(1998):地震応答解析に用いる地盤物性をどう評価するか

建築基礎の設計施工に関する研究資料4、液状化地盤におけ
る基礎設計の考え方、日本建築学会構造委員会基礎構造運営
委員会編、日本建築学会、pp. 29-45、1998
地震応答解析に用いる地盤物性をどう評価するか
1.はじめに
受け,剛性が低下し,一方, G0F が小さくなると,逆に
地震応答解析には多くのデータが必要である.この論
密実化が起こるので剛性があがるというわけである.図
文では,地盤物性,特に力学特性について述べる.ここ
で凍結試料として示したのは,このような攪乱の影響が
では地盤材料の力学特性を,弾性定数,ひずみに依存す
非常に小さいと考えられる試料採取法で採取した結果で
る非線形特性(動的変形特性),液状化特性(動的強度
ある2)が,G0L /G0F はほぼ1となっている.また,サイト A
特性)の4つに分けて説明する.地盤物性としてはこの他
は筆者らが同一サイトで多数の試料を採取したデータで
に,液状化解析で要求される透水係数,散乱の減衰など
あるが,試料の取り扱い方法が同じためか,データのば
の減衰特性があり,これらについても簡単に説明する.
らつきはずっと小さい.
地震応答解析には,これらの力学特性の中で,弾性定
原位置で弾性定数を決めるための最も良い方法は PS
数と動的変形特性が特に重要である.このうち,動的変
検層を用いる方法である.PS 検層とは,ボーリング孔を
形特性については,地震応答解析を前提にした場合,従
使って P 波や S 波の伝播速度を計測する方法で,よく使
来行われている方法が最適とは限らない.そこで,この
われるものに,図-2に示す3つの方法がある.
章の最後には,現在の動的変形特性の表現方法の持って
ダウンホール法は,地表を水平,鉛直方向に振動させ,
いる問題点も示すことにする.
その振動を地下で計測するもので,受信機の位置を順番
に変え,波動の伝達時間の差から波動の速度を決める.
2.弾性定数
震動源として地表に置いた板をかけやなどで叩く,板た
土は非常に小さいひずみ領域から非線形性を示すので, たき法が日本では普通に行われる.クロスホール法は同
弾性の状態が実際にあるのか不明であるが,地震応答解
じ地層の伝播速度を計測するのに最も良い方法であるが,
析のための力学特性としての弾性定数は存在すると考え
2.5
きのせん断定数をもって弾性定数のように扱うが,厳密
に定義するために,「微小ひずみ時のせん断定数」と言
うことも多い.微小ひずみ時のせん断定数を弾性定数と
呼ぶことも多い.微小ひずみ時のせん断定数として Gmax
の記号がよく用いられるが,添え字の max は最大のせん
断定数という意味で,この議論を反映している.これに
対し,初期状態の値という意味で Go の記号を用いるケー
スも多いが,この表現を用いるときにはこの辺の議論を
意識していないこともある.本文中では,どちらも同じ
室内試験のせん断弾性定数 GOL
原位置試験のせん断弾性定数 GOF
た方が合理的である.なお,実験ではひずみが小さいと
沖積・埋立砂
洪積砂
沖積粘土
洪積粘土
凍結試料
サイト A
2.0
1.5
1.0
0.5
0
意味で使われていると考えてよい.
10
地震応答解析に用いるための弾性定数は,室内試験か
らは求めるのが困難で,原位置で計測する必要がある.
このことは,図-1から知ることが出来る.図で横軸は原
位置で計測されたせん断弾性定数 G0F,縦軸は,室内試験
で計測されたせん断弾性定数 G0L の G0F に対する比である
1)
100
1000
2
原位置せん断弾性定数 , GOF (MN/m )
図-1 原位置調査によるせん断波速度と室内試験による
せん断波速度の差(文献1,2に加筆).
発信源
.室内試験と原位置試験で同じ弾性定数を与えるのであ
れば,実験結果は G0L /G0F=1の水平線に並ぶはずであるが,
実験データは右下がりの結果となっている.これは,室
内試験で用いた試料はいわゆる不撹乱試料であるが,そ
れでも試料採取時や試料運搬時に乱れがあるためと考え
られている.すなわち, G0F が大きいほど乱れの影響を
受信機
ダウンホール法
クロスホール法
サスペンション法
図-2 PS 検層の方法
1
ボーリング孔が二つ必要なことなどから,日本ではほと
地層を代表しているとは限らないからである.
んど行われない.サスペンション法は発信源と二つの受
実務では,ダウンホール法で PS 検層を行った場合には,
信機が一つにまとまった計測装置を用い,発信源からの
N 値なども参照にし,補正する事が好ましい.また,逆
波動の伝播を二つの受信機で受け取り,その差から受信
にサスペンション法で PS 検層を行ったときには,他とは
機間の伝播時間を計測するものである.地下水位以下の
ずれだデータがあるとき,これが地盤全体を表すのに適
部分でなければ計測できないと言う欠点はあるが,精度
切なデータかと言うことを考える事が重要である.
が高いので最近用いられるようになってきて来ている.
ダウンホール法が危険なのは次のような場合である.
では,ダウンホール法とサスペンション法でどの程度
図-5は兵庫県南部地震の際鉛直アレー記録の得られた,
3)
差があるかであるが,一例として図-3 を示す.ダウンホ
尼崎にある関西電力総合技術研究所の柱状図である.図
ール法では多くのせん断波速度 Vs はかなりの層厚で一定
-1左側は地震前に行われていたもので,ダウンホール法
であるが,サスペンション法ではかなりばらついている.
による PS 検層が行われている.ここで着目したいのが,
しかしこのばらつきは図に示した N 値とよく対応してい
GL-3∼7m で,せん断波速度 Vs は117m/s と示されている.
る.
この間の地層を見ると,細砂,砂礫,シルトで,N 値も
このような差の出る原因として,ダウンホール法のデ
異なっており,とても同じとは考えられず,不自然であ
ータの整理方法が挙げられる.この方法では,図-4に示
るる.これは先に述べた走時曲線の読みとり時の平滑化
したような走時曲線を書き,その勾配からせん断波速度
のために生じたと考えられる.
を読みとるので,細かな差は反映させることが困難であ
筆者が,このサイトの解析を最初にしたとき5)には,こ
る.これに対して,サスペンション法では,二つの計測
のような問題点に気付き,報告中にも示したけれども,
器の間の波動の伝播時刻を読みとるだけなので,細かい
一方では,計測データをむやみにいじることに対する抵
違いも反映できる.
抗もあり,そのままで解析を行い,その結果,礫層で非
このように見ると,ボーリング孔位置でのせん断は測
常に大きなひずみが発生するなど,不自然な結果を得た.
定としてはサスペンション法の方が優れている様に見え
その後,このサイトではサスペンション法により PS 検
る.しかし,このことが,地震応答解析に用いる弾性特
層が行われ,図-5の右のような結果が得られた.砂礫で
性としてサスペンション法の方が優れていると言うこと
は Vs が大きくなるなど,自然な結果となっている.図-6
にはならないことに注意が必要である.
は両方の柱状図を使った時の地表の加速度時刻歴の差を
一般に地盤では,水平成層は存在せず,また,同じ層
示している.非常に大きく結果が異なっていることに着
でも場所により材料特性がばらついているのが普通であ
目されたい.
る.したがって,あるボーリング孔の位置で仮に正しく
PS 検層に代わる方法として,標準貫入試験の N 値から
情報が入手できたとしても,それが水平方向に同じ様に
実験式を使う方法がある.しかしながら,実験式ではデ
連続しているという保証はない訳である.というより,
ータのばらつきが大きいことに注意すべきである.たと
通常は水平方向にもある程度のばらつきがある.したが
えば,図-7はこの節の(1)に示す実験式の基となったデー
って,たまたまあるボーリング孔で得られた結果が周辺
タであるが,おおよそ倍−半分の間にデータがばらつい
深さ
(m)
0
20
40
60
80
0
ローム
細砂
粘土
細砂
シルト
細砂
礫
細砂
シルト質砂
細砂
シルト質砂
N値
100 200
細砂
100
Vs (m/s)
300
500 700
ている.ただし,このばらつきの中には,これまでに示
したダウンホール法による測定誤差も含まれている可能
性があるので,同じ材料であれば,相関はもっとよくな
ると考えられる.
サスペンション
ダウンホール
シルト質砂
図-3 PS 検層におけるダウンホール法とサスペンション
法による速度の違い
図-4 PS 検層(ダウンホール法)の例(文献4を修正)
2
PS 検層によりせん断波(S 波)速度 Vs,粗密波(P 波)
速度 Vp が求まれば,弾性定数は次のようにして決めるこ
とが出来る.
Gmax = ρV s2 : ρ = γ t′ / g は質量密度
ν =
K=
1 − 2(Vs / V p )
(1a)
2
2 − 2(Vs / V p ) 2
2Gmax (1 + ν )
3(1 − 2ν )
(1b)
(1c)
ここで,νはポアソン比,K は体積弾性定数である.なお,
ここで得られた体積弾性係数は,土と水が一体になって
挙動するときの値であり,土骨格の値とは異なる.有効
応力解析では土骨格に体積弾性係数が必要であるが,こ
れは,PS 検層からは求められない.
室内試験を基にしたせん断弾性定数に関する実験式は
いくつも提案されているが,先に述べた理由により,こ
れをそのまま地震応答解析に用いることは勧められない.
しかし,研究で得られた土の性質には,地震応答解析で
重要な事もある.
多くの実験式は,次のように書ける.
Gmax = A ⋅ f (e) ⋅ σ m′n
図-5 関西電力総合技術研究所の地震前後の柱状図(地震
前はダウンホール法,地震後はサスペンション法に
ここで, f(e)は間隙比 e の関数,σ m′ は有効拘束圧で,A,
よる PS 検層)
n は材料によって異なる定数である.ここで,重要なのは,
同じ層でも深いところほど Vs や Gmax が大きくなる.この
ような拘束圧依存性は,地震応答解析では考慮すべきと
されている.
600
2
Acceleration (cm/s )
Gmax が拘束圧に依存すると言うことである.したがって,
n の値を理解するには,後に述べる動的変形特性試験に
Observed
Computed
GL
400
200
0
-200
-400
-600
0
5
関する知識も必要であるが,大まかに言って,対象とし
ね三軸試験で計測できた最小のひずみのオーダーである
ひずみ振幅1×10 -5(=0.001%)程度の値である.
土骨格の体積弾性定数は適切な求め方がない.一般に
はポアソン比を決めて,せん断弾性定数から求めること
が多い.液状化とはあまり関係の無い場合には,その値
は地震応答解析(S 波入力)の結果にはそれほど影響し
ない.液状化解析では本来は影響するはずであるが,他
600
2
Acceleration (cm/s )
ることなく,0.5が用いられることが多いが,これは,概
15
20
(a) 地震前の Vs を使った計算
ているひずみが小さいと n は0.4程度であり,ひずみが大
きくなると n も大きくなる.実務では特に深く考えられ
10
Time (sec.)
Observed
Computed
GL
400
200
0
-200
-400
-600
0
5
10
Time (sec.)
15
20
(b) 地震後の Vs を使った計算
図-6 地震前後の弾性定数の違いによる地震応答解析結
果の違い
のパラメータとの調整が利くことから,結果的に計算に
影響しなくなる.これについては,次の章(有効応力解
析は実現象をシミュレート出来るか)で述べる.
ポアソン比の拘束圧依存性については,幾つかの実験
がある.これをまとめて,図-8に示す6)7)8).同じ砂でもポ
アソン比の範囲は非常にばらついていることが分かる.
また,全体的な傾向として,拘束圧が100kPa 以下では拘
束圧依存性が少し見えるのに対し,これ以上の拘束圧で
図-7 Vs-N 値関係(計測値と経験式)の例
3
は拘束圧依存性は余り見られない事が分かる.
せん断弾性定数の拘束圧依存については,多くの研究
タが示されている.
沖積砂質土(As)
者で同じ使い方をしている.しかし,体積弾性係数の拘
沖積粘性土(Ac)
V s = 102N 0.292
束圧依存性は,構成則により異なる二つの流れがある.
洪積砂質土(Ds)
Vs = 97.2 N 0.323
一つは,ポアソン比の拘束圧依存性が無いと考える方法
洪積粘性土(Dc)
V s = 114N 0.292
である.この場合,体積弾性係数は次のように書ける.
2(1 + ν )
2(1 + ν )
K=
Gmax =
A ⋅ f (e) ⋅ σ m′n
3(1 − 2ν )
3(1 − 2ν )
すなわち,弾性係数は有効拘束圧の n 乗(n は0.5のオー
V s = 80.6 N 0.331
(2) 道路橋示方書
上記の式を単純化したもの
Vs = 100N 1 / 3
粘性土
(1≤N≤25)
砂質土
Vs = 80N 1 / 3
ダー)に比例する.もう一つは,圧密の解析で良く用い
(3) 港湾関係でよく使われる式
られる膨潤状態に対する定式化で, e − log σ m′ 平面で直線
①粘性土
と仮定する方法で,この場合,弾性係数は有効拘束圧そ
のものに比例する.つまり,拘束圧の(約)0.5乗に比例
するという考えと,1乗に比例するという考えがある.
これら二つは全く違う定式化の様に見える.そこで,
e − log σ m′ 平面上で,動的解析で良く使われる範囲として
10,100kPa の二つの拘束圧で二つの方法による体積弾性
係数が同じになるように設定して比較したのが図-9であ
(1≤N≤50)
10)
・一軸圧縮強度 q u との関係
G max = 170q u (kgf/cm2)
・塑性指数 Ip と間隙比 e との関係
G max = (285 − 2 I p )σ m′
G max = (1.6 I p + 185)
(2.973 − e) 0.5
σ m′
1+ e
(Ip≥30)
(Ip<30)
②砂質土
・N 値との関係
G max = 144N 0.88
圧の平方根に比例するとし,ポアソン比を0.3とした結果,
・間隙比 e との関係
一方実線は拘束圧に比例するとした結果である.両者は
(2.17 − e) 0.5
10∼100kPa の範囲で良く一致しているが,驚くべき事に,
G max = 700
σ m′
1+ e
この間で実線のポアソン比は0.16∼0.37と変化している.
(2.973 − e) 0.5
σ m′
G max = 330
図の二つの線は,おそらく実験データの整理を考えると,
1+ e
誤差の範疇に入るものと考えられる.このことは,体積
(4)岩崎ら11)
る.波線は体積弾性係数がせん断弾性定数と同じく拘束
(丸い砂粒子)
(角張った粒子)
弾性係数の拘束圧依存性は,どちらの式を使っても良い,
沖積砂質土(As)
V s = 103N 0.211
すなわち,ポアソン比の拘束圧依存性を論じることは余
沖積粘性土(Ac)
Vs = 143N 0.0777
り意味がないことを示しているように見える.
洪積砂質土(Ds)
V s = 205N 0.125
実務でよく使われるせん断弾性係数には,次のような
洪積粘性土(Dc)
V s = 172N 0.185
ものがある.
(1) 今井ら9)の提案式
(5) 太田の式
V s = 69 N 0.17 hF1 F2
この種の研究の先駆的なものである.図-7に元のデー
ここで,h は深さ(m),F1,F2は表-1に示されている,
土の堆積年代と土の種類により決まる定数である.
0.5
Nakagawa
モンテレ粗
砂
モンテレ
中砂
珪砂(細砂
)
ポアソン比 ν
0.4
0.3
緩い砂
ν=0.26±0.06
e=0.80
e=0.69
e=0.64
0.2
Kokusho
密な砂
ν=0.15±0.08
0.1
Lade
0.0
10
100
1000
有効拘束圧 σ'm (kPa)
図-8 ポアソン比の拘束圧依存性6)7)8)
図-9 体積弾性係数の拘束圧依存性に関するべきの違い
の影響
4
堆積年代
沖積
洪積
表-1 係数 F1,F2
F1
土質名
1.0
粘土
1.3
細砂
中砂
粗砂
砂礫
礫
もなりかねないことから,ここでは,この方法が地盤の
F2
1.0
1.09
1.07
1.14
1.15
1.45
せん断変形特性をきちんと表しているとして議論を進め
る.そして,この報告の最後にこれに関する筆者の見解
を示す.
動的変形特性は,解析の際には対象材料に対する動的
変形試験を行って決めるのが好ましい.しかし,実験に
は動的変形試験を行うには費用も掛かり,行われないこ
3.ひずみに依存する非線形性(動的変形特性)
とも多い.この場合には実験式を用いることになる.以
地盤材料である土はひずみの小さい間から材料は非線
下では,動的変形特性の使用に関する特徴的な注意事項
形性を示すので,地盤の地震応答解析では非線形性の考
と,実務で多く用いられる実験式を示す.
慮は必須である.ここで,非線形性というのはせん断変
形に関する非線形性を意味する.体積変化に対する非線
(1) 試料採取・運搬時の攪乱の影響
形性は圧密解析では重要であるが,地震応答解析や液状
前項で,弾性定数は試料採取時の攪乱影響を大きく受
化解析では非線形領域(正規圧密領域)に入ることがほ
けることを示した.同様に,動的変形特性特性も影響を
とんど無いことから,考えていない構成則も多い.
地盤材料の非線形性は,動的変形特性とも呼ばれるこ
とが多い.ここで動的とは,外力の作用が急速であると
いう意味ではなく,繰返し外力が作用するという意味で
とらえられている.土を扱う土質力学では,歴史的な経
緯もあって,この様な一般力学から見た方言がいくつか
使われている.この他に,全応力解析や等価線形解析が
その方言の代表的なものであるが,これについては,次
の章で述べる.
動的特性を求める試験に,動的変形試験がある.動的
変形試験では,三軸試験機や中空ねじり試験機を用い,
試料に繰り返しせん断応力を加え,得られた応力−ひず
み関係の形状よりひずみに応じたせん断定数 G と等価減
衰定数 h を求める.この試験の方法を模式的に図-10に示
す.一定応力振幅で11サイクルの載荷を行い,10サイク
ル目の履歴曲線の除荷点を結んでせん断定数 G を,履歴
図-10 動的変形試験の模式図
曲線の囲む面積のひずみエネルギーに対する比(を4πで
比といわれることも多い)h を計算し,ひずみ振幅の関数
として,G-γ関係と h-γ関係として整理する.例えば,鋼
では材料の応力−ひずみ関係を表現するのに,弾性定数
の他に,降伏応力とひずみ,ひずみ硬化ひずみ,終局強
度,破断伸びなどの挙動を表す特徴的なポイントの値が
せん断定数比 G (kN/m2)
割ったもの)として等価粘性定数(地盤の分野では減衰
100000
チューブ試料
空中落下試料
0
10-6
コンクリートでも,降伏応力とひずみ程度で全体挙動が
まま使っているわけで,土の挙動の複雑さを表している
と考えられる.
この様な G-γ関係と h-γ関係をそのまません断変形特性
として動的解析を行うことに対して,筆者は問題がある
と考えているが,詳細な議論は読者を混乱させることに
10-5
10-4
10-3
せん断ひずみ γ
10-2
1.0
せん断定数比 G/Go
実験データを G-γ関係と h-γ関係という形で整理してその
(a)
凍結試料
50000
用いられ,通常それで十分である.より非線形性の強い
表せる.しかし,土では,この様な簡便な表現法はなく,
原位置で計測した Go
10-1
(b)
凍結試料と
空中落下試料
0.5
新潟砂
σ'o =1 kgf/cm2
(98 kPa)
0 -6
10
10-5
10-4
10-3
せん断ひずみ γ
10-2
10-1
図-11 動的変形特性に対する攪乱の影響12
5
受ける.しかし,その影響は図の縦軸に関し相似的とさ
ている.つまり,たまたま二つの誤差(ミス?)が重な
れている.すなわち,図-11に示すように,形状は変わら
ることによってお互いに誤差をうち消しあうように作用
ない.したがって,実験で得られたせん断定数は,最大
しあったと考えられる.
のせん断定数で割り,これに原位置で計測したせん断弾
性定数を掛け計算に用いるせん断定数を求めるという手
(3) Hardin-Drnevich モデル
順が普通に行われる.
実験式で最も代表的なものは Hardin と Drnevich により
(2) 低ひずみ時の減衰定数13)
提案されたもの15)で,次のような式で表される.
G
1
=
Gmax 1 + γ
γr
動的変形特性特性試験の結果を見ると,ひずみが非常
に小さいところでもある程度の減衰(2∼4%程度)があ
ることが多い.しかし,このような減衰が見られないデ
ータもある.例えば,図-12はねじりせん断試験と共振試
験による減衰定数を比較している14が,このような効果が
入らない共振試験では非常に小さい減衰となっている.
また,最近の実験でも研究レベルの実験では低ひずみ時
で減衰がほとんど0となる結果が見られるようになって
いる(例えば図-24).これらの事から,この減衰は履歴
減衰というよりは,試験装置の摩擦などによる効果と考
えられる.
このような減衰が実験で得られた動的変形特性の中,
大ひずみ時の挙動に対してどの程度影響しているのかに
関する研究はない.一般には影響していないと考えられ
ている.これは,実験結果を見ると,ある程度のひずみ
までは一定の減衰であり,これを越えると急に減衰が大
きくなるからである.大ひずみまで影響しているとすれ
ば,減衰特性は滑らかに変化すると考えられる.
しかし,一方では,これまで SHAKE のような動的応
答解析ではこのような低ひずみ時の有限の剛性を使った
解析で小さい地震記録のシミュレーションを行いその精
度を検証してきた.減衰が小さくなれば,応答はもっと
大きくなっているはずである.これに対して,筆者は,
既往の動的解析では,この論文の6章(減衰特性)で示し

G 

h = hmax 1 −

G
max 

(2a)
(2b)
ここで,γr は規準ひずみと呼ばれている.また,h max は最
大減衰比である.ここで,式(2b)ではひずみが小さくなる
と減衰比が0に近づくが,実験ではある程度の減衰がある
ことも多い.これについては,この報告の最後で論じる.
なお,日本で一般に Hardin-Drnevich モデルと言った場
合,式(2a)を骨格曲線としてメージング則を用いて履歴曲
線を表すモデルを言うことも多い.
Hardin-Drnevich モデルは,γr と h max の二つのパラメー
タで動的変形特性が表現でき,実験値とのフィットもよ
いことから,実験値の整理方法としてもよく用いられる.
パラメータを決めるには,最小自乗法が用いられる.
ここで,式(2a)は非線形の式なので,そのままでは最小自
乗法の適用が困難である.そこで,これを変形し,
G
1 G
= 1−
γ
Gmax
γ r Gmax
とすれば,線形の式になるので,G/Gmax と Gγ/Gmax の関係
の勾配の逆数として基準ひずみを求めることができる.
一方,減衰特性は線形の式であるので最小自乗法の適用
は可能であるが,この際,前項で述べた低ひずみ時の減
衰の問題があるので,剛性比の大きい(ひずみの小さい)
ところのデータは除いておく方がよい.
た散乱の減衰が考慮されていない.散乱の減衰のオーダ
ーとここで示した減衰のオーダーはたまたま同じになっ
G-γ関係を,せん断ひずみ振幅γと塑性指数 Ip の関数と
0.4
豊浦砂
0.3
して,次のように表している.
G
n ( I ,γ )
= A ( I p , γ )σ m′ p
G max
ねじりせん断試験
減衰定数比 h
拘束圧 σ'o=0.25 kgf/cm2
ここで, A ( I p , γ ) および指数部 n( I p , γ ) の値は表-2で与え
0.5 kgf/cm2
0.2
1.0 kgf/cm2
られている.一方,減衰特性は表-3の様に与えられてい
2.0 kgf/cm2
る.この指針では,減衰特性については,影響が明瞭で
0.1
σ'o=0.25 kgf/cm2
0.5 kgf/cm2
1.0 kgf/cm2
2.0 kgf/cm2
共振柱試験
0
10-6
(4) 港湾の施設の技術上の基準に基づく方法16)
10-5
10-4
10-3
ないとして,拘束圧の影響は考慮されていない.
10-2
せん断ひずみ γ
図-12 測定法の違いによる減衰定数の違い
(5) 安田らの方法17)
安田らは不撹乱試料に関する動的変形試験を基に,次
の式を提案している.
6
1−
表-2 A ( I p , γ ) および n( I p , γ ) の値
塑性指数 Ip
せん断
9.4∼30未満
30以上
ひずみ振幅 NP∼9.4未満
A ( I p , γ ) n ( I p , γ ) A ( I p , γ ) n( I p , γ ) A ( I p , γ ) n ( I p , γ )
γ
10 -6
1.
0.
1.
0.
1.
0.
10 -5
0.93
0.01
0.96
0.
0.97
0.
0.83
0.03
0.91
0.01
0.93
0.
5×10 -5
10 -4
0.75
0.05
0.84
0.02
0.89
0.
0.56
0.10
0.74
0.05
0.82
0.
2.5×10-4
0.43
0.16
0.59
0.09
0.70
0.
5×10 -4
10 -3
0.30
0.22
0.45
0.16
0.58
0.
0.15
0.30
0.26
0.22
0.40
0.
2.5×10-3
0.12
0.26
0.25
0.
5×10 -3
10 -2
0.18
0.
表-3 減衰比の値
せん断ひずみ
振幅 γ
10 -6
10 -5
5×10 -5
10 -4
2.5×10-4
5×10 -4
10 -3
2.5×10-3
5×10 -3
10 -2
塑性指数 Ip<30
平均 最大 最小
0.026 0.040 0.015
0.030 0.040 0.018
0.033 0.042 0.020
0.037 0.048 0.026
0.055 0.068 0.040
0.080 0.098 0.060
0.120 0.145 0.092
0.174 0.200 0.148
0.200 0.222 0.178
0.220 0.240 0.200
塑性指数 Ip≥30
平均 最大
最小
0.025 0.050 0.010
0.030 0.054 0.010
0.034 0.062 0.014
0.038 0.070 0.018
0.050 0.088 0.030
0.066 0.108 0.042
0.086 0.133 0.056
0.118 0.174 0.080
0.144 0.208 0.100
0.175
0.125
表-4 指数部を決めるための係数
γ
10 -4
3×10 -4
10 -3
3×10 -3
10 -2
3×10 -2
A1
0.827
0.670
0.387
0.189
0.061
0.041
A2
-0.044
-0.068
-0.099
-0.089
-0.054
-0.019
B1
0.056
0.184
0.277
0.315
0.365
0.403
B2
C1
C2
D1
D2
0.026 0.035 0.005 -0.559 -0.258
0.086
0.130 0.136 0.036 -0.375 -0.173
0.147
0.167 0.234 0.037 0.0
0.
0.183
ただし,B1=B2=D1=D2=0(D50≤0.07mm)
G
= (A1 + A2 log D50 )σ m′ ( B1 + B2 log D50 )
Gmax
h = (C1 + C 2 log D50 )σ m′ ( D1 + D2 log D50 )
(0.2 ≤ σ m′ ≤ 3kg/cm 2 , 0.02 ≤ D50 ≤ 1mm)
指数部を決めるための係数は,表-4に示されている.
h = ho
G
G max
 G
1 − 
 G max



o
ここで,A,B,m,n は定数であり,せん断弾性定数およ
び内部摩擦角を決めたときに決まる.すなわち,これら
は次のように表される.
G max = Aσ ′mm
τ max = Bσ m′ n
(7) 土木研究所の一連の研究19)
建設省土木研究所で行われた動的変形試験で,沖積粘
性土20),洪積粘性土21),砂質土22)に関し,次のようにまと
められている.
①沖積粘性土
G
= A ⋅ σ ′mB
Go
[
]
[
]
G
= A ⋅ σ ′mB
Go
( 10 −6 ≤ γ ≤ 5 × 10 −4 )
γ =γ i
γ = 5×10 − 4
⋅ [ K ]γ =γ i ( 5 ×10 −4 ≤ γ ≤ 2 ×10 −2 )
ここで, σ m′ は平均有効主応力(kgf/cm2),A,B,K は
表-5 19)に示される.また,これを図示すると,図-13の様
になる.
一方,減衰比については,拘束圧依存にデータが整理
できなかったとして,図-13に示す一つの曲線を与えてお
り,これを表にすると,表-524)の右側となる.
②洪積粘性土
横田・龍岡21)の報告(N 値15∼30,Vs≈300m/s)(図-14)
を読みとると19),表-6の様になる.
③沖積砂質土
次の式が提案されている.
G
Gγ =10− 6
 G
=
 G −6
 γ =10

−6

p m (γ ) − m (γ =10 )

 p =1kgf / cm2
h = hmax (1 − G / Go )
(6) 拘束圧依存性を考慮した表形式(吉田らの方法18))
ここで,p は平均有効主応力である.最大減衰比 h max は0.3
動的変形特性試験で求められた動的変形特性は正確で
が使われている.計算に必要な二つの基本量は,表-5に
はあるが,実験を行った一点のみの結果である.実際の
まとめられている.
地盤では,たとえば材料が同じでも,深さが異なれば拘
④洪積砂質土・礫質土
束圧も異なるので,非線形特性も異なる.これを考慮す
文献24では洪積砂質土については,国生・佐々木の報
るために,与えられた拘束圧下の実験値から,拘束圧を
告 23) を引用しつつも,その結果が豊浦砂に類似している
考慮して非線形性を修正する必要がある.吉田らは,ひ
との理由から,沖積砂質土の関係を適用しても良いとし
ずみ依存性の双曲線モデルとの近似性に基づき,拘束圧
ている.また,礫質土については,適当な実験データが
の異なる材料非線形の修正方法を示している.これを少
無いので,文献19の発行時点(1982年)では,洪積砂質
し拡張すると,次式が得られる.
土のデータを用いることを勧めている.したがって,砂
G
G max
 G
= 
 G max
′m− n
 B + γAσ vo

 B + γAσ ′ m − n
v
o
質土については,全てについて前項の関係を用いる.
7
表-5 動的変形特性を決めるための係数
γ
2×10 -6
5×10 -6
10 -5
2×10 -5
5×10 -5
10 -4
2×10 -4
5×10 -4
A
0.991
0.965
0.938
0.908
0.863
0.820
0.780
0.705
B
0.00258
0.0160
0.0275
0.0443
0.0727
0.101
0.129
0.185
γ
5×10 -4
10 -3
2×10 -3
5×10 -3
10 -2
2×10 -2
5×10 -2
10 -1
K
1.000
0.831
0.655
0.431
0.282
0.170
(0.06)
(0.03)
γ
10 -6
2×10 -6
5×10 -6
10 -5
2×10 -5
5×10 -5
10 -4
2×10 -4
h
(0.02)
(0.023)
(0.028)
(0.032)
(0.036)
0.044
0.051
0.057
γ
5×10 -4
10 -3
2×10 -3
5×10 -3
10 -2
2×10 -2
5×10 -2
10 -1
h
0.073
0.092
0.110
0.140
0.161
0.176
0.192
0.200
図-13 沖積粘土に対するひずみ依存性
括弧は推定値
表-6 洪積粘性土の動的変形特性
G/Go h (%)
γ
10 -6 1.000 0.7
2×10 -6 0.990 0.9
5×10 -6 0.970 1.3
10 -5 0.950 1.6
2×10 -5 0.928 1.9
3×10 -5 0.908 2.3
5×10 -5 0.880 2.8
10 -4 0.834 3.7
2×10 -4 0.769 5.0
3×10 -4 0.715 6.3
γ
5×10 -4
7×10 -4
10 -3
1.5×10-3
2×10 -3
3×10 -3
5×10 -3
7×10 -3
10 -2
G/Go
0.627
0.563
0.491
0.415
0.362
0.288
0.200
0.145
0.085
h (%)
8.4
9.9
11.9
14.2
15.8
18.3
21.7
23.3
26.4
図-14 洪積粘性土の動的変形特性
表-7 沖積砂質土の動的変形特性
γ
10 -6
2×10 -6
5×10 -6
10 -5
2×10 -5
3×10 -5
5×10 -5
10 -4
G/Go
m(γ ) −
1.000
0.989
0.978
0.959
0.928
0.905
0.867
0.789
G/Go
γ
m(γ = 10 − 6 )
0.000
0.018
0.028
0.040
0.058
0.064
0.080
0.116
-4
2×10
3×10 -4
5×10 -4
10 -3
2×10 -3
3×10 -3
5×10 -3
10 -2
m(γ ) −
0.689
0.606
0.500
0.356
0.228
0.170
0.108
0.058
m(γ = 10 − 6 )
0.156
0.190
0.260
0.350
0.422
0.448
0.476
0.480
図-15 砂質土に対する動的変形特性
G/Go は,平均有効主応力1kgf/cm2における値
双曲線モデル: h =
(8) 数式モデル
非線形に解析プログラムでは,力学モデルや数学モデ
ルがよく用いられる.よく用いられるのは,双曲線モデ
ルと,Ramberg-Osgood モデルであり,骨格曲線は次のよ
うに表される.
双曲線モデル:
  γ
r
21 +
γ
 
Ramberg-Osgood モデル: h =
 γ r 
γ
 1 −
ln1 +
  γ  γ r
2 β −1 
G
1 −
⋅
π β + 1  G max
 
 − 1

 




なお,双曲線モデルに対する減衰比は,コンピュータの
丸目の誤差のため,ひずみの小さいところでは上式では
G
1
=
G max 1 + γ / γ r
τ
Ramberg-Osgood モデル: γ =
G max
2
π
うまく計算できないので,実計算では右辺の[ ]内の第2項

 τ


1 + α  τ
 f





β −1




を Taylor 展開した式24を用いる必要がある.
4.強度特性
ここで,γr は基準ひずみ(=τmax/Gmax:τmax はせん断強度), 土がせん断応力を受けるときの強度は,Mohr-Coulomb
α,β,τf はパラメータである.なお,Ramberg-Osgood モ
の破壊基準で表されることが多い.この基準は次のよう
デルでは,ひずみがせん断応力の関数として表されてい
に書ける.
るため,せん断定数比の陽な関数として書き表すことは
図-16の様な盛土の塗りつぶした部分が滑るような破
出来ない.γr=τf/Gmax と置き,書き直せば,次式となる.
 G γ 
G 
1=
1 + α 
⋅ 
Gmax 
Gmax γ r 


β −1




繰返し載荷時の履歴法則に Masing 則を使うとすれば,
減衰比のひずみ依存性は次のように表される.
図-16 破壊条件のイメージ
8
壊が起こったとする.このとき,滑り面に作用する直応
は意味がない.
力σ とせん断応力τ の関係を色々な応力状態について求め
一方,砂では,非排水条件を仮定するのであれば,圧
ると,次のような直線関係がある.
密非排水せん断(cu)試験の結果を,水と土を別々に扱
τ = c + σ tan φ
う有効応力解析を行うのであれば,排水せん断(d)試験
この関係は,Mohr-Coulomb の破壊基準と呼ばれる.ここ
の結果を用いるのがよい.また,次項で述べる液状化強
で,c は粘着力,φは内部摩擦角と呼ばれ,これらを総称
度試験を行うのであれば,応力経路図を書くことにより
して強度定数という.
求めることも出来る.
Mohr-Coulomb の破壊基準は,砂では三軸圧縮試験,粘
地盤の地震応答解析の実務では,液状化の問題を除け
土では一軸圧縮試験で求められることが多い.三軸圧縮
ば,地盤が破壊するような現象まで解析を行うというこ
試験は,排水条件,非排水条件,または圧密非排水条件
とはなかったようで,そのため,強度定数に関してはそ
(試料を圧密するときだけ排水)で行われ,それぞれ d,
れほど関心を持たれてこなかったように考えられる.土
cu,および u の添字をつけて試験条件を表す.一軸圧縮
の動的性質を扱った図書など(例えば文献25))でもほと
試験は側圧0で行われる非排水圧縮試験である.異なる応
んど記述はないことが多い.しかし,兵庫県南部地震の
力下で破壊条件を求め,モールの円を書くと,図-17に示
ような非常に大きな地震をターゲットとした場合には,
さ れ る よう に ,共 通 の接 線 が 引け る. こ れが , Mohr-
先にも示したように,強度に対する知見も要求される.
Coulomb の破壊基準である.
実験で強度定数を求められない場合には,実験式を用
地震応答解析に用いる土の強度は,排水条件と密接に
いることになる.最もよく用いられる方法は,N 値から
関係している.粘土では透水係数が非常に小さいので,
推定する方法であるが,沓沢・森田26) が示しているよう
地震の継続時間の間では間隙水圧の移動はほとんど完全
に問題も多い.彼らは,最近の内部摩擦角に関する三軸
に無視できるので,非排水条件の試験を用いる.一軸圧
試験の事例などから,砂の内部摩擦角は N 値と明瞭な相
縮試験の結果得られたせん断強度 q u から,強度定数は次
関関係がなく,図-18に示すように35∼45°の間にあるこ
のように決められる.
q
c= u ,φ =0
2
と,多用されている実験式の間で,非常にばらつきが大
(3)
きいことを示している.
図-18には,これまで多く用いられてきた大崎の式
すなわち,粘土は内部摩擦角が0の材料として扱われる.
非排水条件を前提としているので,式(3)は全応力につい
て成立する式である.有効応力で表した粘土の強度定数
では,内部摩擦角もあるが,地震応答解析では,その値
φ = 15 + 20 N
(4)
も示されているが,実験値との対応は良くない.図から
明らかなように,この関係を一意的な実験式で示すこと
は困難である.
これまでは,静的載荷に伴う強度定数を示した.これ
を静的強度といい,これに対し,動的強度という用語が
使われることがある.高速載荷を受けた試料の強度など
がこれに相当するが,地震応答解析の範囲ではそれほど
影響がないと考えられるので,ここでは扱わない.また,
動的という用語を繰り返し載荷と捉え,次に述べる液状
図-17 Mohr-Coulomb の破壊基準
化特性を動的強度と呼ぶことも多く行われる.
内部摩擦角(度)
50
5.液状化特性(液状化強度)
40
(1)液状化のメカニズム
30
前項で述べたのは,応力状態が Mohr-Coulomb の破壊
基準を満たすと,それ以上せん断応力が大きくなること
20
10
0
0
大崎
N=15+ 20N
10
20
田中
西垣(φcu)
西垣(φd,φ')
30
N値
40
50
図-18 砂の N 値と内部摩擦角の関係
が出来ず,したがって,ひずみが(無限に)大きくなる
と言う現象である.このような状態に至らなくても,ひ
ずみが非常に大きくなったり,せん断強度が作用せん断
力と同程度のオーダーになる現象がある.これが液状化
現象である.
液状化現象は,ダイレタンシーが密接に関係している.
9
このことをわかりやすくするため,液状化のメカニズム
質的には同じ様なものである.つまり,有効応力が0にな
を直観的に示したのが図-19である.図-19(a)は砂が骨格
ると,砂では粘着力は0であるので,せん断強度も0にな
構造を形成していることを強調して描いた模式図である. り,せん断応力に耐えられなくなるわけである.ただし,
この状態からせん断変形を受けると(負の)ダイレタン
Mohr-Coulomb の破壊はせん断破壊であるが,有効拘束圧
シーにより図-19(b)の様に,体積が減少する.しかし,間
0すなわち液状化による破壊は強度も剛性も0であり,土
隙が水で飽和されているときには,体積が減少するため
は液体状に振る舞うという点が異なっている.
には,間隙中の水が間隙の外に排出される必要がある.
Mohr-Coulomb の破壊基準でいう強度と液状化強度の
簡単のために,この排水が出来ないようになっている(非
違いは,前者が応力状態がある基準を満たしたときとい
排水条件)とする.すると,間隙水は土骨格が体積を減
う状態を述べているのに対し,液状化強度とは,どの程
らそうとしていることにより圧縮力を受け,水圧が上が
度の載荷を行えば,このような破壊状態に至るかを定義
る.このような水圧は初期の静的な状態からの変化分で,
するものであることである.
過剰間隙水圧と呼ばれる.水圧が上がると,反作用とし
液状化強度を求める試験も,動的変形特性試験と全く
て,土の粒子間に作用する力,すなわち有効拘束圧が減
同じである.ただし,動的変形特性試験ではステージテ
少する.繰返しせん断変形を受けていると,どんどん有
ストを行ったので,一つの試料で全ての実験を行ったの
効拘束圧が減少し,最終的には,有効拘束圧は0になる.
に対し,液状化強度試験では,試料が破壊するまで試験
すると,粒子間に作用する力はなくなり,図-19(c)に示し
を行うため,一つの試料から一つの情報しか得られない.
たように,粒子が水の中に浮いてしまった状態となる.
図-20は液状化強度試験の際の試料の挙動を表してい
このような状態となれば,土は全体としては水の様に挙
動する.これが液状化である.
この説明から分かるように,液状化は,体積の減少が
起こりやすい土(緩く堆積している土)で,地下水があ
る時に起こることが分かる.この説明では,排水が完全
に拘束されているとしたが,実際には少しずつ排水が行
われる.したがって,最終的には,過剰間隙水圧は全て
(a)
(b)
(c)
図-19 液状化のメカニズム模式図
(d)
消散し,図-19(d)のように地表に水が浮き上がり,地盤は
沈下する.
排水がどの程度起こりやすいかが液状化が起こりやす
いかを決める一つの要素となる.一般に礫のように透水
係数の大きい材料では,排水は速やかに起こるので,液
状化は起こらず,砂程度の透水係数が一番液状化が起こ
りやすい.しかし,礫でも,上下を粘土層で囲まれてい
るときのように排水が制限されれば液状化する.このよ
うな例は,発掘調査からよく発見されている(例えば文
献27).また,細粒分が多くても,透水係数が小さくなる
ので,液状化が発生する.たとえば,1995年兵庫県南部
地震では埋立に用いられたまさ土が大々的に液状化した.
まさ土は礫分の多い土で,それまでは
(a) 時刻歴
液状化しにくいと思われていたが,地
震力が大きかったこともあって液 状
化したものである.
(2)液状化強度試験における試料の挙
動
液状化が起これば,地盤はやはり破
壊状態にある.この破壊と,前章で示
した Mohr-Coulomb の破壊基準とは実
(b) 応力−ひずみ関係
(c) 応力経路
図-20 豊浦砂の中空ねじり試験機による液状化試験の例
10
る.図-20(a)は応力,ひずみおよび過剰間隙水圧の時刻歴
ひずみに近くなるところからせん断応力が急激に大きく
である.応力振幅一定の載荷を行うと,最初は過剰間隙
なる.
水圧が徐々に増加する.ひずみ振幅は当初非常に小さい
このような応力−ひずみ関係の変化は,図-20(c)の応力
が,過剰間隙水圧が初期有効拘束圧(98kPa)の半分を越
経路図を見ると理解することが出来る.載荷の最初の段
えるあたりから急に大きくなり始める.
階では,せん断応力の変化に伴い,有効拘束圧は単調に
液状化は,先に示したメカニズムによれば,過剰間隙
減少していく.この付近では応力−ひずみ関係は紡錘形
水圧が初期有効拘束圧と同じになり,有効拘束圧が0にな
を保ちながら次第に劣化していく.有効拘束圧がある程
る事により生じる.実務上は,初期有効拘束圧の100%で
度減少してくると,せん断応力が増えるときには,応力
28)
はなく,95%の発生量を液状化としている .
経路が破壊線に近づくと有効拘束圧が大きくなる現象が
この他に,ひずみによる定義もある.つまり,細粒分
見られるようになる.せん断強度は有効拘束圧に比例し
が多い砂では,過剰間隙水圧は初期有効拘束圧に至るほ
ているので,やはり急激に大きくなり,応力−ひずみ関
どは大きくなりにくいが,ひずみがどんどん大きくなる.
係における急激な硬化現象が生じる.一方,除荷すると
ひずみが大きくなることは,破壊現象と類似であるので,
応力経路は有効拘束圧が急激に小さくなるように移動し,
ひずみがある値になった時を液状化とするものである.
せん断強度も急激に小さくなり,応力−ひずみ関係のス
判定として,三軸試験機を用いた場合には,軸ひずみの
リップ領域が生じるわけである.繰り返す度に有効拘束
両振幅が2%,5%,10%などに至った時を用いる.ここで, 圧の最小値は小さくなり,対応してひずみ振幅が増えて
両振幅とは聞き慣れない用語であるが,ひずみの除荷点
いくわけである.
から除荷点までのひずみ量の事である.図-20は中空ねじ
応力経路で,有効拘束圧が増えるようになると言うこ
り試験による挙動であるので,ひずみの時刻歴は上下対
とは,これまで負のダイレタンシーをしていた試料が正
称であるが,三軸試験機では,伸張側と圧縮側で挙動が
のダイレタンシーを始め,土骨格の体積が増加しようと
異なるので,ひずみが一方向に蓄積していくことが多々
していることを意味している.このようなダイレタンシ
あり,このドリフト分を考慮しないようにするために,
ーの特性が変わる状況を変相するという29) .応力経路の
両振幅という定義が使われるわけである.なお,図-20に
変相点を結ぶと図に示すように直線になるが,これを変
示したように,せん断ひずみは軸ひずみの1.5倍なので,
相線といい,その横軸となす角度を変相角という.
軸ひずみ5%はせん断ひずみ7.5%に相当する.
変相は,密な材料ほど起こり易く,非常に緩い砂では
土は非排水条件下で繰返し応力を作用させると,劣化
変相状態には至らず,有効拘束圧が単調に減少し,0に至
するので,たとえ粘土でもひずみが次第に大きくなる.
ることもある.応力経路が変相線を越えると,材料は硬
つまり,ひずみによる液状化判定規範を用いると,粘土
化したように挙動する.しかし,繰り返すと次第に全体
でもこの条件を満たすことになる.これを持って,粘土
として有効拘束圧が0になる方向に近づいていく.このよ
でも液状化するという意見もある.しかし,液状化とは,
うに繰り返しながら液状化に近づいていく挙動を,サイ
有効応力が0になることにより生じる現象につけられた
クリックモビリティという.
名称であり,ひずみによる液状化の判定は工学的な使い
図-20は中空ねじり試験の結果であるが,実務では三軸
やすさを考えた便法である.粘土でも見かけ上図-20に示
試験が最も普通に使われる.中空ねじり試験と比べると,
したような挙動はするが,通常の範囲では有効応力が0に
せん断ひずみが一方向に偏ってくること(これが,液状
なるようなことはなく,液体状に挙動することもないの
化の判定に両ひずみ振幅を用いる理由である),応力経
で,これを液状化とは呼ばない.しかし,動的強度とい
路でせん断応力の正負で挙動が異なることが分かる.こ
う呼び名であれば,両方を指していると考えることも可
れは,三軸試験では,正負のせん断応力を与えるために,
能であろう.
引っ張りと圧縮の軸応力を作用させる必要があるからで
次に,この試験の応力−ひずみ関係および応力経路を
ある.つまり,一方は圧縮側,一方は引っ張り側(とい
を示すと,図-20(b)(c)の様になる.応力−ひずみ関係は当
っても初期の応力から見ての話であり,応力値そのもの
初は紡錘形であるが(図ではひずみが小さいのでよく判
は圧縮である.伸長側とも呼ばれる)の挙動であり,拘
断できないかもしれない),繰り返される度にひずみが
束圧の違いが挙動の違いに反映されていると言える.
大きくなり,同時に形状も変化する.液状化の基準を満
これら,変相やサイクリックモビリティ,この間のひ
たす程度になると,応力−ひずみ関係の形状は逆 S 字型
ずみの増加量などは,液状化以後の地盤の挙動を解析す
となる.つまり,除荷すると,急激にせん断応力が低下
るのに非常に重要なパラメータである.
し,せん断応力はほとんど0になるが,過去に受けた最大
11
(3)液状化強度曲線
異なることなどに起因していると考えられる.
図-20に示したような試験を,応力振幅を変えて次々繰
なお,液状化強度に対する提案式では,通常特定の繰
り返していくと,図-21に模式図を示すように,せん断応
返し数に対する液状化強度しか求められない.図-23に示
力振幅と液状化に至ったときの繰返し数の関係が描ける. されているのは,繰返し数15回や20回の液状化強度であ
液状化強度は,初期の拘束圧の大きさや初期応力の異方
る.これに対して,液状化解析に用いるには,広い範囲
30)
性の程度によって異なる.しかし,図-22に示すように ,
初期応力の異方性については,せん断応力振幅を初期拘
束圧で無次元化すれば応力状態によらず一つの線で表せ
るとされている.初期拘束圧の影響についても同じ事が
言え,液状化強度は図-22(b)に示すように,縦軸をせん断
応力振幅の初期有効拘束圧に対する比として表すのが普
通である.なお,液状化強度を求める実験は,等方応力
状態から載荷して行われるが,実地盤は等方圧密状態で
はない.また,一次元の液状化解析では,単純せん断状
図-21 液状化強度曲線の求め方模式図
態における液状化強度が要求される.有効上載圧を σ v′ と
すれば
σ m′ =
1 + 2K o
σ v′
3
の関係が成立するので,
τ d 1 + 2K o τ d
=
3
σ v′
σ m′
となる.Ko=0.5とすれば,右辺の係数は2/3となる.した
がって,実験で得られた液状化強度曲線を2/3下方に移動
させれば単純せん断状態の液状化強度が得られる.
液状化強度は,これまでに示したように,せん断応力
振幅と繰返し数の関係で表される.しかし,たとえば簡
易液状化判定法のように,設計に使うには少数の指標で
表した方が都合がよい.そこで,代表的な繰返し数に対
するせん断応力振幅比を液状化強度と呼ぶこともある.
たとえば道路橋示方書では20回の繰返しに対するせん断
応力比を,基礎構造設計指針では15回の繰返しに対する
せん断応力比を液状化強度として用いている.
液状化の定義は先に述べたように,過剰間隙水圧によ
図-22 静止土圧係数の影響
るものと,せん断ひずみによるものがある.しかし実務
では両者を明確に区別しては使っていないようである.
また,設計指針などでも一部の例外を除けば明確には区
別されていない.特に定義に関する記述がないときには
過剰間隙水圧による定義と考えて良い.また,軸ひずみ
5%の定義もよく使われるようである.
液状化強度に関する提案式は数多く提案されている.
また,地盤の地震時挙動を扱っている設計指針では,必
ずといっても良いほど,液状化の発生に対する判定法が
示されており,そこで液状化強度が示されている.図-23
は代表的な設計指針による液状化強度をまとめたもので
あるが,指針により差がある.これは,もとになった実
験データ(したがって材料も)が違うこと,液状化の判
定方法や繰返し数も異なること,設計に対する考え方が
図-23 各種指針による液状化強度の比較
12
(問題にもよるが,2∼30程度の繰返し数)の液状化強度
6.減衰特性
が必要である.
地震応答解析に必要な地盤物性としての減衰は二つあ
る.
(4)ダイレタンシー特性
一つは,応力−ひずみ関係の非線形性に起因する履歴
液状化がダイレタンシーによって生じることは既に示
減衰である.これは,非線形の応力−ひずみ関係を用い
したが,これまで,ダイレタンシーの話はメカニズムの
ていれば自然に考慮されている.
部分で紹介しただけで,特に述べなかった.液状化がダ
地盤は本質的に均質な材料ではなく,同じ地層といえ
イレタンシーで発生するものであるなら,ダイレタンシ
ども局所的にはずいぶん差がある.このような不均質な
ー特性を計測すればより実用的に見えるが,実はこれは
媒質を波動が伝播するとき,直線的に進むことは出来ず,
ほとんど行われない.これは,実務で興味の対象となる
散乱する.このために,波動は減衰する様に見える.こ
のは,液状化が発生するか否かということだというのが
のような減衰を散乱の減衰と呼び,地盤物性としての減
もっとも大きな原因である.ダイレタンシーは,乾燥状
衰の二つ目のものである.
態や完全に排水が行われる場合に生じる体積変化である
散乱の減衰は,鉛直アレー記録の逆解析などで求める
が,多くのケースでは,乾燥状態における地盤の沈下量
ことが出来る.このことは,地震応答解析の対象となっ
はそれ程問題とならない.また,飽和状態では,多くの
ているサイトで,地表から求めることが非常に困難なデ
液状化解析で非排水条件が仮定されることからも分かる
ータであることを意味している.
ように,完全に排水が許容されることは無い.したがっ
散乱の減衰は,履歴減衰の小さい間は応答結果に大き
て,ダイレタンシー特性が分かっていたとしても,それ
く影響を与える.しかし,履歴減衰が大きくなると,散
だけでは役に立たないわけで,これに,たとえば非排水
乱減衰の影響は小さくなる 31) ので,大地震の解析をする
状態における膨潤曲線と組み合わせて,過剰間隙水圧の
場合にはそれほど重要な量というわけではない.
発生量を求めなければならない.ということは,過剰間
散乱の減衰は周波数に依存しているのが特徴で,高周
隙水圧の発生量は,ダイレタンシーと膨潤曲線の二つの
波数成分ほど減衰は小さくなる.例えば,次のような式
組み合わせで決められることになるので,個々の部分を
32)
が提案されている.
h = ho f
個別にモデル化するよりも両方をあわせた液状化特性を
a
モデル化した方が実用的であることが分かる.
ここで,f は周波数,a は負の実数である.
もう一つの問題は,排水試験をすることは時間が掛か
周波数に依存した特性は,逐次積分を行う数値解析で
ることが挙げられる.つまり,実用的ではないわけであ
は考慮することが困難であるが,この場合には,小さい
る.この辺は,動的変形特性試験が非排水条件で行われ
ひずみ領域の地震応答解析では,3∼5%の一定減衰を与
るのと同じ様な事情であろう.
えればよいとの指摘33)もある.
しかし,多次元の解析ではダイレタンシー関係も必要
とされる.多く用いられるダイレタンシー関係として次
7.透水係数
の式がある.
dε vd
q
=µ−
dγ
p
過剰間隙水圧の変化を考慮する有効応力解析では,透
水係数は要求される地盤物性の一つである.圧密解析で
はその値は非常に重要であるが,地震応答解析では,地
この式は,三軸試験の結果を基に確立されており,q は応
震の継続時間が短いのでその間の水の移動量は大きくな
力比(σ1-σ3),p は平均応力(σ1+σ3)/2である.また,µは
いとの仮定から,非排水条件が仮定されることも多く,
変相時の応力比,つまり,図-20の応力経路の変相線の角
その値はそれほど重用視されていない.
度の正弦(µ=sinφs)である.
ダイレタンシーによる体積ひずみを提案する式は他に
も提案されている.多くの式では上記のような物理的な
意味を設けるのではなく,繰返し数のように単調に増加
するパラメータに対して過剰間隙水圧や体積ひずみを求
める実験式である.つまり,その関数形そのものは物理
的な意味が無いものが多い.
表-8 透水係数の概略値(文献34をとりまとめ)
D20 (mm)
0.005
0.01
0.02∼
粗粒シルト
0.05
土質
粒径 (mm)
粗粒粘土
細粒シルト
微細砂
細砂
中砂
粗砂
小砂礫
透水係数 (cm/s)
3.00×10-6
1.05×10-5
4.00×10-5∼2.80×10-4
0.05∼0.10
0.10∼0.25
0.25∼0.50
0.50∼1.00
1.00∼5.00
0.001∼0.005
0.005∼0.01
0.01∼0.1
0.1∼1.0
1.0∼5.0
13
透水係数は,原位置透水試験により求めることが出来
(2) 排水条件
る.その実績は多いと考えられるが,資料として公開さ
動的変形特性は,せん断変形に対する特性を表してい
れているものは少ない.表-8が一つの目安と考えられる.
ると考えられることが多いが,実際には,せん断とダイ
透水係数の値は,例えば同じ材料でも,拘束圧が変化
レタンシーの両方の挙動を表している.つまり,動的変
すると変化する.また,液状化後には変化しているとい
形特性を求めるために繰り返しせん断を加えると,土は
う報告
35)36)
もある.液状化が土の骨格構造を変えてしまう
とすれば,当然かもしれない.
体積変化をしようとするわけである.この時,体積ひず
みに対する境界条件の設定で,得られる動的変形特性は
変化する.
8.動的変形特性と地震応答解析に用いる応力−ひずみ
関係
試料から水の出入りを許容するすなわち排水条件とす
ると,体積変化を許容する試験となる.これに対して,
地震応答解析で最も重要なものの一つは,非線形の応
水の出入りを許さない非排水条件では,(ほとんど)体
力−ひずみ関係である.地盤材料の非線形性は,前述し
積変化のない試験となる.
たように,動的変形特性として,G-γ ,h-γ 関係として表
ひずみが小さい間は,ダイレタンシーによる体積ひず
現されている.これは,動的変形特性試験の結果得られ
みは非常に小さいことから,両試験の結果にほとんど差
たデータを整理したものである.先にも述べたように,
はない.しかし,ひずみが大きくなると,ダイレタンシ
このような表示方式は,鋼やコンクリートのように特徴
ーにより,砂が体積変化しようとする傾向は強くなり,
的な状態の数値で代表させる方法と異なり,より直接的
両者に差が生じることになる.図-25は,単純せん断試験
な方法で,それが,土の挙動の複雑さを表している.し
により繰返しせん断応力を作用させた実験の結果 39であ
かし,これが,地震応答解析に用いる応力−ひずみ関係
るが,排水条件の違いにより結果が非常に異なることに
として適切なものかというと,必ずしもそうは言えない
着目されたい.排水が許されると,ダイレタンシーによ
ところがある.筆者は以前,このような問題を論文とし
り体積が小さくなるので,密度が大きくなり,硬化が起
てまとめたことがある が,ここでは,これを基に,さ
こるのに対し,排水が許されないと,先に液状化のメカ
らに最近の知見を加えて,その問題点を示す.
ニズムのところで示したように,過剰間隙水圧の発生に
問題点は,動的変形特性試験では,11回の繰返しを行
より剛性や強度の低下が起こるのが,両者が異なる原因
い,10サイクル目の履歴曲線,すなわち,応力−ひずみ
である.
関係が定常化したときの履歴曲線から材料特性を決める
現在,動的変形試験は非排水条件で行われている.し
ことに起因している.このような方法は,実務で非常に
かし,動的変形特性に関する研究の初期には,排水条件
多く用いられる重複反射理論に基づく一次元地震応答解
るが,非線形の地震応答解析を行うのには必ずしも適切
ではないと言うのがこの節の議論の主旨である.
(1) 定常か非定常か
図-24は,動的変形特性試験で,各繰返しサイクルごと
38)
の動的変形特性を示したものである .1,2サイクル目
せん断定数 G (kgf/cm2)
析(等価線形法)SHAKE と非常に相性のよい整理法であ
1800
45
1600
40
1400
35
1200
0
0.01
1000
30
0.04
25
0.07
0.10
800
: 1 サイクル
: 2 サイクル
: 10 サイクル
600
400
20
0.13
15
0.17
0.23
の動的変形特性と10サイクル目の動的変形特性には明ら
0
-6
10
かな差が見られ,低サイクルでは非定常性が見られる.
10
0.35
200
-5
10
10
-4
等価減衰比 h (%)
37)
-3
10
5
0
-2
10
せん断ひずみ γ
一般的に言って,設計上重要な,最大加速度などの最
関係ではなく,最初にひずみが大きくなった所である.
この意味からは,1サイクル目の履歴挙動が重要であると
言うことになる.
せん断応力 τ (kPa)
り,最大応答を支配するのは,定常状態の応力−ひずみ
80
排水条件
1
0
-80
2
3
-0.01
0
0.01
せん断ひずみ γ
せん断応力 τ (kPa)
図-24 動的変形特性の繰返しに伴う変化
大応答値はひずみが最大となったときに発生する.つま
80
非排水条件
0
-80
-0.1
-0.05
0
0.05
せん断ひずみ γ
0.1
図-25 排水条件の違いによる応力−ひずみ関係の差
14
で実験が行われていた.図-25から分かるように,両者の
(4) 初期異方性の影響
違いは,特に減衰特性で顕著である.豊浦砂の実験で見
実地盤に作用している応力は,水平成層でも,上載圧
ると,排水条件では最大減衰比は40%程度にもなるが,
と側圧が異なる,異方応力状態にある.しかし,動的変
非排水条件では25%程度の値となる.
形特性試験では,等方応力状態を初期状態にして実験が
現在用いられている実験式でも両方の条件のものがあ
行われる.異方応力状態というのは,見方を変えれば,
る.しかし,排水条件に関しては明瞭に記述されておら
初期にせん断応力が加わった状態にあり,これと,初期
ず,使用に際しては,原論文を当たるなど,注意が必要
せん断の作用していない等方応力状態の試験結果の関係
である.
が分からないと,動的変形特性試験の結果を実地盤の解
析に使うことは出来ない.
(3) 等価減衰定数
図-27は静止土圧係数 Ko が動的変形特性に与える影響
動的変形特性試験における等価減衰定数の求め方は,
を調べたものである40)41).この結果から,静止土圧係数に
図-10に示されているが,履歴曲線の面積をひずみエネル
関わらず,初期有効拘束圧が同じであれば,動的変形特
ギーで除した値が基本となっている.ところで,図-26は
性が変わらないことが分かる.このことは,現在多く用
動的変形特性結果の一例である.図の A,B,C,D は対
いられている地震応答解析に用いる動的変形特性が間違
応する状態を表している.C→D と減衰が小さくなってい
えている可能性のある事を示唆している.
るのは,履歴曲線の形状から分かるとおり,ダイレタン
不撹乱試料を採取して動的変形特性を行う場合,初期
シーの影響が現れたものである.
応力状態として,初期有効上載圧を用いることが普通で
A の状態における履歴曲線と D の曲線では非常に大き
ある.これは,有効上載圧はかなりの精度で計算できる
な差がある.これが,一つのパラメータ h で表されるの
こと,これに対して側圧を計測することは困難であるこ
であろうか? というのがこの項の疑問である.処女載
とから有効拘束圧を求めることが困難なことが理由と考
荷時の曲線を表すのには,G-γ関係として,いくつものデ
えられる.しかし,図-27が意味するところは,初期有効
ータを用いた.これに対して,履歴曲線をたった一つの
拘束圧を同じにしないと原位置と同じ材料特性が得られ
パラメータで表すのは,バランスの取れていない方法で
ないということである.また,拘束圧が動的変形特性に
あるということも出来る.
依存していることは既に示したとおりである.
しかし,本論で論じたいことは他にもある.先にも述
べたように,初期異方応力状態と言うことは初期にせん
0.6
Shear strain, γ (%)
0.6
-0.6
-1.5
Shear modulus, G (kgf/cm2)
Silty sand
Shear strain, γ (%)
B C
A
20
15
400
10
200
5
0.001
0.01
0.1
2
1000
Toyoura undisturbed sand
25
20
800
15
600
Ko=1.0
Ko=0.5
400
σ'mo=0.35kgf/cm2 10
5
200
0 -4
10
0
-3
-2
-1
0
10
10
10
10
Single amplitude shear strain, γ (%)
25
D
600
0
0.0001
1.5
1000
Damping ratio (%)
D
1000
800
0.15
Shear strain, γ (%)
1
Shear strain, γ (%)
図-26 履歴曲線の形状の変化の例
0
10
25
Ishikari undisturbed sand
20
800
600
400
200
0 -4
10
15
Ko=1.0
Ko=0.5
10
σ'mo=1.84kgf/cm2
5
Damping ratio (%)
-0.6
-0.6
である.この二つの応力−ひずみ関係はどこから見ても
-0.6
-0.15
0.6
Shear stress, τ (kgf/cm2)
Shear stress, τ (kgf/cm2)
C
なる実験データを取り寄せ,書いてみると,図-28のよう
Shear modulus, G (kgf/cm )
0.003
図-27の結果は直感と合わない.そこで,この結果の元と
2
Shear strain, γ (%)
断があることであり,当然,剛性は小さいはずであり,
Shear modulus, G (kgf/cm )
-0.03
-0.003
0.6
B
Shear stress, τ (kgf/cm2)
Shear stress, τ (kgf/cm2)
A
Damping ratio, h (%)
0.03
0
-3
-2
-1
0
10
10
10
10
Single amplitude shear strain, γ (%)
図-27 動的変形特性に対する Ko の影響
15
50
0
-50
20
Ko=0.5
Shear stress (kPa)
100
Ko=1.0
Shear stress, τ (kPa)
Shear stress, τ (kPa)
100
50
0
-50
10
0
-10
-20
-8
-100
-0.1
0.0
0.1
Shear strain, γ (%)
-100
-0.1
0.0
0.1
Shear strain, γ (%)
-6
-4 -2 0
2
4
Shear strain (×10-2)
0.2
形状のみから G と h を決め,その絶対位置がどこにある
のかを議論していないからである.これについては,文
Shear stress (kPa)
る.これは,動的変形特性は10サイクル目の履歴曲線の
4
20
20
2
10
10
0
-2
-4
-10
0
0
γ=7.95×10-5
-10
G=45000kPa
h=3.16 %
γ=6.75×10-4 -10
G=25000kPa
h=19.18 %
-5
0
5
Shear strain (×10-5)
献24に,地震応答解析に与える影響も含めて議論をした
ので,興味のある方は参考にしていただきたい.
8
(a) 動的変形特性試験の一ステージの結果
図-28 初期応力状態の違いによる応力−ひずみ関係の差
同じには見えないが,動的変形特性は同じになるのであ
6
-20
10 -10
-5
0
5
Shear strain (×10-4)
-20
10 -10
γ=4.25×10-2
G=3200kPa
h=11.42 %
-5
0
5
Shear strain (×10-2)
10
(b) ステージにおける履歴曲線の例
図-29 第ひずみ領域における応力−ひずみ関係
(5)まとめ
響が顕著になり,繰り返す度にひずみが大きくなる様に
ここでは,非線形地震応答解析を行うのための材料特
なるので,従来の整理方法ではデータを出すことが出来
性として,現在用いられている G-γ,h-γ関係による表示
ないわけである.
法の問題点を示し,これをそのままひずみに依存した材
大ひずみ時の挙動は,動的強度や液状化強度試験とし
料の非線形性を表していると考えるとまずいかもしれな
て計測されている.しかし,そこでは,強度を求めるこ
いことを示した.その主な原因は,動的変形特性試験で
とが目的であるので,応力−ひずみ関係という観点から
計測しているのはダイレタンシーとひずみ依存性が混じ
の整理はされていない.また,ひずみによる液状化の判
った挙動であるが,これをせん断変形特性として扱うと
定として良く用いられるひずみは,三軸試験で両ひずみ
ころにあるように思われる.
5%であり,これをせん断ひずみに換算すると,7.5%,す
動的変形特性の表現法は,土の複雑な応力−ひずみ関
なわち,片ひずみで3.75%となる.つまり,動的変形特性
係を表す一つの方法ではあるが,これで全てが表せてい
で得られる0.1∼1%のひずみ領域から4%程度のひずみ領
るわけではないことに注意が必要である.それでは,ど
域までの実験データ,その挙動に関する研究はほとんど
のような表現方法が良いのかと言う質問に対して完全に
無いのが現状である.
答えることは現在のところ難しい.解析に用いる構成則
数少ないデータの一つとして,図-29を示す42) .液状化
によって必要な量が異なるし,応力−ひずみ関係のモデ
試験の時に見られたのと同様,応力−ひずみ関係が逆 S
ル化の誤差が解析結果にどのように影響を与えるかとい
字型を描くことが分かる.
うような研究も,皆無とはいわないが数が少なく,必要
当然,この領域の挙動は,従来の G-γ,h-γ関係の表現
な量が把握し切れていないと言うのが現状の様に考えら
では表せないことはこれまでに行ってきた議論から明ら
れる.
かであろう.
従来,この様な大ひずみ域の挙動は余り問題にされて
9.大ひずみ時の動的変形特性
こなかった.これは,多くの問題では,これほど大ひず
動的変形特性に付いては,既に説明し,さらに,その
みになることが無かったことが原因の一つと考えられる.
問題点も示した.ここでは,もう一つ,これまで余り扱
しかし,1995年兵庫県南部地震を契機として,レベル2
われていなかった事項について述べる.
地震動に対する考慮が多くの設計指針で取り入れられよ
既往の動的変形特性試験の結果を見ると,そのほとん
うとしている.この場合には,これまでより大きなひず
どは最大ひずみが0.1∼1%止まりである.これは,これま
みが発生する.液状化とこれまでの動的変形特性の狭間
でに述べた動的変形特性試験の方法に理由がある.つま
に埋もれていた,大ひずみ域の挙動は今後の課題と考え
り,動的変形特性試験では11サイクルの載荷を行い定常
られる.
化した履歴曲線から剛性と減衰を計算するが,先にも述
べたように,ひずみが大きくなるとダイレタンシーの影
16
参考文献
1) 安田進,山口勇(1984):室内および原位置で求めた動的
せん断定数,砂質土および砂地盤の変形・破壊強度の評価
−室内試験法および試験結果の解釈と適用−に関するシン
ポジウム発表論文集,土質工学会,pp. 115-118
2) 時松孝次(1989):室内試験,原位置試験及び地震記録か
ら求めた土の動的性質,第2回構造物と地盤の動的相互作
用シンポジウム,pp. 11-16
3) 国生剛治(1992):地盤の動的特性,講座・地盤と構造物
の動的相互作用の解析法,土と基礎,Vol. 40, No. 4, pp. 76-84
4) 酒井運雄(1985):耐震地盤調査の計画と管理,鹿島出版
会
5) 吉田望,中村晋,末富岩雄(1995):1995 年兵庫県南部地
震における地盤の非線形挙動とその予測,第 23 回地盤震動
シンポジウム−1995 年兵庫県南部地震で試された地盤震
動研究−,日本建築学会,pp. 39-52
6) Lade, P. V. and Nelson, R. B. (1989): Modeling the elastic
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Analytical Methods in Geomechanics, Vol. 11, pp. 521-542
7) Nakagawa, K., Soga, K. and Mitchell, J. K. (1997): Observation
of Biot Compressional wave of the second kind in granular soils,
Geotechnique
8) Kokusho, T. (1980): Cyclic Triaxial Test of Dynamic Soil
Properties for Wide Strain Range, Soils and Foundations, Vol. 20,
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9) Imai, T. (1977): P- and S-wave velocities of the ground in Japan,
Proc., 9th ISSMFE, Tokyo, Vol. 2, pp. 257-260
10)運輸省港湾局監修(1993):埋立地の液状化対策ハンドブ
ック,沿岸開発センター
11)岩崎敏男,龍岡文夫,佐伯(1977):第 12 回土質工学研究
発表会,pp.477-480
12)Tokimatsu, K. and Hosaka, Y. (1986): Effects of sample
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Vol. 26, No. 1, pp.53-64
13)吉田望(1994):実用プログラム SHAKE の適用性,軟弱
地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集,pp. 1431
14)Tatsuoka, F., Iwasaki, T. and Tagami, Y. (1978): Hysteretic
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15)Hardin, B. O. and Drnevich, V. P. (1972): Shear Modulus and
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16)港湾の施設の技術上の基準・同解説(1989),日本港湾協
会
17)安田進,山口勇(1985):種々の不撹乱土における動的変
形特性,第 20 回土質工学研究発表会講演集,pp.539-542
18)吉田望,辻野修一,石原研而(1990):一次元非線形解析
における土のせん断応力−せん断ひずみ関係のモデル化,
日本建築学会大会学術講演梗概集(中国),pp.1639-1640
19)建設省土木研究所(1982):地盤地震時応答特性の数値解
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20)岩崎敏男,常田賢一,吉田清一(1980):沖積粘性土の動
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pp. 625-628
21)横田耕一郎,龍岡文夫(1982):不撹乱洪積粘土のせん断
変形係数について,土木学会第 32 回年次学術講演概要集,
第 3 部,pp.257-258
22)岩崎,龍岡,高木(1980):地盤の動的変形特性に関する
実験的研究(Ⅱ),土木研究所報告 153 号の 2;足立,龍
岡,新体系土木工学 18,技法堂出版,1986
23)国生剛治,佐々木正美(1980):繰返し三軸試験による不
撹乱洪積砂の動的物性試験,第 15 回土質工学研究発表会,
pp.537-540
24)吉田望(1996):水平成層地盤の地震応答に与える初期せ
ん断の影響,京都大学防災研究所年報,第 39 号 B-1,pp.
23-35
25)土木学会(1989):地震動・動的物性,動的解析と耐震設
計第 1 巻,技法堂;土質工学会(1986):地震応答解析の
ための土の動的性質
26)沓沢貞雄,森田悠紀雄(1994):設計基準と土質定数,講
座・基礎設計における基準の背景と用い方,土と基礎,地
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27)寒川旭(1992),地震考古学,中公新書
28)土質工学会(1994):土質試験の方法と解説
29)Ishihara, K., Tatsuoka, F. and Yasuda, S. (1975): Undrained
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and Foundations, Vol. 15, pp.29-44
30)Ishihara, K., Emoto, S., Yasuda, S., Takatsu, H. (1977):
Liquefaction of Anisotropically Consolidated Sand, Proc. 9th Int.
Conf. on SMFE, pp. 261-264
31)Suetomi, I., Nakamura, S. and Yoshida, N.: A Numerical Study
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Inhomogeneous soil deposits, Proc., 10 WCEE, Madrid, Spain,
Vol. 2, pp. 761-766, 1992
32)佐藤智美,川瀬博,佐藤俊明(1994):観測記録から同定
した地震動の統計的特性と地盤の非線形性を考慮した強震
動予測,日本建築学会構造系論文集,第 463 号,pp.27-37
33)清田芳治,萩原庸嘉,青柳隆之(1993):地盤のひずみ依
存性を考慮したモード別等価線形地震応答解析手法 その
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観測結果に対する解析的検討,日本建築学会学術講演概要
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34)河野伊一郎(1982):浸透と地下水,土質工学ハンドブッ
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35)Arulanandan, K. and Sybico, J. Jr. (1992): Post-liquefaction
settlement of sand -mechanism and in situ evaluation, Proc. 4th
Japan-U.S. Workshop on Earthquake Resistant Design of Lifeline
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Hawaii, Technical Report NCEER-92-0019, pp. 239-247
36)吉田望,W. D. L. Finn(1997):液状化に伴う地盤の透水
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37)Yoshida, N. (1995): Processing of strain dependent
characteristics of soil for nonlinear analysis, Proc., First
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Engineering, Tokyo, pp. 473-478
38)山下聡(1992):砂の繰返し載荷試験結果に及ぼす諸因子
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39)Towhata, I. (1989): Models for cyclic loading, Mechanics of
granular materials, Report of ISSMFE Technical Committee on
Mechanics of Granular materials, ISSMFE, pp. 80-90
40)山下聡,土岐祥介(1994):初期応力の相違が砂の繰返し
変形特性に及ぼす影響,地盤および土構造物の動的問題に
おける地盤材料の変形特性に関するシンポジウム,pp.
163-168
41)安田進 他(1994):不撹乱資料の動的変形特性を求める試
験条件の検討,地盤および土構造物の動的問題における地
盤材料の変形特性に関するシンポジウム,pp. 169-174
42)規矩大義,吉田望(1998):大ひずみ領域まで考慮した豊
浦砂の動的変形特性試験,第 33 回地盤工学研究発表会講演
集(投稿中)
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