供給体制
P.33 品質保証体制
P.34 マーケティング
治療や予防に関する幅広い情報提供(継続)
東日本大震災による被災地への継続的な支援
保健医療分野における企業市民活動の推進(継続)
医療の発展に資する幅広い分野への助成(継続)
P.70
P.56
企業市民活動の方針
保健医療アクセスへの取り組み
グローバルなコミュニティ参画
企業財団
東日本大震災による
被災地への支援
NGO/NPOとのパートナーシップ(継続)
企業市民活動に関する基本ポリシーの周知活動の実施
グローバル寄付ガイドラインの周知活動の実施
国内従業員に対するボランティア活動機会の提供(継続)
Takeda Annual Report 2012
55
特集:東日本大震災による被災地への支援
タケダは、
「いのち」に携わる企業として、東日本大震災を忘れることなく、
一人ひとりの誠実な行動を通して、被災地の復興に向けた支援を続けていきます。
タケダでは、寄付金や医薬品の拠出、ボランティアを
希望する従業員のサポート、社内情報サイトの設置な
ど、多岐にわたる活動を行っており、今後も長期的・継
続的な支援を進めていきます。
日本を元気に・復興支援
タケダは、
「日本を元気に・復興支援」としてアリナ
ミン類の収益の一部を積み立て、年間約 8 億円を3 年
間にわたって拠出します。2011 年度には、下記の表
に示している支援プログラムを決定しました。そのう
グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク シンポジウム 基調講演
(代表取締役社長 長谷川閑史)
ちの一つ「タケダ・いのちとくらし再生プログラム」は、
日本 NPOセンターを通じて、主に岩手県、宮城県、福
“
自然災害という問題は、まさに人間の安全保障を脅かす問題であり、
島県を対象に、人道支援と基盤整備支援を実施する
CSR の観点から企業がしっかりと取り組まなければいけない問題で
支援事業です。日本 NPOセンターに事務局を設置し、
あると認識しています
さまざまな 関 連 団 体と
”
(基調講演のスピーチより)
連 携して実 施 する自主
事 業と、現 地 で 支 援 活
東日本大震災では、地震、津波による被害だけでな
動を行って いる団 体に
く、原発の事故も発生し、復興には長い時間がかかる
対する助成事業を推進
と言われ、今後も継続した支援が求められています。
していきます。
タケダ・いのちとくらし再生プログラム
ホームページ
「日本を元気に・復興支援」支援プログラム
テーマ
被災者の多様な
ニーズ支援
〈 NPO〉
産業活性化・
人材育成
〈経済界〉
シンクタンク・
提言活動
〈シンクタンク〉
Takeda Annual Report 2012
支援先
タケダ・いのちと
くらし再生プログラム
寄付金額
プログラム期間
日本 NPOセンター
8億円
5年間
経済同友会
7億5千万円
5年間
日本再建イニシアティブ
3億円
5年間
米日カウンシル
9千万円
3年間
教育支援グローバル基金
6千万円
3年間
災害ボランティア・NPOサポート基金
中央共同募金会
2千万円
東北未来創造イニシアティブ事業
東北ニュービジネス協議会
2千万円
タケダ・キャパシティビルディング・
イニシアティブ
東日本大震災現地NPO応援基金
2千万円
IPPO IPPO NIPPON
プロジェクト
日本再建
イニシアティブ
次世代への
機会創出
〈官民パートナーシップ〉
TOMODACHI
若者の
リーダーシップ育成
〈国際社会〉
ビヨンドトゥモロー
その他
56
プログラム名
被災地支援の考え方
17
緊急
億円
2010-11年度
寄付金総額
これまでの考え方
2011年度
ボランティア活動
支援制度を利用した
従業員数
ストレッチ
カネ
ストレッチ
人
復興
モノ
ヒト
88
復旧
その他
ストレ
ッチ
長期的・継続的な支援活動
ワークが主催する「GC-JN 東日本大震災復興支援コレ
タケダは、被災地の支援活動を、緊急期、復旧期、復
クティブアクション」との連携を図るなど、ボランティア
興期に分け、それぞれの期に応じた支援活動を行って
活動を行いやすい環境を整えています。また、社内
きました。緊急・復旧期における支援として、義援金( 3
イントラネットに「タケダ
億円)を日本赤十字社に拠出するとともに、武田薬品
東日本大震災サイト」を
回
労働組合と共同で、従業員からの募金に同額を上乗せ
立ち上げ、ボランティア
2011年度
するマッチングギフト方式により、認定NPO法人ジャパ
活動などに関する情報を
ン・プラットフォームへ約 7,600 万円を寄付しました。
発信しています。
8
企業内マルシェ
開催数
さらに、国内外のグループ各社から、計約1億円が各国
タケダ東日本大震災サイト
(社内イントラ)
の赤十字社などへ寄付されました。復興期に向けて
5
回
2011年度
社内フォーラム
開催数
は、東日本大震災現地 NPO 応援基金への寄付、
「日本
を元気に・復興支援」を継続中です。また、企業財団で
Takeda’s Voice
ある武田科学振興財団、尚志社、発酵研究所は、それ
ボランティア休暇を利用して、宮城県亘理町で
ぞれ東北地方の大学への寄付を行っています。
の活動に参加しました。被害の大きさを目の当た
被災地の消費回復に向けて、労使共催により
「企業内
りにし、自分は何も力になれないのではと胸が痛
マルシェ」を計8回開催しており、東北・関東地方の特産
みました。
しかし、現地の方から「ボランティアに参
品を従業員向けに販売しました。また、同様に、社内
加することを『人と人が出会う機会に恵まれた』
と
フォーラムを5回にわたって開催し、被災地で勤務する
前向きに捉え、長期的に参加して欲しい。それが
従業員による現地状
町の復興につながるから。」と声をかけていただ
況の発表や、ボラン
き、大変救われた気がします。ボランティアをきっ
ティア活動に参加し
た従業員の活動報告
かけとして人の輪が広がり、この町が好きになり
ました。またこの町に行きたいと思っています。
などを行っています。
企業内マルシェ
(光工場)
従業員のボランティア活動支援
従業員が安心して被災地におけるボランティア活
動に参加できるように、2011 年 4 月から、特別有給
休暇の付与とボランティア保険料の会社負担を始め
人事部
橋口さやか
ました。さらに、
グローバル・コンパクト・ジャパン・ネット
Takeda Annual Report 2012
57
組織統治
「企業価値創造」に向けて
企業評価指標に「SRIインデックスの継続組み入れ」を採用
タケダでは、本業のくすりづくりに誠実に取り組む「企業活動」と、企業市民
としての立場から実践する「企業市民活動」を統合的に推進することが、当社
にとっての CSR 活動であると認識しています。この観点から、タケダは事業活動
全般に対する外部評価指標として、SRIインデックスの継続的な採用を重視して
おり、2012 年度より、経営幹部の業績評価指標の一つに取り入れました。これ
により、経営戦略の中における「社会的責任の重視」がより明確化されたものと
認識しています。
3
業績評価に組み入れられている
種類 SRIインデックスの数
[ CSRマネジメント]
CSR推進体制
等を通じて製薬企業が取り組むべき課題への期待や
タケダは、CSR 活動を推進する専門組織をコーポレ
要請を分析します。これに加えて、
「 ISO26000 」を
人
ート・コミュニケーション部内に設置しています。この
参考にし、タケダにとっての重要性も考慮して、活動
2011年度
CSR研修 受講者
組織は、本業の医薬品の品質・安全性を管理する部署
の重点項目とKPI を決定します。重点項目とKPI につ
のほか、社会、環境、人権、調達などのグローバル・ガバ
いては本レポートおよび CSRデータブックで開示して
ナンスを担当する社内の責任部署と密接に情報交換
います。
し、各部署の CSR 活動を側面から支援することで、会
※BSR(Business for Social Responsibility)
:1992年に米国で発足したCSRに
194
関する国際的な企業会員組織
社全体の活動を底上げする役割を担っています。CSR
に関わる重要案件については、ビジネス案件と同様
に、それぞれの責任部署が必要に応じてグローバル・
リーダーシップ・コミッティーや取締役会に報告、提案
関連情報
P.54 CSR活動の目標と実績
IFPMA が設定している重点課題( 2012 年)
非感染症
する体制をとっています。
知的財産
CSRに関するマテリアリティ
(重要性)の
特定とKPIの設定
タケダは、積極的なステークホルダー・エンゲージ
メントを通じて、
グローバルな製薬企業に対する期待
偽造医薬品対策
信用と倫理
ワクチン供給
ミレニアム開発目標( MDG's )
や要請を把握するよう努めています。具体的には国連
グローバル・コンパクトや BSR ※ への参加のほか、CSR
規制ポリシーと能力開発
活動の国際的な評価機関、市民やNGO/NPOとの対
生命倫理
話、日本経団連の CSR 関連委員会等のほか、国際製薬
WHO GSPoA ※
団体連合会( IFPMA )や製薬協の業界団体への参加
※GSPoA(The Global Strategy and Plan of Action)
:WHOが推進している
知的財産権・技術革新・公衆衛生に対する取り組み
58
Takeda Annual Report 2012
[デューディリジェンス]
デューディリジェンス
社会的責任という背景のなか
で の デュー ディリジェンスと
は、組織の決定および活動が
及ぼすさまざまなマイナス影
響を特定し、回避・緩和するプ
ロセスを意味します。
事業活動が及ぼす影響に関する取り組み
タケダは、人々の「いのち」に携わる製薬会社とし
て、自社の事業活動から発生する社会や環境に対する
影響について、潜在的な影響を含めて特定したうえ
で、適切に対処していきたいと考えています。
「人権」については、本レポートのP.60∼61で、バリ
ューチェーン全体に関わる影響側面を概観し、
「 課題」
と「取り組み」を開示しています。また、
「 環境」につい
ては、
「 環境に関する基本原則」における「製品・生産プ
ロセスの環境影響評価」に則って、製品研究、技術開発
にあたり、事前に、製品の研究開発から使用・廃棄に至
る全ての過程で環境に与える影響を評価し、環境への
影響を軽減する取り組みを行っています。
関連情報
P.60 人権
P.64 環境マネジメント
P.73 コーポレート・ガバナンス
第 3 回ステークホルダー・ダイアログ
第3回ステークホルダー・ダイアログ
「タケダ・ウェルビーイング・プログラム」をテーマと
して、新たな助 成 対 象 団 体にも参 加していただき、
2012 年 3 月に第 3 回ステークホルダー・ダイアログ
を開催し、今までの取り組み成果を踏まえて、今後の
活動についての課題を検証しました。
第 3 回ダイアログでいただいた課題
1「長期療養の子どもたちと家族」
.
という社会的
ステークホルダー・
エンゲージメント
ステークホルダー・エンゲージ
メントとは、ステークホルダー
の 関 心 事 項を理 解し、企 業 活
動や意思決定に反映する取り
組みを意味します。
[ステークホルダー・エンゲージメント]
「AA1000」のスキームに基づいた
ステークホルダー・エンゲージメントの実施
2.
特に医療従事者、医療系学生への「長期療養
の子どもたち」という社会的課題の周知
3.
「タケダ従業員の関与」の促進
「ISO26000」では、社会的責任の基本的な慣行と
して、ステークホルダーの特定およびステークホルダ
3
課題に対する社会一般の認識の向上
関連情報
ー・エンゲージメントを重視しています。タケダでは、
回
ステークホルダー・
ダイアログ実施回数
(2009-11年度)
アカウンタビリティ
(説明責任)についての国際規格
「 AA1000 」のスキームを参考としてステークホルダ
P.50 国連グローバル・コンパクトLEAD
プログラム参加企業としての諸活動
P.53 タケダのステークホルダー/
主な対話方法
P.70 コミュニティ参画および発展
ー・エンゲージメントの充実に努めています。
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
SRIインデックスからの評価指標は、
グローバルレベルで求められている社会的要請が表
れていると認識しています。これを社内の CSR 実践部門への伝達・認識を推し進めるために、
CSR専門組織による各部門への説明会などを実施していきたいと考えています。
また、NGOを招いたステークホルダー・ダイアログも、毎年、継続的に実施していくことで、
社会の動向と課題の把握に努めていきます。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
59
人権
「企業価値創造」に向けて
「ヒト由来試料」使用の適否の審査
タケダでは、
「ヒト由来試料(血液、組織、細胞など)」に関して、医薬研究本部
内に「研究倫理審査委員会」を設置し、ヘルシンキ宣言に則り、研究への試料使
用の適否を審査しています。
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」については別に生命
倫理委員会を設置しています。この生命倫理委員会は、男女 6 名の常任委員で
構成され、常任委員の半数以上を社外委員とするよう定めています。
社外委員
3
ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する
人( 6 人中) 生命倫理委員会における社外委員
[人権課題と取り組み]
研究
課題 「ヒト由来試料」の提供者からの事前の自由意
取り組み 生命の尊厳および人権を尊重するポリシ
思に基づく同意(インフォームド・コンセント)の取得
ー・規約を体系づけ、研究活動を推進しています。環境
や、遺伝情報を含む個人情報の保護を徹底すること
リスク低減に関しては、
「 武田薬品グループ環境防災
などの、人権の尊重が重要な課題と認識しています。
業務基準」に基づき継続的な取り組みを行っていま
また、研究所周辺の地域住民の方に対する健康面で
す。また、遺伝的なサンプルのライブラリー利用時に
の影響等に関する情報開示や、探索研究において土
は特別な配慮を行うなど、人権に関する課題への取り
壌などから遺伝資源を採取する場合における「遺伝資
組みを着実に進めています。
源へのアクセスと利益配分」などについても、配慮す
べき課題と考えています。
開発(臨床試験)
課題 臨床試験の実施にあたっては、予想される効果
4
研究・開発における主な人権関連規則
回
研究倫理審査委員会規則
2011年度
人権関連規則に関する
委員会の開催回数
や起こりうる可能性のある副作用、守っていただく事
項等について十分に説明し、患者さんがその内容をよ
く理解されたうえで、同意を得る必要があります。
ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する生命倫理委員会規則
タケダでは、臨床試験に参加していただく患者さん
の自由意思を尊重し、安全性を確保するとともに、個
合同遺伝子組み換え実験安全委員会規則
臨床検体取扱実験委員会規則
人情報を保護することが重要な課題と考えています。
取り組み ヘルシンキ宣言の精神をもとに定められた
ICH-GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を遵守
ヒトゲノム・遺伝子解析研究の実施に関する規則
し、患者さんの自由意思に基づく同意を得て、各国の
規制要件、社内基準および治験実施計画書に従って臨
遺伝子組み換え実験実施規則
60
Takeda Annual Report 2012
床試験を実施しています。
2
団体
グローバルな
人権ワーキンググループ
参加団体数
また、途上国における臨床試験や、対象者に社会的弱
者が含まれる場合などにも、被験者の人権が損なわれ
課題 医薬品は生命に深く関わるものであり、使用を
ることのないよう十分な配慮を行っています。
誤れば、患者さんと社会に対して損害を与えかねませ
関連情報
P.75 コンプライアンス
CSRに関する国際的な企業会
員組織「BSR」
、
グローバル・コン
パクト・ジャパン・ネットワークの
人権ワーキンググループに参
加しています。
販売
ん。優れた医薬品をお届けするとともに、医薬情報を
適正な手段で的確かつ迅速に提供・収集・伝達すること
調達・生産・物流
は、
タケダにとって基本的な責務と考えています。
課題 グローバル製薬企業として、新興国を含む世界
取り組み 「医療用医薬品プロモーションコード」や
のさまざまな地域から資材を調達し、医薬品の生産を
「 医 療 用 医 薬 品 製 造 販 売 業 公 正 競 争 規 約 」を遵 守
行うなかで、労働に関する権利も含め、人権を尊重す
し、
「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関す
ることが特に求められていると認識しており、サプラ
る指針」を定めて、公正なプロモーション活動に努め
イヤーに対しても十分留意いただくようお願いする必
ています。
要があると考えています。
さらに、独自のプロモーションコードと規約を定め
生産においては、工場周辺の地域住民の方の健康
て、
「 高い倫理観」に基づく質の高い医薬情報活動を
に配慮することが重要な責務であると考えています。
展開し、患者さんの人権の尊重を徹底しています。
また、偽造医薬品対策についても、調達・生産・物流全
般に関わる課題の一つと認識しています。
取り組み サプライチェーン全体における課題に対し
ては、2010 年に「 CSR 購買ガイドライン」を制定し、
自らの行動規準を定めるとともに、サプライヤーに対
して期待する事項と行動規範を明記し、取り組みの強
化を図っています。
環境リスクの低減に関しては、
「 武田薬品グループ
環境自主行動計画」を制定し、着実な取り組みを推進
しています。また、偽造医薬品についてのグローバル
レベルの対策を進めています。
関連情報
P.64 環境リスクの低減
P.67 CSR購買ガイドライン
P.68 偽造医薬品対策
P70 保健医療アクセスへの取り組み
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
人々の「いのち」に携わる製薬業界には、
くすりづくりの各段階において、人権に関わる特
有の課題が存在しています。特に、途上国を含む新興国でビジネス活動を実施するにあたっ
ては、今まで以上に人権課題に対する配慮が重要となってきます。タケダでは、ISO26000
やラギー・レポートによる国際的規範となっているフレームを活用して、保健医療アクセスへ
の対応を含めた誠実な取り組みを推進します。また、CSRに関する国際的な企業会員組織
「BSR 」の人権ワーキンググループにも新たに参加し、
ここから得られる知見を通して、
グロー
バル企業に相応しい取り組みを進めていきます。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
61
労働慣行
「企業価値創造」に向けて
Takeda Leadership Institute
「 Takeda Leadership Institute」
(TLI)は、世界有数のビジネススクール
INSEADとの提携のもとに2007 年度より実施しているグローバルリーダー
育成プログラムで、世界中から選抜された従業員が受講しています。2012年度
は、2012年9月から2013年2月まで、日本やフランスで開催する計画です。
28
人
2011年度 Takeda Leadership Institute
受講者数
Takeda Leadership Institute 2011年度研修
[グローバル人事ポリシー]
人事ビジョンをグループ全体で実践します
タケダでは、採用、配置、人材開発、評価、報酬など
の諸制度の仕組みやその運用に関する基本方針を
「人事ポリシー」としてまとめ、具体的な施策を実施す
極的に進めるとともに、日本と各拠点間での人材交
流を進めています。グループ全体で多様性を活かし
た、
グローバルに通用する人材を育成する仕組みづく
りに力を注いでいきます。
ることで、
「人事ビジョン」の実現を目指します。
15
137
ヵ国
人
2011年度
Takeda Global
Awards
グローバルチャレンジャーの募集
人事ビジョン
公募にて選出された従業員が、新興国を中心とした
仕事を通じた達成感によってやりがいを感じ、成果を追求
海外関係会社へ5年を目処に赴任し、現地スタッフと同
する企業文化に共感し、それを誇りに感じる人々が集う活
力にあふれる会社を目指す
様に業務を遂行することができる制度で、2011 年度
に新設されました。タケダが真のグローバル製薬企業
へと大きく飛躍し、歴史的に変わろうとしているこの時
受賞者の勤務国と人数
[ダイバーシティの推進]
期に、新たな世界で自分の可能性にチャレンジしたいと
いう従業員の熱い「想い」をサポートしていきます。
従業員の多様性を成長の活力に
62
Takeda Annual Report 2012
タケダは、2010 年度から、ダイバーシティを「経
Takeda Global Awards
営の基本精神」の中の「行動原則」の一つとしていま
2006 年度から、全世界のタケダグループの従業
す。年齢、性別、国籍、人種や障がいの有無など異な
員を対象とした「 Takeda Global Awards 」を実施
る背景がもたらす多様性を互いに理解・尊重すること
しています。この表彰は、経営哲学「タケダイズム」の
により、創造的な思考を生む企業文化を醸成し、新し
浸透やグループの一体感の醸成を図ることで、活力
い価値観を経営に反映させていきます。
ある企業文化の創造を目指すものです。5 回目を迎え
具体的には、国籍を問わず多様な人材の採用を積
た 2011 年度は、15ヵ国の従業員 137 名が受賞し、
24
人
創薬イノベーションのグローバル拠点である「湘南
女性活躍推進プログラム「WILL」
研究所」で表彰式を開催しました。
「 WILL 」は、人事部が提供している女性活躍推進プ
女性活躍推進プログラム
「 WILL」参加者人数
(2011 年度)
ログラムで、
メンタリング、集合/個別研修、女性の経
営幹部との意見交換会などの機会を提供し、計画的な
人材育成を図っています。2012 年 3 月には、
「 WILL 」
の活動が、
「性別による差をなくすベストプラクティス」
として、
「 女 性 営 業 職( MR )の 活 躍 推 進 」とともに、
「世界経済フォーラム」
( WEF )のホームページに掲載
されました。
ワーク・ライフ・バランスの支援
Takeda Global Awards 2011 表彰式
タケダでは、仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライ
フ・バランス」支援に向けて、フレックスタイム制など
ダイバーシティ推進ビジョンの策定
多様な働き方の導入や休暇・休職制度の充実など、さ
日本においては、人事部に専任担当を設置し、
「グロ
ーバルに活躍する人材の獲得・育成」「
、女性のキャリア
育成の支援」、
「障がい者の活躍の場の拡大」、
「各職場・
各個人へのダイバーシティの理解・浸透」、
「仕事と個人
まざまな取り組みを推進しています。育児と両立しな
がら安心して働ける環境の整備も積極的に進めてお
り、2012 年 6 月には「次世代育成支援対策推進法」
に基づき3 回目の認定を受けています。
の生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の支援」を中心
に全社的な取り組みを進めています。
2011 年度には、日本におけるダイバーシティ推進
[労働組合との関係]
ビジョンを策定しました。ダイバーシティ推進を通じ
健全な労使関係の構築
て、タケダが未来にわたっ
タケダグループでは、各国の法令などに基づき、各社
て成長し続ける姿を表現し
の労働組合や従業員代表と話し合いを行っています。
たシンボルマークのもと、
日本では、
「 武田薬品労働組合」と労働協約を結び、労
活動のさらなる充実を図っ
働条件、人事制度をはじめとした諸制度について、定期
的な協議を行い、健全な労使関係を構築しています。
ていきます。
ダイバーシティ推進
シンボルマーク
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
タケダは、Takeda
Leadership Institute の開催やグローバルチャレンジャー制度等を
通じ、新興国を含む地域に事業基盤を拡大した当社の持続的な成長に寄与するグローバル
リーダーの育成に、積極的に取り組んできました。引き続き、年齢・性別・国籍などの観点から
多様な人材の獲得・交流に努め、企業文化を活力のあるものにしていくことで、
グローバル
な製薬企業としての企業価値を高めていきます。さらに日本においては、ダイバーシティ推
進ビジョン「 2015 年には、多様な一人ひとりが最大限力を発揮し、タケダとともに成長を続
けていることを実感している」の実現に取り組んでいきます。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
63
環境
「企業価値創造」に向けて
企業統合に伴うグローバルな環境影響評価
タケダでは、ナイコメッド社の統合によって、新興国を含む約 70ヵ国へと進出
国が大きく広がったことを受け、環境影響評価についても、地域を拡大して行っ
ています。さらに、
「武田薬品グループ環境自主行動計画」で掲げている地球温
暖化対策、廃棄物削減、水資源問題、化学物質管理などに関する中長期的な目
標を旧ナイコメッド社と共有し、タケダグループ全体として積極的に取り組んで
いきます。
19%
タケダグループの CO2排出量における旧ナイコメッド社が占める比率
(2011年度実績※)※統合前も含む1年間の数値で計算
[環境マネジメント]
1970
年
環境保全
対策委員会を設置
武田
Pharma Ltda.(旧ナイコメッド社 ブラジル工場)
[環境リスクの低減]
グループ全体の管理体制を再構築
地震対策の見直しと強化を推進
1970 年に「環境保全対策委員会」を設置して以
タケダでは、国内外グループの生産事業所・研究所
来、タケダでは、長期的な視点を持って環境保全活動
が環境防災に配慮して業務を行うための統一した基
を継続してきました。1992 年には、それまでの「公害
準として「武田薬品グループ環境防災業務基準」を制
に対する基本 10 原則」に代えて「環境に関する基本
定しています。東日本大震災を教訓として、津波対策
原則」を制定し、
グループ全体で地球環境問題に向け
を含めた防災対策全般の見直しを進めており、2012
たグローバルな活動を推進しています。
年 7月には、大阪工場に自家発電設備や防災機能を備
2010 年には、中長期的な視点から環境に関する
えた「エネルギー防災センター」を開設しました。
課題や目標を具体化するために、国内外グループを対
象とした「武田薬品グループ環境自主行動計画」を制
リスクマネジメントと情報開示の強化
定しました。地球温暖化対策、廃棄物削減などの具体
さまざまな化学物質を取り扱う医薬品メーカーと
的な目標値を設定しており、年度ごとに進捗状況を把
して、研究開発や生産においてリスク評価に基づいた
握し、活動を推進していきます。
管理を行う必要があると考えています。2011年 11月
また、環境( E )、健康( H )、安全( S )は、相互に切り離
に、湘南研究所において遺伝子組み換え生物などを
すことのできない重要課題と認識し、EHSを包括的に
含む廃液の漏水事故が発生し、地域住民の皆さまに
取り組むため、2011 年に、製薬本部が所管する製造
多大なご心配をお掛けいたしました。今後このような
拠点を対象とした「製薬本部グローバル EHS 方針」を
事故が発生しないよう、安全面を継続的に点検・検証
制定しました。2012 年 6 月には、
これを発展させ、国
し、情報開示に努めてまいります。
内外グループを対象とした「グローバル EHS 方針」を
関連情報
P.76 危機管理
制定しました。
湘南研究所における漏水事故の詳細を、
ホームページでご説明しています。
http://www.takeda.co.jp/shonan/qa/qa_08.html
64
Takeda Annual Report 2012
[気候変動への取り組み]
タケダグループCO2排出量の推移
(千トン-CO2)
600
26%
削減
2011年度
タケダグループの
CO2排出量
(2005年度比)
17%
増加
主な増加理由:
光工場生産量の増加
国内外グループの生産事業所・研究所について、以下の
306
331
286
291
0
’
05
’
07
’
08
’
09
’
10
’
11
’
15
(目標)
年度
タケダグループ合計(旧ナイコメッド社を除く)
タケダ単体としては、以下の目標値を設定しています。
• エネ ル ギ ー 起 源 の C O 2 排 出 量を、2 0 1 5 年 度に
1990年度比で30%削減する。
• エネ ル ギ ー 起 源 の C O 2 排 出 量を、2 0 2 0 年 度に
1990年度比で40%削減する。
気候変動への取り組みの実績についてはアニュア
タケダグループ合計(旧ナイコメッド社を含む)
集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所(武田薬品は本社、営業所等を含む)
算定方法
■算定対象
CO 2排出量は、化石燃料の燃焼による直接排出および電気使用に伴う間接排出を
対象としています。
■CO2 排出係数
国内の実績については、
「エネルギー使用の合理化に関する法律」に基づいており、
購入電力の CO 2 排出係数は、各年度、各電気事業者ごとの実績値( 2011 年度は前
年度実績)を使用しています。海外の購入電力の CO 2 排出係数は、GHGプロトコル
の各国ごとの係数を使用しています。なお、係数変更に伴い、過去のデータを再計算
しています。
公表しています。
[生物多様性への取り組み]
動への戦略や温室効果ガスの排出量の公表を求めるプロジェクト
タケダグループ国内の
廃棄物最終処分量
(2010年度比)
主な増加理由:
全社方針に基づき各部門で活動を推進
[水資源問題への取り組み]
タケダでは 、遺 伝 資 源 へ の アクセスと利 益 配 分
※
( ABS )
を含む生物多様性条約の目的を踏まえて、生
湘南研究所への
移転作業に伴う増加
101
407
300
• エネ ル ギ ー 起 源 の C O 2 排 出 量を、2 0 1 5 年 度に
※ CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)
:世界中の企業に対して気候変
2011年度
453
440
目標値を設定しています。
ルレポートのほか、CDP ※等を通じて、積極的に社会に
増加
552
484
タケダは「武田薬品グループ環境自主行動計画」で、
2005年度比で18%削減する。
2011年度
タケダグループ国内の
PRTR届出物質
大気排出量
(2010年度比)
7%
タケダグループの中期目標を策定
種
京都薬用植物園で
保有している
絶滅危惧種
(2011年度)
水使用量の削減を推進
物多様性に関する全社方針を定め、部門ごとに取り組
タケダでは、国内外グループの生産事業所・研究所
みを進めています。
において水資源の再利用施設を導入するなど、水使用
「京都薬用植物園」では、1933 年の開設以来、世
量の削減に取り組んでいます。ナイコメッド社の統合に
界各地から薬用・有用植物を収集・活用し、現在、絶滅
伴い、約 70ヵ国に広がった進出地域において、エリア
危惧種 101 種(薬用植物 68 種)を含む2,690 種を超
ごとに水使用に関する実態把握に努めており、新興国
える植物を栽培しています。薬用植物の絶滅危惧種に
などのリスクの高い地域については、今後、
さまざまな
ついては100種を目指して収集を続けています。
対策を進めていきます。
※微生物や動植物から得た遺伝資源をもとに、医薬品などを開発して利益が出た場
合、その利益を遺伝資源を提供した国にも公平に分配する仕組み。
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
タケダでは、環境保全に関する中長期的な目標を設定した「武田薬品グループ環境自主
行動計画」に基づき、CO 2排出量をはじめ、廃棄物削減( 2015 年度の廃棄物最終処分量を
2010 年度レベル以下に抑える)、化学物質管理(環境への排出量削減)、大気・水質保全
(排出基準、総量規制遵守、NOx 、SOx 、COD 排出量削減)などの各課題に、積極的に取り
組んでいきます。また、
「グローバル EHS 方針」に基づきガイドラインを策定するなど、引き
続き、環境ガバナンス強化を推進していきます。水問題についても、量と質の両面から取り
組んでいきます。東日本大震災を教訓に、防災体制の見直しを迅速に進めていきます。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
65
公正な事業慣行
「企業価値創造」に向けて
タケダ贈収賄禁止グローバルポリシーの策定
タケダでは、全従業員がさらに高い倫理観を持って日々の業務に取り組む
ために、2011 年に「タケダ贈収賄禁止グローバルポリシー」を策定しました。
当ポリシーについては、各国において、現地の贈収賄禁止法を踏まえた従業員
の理解促進を図っており、ビジネス活動を進めるなかで、贈収賄行為に対して
どのような小さな行為も容認しないことを徹底しています。日本では、国公立
の医療施設を担当する従業員や取引先との業務を担当する従業員など関係
従業員を対象に当ポリシーに関するe-ラーニングを実施しました。
6,718
2011年度
日本における贈収賄防止e-ラーニング受講者数
人
[公正な事業活動に向けて]
[業界における取り組み]
グループ全体で公正な事業活動を進めます
業界全体の公正な事業慣行を促進
タケダグループ全体のコンプライアンスの基本ル
タケダは、日本製薬工業協会・品質委員会などを通
ールである「タケダ・グローバル行動規準」では、
「誠
じて、公正な事業慣行に関する業界全体の取り組み
実・公正な事業活動」という項目を設けています。
を促進するよう努めています。また、CSRに関する国
その項目において、
「患者さんの安全はタケダに
際的な企業会員組織「 BSR 」※に加入しており、BSR の
とって最も優先される事項」であることをはじめに明
会 員 となって い る 世 界 的 製 薬 企 業 で 構 成 さ れる
記し、研究開発、製造、保管、流通および市販後の諸
Healthcare Working Groupに参加し、グローバル
活動を通じて、製品の安全性および品質の確保に関
な連携を図っています。
する法令を遵守するよう定めています。さらに、事業
さらにタケダでは、2011 年 1月より、国連グローバ
活動を行う全ての国における、プロモーションコード
ル・コンパクトの「LEADプログラム」のメンバーとして、
の遵守、汚職・贈賄の禁止、公正かつ自由な競争など
「人権」
「労働」
「環境」
「腐敗防止」からなる10 原則の
に関する指針を具体的に示しています。
実践と普及をリードする活動を推進しています。
また、環境保全、知的財産の尊重などについての
※BSR(Business for Social Responsibility)
:1992年に米国で発足したCSRに
関する国際的な企業会員組織
項目も記載しています。タケダグループの全ての役
員および従業員は、タケダ・グローバル行動規準を理
解し、日々の業務において遵守・実践することが求め
られます。
関連情報
66
Takeda Annual Report 2012
P.31 知的財産
P.33 品質保証体制
P.75 コンプライアンス
関連情報
P.50 国連グローバル・コンパクト
[グローバル CSR 購買/ CSR 購買ガイドライン]
CSRに配慮した「グローバル購買方針」を制定
みのほか、法令順守や適切な労働管理体制、環境保
新たな進出地域への拠点拡大に対応したグローバ
全活動の取り組みなど、CSR に関する状況について
ル供給ネットワークを構築するために、2010 年度に
も確認しています。集計された結果については、それ
「グローバル購買方針」を制定しました。
「グローバル
ぞれのサプライヤーに対して、フィードバックを行っ
購買方針」では、品質、価格、納期、社会性、環境を重
視した購買活動を行うことを基本方針としています。
ています。
サプライヤー・アンケート 質問項目
さらに、タケダでは、自らの事業活動だけでなく、サ
プライヤーの方々(購入先、製造元、製造委託先など)
に対しても、社会や環境に関する課題の解決に取り組
んでいただくよう、
「 CSR 購買ガイドライン」を共有し、
CSRの実践を働きかけています。
「いのち」に関わる
企業としての
社会的責任
「 CSR 購買ガイドライン」に基づき、サプライヤー
社
2011年度
サプライヤー・アンケート
実施企業数
• 法令遵守
• 事業倫理と公正な競争
• 懸念事項の明確化
• 実験動物保護
• 情報セキュリティ
• 適切な輸出管理
労働
•自由な選択による雇用
• 児童労働の禁止
• 差別撤廃
• 法令に基づいた雇用条件の確保
安全衛生
• 従業員保護
•プロセス安全
• 緊急時への備えと対応
• 危険情報
環境
• 環境に関する許認可
• 廃棄物と排出ガス
• 危険有害物質の流出と放出
• 環境負荷軽減に向けての取り組み
マネジメント
•CSR 活動の推進
• 法と顧客の要求事項
• 研修と能力開発
• 継続的改善
の方々に対しては、
「 CSR に関するアンケート」を依
頼しています。品質保証体制や安定供給への取り組
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
の資材の製造・供給
• 安定供給に対する取り組み
• 偽造医薬品対策
法令遵守・倫理
「サプライヤー・アンケート」の実施
209
• 有効性・安全性に優れた医薬品のため
タケダでは、創業以来培われてきた「誠実なくすりづくり」、すなわち公正な事業活動を改
めて徹底するために、
「タケダ・グローバル行動規準」や「タケダ贈収賄禁止グローバルポリ
シー」などのポリシー体系の整備を進めています。従業員に対して、各種の研修などを通じ
て、
これらのポリシーの理解促進と浸透を図っています。
また、サプライヤー・アンケートについては、統合したナイコメッド社のサプライヤーに対し
ても実施していく方針です。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
67
消費者課題
「企業価値創造」に向けて
サプライヤー・データベースの整備
患者さんおよび消費者の皆さんに高品質な医薬品をお届けするためには、
サプライチェーン全体での品質管理を徹底することが重要となります。タケダ
では、国内外のサプライヤーについての品質面に関する各種データと最新評価
結果を旧ナイコメッド社を含めて集中管理するデータベースの整備を進めて
います。今後、問題が発生した場合には、本データベースを活用することにより
迅速な対応を取ることが可能となります。
700
社
サプライヤー・データベース
登録企業数(2012年6月現在)
[偽造医薬品対策]
「偽造医薬品対策3ヵ年計画」を策定
近年、世界的に偽造医薬品による健康被害の発生
が大きな問題となっています。2010 年の WHO の報
告によると全世界で流通する医薬品の約 1 割を偽造
「偽造医薬品対策3ヵ年計画」の概要
偽造医薬品・不正流通に関する啓発活動
サプライチェーンセキュリティ対策の確立・実施
医薬品が占めているとも言われており、日本の医薬品
市場の売上高に相当する規模と推定されています。
偽造医薬品を製造・販売する犯罪組織の調査・摘発
偽造医薬品に関する脅威がますます高まるなか、
タケダは、
グローバル事業を大きく進展させていくに
通して偽造医薬品の取締りや摘発に協力しています。
あたり、患者さんの安全確保のためにさらなる対策強
加えて偽造、改ざん防止技術の導入および偽造医薬
化が必要であると考え、2012 年から始まる「偽造医
品を見分ける分析手法の開発を進めることによって、
薬品対策 3ヵ年計画」を策定しました。
製品の品質を保証する対策も実施しています。
例えば、患者さんの安全を最優先に考え、お取引先
を選定する際に品質保証の観点を重視した入念な調
68
Takeda Annual Report 2012
「タケダ・セキュリティラベル」の導入
査を実施しています。また、原材料取引先、製造・包装
タケダは、偽造医薬品対策について、全ての製品・
工程の委託先、物流拠点などに対しては、定期的な監
国で画一化するのではなく、製品および販売国固有
査を行い、製品の品質確保に努めています。
のリスク特性およびそのレベルを考慮する必要があ
さらに、ICPO(国際刑事警察機構)等の国際的な
ると考えます。今後は、ナイコメッド社の統合によって
組織と連携し、世界レベルでの偽造医薬品情報の収
約 70ヵ国へと拡大した進出地域についてのリスク分
集と調査を実施しており、各国行政・司法当局および
析を踏まえて、エリアごとの効果的な対策を構築、実
警察に対しては、調査結果の報告や押収品の分析を
施していきます。
[情報提供]
10 万 2 千件
「くすり相談室」、
「ヘルスケア・カンパニー
お客様相談室」に
寄せられたお問合せ件数
(2011年度)
具体的な施策としては、偽造不能で追跡可能な封緘
質の高い医薬情報活動を推進
シール「タケダ・セキュリティラベル」など、高度な偽造
タケダの医薬情報活動は、
「タケダの必要とされる
防止技術の導入を計画しています。その他、インター
薬剤とその適切な情報活動を通じて、患者さんの幸せ
ネットサイトの監視、市場調査、税関への登録、真贋
の実現に貢献し、医療関係者の方々と喜びを共有する」
判 定 法 の 確 立など、
を基本理念としています。MR(医薬情報担当者)は、
リスクレベ ルに応じ
医療関係者の皆さんと直接対話するFace to Face活
て 、さまざまな 対 策
動を基本とし、疾患啓発サイトなどのホームページも
を行っていきます。
活用して医療関係者や一般生活者の皆さんへの情報
偽造不能な封緘シール
「タケダ・セキュリティラベル」
発信の機会を増やし、幅広いニーズに対応しています。
加えて、日本においては、患者さんのアドヒアランス※
[バリューチェーン管理の強化]
医薬品の物流における品質管理を徹底
偽造医薬品・不正流通リスクが高まるなか、各国の
向上をサポートする取り組みも推進しています。
また、医療用医薬品については「くすり相談室」、一
般用医薬品・医薬部外品については「ヘルスケア・カン
パニーお客様相談室」を設置し、電話、電子メールなど
規制当局も、バリューチェーン全体での品質管理に対
によるお問合せにも対応しています。2011 年度のお
する要求を強めています。
問合せ件数は、約 102,000件でした。
(日本)
タケダでは、GMP(医薬品の製造管理及び品質管
理に関する基準)などの法令を遵守するだけでなく、
流通過程におけるさまざまな業務を通じて製品の品
※服薬や生活習慣の改善について、患者さんが積極的、主体的に治療に参加し継続
すること
関連情報
P.34 マーケティング
質を保証するGDP(医薬品の物流に関する基準)
とい
う新しい考え方を取り入れた体制づくりを進めていま
す。2011 年度には、グループ全体におけるバリュー
チェーン管理をさらに強化するために、
「武田グロー
バルGDP 標準」を制定しました。
関連情報
P.32 生産供給体制
P.33 品質保証体制
P.51 バリューチェーン・マネジメント
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
タケダでは、患者さんや消費者の皆さんの安全性を高めていくためには、バリューチェー
ン全体に対して、きめ細やかな活動を進めていく必要があると考えています。急増する偽造
医薬品および不正流通に対しては、2011年に策定した「偽造医薬品対策3ヵ年計画」に基づ
き、社内外に向けた偽造医薬品・不正流通に関する教育を行うとともに、特にサプライチェー
ンにおける対策を確立・遂行することに注力していきます。加えて、品質保証部門・製造部門・
海外販売子会社間の連携を強化し、
グローバルな体制整備を推進していきます。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
69
コミュニティ参画および発展
「企業価値創造」に向けて
保健医療アクセスへの取り組み
国連ミレニアム開発目標( MDGs)の主要な課題である「 HIV /エイズ、マラ
リア、その他の疾病の蔓延防止」や「乳幼児死亡率の削減」に向けて、タケダは、
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」
( 世界基金)や公益財団法人プラン・ジャ
パンとパートナーシップを組み、途上国の人々の保健医療アクセスを高める活
動を支援しています。また、プログラムのアウトカムやインパクトを高めるため
に、パートナー団体と支援現場を直接訪問し、ステークホルダーとのダイアログ
も積極的に行っています。
10.5
億円
寄付金を通じた保健医療アクセスに対する
支援コミット額(2009年∼2019年)
医師の診察を受けるHIV陽性の母親。
治療により母子感染を防ぎ、自らの健康も保っています。
©The Global Fund / John Rae
[コミュニティ参画および発展に対する考え方][企業市民活動の方針]
ホリスティック・アプローチ
基本ポリシーとバリューチェーン思考
タケダは、病気でお困りの患者さんに対して、優れ
タケダでは、CSR活動のなかでも、特に、社会的課題
た医薬品をお届けし、一人ひとりの QOL( 生活の質)
の解決のために実施するさまざまな支援活動を「企業
を高めることで、
コミュニティの発展に尽くしたいと考
市民活動」
と位置付けています。2011年には、
グルー
えています。しかし、このような「治療」段階に入る前
プ全体で共有すべき基本原則である「企業市民活動に
の、
「 予防」段階でできることもあります。例えば、ワク
関する基本ポリシー」を制定しました。活動領域を「保
チンのような予防薬の研究開発や健康な方々への
健医療」分野にフォーカスすることで、
「くすりづくり」
疾病予防教育、特に、新興国をはじめとする途上国に
の知見が活かした活動を実践しています。
おいては栄養や衛生の重要性に対する啓発活動など
実践のアプローチには、多様なものが含まれます
が重要です。また、
「 治療後」にも目を向け、長期療養
が、いずれのアプローチについても、企業市民活動を
を余儀なくされている患者さん、特に、支援体制が脆
プロセスごとに異なる付加価値を生み出す「バリュー
弱な子どもたちの QOLを高めることにも目を向ける
チェーン」のフレームワークで捉え直したうえで、企業
必要があると考えています。このほかにも、企業財団
側の視点ではなく、ステークホルダー側の視点を持つ
による研究助成等を通じた医療関係者のキャパシティ・
ことが重要であると認識しています。
ビルディング、医療系学生に対する多様な支援を含む
人材面での医療基盤の強化など、グローバルな製薬
企業が本業として、また、企業市民としてできることを
企業側の視点
• どの程度の経営資源を投入したか(=インプット)
• どの程度の対象者をカバーしたか(=アウトプット)
ホリスティック(包括的)に捉え、実践していきたいと
ステークホルダー側の視点
考えています。
関連情報
P.25 ワクチンビジネス部の設立
P.34 マーケティング
• 対象者にポジティブな効果を生み出せたか(=アウトカム)
• 社会全体にポジティブな波及効果を及ぼすことが
できたか(=インパクト)
関連情報
70
Takeda Annual Report 2012
P.51 バリューチェーン・マネジメント
スペイン
ロシア
中国
薬学研究者への支援
学校用品の寄贈
米国
日本
入院中の子ども支援
地域の NPO 支援のための
ファンドレイジング
南アフリカ
長期療養の子どもたちと
家族の支援
ブラジル
オーストラリア
ブランケット作りを通じた
子どもたち支援
孤児院の修復活動
洪水被害支援ボランティア活動
[企業財団]
[グローバルなコミュニティ参画]
26.7
億円
武田科学振興財団、
尚志社、発酵研究所が
提供している
研究助成金/奨学金
(2011年度)
エリア特性に応じた活動を展開
社会の未来に向けた幅広い活動を展開
世界中で事業活動を展開しているタケダグループ
科学技術の研究を助成振興することを目的として、
各社は、それぞれのコミュニティが抱える課題に取り
タケダからの寄附金をもとに1963 年に設立された
組み、NGO / NPOとの連携を図りながら、企業市民
「武田科学振興財団」をはじめ、育英事業を目的とする
活動を展開しています。
「尚志社」
、微生物の研究に対する助成事業を行う
「発酵
研究所」などの企業財団を通じて、生命科学に関する研
究や、人材育成についての基盤整備に貢献しています。
ホームページで、企業財団の活動の詳細をご紹介しています。
武田科学振興財団
http://www.takeda-sci.or.jp/
Future
Outlook
今後の課題と取り組み
尚志社
http://www.shoshisha.or.jp/
発酵研究所
http://www.ifo.or.jp/
2011 年 9 月、国際連合とIFPMAは、世界の製薬企業に対して、途上国における非感染症
(NCDs
:Non
Communicable Disease)分野での対応を期待するアピールを発信しました。
NCDsはタケダの事業領域と大きく重なり、またナイコメッド社の統合により、途上国コミュ
ニティにもアウトリーチすることができるようになりました。今後もビジネスと企業市民活動
の両面を視野に入れたホリスティックな活動を通じて、コミュニティの発展に尽くしたいと
考えています。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/reports/article_1025.html
Takeda Annual Report 2012
71
経営管理体制
Message
from Management
タケダイズムに基づく価値観をグループ全体で共有し、
誠実な企業活動を実践していきます。
常務取締役 内部統制および特命事項担当 吉田
豊次 Toyoji Yoshida
グローバル製薬企業としての「持続的な成長」を確かなものとするために、タケダは大きく変わろうと
しています。しかし、
「 革新への挑戦」は、今に始まるものではありません。230 年を超える歩みは、常に
自らを変革し続け、幾多の困難を乗り越えてきた歴史でした。そして、そのなかで培ってきた企業哲学
が、いかなる場面においても、常に誠実であることを旨とする「タケダイズム」です。
企業の内部統制やコンプライアンスの強化については社会的な課題ともなっていますが、タケダでは、
事業のグローバル化が急速に進展するなかで、世界中の従業員の想いを一つにまとめ、タケダイズムに
基づく誠実な企業活動を実践していくために、コーポレート・ガバナンスに関する各種ポリシーの整備を
進めてきました。また、
「 活力ある企業文化の創造」に向けて、ダイバーシティの推進にも積極的に取り組
んでおり、取締役会やグローバル・リーダーシップ・コミッティーを外国人を含む多様性に富んだメンバー
で構成するなど、多角的視点を経営判断に反映する体制を強化しています。
企業は、時代の変化を見越して常に変わっていかなければなりませんが、一方で守り抜いていくべきも
のがあります。これからも私たちは、タケダイズムをグループ全体で共有し、
「人々の健康と医療の未来
に貢献する」という使命を果たすために、誠実な歩みを続けていきます。 Takeda-ism Day
タケダでは、世界に広がるグループの従業員の間でタケダイズム
の共有を図るため、さまざまな取り組みを行っています。2012年
5月には、シンガポールにおいて、アジアで研究開発を進めるグル
ープ会社などを対象として、
「 Takeda-ism Day 」を開催し、常務
取締役 吉田豊次がスピーチを行いました。
72
Takeda Annual Report 2012
コーポレート・ガバナンス
[基本的な考え方と仕組み]
コーポレート・ガバナンスの考え方
性向上を図るチーフ メディカル&サイエンティフィック
タケダでは、
「優れた医薬品の創出を通じて人々の健
オフィサー( CMSO )と、癌領域を除いた全ての海外
康と医療の未来に貢献する」
という経営理念のもと、
グ
販売機能を統括するチーフ コマーシャル オフィサー
ローバルに事業展開する世界的製薬企業にふさわしい
( CCO )の統括職を設置するとともに、事業範囲の拡
事業運営体制の構築に向け、健全性と透明性が確保さ
大に伴うグローバルなビジネスリスクに対応するため、
れた迅速な意思決定を可能とする体制の整備を進める
社内取締役を中心とするグローバル・リーダーシップ・
とともに、コンプライアンスの徹底を含む内部統制の
コミッティーが、全社最適な観点からグループの重要
強化を図っています。これらの取り組みを通じて、
コー
案件の審議・意思決定を行う体制を構築しています。
ポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指し、企業価値
タケダでは、取締役会を「会社経営の意思決定を行
の最大化に努めてまいります。
うと同時に、業務執行を監視・監督することを基本機
能とする機関」と位置付けています。取締役会は取締
経営体制
役 9 名から構成され、原則月 1 回の開催により、経営
タケダでは、取締役会においてタケダグループの基
に関する重要事項について決議および報告が行われ
本方針を定め、その機関決定に基づいて、経営・執行
ています。
を行う体制をとっています。また、社外監査役による
また、タケダでは、グローバルに事業を展開してい
監査を通じて取締役会の透明性を確保するとともに、
くうえで直面しうるあらゆるリスクについて、各基本組
社外取締役の起用により、業界の常識にとらわれるこ
織の責任者が担当領域ごとに管理するとともに、そのリ
となく適正に業務を執行する体制を目指しています。
スクの程度・内容に応じた回避措置・最小化措置を行
さらに、多様化する経営課題に機動的かつ迅速に対
う体制をとっています。
応するため、イノベーションの推進と研究開発の生産
内部統制システムを含むコーポレート・ガバナンス体制についての模式図
株
報告
取
締
付議・報告
社
選任・解任
役
主
総
会
選任・解任
報告
会
監査
監
査
役
会
選任・解任・
不再任
報告
会 計 監 査 人
選任・解任/監督
指示
長
監 査 室
報告
グローバル・リーダーシップ・コミッティー
(経営戦略・経営上および業務執行上の
重要事項の審議・意思決定)
付議・報告
品質保証監査室
執行指示/監督
各 統 括 職
付議・報告
環境安全管理室
付議・報告
執行指示/監督
内部監査
執行指示/監督
各 部 門 長・グ ル ー プ 会 社 社 長
Takeda Annual Report 2012
73
コーポレート・ガバナンス
社外取締役の取締役会への出席状況
さらには、
「タケダグループ経営管理ポリシー」およ
び「関係会社管理のあり方」に基づき、
グループ各社の
役割・責任を明確にするとともに、定期的な内部監査
やコントロール・セルフ・アセスメント( CSA )プログラ
ム※ 等の実施により、
グループ各社における法令遵守
數土 文夫
取締役会
10 回中 9 回
小島 順彦
取締役会
10 回中 8 回
社外取締役の選任理由
ならびに適正な事業運営を確保しています。
長年にわたり経営者として活躍し、企業経営にかかる幅広い
識見と豊富な経験を有していることから適任であると、総合的
※各社・各部門の責任者が内部統制の状況を自己診断し、改善計画の実行を約束し
たうえで、その適正性について宣誓するプログラムです。タケダでは、経営者によ
る財務報告にかかる評価・確認の根拠としています。
に判断しました。また、社外取締役としての職務を遂行するう
えで、当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由
はなく、
独立性が高いと判断し、独立役員として指定しました。
監査体制
組織形態は監査役設置会社です。タケダでは、監査
社外監査役の取締役会・
監査役会・監査役連絡会への出席状況
役の重要な会議への出席や重要な文書の閲覧権限な
14 回中 14 回
15 回中 15 回
監査役連絡会 10 回中 10 回
取締役会
どを「監査役監査規程」として定めることにより、監査
監査役会
石川 正
役の監査が実効的に行われることを確保するための
体制を整備しています。なお、経営の透明性向上につ
14 回中 14 回
15 回中 15 回
監査役連絡会 10 回中 10 回
取締役会
いては、社外監査役 2 名(監査役 4 名中)による監査が
藤沼 亜起
十分に機能していることから、経営監視機能の客観
監査役会
性・中立性が確保されていると考えています。また、会
社外監査役の選任理由
計監査人はあずさ監査法人が担当しています。
長年にわたり弁護士および公認会計士として活躍し、幅広
い識見と豊富な経験を有していることから適任であると、
総合的に判断しました。また、社外監査役としての職務を遂
行するうえで、当社の一般株主と利益相反を生じるおそれ
がある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として
指定しました。
役員の報酬等の状況
役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
報酬等の種類別の総額(百万円)
報酬等の総額
役員区分
(百万円)
基本報酬
賞与
ストックオプション
取締役
(社外取締役を除く)
589
277
140
172
7
監査役
(社外監査役を除く)
104
104
̶
̶
2
59
59
̶
̶
4
社外役員
(注)上記には、平成 23年 6月24日開催の第135 回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役1 名
および平成 24年 6月26日開催の第136 回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役1 名を含んでいます。
関連情報
P.58 組織統治
「コーポレート・ガバナンス報告書」を、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/corporate-governance/article_65.html
74
Takeda Annual Report 2012
対象となる
役員の員数(名)
[コンプライアンス]
タケダ・グローバル行動規準および
グローバル・コンプライアンス推進体制
を推進しています。また、
「タケダ・
タケダが社会の信頼に応え存在価値を認められる
グローバル行動規準」を元に、武田
ためには、タケダグループの全役員・従業員が、法令を
薬品の役員・従業員が遵守すべき基
遵守することはもちろん、
「タケダイズム」の実践によ
準として「武田薬品コンプライアン
り、高い倫理観・道徳観をもって企業活動を展開してい
ス行動規準」を制定しています。
くことが不可欠です。このような観点から、タケダで
そして、
「武田薬品コンプライアンス行動規準」に関
は、グローバルに、より統一の取れた事業運営を行っ
するe ラーニングを含む各種の研修や職場における
ていくため、
グループ各社に共通するコンプライアン
意見交換会その他の取り組みを通じて、役員・従業員
スの基本ルールとしての「タケダ・グローバル行動規
に対し、コンプライアンスに関する啓発および教育を
準」を制定しています。2011年度には、
グローバルな
実施しています。
贈収賄規制強化に対応して、
「タケダ贈収賄禁止グロ
また、通報者の保護を確保しながらコンプライアン
ーバルポリシー」を策定しました。
ス に 関 す る 通 報 を 受 け 付 け る シ ス テ ム とし て 、
委員会を置いて、
コンプライアンス
また、タケダグループ全体としてコンプライアンス
「 Voice of Takeda System( VTS )」および社外
を推進するため、
グローバル・コンプライアンス・オフィ
VTS通報窓口(外部法律事務所の弁護士が窓口)を設
サーおよびグローバル・コンプライアンス・コミッティを
けています。
設置し、
グローバル・コンプライアンス・オフィス(武田
薬品法務部)が補佐する体制を構築しています。
研究に関するコンプライアンスの推進
タケダでは優れた医薬品開発のため薬事法などの
タケダグループ各社のコンプライアンス推進
法令および社内の諸規定を遵守して研究活動を行っ
タケダグループ各社では、グロ
ています。
ーバル・コンプライアンス推進体制
新薬の研究・開発に必要不可欠な動物実験の実施
のもと、
「タケダ・グローバル行動規
にあたっては、
「動物の愛護及び管理に関する法律」
準」に即したコンプライアンス・プ
等の法令を遵守し、生命を尊重して動物を愛護すると
ログラムの強化を進めています。
の考えに基づいた倫理的かつ科学的な基盤である
グロー バ ルレベ ルで の 対 応 が
3Rs※ の実践に最大限に配慮しています。
必要な場合は、グローバル・コンプライアンス・オフィ
また、バイオハザードやケミカルハザードなどにつ
スがグループ各社のコンプライアンス担当部門と協
いても、人や環境への影響を考慮して万全の対策を
力します。
講じています。
武田薬品におけるコンプライアンス推進
武田薬品では、1999 年 4 月に「武田薬品コンプラ
イアンス・プログラム」をスタートさせ、武田薬品コン
プライアンス・オフィサーおよびコンプライアンス推進
※ Reduction(使用する動物数の削減)、Replacement( 動物を使用しない実験
への置き換え)、Refinement( 動物の苦痛軽減 )
関連情報
P.33
P.60
P.64
P.66
品質保証体制
人権
環境
公正な事業慣行
「タケダ・グローバル行動規準」
「武田薬品コンプライアンス行動規準」を、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/corporate-governance/article_69.html
Takeda Annual Report 2012
75
コーポレート・ガバナンス
[危機管理]
タケダグループの危機管理体制
に対し可能な限りの予防措置を講じています。また本
タケダグループにおけるコーポレート・ガバナンス
ガイドラインに沿って、危機の種類に応じて的確・迅速
の一環として、経営に大きな影響を与えるリスクの
に対応できるような体制・仕組みを構築し、危機が発生
未然防止と発生時の的確な対応は重要であり、グル
してもタケダグループが受ける人的・経済的被害や社
ープ全体で監査など内部統制の充実、コンプライア
会に及ぼす影響を最小限に抑えるようにしています。
ンスの推進とともに危機管理体制の一層の強化に取
り組んでいます。
ガイドラインで想定している危機
危機管理に際しては、株主・顧客・取引先・従業員・地
域・社 会などのステークホルダーに対する責 任とし
て、また、タケダグループの人的な安全確保と経済
的な損失を回避するため、公正で誠実な対応が重要
です。タケダでは、
「タケダグループにおける危機管
理ガイドライン」および「危機管理規則」を定めると
■会社資産、経営および事業活動に重大な損害を
被る事態
■役員および従業員の生命・身体の安全、人権に関
わる事件・事故により安全等が損なわれる事態
■会社の信用、
ブランドへの信頼を著しく損なう事態
■株主、顧客、取引先をはじめ、社会一般に重大な
影響を及ぼす事態
ともに、災害や事故等の発生に伴う事業活動の中断
を防ぐため、あるいは中 断したとしても可 能な限り
短 期 間 で 再 開 す るた め に 、事 業 継 続 計 画( B C P:
グループ会社との連携
Business Continuity Plan )を策定しています。
タケダの各部門およびグループ各社は、それぞれの
これらの取り組みにより、今後も使命である「安定
自己責任において、危機管理体制の構築、予防措置と
した医薬品供給」を継続的に果たしていきます。
発生時の対策を実施します。タケダとして全社的対応
を要する事態、
グループ共通で対処すべき事態につい
危機管理ガイドライン
ては相互に連携を保ち、経営管理部・人事部を事務局と
タケダグループの危機管理に関する基本的な考え
する武田薬品の「危機管理委員会」で統一的に情報・状
方、原則・基準をまとめた「タケダグループにおける危
況を把握し、
トップマネジメントへの報告、各部門・グル
機管理ガイドライン」に従い、発生が予測される危機
ープ各社に対する対策の指示とフォローを行います。
[ステークホルダーに対する情報開示等の実施状況]
株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けての取り組み状況
株主総会招集通知の
早期発送
株主総会の会日より3 週間前に発送しています。
集中日を回避した
株主総会の設定
2008 年 6 月開催の定時株主総会より、集中日以外の日に開催しています。
2007年6月開催の定時株主総会より、
(株)東京証券取引所等により設立された合弁会社(株)ICJが運営
電磁的方法による
議決権の行使
する議決権電子行使プラットフォームの利用を含め、電磁的方法による議決権の行使を採用しています。
その他
ンテーションを行うなど、株主にとって分かりやすい開かれた運営を目指しています。また、招集通知お
株主総会の運営に関し、映像を利用したビジュアル方式により、事業報告や社長からの経営方針プレゼ
よびその英訳版を、発送日に、当社ホームページ、株主名簿管理人である三菱 UFJ 信託銀行(株)ホーム
ページその他 WEB サイトからもご覧いただけるようにし、議決権行使の促進を図っています。
76
Takeda Annual Report 2012
IRに関する活動状況
代表者自身による
説明の有無
補足説明
ディスクロージャー
ポリシーの作成・公表
開示ガイドライン」を策定しています。
個人投資家向けに
定期的説明会を開催
け会社説明会を実施しました。
アナリスト・
機関投資家向けに
定期的説明会を開催
情報開示に当たっての基本的な考え方・担当部門・連絡ルート・手順等を明確にした「情報
2011 年度は、日本国内計約 15 の主要都市において、IR 担当部署による個人投資家向
なし
年度決算時と第 2 四半期決算時の年 2 回、決算発表の当日に決算説明会を実施していま
す。決算説明会では業績報告のほか、参加者からのご質問に対して、当社マネジメントが
直接ご回答しています。第1四半期、第3四半期においては、
カンファレンスコールを実施
あり
し、業績報告のほか、参加者からのご質問に当社マネジメントが直接ご回答しています。
海外投資家向けに
定期的説明会を開催
年度決算時、第 1 四半期決算時、第 2 四半期決算時、第 3 四半期決算時においては、海外
投資家向けに英語によるカンファレンスコールを実施し、参加者からの質問については、
あり
当社マネジメントが直接ご回答しています。
URL:http://www.takeda.co.jp/
IR資料の
掲載資料:決算短信、
データブック、決算説明会などにおける説明会資料、
アニュアルレポー
ホームページ掲載
ト、従来のビジネスレポートを統合した株主総会招集通知、証券会社カンファレンスで発表
したプレゼンテーション、決議通知等
IRに関する部署(担当者)
の設置
IR 担当部署:コーポレート・コミュニケーション部
ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況
当社の「経営理念」である「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」は、医薬品
社内規程等により
ステークホルダーの
立場の尊重に
ついて規定
を通じた患者さん・医療関係者の皆さまへの貢献を旨としており、
「 行動原則」においては、
「コミットメント
(ステークホルダーの期待に応えるため、自らの責任を全うします)」、および「透明性(ステークホルダーと
の間に信頼関係を築くため、適切な情報共有と対話を大切にします)」の 2 つに言及し、
これまで以上にス
テークホルダーとの関わり合いに重きを置いた内容としました。また、武田薬品コンプライアンス行動規
準において、ステークホルダーの立場を尊重するための行動指針を定めています。
環境保全活動:
「環境に関する基本原則」に基づき、中長期的な視点を持って、環境保全活動に取り組んでい
ます。具体的な目標値を設定して「地球温暖化対策」や「廃棄物削減」などの課題に取り組むとともに、事業者
環境保全活動、
CSR 活動等の実施
による化学物質の自主管理活動「レスポンシブル・ケア活動」を実践し、国内グループ会社や海外の生産拠点
でも採用しています。
CSR 活動:コーポレート・コミュニケーション部内にCSR専任組織を設置し、
「国連グローバル・コンパクト」や
「ISO26000」などの社会的責任に関する国際的な理念・規範に則り、企業市民としての視点を大切にした
CSR活動を推進しています。
ステークホルダーに
対する情報提供に
係る方針等の策定
情報開示に当たっての基本的な考え方・担当部門・連絡ルート・手順等を明確にした「情報開示ガイドライ
ン」を策定しています。
Takeda Annual Report 2012
77
取締役、監査役およびコーポレート・オフィサー
取締役
代表取締役 社長
常務取締役/内部統制および特命事項担当
長谷川 閑史
吉田 豊次
1970年 当社入社
1998年 医薬国際本部長
1998年 コーポレート・オフィサー
1999年 取締役
2001年 経営企画部長
2002年 事業戦略部長
2003年 代表取締役 社長(現)
2011年 公益社団法人経済同友会 代表幹事(現)
1971年 当社入社
1998年 広報室長
2000年 コーポレート・オフィサー
2002年 コーポレート・コミュニケーション部長
2003年 取締役
2007年 常勤監査役
2009年 常務取締役(現)
2009年 経営管理統括職
2011年 武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル Inc. 社長(非常勤)
(現)
2012年 内部統制および特命事項担当(現)
常務取締役/グローバル化推進担当
取締役/チーフ コマーシャル オフィサー
山中 康彦
フランク・モリッヒ
1979年 当社入社
2003年 事業戦略部長
2004年 コーポレート・オフィサー
2007年 医薬営業本部長
2007年 取締役
2011年 常務取締役(現)
2012年 グローバル化推進担当(現)
1998年
2000年
2002年
2004年
2004年
2005年
2008年
2009年
2010年
2010年
バイエル社一般用医薬品本部長
同社経営委員
バイエルヘルスケア社経営委員長
AMファーマ社最高経営責任者
フォービオン社科学諮問委員長
イノジェネティックス社取締役兼最高経営責任者
ノクソン・ファーマ社最高経営責任者
タケダ・グローバル・アドバイザリー・ボード メンバー
当社米欧販売統括職
武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル Inc.副社長
(現)
2011年 当社取締役(現)
2011年 武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル GmbH社長
(現)
2011年 当社チーフ コマーシャル オフィサー(現)
取締役/チーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサー
取締役/医薬営業本部長
山田 忠孝
岩﨑 真人
2000年 グラクソ・スミスクライン社研究開発部門長
2004年 同社取締役
2006年 ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団
1985年 当社入社
2002年 医薬営業本部マーケティング部
2008年 製品戦略部長
2010年 コーポレート・オフィサー
2012年 武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル Inc. CMSOオフィス長
2012年 医薬営業本部長(現)
2012年 取締役(現)
2007年
2009年
2011年
2011年
2011年
2011年
2011年
2011年
糖尿病グループマネジャー
グローバル・ヘルス・プログラム プレジデント
コヴィディエン社取締役
タケダ・グローバル・アドバイザリー・ボード メンバー
アジレント・テクノロジー社取締役
(現)
当社業務執行会議
(現グローバル・リーダーシップ・
コミッティー)
第三部会議長
(現)
当社取締役
(現)
当社メディカル&サイエンティフィック アドバイザー
武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル Inc.副社長
(現)
当社チーフ メディカル&
サイエンティフィック オフィサー
(現)
取締役/ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.社長
コーポレート・オフィサー
デボラ・ダンサイア
1988年 サンド社(南アフリカ)メディカル・ディレクター
1989年 同社サイエンティフィック・
1991年
1994年
1996年
2000年
2005年
2011年
2012年
78
Takeda Annual Report 2012
デベロップメント担当ディレクター
サンド社(スイス)国際製品担当ディレクター
サンド社(米国)新製品・
ポートフォリオ管理担当ディレクター
ノバルティス・ファーマシューティカルズ社
癌領域事業担当バイス・プレジデント
同社北米事業担当責任者
ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc.社長(現)
当社コーポレート・オフィサー
当社取締役(現)
コーポレート・コミュニケーション部長
製薬本部長
大槻 浩
隠居 孝志
医薬営業本部マーケティング部長
北アジアコマーシャル責任者
鈴木 直之
平手 晴彦
医薬開発本部長
武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル Inc. GLBD ヘッド
ナンシー・ジョセフ=リッジ
アンナ・プロトパパス
取締役
監査役
社外取締役
社外取締役
數土 文夫
小島 順彦
1964年
1994年
1997年
2000年
2001年
2002年
2003年
2005年
2010年
2010年
2010年
2010年
2011年
2011年
2011年
1965年
1995年
1997年
2001年
2001年
2004年
2005年
2010年
2010年
2010年
2011年
2011年
川崎製鉄株式会社
(現JFEスチール株式会社)
入社
同社取締役
同社常務取締役
同社代表取締役副社長
同社代表取締役社長
ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社取締役
JFEスチール株式会社代表取締役社長
ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社代表取締役社長
同社取締役
同社相談役
(現)
株式会社住生活グループ社外取締役
(現)
株式会社ニューオータニ社外取締役
(現)
日本放送協会 経営委員会委員長
大成建設株式会社社外取締役
(現)
当社社外取締役
(現)
三菱商事株式会社入社
同社取締役
同社常務取締役
同社取締役副社長
同社取締役副社長執行役員
同社代表取締役社長
日清食品ホールディングス株式会社社外取締役
ソニー株式会社社外取締役(現)
三菱商事株式会社取締役会長(現)
三菱重工業株式会社社外取締役(現)
一般社団法人日本経済団体連合会副会長(現)
当社社外取締役(現)
(注)取締役 數土文夫および小島順彦は、会社法第 2条第15 号に定める社外取締役です。
常勤監査役
常勤監査役
武田 直久
櫻田 照男
1972年
2000年
2003年
2005年
2007年
2008年
1970年
2000年
2005年
2006年
2009年
当社入社
医薬国際本部欧州部長
欧州アジア部長
コーポレート・オフィサー
海外事業推進部長
常勤監査役(現)
監査役
当社入社
医薬営業本部東北支店長
医薬営業本部大阪支店長
コーポレート・オフィサー
常勤監査役(現)
監査役
石川 正
藤沼 亜起
1967年
1973年
2002年
2005年
2006年
2008年
1970年
1974年
1986年
1991年
1993年
2004年
2007年
2007年
2007年
2008年
2008年
2008年
2008年
2008年
2010年
2010年
東京大学法学部助手(行政法専攻)
弁護士登録(大阪弁護士会)
( 現)
弁護士法人大江橋法律事務所代表社員
当社社外監査役(現)
西日本旅客鉄道株式会社社外取締役(現)
弁護士法人大江橋法律事務所社員(現)
アーサーヤング公認会計士共同事務所入所
公認会計士登録
(現)
監査法人朝日新和会計社社員
同監査法人代表社員
太田昭和監査法人
(現・新日本監査法人)
代表社員
日本公認会計士協会会長
新日本監査法人退職
株式会社東京証券取引所グループ社外取締役
(現)
東京証券取引所自主規制法人外部理事
(現)
中央大学大学院戦略経営研究科 特任教授
(現)
当社社外監査役
(現)
住友商事株式会社社外監査役
(現)
野村ホールディングス株式会社社外取締役
(現)
住友生命保険相互会社社外取締役
(現)
株式会社セブン&アイホールディングス社外監査役
(現)
IFRS財団 財団評議会 副議長(現)
(注)監査役 石川 正および藤沼 亜起は、会社法第2条第16 号に定める社外監査役です。
経営企画部長
本田 信司
武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ Limited 社長/
武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル GmbH
欧州・カナダ コマーシャル オペレーション責任者
武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル GmbH
エマージングマーケット
コマーシャル オペレーション責任者
トレバー・スミス
ヨースタイン・ダビットセン
医薬営業本部 副本部長
武田ファーマシューティカルズ USA Inc. 社長
廣内 忠雄
ダグラス・コール
タケダ・グローバル・
アドバイザリー・ボード
( TGAB )※
■社外アドバイザー
Ms. Karen Katen
Mr. Sidney Taurel
Mr. Bruno Angelici
元Pfizer副会長、現Essex Woodlands
Health Ventures社 シニア・アドバイザー
元Eli Lilly CEO兼会長、現同社名誉会長
元Astra Zeneca, International上級副社長
※TGABは、
グローバル製薬企業のエグゼクティブとしての経験を有する3人の社外アドバイザーから構成されており、さまざまな経営上の課題について、経営幹部と活発な意見交換を行っています。
2012年7月末現在
Takeda Annual Report 2012
79
タケダの歴史
タケダは230 年以上にわたり変革を続けながら、誠実に事業を推進してきました。
これからも、グローバル製薬企業としての責任を果たしていきます。
1781
1914
創業
1962
武田研究部設立
研究活動を開始
1781 年、初代近江屋長兵衞が
を大きく拡大していきました。
大阪・道修町で和漢薬仲買の商い
を始めた時からタケダの歴史は
1989
スタートします。明治維新を迎え、
いち早く
「洋薬」
( 西洋医薬品)の
前立腺癌・乳癌・子宮内膜症治療剤
「リュープロレリン酢酸塩」
上市(米国・欧州)
輸入を始めています。
1895
実験室における研究の様子(1939年)
製薬事業を開始
大阪に自社工場を設立して、製薬
メーカー へ 生まれ変わるという
「変革」を遂げています。
1991
1950
消化性潰瘍治療剤
日本初の総合ビタミン剤
「パンビタン」上市
創業者:初代近江屋長兵衞
「ランソプラゾール」
上市(欧州)
1997
1954
ビタミンB1 誘導体
「アリナミン」上市
高血圧症治療剤
「カンデサルタン
シレキセチル」上市(欧州)
1900
1700
1933
1992
1960
※
「京都薬用植物園」開設
京都試験農園( 1954 年)
海外市場に進出
アジア、欧州、米国へと進出地域
「尚志社」設立
「環境に関する
基本原則」制定
世界各地から薬用・有用植物を収
1923 年に五代武田長兵衞が私
集・活用し、現在、96 種の絶滅危
費を投じて苦学生の支援を始め
地球環境問題に向けて、グロー
惧種を含む 2,400 種を超える植
たことにルーツがあり、1960 年
バルな取り組みを進めるために
物を栽培しています。
に育 英 事 業を目 的とする「 尚 志
制定されました。タケダグループ
※開設時の名称は「京都武田薬草園」。1945
社」に発展しました。
年に「京都試験農園」と改名し、1994 年か
1944
「発酵研究所」設立
全体の基本ポリシーとなってい
ます。
ら現在の名称となりました。
1963
「武田科学振興財団」設立
タケダからの 寄 附 金を基 金とし
1995
「エルアイ武田」設立
60年間にわたって、微生物株の保
て、科 学 技 術 の 研 究を助 成 振 興
「働く障がい者を愛する会社」と
存機関として研究を支援してきま
し、科学技術および文化の向上発
いう経営理念のもとに設立され
した。現在は、微生物研究の助成
事業を行っています。
展に寄与することを目的として、
設立されました。その事業は
年々拡充されています。
た、医薬品業界では初めての障
がい者雇用を目的とした特例子
会社です。
「解体新書」
(安永3年・1774年/杏雨書屋蔵)
80
Takeda Annual Report 2012
1999
2010
2012
2 型糖尿病治療剤
2 型糖尿病治療剤
ワクチンビジネス部設立
「ピオグリタゾン塩酸塩」
上市(日本・米国)
「ネシーナ」上市(日本)
グローバルでのワクチン事業を強化。
抗癌剤
「ベクティビックス」上市(日本)
腎性貧血治療剤
「オモンティス」上市(米国)
2005
2011
不眠症治療剤
「ラメルテオン」上市(米国)
高血圧症治療剤
「イダービ」上市(米国)
2008
湘南研究所 開設
ミレニアム社を統合
高血圧症治療剤
「アジルバ」上市(日本)
URLファーマ社を統合
痛風・高尿酸血症治療剤「コルクリス」を獲得
し、痛風領域を強化。
2009
マルチラブ社を統合
逆流性食道炎治療剤
「デクスラント」上市(米国)
痛風・高尿酸血症治療剤
「ユーロリック」上市(米国)
湘南研究所
ナイコメッド社を統合
ブラジル市場でのプレゼンスをさらに高め、
新興国事業を強化。
成長著しい新興国への販路拡大と欧州全域
での事業基盤の強化を実現。
2000
2006
アニュアルレポートに
CSR報告書を統合
財務情報と非財務情報をあわせて記載した
「統合レポート」形式にて、アニュアルレポー
2010
「タケダ・イニシアティブ」開始
アフリカにおける保健医療人材の育成を支
援 する寄 付 プ ログラム 活 動 を 、世 界 基 金
(The
Global Fund)と協働し、立ち上げま
2011
国連グローバル・コンパクトの
「LEADプログラム」へ参加
国連グローバル・コンパクトの理念の実践と普
及をリードする活動に取り組んでいます。
トの発行をスタートしました。
した。
2009
ダイバーシティの推進および
バリューチェーン管理の強化
アリナミンの収益の一部を寄付金として、東
ダイバーシティ
(多様性)を行動原則の一つ
続的に支援しています。
「日本を元気に・復興支援」
「国連グローバル・コンパクト」に
参加/ CSR 専任組織の設置
に掲げ、取り組みを強化しています。また、バ
「人権」、
「 労働」、
「 環境」、
「 腐敗防止」からな
リューチェーンに関するポリシーを整備し、
る10 原則を支持し、企業活動全般に取り入
お取引先まで含めたCSR 環境の整備をスタ
れています。また、CSR
ートしました。
専任組織を設置し、タケ
ダ の CSR 活 動 の 充 実を
図っています。
日本大震災による被災地の復興を長期的・継
2012
「SRIインデックスの継続組み入れ」を
企業評価の指標として採用
「タケダ・グローバル行動規準」制定
企業活動の評価指標にSRIインデックスの継
ガバナンスを強化し、
グローバルなタケダグ
続組み入れを採用し、経営戦略における「社
ループ全体におけるコンプライアンスの徹
会的責任の重視」をより明確にしました。
底を図っています。
Takeda Annual Report 2012
81
主要子会社および関連会社
欧州
25
26
11
8
9 2 27 12
19 1 4
10 7
24
23
22
6 201613 5
17
21
14
3
18
15
3
6
2
4
1
12
2
5
1
3 6
日本
武田薬品工業株式会社
4
15
5
8
10 9
11
アジア他
7
14
13
欧 州
1 武田ヨーロッパ・ホールディングス
B.V.
11 ナイコメッド A/S
欧州における旧当社グループの持株会社/オランダ アムステルダム
議決権比率: 100%
2 武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ
Limited
欧州販売統括/英国 ロンドン
議決権比率: 100%
S.p.A.
日本・米国を除く除く地域の販売統括/スイス チューリッヒ
議決権比率: 100%
GmbH
14 ナイコメッド S.p.A.
販売/ドイツ アーヘン
議決権比率: 100%
5 タケダ・ファルマ・オーストリア
Ges.m.b.H
販売/オーストリア ウィーン
議決権比率: 100%
6 ラボラトワール・タケダ
販売/フランス ピュトー
議決権比率: 100%
Limited
販売/英国 バッキンガムシャー
議決権比率: 100%
8 武田ケンブリッジ
Limited
研究/英国 ケンブリッジ
議決権比率: 100%
9 武田グローバル研究開発センター
(欧州)Ltd.
開発/英国 ロンドン
議決権比率: 100%
10 武田アイルランド Limited
製造/アイルランド キルダリー
議決権比率: 100%
82
13 武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル GmbH
製造・販売/イタリア ローマ
議決権比率: 76.9%
7 英国武田
12 ナイコメッド・デンマーク ApS
製造・販売・研究/デンマーク ロスキレ
議決権比率: 100%
3 タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ
4 タケダ・ファルマ
19 ナイコメッド・ベルギー
欧州における旧ナイコメッド社の持株会社/デンマーク ロスキレ
議決権比率: 100%
Takeda Annual Report 2012
SCA/CVA
製造・販売/ベルギー ブリュッセル
議決権比率: 100%
21 ナイコメッド・オーストリア
GmbH
製造・販売/オーストリア リンツ
議決権比率: 99.98%
22 ナイコメッド・ウクライナ
23 ナイコメッド・ファルマ
15 ナイコメッド ディストリビューション・センター
Limited Liability Company
LLC
AG
販売/スイス デューベンドルフ
議決権比率: 100%
24 ナイコメッド Pharma
販売/ロシア モスクワ
議決権比率: 100%
Sp.z.o.o.
製造・販売/ポーランド ワルシャワ
議決権比率: 100%
16 ナイコメッド GmbH
製造・販売・研究・開発/ドイツ コンスタンツ
議決権比率: 100%
S.A.S.
18 ナイコメッド Pharma
25 Oy
Leiras Finland AB
販売/フィンランド ヘルシンキ
議決権比率: 100%
26 ナイコメッド Pharma
販売/フランス パリ
議決権比率: 100%
販売/スペイン マドリッド
議決権比率: 100%
20 ナイコメッド Christiaens
販売/ウクライナ キエフ
議決権比率: 100%
販売/イタリア ミラノ
議決権比率: 100%
17 ナイコメッド・フランス
SCA/CVA
販売/ベルギー ブリュッセル
議決権比率: 100%
S.A.
AS
製造・販売/ノルウェー アスケー
議決権比率: 100%
27 ナイコメッド B.V.
販売/オランダ アムステルダム
議決権比率: 100%
日 本
5 和光純薬工業株式会社
1 日本製薬株式会社
製造・販売/大阪市中央区
議決権比率: 70.3%
製造・販売・研究・開発/東京都千代田区
議決権比率: 87.5%
6 水澤化学工業株式会社
2 武田ヘルスケア株式会社
製造・販売/東京都中央区
議決権比率: 54.2%
製造/京都府福知山市
議決権比率: 100%
3 武田バイオ開発センター株式会社
4
3 2
8
6
開発/東京都千代田区
議決権比率: 100%
12
5
4 天藤製薬株式会社
製造・販売・研究・開発/京都府福知山市
議決権比率: 30%
1
7
米州
米 州
11
1 武田アメリカ・ホールディングス
Inc.
米州における持株会社/米国 ニューヨーク州 ニューヨーク
議決権比率: 100%
13
2 武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル
Inc.
研究・開発の統括・米国販売統括/米国 イリノイ州 ディアフィールド
議決権比率: 100%
3 武田ファーマシューティカルズUSA,
Inc.
販売/米国 イリノイ州 ディアフィールド
議決権比率: 100%
10
9
4 武田グローバル研究開発センター
Inc.
開発/米国 イリノイ州 ディアフィールド
議決権比率: 100%
5 ミレニアム・ファーマシューティカルズ
Inc.
販売・研究・開発/米国 マサチューセッツ州 ケンブリッジ
議決権比率: 100%
6 インテリキン
(中国)投資有限公司
1 武田
中国における持株会社・開発/中国 上海
議決権比率: 100%
2 武田薬品
(中国)有限公司
3 天津武田薬品有限公司
製造/中国 天津
議決権比率:100%
13 ナイコメッド Pty.
Ltd.
Co., Ltd.
販売/韓国 ソウル
議決権比率: 100%
P.T. インドネシア武田
製造・販売/インドネシア ジャカルタ
議決権比率: 70%
8 フィリピン武田
アジア販売統括/シンガポール
議決権比率: 100%
製造・販売・研究・開発/中国 広州
議決権比率: 51%
販売/タイ バンコク
議決権比率: 52%
7
11 ナイコメッド・ホールディングス
バイオファーマ Co., Ltd.
Ltd.
6 韓国武田薬品
研究/シンガポール
議決権比率: 100%
12 広東テックプール・
販売/台湾 台北
議決権比率: 100%
5 タイ武田
Pte. Ltd.
10 武田シンガポール
(アジア・パシフィック)Pte. Ltd.
販売/中国 泰州
議決権比率:100%
4 台湾武田
LLC
研究・開発/米国 カリフォルニア州 ラ・ホーヤ
議決権比率: 100%
アジア他
Inc.
販売/フィリピン マニラ
議決権比率: 50%
Ltd.
販売/オーストラリア シドニー
議決権比率:100%
14 ナイコメッド・
ファーマシューティカルズ
(Pty)Ltd.
販売/南アフリカ ヨハネスブルグ
議決権比率:100%
15 ナイコメッド・ファーマ
Private Limited
7 武田カリフォルニア
Inc.
研究/米国 カリフォルニア州 サンディエゴ
議決権比率: 100%
Inc.
8 武田ベンチャー投資
研究関係ベンチャー投資/米国 カリフォルニア州 パロアルト
議決権比率: 100%
9 武田
Distribuidora Ltda.
販売/ブラジル サンパウロ
議決権比率: 100%
10 武田
Pharma Ltda.
製造・販売/ブラジル サンパウロ
議決権比率: 100%
11 ナイコメッド・メキシコ
S.A. de.C.V.
製造・販売/メキシコ メキシコシティ
議決権比率: 100%
12 ナイコメッド・カナダ
Inc.
販売/カナダ オークビル
議決権比率: 100%
13 ナイコメッド・ベネズエラ
S.R.L.
販売/ベネズエラ カラカス
議決権比率: 100%
研究/インド ムンバイ
議決権比率:100%
9 武田グローバル研究開発センター
(アジア)Pte. Ltd.
2012年3月31日現在
開発/シンガポール
議決権比率: 100%
最新情報についてはホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/global-operations/article_83.html
Takeda Annual Report 2012
83
財務セクション
85 事業および財務の概況
92 11年間の要約財務データ
94 連結貸借対照表
96 連結損益計算書
96 連結包括利益計算書
97 連結株主資本等変動計算書
98 連結キャッシュ・フロー計算書
99 連結財務諸表注記
123 独立監査人の監査報告書(訳文)
84
Takeda Annual Report 2012
事業および財務の概況
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年 3 月期(2011 年度)
業績全般の概況
売上高
欧州財政問題が一時の危機的状況からは脱しつつ
前年度から895 億円(6.3% )増収の 15,089 億円
あるものの未だ予断を許さない状況のなか 、米国経
となりました。
[グラフ①、表①]
済は緩やかな回復基調を示しています。一方、新興国
た 、東日本大震災からの復興途上にある日本経済に
• 国内において 、2010 年に新発売した抗癌剤「ベク
ティビックス」、2 型糖尿病治療剤「ネシーナ」などに
よる増収効果に加え、当社の100% 子会社である米
国「ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc. 」の
とって、円高、エネルギーコストの上昇、グローバル競
多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の伸長や 、同「武
争の激化等、厳しい状況に基本的変化は見られず 、か
田ファーマシューティカルズ USA, Inc.(注)」におけ
ろうじて成長軌道への復帰傾向が見られる状況です。
る逆流性食道炎治療剤「デクスラント」および痛風・
の成長はやや抑制基調に転じていますが、世界経済を
緩やかながらも成長させる原動力となっています。ま
一方、医療用医薬品市場は 、先進諸国では 、医療費
高尿酸血症治療剤「ユーロリック」の伸長、さらに
抑制政策や後発医薬品の伸長等により、市場成長率が
「ナイコメッド社」の買収後の売上が計上されたこと
鈍化しているなかで、新興国においては、医療技術の
により、為替レートが円高となった影響(427 億円
向上や保険医療制度の普及によって、市場規模が急速
のマイナス)および米国での消化性潰瘍治療剤「プ
に拡大しており、その存在感は確実に高まってきてお
レバシド」、日米欧における2 型糖尿病治療剤「アクト
ります。
ス」の減収をカバーし、全体では増収となりました。
このような環境変化のなか 、当社は「新たなタケダ
(注)2012 年 1 月 18 日、武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ Inc. から
社名変更しております。
への変革」を目指し、2011 年春に策定した「 11–13
中期計画」に基づき、経営方針である「革新への挑戦
( Innovation )」と
「活 力 ある 企 業 文 化 の 創 造
• 医療用医薬品の主要品目の売上高は下記のとおり
です。
[表②]
( Culture )」を通じた「持続的な成長( Growth )」の達
成に取り組んでまいりました。
売上高の地域別内訳[表①]
(単位:億円)
日本
米州
欧州
アジア他
売上高合計
2011 年度
2010 年度
7,334
48.6%
4,644
30.8%
2,636
17.5%
475
3.1%
15,089
7,214
50.8%
4,964
35.0%
1,729
12.2%
287
2.0%
14,194
2009 年度 2011/2010 2010/2009
6,890
47.0%
5,618
38.3%
1,891
12.7%
261
1.9%
14,660
1.7 %
4.7 %
(6.5)%
(11.6)%
52.5 %
(8.6)%
65.3 %
10.2 %
6.3 %
(3.2)%
売上高および海外売上高比率[グラフ①]
下段は構成比、
( )内数値は減少を示す。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
(%)
(億円)
60
16,000
51.4%
医療用医薬品の主要品目売上高(連結)
[ 表②]
(単位:億円)
リュープロレリン
ランソプラゾール
ピオグリタゾン
2010 年度
1,207
1,221
2,163
2,962
1,164
1,336
2,180
3,879
2009 年度 2011/2010 2010/2009
1,204
2,161
2,183
3,833
3.7 %
(8.6)%
(0.7)%
(23.6)%
(3.3)%
(38.2)%
(0.2)%
1.2 %
( )内数値は減少を示す。
8,000
4,000
0
の体系を一部見直したため、現行体系に合わせた比較がで
(注)2010 年度より、国内個別製品の仕切価(卸への販売価格)
きるよう2009 年度の数値を組み替えて表示している。
30
7,334
カンデサルタン
2011 年度
45
7,755
12,000
国内 海外売上高比率
売上高
(注)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用している。
’06
’07
海外 ’08
’09
’10
’11
15
年度
0
海外売上高比率
Takeda Annual Report 2012
85
• 連結医療用医薬品の売上高(セグメント間の内部売
上高を含む)
は 、前年度より915 億円(7.2% )増収
の 13,620 億円となりました。
[表③]
当期純利益
前年度から1,237 億円(49.9% )減益の 1,242 億
円となりました。
[グラフ④]
• 税金等調整前当期純利益の減益に加え、税制改正に
営業利益
よる法人税等の増加もあり、減益となりました。
前年度から1,021 億円(27.8% )減益の 2,650 億
円となりました。
[グラフ②]
• 販売費及び一般管理費が760 億円(10.3% )増加し
たことに加え、
「ナイコメッドA/S 」買収で取得した同
社保有の棚卸資産の時価評価に伴い売上原価が増
• 研究開発費は 、70 億円(2.4% )減少し、2,819 億
円となりました。
[グラフ③]
(億円)
(%)
5,000
60
4,000
40
3,000
「ナイ
• 研究開発費以外の販売費及び一般管理費は、
2,000
コメッド社」での発生費用や、のれん償却費増加によ
る影響などで830 億円(18.6% )増加し、5,288 億
0
円となりました。
’06
’07
’08
’09
’10
’11
年度
–20
–40
増益率(対前年度)
研究開発費および対売上高比率[グラフ③]
(億円)
(%)
5,000
50
4,000
40
金等調整前当期純利益についても減益となりました。
3,000
国内製商品売上高
海外製商品売上高
米州
欧州
海外
売上高 合計
連結医療用医薬品
海外売上高比率
2009 年度 2011/2010 2010/2009
5,944
43.6%
7,200
52.9%
4,471
32.8%
2,311
17.0%
418
3.1%
476
3.5%
10
0.1%
466
3.4%
13,620
5,805
45.7%
6,455
50.8%
4,754
37.4%
1,467
11.6%
234
1.8%
445
3.5%
10
0.1%
435
3.4%
12,705
5,518
41.8%
7,191
54.4%
5,352
40.5%
1,634
12.4%
205
1.6%
502
3.8%
6
0.0%
496
3.8%
13,211
56.3%
54.2%
58.2%
2.4 %
5.2 %
1,000
11.5 %
(10.2)%
0
(6.0)%
(11.2)%
57.5 %
(10.2)%
78.9 %
14.0 %
7.1 %
(11.4)%
0.4 %
84.3 %
7.2 %
(12.5)%
7.2 %
(3.8)%
下段は構成比、
( )内は数値は減少を示す。
(注 2)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用している。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
86
Takeda Annual Report 2012
10
’06
研究開発費 ’07
’08
’09
対売上高比率(全社) ’10
’11
年度
0
対売上高比率(医療用医薬品)
当期純利益[グラフ④]
(億円)
(%)
5,000
40
4,000
20
3,000
0
2,000
(注 1)売上高はセグメント間の内部売上高を含んでいる。
20
–20
1,242
1,000
–40
–49.9%
0
’06
当期純利益 ’07
’08
’09
増益率(対前年度)
’10
’11
年度
–60
増益率︵対前年度︶
知的財産権収益・
役務収益
国内
2010 年度
当期純利益
アジア他
2011 年度
20.3%
18.7%
2,000
(単位:億円)
30
2,819
連結医療用医薬品売上高の地域別内訳[表③]
対売上高比率
伴う事業構造再編費用を計上したことなどにより、税
–27.8%
営業利益 研究開発費
「ナイコメッド社」
との統合に
• 営業利益の減益に加え、
0
1,000
円となりました。
税金等調整前当期純利益
前年度から1,191 億円(32.1% )減益の 2,525 億
20
2,650
増益率︵対前年度︶
ことにより、営業利益は減益となりました。
営業利益
加し、売上総利益が 261 億円(2.4% )減益となった
営業利益[グラフ②]
• 1 株当たり当期純利益( EPS )は、前年度から156 円
72 銭(49.9% )減少し、157 円29 銭となりました。
加わり、米国における「プレバシド」および米欧におけ
[グラフ⑤]
る「アクトス」の減収や円高による減収影響をカバーし、
•「特別損益および企業買収などによる特殊要因除き
の 1 株当たり当期純利益(注)」は 、前年度から59 円
19 銭(15.8% )減少し、314 円38 銭となりました。
前年度から776 億円(11.3% )増収の 7,666 億円と
(注)当期純利益から、特殊要因(特別損益および企業買収によるのれん償却費、無
形固定資産償却費、棚卸資産のステップアップ
(時価評価による増加分)
にかか
る売上原価の増加)
を控除して算定しております。
海外売上高は、
「ナイコメッド社」の買収後の売上が
なりました。
〔ヘルスケア事業〕
ヘルスケア事業の売上高は、
「アリナミン錠剤類」、
「ベ ン ザ 類」等 の 増 収 により、前 年 度 から14 億 円
• 自己資本当期純利益率( ROE )は6.1%となり、前年 (2.4% )増収の617 億円となりました。一方、営業利益
度から5.7 ポイント減少しました。
[グラフ⑤]
は期間経費の増加が増収に伴う売上総利益の増益を上
回ったことにより、4 億円(3.4% )減益の118 億円とな
セグメント別の状況[ 表④⑤]
りました。
〔医療用医薬品事業〕
医療用医薬品事業の売上高は前年度から914 億円
(7.2% )増収の 13,588 億円となり、営業利益は前年
〔その他事業〕
その他事業の売上高は前年度から32 億円(3.4% )
度から1,022 億円(29.5% )減益の 2,438 億円とな
減収の 931 億円、営業利益は原価率の改善および経
りました。
費削減により7 億円(6.2% )増益の 117 億円となりま
このうち国内売上高は、
「ベクティビックス」、
「ネシー
した。
ナ」等、2010 年に新発売した製品群の寄与により、
138 億円(2.4% )増収の 5,922 億円となりました。
2012 年度の見通し
〔売上高〕
米国での2 型糖尿病治療剤「アクトス」の後発品参入
による減収を、
「ナイコメッド社」の売上高が通年で計
上される影響、国内および米国における「アクトス」以
事業セグメント別売上高[表④]
(単位:億円)
医療用医薬品事業
国内
海外
ヘルスケア事業
その他事業
2011 年度
2010 年度
13,588
5,922
7,666
617
931
12,674
5,784
6,890
603
963
2009 年度 2011/2010 2010/2009
13,177
5,488
7,689
582
948
7.2 %
2.4 %
11.3 %
2.4 %
(3.4)%
(3.8)%
5.4 %
(10.4)%
3.5 %
1.6 %
外の製品の伸長に加え、2012 年 4 月に買収の合意に
至った米国「 URL Pharma 社」の売上高の寄与により
吸収し、前年度から411 億円(2.7% )増収の15,500
億円となる見込みです。
( )内数値は減少を示す。
(注)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用している。
EPS および ROE[グラフ⑤]
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
(%)
(円)
事業セグメント別営業利益[表⑤]
(単位:億円)
医療用医薬品事業
ヘルスケア事業
その他事業
2011 年度
2010 年度
2,438
91.2%
118
4.4%
117
4.4%
3,460
93.7%
122
3.3%
110
3.0%
2009 年度 2011/2010 2010/2009
4,006
94.8%
110
2.6%
108
2.6%
E 500
P
S
20
400
16
12
(29.5)%
(13.6)%
300
(3.4)%
10.9 %
200
6.2 %
1.9 %
100
下段は構成比、
( )内数値は減少を示す。
0
(注)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用している。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
EPS 6.1%
157.3
’06
’07
’08
’09
’10
’11
R
O
E
8
4
0
年度
ROE
Takeda Annual Report 2012
87
開発費の増加もあり、営業利益は前年度から1,050 億
資本の運用・調達の状況[ 表⑥]
2011 年度末における総資産は 3 兆 5,770 億円と
なり、前年度末に比べ 7,906 億円増加しました。
[グ
円(39.6% )減益の 1,600 億円を見込んでおります。
ラフ⑥]
〔営業利益〕
買収に伴う無形固定資産・のれん償却費の増加、研究
「ナイコメッドA/S 」の買収に伴い、有価証券を中心に
流動資産が 3,072 億円減少しましたが 、のれんを含
〔当期純利益〕
営業利益は減益となりますが 、インフルエンザワク
む無形固定資産の大幅な増加によって固定資産が1 兆
チン製造設備建設に係る補助金等のその他の収益へ
979 億円増加しております。
2011 年度末の負債合計は前年度末から8,554 億
円増加し、1 兆5,051 億円となりました。
「ナイコメッド
A/S 」買収に伴い、借入金が増加したことが主な要因で
あります。なお、当該借入金につきましては 2011 年
9 月に5,700 億円の短期借入れを行い 、同年 10 月に
の計上を見込んでいることに加え、移転価格税制にか
かる更正処分の異議決定に伴う税金還付があることか
ら、当 期 純 利 益 については 前 年 度 から308 億 円
(24.8% )増益の 1,550 億円を見込んでいます。
一部返済しましたほか、その返済の一部に充当するた
〔見通しの前提条件〕
為替レートは、1 米ドル=80 円、1 ユーロ=105 円
め、2012 年 3 月、無担保普通社債計 1,900 億円を発
行するとともに、金融機関から1,100 億円の長期借入
を前提としております。
れを行いました。この結果、2011 年度末において、短
期借入金残高は2,400 億円、社債残高は1,900 億円、
〔見通しに関する注意事項〕
• 米国「 URL Pharma 社」買収に係る業績影響
2012 年 4 月に買 収 合 意しました「 URL Pharma
社」による損益影響(2012 年度の売上高で約 440 億
円、営業利益で約 50 億円)
を織り込んでいます。ただ
し、企業結合会計等による影響については、買収手続
き完了後 1 年以内に会計監査人による監査を経て確定
しますので 、本影響額は 2012 年 5 月 11 日時点での
長期借入金残高は 1,100 億円となりました。
連結合計での借入金、社債残高は5,428 億円となっ
ております。
2011 年度末の純資産は 2 兆 719 億円となりまし
た。自己資本比率は前年度から18.9 ポイント減少の
56.2%となり、1 株当たり純資産( BPS )は前年度末か
ら101.2 円減少の 2,548.5 円となりました。
見通しであり確定額ではありません。
なお、当社の業績は、事業環境の変化や為替変動に
よる影響など、現在および将来において様々なリスク
にさらされております。本業績見通しに織り込まれて
いない事象が発生し、財務上重要な影響があると判断
した場合には、速やかにご報告いたします。
総資産[グラフ⑥]
(億円)
40,000
貸借対照表サマリー[表⑥]
35,770
(単位:億円)
流動資産
有形固定資産
投資及びその他の資産
総資産
負債
純資産
2011 年度
2010 年度
12,790
4,887
18,093
35,770
15,862
4,075
7,927
27,864
15,729
3,189
9,315
28,233
(19.4)%
19.9 %
128.3 %
28.4 %
0.9 %
27.8 %
(14.9)%
(1.3)%
15,051
20,719
6,497
21,367
6,585
21,647
131.7 %
(3.0)%
(1.3)%
(1.3)%
( )内数値は減少を示す。
88
Takeda Annual Report 2012
2009 年度 2011/2010 2010/2009
30,000
20,000
10,000
0
’06
’07
’08
’09
’10
’11
年度
キャッシュ・フロー[ 表⑦]
当年度のキャッシュ・フロー は、4,185 億円のマイ
ナスとなりました。
利益配分に関する基本方針および配当
1)利益配分に関する基本方針
利益の配分につきましては、株主還元重視の姿勢の
営業活動によるキャッシュ・フローは 3,366 億円の
もと、
「安定的な配当」を継続してまいります。2012
プラス、投資活動によるキャッシュ・フロー は主に「ナ
年度および2013 年度は、1 株当たり配当金について
イコメッドA/S 」の買収による支出により1 兆940 億円
年間 180 円を継続する方針であり、2014 年度以降
のマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローは買収
につきましても、株主還元を重視した安定的な利益の
資金の調達に係る短期借入金、社債の発行および長期
配分を行えるよう、努めてまいります。
借入金による収入等により3,938 億円のプラスとなっ
ております。
この結果、当年度末の「現金及び現金同等物(取得
から満期までの償還の期間が3ヶ月以内の定期預金及
び有価証券)」は 4,542 億円となりました。
2)2011 年度の配当[グラフ⑧]
2011 年度の期末配当金は 、1 株当たり90 円とい
たしました。
この結果、当年度の配当金は第 2 四半期末配当金
当年度の設備投資総額は 658 億円となりました。
(1 株当たり90 円)
と合わせ、前年度と同額の 1 株当た
り180 円となりました。
人員[グラフ⑦]
2011 年度末の連結人員(就業人員)は30,305 人
となりました。また、国内人員は 9,530 人、海外人員
は 20,775 人となりました。
3)2012 年度の配当
2012 年度の配当金については、2011 年度と同額
の 1 株当たり180 円とさせていただくことを予定して
います。
キャッシュ・フロー サマリー[表⑦]
(単位:億円)
2011
2010
2009
年度
年度
年度
3,366 3,269 3,811
投資活動によるキャッシュ・フロー (10,940)
(993) (1,175)
財務活動によるキャッシュ・フロー
3,938 (1,465) (1,480)
換算差額
(549)
(609)
(212)
現金及び現金同等物の純増減額
(4,185)
202
944
現金及び現金同等物の期末残高
4,542 8,727 8,525
営業活動によるキャッシュ・フロー
( )内数値は減少を示す。
1 株当たり配当金[グラフ⑧]
人員の状況[グラフ⑦]
35,000
68.6%
30,000
60
20,775
25,000
20,000
10,000
200
180.00
160
40
120
30
80
20
9,530
5,000
国内 (円)
50
31.4%
15,000
0
70
構成比
人員の状況
(%)
(人)
’06
’07
海外 ’08
’09
国内構成比 ’10
’11
10
年度
0
40
0
’06
’07
’08
’09
’10
’11
年度
海外構成比
(注)就業人員数である。なお、2010 年度から工数換算ベースで表示しており、
2009 年度末についても変更後の基準に基づき組み替えて表示している。
Takeda Annual Report 2012
89
事業等のリスク
るその後発品、および競合品のスイッチ OTC 薬の出
当社の業績は、現在および将来において様々なリス
現などによって 、国内外、特に米国での競争環境は格
クにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ
段に厳しいものになってきており、その影響如何で当
業績の変動を被る可能性があります。以下では、当社
社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。
が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを
記載いたします。当社はこれらのリスク発生の可能性
を認識した上で、可能な限り発生の防止に努め、また、
発生した場合の的確な対応に努めていく方針です。
なお 、本 項 目 に 含 まれる 将 来 に 関 する 事 項 は 、
4)副作用に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を伴う
製造・販売承認を得て発売されますが、市販後の使用
成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかっ
2011 年度末現在において判断したものです。
た副作用が確認されることがあります。新たな副作用
1)研究開発に関するリスク
う、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、
が確認された場合には、
「使用上の注意」への記載を行
当社は、日米欧アの各極市場への一日も早い新製品
販売中止・回収等を余儀なくされることもあり得ます。
の上市を目指し、効率的な研究開発活動に努めており
ますが 、医薬品は 、自社創製化合物、導入化合物にか
かわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する
5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク
最大市場である米国では、低価格の後発品の使用促
厳格な審査により承認されてはじめて上市可能となり
進や、連邦・州政府およびマネジドケアの強い要請に伴
ます。
うブランド品への価格引き下げ圧力が一層高まってお
研究開発の途上において、当該化合物の有効性・安
り、日本においても 、医療保険制度により定められて
全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが
いる薬価が現在 2 年に1 度引き下げられていることに
判明した場合またはその懸念があると審査当局が判断
加え、後発品の使用促進が積極的に進められておりま
した場合、その時点で当該化合物の研究開発を途中で
す。欧州においても、薬剤費抑制策や並行輸入の増加
断念、または追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざる
により、同様に価格引き下げが行われております。こ
を得ず、それまでにかかったコストを回収できないリス
れら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げは、当社
クや製品の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略
の業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性
の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。
があります。
2)知的財産権に関するリスク
6)為替変動による影響
当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数
の特許によって、一定期間保護されております。
当社の当年度における海外売上高は 7,755 億円で
あり、連結売上高全体の 51.4%を占めており、そのう
当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第
ち米州地域での売上高は 4,644 億円にのぼり、連結
三者からの侵害にも常に注意を払っておりますが、当
売上高全体の 30.8% を占めております。当社の業績
社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場
および財務状況は、為替レートの変動に大きな影響を
合には、期待される収益が失われる可能性があります。
受けます。
また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害
した場合には損害賠償を請求される可能性があります。
7)企業買収に関わるリスク
3)特許権満了等による売上低下リスク
開し、その手段として企業買収も実施しております。
当社は、持続的な成長のためにグローバルに事業展
90
Takeda Annual Report 2012
当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフ
世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政
サイクルを延長する努力をしておりますが 、多くの製
情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他の
品について、特許が満了すれば、後発品の市場参入は
リスクに直面する可能性があり、その結果当初想定し
避けられません。これに加え、競合品の特許満了によ
た買収効果や利益が実現されない可能性があります。
また、企業買収などの投資活動にともなって取得した
添付文書の一部改訂をもって販売を継続するに至って
資産の価値が下落した場合、評価損発生などにより、
おり、また 、欧州においても 、欧州委員会が 2012 年
当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性が
1 月、日米の対応と同じく、添付文書の改訂を承認して
あります。
おります。
訴訟等につ い て
1)米国 AWP 訴訟の件
含有する製剤の有用性に自信を持っております。また、
当社は 、2 型糖尿病治療におけるピオグリタゾンを
これまでと同様、ピオグリタゾンを含む全ての当社製
米 国における一 部 の 医 薬 品 の 販 売に関し、AWP
( Average Wholesale Price:平均卸売価格)
として公
表されている価格と実際の販売価格とが乖離している
品に関する安全性と忍容性の評価を継続するとともに、
必要に応じて各国当局に適切なデータを提供するな
ど、真摯に対応してまいります。
こと等により損害を受けたとして、患者本人、保険会社
ルズ USA, Inc.(注)」
(以下、
「 TPUSA 社」)
は、
「ピオグリ
3)移転価格税制に基づく更正処分の件
当社は、2006 年 6 月28 日、大阪国税局より、当社
と
「 TAP 社」
との間の2000 年3 月期から2005 年3 月
期の 6 年間の「ランソプラゾー ル
(米国製品名:プレバ
タゾン
(米 国 製 品 名:アクトス)
」につき、また「 TAP
シド)」にかかる製品供給取引等に関して 、米国市場か
ファーマシューティカル・プロダクツ Inc.
ら得られる利益が、当社と
「 TAP 社」間の利益配分にお
および州政府等から損害賠償を請求する民事訴訟(い
わゆる
「 AWP 訴訟」)
が、大手を含む多数の製薬会社に
対し提起されております。
「武田ファーマシューティカ
(注)
」
(以下、
「 TAP 社」)
は、
「ランソプラゾール
(米国製品名:プレバシ
いて、当社に対して過少に配分されているとの判断に
ド)」につき、複数の州裁判所において、それぞれAWP
より、移転価格税制に基づく更正通知書を受領しまし
訴訟を提起されております。うち、
「プレバシド」にかか
た。更正された所得金額は 6 年間で 1,223 億円であ
る1 件については当社も被告とされております。
り、地方税等を含めた追徴税額 571 億円について同
当社グループは、本訴訟につきまして遺漏なく対応
してまいります。
(注)「 TAP 社」は2008 年6 月に武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ Inc.
(以下、
「 TPNA 社」)
と合併し、
「 TPNA 社」は 2012 年 1 月に「 TPUSA 社」に社
名変更しています。
「 TAP 社」は「 TPNA 社」
との合併前に「プレバシド」を販売し
ていました。
2)ピオグリタゾン製剤に起因する膀胱癌を主張する
製造物責任訴訟の件
当社および「 TPUSA 社」等複数の在米子会社ならび
に米国Eli Lilly 社は、
「ピオグリタゾンを含有する製剤」
年 7 月に全額を納付しましたが 、当社はこの更正処分
を不服として、同年 8 月25 日、大阪国税局に対し異議
申立書の提出を行っておりました。
2008 年 7 月 8 日には 、本更正処分により生じてい
る二重課税の解消を目的として、国税庁に対し、米国と
の相互協議申立書を提出いたしました。また、これに
伴い、大阪国税局に対する異議申立てを一旦中断する
手続きを実施いたしました。
2011 年 11 月 4 日、国税庁より本件の相互協議が
の服用による膀胱癌の増悪等を主張する方々から、複
合意に至らず終了した旨の通知を受領いたしました。
数の米国連邦および州裁判所において訴訟を提起さ
これを受けて 、同年 11 月 9 日に一旦中断していた
れております。また 、カナダのオンタリオ州上級裁判
異議申立て手続きについて大阪国税局へ再開を申し
所に同様の健康被害を主張するクラスアクションが提
入れました。
起されております。
当社グループは、鋭意本訴訟への対応に努めてまい
ります。
(ピオグリタゾン含有製剤の添付文書の改訂について)
2011 年 7 月、フランスにおいて 、膀胱癌の発生リ
スクがわずかに上昇するデータに基づく当局の指示に
より、ピオグリタゾンを含有する製剤の市場回収を行い
ましたが、既に日米においては、当局との協議を経て、
2012 年 4 月 6 日、当社は 、大阪国税局より原処分
により更正された所得金額 1,223 億円のうち 977 億
円を取り消す異議決定書を受領しました。その後、原
処分の取り消しが認められなかった部分については 、
同年 5 月7 日に大阪国税不服審判所に対し審査請求書
を提出しました。
なお、この一連の手続きに関して、2011 年度の業
績への影響はありません。
Takeda Annual Report 2012
91
11 年間の要約財務デー タ
武田薬品工業株式会社および子会社
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
2008 年 3 月期
¥1,508,932
¥1,419,385
¥1,465,965
¥1,538,336
¥1,374,802
営業利益
265,027
367,084
420,212
306,468
423,123
税金等調整前当期純利益
252,478
371,572
415,829
398,546
576,842
法人税、住民税及び事業税
125,208
121,325
115,668
161,351
218,766
3,108
2,379
2,417
2,810
2,622
当期純利益
124,162
247,868
297,744
234,385
355,454
資本的支出
1,255,188
148,886
114,505
906,855
38,908
減価償却費
150,194
106,722
114,825
118,081
31,690
研究開発費
281,885
288,874
296,392
453,046
275,788
売上高
少数株主利益
1 株当たり金額
1 株当たり当期純利益
(円および米ドル)
¥
157.29
¥
314.01
¥
¥
289.82
¥
418.97
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益
(円および米ドル)
157.26
313.96
377.14
289.80
–
1 株当たり配当金
(円および米ドル)
180.00
180.00
180.00
180.00
168.00
¥1,278,996
¥1,586,252
¥1,572,874
¥1,475,584
¥2,243,792
488,702
407,480
318,949
258,494
236,134
投資及びその他の資産
1,809,332
792,670
931,451
1,026,110
369,353
総資産
3,577,030
2,786,402
2,823,274
2,760,188
2,849,279
流動負債
751,731
436,596
428,477
472,106
428,711
固定負債
753,433
213,150
230,051
234,242
98,035
–
–
–
–
–
2,071,866
2,136,656
2,164,746
2,053,840
2,322,533
304,628
256,291
236,480
196,437
149,478
30,305
18,498
19,654
19,362
15,487
流動資産
有形固定資産
少数株主持分
純資産
株主数(人)
従業員数(人)
連結財務諸表注記をご参照ください 。
• 当報告書の米ドル額は、便宜上、2012 年 3 月 31 日現在におけるおよその為替レートである1 米ドル=82 円で換算しています。
• 2007 年 3 月期から少数株主持分を純資産に含めて計算しています。
92
377.19
Takeda Annual Report 2012
単位:百万円
単位:千米ドル
(注記 1)
2007 年 3 月期
2006 年 3 月期
2005 年 3 月期
2004 年 3 月期
2003 年 3 月期
2002 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥1,305,167
¥1,212,207
¥1,122,960
¥1,086,431
¥1,046,081
¥1,005,060
$18,401,610
458,500
402,809
385,278
371,633
310,686
281,243
3,232,037
625,379
517,957
441,102
446,144
431,898
373,427
3,079,000
285,844
201,361
160,231
157,911
157,485
134,892
1,526,927
3,730
3,347
3,433
2,969
2,651
2,879
37,902
335,805
313,249
277,438
285,264
271,762
235,656
1,514,171
38,510
32,616
49,230
62,472
35,888
44,766
15,307,171
28,820
28,728
31,226
28,083
29,962
28,430
1,831,634
193,301
169,645
141,453
129,652
124,230
100,278
3,437,622
¥
386.00
¥
353.47
¥
313.01
¥
321.86
¥
307.63
¥
267.02
$
1.92
–
–
–
–
–
–
1.92
128.00
106.00
88.00
77.00
65.00
60.00
2.20
¥2,357,713
¥2,371,970
¥1,969,915
¥1,730,147
¥1,542,198
¥1,345,094
$15,597,512
238,446
215,670
220,133
230,538
203,282
213,385
5,959,780
476,342
454,654
355,387
374,975
313,889
406,737
22,065,025
3,072,501
3,042,294
2,545,435
2,335,660
2,059,369
1,965,216
43,622,317
442,407
488,227
365,500
370,562
344,705
371,785
9,167,451
168,978
158,444
133,685
141,628
106,339
134,099
9,188,207
–
47,194
44,836
42,460
40,593
39,251
–
2,461,116
2,348,429
2,001,414
1,781,010
1,567,732
1,420,081
25,266,659
112,113
108,111
118,042
116,343
76,107
53,364
–
14,993
15,069
14,510
14,592
14,547
14,511
–
Takeda Annual Report 2012
93
連結貸借対照表
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年および 2011 年 3 月期
単位:百万円
資産
流動資産
現金及び現金同等物(注記 6)
有価証券(注記 6 および 7)
短期投資(注記 6)
売上債権
受取手形(注記 6)
売掛金(注記 6)
関連会社に対する売上債権(注記 6)
貸倒引当金
売上債権計
棚卸資産(注記 8)
繰延税金資産(注記 16)
その他の流動資産
流動資産合計
有形固定資産(注記 10)
土地
建物及び構築物
機械装置及び運搬具
工具・器具及び備品
リース資産
建設仮勘定
取得価額計
減価償却累計額
有形固定資産合計
投資及びその他の資産
投資有価証券(注記 6 および 7)
関連会社に対する投資(注記 6 および 7)
賃貸用不動産(注記 18)
のれん
特許権
販売権
繰延税金資産(注記 16)
その他の資産
投資及びその他の資産合計
資産合計
連結財務諸表注記をご参照ください 。
94
Takeda Annual Report 2012
単位:千米ドル
(注記 1)
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 454,247
750
628
¥ 872,710
368
1,140
$ 5,539,598
9,146
7,659
12,550
329,068
3,061
(2,855)
341,824
195,013
221,230
65,304
1,278,996
9,514
281,566
2,915
(891)
293,104
137,127
229,909
51,894
1,586,252
153,049
4,013,024
37,329
(34,817)
4,168,585
2,378,207
2,697,927
796,390
15,597,512
76,314
475,002
311,922
74,581
23,622
53,545
1,014,986
(526,284)
488,702
71,594
412,110
273,979
61,673
20,305
16,789
856,450
(448,970)
407,480
930,659
5,792,707
3,803,927
909,524
288,073
652,988
12,377,878
(6,418,098)
5,959,780
178,392
8,304
19,108
582,257
322,537
570,166
20,232
108,336
1,809,332
¥3,577,030
158,804
6,215
19,593
217,123
291,143
1,988
26,560
71,244
792,670
¥2,786,402
2,175,512
101,268
233,024
7,100,695
3,933,378
6,953,244
246,732
1,321,172
22,065,025
$43,622,317
単位:千米ドル
(注記 1)
単位:百万円
負債及び純資産
流動負債
短期借入金(注記 6 および 9)
一年内返済長期負債(注記 9)
支払債務
支払手形(注記 6)
買掛金(注記 6)
関連会社に対する仕入債務(注記 6)
その他
支払債務計
未払法人税等
未払費用
その他の流動負債
流動負債合計
固定負債
長期負債(注記 6 および 9)
退職給付引当金(注記 11)
スモン訴訟填補引当金
繰延税金負債(注記 16)
資産除去債務(注記 20)
その他の固定負債
固定負債合計
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
1,345
2,237
$ 2,944,037
27,427
1,042
98,453
2,455
122,080
224,030
546
80,320
2,198
128,309
211,373
12,707
1,200,646
29,939
1,488,781
2,732,073
24,097
217,334
42,610
751,731
41,977
166,991
12,673
436,596
293,866
2,650,415
519,633
9,167,451
317,861
55,695
2,386
301,758
6,457
69,276
753,433
16,387
17,920
2,498
112,295
6,859
57,191
213,150
3,876,354
679,207
29,098
3,679,976
78,744
844,828
9,188,207
1,505,164
649,746
18,355,658
63,541
63,541
774,890
¥ 241,411
2,249
¥
偶発債務(注記 19)
負債合計
純資産(注記 12)
株主資本
資本金
授権株式数:3,500,000,000 株
発行済株式数:普通株式
2012 年 3 月 31 日、789,666,095 株
2011 年 3 月 31 日、789,666,095 株
資本剰余金
利益剰余金
自己株式
2012 年 3 月 31 日、252,486 株
2011 年 3 月 31 日、295,436 株
株主資本合計
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
その他の包括利益累計額合計
新株予約権(注記 13)
少数株主持分
純資産合計
負債及び純資産合計
49,638
2,254,075
(808)
49,638
2,272,067
(1,014)
605,341
27,488,720
(9,854)
2,366,446
2,384,232
28,859,097
87,046
2
(441,653)
(354,605)
504
59,521
2,071,866
¥3,577,030
73,944
17
(366,604)
(292,643)
334
44,733
2,136,656
¥2,786,402
1,061,537
24
(5,386,012)
(4,324,451)
6,146
725,867
25,266,659
$43,622,317
連結財務諸表注記をご参照ください 。
Takeda Annual Report 2012
95
連結損益計算書
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期
単位:百万円
売上高(注記 7 および 17)
営業費用
売上原価(注記 7)
販売費及び一般管理費(注記 14)
営業費用計
営業利益(注記 17)
その他の収益(費用)
受取利息・配当金
支払利息
持分法投資利益(注記 7)
固定資産売却益(注記 18)
事業構造再編費用(注記 15)
その他(純額)
その他の収益(費用)計
税金等調整前当期純利益
法人税等(注記 16)
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等計
少数株主損益調整前当期純利益
少数株主利益
当期純利益
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥1,508,932
¥1,419,385
¥1,465,965
$18,401,610
433,194
810,711
1,243,905
265,027
317,582
734,719
1,052,301
367,084
285,063
760,690
1,045,753
420,212
5,282,854
9,886,719
15,169,573
3,232,037
6,191
(1,335)
451
–
–
(819)
4,488
371,572
6,157
(1,429)
837
–
–
(9,948)
(4,383)
415,829
154,214
(32,889)
121,325
250,247
2,379
¥ 247,868
129,090
(13,422)
115,668
300,161
2,417
¥ 297,744
6,296
(1,883)
302
17,636
(35,489)
589
(12,549)
252,478
121,183
4,025
125,208
127,270
3,108
¥ 124,162
単位:円
1 株当たり金額(注記 2)
1 株当たり当期純利益
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益
1 株当たり配当金
単位:千米ドル
(注記 1)
2012 年 3 月期
¥
157.29
157.26
180.00
¥
314.01
313.96
180.00
¥
377.19
377.14
180.00
76,780
(22,963)
3,683
215,073
(432,793)
7,183
(153,037)
3,079,000
1,477,841
49,086
1,526,927
1,552,073
37,902
$ 1,514,171
単位:米ドル
(注記 1)
$
1.92
1.92
2.20
連結財務諸表注記をご参照ください 。
連結包括利益計算書
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期
単位:百万円
少数株主損益調整前当期純利益
その他の包括利益(注記 4)
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益計
包括利益(注記 4)
(内訳)
親会社株主に係る包括利益
少数株主に係る包括利益
連結財務諸表注記をご参照ください 。
96
Takeda Annual Report 2012
単位:千米ドル
(注記 1)
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥127,270
¥ 250,247
¥–
$1,552,073
13,088
(16)
(74,881)
(66)
(61,875)
¥ 65,395
(17,099)
(140)
(119,998)
1,540
(135,697)
¥ 114,550
–
–
–
–
–
¥–
159,610
(195)
(913,183)
(805)
(754,573)
$ 797,500
¥ 62,199
3,196
¥ 112,555
1,995
¥–
–
$ 758,524
38,976
連結株主資本等変動計算書
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期
単位:千株
流通株式数
期首残高
自己株式の取得
自己株式の処分
期末残高
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
株主資本
資本金
期首残高
期末残高
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
¥
¥
63,541
63,541
¥
¥
63,541
63,541
¥
¥
63,541
63,541
$
$
774,890
774,890
資本剰余金
期首残高
期末残高
¥
¥
49,638
49,638
¥
¥
49,638
49,638
¥
¥
49,638
49,638
$
$
605,341
605,341
789,371
(4)
47
789,414
789,380
(13)
4
789,371
789,363
(9)
26
789,380
単位:千米ドル
(注記 1)
2012 年 3 月期
単位:百万円
利益剰余金
期首残高
当期純利益
配当金
1 株当たり配当金:2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
自己株式の処分
期末残高
自己株式
期首残高
取得額
処分額
期末残高
株主資本合計
期末残高
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金
期首残高
純増減
期末残高
繰延ヘッジ損益
期首残高
純増減
期末残高
180.00 円(2.20 米ドル)
180.00 円
182.00 円
¥2,272,067
124,162
(142,104)
¥2,166,303
247,868
(142,102)
¥2,012,251
297,744
(143,680)
$27,708,134
1,514,171
(1,732,975)
(50)
¥2,254,075
(2)
¥2,272,067
(12)
¥2,166,303
(610)
$27,488,720
¥
¥
¥
$
¥
(1,014)
(16)
222
(808)
¥
(980)
(51)
17
(1,014)
¥
(1,068)
(34)
122
(980)
$
(12,366)
(195)
2,707
(9,854)
¥2,366,446
¥2,384,232
¥2,278,502
$28,859,097
¥
¥
91,037
(17,093)
73,944
¥
$
157
(140)
17
¥
¥
¥
¥
73,944
13,102
87,046
17
(15)
2
¥
¥
¥
¥
¥
79,415
11,622
91,037
901,756
159,781
$ 1,061,537
215
(58)
157
$
$
207
(183)
24
為替換算調整勘定
期首残高
純増減
期末残高
¥ (366,604)
(75,049)
¥ (441,653)
¥ (248,523)
(118,081)
¥ (366,604)
¥ (192,627)
(55,896)
¥ (248,523)
$ (4,470,780)
(915,232)
$ (5,386,012)
その他の包括利益累計額合計
期末残高
¥ (354,605)
¥ (292,643)
¥ (157,329)
$ (4,324,451)
¥
334
170
504
¥
166
168
334
¥
86
80
166
$
44,733
14,788
59,521
¥
43,407
1,326
44,733
¥
42,389
1,018
43,407
$
新株予約権(注記 13)
期首残高
純増減
期末残高
少数株主持分
期首残高
純増減
期末残高
純資産合計
期末残高
¥
¥
¥
¥2,071,866
¥
¥
¥2,136,656
¥
¥
¥2,164,746
$
$
4,073
2,073
6,146
545,524
180,343
725,867
$25,266,659
連結財務諸表注記をご参照ください 。
Takeda Annual Report 2012
97
連結キャッシュ・フロー計算書
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期
単位:百万円
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益
営業活動によるキャッシュ・フロー への調整
法人税等の支払額
減価償却費
減損損失
固定資産除売却損益
持分法による投資損益
のれん償却費
資産・負債増減額
売上債権の増減額
棚卸資産の増減額
仕入債務の増加額
その他
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
有価証券の取得による支出
有価証券の売却及び償還による収入
定期預金の預入による支出
定期預金の払戻による収入
有形固定資産の取得による支出
有形固定資産の売却による収入
投資有価証券の取得による支出
投資有価証券の売却による収入
連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出
連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入
その他
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金の純増減額
長期借入れによる収入
長期借入金の返済による支出
社債の発行による収入
自己株式取得による支出
配当金の支払額
その他
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額
現金及び現金同等物の期首残高
現金及び現金同等物の期末残高
キャッシュ・フローに関する追加情報
支払利息
子会社株式の取得に伴い増加した資産及び負債の主な内訳
流動資産
固定資産
のれん
流動負債
固定負債
少数株主持分
株式の取得価額
現金及び現金同等物
差引:取得による支出
連結財務諸表注記をご参照ください 。
98
Takeda Annual Report 2012
¥
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
252,478
¥ 371,572
¥ 415,829
単位:千米ドル
(注記 1)
2012 年 3 月期
$ 3,079,000
(152,077)
127,967
234
(16,796)
808
22,227
(141,824)
92,592
4,479
862
(397)
14,130
(138,656)
99,755
–
1,352
9
15,070
(1,854,598)
1,560,573
2,854
(204,829)
9,854
271,061
13,782
49,312
1,631
37,004
336,570
(20,261)
(557)
11,658
(5,316)
326,938
16,695
(7,370)
4,823
(26,339)
381,168
168,073
601,366
19,890
451,268
4,104,512
(87)
368
(2,190)
2,567
(61,904)
21,058
(485)
121
(1,040,017)
–
(13,395)
(1,093,964)
(3,658)
16,755
(1,140)
17,000
(124,165)
690
(396)
4,217
–
3,411
(11,969)
(99,255)
(15,850)
6,659
(27,000)
10,000
(86,960)
753
(1,196)
6,549
(6,882)
–
(3,594)
(117,521)
(1,061)
4,488
(26,707)
31,305
(754,927)
256,805
(5,915)
1,476
(12,683,134)
–
(163,354)
(13,341,024)
239,801
110,000
(72)
189,568
(16)
(142,013)
(3,479)
393,789
(54,858)
(418,463)
872,710
¥ 454,247
(663)
1,250
(1,250)
–
(50)
(142,055)
(3,776)
(146,544)
(60,909)
20,230
852,480
¥ 872,710
(1,137)
–
–
–
(34)
(143,554)
(3,321)
(148,046)
(21,203)
94,398
758,082
¥ 852,480
2,924,402
1,341,463
(878)
2,311,805
(195)
(1,731,866)
(42,426)
4,802,305
(669,000)
(5,103,207)
10,642,805
$ 5,539,598
¥
¥
1,329
¥
1,424
$
¥
–
–
–
–
–
–
–
–
–
¥
1,186
9,298
1,480
(1,583)
(3,245)
–
7,136
(254)
6,882
$ 3,685,585
9,778,768
4,810,207
(1,728,463)
(3,201,085)
(159,951)
13,185,061
(501,927)
$ 12,683,134
¥
1,851
302,218
801,859
394,437
(141,734)
(262,489)
(13,116)
1,081,175
(41,158)
¥ 1,040,017
¥
¥
22,573
連結財務諸表注記
武田薬品工業株式会社および子会社 2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期
1. 連結財務諸表作成基準
この連結財務諸表は 、日本の金融商品取引法の規定および関連する会計基準および日本において一般に公正妥当と認められた会計原
則(国際財務報告基準が要求する会計手法、開示原則とは異なる面があります)
に基づき作成されております。
在外子会社の財務諸表は 、国際財務報告基準、または米国で一般に公正妥当と認められた会計原則に基づき作成された上、
「連結財務
諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」を適用し、以下 5 項目については重要性がない場合を除き、連結財務諸
表作成過程において、日本基準に修正することが求められております。
(1)のれんの償却
(2)退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理
(3)研究開発費の支出時費用処理
(4)投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価
(5)少数株主損益の会計処理
この連結財務諸表では、日本において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づき作成され、金融商品取引法の要請にしたがい管轄
財務局に提出された連結財務諸表を組替えて表示しております。表示については、国内で要求されていない追加的な情報も記載されて
おります。ただし、国内で要求されている注記情報のうち、財務諸表の適正開示の観点から不要と認められるものは、この連結財務諸表
には記載されておりません。
この連結財務諸表には 、海外の読者の便宜のために、2012 年 3 月 31 日現在におけるおよその為替レート、1 米ドル=82 円で米国ド
ルへ換算した金額を付しております。この換算は、期末日時点、または将来においても実際に日本円金額を当該あるいは他のレートで米
国ドルへ交換できることを意味するものではありません。
2. 重要な会計方針の概要
連結の原則
この連結財務諸表は 、当社と全ての子会社(併せて「当社グループ」)
を連結しております。支配力基準および影響力基準のもとで 、当
社が直接的または間接的に意思決定機関を支配している会社は連結し、当社グループが重要な影響を及ぼすことのできる会社には持分
法を適用しております。連結にあたって、連結会社間の重要な残高、取引および未実現利益は全て消去されております。
2010 年 3 月期中に、当社は、新たに設立した 6 社の子会社と株式取得により子会社となった 3 社を連結の範囲に加えました。また、子
会社の清算により子会社数は 3 社減少しました。
2011 年 3 月期中に、当社は、新たに設立した5 社の子会社と、従来持分法を適用していた関連会社の株式を追加取得したことにより子
会社となった 1 社を連結の範囲に加えました。
2012 年 3 月期中に、当社は新たに設立した 1 社の子会社と株式取得により子会社となった 94 社を連結の範囲に加え、株式取得等によ
り関連会社となった 2 社に持分法を適用しました。また、子会社の清算等により子会社数は 9 社減少しました。
連結子会社のうち広東テックプー ル・バイオファーマ Co. Ltd. 、武田(中国)投資有限公司、武田薬品(中国)有限公司および天津武田
薬品有限公司等の決算日は 12 月 31 日です。連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用
しております。
見積りの使用
当社は連結財務諸表を作成するために、種々 の仮定と見積りを行っております。それらの仮定と見積りは資産および負債の計上金額、
ならびに偶発資産および債務の開示情報に影響を及ぼします。実際の結果が、これらの見積りと異なる場合もあります。
現金同等物
現金同等物は、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資です。現金同等物は、取得日より
3ヶ月以内に満期が到来する定期預金、譲渡性預金、コマーシャルペーパーなどの短期投資からなります。
Takeda Annual Report 2012
99
有価証券および投資有価証券
有価証券および投資有価証券等について、経営者の意図にしたがって下記のように分類しております。
i )売買目的有価証券 短期間で売買することを目的に保有する有価証券で、市場価格により評価し、未実現利益又は損失は損益に含
めております。
ii )満期保有目的の債券 満期まで保有する意思と能力を有して保有する有価証券で、償却原価により評価しております。
iii )その他有価証券 前述のいずれにも分類されない有価証券で、市場価格により評価し、未実現利益又は損失は税効果を考慮した額
を純資産の部の独立項目として表示しております。
売却原価は移動平均法により算定しております。
時価のないその他有価証券は移動平均法に基づく取得原価により評価しております。その他有価証券の一時的でない価値の下落があっ
た場合には、正味実現可能価額まで評価減を行い、損益に計上しております。
棚卸資産
総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
により棚卸資産を評価しております。
有形固定資産および賃貸用不動産
有形固定資産および賃貸用不動産は取得原価で表示しております。当社・国内子会社の有形固定資産および賃貸用不動産の減価償却
費は 、主として定率法で算出しております。1998 年 4 月 1 日以降に国内の会社が取得した建物については定額法で算出しております。
また、海外の子会社は、主として定額法によっています。耐用年数は、建物および構築物が 5 年から50 年、機械装置および運搬具が 2 年
から15 年となっております。
また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産について、リース期間に基づく定額法を採用しております。
のれん
買収した事業の取得価額が当該事業の時価評価された資産および負債の純額を超過する部分をのれんとして計上しており、定額法によ
り主として 20 年間で償却しております。
特許権および販売権
特許権および販売権は定額法により償却し、償却期間は利用可能期間に基づいております。
固定資産の減損
当社は、減損の兆候がある場合には資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかを判定しております。減損の兆候があ
る場合に、当該資産又は資産グループの帳簿価額が、資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる割
引前の将来キャッシュ・フロー の総額を超過する場合には減損損失を認識しております。減損損失を認識すべきであると判定された資産
又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額、すなわち資産の継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来
キャッシュ・フローの割引現在価値と正味売却価額のいずれか高いほうの金額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
退職給付引当金
当社および国内子会社の従業員は 、退職時の給与、勤続年数、その他の要素に基づいて計算された退職一時金または年金を受け取る
権利を有しております。
当社および国内子会社は企業会計審議会により発行された「退職給付に係る会計基準」を適用し、期末日における退職給付債務および
年金資産に基づいて退職給付引当金を計上しております。
数理計算上の差異は、従業員の平均残存勤務期間以内の一定年数(概ね5 年)
で、主として定額法により按分した額をそれぞれその発生
した年度から償却しております。
過去勤務債務は、主に定額法により、従業員の平均残存勤務期間以内の一定年数(概ね 5 年)
で償却しております。
また、一部の連結子会社の取締役および監査役に対する退職慰労金の支出に備えるため、会社内規に基づく期末要支給額を退職給付引
当金に含めて計上しております。
連結財務諸表において、取締役および監査役に対する引当額は、固定負債の部の退職給付引当金として表示しております。
100
Takeda Annual Report 2012
スモン訴訟填補引当金
当社は 、当社が販売した医薬品によりスモンに罹患し損害を受けたとして 、日本政府および他の製薬会社とともに提訴されてきました
が、1996 年 12 月 25 日をもって全ての原告患者との間で和解が成立しました。
当社は、成立した和解の内容にしたがい、対象者の余命にわたり支払われる諸手当の将来の支払見積額を、連結財務諸表に引当計上し
ております。
研究開発費
研究開発費は発生時に費用計上しております。
外貨換算
当社および国内子会社は企業会計審議会により発行された「外貨建取引等会計処理基準」を適用しております。全ての外貨建金銭債権・
債務は期末日レートにより、収益および費用は発生時レートにより換算しております。また、換算により生じる利益又は損失は発生時の損
益に計上しております。
在外子会社および関連会社の資産・負債項目は期末日レートにより、収益・費用項目は期中平均レートにより換算しております。
これらの換算によって生じる差異は、その他の包括利益累計額の独立項目である「為替換算調整勘定」
として表示しております。
法人税等
法人税等は、資産・負債法に基づいて計上しており、財務諸表での資産および負債の計上額とそれらに対応する税務上の金額との差異、
ならびに繰越欠損金および繰越外国税額控除に関する将来の見積税額について 、繰延税金資産および負債を認識しております。繰延税
金資産および負債については、これらの一時差異が解消すると見込まれる会計期間の税率に基づいて計算しております。税率の変更を伴
う繰延税金資産および負債への影響額は、改正税法の公布日を含む会計年度の損益として認識しております。
日本における法人事業税には、外形標準課税が含まれており、当該課税額は利益に関連する金額を課税標準とはしておりません。外形
標準課税については 、
「法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い」
(2004 年 2 月 13 日
企業会計基準委員会)
にしたがい、販売費及び一般管理費に含めて表示しております。
在外子会社および関連会社の未分配利益については、将来、日本に配当されないと見込まれる金額を除き、繰延税金負債を認識してお
ります。
デリバティブ取引
当社グループは為替レートおよび金利の変動リスクをヘッジしております。当社グループでは為替レートおよび金利に関するリスクを軽
減するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引および金利オプション取引を利用しております。当社グループ
は、デリバティブ取引を投機目的では利用しておりません。
デリバティブは時価により評価し、繰延ヘッジ処理を適用しております。デリバティブ取引がヘッジ目的として使われ、かつ、一定のヘッ
ジの要件を満たしている場合には、時価の変動による損益の認識が繰り延べられます。一定の基準を満たす為替予約等については、振当
処理を行っております。この振当処理では、為替予約に基づく換算レートにより資産、負債を換算しております。特例処理の要件を満たす
金利スワップは時価評価せず、その金銭の受払の純額を、関連する借入金利息に加減して処理しております。
剰余金処分
各年度の剰余金処分は株主総会での承認を受けて、次年度の連結財務諸表に反映されております。
1 株当たり金額
1 株当たり当期純利益は、普通株主に帰属する当期純利益を加重平均発行済普通株式数で除して算出しております。2012 年、2011
年および 2010 年 3 月期の 1 株当たり当期純利益の算出に使用した株式数は、それぞれ 789,399 千株、789,376 千株、789,373 千
株です。
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益は、新株予約権の行使により普通株式が発行される場合に生じる希薄化を考慮したものです。
「 3. 会計方針の変更」に記載のとおり、当年度より、
「 1 株当たり当期純利益に関する会計基準」
(企業会計基準第 2 号 平成 22 年 6 月
(企業会計基準適用指針第 4 号 平成 22 年 6 月 30 日)
を適用しており、
30 日)及び「 1 株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益金額の算定方法を一部変更しております。
Takeda Annual Report 2012
101
本会計方針の変更を前年度の期首より遡及適用し、前年度は遡及適用後の数値を表示しております。
2012 年、2011 年および2010 年 3 月期の潜在株式調整後の 1 株当たり当期純利益の算出に使用した株式数は、それぞれ789,534
千株、789,485 千株、789,470 千株です。
連結財務諸表における1 株当たりの現金配当額は 、当該年度に支払われる中間配当と決算期終了後に支払われる期末配当を含んでお
ります。
組替
この連結財務諸表を作成するにあたり、国内で発行された 2012 年 3 月期の連結財務諸表を一部組み替えております。また、2010 年
および 2011 年 3 月期の連結財務諸表もこれに合わせて組み替えております。
3. 会計方針の変更
「持分法に関する会計基準」及び「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」の適用
前年度より、
「持分法に関する会計基準」
(企業会計基準第 16 号 平成 20 年 3 月 10 日公表分)及び「持分法適用関連会社の会計処理に
関する当面の取扱い」
(実務対応報告第 24 号 平成 20 年 3 月 10 日)
を適用しております。
これによる前年度における税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。
「資産除去債務に関する会計基準」等の適用
前年度より、
「資産除去債務に関する会計基準」
(企業会計基準第 18 号 平成 20 年 3 月 31 日)及び「資産除去債務に関する会計基準の
適用指針」
(企業会計基準適用指針第 21 号 平成 20 年 3 月 31 日)
を適用しております。
これによる前年度における営業利益、及び税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。
「企業結合に関する会計基準」等の適用
前年度より、
「企業結合に関する会計基準」
( 企業会計基準第 21 号 平成 20 年 12 月26 日)
、
「連結財務諸表に関する会計基準」
( 企業会
計基準第 22 号 平成 20 年 12 月 26 日)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
(企業会計基準適用指針第
10 号 平成 20 年 12 月 26 日)を適用しております。
なお、これらの適用により、子会社の資産及び負債の評価方法を部分時価評価法から全面時価評価法へ変更しております。当該変更に
よる前年度における資産、負債又は損益に与える影響はありません。
「包括利益の表示に関する会計基準」等の適用
前年度より、
「包括利益の表示に関する会計基準」
( 企業会計基準第25 号 平成22 年6 月30 日)及び「連結財務諸表に関する会計基準」
(企業会計基準第 22 号 平成 22 年 6 月 30 日改正)
を適用しております。
これらの適用により、前年度より連結財務諸表に包括利益計算書を表示しております。
ただし、
「その他の包括利益累計額」及び「その他の包括利益累計額合計」の過年度の金額は、
「評価・換算差額等」及び「評価・換算差額
等合計」の金額を記載しております。
「 1 株当たり当期純利益に関する会計基準」等の適用
当年度より、
「 1 株当たり当期純利益に関する会計基準」
( 企業会計基準第 2 号 平成 22 年 6 月30 日)及び「 1 株当たり当期純利益に関す
る会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 4 号 平成 22 年 6 月 30 日)
を適用しており、潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益金
額の算定方法を一部変更しております。
本会計方針の変更を前年度の期首より遡及適用し、前年度は遡及適用後の数値を表示しておりますが、この変更による影響は軽微であ
ります。
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」等の適用
当年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤謬の訂正より、
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」
(企業会計
基準第 24 号 平成 21 年 12 月 4 日)及び「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 24 号
平成 21 年 12 月 4 日)
を適用しております。
102
Takeda Annual Report 2012
4. 包括利益
2010 年 3 月 31 日現在における包括利益は次のとおりです。
単位:百万円
包括利益
¥253,412
2,359
¥255,771
親会社株主に係る包括利益
少数株主に係る包括利益
包括利益計
単位:百万円
その他の包括利益
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益計
¥ 11,687
(59)
(56,134)
115
¥(44,391)
当年度のその他の包括利益に係る組替調整額及び税効果額は次のとおりです。
単位:百万円
単位:千米ドル
¥ 15,798
(56)
15,742
(2,654)
13,088
$ 192,659
(683)
191,976
(32,366)
159,610
780
(807)
(27)
11
(16)
9,512
(9,841)
(329)
134
(195)
(74,881)
(913,183)
(66)
¥(61,875)
(805)
$(754,573)
その他有価証券評価差額金
当期発生額
組替調整額
税効果調整前
税効果額
その他有価証券評価差額金
繰延ヘッジ損益
当期発生額
組替調整額
税効果調整前
税効果額
繰延ヘッジ損益
為替換算調整勘定
当期発生額
持分法適用会社に対する持分相当額
当期発生額
その他の包括利益合計
5. 企業結合
取得による企業結合
(1)企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
被取得企業の名称
Nycomed A/S
事業の内容
医薬品の製造・販売・研究・開発
② 企業結合を行った主な理由
本件は、当社グループの持続的成長の実現に向けた基本戦略を大きく前進させるものであり、当社が高いプレゼンスを有する日本
及び米国の事業に、Nycomed 社が広く自社販路を有する欧州及び高い成長を続ける新興国の事業基盤が加わり、当社の開発力・
販売力が強化され、当社の製品・パイプラインのポテンシャルが一段と高まることになります。また、買収初年度から安定的なキャッ
シュ・フローを当社にもたらし、加えて、Nycomed 社のグローバルに活躍する多様な人材が加わることにより、企業文化の変革を
推進することを期待するものであります。
Takeda Annual Report 2012
103
③ 企業結合日
2011 年 9 月 30 日(欧州時間)
④ 企業結合の法的形式
現金を対価とした株式の取得
⑤ 結合後企業の名称
Nycomed A/S
⑥ 取得した議決権比率
100%
⑦ 取得企業を決定するに至った主な根拠
当社が Nycomed A/S の議決権の 100% を取得するものであり、当社を取得企業としております。
(2)連結財務諸表に含まれている被取得企業の業績の期間
2011 年 10 月 1 日から2012 年 3 月 31 日まで
(3)被取得企業の取得原価及びその内訳
取得の対価(現金)
(9,573,074 千ユーロ)
取得に直接要した費用(アドバイザリー費用等)
取得原価
単位:百万円
単位:千米ドル
¥1,063,337
3,089
¥1,066,426
$12,967,524
37,671
$13,005,195
(4)発生したのれんの金額、償却方法及び償却期間
① 発生したのれんの金額
389,031 百万円(4,744,280 千米ドル)
② 償却方法及び償却期間
20 年間にわたる均等償却
(5)企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額並びにその主な内訳
流動資産
固定資産
資産計
流動負債
固定負債
負債計
単位:百万円
単位:千米ドル
¥ 301,936
1,173,476
¥1,475,412
$ 3,682,146
14,310,683
$17,992,829
¥ 141,340
254,530
¥ 395,870
$ 1,723,659
3,104,024
$ 4,827,683
取得原価の配分において、のれん以外に、無形固定資産として 697,065 百万円(8,500,793 千米ドル)配分しており、無形固定資産
については利用可能期間に基づき償却しております。
(6)企業結合が当連結会計年度の開始の日に完了したと仮定した場合の当連結会計年度の連結損益計算書に及ぼす影響の概算額及びそ
の算定方法
単位:百万円
売上高
営業利益
¥166,063
(3,363)
単位:千米ドル
$2,025,159
(41,012)
これらの影響額は、Nycomed 社の 2011 年 4 月1 日から2011 年 9 月30 日までの業績及び当該期間に係る無形資産及びのれんの償
却額等から試算したものです。
なお、当該注記は監査証明を受けておりません。
104
Takeda Annual Report 2012
6. 金融商品の時価の開示
1. 金融商品の状況に関する事項
(1)金融商品に対する取組方針
当社グループは、当年度において企業買収に必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。資金運用については事業へ
の再投資に必要な資金・流動性の保全を目的としており、格付の高い短期の銀行預金及び債券等に限定して運用する方針であります。
デリバティブは、後述するリスクを回避することを目的とし、実需の範囲で行うこととしております。
(2)金融商品の内容及びそのリスク
営業債権である受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクにさらされております。また、グローバルに事業を展開していることから生
じている外貨建ての営業債権は、為替の変動リスクにさらされております。投資有価証券は、主に取引先企業の株式及び純投資を目
的とする株式であり、市場価格の変動リスクにさらされております。
営業債務である買掛金は、その一部に原料等の輸入に伴う外貨建てのものがあり、為替の変動リスクにさらされております。
借入金及び社債は企業買収資金の調達を目的としたものであり、一部は金利の変動リスクにさらされております。償還日は決算日後、
最長で 6 年後です。
デリバティブ取引は、これら外貨建ての営業債権債務に係る為替の変動リスク及び、負債の金利変動リスクに対するヘッジ取引を目的
としたものであり、先物為替予約取引、金利スワップ取引等からなっております。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、
ヘッジ方針、ヘッジの有効性評価の方法等については、
「 2. 重要な会計方針の概要」の「デリバティブ取引」をご覧ください。
(3)金融商品に係るリスク管理体制
① 信用リスク
(取引先の契約不履行等に係るリスク)
の管理
当社は 、債権管理に係る社内規程に従い 、営業債権について 、取引先ごとに期日管理及び残高管理を行うとともに、主要な取引先
の信用状況を定期的に把握し、回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
グループの手元資金につきましては、その大部分を、プーリングを通じて当社及び米欧の持株会社に集中しております。この資金
は 、資金運用に係る社内規程に従い 、格付の高い短期の銀行預金及び債券等に限定し、格付・運用期間などに応じて設定している
限度額に基づいて運用しているため、信用リスクは僅少であります。プーリングの対象としていない資金につきましては、連結子
会社において当社の規程に準じた管理を行っております。
デリバティブ取引の利用にあたっては、カウンターパーティーリスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行ってお
ります。
当年度の連結決算日現在における最大の信用リスク額は、信用リスクにさらされる金融資産の貸借対照表価額により表されております。
② 市場リスク
(為替や金利等の変動リスク)
の管理
当社は、原則として本社と在外子会社との取引は現地通貨建てとし、子会社には為替リスクを負わせず、本社で一元管理しておりま
す。本社でさらされている為替リスクは、翌年度の事業計画が確定した時点において、翌年度に確実に発生すると見込まれる外貨
建て営業債権債務等について 、通貨別・月別に把握された債権債務等をネットしたポジションについて先物為替予約等を利用して
ヘッジしております。また、負債の金利変動リスクは将来の金融損益に係るキャッシュ・フロー の一部について金利スワップ取引を
利用してヘッジしております。
上記先物為替予約取引等を含め、デリバティブ取引については、取引権限や限度額等を定めた社内規程に基づき、経営管理部が取
引を行い 、経営管理部とは別の組織である会計センター が記帳及び契約先との残高照合等を行っております。連結子会社におい
ても、当社の規程に準じた管理を行っております。
投資有価証券については、定期的に時価や発行体の財務状況等を把握するとともに、発行体が取引先企業である場合には、当該企
業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
(4)金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額のほか、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。当該価
額の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、当該価額が変動することもあります。
Takeda Annual Report 2012
105
2. 金融商品の時価等に関する事項
2012 年及び 2011 年 3 月 31 日における連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については 、次のとおりであります。なお 、
時価を把握することが極めて困難と認められるものは、次表には含めておりません((注 2)
をご参照ください)
。
単位:百万円
2012 年 3 月期
資産
( 1)現金及び現金同等物
( 2)短期投資
( 3)受取手形及び売掛金 ※ 1
( 4)有価証券及び投資有価証券
負債
( 5)支払手形及び買掛金 ※ 2
( 6)短期借入金
( 7)社債(長期負債)
( 8)長期借入金(長期負債)
デリバティブ取引
(9)
デリバティブ取引 ※ 3
連結貸借対照表
計上額
時価
¥454,247
628
344,679
176,307
¥454,247
628
344,679
176,307
101,949
241,411
190,000
111,393
101,949
241,411
189,633
111,407
(21)
差額
¥
−
−
−
−
−
−
(367)
14
171
192
単位:百万円
2011 年 3 月期
資産
( 1)現金及び現金同等物
( 2)短期投資
( 3)受取手形及び売掛金 ※ 1
( 4)有価証券及び投資有価証券
負債
( 5)支払手形及び買掛金 ※ 2
( 6)短期借入金
( 7)社債(長期負債)
( 8)長期借入金(長期負債)
デリバティブ取引
(9)
デリバティブ取引 ※ 3
連結貸借対照表
計上額
時価
差額
¥872,710
1,140
293,995
156,315
¥872,710
1,140
293,995
156,315
¥−
83,064
1,345
13
1,250
83,064
1,345
13
1,250
−
−
−
−
479
480
1
−
−
−
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
資産
( 1)現金及び現金同等物
( 2)短期投資
( 3)受取手形及び売掛金 ※ 1
( 4)有価証券及び投資有価証券
負債
( 5)支払手形及び買掛金 ※ 2
( 6)短期借入金
( 7)社債(長期負債)
( 8)長期借入金(長期負債)
デリバティブ取引
(9)
デリバティブ取引 ※ 3
連結貸借対照表
計上額
時価
$5,539,598
7,659
4,203,402
2,150,085
$5,539,598
7,659
4,203,402
2,150,085
1,243,280
2,944,037
2,317,073
1,358,451
1,243,280
2,944,037
2,312,598
1,358,622
(256)
※ 1 連結貸借対照表上の「受取手形」、
「売掛金」および「関連会社に対する売上債権」を「受取手形及び売掛金」として合算しております。
※ 2 連結貸借対照表上の「支払手形」、
「買掛金」および「関連会社に対する仕入債務」を「支払手形及び買掛金」として合算しております。
※ 3 デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる場合は( )
で表示する方法によっております。
106
Takeda Annual Report 2012
2,085
差額
$
−
−
−
−
−
−
(4,475)
171
2,341
(注 1)金融商品の時価の算定方法ならびに有価証券及びデリバティブ取引に関する事項
(1)現金及び現金同等物、ならびに
(2)短期投資
これらは短期間に決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。現金及び現金同等
物に含まれたコマーシャルペーパー、債券投資信託、債券現先等の短期投資は、取引所の価格または取引先金融機関から提示
された価格によっております。
(3)受取手形及び売掛金
これらは短期間に決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。
(4)有価証券及び投資有価証券
これらの時価について、株式は取引所の価格によっており、債券は取引所の価格または取引先金融機関から提示された価格に
よっております。
(5)支払手形及び買掛金
これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。
(6)短期借入金
これらの時価については、短期間で市場金利を反映しており、時価は帳簿価額とほぼ等しいことから、当該帳簿価額によってお
ります。
(7)社債
これらの時価については、取引金融機関から提示された価格によっております。
(8)長期借入金
これらの時価のうち、変動金利によるものは、短期間で市場金利を反映しており、時価は帳簿価額とほぼ等しいことから当該帳
簿価額によっております。固定金利によるものは、元利金の合計額を同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引
いて算定する方法によっております。
(9)
デリバティブ取引
これらの時価について、取引先金融機関から提示された価格によっております。
(注 2)時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品
以下については、市場価格がなく、時価を把握することが極めて困難と認められるため、
「(4)有価証券及び投資有価証券」には含
めておりません。
非上場株式※
その他
単位:百万円
単位:千米ドル
連結貸借対照表
計上額
連結貸借対照表
計上額
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥10,827
312
¥8,804
267
$132,037
3,805
※ 2012 年及び 2011 年 3 月期において、それぞれ関連会社に対する投資 8,304 百万円(101,268 千米ドル)
、6,215 百万円が含まれております。
Takeda Annual Report 2012
107
(注 3)金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額
単位:百万円
2012 年 3 月期
現金及び現金同等物
短期投資
受取手形及び売掛金
1 年超
5 年超
1 年以内
5 年以内
10 年以内
10 年超
¥454,257
628
344,679
¥ −
¥−
¥−
−
−
−
−
−
−
−
71
−
−
①公社債
−
−
−
−
②その他
−
−
−
−
¥799,564
¥71
¥−
¥−
1 年超
5 年超
有価証券及び投資有価証券
満期保有目的の債券
その他有価証券のうち満期があるもの
計
単位:百万円
2011 年 3 月期
現金及び現金同等物
短期投資
受取手形及び売掛金
1 年以内
5 年以内
10 年以内
10 年超
¥ 872,760
1,140
293,995
¥ −
¥−
¥−
−
−
−
−
−
−
−
71
−
−
有価証券及び投資有価証券
満期保有目的の債券
その他有価証券のうち満期があるもの
①公社債
−
−
−
−
②その他
368
¥1,168,263
−
−
−
¥71
¥−
¥−
1 年超
5 年超
計
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
現金及び現金同等物
短期投資
受取手形及び売掛金
1 年以内
10 年以内
10 年超
−
$−
$−
−
−
−
−
−
−
−
866
−
−
①公社債
−
−
−
−
②その他
−
−
−
−
$9,750,780
$866
$−
$−
$5,539,719
7,659
4,203,402
5 年以内
$
有価証券及び投資有価証券
満期保有目的の債券
その他有価証券のうち満期があるもの
計
108
Takeda Annual Report 2012
7. 有価証券および投資有価証券
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における有価証券および投資有価証券の取得原価および時価は次のとおりです。
単位:百万円
2012 年 3 月期
有価証券
売買目的有価証券
その他有価証券
持分証券
負債証券
満期保有目的の債券
取得原価
¥
未実現利益
¥
−
未実現損失
¥
−
33,576
6,809
71
136,473
取得原価
時価
¥
−
−
74
548
−
−
未実現利益
未実現損失
−
169,975
6,261
71
単位:百万円
2011 年 3 月期
有価証券
売買目的有価証券
その他有価証券
持分証券
負債証券
満期保有目的の債券
¥
¥
−
¥
−
時価
¥
−
32,968
2,779
71
120,598
101
−
−
−
−
取得原価
未実現利益
未実現損失
−
153,465
2,779
71
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
有価証券
売買目的有価証券
その他有価証券
持分証券
負債証券
満期保有目的の債券
$
−
409,463
83,037
866
$
−
1,664,305
$
−
−
902
6,684
−
−
時価
$
−
2,072,866
76,353
866
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における関連会社への投資は次のとおりです。
投資額
未分配利益のうち持分相当額
計
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥2,916
5,388
¥8,304
¥ 417
5,798
¥6,215
$ 35,561
65,707
$101,268
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在ならびに過去 3 年間の持分法適用関連会社についての財務情報の概要は次のとおりです。
流動資産
その他の資産
計
流動負債
その他の負債
純資産
売上高
当期純利益
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥36,411
9,572
45,983
19,427
2,168
¥24,388
¥31,900
8,221
40,121
16,334
2,111
¥21,676
$444,036
116,732
560,768
236,914
26,439
$297,415
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥60,376
2,112
¥60,166
2,544
¥62,591
2,613
$736,293
25,756
Takeda Annual Report 2012
109
関連会社に対する売上高および仕入高は次のとおりです。
売上高
仕入高
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥7,781
7,866
¥8,756
7,120
¥10,123
10,814
$94,890
95,927
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 93,514
52,594
48,905
¥195,013
¥ 59,668
39,899
37,560
¥137,127
$1,140,415
641,390
596,402
$2,378,207
8. 棚卸資産
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における棚卸資産は次のとおりです。
製品・商品
仕掛品
原材料・貯蔵品
計
9. 短期借入金および長期負債
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における短期銀行借入加重平均利率はそれぞれ 0.2% 、1.3% です。
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における長期負債の明細は次のとおりです。
2012 年 3 月期
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
無担保社債
[返済期限:2016 年∼ 2018 年 3 月期、
加重平均利率 2012 年 0.4% ]
¥190,000
¥
−
$2,317,073
110,143
−
1,343,207
1,250
111,393
1,250
1,250
15,244
1,358,451
18,717
320,110
2,249
¥317,861
17,374
18,624
2,237
¥16,387
228,257
3,903,781
27,427
$3,876,354
無担保借入金(借入先:銀行等金融機関)
[返済期限:2014 年∼ 2018 年 3 月期、
加重平均利率 2012 年 0.5% ]
担保付借入金(借入先:銀行等金融機関)
[返済期限:2016 年 3 月期、
加重平均利率 2012 年 1.7% 、2011 年 1.7% ]
長期借入金計
リース債務
[返済期限:2013 年∼ 2041 年 3 月期、
加重平均利率 2012 年 4.7% 、2011 年 5.2% ]
計
1 年内返済分
差引長期負債計
110
Takeda Annual Report 2012
2012 年 3 月 31 日現在における長期負債の年度別返済額は次のとおりです。
単位:百万円
2013 年 3 月期
2014 年 3 月期
2015 年 3 月期
2016 年 3 月期
2017 年 3 月期
2018 年 3 月期以降
¥
2,249
4,291
2,457
103,248
61,711
146,154
¥320,110
計
単位:千米ドル
$
27,427
52,329
29,963
1,259,122
752,573
1,782,366
$3,903,780
2012 年 3 月 31 日現在において長期負債の担保に供している資産は次のとおりです。
有形固定資産(減価償却累計額控除後)
単位:百万円
単位:千米ドル
¥4,051
$49,402
日本の慣行として、貸付銀行が求める場合は担保を差し入れる必要があります。銀行は返済期限が到来した債務について、あるいは債
務不履行やその他の特殊事情が起こった場合はあらゆる債務について 、その銀行に預け入れた預金と相殺する権利を持っています。い
かなる貸付銀行も当社グループの債務に対してこの権利を行使したことはありません。
10. リー ス
1. 2012 年 3 月期の所有権移転外ファイナンス・リース取引の状況は次のとおりです。
(1)リース資産の内容
①有形固定資産
主として、建物です。
②無形固定資産
ソフトウェアです。
(2)リース資産の減価償却の方法
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法によっています。
2. オペレーティング・リース取引
未経過リース料
1 年内
1 年超
合計
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 6,342
16,852
¥23,194
¥ 3,244
12,016
¥15,260
$ 77,342
205,512
$282,854
Takeda Annual Report 2012
111
11. 退職年金制度
当社および連結子会社は、確定給付型の制度として、企業年金基金制度および退職一時金制度を採用しており、これに加え確定拠出年
金制度も採用しております。
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における退職給付引当金は次のとおり構成されています。
退職給付債務
年金資産の公正価値
未認識数理計算上の差異
未認識過去勤務債務
小計
前払年金費用
退職給付引当金
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 263,691
(235,655)
(757)
110
¥ 27,389
(27,041)
¥ 54,430
¥ 221,256
(229,611)
(9,753)
2,265
¥ (15,843)
(32,648)
¥ 16,805
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
$ 3,215,744
(2,873,841)
(9,232)
1,341
$ 334,012
(329,768)
$ 663,780
(注)一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり、簡便法を採用しています。
退職給付費用は次のとおりとなっています。
勤務費用
利息費用
期待運用収益
数理計算上の差異の償却額
過去勤務債務の償却額
退職給付費用
確定拠出年金への掛金支払額
計
¥ 5,303
5,386
(4,792)
9,092
(2,155)
12,834
1,830
¥14,664
¥ 4,568
4,499
(4,774)
9,733
(2,853)
11,173
1,364
¥12,537
単位:百万円
単位:千米ドル
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 4,570
4,690
(4,335)
718
(2,846)
2,797
1,421
¥ 4,218
$ 64,671
65,683
(58,439)
110,877
(26,280)
156,512
22,317
$178,829
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における計算基礎は次のとおりです。
2012 年 3 月期
退職給付見込額の期間配分方法
割引率
期待運用収益率
過去勤務債務の処理年数
数理計算上の差異の処理年数
2011 年 3 月期
主として期間定額基準
期間定額基準
1.0% ∼ 3.9%
1.5% ∼ 3.6%
5年
5年
1.3% ∼ 2.0%
1.5% ∼ 2.3%
5年
5年
取締役および監査役に対する退職慰労引当金は退職給付引当金に含められています。2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在におけ
る残高は、それぞれ 1,265 百万円(15,427 千米ドル)
、1,115 百万円となっています。
112
Takeda Annual Report 2012
12. 純資産
日本の会社法においては 、株式払込金の全額が資本金として計上されます。ただし、取締役会の決議により、当該金額の 2 分の 1 を超
過しない金額を資本剰余金として計上することが容認されています。
会社法では 、利益準備金(利益剰余金に含まれる)
および資本準備金(資本剰余金に含まれる)
の合計額が資本金の 25% に達するまで 、
配当金の支払時に配当額の 10% を利益準備金または資本準備金として積み立てる必要があります。商法では、資本準備金および利益準
備金の合計額のうち資本金の 25% を超える金額は、株主総会の決議により配当に充てることができましたが、会社法では、上記のような
制限なしに、資本準備金および利益準備金を減少することができます。また、会社法では、資本金、利益準備金、資本準備金、その他資本
剰余金およびその他利益剰余金は、株主総会決議により一定の条件の下で、科目間の振替を行うことが可能です。
分配可能額は、会社法の規定により個別財務諸表に基づき計算されております。
会社法では、取締役会決議により自己株式の取得、処分および消却を行うことが認められています。一定の計算式で計算された株主へ
の分配可能額を超えて自己株式を取得することはできません。また、会社法においては、自己株式だけでなく自己の新株予約権を取得す
ることも認められています。このような自己の新株予約権は純資産の部の独立した項目として表示するか、または既存の新株予約権から
直接控除します。
2011 年度、2010 年度および 2009 年度における、剰余金の配当は、それぞれの年度において支払われた配当金額です。2011 年
度の連結財務諸表には 、2012 年 6 月 26 日の株主総会において 、2011 年度の配当金として決議された 、1 株当たり90 円(1.10 米ド
ル)
、総額 71,055 百万円(866,524 千米ドル)
の現金配当は含まれていません。
13. ストック・オプション
当社は、取締役ならびにコーポレート・オフィサーおよび上級幹部に対して新株予約権を割り当てるストック・オプション報酬制度を導入
しております。2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期において、販売費及び一般管理費にそれぞれ 339 百万円(4,134 千米ドル)
、
180 百万円、180 百万円を計上しております。
2012 年 3 月 31 日現在のストック・オプションの概要は下記のとおりであります。
2012 年 3 月期
2011 年第 1 回発行新株予約権
2012 年 3 月期
2011 年第 2 回発行新株予約権
2011 年 3 月期
付与対象者の区分及び人数(名)
当社取締役 4 名
当社コーポレート・オフィサー
および上級幹部 113 名
当社取締役 5 名
株式の種類及び付与数(株)
普通株式 59,200 株
2011 年 7 月 15 日
普通株式 1,564,400 株
2011 年 7 月 15 日
普通株式 64,600 株
対象勤務期間
対象勤務期間の定めは
ありません 。
対象勤務期間の定めは
ありません 。
対象勤務期間の定めは
ありません 。
権利行使期間
自 2014 年 7 月 16 日
至 2021 年 7 月 15 日
自 2014 年 7 月 16 日
至 2031 年 7 月 15 日
自 2013 年 7 月 11 日
至 2020 年 7 月 10 日
付与対象者の区分及び人数(名)
当社取締役 5 名
当社取締役 7 名
株式の種類及び付与数(株)
普通株式 66,900 株
2009 年 7 月 10 日
普通株式 62,400 株
2008 年 7 月 11 日
対象勤務期間
対象勤務期間の定めは
ありません 。
対象勤務期間の定めは
ありません 。
権利行使期間
自 2012 年 7 月 11 日
至 2019 年 7 月 10 日
自 2011 年 7 月 12 日
至 2018 年 7 月 11 日
付与日
2010 年 3 月期
付与日
2010 年 7 月 10 日
2009 年 3 月期
(注)1. 取締役に対して付与したストック・オプションについては、権利行使期間の開始前であっても、任期満了により退任した場合その他正当な理由のある場合には、退任の日の翌日よりストック・オプションの
行使ができるものとしております。
2. コーポレート・オフィサーおよび上級幹部に対して付与したストック・オプションについては、権利行使期間の開始前であっても、任期満了により退任または定年退職した場合その他正当な理由のある場
合には、退任または退職の日の翌日よりストック・オプションの行使ができるものとしております。
Takeda Annual Report 2012
113
ストック・オプションの数の変動状況および単価の状況は、次のとおりであります。
権利確定前
2012 年 3 月期
2011 年第 1 回発行
2012 年 3 月期
2011 年第 2 回発行
新株予約権
新株予約権
2009 年 3 月期
31,900 株
−
64,600 株
66,900 株
59,200 株
1,564,400 株
−
−
−
−
−
−
−
−
11,600 株
53,000 株
12,000 株
54,900 株
31,900 株
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
5,200 株
31,900 株
23,100 株
権利確定前失効
権利確定
当期末未確定残
2010 年 3 月期
−
期首残高
付与
2011 年 3 月期
−
−
59,200 株
1,564,400 株
2012 年 3 月期
2011 年第 1 回発行
2012 年 3 月期
2011 年第 2 回発行
−
権利確定後
新株予約権
新株予約権
期首残高
−
−
−
−
権利確定
−
−
権利行使
−
−
11,600 株
11,600 株
12,000 株
12,000 株
権利確定後失効
−
−
−
−
−
当期末未行使残
−
−
−
−
14,000 株
2012 年 3 月期
2011 年第 1 回発行
2012 年 3 月期
2011 年第 2 回発行
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
新株予約権
新株予約権
¥
1
¥3,705
−
−
2,726
427
2012 年 3 月期
2011 年第 1 回発行
2012 年 3 月期
2011 年第 2 回発行
新株予約権
新株予約権
$ 0.01
$45.18
単価情報
単位:円
権利行使価格
行使時平均株価
公正な評価単価(付与日)
¥
1
3,645
3,028
¥
1
3,645
2,735
¥
1
3,353
4,395
単位:米ドル
権利行使価格
行使時平均株価
公正な評価単価(付与日)
−
−
33.24
5.21
2011 年 7 月 15 日に付与したストック・オプションの公正な評価単価の見積り方法は、次のとおりであります。
使用した算定技法
株価変動性
予定残存期間
予想配当率
無リスク利子率
2012 年 3 月期
2011 年第 1 回発行新株予約権
2012 年 3 月期
2011 年第 2 回発行新株予約権
ブラック・ショールズ式
ブラック・ショールズ式
23.62%
6.5 年
4.85%
0.57%
24.59%
11.5 年
4.85%
1.24%
14. 研究開発費
2012 年、2011 年および 2010 年 3 月期の研究開発費はそれぞれ 281,885 百万円(3,437,622 千米ドル)、288,874 百万円、
296,392 百万円であります。
114
Takeda Annual Report 2012
15. 事業構造再編費用
欧州および米国を中心とする海外連結子会社における従業員数の削減計画と事業拠点の統廃合をはじめとした事業運営体制の合理化
策にかかる費用を計上しております。主な内訳は削減対象の従業員にかかる早期退職関連費用であります。
16. 法人税等
当社グループの実効税率は以下の要因により法定税率と異なっております。
法定税率
税法上損金不算入の費用
評価性引当金増減額
受取配当金益金不算入
研究開発費等の税額控除
のれん償却額
在外子会社の未分配利益にかかる税効果増減
税制改正等による税率変更影響
連結子会社との法定実効税率差異
連結子会社清算による影響
その他−純額
実効税率
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
40.6%
3.3
7.1
(1.8)
(10.8)
3.4
0.4
7.3
0.0
40.9%
1.4
1.1
(0.1)
(7.8)
1.4
0.1
40.9%
1.1
(0.6)
(0.2)
(6.0)
1.3
0.3
−
−
(3.2)
(2.5)
(6.7)
0.2
27.8%
−
−
0.1
49.6%
(1.1)
32.7%
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 11,688
98,317
2,010
10,826
36,140
13,207
58,603
8,706
35,826
10,162
39,821
58,372
383,678
(57,267)
326,411
¥ 19,664
113,911
3,761
14,845
31,972
8,220
51,668
5,583
44,516
9,709
24,662
47,366
375,877
(34,025)
341,852
$
(9,769)
(11,797)
(49,418)
(29,460)
(275,024)
(11,741)
(387,209)
¥ (60,798)
(13,353)
(16,890)
(36,373)
(12,413)
(103,321)
(15,328)
(197,678)
¥ 144,174
(119,134)
(143,866)
(602,659)
(359,268)
(3,353,951)
(143,183)
(4,722,061)
$ (741,439)
繰延税金資産及び負債は次の項目から構成されております。
繰延税金資産
賞与引当金
委託研究費等
事業税
棚卸資産
未払費用
棚卸資産未実現利益
試験研究費等の税額控除
退職給付引当金
特許権
販売権
税務上の繰越欠損金
その他
繰延税金資産小計
評価性引当額
繰延税金資産計
142,537
1,198,988
24,512
132,024
440,732
161,061
714,671
106,171
436,902
123,927
485,622
711,853
4,679,000
(698,378)
3,980,622
繰延税金負債
前払年金費用
在外子会社及び関連会社の未分配利益
その他有価証券評価差額金
固定資産圧縮積立金
企業結合にかかる無形固定資産の税効果
その他
繰延税金負債計
繰延税金資産(負債)の純額
Takeda Annual Report 2012
115
法人税率の変更等による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律及び東日本大震災からの復興のための施
策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法が 2011 年 12 月2 日に公布されたことに伴い、当社及び国内子会社について
は 、当連結会計年度の繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使用した法定実効税率は 、前年度の 40.9% から、回収又は支払が見込ま
れる期間が 2012 年 4 月1 日から2015 年 3 月31 日までのものは 38.0% 、2015 年 4 月1 日以降のものについては 35.6%にそれぞれ
変更されております。
その結果、繰延税金資産の金額(繰延税金負債の金額を控除した金額)
が 15,361 百万円(187,329 千米ドル)減少し、当連結会計年
度に計上された法人税等調整額が 18,452 百万円(225,024 千米ドル)
、その他有価証券評価差額金が 3,091 百万円(37,695 千米ド
ル)
、それぞれ増加しております。
17. セグメント情報
当社は、製品・サービス別に事業を管理し、各事業の本部機能を担う親会社又は関係会社は、取り扱う製品・サービスについて国内およ
び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
当社では 、
「医療用医薬品事業」、
「ヘルスケア事業」および「その他事業」の 3 つを報告セグメントとしております。これらは 、各々につ
いて分離した財務情報が入手可能であり、全ての報告セグメントについて、取締役会が経営資源の配分の決定および業績の評価を実施す
るために定期的に検討しております。
「医療用医薬品事業」は、医療用医薬品を製造・販売しております。
「ヘルスケア事業」は、一般用医薬品、医薬部外品を製造・販売してお
ります。
「その他事業」は試薬、臨床検査薬、化成品の製造・販売等を行っております。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、
「 2. 重要な会計方針の概要」に基づいております。
セグメント間の内部売上高は、市場の実勢価格等に基づいております。
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在ならびに過去 3 年間におけるセグメント情報は次のとおりであります。
報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
単位:百万円
2012 年 3 月期
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
¥1,358,802
61,689
93,054
¥1,513,545
(4,613)
¥1,508,932
2012 年 3 月期
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
116
Takeda Annual Report 2012
¥ 243,754
11,816
11,705
¥ 267,275
(2,248)
¥ 265,027
2011 年 3 月期
¥1,267,436
60,254
96,327
¥1,424,017
(4,632)
¥1,419,385
2011 年 3 月期
¥ 345,990
12,235
11,018
¥ 369,243
(2,159)
¥ 367,084
単位:千米ドル
売上高
売上高
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥1,317,713
58,232
94,816
¥1,470,761
(4,796)
¥1,465,965
$16,570,756
752,305
1,134,805
$18,457,866
(56,256)
$18,401,610
単位:百万円
単位:千米ドル
セグメント利益
セグメント利益
2010 年 3 月期
¥ 400,564
11,036
10,814
¥ 422,414
(2,202)
¥ 420,212
2012 年 3 月期
$ 2,972,610
144,098
142,743
$ 3,259,451
(27,414)
$ 3,232,037
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
単位:百万円
単位:千米ドル
セグメント資産
セグメント資産
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥2,786,775
29,094
171,858
¥2,987,727
589,303
¥3,577,030
¥1,599,363
30,575
156,821
¥1,786,759
999,643
¥2,786,402
$33,985,061
354,805
2,095,829
$36,435,695
7,186,622
$43,622,317
単位:百万円
2012 年 3 月期
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
¥ 121,682
826
4,913
¥ 127,421
(569)
¥ 126,852
2011 年 3 月期
¥
¥
¥
2012 年 3 月期
医療用医薬品
¥
ヘルスケア
¥
119
22,227
¥
22,227
調整額
連結計
ヘルスケア
その他
合計
¥
調整額
連結計
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
3,263
3,110
1,931
8,304
463
14,130
¥
14,130
8,304
¥
減価償却費
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
92,975
785
5,642
99,402
(694)
98,708
$ 1,483,927
10,073
59,915
$ 1,553,915
(6,939)
$ 1,546,976
単位:百万円
単位:千米ドル
のれんの償却額
のれんの償却額
2010 年 3 月期
¥
14,612
2012 年 3 月期
$
−
¥
458
15,070
¥
15,070
−
269,610
−
$
1,451
271,061
$
271,061
−
−
単位:百万円
単位:千米ドル
持分法適用会社への
投資額
持分法適用会社への
投資額
2011 年 3 月期
¥
¥
−
¥
13,667
¥
−
¥
¥
−
2012 年 3 月期
医療用医薬品
¥
2011 年 3 月期
¥
−
その他
合計
22,108
86,102
751
5,233
92,086
(622)
91,464
単位:千米ドル
減価償却費
2012 年 3 月期
1,447
2,893
1,875
6,215
$
$
39,793
37,927
23,548
101,268
$
101,268
−
¥
−
6,215
単位:百万円
単位:千米ドル
有形固定資産及び
無形固定資産の増加額
有形固定資産及び
無形固定資産の増加額
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥1,249,089
720
5,379
¥1,255,188
¥ 144,718
444
3,724
¥ 148,886
¥ 110,643
461
3,401
¥ 114,505
$15,232,793
8,780
65,598
$15,307,171
−
−
−
−
¥1,255,188
¥ 148,886
¥ 114,505
$15,307,171
セグメント間の取引で重要なものはありません。
Takeda Annual Report 2012
117
売上高およびセグメント利益のうち、
「調整額」に含めた主な内容及び金額
不動産子会社の賃貸損益をその他の収益(費用)
に振替えたもの
売上高
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
(4,613)百万円((56,256)千米ドル)
(4,632)百万円
(4,796)百万円
セグメント利益
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
(2,452)百万円((29,902)千米ドル)
(2,309)百万円
(2,338)百万円
セグメント資産のうち、
「調整額」に含めた主な内容及び金額
全社資産
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
594,142 百万円(7,245,634 千米ドル)
1,004,643 百万円
(注)全社資産は、全社余資運用資金(現預金及び有価証券)
・米国持株会社等での長期投資資産(投資有価証券)及び当社の長期投資資産(投資有価証券)
であります。ただし、長期投資資産(投資有価証券)のう
ち、各報告セグメントの事業における取引関係の維持のための投資にかかる資産につきましては、全社資産には含まれておりません 。
<関連情報>
地域ごとの情報
単位:百万円
2012 年 3 月期
¥ 733,438
464,399
[419,489]
263,589
47,506
¥1,508,932
日本
米州
[うち米国]
欧州
アジア他
連結計
2011 年 3 月期
¥ 721,326
496,435
[483,410]
172,883
28,741
¥1,419,385
単位:千米ドル
売上高
売上高
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 688,921
561,817
[544,493]
189,148
26,079
¥1,465,965
単位:百万円
$ 8,944,366
5,663,402
[5,115,720]
3,214,500
579,342
$18,401,610
単位:千米ドル
有形固定資産
有形固定資産
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥362,788
33,618
92,296
¥488,702
¥347,557
36,295
23,628
¥407,480
$4,424,244
409,976
1,125,560
$5,959,780
関連する
報告セグメント名
単位:百万円
単位:千米ドル
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
医療用医薬品
¥272,284
¥269,486
¥254,862
$3,320,537
日本
米国
その他
連結計
主要な顧客ごとの情報
(株)
メディセオ
118
Takeda Annual Report 2012
報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報
単位:百万円
単位:千米ドル
減損損失
減損損失
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥ 33
¥4,377
¥−
$ 402
−
−
−
−
102
¥4,479
−
合計
201
¥234
¥−
2,452
$2,854
調整額
−
−
−
−
¥234
¥4,479
¥−
$2,854
単位:百万円
単位:千米ドル
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
連結計
報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報
医療用医薬品
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
ヘルスケア
その他
合計
調整額
連結計
償却額
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥22,108
¥13,667
¥14,612
$269,610
−
−
−
−
119
¥22,227
463
¥14,130
458
¥15,070
1,451
$271,061
−
−
−
−
¥22,227
¥14,130
¥15,070
$271,061
単位:百万円
医療用医薬品
償却額
単位:千米ドル
期末残高
期末残高
2012 年 3 月期
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥582,243
¥216,938
$7,100,524
−
−
−
14
¥582,257
185
¥217,123
171
$7,100,695
−
−
−
¥582,257
¥217,123
$7,100,695
18. 賃貸等不動産
2012 年および 2011 年 3 月 31 日現在における連結貸借対照表に計上されている賃貸等不動産の公正価値に関する情報は次のとお
りであります。
1. 賃貸等不動産の概略
当社及び一部の連結子会社では、国内(東京都ほか)及び海外において、主として賃貸用のオフィスビル
(土地を含む)及び事業の用に供
していない不動産を有しております。2012 年および 2011 年 3 月期における当該賃貸等不動産に関する賃貸損益は、それぞれ 2,429
百万円(29,622 千米ドル)
、2,310 百万円であり(賃貸収益はその他の収益に、主な賃貸費用はその他の費用に計上しております)
、
2012 年 3 月期においては、上記のほかに固定資産売却益として 17,636 百万円(215,073 千米ドル)を計上しております。
Takeda Annual Report 2012
119
2. 賃貸等不動産の公正価値
賃貸等不動産の 2012 年および 2011 年 3 月期の連結貸借対照表計上額、期中増減額及び時価は、以下のとおりであります。
2012 年 3 月期
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
連結貸借対照表計上額
期首残高
期中増減額
期末残高
期末時価
¥32,563
(1,298)
¥31,265
¥71,799
¥33,690
(1,127)
¥32,563
¥85,095
$397,110
(15,830)
$381,280
$875,598
(注)1 連結貸借対照表計上額は、取得原価から減価償却累計額を控除した金額であります。
2 期中増減額のうち 、当年度の主な増加は 、連結子会社増加に伴い新たに加わった賃貸等不動産 2,449 百万円(29,866 千米ドル)であり、主な減少は 、遊休土地の売却 3,391 百万円(41,354 千米ド
ル)
であります。
3 時価は、主要な物件については社外の不動産鑑定士による不動産鑑定評価額に基づく金額、その他重要性が乏しい物件につきましては主として路線価、固定資産税評価額に基づいて自社で算定した金
額であります。
4 上記のうち 、当年度の連結貸借対照表に計上されている賃貸用不動産は 19,108 百万円(233,024 千米ドル)であり、時価は 24,406 百万円(297,634 千米ドル)であります。前年度の連結貸借対
照表に計上されている賃貸用不動産は 19,593 百万円であり、時価は 24,617 百万円であります。
19. 偶発債務
2012 年 3 月 31 日現在における偶発債務は次のとおりであります。
債務保証
単位:百万円
単位:千米ドル
¥1,021
$12,451
20. 資産除去債務
1. 資産除去債務の概要
建物・製造設備等の石綿障害予防規則等に伴うアスベスト除去に係る費用、PCB 含有設備等の PCB 特別措置法等に伴う処理費用であり
ます。
2. 資産除去債務の金額の算定方法
当該債務に係る資産の使用見込期間を 1 ∼ 46 年と見積り、割引率は 0.4 ∼ 2.4% を使用して資産除去債務の金額を計算しております。
3. 2012 年および 2011 年 3 月期における資産除去債務の総額の増減
当年度において 、資産除去債務の見積りに使用していたアスベスト除去等に係る単価について見直しを行った結果、債務の減少が生じ
ております。
2012 年 3 月期
期首残高(注)
有形固定資産の取得に伴う増加額
時の経過による調整額
見積りの変更による増減額
資産除去債務の履行による減少額
期末残高
¥6,859
7
7
(181)
(235)
¥6,457
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2012 年 3 月期
¥6,590
405
27
−
(163)
¥6,859
$83,646
85
85
(2,207)
(2,865)
$78,744
(注)前年度の「期首残高」は、
「資産除去債務に関する会計基準」
(企業会計基準第 18 号 平成 20 年 3 月 31 日)及び「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 21 号 平成 20 年 3
月 31 日)
を適用したことによる残高であります。
120
Takeda Annual Report 2012
21. 係争事件
1. 米国 AWP 訴訟の件
米国における一部の医薬品の販売に関し、AWP( Average Wholesale Price:平均卸売価格)
として公表されている価格と実際の販
売価格とが乖離していることなどにより損害を受けたとして 、患者本人、保険会社および州政府等から損害賠償を請求する民事訴訟(い
わゆる「 AWP 訴訟」)
が 、大手を含む多数の製薬会社に対し提起されております。
「武田ファーマシューティカルズ USA, Inc.(注)」
(以下、
「 TPUSA 社」)
は、
「ピオグリタゾン
(米国製品名:アクトス)
」
について、また「 TAPファーマシューティカル・プロダクツ Inc.(注)」
(以下、
「 TAP 社」)
は、
「ランソプラゾー ル
(米国製品名:プレバシド)」について、複数の州裁判所において、それぞれ AWP 訴訟を提起されております。うち、
「プレバシド」にかかる1 件については当社も被告とされております。
当社グループは、本訴訟につきまして遺漏なく対応してまいります。
(注)
「 TAP 社」は 2008 年 6 月に武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ Inc.( 以下、
「 TPNA 社」)
と合併し、
「 TPNA 社」は 2012 年 1 月に「 TPUSA 社」に社名変更しています。
「 TAP 社」は「 TPNA 社」との
合併前に「プレバシド」を販売していました。
2. ピオグリタゾン製剤に起因する膀胱癌を主張する製造物責任訴訟の件
当社および「 TPUSA 社」等、複数の在米子会社ならびに米国 Eli Lilly 社は、ピオグリタゾンを含有する製剤の服用による膀胱癌の増悪等
を主張する方々から、複数の米国連邦および州裁判所において訴訟を提起されております。また、カナダのオンタリオ州上級裁判所に同
様の健康被害を主張するクラスアクションが提起されております。
当社グループは、鋭意本訴訟への対応に努めてまいります。
(ピオグリタゾン含有製剤の添付文書の改訂について)
2011 年 7 月、フランスにおいて、膀胱癌の発生リスクがわずかに上昇するデータに基づく当局の指示により、ピオグリタゾンを含有す
る製剤の市場回収を行いましたが、既に日米においては、当局との協議を経て、添付文書の一部改訂をもって販売を継続するに至ってお
り、また、欧州においても、欧州委員会が 2012 年 1 月、日米の対応と同じく、添付文書の改訂を承認しております。
当社は、2 型糖尿病治療におけるピオグリタゾンを含有する製剤の有用性に自信を持っております。また、これまでと同様、ピオグリタゾ
ンを含む全ての当社製品に関する安全性と忍容性の評価を継続するとともに、必要に応じて各国当局に適切なデータを提供するなど、真
摯に対応してまいります。
3. 移転価格税制に基づく更正処分の件
当社は、2006 年 6 月 28 日、大阪国税局より、当社と
「 TAP 社」
との間の 2000 年 3 月期から2005 年 3 月期までの 6 年間の「ランソプ
ラゾー ル
(米国製品名:プレバシド)」にかかる製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が当社と
「 TAP 社」間の利益配分におい
て、当社に対して過少に配分されているとの判断により、移転価格税制に基づく更正通知書を受領いたしました。更正された所得金額は
6 年間で 1,223 億円であり、地方税等を含めた追徴税額 571 億円について同年 7 月に全額を納付いたしましたが、当社はこの更正処分
を不服として、同年 8 月 25 日、大阪国税局に対し異議申立書の提出を行いました。
2008 年 7 月8 日には、本更正処分により生じている二重課税の解消を目的として、国税庁に対し、米国との相互協議申立書を提出いた
しました。また、これに伴い、大阪国税局に対する異議申立てを一旦中断する手続きを実施いたしました。
2011 年 11 月 4 日、国税庁より本件の相互協議が合意に至らず終了した旨の通知を受領し、これを受けて 、同年 11 月 9 日に一旦中断
していた異議申立て手続きについて大阪国税局へ再開を申し入れました。
2012 年 4 月 6 日、当社は 、大阪国税局より原処分により更正された所得金額 1,223 億円のうち 977 億円を取り消す異議決定書を受
領いたしました。その後、原処分の取り消しが認められなかった部分については 、同年 5 月 7 日に大阪国税不服審判所に対し審査請求書
を提出いたしました。
なお、この一連の手続きに関して、当年度の業績への影響はありません。
22. 後発事象
1. URL Pharma 社の買収(子会社化)の件
当社は、2012 年 4 月、米国 URL Pharma,Inc.( 本社:ペンシルバニア州フィラデルフィア、以下「 URL Pharma 社」)
との間で、武田ア
メリカ・ホールディングス Inc.( 当社の 100% 子会社)
がURL Pharma 社を800 百万米ドルで買収することについて合意し、同年 6 月に買
収を完了いたしました。今後、URL Pharma 社は、武田薬品の米国販売子会社である武田ファーマシューティカルズ USA,Inc.( 本社:米
国イリノイ州ディアフィー ルド、以下「 TPUSA 社」)
に統合されます。
Takeda Annual Report 2012
121
(1)本買収の目的
TPUSA 社は 、現在、成人の痛風患者における高尿酸血症治療剤 Uloric(一般名:フェブキソスタット)を販売しております。今回の買
収完了後にURL Pharma 社の痛風の予防および治療薬であるColcrys( 一般名:コルヒチン、米国薬局方 Colcrys )
を製品ラインアッ
プに加えることで、TPUSA 社は米国市場において急性期および慢性期の痛風治療に対して複数の治療オプションを提供できることと
なり、米国での同社の痛風領域フランチャイズを強化することになります。また、Colcrys の売上高は 2012 年には 550 百万米ドル
を超えて、その後も成長が見込まれており、2013 年度以降の売上、利益、キャッシュ・フローに貢献すると期待しております。
(2)対象会社の概要
①名称
URL Pharma, Inc.
②所在地
米国 ペンシルバニア州 フィラデルフィア
③代表者
Richard Roberts
④従業員数
約 880 名(契約セー ルスフォース 350 名を含む)
⑤資本金
1 千米ドル
⑥株式の種類
非上場
⑦主な事業内容
医薬品の製造・販売・研究開発
(3)株式取得の実施者
武田アメリカ・ホー ルディングス Inc.
(4)株式取得の対象者
URL Pharma 社の出資者であるElliott Associates, Momar Corporation および Richard Roberts 氏
(5)発行済株式総数
普通株・優先株合計 356,669 株(普通株換算)
(6)株式の取得方法
現金
(7)買収金額
800 百万米ドル(ただし、2015 年以降の一定期間、業績に応じたロイヤルティを支払う)
(8)取得後の議決権比率
100%
2. 移転価格に基づく更正処分の件
当社は、2006 年 6 月 28 日、大阪国税局より、当社と
「 TAP 社」
との間の 2000 年 3 月期から2005 年 3 月期までの 6 年間の「ランソプ
ラゾー ル
(米国製品名:プレバシド)」にかかる製品供給取引等に関して、移転価格税制に基づく更正通知書を受領いたしました。更正され
た所得金額は 6 年間で 1,223 億円であり、地方税等を含めた追徴税額 571 億円について同年 7 月に全額を納付いたしました。その後、
当社はこの更正処分を不服として 、同年 8 月 25 日に税務当局に対して 、異議申立て手続きを実施いたしましたが 、2012 年 4 月 6 日、大
阪国税局より原処分により更正された所得金額 1,223 億円のうち 977 億円を取り消す異議決定書を受領いたしました。本異議決定にお
いて原処分の取り消しが認められなかった部分については、同年 5 月 7 日に大阪国税不服審判所に対し審査請求書を提出いたしました。
122
Takeda Annual Report 2012
独立監査人の監査報告書(訳文)
武田薬品工業株式会社
取締役会 御中
当監査法人は、武田薬品工業株式会社及び連結子会社の連結財務諸表、すなわち、2012 年及び 2011 年 3 月31 日現在の連結貸借対
照表、2012 年 3 月 31 日をもって終了した 2 年間における各連結会計年度の連結包括利益計算書並びに 2012 年 3 月 31 日をもって終
了した 3 年間における各連結会計年度の連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針の
概要及びその他の説明情報について監査を実施した。
連結財務諸表に対する経営者の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠してこれらの連結財務諸表を作成し適正に表示す
ることにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断し
た内部統制を整備及び運用することが含まれる。
監査人の責任
当監査法人の責任は、当監査法人が実施した監査に基づいて、これらの連結財務諸表に対する意見を表明することにある。当監査法人
は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準は、当監査法人が倫理規則を遵守し、連
結財務諸表に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施すること
を求めている。
監査においては、連結財務諸表の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続が実施される。監査手続は、当監査法人の判
断により、不正又は誤謬による連結財務諸表の重要な虚偽表示のリスクの評価に基づいて選択及び適用される。財務諸表監査の目的は、
内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、当監査法人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手
続を立案するために、連結財務諸表の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討する。また、監査には、経営者が採用した会計方針及
びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りの評価も含め全体としての連結財務諸表の表示を検討することが含まれる。
当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査意見
我々は、連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して、武田薬品工業株式会社及び連結子会社の
2012 年及び 2011 年 3 月31 日現在の財政状態並びに2012 年 3 月31 日をもって終了した 3 年間における各連結会計年度の経営成績
及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。
強調事項
(1)注記 22 に記載されているとおり、会社は 2012 年 6 月に米国 URL Pharma, Inc. の買収を完了した。
(2)注記 22 に記載されているとおり、会社は 、大阪国税局に対する移転価格税制に基づく更正処分についての異議申立てに関し、平成
24 年 4 月、原処分により更正された所得金額 1,223 億円のうち 977 億円を取り消す異議決定書を受領した。
(3)注記 4 に、2010 年 3 月 31 日をもって終了する連結会計年度の包括利益が記載されている。
当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。
便宜上の換算
2012 年 3 月 31 日をもって終了した連結会計年度の連結財務諸表は、便宜のため米ドルへ換算されている。我々 の監査は、円貨金額
の米ドル金額への換算を含み、当連結財務諸表の換算金額が、注記 1 の基準に従って算出されているものと認める。
KPMG AZSA LLC
2012 年 6 月 26 日
日本、大阪
(注)本監査報告書は、
「 Takeda Pharmaceutical Company Limited Annual Report 2012」に掲載されている
“ Independent Auditor ’
を翻訳したものです。
s Report ”
Takeda Annual Report 2012
123
会社情報
(2012 年 3 月 31 日現在)
武田薬品工業株式会社
American Depositary Receipts( ADR )
:
比率:2ADR=1 普通株
取引:OTC(店頭取引)
シンボル:TKPYY
CUSIP 番号:874060205
ADR 名簿管理人:
The Bank of New York Mellon
101 Barclay Street, New York, NY 10286
業:1781 年 6 月 12 日
創
立:1925 年 1 月 29 日
設
資
本
金:635 億 41 百万円
株
主
数:304,628 名
発行済み株式数:789,666,095 株
独 立 監 査 人:有限責任 あずさ監査法人
〒541-0048 大阪市中央区瓦町 3-6-5 銀泉備後町ビル
お問合せ先:
電話:
( 201)680-6825
フリーダイヤル
(米国内)
:
( 888)269-2377
上場証券取引所:東京、大阪、名古屋、福岡、札幌 (証券コード 4502)
株主名簿管理人:三菱 UFJ 信託銀行株式会社
〒100-8212 東京都千代田区丸の内一丁目 4 番 5 号
URL: http://www.adrbnymellon.com
主要株主(上位 10 名)
株主名
持株数(千株)
日本生命保険相互会社
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)
公益財団法人武田科学振興財団
SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT-TREATY CLIENTS
バークレイズ・キャピタル証券会社
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505225
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口 9)
メロン バンク エヌエー アズ エージェント フォー イッツ クライアント メロン オムニバス ユーエス ペンション
株式会社三井住友銀行
持株比率( % )
56,400
39,406
28,483
17,912
17,596
14,654
8,995
8,312
7,878
7,839
7.14
4.99
3.61
2.27
2.23
1.86
1.14
1.05
1.00
0.99
株価の推移(東京証券取引所)
TOPIX 月末値の推移
株価(円)
9,000
TOPIX
3,000
7,500
2,500
6,000
2,000
4,500
1,500
3,000
1,000
1,500
500
(月)
(年)
0
4
2006
8
12
2007
4
8
12
2008
4
8
12
2009
4
8
12
2010
4
8
12
2011
4
8
12
2012
12
2007
4
8
12
2008
4
8
12
2009
4
8
12
2010
4
8
12
2011
4
8
12
2012
出来高の推移
(百万株)
200
150
100
50
(月)
(年)
0
4
2006
8
※ TOPIX(東証株価指数)
は株式会社東京証券取引所の知的財産であり、当該指数の算出、数値の公表、利用および TOPIX の商標に関するすべての権利は東証が所有しています。
124
Takeda Annual Report 2012
0
社会的責任に関する主な指標
労働慣行
従業員数 ※
2012年3月期
2011年3月期
2010年3月期
合計
30,305 人
18,498 人
19,585 人
日本
9,530 人
9,467 人
9,305 人
海外
20,775 人
9,031 人
10,280 人
医薬事業
28,284 人
16,470 人
17,568 人
医療用医薬品事業
27,844 人
16,035 人
17,125 人
440 人
435 人
443 人
2,021 人
2,028 人
2,016 人
28 人
33 人
36 人
ヘルスケア事業
その他事業
グローバルリーダー育成プログラム 受講者
グローバル従業員サーベイ
ー
実施
ー
※就業人員数を表示しております。なお、2011年3月期から工数換算ベースで表示しており、2010年3月期についても変更後の基準に基づき組み替えて表示しております。
環境
総エネルギー投入量
9,275 百万MJ
6,614 百万MJ
6,269 百万MJ
水資源投入量
8,598 千m3
7,309 千m3
7,461 千m3
CO2排出量
407 千トン-CO2
291 千トン-CO2
286 千トン-CO2
SOx(硫黄酸化物)排出量
105トン
40トン
49トン
NOx(窒素酸化物)排出量
287トン
237トン
231トン
ばいじん排出量
26トン
18トン
12トン
廃棄物発生量
56 千トン
44 千トン
58 千トン
PRTR対象物質 大気排出量(日本)
56トン
48トン
51トン
寄付金
5,324 百万円
4,416 百万円
5,517 百万円
武田科学振興財団 研究助成金
2,260 百万円
2,201 百万円
2,053 百万円
コミュニティ参画および発展
尚志社 奨学金
発酵研究所 研究助成金
法人税等合計
70 百万円
32 百万円
33 百万円
408 百万円
443 百万円
393 百万円
125,207 百万円
121,326 百万円
115,668 百万円
お問い合わせ先:
本 社 〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目 1 番 1 号 Tel: 06-6204-2111 Fax: 06-6204-2880
東京本社 〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目 12 番 10 号 Tel: 03-3278-2111 Fax: 03-3278-2000
ホームページアドレス http://www.takeda.co.jp/
Takeda Annual Report 2012
125
2012年7月発行
この印刷物は植物油インキを使用しています。
Printed in Japan
www.takeda.co.jp