スライド 1

ドクター
つう
しん
Dr.マリオ通信
こんにちは
スクールカウンセラーの前田です。
2学期が始まって20日がたとうとしています。み
なさん、お元気ですか?長い休みが明けて、1週
間から1ヶ月の間は、心と体にとってはちょっとし
た危険水域になります。夏休み明け前後の本当
にしんどいハードルはどうにか乗り越えたにもか
かわらずです。俗に、「夏の疲れが出てきた」
とも言われますが、ストレス、或いは心身のアンバ
ランスがこの期にピークになるのでしょう。
ドクター・マリオの相談室も再開しました。
いつものお願いです。少しでも心身の変調が気
になった人は、できるだけ早く相談室にきてくださ
い。それだけ多く問題解決のお手伝いができます。
なお、1学期の反省です。
せっかく予約していたのに、相談できなかった方がい
ました。すみませんでした。
予約者や緊急の方は、他の方の相談中でも、相談室
をノックしてくれて結構です。または、井崎先生か中嶋
先生に連絡を依頼して下さい。対応します。
心のカルテ
「コツコツ・マイペース」の大切さ
この夏、5日間の休みをもらって屋久島に渡り、宮崎駿監督
の「もののけひめ」で有名な白谷雲水峡(しろだにうんすい
きょう)を歩きました。入口(標高600メートル)から太鼓岩
(1050メートル)まで距離はわずか2.5キロなのですが、私の
肉体にはひじょうにきつい山歩きとなりました。いつもの登山
以上に、ハァハァ、ゼイゼイとあえぎながら歩いたものです。
この山歩きから、私が心から実感し学ばされることがありま
す。ほかの場合にも通じることなので、それを書きます。
1.遠い目標でも、一歩一歩を積み重ねれば、いつかは必
ずたどりつきます。いっぺんにと思うからしんどいのです。そ
れから、最初のとりかかりは本当にしんどいけれど、その峠
(とうげ)をこえると、やがて楽になってきます。
2.早くて元気な人も、私のようなカメさんでも、行きつくとこ
ろは同じ。早いか遅いの違いだけ。自分を見失わずにペース
を守ることが大切です。屋久島の登山でも、他の人々が4時
間ですむところを、私には5時間かかりました。だからといって、
楽しさや達成感が減ったわけではありません。
3.「しんどさ」は、喜びを倍にしてくれる。
ようやくのことで「もののけの森(苔むす森)」にたどりついた
ときには、もうヘトヘトでした。だから、そこの緑いっぱいの世
界を楽しんだ後はUターンして戻るつもりになっていました。
でも、あと2百メートルの高さを上れば頂上の太鼓岩。そこ
には、絶景のながめがあると励まされて、さらに挑戦(チョウ
セン)です。 太鼓岩にのぼってみると、実に素晴らしい眺望
と空気が待ってくれていました。屋久島の高い山々が一望で
きる大パノラマです。「しんどさ」のご褒美でしょう。
4
カウンセリングルーム
『棒と石』(Sticks and Stones)
今から10数年前、英国教育省は深刻化する学校でのいじ
め問題に対応するために、学校でのいじめ対策のパック(Anc
hi Bullying Pack for School : 黙ってないで、一人で
苦しまないで)を、学校をはじめとして全教育機関に配布しまし
た。そのパックの中で、表題の「棒と石」 sticks and stones
のVTRの活用を推奨していました。
丁度、同国に訪問中であった私は、イギリスの友人にその
sticks and stones について尋ねてみました。友人は、それがイ
ギリスでのわらべ歌で、 「棒や石では私の骨を傷つけること
はできるだろうけど、言葉だけでは傷つけられないよ。口で何
を言ってもへっちゃらよ・・・」 と いうようなに、子ども時代に
謡っていたと言うのです。それを聞いて、いじめ対策のパックと
しては何かそぐわない感じがしましたが、結論からいえば、教
育省のパックのねらいとするところは、そのようなわらべ歌を逆
手にとっていることがわかりました。「それ(言葉の攻撃は棒や
石に比べたら怖くないということ)ははたして本当だろうか」と問
いかけているのです。
イギリスでのそのような意味を込めた今風の詩を紹介します。
ちょっと頑張って、訳してみませんか。この詩は、『言葉』が『棒
や石』よりもはるかに残酷に人を傷つけることのあることを、訴
えています。
Sticks and stones may break my bones,
but words can also hurt me.
Sticks and stones break only skin,
while words are ghosts that haunt me.
slant and curved the words-swords fall
to pierce and stick inside me,
Bats and bricks may ache through bones,
but words can mortify me.
Pain from words has left its scar
on mind and heart that’s tender.
Cuts and bruises now have healed;
it’s words that I remember
直接の暴力が深刻ではないと言っているわけではありませ
ん。それが他者を、心身共に傷つけることは誰にでもわかりや
すいことです。 その逆に、ともすれば人々が軽く考えがちなこと
ばについて、その暴力が、石を投げられたり棒でぶたれたりの
直接的な暴力にもまして深刻で許されないことを訴えているの
です。
多くの場合、人間のこころとこころは、ことばを架け橋にして
響きあいます。ひとを愛するために、ひとを高めるために、こと
ばを用いますし、他方、ことばで人の存在そのもを傷つけること
もできます。是非、ことばが持つかけがえのない大切さをしっ
かりと胸に刻んで下さい。