成果論文

き裂 や 断 層 の 3次 元 イ メ ー ジ ングの た め の
指 向性 ボ ア ホ ー ル レー ダの広 帯域 化 に 関す る開発
海老原聡
大阪電気通信大学 工 学部 電 気電子工学科
〒572-8530大阪府寝屋川市初町18-8
Development of Wide口 band]Directiomal Borehole Radar
for 3口
lD Imaging of Fractures and Faults
Satoshi EBIHARA
Dcpartmcnt ofElectrical and Electronic Enginccttng,Faculty ofEnginccring
Osaka Electro― (OoIIIIllullication Univcrsity,Neyagawa 572-8530,Japan
E―
maili [email protected]
s―
概要
本研 究 では 、地 中 に存在す るき裂や断層 な どの
物 体 を 3次 元 的 にイ メ ー ジ ン グが可能 な指 向性
ボアホー ル レー ダを開発す る。指 向性 ア ンテ ナは
独 自に提 案 した 同軸 給 電 した ダイ ポ ー ル ア レー
ア ンテナ (CFCAB)で あ る。 このア ンテ ナ で は、
中心 導体 阿柱 (CCC)の共振 が 、CFCABの 動 作 帯
域 を制 限 してい るため、本研 究では CCCに フェ
ライ ト装荷す る こ とで共振 を制御 し、動作周波数
を広帯域化す る ことに した。 このフェライ トの効
果 を計 算機 シ ミュ レー シ ョン とフ ィー ル ド実験
に よつて確認 した。 CFCABに よる指 向性 ボアホ
ー ル レー ダを試 作 し、 中竜鉱 出(福井 県)で断層 を
貫通す る坑井 へ挿入 した。断層 か らの反射波 を受
信 し、 この受信信 号 を解析す るこ とで断層 の 3次
元イ メー ジを 出力す る こ とに成功 した。
1
1 よ じめに
地 下空 間 の 有効lll用
や 資源探査 な どの た め 、地
ば、高 レベ ル
中 の 3次 元 計源Jが必要 であ る。TFllえ
放射性廃棄物 の地層処分では、廃棄物 か ら漏洩 し
た 放 射性 核 種 が地 下水 を介 して 人 間環境 へ 運 ば
れ る可能性 が ある。 このた め、主要 な地下水移行
経 路 とな る断層破 砕 帯や き裂 が処 分 場 か ら十分
に離 れ て い る こ とを確認 す る こ とは重要 で あ り、
き裂 や 断 層 の 3次 元的 な位 置 と形 状 を推 定す る
技術 が必 要 とな る。
地 中 で は電磁 界 が 波動 の性 質 を もつ のは周波数
約 10 MHz以 上であ り、500 MHz以 下では比 較
的地 中の透過性 に優れ る。対応す る波長 は数十cm
程度 かそれ 以 上 にな る。水 の 比誘 電率 は 80で あ
り、岩 石 の比 誘 電率 (5∼20)に 比 べ る と極 めて
大 きい。 このた め含水率 が 異 な る ところが存在す
るな らば、渡 動 イ ン ピー ダ ンスの コ ン トラス トが
生 じ、電磁波 の反射や 散乱 を起 こす こ とにな る。
実際 には均 質 な岩 石 で も小 さな隙 間 が 存在 して
お り、 ここへ 地下水 が入 り込む。岩石 ご とに隙間
の体積 比 (間隙率)が 異 な るので含水率 も異 な り、
この 空間変化 を電磁 波 で 計測す る こ とがで き る。
坑井 内で周波数 10∼ 500 MHzの 電磁波 をつ か う
ボアホー ル レー ダが1970∼ 80年 代 か ら国際的 に
研 究開発 され て い る。坑井 の 直径 は6 cmか ら15
cmで あ り、坑井 の形状 に よる制約 か ら通常 ダイ
ポー ル ア ンテナ を用 い る。1本 の坑井 だ けを用 い
る場合 、送信 ア ンテ ナ と受信 ア ンテナ を同 じ坑井
に挿入 し、地 中物体 か らの反射波 を計測す る。 こ
の場合 、 レー ダは坑井 の周 方 向 で無指 向性 とな り、
物 体 が 存 在 す る深 度 や 距 離 に 対す る推 定 に限 定
され て い た。 このた め、 1本 の坑井 だ けで 3次 元
推 定 が可 能 な指 向性 ボ ア ホ ー ル レー ダ の 開発 は
国際的 に重要課題 とな つて い た。
本研 究で は 、受給者 らが提案 した 指 向性 ボアホ
ー ル レー ダに対 しフ ェ ライ ト装荷 す る こ とで広
帯域化 を実現 し、本 レー ダに よつて地 中の 断層 の
3次 元計 測 が可 能 で あ る こ とを フ ィー ル ド実験
に よつて実証す る。
指
向性 ボ ア ホ ー ル レー ダ シス テ ム の 試
作
指 向性 ボアホー ル レー ダ用 ア ンテナ として、ダ
イ ポ ー ル ア レー ア ンテ ナ (CFCAB,Coaxial―Fed
Circuiar Dipolc Array Antenna in a Borchole)が
提
図 1 のよ うに 、坑井 内にダイ ポー ル
案 され た [ 1 ] 。
ア ンテナ を円状 に配列 し、本 ア ンテナ ヘ 電磁 波 が
入 射 す る とア レー 素子 間 で 波 は時 間差 を も つ て
受信 され る。 ア ンテナ 素子 は5 0 Ω の細径 同軸 ケ
ー ブル で給電 され 、 これ ら同軸 ケー ブル は中心導
2
体 円柱 ( C C C , C C n t c r e d c o n d u c t i n g c y l i n d e rに
)内
集 め られ る。 この 導 体 円柱 は ア ンテナ 素 子 か ら離
れ た部 分 で 太 くす る こ とで 、電 子 回 路や 電池 を内
ー
蔵 す る こ とが で き る。 この ア ンテ ナ の 特性 は モ
メ ン ト法 で 把 握 す る こ とが で き る [ 1 ][‐
6 ] 。ダイ ポ
ー ル ア ンテ ナ 素 子 の 長 さを 2 ん と し、中 心 導 体 円
″
柱 の 長 さを 2 ″ とす る と、 2 乃□ 2 乃 を仮 定 で き
'に
よ つて 決 ま る C C C の 共振 と主
るな らば 2 乃
つて
に 2ん に よ
決 ま るア ンテ ナ 素 子 間 の 干 渉 で
本 ア ンテ ナ が使 用 可 能 な 周 波 数 帯 域 を決 定 で き
る。 C F C A B で は坑 井 中 に ダイ ポ ー ル ア ンテ ナ を
円状 に配 列 す るが 、 これ らはC C C か らで て い る
直径 l m m 以 下 の 同軸 ケ ー ブル で 給 電 され て い る。
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Medium inside bo「
cholc
(亀)打 ))
Cclltcrcd
Conducting
CyHndcr(CCC)
Ferritc ring l
(々ルア
リ
Dipole antenna
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■
Ofゃlcmcnt革
つ
Planc wave incidencc
ー
ー
図 1 同 軸 給 電 した ダ イ ポ ル ア レ ア ン テ ナ
(CFCAB)
3 フ ェライ ト装荷 に よる広帯域 化
A モ ー メン ト法解析
CFCABが 動作 可能 な周波数帯域 を広 げ るため
には 、CCCの 共振 の発 生 自体 を抑圧す るか、CCC
の 共振 周 波 数 を動 作周 波数 の 外 に移 動 させ る こ
とが必要 で あ る。 一 般 に、導体上 に流れ る電流 の
制御 には フ ェ ライ トを装荷 す る こ とが有 効 で あ
り、本研 究 にお いて も CCCに フェ ライ ト装荷す
るこ とでCCCの 共振 を制御す るこ とにす る。
前節 で述 べ た通 り、細径 近似 を用 い たモ ー メン
ト法 で 、ダイ ポ ー ル ア ンテ ナ及び CCC上 の電流
分布 を計算 で きる。 この 計算 では 、坑井 内 の媒質
(通常、地下水)や ア ンテナ を収納 して い るベ ッ
セル を考慮 した計算 を してい る。 これ は グ リー ン
関数 を通切 に変更す る こ とで対応 してい る。文献
[1]では、 フ ェ ライ トが 装荷 され て い な い 場合 の
CFCABの
一
ー
た め の モ
メ ン ト法 が 示 さ れ て い る 。
方、均質媒質 中導体へのフェライ ト装荷 に対す る
モ ー メン ト法における扱 い は文献 [9]で述べ られ
てお り、本研 究では これ を導入す る こ とで フェ ラ
イ ト装荷 した CFCABの 解析 を可能 に した [8]。
B 計 算機 シ ミュ レー シ ョン
CFCABに 対す る フェライ トの効果 を調 べ るた
め 、計算機 シ ミュ レー シ ョン を行 つた。商用 の フ
ェ ライ トビー ズ (TDK ZCAT 1730 0780)を
CCCの
細径部分 へ 装荷 した状態 を図2に示す。6個の磁 性
体 ノン グを連続 して設置す る ことで 、 フェ ライ ト
ビー ズ を表現す る こ とに した。 この磁性 体 の透磁
率 は フェ ライ トを模擬 して 、図 3の よ うに与 え る
こ とに した。本 図でわ か る通 り、 フェライ トの透
磁 率 は周波数 特性 が あ り 100 mlHz以下で はイ ン
上 では レジス タ ン
ダクタ ンス として 、 100 hlHz以
ス と して動作す るこ とがわか る。 この よ うな フェ
ライ ト装荷 した CFCABに 波 が 入射 した とき 、
CFCABの 受信電圧 をモ ー メ ン ト法 で計 算 した。こ
の計算 では 、坑井 は水で満 た され て い る こ とを仮
ら第2層 目は水 である。平面波 は z―
定 し、内lRllか
軸 に直交す るよ うに入射す る。
図4に 、計算 したア ンテナ の 受信 電圧 だ けを用
いて 、入射波 の到来方向 の推 定 を した結果 を示す。
横軸 は波 の到達時刻 で あ り、縦軸 は到来す るパ ル
ス波 の 中心周 波数 であ る。色 は波 の到来方向 に対
す る推定誤差 を表 わ してい る。誤差 が 0° (濃い
青色)で あ る とき精確 に方向推 定がで きて い る と
い える。 フェ ライ トを装荷 しない場合 では 、周波
数 100 MHz以 下、時刻 5 ns以 降 で 45度 以 上
の推定誤差 が 見 られ る。 一方、 フェ ライ トを装荷
す る と、 100 MHz以下 の低周波数 で もほ とん どの
時間 で方 向推 定 がで きて い る ことがわか る。 フェ
ライ トが 装荷 され てい る場合 では 、CCCで 散乱 さ
れ た波 がア ンテナ 素子 へ 入射す るこ とで 、ア ンテ
ナ ヘ 直接 入 射 した 波 の 方 向 とは異 な る方 向 に推
定 して しま う。 フェ ライ トが 装荷 され る と、CCC
上 で の 電流 の 共振 周 波 数 が ア ンテ ナ の 動 作 帯域
よ りも低 い周 波数 に移 動す る こ とで、 50 MHz以
上 にお いて は散 乱 され る波 の パ ワー が低 下す る。
このた め 、測 定周 波数 帯域 50-300 NHzで
は
CCCの 存 在 を無視 して 波 の 到 来 方 向推 定 が で き
る。以上 の考祭 に よ り、 フェライ ト装荷 に よつて
CFCABの 動 作 帯域 を広 帯域 化 で き る こ とが わ か
った。
C フ ィー ル ド実験
図 5の よ うに、 フ ィー ル ド実験 を大阪電気通信
大学 四 条 畷 キ ャ ンパ ス構 内 の フ ィー ル ド実験 場
で行 つ た。坑井 BR3の 深度 7mの 位 置 に CFC畑
を設 置 した。送信用 の ダイ ポー ル ア ンテナ を坑井
BR2の 同一深度 にお いた。 両坑非 間 の距離 は 6m
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価的
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で あ る。測 定 はベ ク トル ネ ッ トワー クアナ ライザ
を用 いて 、周波数領域 で測定 した。 レー ダ ゾンデ
の 直径 は 5 4 1 1 1 m であ る。 送信 ア ンテナ か ら受信
用 C F C A B へ直接到 来す る直接 波 が 受信 で きる こ と
が 期待 で きる。
図 6 は フェ ライ トを全 く装荷 しない場 合 、 フェ
ライ ト 8 個 装荷 した場合及 び 3 0 個 装荷 した 場
合 の波 の到来方向推 定結果 である。 フェ ライ ト無
装荷 の場合 、全周波数 で波 の到来方向推 定誤差 が
4 5 °以 上 とな り推 定が で きて い な い。 8 個装荷 の
で推定
場合 では 、 1 3 0 M H z 以上でほぼ全 ての時亥け
つ
3
0
個
0
°
が1
とな
た
さらに
誤差
装荷 の場
以内
。
、
上 で誤 差 1 0 °以 内で推
合 で は 、周波数約 7 0 h I H z 以
つ
定 が 可能 とな た。 これ らの結果 は、計算機 シ ミ
ュ レー シ ョンで予想 した通 り、 フェ ライ ト装荷す
る こ とで C F C A B で 方 向推 定で き る周波数帯域 を
広帯域化 で きる こ とを示 してい る。
(b)
図 4 電 磁波の到来方向推定結果 ( 計算機 シ ミュ レー シ ョン)
( a ) フ ェ ラ イ ト無 装 荷 、 ( b ) フェ ライ ト装荷
the,―
th group of
6 ferrite rings
図 2 中 心 導体 円柱 ( C C C ) の細径部 へ の フ
ト装荷 .
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図 3 フ ェ ライ トの透磁 率
図 5 フ ィー ル ド実験
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F口酌︲﹂ド比岬日神︱
4 地 中物体 の 3次 元 イ メー ジング
A.ア レー 信号処理法 の開発
物体 か らの反射波 がCFCABに 入射す る とき、物
体 上 の 反射 点 の3次 元位 置 を推 定す るた めのアル
ゴ リズム を開発す る。図7の よ うに、ダイ ポー ル ア
レー ア ンテ ナ を受信 ア ンテナ とす る レー ダが坑井
内に存在 し、地 中に反射点 が存在す る とす る。送
受信 ア ンテナ 間 の 間隔 を一 定 に保 ったまま 、2深度
の測 定 を行 うもの とす る。これ ら2深度分 の 円形 ア
レー信 号 か ら反射 ″
点の位置 を表す座標 (,ぁ z)
ゴ
を推 定す るア ル リズム を考 えた。一 深度 の 円形
ア レー のデ ー タか ら方位 角 夕 を推 定 し、2深 度分
のデ ー タで ρ と zを 推 定す るアル ゴ リズム であ
る。詳 しくは文献 [7]を 参照 され た い 。
(b)
A
0
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.. 作
︲
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(C)
図 6
電磁波 の到 来方向推 定結果 (フィー ル ド実
験)(a)フ ェ ライ ト無装荷 、 (b)フ ェ ライ
トビー ズ 8個 装荷 、 (c)フ ェ ライ トビー ズ
30個 装荷
図7 反 射点 の3次元位 置推 定
B,中 竜鉱 山内実験場 におけるフィー ル ド実験
中竜鉱 山 (福井県)内 の 実験場 を図8に示す 。本
実験場 の母岩 は古 生代堆積岩 中 のスカル ンで あ る。
坑道 か ら断層破砕 帯 が 目視 で確 認 で き、傾斜 角 は
82度である。本研 究では、 この 断層 が 平面状 であ
り、地 中 に延 びて い る と仮 定 し、 この断層 を 3次
元推定 の 対象 と設定 した。 坑道 で断 層 が確認 され
る場所 か ら 6.5m離 れ た ところか ら断 層 を貫通
す るよ うに傾斜角 60度 、 全長 20mに わた り坑
井 を掘 削 した。本研 究では、深度 とは孔 日か ら坑
井 に沿 つた距離 と定 義す る こ とにす る。掘 削時 に
取得 したボ ー リン グ ヨア に よる と深度 10m付
近 に断 層破砕 帯 がみ られ 、 これ は坑道 で見 られ た
断層 が平面的 に伸 びた と考 える と、合理的 で ある。
ボー リング コアに よる と、断層破砕 帯 は lm程 度
の幅 をもつてお り、図にお いて もそ の上 面 と下面
を示 してい る。
図9の よ うに、坑井 ヘ レー ダ ゾンデ を挿入 し、
地 中で図10のよ うに測定 を行 つた。計測 にはネ ッ
トワー クアナ ライザ を用 い ,0.3 MHz∼ 600 MHz
の 1601 Poilltsで
測定 を行 った。深度 705 cm∼
880 cmを 5 cm間 隔で測定 を行 つた。 ゾンデ を坑
道 か ら塩 ビパ イプで位置制御 がで きるよ うに した。
ダイ ポ ー ル ア ンテ ナ素子 は 円状 に4素子配列 され
て い る。
図 11に 、受信 した時 間領域波形 を示す 。送信 ア
ンテ ナ 給 電 点 の入 射波 形 は 中 心周 波数 200 MHz
のバ ン ドパ ス状 のスペ ク トル を もつ パ ル ス で ある.
矢印 で示 した波形 では深度 が 9mに 近 づ くと到達
時刻 が 早 くな る。 この こ とか ら,断 層 か ら到来 し
た反射波 と考 え られ る。
各深 度 のボアホ ー ル レー ダ のア レー信 号 を解析
す る こ とで、推 定 した反射 点 を 3次 元空間 に微小
な 円板 で表 わす こ とに した。 図 12に、測定深度数
と同数 の44個の 円板 を描 いた。 円板 の集合 を計測
対象 で ある断層 のイ メー ジ と考 えるこ とがで きる。
ー
本 図で は 、坑道 壁 面 での 目視 に よる観 察及 び ボ
リング コアか ら予想 され る断層 の位 置 と形 状 も加
えてあ る。レ ー ダに よ つ て推 定 され た円板 の集合
は 1つ の 2次 元物体 を形成 してお り、大 まかには、
これ は平面状 の形 を してい る。 この推 定 され た物
体 の位 置 と向 きは 目視 で予想 され た もの に近 い こ
とがわか る。
図9 レ ー ダ ゾンデの挿入 (中竜鉱 山,2009年9月 )
図 10 フ ィ ー ル ド実験 測 定 図
Gallc甲
図 8 中 竜鉱 山内実験 場 の 断 面 図
80
図 11 時 間領 域 波 形
100
ー
ー
本研 究 に よ り指 向性 ボア ホ ル レ ダ の 基 本 技
術 に つ い て は確 立 した と考 えて い る。今 後 は 、様 々
ー
な条件 下 の フ ィー ル ド計測 に 指 向性 ボ アホ ル レ
ー ダ を適 用 してい きなが ら、新 た な問題 点 を抽 出
osttnllt田
いhittCo庶
して い く こ とが必要 で あ る。 さ らに、反 射 物 体 の
3 次 元形 状 だ けで な く、物 体 が鉱 床 な のか 、人 工
物 体 な のか また は断層や き裂 な の か な どの 物 体判
別 の機 能 を充 実 させ てい く とで 、 レー ダ の 適応 性
を広 めて い く こ とが必要 と考 えて い る。
6 謝 辞
本研 究 は ( 財) 高 柳 記 念 電位 の 助 成 に よ り行 わ
れ ま した 。 心 か ら謝 意 を表 します 。
( a )
6
・ 8・
︵宮 ヽ
2 0
︲ ︲、
.
.
o
︱職 一
Fauits.which arc
c s d m a t c d
l
b v
b o H n g
c o r c
Borcholc
7 参 考 文献
[1]S,Ebihara,H.Hanaoka,■ Okumura and Y Wada,
“Interferencc Criterion for Coaxial―
Fed Circular
どご
Dipolc Arrtty Antenna in a Boreholc,"刀
盈
縛
報
だ
G二
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l tranSmitcr
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︵E ︶、
一
イ ―一―ぐ
孔0
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( b )
験 場 で の 断層 の 3次 元 イ メ ー
図 12 中 竜鉱 L14実
ジング結果
す
でSc,s'″g,
TFaれMCtiθtt θ
″ Ccθscル円c2α刀″'Rcttθ
vol.50,no.9,pp.3510--3526,Sep.2012.
[2]S.Ebihara,Directional borehole radar with dipole
antenna array using opticai modulators, だ どど
stng,
″c でα″4 4 r R C″t st cθ″
Tra″
すj θ
″θ″ C 2 o s c た
sα
vol.42,no.1,pp.45-58,」 anuary 2004.
Yamalnoto,Resonance Analysis
[3]S.Ebihara and■
of Circular Dipole Aray Antenna in Cylindrica
Layered Media for E)irectional Boreholc Radミ
、
工ごZ殉『 Tr2″s,cを'o% θ″ Ccoscic″ cで α″″ Rttθ ″
2006.
S夕円S:■
8,V01・44,no.1,pp.22-31,Janua呼
MoM Analysis of
[4]S.Ebihara and Y Hashimoto,“
Dipolc Antennas in Crosshole Borellole R誼 劉L and
わ″ θ″
Field Experilnents," 芝 苑ど 酔 attsacサ
″g,vol.45,no.8,
Ccθさ
昭″″ご2α ″″ Rビ初0″ S2″sげ
pp.2435-2450,Aug.2007.
・
[5]S. Ebihara andヽ l lnoue,・Analysis of Ecccntcred
EEE
Dipolc Antenna for Borehole RadaL" 工
s t 8■,
″ θ″ G βt t c た
″ご2 α″″R ビ秘ο″ S 2 ″
分 α″s α
です
jθ
vol.47,no.4,pp.1073-1088,Apri1 2009.
・
l
[ 6 ] S . E b i h a r a n A . S a s a k u r a a n d l L T a k c m o tHoE,l・
Mode EfFect on E)irect Wavc in Singlchole
EEE Tra″ s,cr'o″ θ ″
3orehole RttaL" 五
″g,vol.49,no.2,
暦cを″cc α″″Rβttθ″ Se■sど
Cをて
5 結 論
ー
ー
本研 究 では 、同軸給 電型 ダイ ポ ル ア レ ア ン
テナ を用 い た指 向性 ボアホ ー ル レー ダ の 開発 を行
っ た。 まず 、 ア ンテナの動 作帯域 を広帯域化す る
た め 、 中 心 導 体 円柱 に フ ェ ライ トを 装荷 す る と
100 MHz以 下 では 、フェ ライ トはイ ン ダクタ ンス
pp.854-867,Fcb.2011.
Estimating
と して動 作 し、 円柱 の共振周 波数 を50MHz以 下ま
[7]S.Ebih釘 乳 H.Kawai and Kt Wada,“
3-D
Position
and
lnclination
of
a
Planar
interttce
で低 下 させ るこ とがで きる こ とを計算機 シ ミュ レ
'Aをα,S″r/2cc
with Directional Borchole Radaギ
ー シ ョン とフ ィー ル ド実験 に よ つて確認 した [8]。
な 。 (掲載決定)
の
試 作 した指 向性 ボアホー ル レー ダを用 いて 、 中竜
“
Effect of fcttite beads on
[8]S.Ebihara and K.Tom乳
鉱 山内にあ る坑井 を用 いて 実験 を行 つた。 この坑
reduction of resonance of thin conducting cylinder
井 の付近 には断層 が存在す る こ とがわか つ て い る。
筋で
in a water-81led borehole,'Procecai確 gsゲ
ダイ ポ ール ア レー の信 号 を提案 したアル ゴ リズム
905,Shanghai,
F4tれ 五″■ 6θり:θ″ GPR,pp.90卜
に よ り解析 した結果 、断層 の 3次 元イ メー ジを出
China,Junc,2012.
坑道 の壁 の 目視 に よる観
力す る こ とができた [7]。
,Jr.,“Scatering by
[9]N、 Wang,and L.Jr.Peters,L。
EEど Tra″且
thin wire loaded with a fcrrite ring,"ダ
察 に よ り断層 の傾斜 角度 を予想 した。 この結果 と
И″す
夕″″αs Pr9Pag6,Vol.41,no.5, pp.694-697,
指 向性 ボアホ ー ル レー ダ の推 定結果 は調和的であ
1993.
る こ とがわか つた。