平成26年度 - 神奈川県柔道整復師会

 【特別講演】
変形性膝関節症の文献レビューと最近のトピックス
医療法人順正会横浜鶴ヶ峰病院副院長・
医療法人明和会亀田病院理事
浜田洋志先生
はまだ ひろし
浜 田 洋 志
略 歴
昭和55年 順天堂大学医学部卒業
順天堂大学医学部整形外科学教室入局研修
昭和57年 東京労災病院整形外科医員
昭和58年 江東病院整形外科医員
昭和60年 順天堂大学整形外科助手
昭和62年 横浜南共済病院整形外科医長
平成 2年 江東病院整形外科医長
平成10年 多摩南部地域病院整形外科医長
平成13年 医療法人順正会 横浜鶴ヶ峰病院整形外科部長
医療法人明和会亀田病院 理事
専門分野 膝関節外科
脊椎外科
スポーツ医学
取得資格 医学博士
順天堂大学整形外科非常勤講師
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会スポーツ認定医
日本整形外科学会リウマチ認定医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
日本運動器リハビリテーション医
日本リハビリテーション学会臨床認定医
脳血管疾患・呼吸器リハビリテーション医
日本体育協会スポーツドクター
【学 術 交 流】
第1指屈筋腱狭窄性腱鞘炎に対する装具療法
公益社団法人東京都柔道接骨師会
深
澤
晃
盛
key words:thumb , trigger finger , extension block splint
【目的】 弾発現象を呈する第 1 指屈筋腱
込 み を い れ, 基 節 骨 部 も 3 か 所 (手 掌 側
狭 窄 性 腱 鞘 炎 の 施 術 に, 指 節 間 関 節 (以
面 2 か 所,背 側 中 央 1 か 所) の 切 り 込 み
下 , IP 関 節 ) の extension block splint
を 入 れ た 後 に 一 旦 装 具 を 外 す. 最 後 に 末
を 用 い た 4 例 の 施 術 成 績 を 検 討 し た.
節 部 を 有 窓 と し 再 度 装 着 さ せ, 屈 曲 時 に
【対 象 お よ び 方 法】
弾 発 現 象 が 消 失 し て い る 事 を 確 認 す る.
1. 対 象 2013 ∼ 14 年 に 来 院 し た 屈 筋 腱
( 図 1)
狭 窄 性 腱 鞘 炎 の 病 期 分 類 ( 阿 部, 表 1)
1)
の grade3 以 上 の 4 例 ( 全 例 女 性 , 平
均 年 齢 68.2 歳 ,grade3-3 例 ,grade-4-1 例 ,
平 均 罹 患 日 数 42 日 , 職 業 手 -2 例 ) を 対
象 と し た. 主 訴 は 全 例 と も 運 動 時 痛 と 弾
発 現 象 で あ っ た.
1)
表 1 屈 筋 腱 狭 窄 性 腱 鞘 炎 の 病 期 分 類 (阿 部)
grade
症状
Extension block splint IP 関 節 屈 曲 は 可 能
図 1 装 具 外 観
IP 関 節 の 屈 曲 ( 対 立 運 動 ) に 制 限 は 設
grade0 異常所見なし
け な か っ た . 来 院 時 に は ,IP 関 節 屈 曲 拘
grade1 腱腫瘤(+)
クリック(−)
縮 予 防 の passive ROM exercise を 行 っ
grade2 腱腫瘤(+)
クリック(+)
た.
grade3 弾発現象(+)自動屈伸可能
【結果】 発症より 6 か月以上経過した
grade4 弾発現象(+)自動屈伸不能 他動伸展可能
慢 性 例 は 存 在 し な か っ た . 初 診 時 visual
grade5 通過不能な状態
analogue scale で 高 値 を 示 し た 2 例 は 伴 に
職 業 手 で あ っ た. 装 具 療 法 開 始 か ら 平 均
2. 方 法
装 具 装 着 日 数 63 日 で 全 症 例 と も に 運 動
extension block splint を 作 成 し た . 素 材
時 痛 , 弾 発 現 象 は 消 失 し , grade も 全 例
は プ ラ イ ト ン 100 ( ア ル ケ ア 社 製 ) を 用
grade0 に 改 善 し た ( 図 2).
い , 裁 型 は IP 関 節 屈 曲 に 制 限 は 設 け て
い な い た め 指 尖 部 か ら 中 手 指 節 関 節 (以
下 , MP 関 節 ) 手 掌 皮 線 遠 位 部 と し MP
関 節 屈 曲 時 に 装 具 が A − 1pulley に 接 触
し な い 長 さ と し た . 注 意 点 は IP 関 節 屈
曲 角 度 を 45°と す る こ と で , 作 成 中 は 患
者に自動屈曲を行わせ屈曲角度を保持さ
せ る. お 湯 で 軟 化 さ せ た プ ラ イ ト ン を 母
指 に 巻 き つ け, コ ー ル ド ス プ レ ー で 硬 化
さ せ る. 硬 化 後, 末 節 部 掌 側 側 面 に 切 り
図2 初診時から最終観察時までの経過
【考 察】
文 献
1. 発 症 要 因 に つ い て
通 常 2 ∼ 5 指 の 屈 筋 腱 狭 窄 性 腱 鞘 炎 は,
1) 阿 部 幸 一 郎 ほ か : 術 後 の 屈 筋 腱 狭
手 掌 部 MP 関 節 の 靭 帯 性 腱 鞘 (A-1pulley)
窄性腱鞘炎に影響する因子についての影
に bowstring 効 果 が 作 用 し 腱 ま た は 腱 鞘
響 . 日 手 会 誌 19:780-782, 2002.
の肥厚を伴うようになると弾発現象を生
じる
2)
. Bowstring の 摩 擦 は MP 関 節 屈 曲
3)
2 ) Clapham PJ, Chung KC. A Historical
,これを軽減させ
Perspective of the Notta's Node in Trigger
る 装 具 療 法 と し て extension splint が 用
Fingers. Journal of Hand Surgery-American
いられ装具療法は有効であると報告され
Volume 2009;34A(8):1518-22.
に伴い増大するため
ている
4, 5)
. 一 方 で 第 1 指 に は extension splint の 効 果 は な い と す る も の も あ り
4)
,
3) Hueston JT, Wilson WF. The aetiology
発 症 要 因 が bowstring の み で は 結 果 の 相
of trigger finger explained on the basis
違 に 疑 問 が 生 じ る . 我 々 は MP 関 節 伸 展
of intratendinous architecture. Hand
位拘縮でも弾発現象を認めた症例を経験
1972;4(3):257-60.
し, 発 症 に は 長 母 指 屈 筋 腱 に 遠 心 性 収 縮
が 作 用 す る こ と で 発 症 す る と 推 測 し た.
4) Patel MR, Bassini L. Trigger Fingers and
よ っ て 装 具 療 法 で は IP 関 節 の 伸 展 を 制
Thumb - When to Splint, Inject, or Operate.
限し長母指屈筋腱に加わる遠心性収縮を
Journal of Hand Surgery-American Volume
制限し求心性運動を行うことが重要であ
1992;17A(1):110-3.
る と 考 え ら れ た.
2.extension block splint の 装 着 効 果 に つ
5)金 子 翔 拓 ,池 本 吉 一 ,坪 田 貞 子 ,
いて
青 木 光 広: 屈 筋 腱 狭 窄 性 腱 鞘 炎 に 対
自 験 例 で は IP 関 節 屈 曲 ∼ 伸 展 の 弾 発
す る 装 具 療 法 . 整 ・ 災 害 54:391-395,
現 象 を 生 じ る 角 度 は お お よ そ 45°∼ 40°
2011.
の 間 で , 45°以 上 伸 展 し な け れ ば 腱 炎 症
部 は A-1pulley を 通 過 せ ず に 弾 発 現 象 は
生 じ な い も の と 考 え ら れ た. 本 装 具 は
IP 関 節 45°∼ 80°の 自 動 屈 曲 運 動 ( 求 心
性 運 動) は 可 能 で, 日 常 生 活 の 利 便 性 は
高く遠心性収縮の制限との相乗効果によ
り 炎 症 が 軽 減 さ れ た も の と 考 え ら れ る.
【 結 論 】 本 装 具 は , IP 関 節 の 屈 曲 に 制 限
は 設 け て お ら ず, 対 立 運 動 が 可 能 で, 患
者から装具を外したいとの訴えは無く治
癒後も予防的に使用するなど治療に対し
積 極 的 な 傾 向 が み ら れ た が, 今 回 の 対 象
は全て発症後時間の経過していない急性
期 の 症 例 で あ り,6 か 月 以 上 経 過 し た 慢
性期の症例についても装具の有効性につ
い て 検 討 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ た.
膝窩嚢腫(ベーカー嚢腫)の一症例と考察について
川崎北支部 鈴 木 宏
key words:膝窩嚢腫・問診
<はじめに>
接 (整) 骨 院 に 来 院 さ れ る 患 者 さ ん の
症 状 は 腰 部、 頸 部、 肩 部、 膝 部 等 様 々 で
た の で、 患 者 さ ん と 話 を し て 念 の た め 顧
問医のところで再検査をしてもらうこと
に し ま し た。
す が、 今 回、 膝 関 節 周 辺 の 軟 部 組 織 の 症
状 に つ い て 報 告 さ せ て い た だ き ま す。
膝 窩 嚢 腫 (い わ ゆ る ベ ー カ ー 嚢 腫 と も
い う) は わ れ わ れ 日 常 業 務 に お い て し ば
し ば 経 験 す る も の で す。 特 に 珍 し い 症 例
で は あ り ま せ ん が、 柔 道 整 復 師 と し て 基
本的なことと思いましたのであえて報告
い た し ま す。
<症例>
患 者 さ ん は 6 5 歳 女 性。 ゴ ル フ を し た
<結果>
後左下肢に重りがついたような感じにな
レントゲン検査・MRI検査で左膝窩
り、 左 膝 の 屈 曲 が し に く く な り 歩 行 も つ
嚢 腫、 内 側 半 月 板 損 傷 と 診 断 さ れ ま し
ら く な り 整 形 外 科 を 受 診。 担 当 医 は 問 診
た。 経 過 が 良 好 で し た の で、 こ の ま ま 加
のみで腰部のレントゲン撮影し脊柱管狭
療を継続して経過観察することとなりま
窄 症 と 診 断 。 後 日 、 MRI 検 査 を 予 定 し 帰
し た。
宅。 患 者 さ ん は 納 得 せ ず 当 院 へ 来 院 し ま
し た。
<方法>
初 検 時、 視 診 ・ 触 診 で 歩 行 痛 ・ 腫 脹 ・
熱感・膝蓋大腿関節の圧迫痛等の症状が
み ら れ ま し た。 さ ら に 左 膝 窩 部 と 下 腿 後
面近位部にゴルフボール状の嚢腫を触
知。 早 速、 ア イ シ ン グ、 冷 湿 布 と 伸 縮 包
帯にて軽度圧迫処置し安静を保つよう指
導。
<考察>
患者さんはそれでも心配になり内科を
柔道整復師はレントゲン検査・投薬処
受診し血液検査をしてもらい異常なしと
方 は し ま せ ん。 当 然 の こ と な が ら、 患 者
診 断 さ れ 安 心 し た よ う で し た。 そ の 後、
さ ん と の 面 接 に お い て し っ か り と 視 診、
経 過 は や や 良 好 で し た の で 温 熱 療 法、 超
問 診 を し、 触 診 し、 体 の 動 き を チ ェ ッ ク
音 波 療 法 を 施 行。 歩 行 痛 は 軽 減 し て き ま
し徒手筋力テスト等確認しインフォーム
し た が、 膝 窩 部 の 嚢 腫 が 残 存 し て い ま し
ドコンセントにおいて治療に当たらなけ
れ ば な り ま せ ん。 常 に 合 理 的 で 的 確 な 処
置 が 大 切 で す。
膝 窩 嚢 腫 と は ご 存 知 の 通 り 、『 膝 の 後
ろ に 水 腫 が 溜 ま る 症 状 で す。 膝 を 深 く 曲
げ た り、 正 座 し た と き に 膝 の 後 ろ 側 に 違
和 感 を き た す よ う に な り ま す。 ひ ど く な
る と、 弾 力 性 の あ る ピ ン ポ ン 球 く ら い の
ふ く ら み を 触 れ る よ う に な り ま す。 変 形
性膝関節症のときにしばしば関節内に関
節 液 が 溜 ま り ま す が、 こ れ が 後 方 に 押 し
出 さ れ て、 あ た か も 腫 瘤 の よ う に 液 が 溜
ま る 状 態 で す 。』( 井 尻 整 形 外 科 診 療 ガ イ
ド か ら 抜 粋)
尺骨鈎状突起骨折の症例及び3DCT検査画像紹介
横須賀支部 髙 橋 勇 次
key words:医接連携 医療連携 3DCT検査
【は じ め に】
今 回、 尺 骨 鈎 状 突 起 骨 折 を 医 接 連 携 ・
Ⅲ型 鈎状突起全高の50%以上の骨折
(こ の 骨 片 に は 関 節 包 に 加 え、上 腕 筋 腱、
医 療 連 携 に よ る 症 例 報 告 と そ の 3DCT 検
内 側 側 副 靭 帯 前 斜 走 繊 維 が 付 着 す る 。)
査 画 像 を 紹 介 す る。
治療法
特徴
Regan分類Ⅰ型は保存療法を適応す
1. 尺 骨 鈎 状 突 起 は 肘 関 節 の 重 要 な 骨 性
る。 脱 臼 に 伴 う Ⅱ B 型 や Ⅲ 型 は 観 血 的 整
支 持 機 構 の 1 つ で、 後 方 脱 臼 を 制 御 す
復 固 定 術 を 適 応 す る。
るため肘関節後方脱臼に合併すること
予後
が 多 い。
1. 適 切 な 治 療 が な さ れ な け れ ば、 肘 関
2.脱臼を伴わない単純骨折は比較的稀
である。
分類
節後方不安定性や関節拘縮を生じるこ
と が あ る。
2. 尺 骨 鈎 状 突 起 に は 関 節 包、 内 側 側 副
一 般 に R e g a n の 分 類 (下 図 分 類) が
靭 帯 の 前 斜 走 繊 維、 上 腕 筋 腱 な ど の 軟
用 い ら れ る。 骨 片 の 大 き さ に よ り Ⅰ ∼ Ⅲ
部 支 持 組 織 が 付 着 し て い る た め、 骨 折
型 に 分 類 さ れ る。 副 分 類 と し て 肘 関 節 脱
の程度や合併損傷の有無により骨性支
臼 に 伴 わ な い A 型、 肘 関 節 脱 臼 に 伴 う B
持機構に加え軟部支持機構も破綻する
型 が あ る。 例 え ば 今 回 報 告 す る 症 例 は Ⅲ
こ と が あ る。 そ の 結 果、 機 能 障 害 を 遺
型で肘関節脱臼を伴わないのでⅢA型と
残 す る こ と が あ る。
表 記 さ れ る。
3. 多 発 骨 折 な ど の 場 合 に、 尺 骨 鈎 状 突
起 骨 折 が 見 逃 さ れ 陳 旧 化 し、 偽 関 節 を
生じると反復性脱臼に移行することが
ある
メモ
*尺骨鈎状突起周囲の軟部組織
内側側副靭帯の前斜走繊維は鈎状突起
先 端 か ら や や 背 側 に 付 着 す る。 上 腕 筋 は
Ⅰ 型 鈎 状 突 起 先 端 の 骨 折(こ の 部 位
鈎 状 突 起 前 方 に 停 止 部 が あ る。 肘 関 節 の
は、 関 節 包、 靭 帯 や 腱 な ど 付 着 す る 組 織
前方関節包は鈎状突起先端からやや遠方
が な い 為、 肘 関 節 後 方 脱 臼 時 に 上 腕 骨 滑
に 付 着 す る。
車に剪断されて生じるものと考えられて
い る)
Ⅱ型 鈎状突起全高の50%以内の骨折
(この骨片には肘関節の前方関節包が付
着 す る)
受 傷 時 間 が 午 後 8 時 で あ る た め、 横 須 賀
市 救 急 セ ン タ ー 受 診 し、 骨 折 判 明。 当 日
整形外科の救急担当である横須賀市民病
院 に 転 医、 左 尺 骨 鈎 状 突 起 骨 折 と 診 断 さ
れ、 キ ャ ス ト シ ー ネ に て 固 定 処 置 さ れ
た。
【受 傷 2 日 目】
当 院 初 診、 横 須 賀 市 救 急 セ ン タ ー で の X
P 画 像 持 参 。( X P 画 像 ① 参 照 ) そ の X
P画像にて左尺骨鈎状突起がかなり離開
し て い る 為、 手 術 の 必 要 性 の 有 無 と、 骨
折 の 後 療 施 療 の 同 意 を 頂 く 事 も 含 め、 協
力医療機関である高澤整形外科医院医院
長 高澤俊治医師に情報提供と共に御高
診 い た だ い た。
【X P 画 像 ①】
【解 剖 図】
【初 診 時 外 観】
症例 左尺骨鈎状突起骨折
6歳 女児 左肘関節90度屈曲 前腕回外位にてプ
原因 ライトン固定と金属シーネに固定を替え
平成25年12月4日20時 自宅に
る。
てダイニングテーブルのチャイルドチェ
【受 傷 3 日 目】
アの上に立ち上がり兄の椅子に乗り移る
高 澤 整 形 外 科 受 診。
際、 肘 掛 に 躓 き 転 落 し 受 傷。
X P 検 査 (X P 画 像 ②) に て 現 状 の ま ま
経過報告
当 院 で の 後 療 同 意 あ り。
【受 傷 当 日】
当院で冷却療法 マイクロカレント療法
開 始 (M C R 鎮 痛 2 0 0 H z 出 力 7 5 0
u A) 施 療。
【受 傷 1 7 日 目】
高 澤 整 形 外 科 医 院 受 診 X P 検 査 (X P
画 像 ④) 疼 痛 ・ 腫 脹 軽 減 し 金 属 シ ー ネ 除
去、 プ ラ イ ト ン の み の 固 定
温浴超音波 MCR療法 運動療法 手
技 療 法 R O M 屈 曲 1 2 0 度, 伸 展 3 5 度
【X P 画 像 ②】
【受 傷 7 日 目】
高 澤 整 形 外 科 受 診 2 回 目 の X P 検 査。
高澤整形外科と横須賀市立うわまち病院
【X P 画 像 ④】
での医療連携・機能連携にて3DCT検
【受 傷 3 6 日 目】
査 実 施。
そ の 結 果、 観 血 的 整 復 固 定 術 は せ ず、 軽
高 澤 整 形 外 科 医 院 受 診 X P 検 査 (X P
度 転 位 あ る も の の、 保 存 療 法 の 治 療 方 針
画 像 ⑤ ・ ⑥)
決 定。
仮骨形成良好 可動域良好にてプライト
保 存 療 法 を 決 定 し た 根 拠 は、 高 澤 医 師 に
ン 除 去 し サ ポ ー タ ー 装 着。
よ る と、 鈎 状 突 起 の 骨 片 は 大 き く 転 位 は
温浴超音波・MCR療法・運動療法 あ る が、 上 腕 骨 滑 車 面 と の 間 に 間 隔 が あ
手 技 療 法 R O M 屈 曲 1 3 6 度, 伸 展 4 度
り、 関 節 内 に 鈎 状 突 起 骨 片 の 陥 入 は な
く、 上 腕 骨 滑 車 と 鈎 状 突 起 の 関 節 面 が 大
きく乱れていない事が保存療法決定の根
拠 で あ り、 そ れ が 患 者 様 に と っ て 一 番 の
幸 運 で あ っ た と の 事 で す。
【受 傷 1 0 日 目】
高 澤 整 形 外 科 医 院 受 診 X P 検 査 (X P
画 像 ③) 仮 骨 形 成 確 認 肘 関 節 自 動 運 動
開 始 R O M 屈 曲 9 4 度, 伸 展 4 6 度
【X P 画 像 ⑤ ・ ⑥】
【受 傷 5 0 日 目】
高澤整形外科医院受診 XP検査
高澤整形外科フォロー終了
R O M 屈 曲 1 4 5 度, 伸 展 0 度
【X P 画 像 ③】
【受 傷 5 9 日 目】
治 癒。
R O M 屈 曲 1 4 5 度, 伸 展 過 伸 展 2 0 度
【3 D C T 画 像 紹 介】
3DCTとは
C T 検 査 で は、 断 層 像 の 他 に も 立 体 的
な 3 D 画 像 を 作 成 す る こ と が で き る。
3 D C T で は、 通 常 の C T の 数 倍 の ス ピ
ードで画像を細かく撮影することによ
り、 鮮 明 な 3 D 画 像 を 作 成 す る こ と に よ
っ て、 よ り 正 確 な 手 術 シ ュ ミ レ ー シ ョ ン
【結 語】
が 可 能 に な る。 実 際 に 手 術 を し た 時 の 様
こ の 度、 尺 骨 鈎 状 突 起 骨 折 を 施 療 す る に
子 が、 手 術 を す る 前 に 映 像 と し て 見 る こ
あ た り、 稀 な 骨 折 で あ り 私 に は 初 め て の
と が で き る。 特 に 脳 神 経 外 科 の 頭 部 手 術
症例であるため慎重に施療することが求
や 外 科 の 胸 腹 部 手 術、 整 形 外 科 の 手 術 に
め ら れ た。 今 回 の 骨 折 に て、 患 者 様 は、
は 欠 か せ な い 技 術 と な っ て い る。
横須賀市救急センター
↓
横須賀市立病院
↓
当院
↓
高澤整形外科医院
↓
横須賀市立うわまち病院
以上5箇所の医療機関で医療連携と医接
連 携 に よ り 、 診 察・検 査 及 び 施 療 を 受 け 、
3DCT検査にて保存療法の指針が示さ
れ、 高 澤 医 師 か ら 定 期 的 X P 検 査 ・ 的 確
な コ メ ン ト を 頂 い た こ と に よ り、 早 期 の
運 動 療 法 と 固 定 具 除 去 が で き た。 こ れ に
よ り 総 施 療 期 間 2 ヶ 月 弱 (5 9 日) で 治
癒 で き た こ と は、 医 接 連 携 医 療 連 携 の
大 き な 成 果 で あ り、 患 者 様 に と っ て 何 よ
り 有 益 で あ っ た と 考 え る。
今 回、 3 D C T 画 像 を 紹 介 さ せ て 頂 い
た。
そ の リ ア ル な 鮮 明 画 像 を み て、 医 科 に 於
ける最新技術の画像診断のすばらしさに
感 銘 を 受 け た。
我 々 が 日 々 の 施 療 に お い て、 患 者 様 の 回
復 を 第 一 と 考 え た 時、 医 接 連 携 に よ り こ
の3DCT検査のような最新検査技術の
恩 恵 を 患 者 様 に 受 け て 頂 く 事 が、 ひ い て
は 我 々 の 信 頼 に 繋 が る と 考 え る。
参考文献
1.伊藤 譲:柔道整復外傷学ハンドブック詳
しい解説と見やすい図表 上肢の骨折・脱臼
医道の日本社2010年8月
2 . Werner Platzer ( 訳 者 : 平 田 幸 男)
分冊 解剖学アトラス 運動器 第6版
文光堂 2012年2月
続報 胸鎖関節微脱臼の診察方法と診断の仕方、
鎖骨の分回し整復法
横浜中支部 松 爲 信 夫
監修 横浜鶴ヶ峰病院副院長 浜 田 洋 志
key words:頸肩腕症候群・胸鎖関節・肩甲帯
「は じ め に」
肩甲帯は胸郭背面を滑らかに移動する
特 殊 な 部 分 で、 こ の 関 節 様 運 動 を 可 能 に
している胸鎖関節に於ける鎖骨の分回し
運 動 に 着 目 し た。 胸 鎖 関 節 微 脱 臼 の 整 復
法 に つ い て、 第 2 4 回 神 奈 川 県 柔 道 整 復
学 術 大 会、 第 2 5 回 関 東 学 術 大 会、 第 6
回 日 整 学 術 実 技 研 修 会 で 報 告 し て き た。
今 回 短 時 間 で 効 果 的 な 診 察 診 断 法、 整 復
法 を 考 案 し た の で 報 告 す る。
「目 的」
図 1 骨構造で胸鎖関節は肩甲帯の支点として
働 き、 鎖 骨 の 分 回 し 運 動 を 可 能 に し て い る。
直達外力による上腕部や肩関節への受
傷 部 位 が 治 癒 し た に も 拘 ら ず、 頸 肩 腕 の
不 定 愁 訴 を 訴 え る 患 者 の 中 に は、 介 達 外
力による胸鎖関節の障害が見逃されてき
た と 思 わ れ る。
受傷したと自覚のない部位であること
か ら、 介 達 外 力 に よ る 胸 鎖 関 節 面 凹 凸 の
わずかなずれを関節面の微脱臼*と定義
し、 そ の 診 察 診 断 法 と 整 復 法 を 修 正 し
た。
図 2 鎖 骨 の 分 回 し 運 動 ( 倒 れ 掛 か っ た 独 楽
の軸のような動き
図 4 関 節 面 に は ち い さ な 凹 凸 が あ る
図 3 関 節 面 は わ ず か に 波 打 っ て い る 。
表1 診察診断法 座位 各部位の左右差
運
頸
部
動
域
回旋角度
小さい
肩 甲 帯
挙上の高さ
低い
肩 関 節
屈曲角度
小さい
形態的特徴
肩 の 高 さ
触
診
低い
水平屈曲角度 小さい
胸鎖関節
凹凸の度合い 凸多い
第2肋骨
胸 筋 部
腫
脹
感
硬 結
有り
圧 痛
有り
有り
図 5 右 胸 鎖 関 節 は わ ず か に 突 出 し 、 左 右 差
は あ る が、 凸 状 態 が 患 側 と は 限 ら な い。
図 6 患 側 は 左 右 差 程 度 の 違 い で あ る が 、 胸
図 7 患 側 肩峰端は耳に近づかず顎の高さまで
図 8 健側 肩峰端はよく上がり耳に近づく
図 9 患 側 肩 の 水 平 屈 曲 が 不 完 全 で、 上 腕 が
短く見える
図 10 健 側 上 腕 は 長 く 見 え 、 肩 は 充 分 に 水
「方 法」
筋 の 硬 結 を 触 知 で き、 圧 痛 を 訴 え る。
平屈曲している
れ も 限 界 ま で の 動 き を 必 ず 見 る。
診 察 診 断 法 座 位 で 行 う。 患 部 の 運 動
形 態 的 特 徴 は、 患 側 の 胸 鎖 関 節 は や や
域 と し て は、 頸 部 の 左 回 旋 ・ 右 回 旋 の 左
凸 状 態 で、 仰 臥 位 に す る と 明 確 に な り 左
右 差、 次 に 肩 甲 帯 の 挙 上 の 左 右 差、 上 肢
右 差 を 認 め る。
を 耳 に 近 づ け て の 肩 関 節 屈 曲 角 度 の 差、
肩関節の水平屈曲角度の左右差等をいず
触 診 に よ る 顕 著 な 圧 痛 は、 鎖 骨 中 部 下
方、 第 2 肋 骨 部 胸 筋 の 硬 結 し た 部 分 で、
視覚的には左右差を認めにくいが張りを
認 め る。 胸 鎖 関 節 周 辺 に わ ず か な 腫 れ を
触 知 し、 圧 痛 も あ る。
整復方法 角枕二つを十文字に重ねて
患 者 を 仰 臥 位 に 寝 か せ、 肩 甲 帯 を 伸 展
し、 両 肩 を 下 げ る こ と で 整 復 を 容 易 な 姿
位 に 保 ち 患 者 を リ ラ ッ ク ス さ せ る。
右 胸 鎖 関 節 を 例 に と る と、 術 者 の 右 手
を 患 者 の 腋 窩 上 腕 部 に 入 れ、 患 者 の 右 前
腕 部 は 術 者 の 右 脇 に 挟 み 込 み、 患 者 の 右
上腕部を蒸気機関車の動輪を動かすアー
ムのようにゆっくりと肩部を回転させる
と胸鎖関節部はいわゆる分回し運動を始
め る。
受傷直後の整復では鎖骨の分回し運動
を 数 回 繰 り 返 す こ と で 整 複 さ れ る が、 数
図 11 鎖 骨 の 分 回 し 整 復 法 患 者 の 前 腕 を に 抱 え、 両 手 で 上 腕 を し っ か り
と 支 え、 大 き く 回 転 さ せ る。
ヵ 月 以 上 経 過 し た も の で は、 分 回 し 運 動
中に術者の左手で鎖骨中央を引き上げる
と鎖骨近位端の移動が容易になり回転運
動 が 軽 く な っ て 整 復 さ れ た。
「結 果」
診 察 で の 顕 著 な 左 右 差 を 認 め、 胸 鎖 関
左 図 12 整 復 前 の 肩 関 節 屈 曲 度 は 約 125 度 、
右 図 13 整 復 後 は 約 145 度
節 の 凸 状 態、 肩 関 節 の 屈 曲 角 度 ・ 水 平 屈
曲角度と肩甲帯の挙上不足はいずれも健
側に比べて不完全で限界部分では痛みを
訴 え る。
鎖骨下方第2肋骨部胸筋の硬結と圧痛
は 健 側 と の 左 右 差 は 明 確 で あ る。
整復が完了すると制限されていた運動
域 は 拡 大 し た。 胸 筋 の 圧 痛 は 消 失 し、 柔
左 図 14 整 復 前 の 水 平 屈 曲 度 。 上 腕 と 顎 の 間
が 大 き く 空 い て い る が 、 右 図 15 整 復 後 は 顎
と 上 腕 は 接 触 し、 大 き く 屈 曲 し た。
軟 性 を 取 り 戻 し た。 頸 肩 腕 の 緊 張 の 強 か
っ た 患 者 の 緊 張 感 は 即 座 に 消 失 し た。
「考 察」
胸鎖関節は外力による損傷は稀である
「ま と め」
鎖骨の分回し整復法で胸鎖関節微脱臼
を 整 復 す る と、 肩 甲 帯 に 関 連 す る 筋 の 緊
と さ れ、 見 過 ご さ れ て き た 感 が あ る。
張 が 解 け、 頸 部 の 左 右 回 旋 や 肩 関 節 及 び
外力の大小にかかわらず , 障害または瞬
肩 甲 帯 の 可 動 域 を 拡 大 し、 疼 痛 や 日 常 生
間 的 な 外 力 に よ っ て、 凹 凸 の あ る 関 節 面
活 動 作 を 改 善 出 来 た。 胸 鎖 関 節 で の 鎖 骨
が 微 妙 に ず れ、 そ の ま ま 靭 帯 に よ っ て し
の微脱臼の他に関節円板の損傷もあると
っ か り と 固 定 さ れ、 直 結 す る 鎖 骨 の 近 位
考 え る。 C T 像 ・ M R I 像 と も に 画 像 で
端関節面のわずかな位置異常 (微脱臼)
の 大 き な 変 化 は 認 め 難 い。 C T 像 で は や
が 遠 位 端 で は 拡 大 し、 肩 甲 帯 に か か わ る
や 左 右 差 が 認 め ら れ る が、 整 復 前 後 の 画
筋すべてにストレスを与えていたと考え
像でも整復されたかどうかという証明は
る。
困 難 で あ っ た。
図 16 整 復 前 の 仰 臥 位 C T 画 像 ( 浜 田 )
患 側 は 画 面 左。 健 側 は 左 肩 甲 骨 肋 骨 面 が 大 き
く 見 え る。 肋 骨 と の 間 は 広 い。 患 側 の 鎖 骨 は
図 17 図 11 ∼ 15 と 同 個 体 。 1 回 整 復 後 の 胸
わずかに下がってやや捻じれて短く見えるこ
鎖 関 節 M R I 画 像 ( 浜 田 )。 関 節 円 板 と 思 わ れ
とから右肩甲帯は下後方に移動して見え肋骨
る 画 像 が 見 ら れ る が、 本 人 の 右 患 側、 写 真 左
と の 間 も 狭 い。 胸 鎖 関 節 の 鎖 骨 の 胸 骨 端 位 置
に 見 え る 関 節 円 板 は わ ず か に 変 形 し て 見 え る。
も わ ず か に 健 側 と 異 な っ て 見 え る。
注*微脱臼:整復可能な亜脱臼を微脱臼
と 定 義 し た。 介 達 外 力 に よ る 1 度 の
靱帯損傷に軽度の関節円板損傷を
伴った状態で整復可能であるもの
と 推 察 し た。
図 18 上 記 M R I 画 像 と 同 個 体 の 胸 鎖 関 節
C T 画像 (浜 田)
図 17,18 と も に 正 面 像 で あ る が 、 鞍 関 節 な の
で胸鎖関節の微脱臼を証明することは困難で
あ る。
参考文献
1 . 第24回神奈川県柔道整復学術大会誌
「 頸 、 肩 、 腕 の 周 辺 に か か わ る 疼 痛 、
整復法」 松為 信夫(社) 神奈川県
柔道整復師会2002 2 .第 2 5 回 関 東 柔 道 整 復 学 会 誌 「上 記
同 文」 松 為 信 夫 社 団 法 人 日 本 柔
道整復師会関東ブロック会2003
3 . 第6回日整学術実技研修会誌2003
4. 日 本 人 体 解 剖 学 金 子 丑 之 助 著 南
山 堂 1 9 7 7 図 1.3.4
5. 目 で 見 る 局 所 解 剖 学 嶋 井 和 世 ・ 坪
井実監訳 廣川書店1979
6. 図 解 関 節 ・ 運 動 器 の 機 能 解 剖
上 肢 ・ 脊 柱 編 − J. C A S T A I N
G、 J. J. S A N T I N I 共 著
井 原 秀 俊、 中 山 彰 一、 井 原 和 彦 共 訳
協同医書出版社 図 2
ママさんバレーボール選手の柔道整復師、
接骨院(整骨院)に対する認知度
横浜西支部 新 井 孝 幸
key words:アンケート統計・バレーボール・ボランティア
【は じ め に】
我々公益社団法人神奈川県柔道整復師
20 代
30 代
40 代
50 代
60 代
以上
人数
会 は、 家 庭 婦 人 バ レ − ボ − ル の 接 骨 ボ ラ
A
0
1
6
4
0
11
ン テ ィ ア を 行 っ て お り、 幾 度 か ボ ラ ン テ
B
0
3
8
0
0
11
C
0
1
8
1
0
10
D
0
0
8
4
0
12
の通院に影響がどれだけあるのかアンケ
E
0
3
6
0
1
10
− ト を 実 施 し ま し た。
F
0
3
7
0
0
10
G
0
2
5
4
0
11
H
1
1
7
4
0
13
I
0
2
6
2
0
10
J
0
1
4
5
1
11
で ご 承 認 し て も ら い 、『 ア ン ケ − ト 用 紙
K
0
2
3
5
0
10
を 各 チ − ム ご と』 に 実 施 し ま し た。
合計
1
19
68
29
2
119
ィ ア 活 動 を 行 う 中 で、 参 加 の 出 場 選 手 達
と 話 し、 色 々 な 疑 問 や 我 々 の こ と を ど れ
だ け 理 解 し 認 知 さ れ て い る の か。 そ の 後
【対 象 お よ び 方 法】
緑区のママさんバレ−ボ−ル協会の会
長 に 電 話 し 「私 個 人 の 利 益 目 的 で な く、
学 術 で 使 用 す る の み」 と 理 解 し て い た だ
き、 同 協 会 の 副 会 長、 理 事 の 方 々 の 会 議
【チ ー ム 数 1 1 チ − ム、 チ − ム 名 (A ∼
割合 0.8% 16.0% 57.2% 24.3% 1.7%
K )、 人 数 1 1 9 名 】・ ・ ・( 平 成 2 6 年
5 月 1 1 日 現 在)
<アンケ−ト内容>
● 1 1 チ − ム ≪ 市 大 会 出 場 5 チ − ム (A
●接骨院について
∼ E) 区 大 会 の み 出 場 チ − ム 6 チ ー ム
(F ∼ K) ≫
●Aチーム11名 Bチーム11名 C
チーム10名 Dチーム12名 Eチ
① 接 骨 院( 整 骨 院 )を 知 っ て い ま す か ?
(見 た こ と、 聞 い た こ と は あ り ま す
か ?) ② 接 骨 院 (整 骨 院) が 何 を す
るところか知っていますか?
ーム10名 Fチーム10名 Gチー
③ 接 骨 院 (整 骨 院) の 中 に 日 整 (公 益
ム11名 Hチーム13名 Iチーム
社 団 法 人) と 他 団 体 が あ る の を 知 っ
1 0 名 J チ ー ム 1 1 名 K チ ー ム
ていますか?
10名
●市大会出場人数54名+区大会のみ出
場人数65名=合計人数119名
④ 日 整 (公 益 社 団 法 人) が 接 骨 ボ ラ ン
ティア活動を行っているのを知っ
ていますか?
⑤ 接 骨 院 (整 骨 院) が 柔 道 整 復 師 だ と
知 っ て い る、 聞 い た こ と が あ り ま す
か?
⑥ 接 骨 院 (整 骨 院) に 通 院 を 1 回 も 行
っ た こ と が あ り ま せ ん。
①
⑦ 接 骨 院 (整 骨 院) に 通 院 を 1 回 で も
行ったことがありますか?
⑧ 接 骨 院 (整 骨 院) に 通 院 を 2 回 以 上
行ったことがありますか?
⑨ 現 在、 接 骨 院 (整 骨 院) に 通 院 を し
て い ま す か。
①
②
③ ④ ⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
A 11 11
0
0
11
0
11 11
3
B 11 10
0
0
10
1
10
9
1
C 10
0
0
7
0
0
10
9
D 12 12
4
0
12
0
12 12
0
E 10 10
0
7
10
0
10 10
3
F 10 10
0
2
6
0
10 10
3
G 11 11
0
0
5
1
10 10
1
H 13 13
0
0
6
1
12
4
0
I 10
0
0
6
1
8
6
2
J 11 11
0
0
11
1
K 10 10
0
0
5
4
合計 119 114 4
9
89
9
8
8
10 10
6
6
1
0
99 98 23
割合 100% 95.8% 3.4% 7.6% 74.8% 7.6% 83.2% 82.4% 19.3%
② ② ② ② ② ② ③
ア) イ)
ウ) エ) オ) カ)
A
0
0
0
0
0
0
0
0
B
0
0
0
0
0
0
0
0
C
3
1
0
1
1
0
0
0
D
2
0
0
2
0
0
0
2
E
0
0
0
0
0
0
0
0
F
1
1
0
0
0
0
0
1
G
0
0
0
0
0
0
0
0
H
0
0
0
0
0
0
0
0
I
1
0
1
1
1
0
0
0
J
2
0
0
0
0
1
0
1
K
0
0
0
0
0
1
0
9
合計
9
2
1
4
2
2 0
13
割合 7.6% 1.7% 0.8% 3.4% 1.7% 1.7% 0.0% 10.9%
● 通 院 に つ い て (2)
①どうして他院にされたのですか?
『な ぜ、 接 骨 院 (整 骨 院) に 通 院 さ
れ て い な い の で す か ?』
(ア) レ ン ト ゲ ン、 M R I 等 が な
い か ら。
● 通 院 に つ い て (1)
① 現 在、 接 骨 院 (整 骨 院) 以 外 に 通 院
していますか?
② 現 在、 接 骨 院 (整 骨 院) 以 外 に 通 院
(イ) 薬、 痛 み 止 め 等 の 注 射 が で
き な い か ら。
(ウ) 保 険 組 合 の ア ン ケ − ト が よ
く 来 る か ら。
し て い る 方 は、 ど ち ら に 通 院 さ れ て
(エ) 電 気 し か か け な い か ら。
いますか?
(オ)マ ッ サ − ジ し か し な い か ら。
(ア) 整 形 外 科 病 院
(イ) 大 学 ・ 総 合 病 院
(ウ) 鍼 灸 院
(エ) カ イ ロ、 整 体
(オ) マ ッ サ − ジ
(カ) そ の 他
③ 現 在、 接 骨 院 (整 骨 院) 以 外 に 通 院
し て い る 方 で 以 前 は 接 骨 院 (整 骨
院) に 通 院 さ れ て い た 方 ?
(カ) 施 術 す る 方 が 『コ ワ ソ −』
な 雰 囲 気 だ か ら。
( キ ) 施 術 所 、白 衣 が 汚 い・不 衛 生 。
G) 保 険 が き い て 安 い。
H) マ ッ サ − ジ が な い、 的 確 処 置
ア) イ) ウ) エ) オ) カ) キ) を し て く れ る。
A
0
0
0
0
0
0
0
B
7
0
0
3
4
0
0
C
1
0
0
1
2
0
0
D
0
0
0
0
0
0
0
E
0
0
0
0
0
0
0
F
1
0
0
0
0
0
0
G
11
11
0
0
0
0
0
H
0
0
0
0
0
0
0
I
0
0
0
0
0
0
0
J
5
0
0
0
0
0
0
K
5
5
0
3
3
0
0
①予防的なテ−ピング
合計
30
16
0
7
9
0
0
②テ−ピングの仕方
5.9%
7.6%
0.0%
0.0%
③鍼治療を受けたい
割合 25.2% 13.4% 0.0%
I) レ ン ト ゲ ン は、 撮 れ ま せ ん が
温 め、 電 気、 整 体 等 い ろ い ろ な
治療をするので治りが早くな
る。
J) 効 果 あ り そ う、 1 回 の 治 療 費
が 安 く て 気 軽 に 通 え る。
K) 駅 前 だ っ た か ら。
【結 果】
今回のアンケ−トでこれからの接骨院
( 整 骨 院 )、 接 骨 ボ ラ ン テ ィ ア に 望 む も の
は 、 ④ケガをしないための体づくりの相談
② そ の 他 、『 他 に 何 か あ り ま し た ら お
答 え く だ さ い 。』
B )「 先 に 整 形 外 科 で レ ン ト ゲ ン
を 撮 っ て か ら 接 骨 院 に 通 う」 と
い う 人 が 多 か っ た で す。 7 名
B) マ ッ サ − ジ が 少 な く て 効 果 を
感じにくい 4名
⑤小さい大会・リ−グ戦の時も居てく
れるとよい
⑥相談しやすい雰囲気にしてほしい
⑦ 簡 単 な 薬 な ど が 出 れ ば う れ し い (シ
ッ プ 等)
な ど の 意 見 が あ り ま し た。
【考 察】
B )治 る の に 時 間 と 費 用 が か か る 。
接 骨 院 ( 整 骨 院 ) の 認 知 、何 を す る か 、
B) 保 険 の 適 用 が な い 特 殊 電 療 な
柔 道 整 復 師 ま で 知 ら れ て い ま し た が、 接
ど高額な治療を勧められて困
骨 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 を 行 っ て い る の が、
り、 行 き に く か っ た 経 験 か ら 行
我々神奈川県柔道整復師会であるという
け な く な っ た。
ことまでは知られていないことに気づき
D) 紹 介 で
ま し た。 現 在 マ マ さ ん バ レ − ボ ー ル の 選
③ そ の 他、
『 ケ ガ を し た 際 に 、接 骨 院( 整
手の年齢層が年々高くなって来ているの
骨 院) に 通 院 し た く な る ポ イ ン ト は
で、 ケ ガ の 予 防 テ ー ピ ン グ が 重 要 で あ っ
何 か あ り ま す か ?』
た り、 ケ ガ を し な い 体 づ く り の 指 導、 テ
A) 混 ん で い な い か ら
−ピング講習などが必要であると考えま
B) マ ッ サ − ジ 多 め の 接 骨 院 な ら
す。 ま た 選 手 か ら の 要 望 も 多 か っ た。 今
行 き た い。
C) 痛 い 所 だ け で な く、 全 身 を マ
ッ サ − ジ し て く れ る。
D) 保 険 で 通 院 で き る か ら。
E ) 安 い 、マ ッ サ − ジ が あ る 、色 々
聞 け る。
F) 安 い、 混 ま な い。
後 は も っ と 相 談 さ れ や す い 雰 囲 気 や、 小
さい大会などのボランティアなども行い
もっとアピールをしていきたいと思いま
し た。
股関節痛における槓杆作用を利用した疼痛改善法
湘 南 支 部 山 口 秀 紀
key words:股関節痛 関節包内運動 てこの原理 インピンジメント症候群
《は じ め に》
股関節は大腿骨頭が寛骨臼にはまり込
股 関 節 痛 を 改 善 さ せ る 方 法 と し て、 槓
ん だ 臼 状 関 節 で あ る。 繊 維 軟 骨 で あ る 関
杆 作 用 (て こ の 原 理) を 利 用 し、 関 節 包
節唇が寛骨臼縁の全周にわたって付着
を伸張させて可動域を拡大する手技を考
し、 寛 骨 臼 窩 を 補 っ て い る。 骨 頭 と 寛 骨
案 し た。 以 下 便 宜 的 に こ の 施 術 を 股 関 節
臼 は 大 腿 骨 頭 靭 帯 で 接 続 し て い る。 し か
槓 杆 法 と 呼 ぶ こ と に す る。 今 ま で 私 は、
し、 こ の 靭 帯 は 関 節 の 安 定 性 に は 関 与 せ
股 関 節 痛 に 対 し て、 ス ト レ ッ チ ン グ、 揉
ず、 脱 臼 の 際 に 初 め て 骨 頭 が さ ら に 偏 位
捏 法、 筋 力 ト レ ー ニ ン グ 等 を 施 し て き
す る の を 防 ぐ。 関 節 包 は 前 面 で は 大 腿 骨
た。 し か し、 尚 残 る 痛 み に 対 し て 有 効 な
頚 部 全 体 を 覆 い、 後 面 で は 骨 頭 寄 り の 頚
手段が無いかと試行錯誤の中で考案した
部 1 / 3 に 付 着 し て い る。
の が こ の 方 法 で あ る。
(図 2) 股 関 節 前 面
簡 単 に 施 術 法 を 説 明 す る と、 握 り 拳 を
股 関 節 に 挟 ん で 屈 曲 す る、 と い う 一 種 の
関 節 包 内 運 動 で あ る。 こ の 手 技 の 狙 い
4
4
は、 て こ の 原 理 を 使 っ て 柔 ら か い 力 で 痛
み を 与 え ず に、 減 少 し た 可 動 域 を 回 復
し、 疼 痛 を 改 善 さ せ る こ と で あ る。 よ り
効 果 的 に 関 節 包 を 伸 張 さ せ る た め、 関 節
包を補強する靭帯の走行方向や大腿骨の
頚 体 角 も 考 慮 し て 行 う。
(図 3) 股 関 節 後 面
《股 関 節 の 構 造》
施 術 法 は 股 関 節 の 構 造 に 影 響 を 受 け る。
(図 1) 股 関 節 前 頭 断 面
関節包を補強する関節包外靭帯は四つ
あ る。 施 術 に お い て は ど の 運 動 方 向 を 制
限 し て い る か が 重 要 で あ る。
・腸骨大腿靭帯…全身で最強の靭帯であ
(図 5) 股 関 節 の 動 き に 作 用 す る 筋 肉 群
り 、 3 5 0 kg の 牽 引 力 に 耐 え る こ と が
できる。関節包の前面を補強する。強大
な外側部と弱小な内側部に分かれる。
「両方で大腿の伸展制限、特に外側部は
内転と内旋を制限する。」これに対して
屈曲によって靭帯は弛緩する。よって、
立位より座位の方が股関節は楽に感じ
る。
・坐骨大腿靭帯…関節包の後面を補強す
る。大腿の内旋を制限する。
股 関 節 の 各 運 動 に 関 与 す る 筋 は (図 5)
・恥骨大腿靭帯…関節包を前面から補強
の 通 り で あ る。
し、大腿の外転を制限する。上二つより
《股 関 節 イ ン ピ ン ジ メ ン ト 症 候 群》
弱い靭帯。
・輪帯…大腿骨頚を取り巻く輪状靭帯。
近 頃、 股 関 節 痛 の 原 因 の 一 つ と し て 注
関節包の外側からボタン(骨頭)を押さ
目 を 集 め て い る の が 、股 関 節 ( 大 腿 臼 蓋 )
えるボタンの穴の役割。
イ ン ピ ン ジ メ ン ト 症 候 群 femoroacetabular
これら関節包を補強する靭帯は屈曲を
impingement syndrome( FAI ) で あ る 。
ほ と ん ど 制 限 し な い。 別 の 言 い 方 を す る
こ れ は 大 腿 骨 頚 部 と 臼 蓋 前 方 が 衝 突 (イ
と、 屈 曲 以 外 の 運 動 は い ず れ か の 靭 帯 に
ン ピ ン ジ メ ン ト) し て 関 節 唇 や 関 節 軟 骨
制 限 さ れ る。 特 に 最 強 の 靭 帯 で あ る 腸 骨
が 損 傷 し た 状 態 で あ る。 関 節 唇 は 神 経 が
大腿靭帯をできるだけ働かせないことが
豊 富 な た め、 運 動 の セ ン サ ー と し て 働 く
ポ イ ン ト に な る。
反 面、 損 傷 を 受 け る と 痛 み が 出 や す い。
(図 4)
股 関 節 を 過 屈 曲、 頻 回 の 回 旋 運 動 等、 可
動域一杯の運動を繰り返すことで起きや
す い。 ス ポ ー ツ 等 で 軽 度 の 外 傷 を き っ か
け に 発 症 す る こ と が 多 い。
(図 6) イ ン ピ ン ジ メ ン ト テ ス ト
大腿骨頚と大腿骨体の角度である頚
体 角 は 成 人 で 約 1 2 5 °。 年 々 角 度 が 小
さ く な り 、 老 人 で 1 2 0 °、 こ れ が 大 腿
骨頚部骨折になりやすい原因の一つであ
る 。 頚 体 角 約 1 2 5 °と は 股 関 節 を 基 点
に 見 る と 、 約 5 5 °で あ る こ と を 施 術 の
際 に 考 慮 す る。
検 査 法 は 、 股 関 節 を 屈 曲 9 0 °も し く は
最 大 屈 曲 位 で 内 転、 内 旋 さ せ て 鼠 径 部 に
疼 痛 が で れ ば 陽 性 で あ る。
三 つ の タ イ プ に 分 類 さ れ る 。( 図 7 )
を屈曲しその上から他の四指を屈曲)、
・ピンサー型…臼蓋の縁が突出している
上前腸骨棘の直下(図8の矢印
・ キャム型…大腿骨頚部のくびれが少ない
先)に拳を当てる。
・混合型…上二つが合わさったもの
(図 7)
3 . 被験者の足側の手を膝に当て、手で膝を
押して股関節を少し内転気味に屈曲す
る。
4
4
4
4
4
そのとき拳をてこの支点にして股関
節に挟み込むように行う。
(図8)
a. 正 常 b. ピ ン サ ー 型 c. キ ャ ム
型 d. 混 合 型
《股 関 節 槓 杆 法》
*注意点
1.股関節の疾患に注意する。(図9)参
照。
2.屈曲痛が強い場合は不可。
3.痛みが出ればすぐに中止する。
4.拳を強く押し付けない(圧痛を与えな
て こ に 見 立 て る と、 棒 は 大 腿 骨、 力 点 は
い)。強く屈曲しすぎない。
膝 関 節、 支 点 は 握 り 拳、 作 用 点 は 股 関 節
5.上前腸骨棘に拳が引っ掛かり少し関節が
と な る。 支 点 と 作 用 点 が 近 い ほ ど、 支 点
伸びる強さで行う。上前腸骨棘がてこの
と 力 点 が 遠 い ほ ど、 作 用 点 で 働 く 力 は 大
しっかりした台になる。
き く な る。 こ の 場 合 支 点 (拳) は 股 関 節
6.デリケートな部位なので、インフォーム
に で き る だ け 近 づ け る の で、 力 が よ り 大
ド・コンセントを確実に行い、着衣の上
き く な り 関 節 包 は 引 き 伸 ば さ れ る。
にしっかりタオルを敷いて行う。
7.理論的には頚体角があるので約55°内
*施術法
転させると長軸方向に効率良く関節包を
1.被験者は仰臥位で膝を立てる(膝関節・
引き伸ばすことができる。しかし実際に
股関節軽度屈曲)。施術者は被験者の健
は靭帯に運動が制限されるので、抵抗を
側に立つ。
感じない角度で内転(20°∼30°、
2.被験者の頭側の手で握り拳を作り(拇指
個人差がある)させる。
8.インピンジメント症候群の場合はインピ
いるため痛みは出にくいが、痛む場合は
ンジメントテスト(図6)の要領でこれ
屈曲のみ、それでも痛むときはやや外転
に内旋を加える。関節面が引き離されて
で屈曲する。
(図9)股関節痛をきたす主な疾患:成人
(図 10)股関節の可動域表示ならびに測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション学会制定)
《実 際 の 症 例》
施 術 前 に 検 査 と し て、 股 関 節 可 動 域
受 傷 4 週 位 で 荷 重 痛 が 減 少 し た た め、 テ
ニ ス を 再 開 し た。
( ROM ) 測 定 ( 図 1 0 )、 パ ト リ ッ ク テ
ス ト ( 図 1 1 )、 イ ン ピ ン ジ メ ン ト テ ス
ト (図 6) を 行 っ て い る。
( 図 1 1 ) パ ト リ ッ ク テ ス ト (Patrick test)
(症 例 2)
6 5 才 女 性、 バ レ ー ボ ー ル で ジ ャ ン プ 後
の 着 地 の 際 に 右 股 関 節 を 負 傷 す る。 受 傷
3 週 で 屈 曲、 内 旋 で 痛 み あ り。 股 関 節 可
動 域 ( R O M ) 測 定 、パ ト リ ッ ク テ ス ト 、
前 方 イ ン ピ ン ジ メ ン ト テ ス ト を 行 っ た。
受傷3週の股関節の可動域
屈 曲 1 2 0°
外 転 6 0°
外 旋 6 0°
伸 展 ― 内 転 ― 内 旋 4 0°
パトリックテスト…陽性
股 関 節 を 開 排 位 (屈 曲、 外 転、 外 旋) に
インピンジメントテスト…陽性
し て 疼 痛 が 出 れ ば 陽 性。
この段階で週2回股関節槓杆法による施
術 を 行 う。 施 術 直 後 に 痛 み は 軽 減 す る。
(症 例 1)
5 6 才 男 性、 硬 式 テ ニ ス の 練 習 中 に ボ ー
受傷5週の股関節の可動域
ルを打ち返そうと足を踏み出した時に右
屈 曲 1 2 5°
股 関 節 を 負 傷 す る 。荷 重 痛 あ り 。2 週 後 、
外 転 6 0 ° 急 性 症 状 は 無 く な っ た 。股 関 節 可 動 域( R
外 旋 7 5°
O M ) 測 定 ( 図 1 0 参 照 )、 パ ト リ ッ ク
伸 展 ― 内 転 ― 内 旋 4 5°
テ ス ト ( 図 1 1 )、 イ ン ピ ン ジ メ ン ト テ
ス ト (図 6) を 行 っ た。
受傷5週でインピンジメントテストは陽
性 で あ る が、 パ ト リ ッ ク テ ス ト は 陰 性 と
受傷2週の股関節の可動域 な り、 痛 み が 軽 減 し た た め、 バ レ ー ボ ー
屈 曲 1 2 0°
ル を 再 開 し た。
外 転 5 0°
外 旋 3 0°
(症 例 3:イ ン ピ ン ジ メ ン ト の 疑 い 有 り)
伸 展 ― 内 転 ― 内 旋 4 0°
1 7 才 男 性、 高 校 の サ ッ カ ー 部 の 練 習 中
パトリックテスト…陰性
にボールを強く蹴った際に右股関節を負
インピンジメントテスト…陰性
傷 す る。 受 傷 4 週 後 に 中 々 痛 み が 引 か ず
この段階で股関節槓杆法による施術を週
他 院 よ り 転 院。
2 回 行 う。
走 る の も ま ま な ら ず、 歩 行 時 痛 も 有 り。
イ ン ピ ン ジ メ ン ト テ ス ト 陽 性、 パ ト リ ッ
受傷4週の股関節の可動域
ク テ ス ト 陽 性。 屈 曲 に よ り 鼠 径 部 に 激 痛
屈 曲 1 2 5°
が 出 る。 初 回 は 股 関 節 槓 杆 法 に よ る 施 術
外 転 5 0°
を や や 外 転 気 味 に 行 っ た。 施 術 直 後 に 痛
外 旋 4 0°
み は 少 し 軽 減 す る。
伸 展 ― 内 転 ― 内 旋 4 5°
その後10日間で6回の施術を徐々に内
転、 内 旋 を 加 え な が ら 行 い、 軽 く 走 る こ
《参 考 文 献》
と か ら 練 習 開 始。 さ ら に 1 1 日 後、 本 格
1 )( 図 1 )( 図 2 )( 図 3 )( 図 8 ) 及 び
的 な 練 習 に 参 加。
股関節の構造について
さ ら に 1 0 日、 受 診 か ら 3 1 日 目 に 鼠 径
金 子 丑 之 助 原 著 : 日 本 人 体 解 剖 学 ( 上 ) 部 の 痛 み は ほ ぼ 消 失 し、 そ の 後 確 認 の 取
改訂19版 南山堂 2000年
れ た 2 か 月 後 も 痛 み 無 く 良 好 で あ る。
2 )( 図 6 )( 図 9 )( 図 1 1 )
帖 佐 悦 男 著 :「 診 察 の 手 順 と ポ イ ン ト 」
《結 果》
股関節の痛み 南江堂 2011年
こ の 三 例 に お い て、 長 期 で は、 股 関 節 の
3 )( 図 7 )
痛みの減少と屈曲と内旋の可動域の拡大
大 原 英 嗣 著 :「 股 関 節 唇 損 傷 に よ る 痛 み 」
が み ら れ た。 ま た、 短 期 に お い て は、 槓
股関節の痛み 南江堂 2011年
杆法の前後に行うインピンジメントテス
4 )( 図 5 )( 図 1 0 )
ト に よ り、 痛 み の 減 少 と そ れ に 伴 う 屈 曲
標 準 整 形 外 科 学 第 9 版: 股 関 節 の 機 能 解
と 内 旋 の 可 動 域 の 拡 大 が 見 て 取 れ た。
剖、 診断と検査 医学書院 2005年
5) イ ン ピ ン ジ メ ン ト テ ス ト に つ い て
《ま と め》
池 田 祐 真 著 :「 股 関 節 病 変 の 診 断 ・ 評 価 」
槓杆法により股関節の関節可動域が拡
骨盤・股関節・鼠径部のスポーツ疾患治
大。 そ れ は 関 節 包 が 伸 張 し た こ と が 考 え
療の科学的基礎 NAP 2013年
ら れ る。 そ れ に 伴 い イ ン ピ ン ジ メ ン ト 症
6) 股 関 節 イ ン ピ ン ジ メ ン ト に つ い て
候群を始めとした股関節痛も改善され
整形外科リハビリテーション学会編著:
た。 痛 み の 原 因 で あ る 衝 突 が 減 少 し た も
「femoroacetabular impingement ( FAI ) に
の と 考 え ら れ る。
対 す る 運 動 療 法」 整 形 外 科 運 動 療 法 ナ ビ
臼蓋形成不全等による変形性股関節症は
ゲ ー シ ョ ン (下 肢) 改 訂 第 2 版 メ ジ
関節裂隙の狭小化が痛みの原因と言われ
カルビュー 2014年
る。 槓 杆 法 に よ り 関 節 裂 隙 が 広 が る こ と
7 )( 図 4 ) 及 び 頚 体 角 に つ い て 、 股 関
が 予 想 さ れ る た め、 こ れ ら の 慢 性 痛 に も
節について
効果があるのではないかと期待してい
越智淳三訳:分冊解剖学アトラスⅠ運動
る 。 ま た 、脚 長 差 の 改 善 に も 繋 が る た め 、
器 第1版 文光堂 1990年
腰部や膝関節にも良い影響をもたらすか
も し れ な い。
今 後、 股 関 節 槓 杆 法 を 行 う 症 例 と 他 の 施
術 の 症 例 を 比 較 す る こ と に よ り 長 期 的、
短期的な効果を明らかにすることを課題
と し た い。
ま た、 関 節 運 動 を 阻 害 す る 因 子 は 靭 帯 以
外 に 筋 肉 が あ る ( 図 5 )。 主 動 作 筋 に 対
す る 拮 抗 筋、 例 え ば 内 旋 に 対 す る 外 旋 筋
を伸張させる施術等がどの程度効果があ
る の か。 槓 杆 法 に よ る 関 節 包 内 運 動 と の
比 較 も 行 い た い。
柔道整復師法第17条についての考察
平 塚 支 部 足 立 唯
key words:同意の解釈
1. は じ め に
広 義 ・ 狭 義 の 観 点 か ら 掘 り 下 げ る。
本発表は医師の診断なしで柔道整復師
何に対する
が骨折・脱臼の施術をすることを肯定・
同意
か?
(狭 義)
推 進 す る 発 表 で は な く、 柔 道 整 復 師 の
骨折の疑いがある患者甲を整形外科に精
本来の業とは何か
査依頼
を、 法 律 の 観 点 か ら
の 広 義 ・ 狭 義 の 解 釈 を 模 索 す る、 謂 わ ば
整形外科より骨折の診断
問 題 提 起 的 な 発 表 で あ る。
接 骨 院 若 し く は 甲 よ り 整 形 外 科 に 対 し、
我が平塚支部会員からの問題提起である
治療・リハビリ等は接骨院にて行いたい
が、 こ れ の 機 に 骨 折 ・ 脱 臼 へ の 整 復、 固
旨の申し出
定 等 の 施 術 を す る と い う 原 点 を 今 一 度、
(書面でも患者様からの口頭での同意で
深く考えるきっかけになれば良いと思
も 構 わ な い 。)
う。
整形外科医師から接骨院での後療を認め
Cf:柔道整復師法17条
る 返 答 あ り。 骨 折 治 療 す る 事
(柔 道 整 復 師 は、 医 師 の 同 意 を 得 た 場 合
の ほ か、 脱 臼 ま た は 骨 折 の 患 部 に 施 術 を
への同
意 と な る。
(広 義)
し て は な ら な い。 た だ し、 応 急 手 当 を す
骨折の疑いがある患者乙を整形外科に精
る 場 合 は 、 こ の 限 り で は な い 。)
査依頼
→国家資格で認められている
復
柔道整
による骨折脱臼への施術は応急処置
(または来院する前に整形外科にて検
査、 骨 折 の 診 断 を 受 け る)
に 限 ら れ る 事 に な り、 応 急 処 置 の み の 為
整形外科より骨折の診断
に 学 び、 研 修 し て き た こ と に な っ て し ま
数 日 後 に 来 院 し、 乙 か ら 「○ ○ 整 形 外 科
う。
の○○先生から骨折していると言われ
Cf:国家資格とは
た」 と 報 告。
資格試験そのものが法によって定められ
整形外科医師による
て い る も の で、 法 的 根 拠 の あ る も の を 国
実
家 資 格 と い う。
骨折している事
へ の 同 意 と な る。
法の解釈
試験実施は国から委譲された団体若しく
裁判官の正義の感情によって結論が出る
は 地 方 自 治 体 な ど が 行 う 場 合 が 殆 ど で、
に し て も、 そ の 理 由 を 論 理 的 に 説 明 し な
その形態は国の代行という立場で行われ
け れ ば な ら な く、 裁 判 官 が 「正 し い」 と
る も の で あ る。
思 っ て も そ の 根 拠 が 法 の 中 に あ り、 そ の
(民 間 資 格 ・ 公 的 資 格 と は、 法 的 根 拠 に
法に基づいて論証することが必要にな
よ ら な い 資 格 試 験 ・ 検 定 の こ と を 言 う)
る。 た だ、 こ の 論 理 的 な 推 論 は 必 ず し も
2. 柔 道 整 復 師 法 1 7 条 の 解 釈
唯 一 と は 限 ら ず、 同 一 の 言 葉 を A に も B
医師の同意を得た場合
という文言を
に も 解 釈 す る こ と が で き る。
・法規の言葉の意味を縮小して解釈する
も し、 無 資 格 の 者 が 応 急 手 当 を 施 し た 場
(縮小解釈)
合、 柔 道 整 復 師 法 第 3 0 条 (3 0 万 円 以
・法規の言葉の意味を拡張して解釈する
下 の 罰 金) の 適 用 で は な く、 不 法 行 為 に
(拡張解釈)
よ る 損 害 賠 償 (民 法 第 7 0 9 条 : 故 意 又
・文章の論理に忠実に解釈する(文理解
は 過 失 に よ っ て、 他 人 の 権 利 又 は 法 律 上
釈)
保 護 さ れ る 利 益 を 侵 害 し た 者 は、 こ れ に
・法規の目的を推測してそれに合うよう
よって生じた損害を賠償する責任を負
に解釈する(目的論的解釈)
う 。) 等 に 該 当 す る こ と も あ る 。
・法規の社会的役割や機能に注目して解
3. 同 意 さ れ る べ き 業 務 に つ い て
釈する(社会学的解釈)
柔道整復師法には柔道整復師の業務内容
第17条を法の解釈の種類別に区分する
を 明 文 し て い な い。
と、 狭 義 (縮 小 解 釈 ・ 文 理 解 釈 ・ 目 的 論
「あ ん 摩 マ ッ サ ー ジ 指 圧 師、 は り 師、 き
的 解 釈 )、広 義 ( 拡 張 解 釈・社 会 学 的 解 釈 )
ゅ う 師 等 に 関 す る 法 律」 に は 第 1 条 〔免
に 近 い 形 態 を と る。
許〕 に、 医 師 以 外 の 者 で、 あ ん 摩、 マ ッ
多数派の解釈であろう狭義のみで法第
サ ー ジ 若 し く は 指 圧、 は り 又 は き ゅ う を
1 7 条 を 捉 え て い る と、 骨 折 脱 臼 を 伝 統
業 と し よ う と す る 者 は、 そ れ ぞ れ、 あ ん
的に行い守り抜いてきた柔道整復師の存
摩 マ ッ サ ー ジ 指 圧 師 免 許、 は り 師 免 許 ま
在 意 義 す ら 不 明 に な っ て く る。 法 的 根 拠
たはきゅう師免許を受けなければならな
のある国家資格保有であるにもかかわら
い 。 と 表 記 さ れ て い る 。( あ ん 摩 、 マ ッ
ず 怪 我 を し た 際 の 治 療 が 行 え ず、 ま た マ
サ ー ジ、 指 圧、 鍼 灸 を 行 う 事 の 明 記)
ッサージ師でもないので業としてのマッ
→ 柔 道 整 復 師 法 で は 第 1 5 条 〔業 務 の 禁
サ ー ジ も 行 え な い。
止〕 で、 医 師 で あ る 場 合 を 除 き、 柔 道 整
こ こ に は、 法 律 の あ い ま い な 矛 盾 (一 方
復 師 で な け れ ば、 業 と し て 柔 道 整 復 を 行
で 認 め、 も う 一 方 で は 制 限 し て い る) が
っ て は な ら な い。 の み 記 載 さ れ て い る。
存 在 す る。
W H O の 「伝 統 医 療 と 相 補 ・ 代 替 医 療 に
た と え ば、 憲 法 第 1 3 条 で 表 現 の 自 由 を
関 す る 報 告」 で も 柔 道 整 復 と は、 日 本 の
明 文 し て い な が ら、 プ ラ イ バ シ ー 権 も 謳
伝 統 医 療、 民 間 療 法 と し て 柔 道 セ ラ ピ ー
っ て い る よ う に、 国 家 資 格 で あ る 柔 道 整
という名称のみ紹介されているが具体的
復 師 = 骨 折 脱 臼 等 の 処 置 (応 急 手 当) を
な 内 容 の 記 述 は な い。
国 の 資 格 と し て 認 め て い る が、 あ い ま
具体的に
い な 制 限 ・ 禁 止 も し て い る 。( 法 第 2 ・
述 べ て い る の か が 曖 昧。
1 5 ・ 1 7 条)
よ っ て、 医 師 が 同 意 を す る 際 に 柔 道 整 復
そ も そ も、 応 急 手 当 に 資 格 が 必 要 か ?
(法第17条には
業として
何を
業としての柔道整復と
師 の 何 に 同 意 を す る の か が 問 題 と な る。
という明
応急手当のみ骨折・脱臼の施術が認めら
文の記載がないので対価の有無は考慮し
れ て い な い 現 状 で、 大 多 数 の 解 釈 は 狭 義
な い)
(縮 小 解 釈) の 方 で あ る と 思 う が、 柔 道
ex:山で転倒し肩関節脱臼をしている
整復師が柔道整復を業とする意義を世に
場 合、 無 資 格 の 者 が 整 復 ・ 処 置 し た ら、
確 立 す る た め に は 広 義 (拡 張 解 釈) の 解
それだけで罪となるか?
釈 が 主 流 に な れ ば よ い。
→ 罪 に な ら な い の で あ れ ば、 法 で い う
4. 私 見
柔道整復師
でなくても処置は出来る
柔道整復師が「整形外科的疾患の担い
事になるので資格の意味がなくなってし
手」 の イ メ ー ジ を 世 に 印 象 付 け て い く。
ま う。
積極的要件
入 り 口 を 広 く、 出 口 を 狭 く し、 優 秀 な 人
材を育成するために国家試験の合格率を
下 げ る。
E B M が 重 視 さ れ る 現 代、 レ ン ト ゲ ン 等
の読影能力向上や整復技術の実践のた
め、 医 師 で い う 専 門 医 認 定 の 様 に 3 年 間
整形外科にて勤務してから開業権が取得
で き る よ う に す る。
→現在では柔道整復師の骨折脱臼の施術
に つ い て、 法 的 に も 社 会 通 念 上 に も 残 念
ながら完全に認知されるところではない
が、 柔 道 整 復 師 が 行 う 骨 折 等 の 施 術 実 績
が向上してくれば
同意の解釈
も拡張
し て く る。
消極的要件
現 在、 各 支 部 か ら 顧 問 医 と し て 整 形 外 科
医 と 関 係 を 持 っ て い る が、 各 支 部 (で き
れ ば 市 区 町 村) に 1 医 院、 公 益 社 団 神 奈
川県柔道整復師会と何らかの協議・提携
し た 整 形 外 科 医 院 を つ く り、 我 々 公 益 社
団の会員が何の苦もなく医師に精査を依
頼 し、 そ の 後 の 治 療 が 円 滑 に 進 む こ と が
出 来 る 医 院 を つ く る。 →柔道整復師の他団体との差別化にもな
り う る。
参考文献
渡 辺 洋 三 「法 の 常 識 第 3 版」
芦 部 信 喜 「憲 法 第 5 版」
高 梨 公 之 「口 語 民 法」
全 国 柔 道 整 復 学 校 協 会 「関 係 法 規」
東 洋 療 法 学 校 協 会 「関 係 法 規」
上腕骨骨幹部骨折 横骨折型の治療
−保存的治療の一症例−
大 和 支 部 山 口 善 弘
key words:上腕骨骨幹部骨折
はじめに
現場にあったボールケースの厚紙を利用
上腕骨骨幹部骨折はどの年齢層にも均
し 副 子 を 作 成。 骨 折 部 を 押 さ え 込 む よ う
等 に 発 生 し、 近 位 部 骨 折 の 様 に 高 齢 者 に
に 固 定。
多 い と い う 特 殊 性 は な い。
三角巾にて安静保持の状態で医療機関
また橈骨神経が骨に接近して走行する
に 搬 送 し、 上 腕 骨 骨 幹 部 骨 折 の 横 骨 折 型
為、 神 経 損 傷 を 合 併 す る 事 が 多 く、 一 般
と 診 断 を 受 け る (図 1)
的には小児の上腕骨骨幹部骨折=橈骨神
経麻痺と短絡的に結びつけても良い位で
あ る。 d r o p h a n d の 有 無 で 診 断
は 容 易 で あ る。
骨 癒 合 に 関 し て は、 斜 ・ 螺 旋 骨 折 型 よ
り も 横 骨 折 型 の 方 が 骨 癒 合 し に く い。 横
骨 折 型 は、 徒 手 整 復 後 に 外 固 定 で 整 復 位
が 保 て る が、 屈 曲 転 位 な ど 再 転 位 し や す
い 面 が あ る。 変 形 治 癒 は、 年 齢 に よ っ て
若 干 の 差 は あ る が 、 1 0 °∼ 2 0 °ま で の
屈曲変形は問題なく自家矯正され1∼2
図 1 9 歳 男 児 左 上 腕 骨 骨 幹 部 骨 折
cmの腕長差が発生する可能性もある
左) 左 側 面 像 右) 正 面 像
が、 臨 床 的 に は 問 題 な い。
治 療
今 回 の 症 例 で は、 横 骨 折 型 及 び 神 経 損
本 骨 折 は、 非 荷 重 で あ る 事、 血 流 が 豊
傷 が な い 状 態 で あ っ た。 そ の た め、 手 術
富 で あ り 骨 癒 合 し や す い。 大 き な 筋 肉 に
す る 事 無 く 保 存 的 療 法 が 適 応 で あ り、 ま
囲 ま れ 変 形 が 目 立 ち に く く、 変 形 治 癒 に
た医接連携にて保存的療法を行う機会に
対する肩甲帯代償能力が高い部位であ
め ぐ ま れ、 良 好 な 結 果 が 得 ら れ た の で 報
る。
告 す る。
代 表 的 な 固 定 法 と し て は、 U 型 副 子 固
定・ハンギングキャスト固定・ファンク
症 例
シ ョ ナ ル ブ レ ー ス 固 定 が あ る。
9歳 男児
今 回 は ハ ン ギ ン グ キ ャ ス ト 固 定 と し た。
野 球 の 練 習 中、 二 塁 走 者 に て 帰 塁 し た
際、 守 備 陣 と 接 触 し、 左 腕 を 巻 き 込 む よ
経 過
う に 転 倒 し て 受 傷。
受傷後1日目
グ ラ ン ド 内 に て 骨 折 部 を 確 認。 上 腕 骨
施術者の協力医療機関である綾瀬厚生
骨 幹 部 骨 折 と 判 断 し、 橈 骨 神 経 の 知 覚 異
病 院 に 転 医 し、 保 存 的 療 法 を 開 始 す る。
常 及 び 運 動 麻 痺 を 検 査 す る も 異 常 な し。
骨 折 部 を 直 圧 し 整 復 後、 近 位 骨 片 の 上
方5∼6cmから手関節までキャスト固
端 部 と し た。 ち ょ う ど ポ ケ ッ ト に 手 を 入
定。
れ た 肢 位 と な り、 こ れ に よ り 肩 関 節 が 軽
肘 関 節 8 5 °屈 曲 位 。
度 伸 展 位 に な り、 骨 折 部 に 軽 度 の 伸 展 応
前 腕 回 旋 中 間 位 の 肢 位 と し、 吊 り 下 げ
力 が 加 わ る と 考 え た。 ま た、 A D L 時 の
リ ン グ を 前 腕 骨 の 中 間 部 と し た 。( 図 2 )
活 動 範 囲 が 広 が り、 骨 折 部 に 動 揺 性 が 増
自 宅 で の 指 導 と し て は、 就 寝 時、 半 座
し た 事 も 考 え ら れ る た め、 上 腕 部 前 面 に
位 と 指 導 す る が、 ギ ャ ッ チ ア ッ プ ベ ッ ド
タ オ ル を 置 き、 肩 関 節 軽 度 伸 展 位 を 保 持
は 無 い た め、 布 団 の 下 に 座 椅 子 を 二 脚 並
し、 バ ス ト バ ン ド に て 上 肢 を 体 幹 に 固 定
べ 、 屈 曲 6 0 °程 度 に て 就 寝 す る よ う に
す る 事 を 追 加 し た。
指 導 す る。
図 4 受 傷 後 2W 再 整 復 後
受傷後5W
図 2 受 傷 後 1 日 整 復 後
仮 骨 形 成 を 認 め、 骨 折 部 の 安 定 性 が 得
受傷後2W
ら れ た た め ギ プ ス シ ー ネ 固 定 に し、 低 出
軽 度 の 仮 骨 形 成 を 認 め る が、 自 家 矯 正
力 パ ル ス 超 音 波 ( LIPUS) 治 療 を 開 始
の 限 界 角 度 で あ る 屈 曲 2 0 °を 越 え た た
し、 肩 関 節 拘 縮 除 去 の た め、 肩 関 節 振 り
め 、( 図 3 ) 再 度 整 復 を 行 う 。( 図 4 )
子 運 動 と 無 負 荷 に て 肘 関 節 ROM−ex を
開 始 す る。
受傷後8W
正面画像にて軽度の内反変形を認める
も ( 図 5 )、 仮 骨 形 成 の 状 態 が 良 い た め
ギ プ ス シ ー ネ 固 定 除 去。 骨 折 部 に 強 い 外
力 が 加 わ る と 再 骨 折 の 危 険 が あ る た め、
レ ナ サ ー ム に て functional brace
を 作 成 し、 骨 折 部 に 装 着 し て 巻 軸 帯 に て
固 定 す る。 低 出 力 パ ル ス 超 音 波 治 療 と 肘
図 3 受 傷 後 2W 再 整 復 前
関 節 ROM−ex を 継 続 し 0.5 ㎏ の wei
骨 折 部 に 直 圧 を か け、 屈 曲 角 度 を 1 5°
ght に て 上 腕 二 頭 筋 ・ 三 頭 筋 の M−ex
程 度 ま で 再 整 復 を 行 う。 固 定 肢 位 の 再 検
を 開 始 す る ( 図 6 )。
討 の 結 果 、 肘 関 節 4 0 °屈 曲 位 。
前 腕 回 旋 中 間 位 と し、 近 位 骨 片 の 上 方
5∼6cmから手関節まで再度キャスト
固 定 を 行 い、 釣 り 下 げ リ ン グ を 前 腕 遠 位
考 察
今 回 の 保 存 的 治 療 例 で は、 受 傷 後 2 W
後の再転位による再整復後のハンギング
キ ャ ス ト 固 定 肢 位 の 変 更 で、 屈 曲 転 位 が
最 小 限 に 抑 え ら れ、 ま た、 バ ス ト バ ン ド
により上肢を体幹に固定し骨折部を安定
させたことが骨癒合に対して良い状態に
な っ た と 考 え ら れ る。
骨折部の再転位の危険性や日常生活動
作 及 び 就 寝 時 の 姿 位 保 持 な ど、 患 者 や そ
図 5 受 傷 後 8W
の家族への負担が多大なものであった
が、 症 例 患 者 が 9 歳 と い う 年 齢 で、 自 家
矯正力が旺盛であったことや手術による
患者の精神的ストレスが無かったことも
あ り、 良 好 な 結 果 に つ な が っ た と 考 え ら
れ る。
《 参 考 文 献 》 ●骨折・脱臼 改訂2版 編集 富士川恭輔 鳥巣岳彦 南山堂
図6
17W
骨 癒 合 を 認 め、 骨 折 部 の 安 定 性 が 得 ら
れ、 肩 関 節 及 び 肘 関 節 の 拘 縮 除 去 し た た
め 、 治 癒 と す る ( 図 7 )。
図7 屈曲変形も腕長差も見られず治癒
●小児四肢骨折治療の実際 改訂第2版 井
上博/著 金原出版株式会社
支部単位で行う学術研修の一例 −短報−
横浜中支部 柴 田 大 輔
key words:医接連携、症例検討、資質向上
<はじめに>
入 会 し て 1 0 年 以 内 の 会 員 を 中 心 に、 顧
会員数120名余りが所属する横浜中
問医の協力を得て開催する支部学術活動
支 部 で は、 接 ・ 整 骨 院 乱 立 時 代 を 迎 え て
へ の 参 加 を 打 診 し た。 了 承 を 得 ら れ た 会
会 員 か ら 学 術 研 修 に 関 し て 「よ り 現 場 に
員 に は 支 部 定 例 会 議 後 に 集 合 し て 貰 い、
即 し た 内 容 で の 開 催 」、「 難 し い 話 で は な
趣 旨 説 明 を 行 っ た。 集 合 し た 際 に 症 例 発
く日常の業務に密接に関わりのある内
表 に 関 し て リ サ ー チ を 行 い、 結 果 は メ ー
容」 な ど の 要 望 が 多 く 寄 せ ら れ て い る。
ル・ファックスにて集計し顧問医に内容
開業後の臨床経験は来院する患者数によ
を 打 診 し た。
る と こ ろ も 大 き い。
開 催 2 ヶ 月 前 の 時 点 で、 変 形 性 膝 関 節
施術所1軒あたりの来院患者数が減少
症の既往がある膝関節周囲の外傷にて通
の 一 途 を 辿 る 中 で、 会 員 各 位 の 臨 床 経 験
院している患者に関する症例報告を行う
を 活 か し、 資 質 の 向 上 に つ な が る 学 術 講
事 が 決 定 し た。 支 部 学 術 部 長 が 症 例 報 告
習 会・ 研 修 会 運 営 の 試 験 的 ケ ー ス と し
の フ ォ ー マ ッ ト を 用 意 し、 対 象 会 員 に 配
て、 平 成 2 6 年 6 月 2 2 日 に 顧 問 医 濵
布 し た。 症 例 報 告 は メ ー ル に て 収 集 し た
田 洋 志 医 師 に ご 協 力 頂 き、 医 療 法 人 明 和
も の を 印 刷 し て 濵 田 医 師 に 届 け、 閲 覧 後
会亀田病院にて症例検討会を開催したの
に 指 示 を 受 け る 事 と し た。 以 下、 対 象 会
で 報 告 す る。
員 の 報 告 し た 症 例 を 列 記 す る。
<目的>
・入会年数の浅い会員を対象とし資質の
向上を図ること。
・外部講師を招聘し講演形式での研修会
第1症例 水川竜秀会員
Ⅰ. 患 者 情 報
7 6 歳 男 性。 身 長 1 7 5 c m 体 重
ではなく、事前に対象となった会員に
6 7 k g。
リサーチを行い、リサーチの結果とし
Ⅱ. 主 訴
て要望の多い症例を支部顧問医に提出
強風で倒れた自転車を起こすために左
し支部顧問医との症例報告形式の症例
膝を捻転した際に左膝関節内側部に疼痛
検討会を行うこと。
を 感 じ 来 院。
・各個に差異がある臨床経験や施療の手
(ア ナ ム ネ)
法、医師からの指摘箇所等の情報を共
妻 と 2 人 暮 ら し で、 飲 酒 習 慣 (焼 酎 水
有すること。
割 り を 2 ∼ 3 杯 / 日、 5 ∼ 6 日 / 週) 有
・学術的な執筆、発表に慣れることを目
的とした。
り。 内 科 疾 患 は な く、 入 院 暦 も な い。 来
院1週間前に整形外科にて変形性膝関節
<研修会開催前>
症 の 診 断 を 受 け、 ヒ ア ル ロ ン 酸 注 射 を 打
開 催 3 ヶ 月 前 の 時 点 で、 公 益 社 団 法 人
ち、 湿 布 を 処 方 さ れ る。 そ れ 以 降 は 通 院
神 奈 川 県 柔 道 整 復 師 会 (以 下、 本 会) に
暦 な し。
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
(図 2)
・左膝内側腫脹(++)
・熱感(++)
・疼痛性跛行(++)
・左膝関節裂隙内側に圧痛
・膝関節内側ストレス(+)
・階段の下り(++)、上り(+)
・前方引出テスト(−)
・後方押し込みテスト(−)
・膝蓋跳動(−)
・膝関節屈曲10°伸展0°
Ⅳ. 治 療 方 法
4. 約 8 週 目、 伸 縮 性 テ ー プ に よ る 固 定
1. 受 傷 翌 日 に 来 院。 こ れ よ り 毎 日 1 0
は 継 続 中。 日 常 生 活 内 で の 階 段 の 上 り、
日 間、 腫 脹、 熱 感、 疼 痛 性 跛 行 が 著 明 な
坂 道 の 歩 行 を 指 示。 可 動 域 を 出 す た め、
た め 、ア イ ス パ ッ ク に よ る 冷 罨 ( 1 0 分 )
膝 関 節 の 屈 曲 を 開 始。
と 患 部 の 圧 迫、 安 定 性、 保 護 を 目 的 と し
5. 約 1 0 週 目、 伸 縮 性 テ ー プ に よ る 固
て 伸 縮 性 テ ー プ と 弾 性 包 帯 で 固 定。
定 で の 歩 行 痛 が 消 失 し た た め、 固 定 を 外
(図 1)
す。 平 坦 な 道 で の 歩 行 か ら 始 め、 徐 々 に
坂 道 等 で 負 荷 を か け て い く。
6. 約 1 2 週 目、 日 常 生 活 で の 歩 行 が 安
定 し た た め 治 癒 と す る。
Ⅴ. ま と め
● 冷 罨 に よ り、 早 期 に 疼 痛、 腫 脹、 熱 感
の 寛 解 が 認 め ら れ た。
●初期の弾性包帯による圧迫固定によ
り、 腫 脹 を 早 期 に 寛 解 さ せ、 疼 痛 を 緩 和
さ せ た 。 疼 痛 性 跛 行 が( + + )か ら( + )
に な り、 患 者 の 歩 行 は 明 ら か に 安 定 し
2. 約 2 週 目 よ り 中 周 波 電 気 療 法 (2 0
た。
分) を 行 う。 腫 脹、 熱 感、 歩 行 痛 が 寛 解
●包帯から伸縮性テープに転換したこと
さ れ た た め、 伸 縮 性 テ ー プ に よ る 固 定 の
に よ り 圧 迫 感 が 減 り、 患 者 が 感 じ る 固 定
み と す る 。( 患 者 の 状 態 に 合 わ せ 弾 性 包
に 対 し て の ス ト レ ス を 排 除 可 能 と し た。
帯 の み の 固 定 と す る 場 合 も 有 り)
● 伸 縮 性 テ ー プ で 固 定 し た こ と で、 過 度
3. 約 5 週 目 よ り 通 院 を 週 3 日 と し、 仰
な可動域制限を防ぎながら関節を安定さ
臥位膝伸展位で患側の等尺性大腿四頭筋
せ る こ と が 可 能 だ っ た。
の ト レ ー ニ ン グ を 開 始 (来 院 時 と 自 宅 に
●大腿四頭筋のトレーニングをすること
て )。 日 常 生 活 内 で 平 坦 な 道 で の 歩 行 を
で 症 状 の 悪 化 を 防 ぎ、 治 療 と 並 行 し て 筋
指 示 ( 1 日 約 2 0 分 程 )。
力 を 回 復 さ せ る こ と が 可 能 だ っ た。
●伸縮性テープでの固定のまま歩行訓練
を し た こ と で、 患 者 に 関 節 の 安 定 感 と 安
心 感 を 与 え、 左 膝 に 負 担 を か け る こ と な
く 行 え た。
● 治 癒 時 点 で 屈 曲 1 0 °か ら 屈 曲 1 0 0 °
ま で 回 復 し た。
来院3日前に長時間正座をしていて立
今回の症例で早期の冷罨と固定をした
ち 上 が ろ う と し た 際 に 負 傷。 右 膝 の 腫
こ と が、 治 療 期 間 中 の 日 常 生 活 で の 膝 へ
脹、 屈 伸 時 の 疼 痛、 ロ ッ キ ン グ、 膝 崩 れ
の 負 担 と 疼 痛 を 軽 減 さ せ、 治 療 を 早 期 に
を 訴 え 来 院。
終 了 さ せ る こ と が で き た と 考 え る。
(ア ナ ム ネ)
受 傷 後 早 々 に 冷 罨 を 行 っ た こ と で、 腫
料 亭 の 女 将 で、 日 頃 か ら 正 座 や 立 ち
脹、 熱 感 を 寛 解 さ せ 疼 痛 を 軽 減 し、 冷 や
座 り が 多 く、 週 に 6 日 仕 事 を し て い る。
すことで得られる爽快感を患者に与えた
10年前に半月板損傷の診断を受けたと
ことが精神的ストレスの軽減に繋がった
の こ と だ が、 詳 細 は 記 憶 し て い ま せ ん。
と 考 え ら れ る。 こ の こ と が 冷 罨 法 は R I
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
CE処置にあるように有資格者でなくと
・右膝内側の関節裂隙の腫脹(++)
も 容 易 に 実 践 す る こ と が で き、 急 性 期 の
・圧痛 筋緊張
腫 脹、 熱 感 に 対 し て 有 用 で あ る と 患 者 に
・屈曲制限45°
認 識 さ せ る き っ か け と な っ た。
・ストレステスト(−)
様々な固定法の中で今回の症例では患
Ⅳ. 治 療 方 法
者 の A D L を 特 に 留 意 し、 包 帯 固 定 が 与
週2∼3回のペースで通院中
え る 煩 わ し さ を 考 え、 伸 縮 性 テ ー プ に よ
電 療 干渉波 超音波
る 固 定 を 選 択 し た。 膝 蓋 支 帯 で 交 差 さ
マ ッ サ ー ジ 大 腿 部、 下 腿 部、 膝 関 節 せ、 大 腿 遠 位 部、 下 腿 近 位 部 の 対 角 線 上
に 貼 る こ と で、 膝 関 節 自 体 の 安 定 感 を 増
周辺
ス ト レ ッ チ 大 腿 四 頭 筋、 ハ ム ス ト リ
幅させたことは患者のADLに十分に対
ングス
応 で き た と 考 え ら れ る。 な お、 伸 縮 性 テ
包帯固定 3日間は晒を入れ固定
ー プ の 張 力 に よ る 適 度 な 可 動 域 制 限 は、
その後は伸縮包帯で1週
症状の悪化や再受傷を予防するととも
間固定
に、 過 度 な 筋 力 低 下 を 防 ぐ 効 果 が あ り、
Ⅴ. ま と め
このことから伸縮性テープの選択は今回
包帯で圧迫固定する事により腫脹軽
の 症 例 で は 有 用 で あ っ た と 考 え ら れ る。
減。 電 療、 マ ッ サ ー ジ、 ス ト レ ッ チ に よ
一 方 で、 約 1 0 週 に 及 ぶ 固 定 は 患 者 に
り、 筋 緊 張 ・ 疼 痛 が 緩 和 さ れ、 可 動 域 制
固 定 へ の 依 存 を 与 え た。 患 者 は 関 節 の 安
限 消 失。 正 座 も ス ム ー ズ に 出 来 る よ う に
定による歩行の安心感から固定を外すこ
な り ま し た。
と に 不 安 感 を 覚 え、 固 定 を 外 す 時 期 に 苦
以 前 に 半 月 板 を 損 傷 し て い る 事 と、 仕
慮 し た。 固 定 期 間 と 患 者 の 精 神 的 不 安 の
事が忙しい時期に腫れやロッキングをこ
対 応 は 今 後 の 課 題 と し て 残 っ た。
こ 数 年 何 度 も 繰 り 返 し て い た 事 で、 筋 緊
腫 脹、 熱 感、 疼 痛、 そ し て 患 者 の 精 神
張 や 関 節 拘 縮 が か な り 出 て い た 為、 な る
的ストレスや不安が軽減したと考えられ
べく包帯での固定期間を短めにする事に
る こ と か ら、 早 期 の 冷 罨 と 固 定 は 結 果 的
気 を つ け ま し た。 電 療、 マ ッ サ ー ジ、 ス
に患者のQOL向上に繋がったと示唆さ
トレッチで柔軟性を出す事が症状緩和に
れ る。
効 果 的 だ っ た と 思 い ま す。
ロッキングや膝崩れの回数も減っては
第2症例 村田光会員
き ま し た が、 ど う し て も 仕 事 を 続 け て い
Ⅰ. 患 者 情 報
る と 一 進 一 退 を 繰 り 返 す の で、 引 き 続 き
5 1 歳 女 性。 中 背 で 肥 満 体 型。
治 療 を 継 続 し て い ま す。
Ⅱ. 主 訴
第3症例 湯毛信宏会員
動制限をしている筋群のマッサージに切
Ⅰ. 患 者 情 報
り 替 え ま し た。
7 4 歳 女 性。 や せ 型。
9 回 目 (受 傷 2 0 日 目)
Ⅱ. 主 訴
経 過 良 好 の 為、 さ ら に 弱 化 筋 で あ っ た
バスに乗り込もうとした際に階段につ
内側広筋の筋力トレーニングを行いまし
ま ず き 転 倒 し 負 傷。 歩 行 困 難。 腫 脹。 疼
た。
痛。 安 静 時 痛。 受 傷 翌 日 に 来 院 さ れ ま し
現 在 も 通 院 中 で す が、 良 く な っ た り 悪
た。
く な っ た り を 繰 り 返 し て お り ま す。
(ア ナ ム ネ)
Ⅴ. ま と め
既 往 歴 膝 関 節 の 変 形 性 関 節 症、 手
初期症状に関しては固定と冷罨法によ
指 ・ 足 趾 の 変 形。
り 改 善 が 認 め ら れ た が、 日 常 生 活 動 作 の
家 族 歴 母 親 に 円 背、 手 指 ・ 足 趾 に 変
改善に関して痛みが出にくくしていける
形。
方 法 が 今 後 の 課 題 で す。
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
・痛みによる跛行・両膝の内反変形・
第4症例 河崎貞治会員
腫脹++・熱感・発赤・内外側の
Ⅰ. 患 者 情 報
関節裂隙に圧痛
7 5 歳 女 性。 中 肉 中 背。 下 肢 筋 力 の 低
・膝蓋跳動・膝関節屈曲時に疼痛有・
下 が 見 ら れ、 体 幹 に 比 し、 下 肢 が 細 い。
他動運動時 膝関節屈曲60°伸
Ⅱ. 主 訴
展0°
布団を持ち上げる際に右膝関節内側部
・前方引き出しテスト(−)・後方引
き出しテスト(−)
・外反ストレステスト (+)・内反
ストレステスト (+)
に 疼 痛 を 感 じ、 そ の 後 も 歩 行 痛 を 感 じ た
た め 来 院。
(ア ナ ム ネ)
高 血 圧、 高 血 糖 の 既 往 有 り。
Ⅳ. 治 療 方 法
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
初 回 (受 傷 2 日 目)
受傷翌日に来院 右膝関節裂隙内側に
アイスパックによるアイシング
圧 痛 (+ +)、 熱 感 (+)、 腫 脹 (+ +)、
高周波治療器による物理療法
歩 行 痛 (+ +)、 膝 関 節 屈 曲 6 0°伸 展 0°
湿布を貼り腫脹患部に綿花を当て晒・
Ⅳ. 治 療 方 法
弾性包帯で固定
初 日、 熱 感、 腫 脹 が 強 い た め、 1 0 分
入浴制限とできるだけ安静にしておく
間 ア イ ス パ ッ ク で ア イ シ ン グ、 湿 布、 伸
よ う に 指 導 し ま し た。
縮 包 帯 で 固 定。
3 回 目 (受 傷 5 日 目)
4 日 後、 熱 感、 腫 脹 が 引 か な い 為、 ア
腫脹・熱感・発赤が改善されてきたの
イ シ ン グ、 湿 布、 サ ラ シ を 巻 き、 伸 縮 包
で 温 熱 療 法 に 切 り 替 え ま し た。
帯 で 固 定。
炎症反応が改善されてきたので患部に
1 0 日 後、 腫 脹、 熱 感 が 減 少 し た の で
誘 導 マ ッ サ ー ジ を 開 始 し ま し た。
温 熱 療 法、 電 療、 下 腿、 大 腿 の マ ッ サ ー
他 動 運 動 で 屈 曲 制 限 が 約 1 0 ∼ 1 5 °改
ジ、 ハ ム ス ト リ ン グ ・ 大 腿 四 頭 筋 の ス ト
善がみられたものの歩行時の痛みが取れ
レ ッ チ、 湿 布、 さ ら し を は ず し、 伸 縮 包
な い の で 晒 ・ 弾 性 包 帯 で 固 定 し ま し た。
帯 で 固 定。
6 回 目 (受 傷 1 3 日 目)
3 週 間 後、 腫 脹、 熱 感 が な く な り 伸 縮
歩行時の痛みが改善されたので包帯固
包 帯 を は ず し、 温 熱 療 法、 電 療、 マ ッ サ
定 を や め ま し た。 誘 導 マ ッ サ ー ジ か ら 運
ー ジ、 ス ト レ ッ チ、 大 腿 四 頭 筋 の 等 尺 運
動 を 開 始。
の 運 動 を 週 に 3 日、 2 週 間 行 っ た。
5 週 間 後、 専 業 主 婦 の 為、 家 事 が 多 く
疼 痛 軽 減 後、 再 発 予 防 を 目 的 に 大 腿 四
膝 に 負 担 が か か り、 再 腫 脹。 1 0 分 間 ア
頭筋の筋力強化を膝窩に枕を挿入しアイ
イ ス パ ッ ク で ア イ シ ン グ 、湿 布 、サ ラ シ・
ソ メ ト リ ッ ク ト レ ー ニ ン グ を 行 っ た。 あ
伸 縮 包 帯 で 固 定。
わ せ て 自 宅 で の 運 動 指 導 も 行 い、 継 続 し
そ の 後、 良 く な っ た り 悪 く な っ た り の
て 施 術 を 行 っ た 結 果、 疼 痛 消 失 し た た め
繰 り 返 し、 現 在 治 療 中 で す。
2 ヶ 月 に て 治 癒 に 至 る。
Ⅴ. ま と め
Ⅴ. ま と め
患 者 要 望 に よ り、 初 日 サ ラ シ を 巻 か ず
リ ウ マ チ に よ り 内 反 変 形、 屈 曲 拘 縮 を
に 伸 縮 包 帯 で 固 定 し た 為、 腫 脹、 熱 感 が
認 め た が、 湿 布、 圧 迫 固 定 を 行 い、 荷 重
引 か な か っ た の が、 反 省 点 で あ り、 サ ラ
時 の 負 荷 を 減 ら し 安 静 化 を 図 れ た。 疼 痛
シで固定する事により腫脹なくなる説得
が 残 存 す る 中、 関 節 に 負 担 を か け ず 高 周
力のある説明や患者指導をして信頼関係
波 治 療 器、 E M S を 用 い て 効 率 よ く 筋 肉
を 作 っ て い き た い で す。
を 刺 激 し 筋 力 の 低 下 を 防 止 で き た。
関節の動きを最小限に抑え筋力の強化
第5症例 林正和会員
が で き た。 包 帯 固 定 で は な く サ ポ ー タ ー
Ⅰ. 患 者 情 報
での固定にしたことで筋拘縮を起こさず
8 5 歳 女 性。
に 疼 痛 の 軽 減 が で き た。 こ れ ら の 事 が 早
Ⅱ. 主 訴
期 回 復 に つ な が っ た と 考 え る。
坂 道 を 下 る 際、 バ ラ ン ス を 崩 し 膝 を 捻
り、 右 膝 関 節 痛 を 訴 え る。 受 傷 1 週 間 後
第6症例 村尾高志会員
に 来 院。
Ⅰ. 患 者 情 報
(ア ナ ム ネ)
8 5 歳 女 性。
リ ウ マ チ 既 往 有 り。
Ⅱ. 主 訴
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
店内段差に躓き転倒し床に膝部を強打
腫 脹 著 明、 膝 内 反 テ ス ト (+) 歩 行 痛
し、 右 膝 部 内 側 裂 隙 部 圧 痛、 歩 行 時 痛 を
(+) 右 膝 内 側 関 節 裂 隙 部 圧 痛、 関 節 変
形 強 度、 荷 重 時 痛 (+)
訴 え 来 院。
(ア ナ ム ネ)
Ⅳ. 治 療 方 法
O A 既 往 歴 有 り。
受 傷 よ り 一 週 間 経 過 し 、 熱 感 ( − )。
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
ア イ シ ン グ は 行 わ ず、 温 罨 法 を 行 っ た。
腫 脹 著 名、 膝 蓋 骨 部 内 出 血、 屈 曲、 伸
荷重時の負荷の軽減と患部の安静化を図
展 可 動 制 限 ( + )、 荷 重 時 痛 著 明 、 膝 内
るためサポーターでの圧迫固定を行っ
外 反 テ ス ト ( − )、 前 方 引 き 出 し テ ス ト
た。
(−)
4日目より徐々に腫脹の軽減を認め
Ⅳ. 治 療 方 法
た。 右 膝 内 側 関 節 裂 隙 部 を 中 心 に、 高 周
リンパ液循環を良くするためにマッサ
波 治 療 器、 ホ ッ ト マ グ ナ ー に て 施 術 を 行
ー ジ し、 湿 布、 圧 迫 包 帯 固 定。
い 患 部 の 血 行 改 善、 筋 緊 張 の 緩 和、 痛 み
2 日 目 よ り 干 渉 波 で 電 療 を 開 始 す る。
の 軽 減 を 図 っ た。
1週間は毎日来院してもらい上記処置を
10日目には腫脹消失したが初動作
繰り返し炎症を軽減させる事をメインに
痛、 運 動 痛 が 残 存 し て い る 為、 サ ポ ー タ
施 術 を し ま し た。
ー で の 圧 迫 固 定 は 継 続 し、 筋 力 の 低 下 を
1 0 日 後 腫 脹 軽 減、 加 重 時 痛 軽 減 し た
防 ぐ 目 的 と し て、 E M S に て 大 腿 四 頭 筋
為、 包 帯 除 去 し テ ー ピ ン グ へ 移 行。 こ の
時 点 で 疼 痛 6 0 % ダ ウ ン。
していたということで変形部に負荷がか
下 肢 血 液 循 環 促 進、 他 部 位 へ の 負 担 軽
かり症状が悪化したと考え来院時は腫
減 の 為、 ベ ッ ド で の 下 肢 マ ッ サ ー ジ 開
脹・疼痛・熱感が強いため炎症を抑える
始、 1 週 間 後 加 重 時 痛、 歩 行 時 痛 消 失 し
目的でアイシングとパットを使った包帯
た 為 テ ー ピ ン グ 除 去。 階 段 昇 降 時 の 不 安
固 定。
を訴える為マッサージ継続し下肢リンパ
症状の軽減や痛みの具合を聞きながら
血 液 循 環 を 促 す、 大 腿 四 頭 筋、 ハ ム ス ト
大 腿、 下 腿 部 の マ ッ サ ー ジ、 可 動 域 改 善
リングスをメインにマッサージし関節可
と筋力増強のため等尺性運動やストレッ
動 域 改 善 を 図 る。
チ。
4 週 間 後 症 状 消 失 し た 為 治 癒 に 至 る。
さらに改善したころよりホットマグナ
Ⅴ. ま と め
ー (温 熱 ・ 振 動) に て 患 部 の 代 謝 を 上 げ
O A 既 往 有 り、 な し に 関 わ ら ず 外 傷 で
治 癒 を 促 進 す る た め に 使 用。
は R I C E 処 置 が 基 本 で あ る。
し か し、 夜 間 痛 が 多 く な り、 再 度 腫 脹
今 回 の 症 例 で は 変 形 度 が 低 か っ た 事、 変
が診られホットマグナーをやめアイシン
形による膝部へ症状が出ていなかった
グ に 切 り 替 え 加 療。
事。
一 時 は 腫 脹、 歩 行 痛 な ど は 本 人 が 良 く
負 傷 当 日 よ り 施 術 を 開 始 出 来 た 事、 二
なったと言われるほど改善いたしました
日目より干渉波を一回8分間行い関節内
が、 連 日 長 時 間 の 歩 行 な ど に よ り 患 部 を
損傷部に対し外部刺激を行なったことに
酷 使 し 再 度 腫 脹 や 疼 痛 が で た こ と で、 濱
より疼痛及び腫張の早期軽減ができたと
田先生に紹介状を書かせてもらいレント
考 え る。
ゲ ン、 M R I 診 断 の 結 果 「右 大 腿 骨 脛 骨
また膝関節の長期包帯固定による拘縮
骨 壊 死」 と 診 断 し て い た だ き ま し た。
及び大腿四頭筋の筋力低下を防ぐことが
(図 3)
できた事が症状の早期改善につながった
と 考 え ま す。
第7症例 細野哲也会員
Ⅰ. 患 者 情 報
7 0 歳 女 性。
Ⅱ. 主 訴
歩 行 時 膝 を 捻 転 し、 右 膝 関 節 痛、 関 節
水 腫、 歩 行 痛、 屈 伸 時 痛 を 訴 え 来 院。
(ア ナ ム ネ)
変 形 性 膝 関 節 症 既 往 歴 有 り。
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
腫 脹 ( + + )、 熱 感 ( + )、 右 膝 関 節 内
側 部 痛 圧 痛 ( + )、 歩 行 痛 ( + )、 膝 蓋 跳
現在は2週間ごとに先生に診察してい
動 ( − )、 右 膝 関 節 屈 曲 9 0 °伸 展 − 5
た だ き 週 3,4 回 の 頻 度 で 当 院 に て ア イ
°、 M M T 屈 曲 伸 展 3 、 左 膝 関 節 屈 曲
シングと可動域改善・筋力強化・歩行法
1 2 0 ° 伸 展 0 °、 M M T 屈 曲 伸 展 4
などの機能向上を主体に施術し徐々にで
Ⅳ. 治 療 方 法
はあるが症状緩和の方向に向かっている
以前から病院にて変形性関節症と診断
と 思 わ れ る。
を 受 け、 定 期 的 に ヒ ア ル ロ ン サ ン 注 射 を
Ⅴ. ま と め
今回の症例のような軽度な刺激などに
(図 4)
より炎症症状が頻繁に出るものには温熱
や振動のような電療は注意深く使用する
こ と が 望 ま し い と 改 め て 考 え た。
第8症例 金子健太郎会員
Ⅰ. 患 者 情 報
7 3 歳 女 性。
Ⅱ. 主 訴
階 段 の 下 り 途 中、 膝 関 節 軽 度 屈 曲 時 に
負 傷 し、 左 膝 関 節 内 側 痛 を 訴 え 来 院。
(ア ナ ム ネ)
一年半前にレントゲンにて僅かな骨棘
形 成 を 認 め る。
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
左 膝 関 節 内 反 変 形 熱 感・ 腫 脹 あ
第9症例 角田教夫会員
り。 内 側 裂 隙 部 疼 痛 (+) に よ り 可 動 域
Ⅰ. 患 者 情 報
制 限 ( 屈 曲 9 0 °以 上 不 可 )
6 7 歳 女 性 ( S 2 1 年 8 月 2 0 日 生 )。
Ⅳ. 治 療 方 法
Ⅱ. 主 訴
初 期 は 熱 感 蝕 知 の 為、 毎 日 冷 罨 法 後 に
H26年1月15日ハイキングで下り
弾 性 包 帯 に て 固 定。 一 週 間 後 熱 感 消 失 に
坂 を 大 股 で 歩 行 中、 右 膝 内 側 に 疼 痛 が 出
より治療日数を3∼4日/Wを目安と
現。 関 節 水 腫、 下 り 階 段 な ど 膝 関 節 に 荷
し、 温 罨 法 + 手 技、 筋 力 ト レ ー ニ ン グ に
重が強く加わった際に出現する歩行痛を
切 換 え、 包 帯 固 定 を 外 し ま し た。
訴 え 来 院。
ハムストリングスの緊張を取り除き膝
(ア ナ ム ネ)
関 節 他 動 可 動 域 訓 練、 大 腿 四 頭 筋 ・ 内 転
健 側 と 比 較 し て 軽 度 O 脚、 関 節 拘 縮 に
筋郡・下腿三頭筋の筋力トレーニングを
よ る 伸 展 制 限、 外 反 母 趾。
続けたところ疼痛に対し良好な結果が得
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
ら れ ま し た。
H 2 6 年 3 月 3 日 初 検。 膝 蓋 跳 動 (+
Ⅴ. ま と め
+ )、 ベ ー カ ー 嚢 腫 、 内 側 裂 隙 圧 痛 + 、
現 在 も 筋 力 ト レ ー ニ ン グ を 続 け て、 さ
鷲 足 部 圧 痛 +、 歩 行 時 膝 窩 部 に 疼 痛 を 認
らに下肢軸のより良い状態を維持する目
め る。 当 初 の 諸 症 状 は 側 方 動 揺 テ ス ト
的で外側高の足底板を使って歩行してお
( − )、 前 ・ 後 方 引 き 出 し テ ス ト ( − )、 り ま す。 疼 痛 の 消 失 に よ り 可 動 域 に 改 善
マ ッ ク マ レ ー テ ス ト (−) ア プ レ ー テ ス
がみられたため完全屈曲を目標に加療し
ト (−)
て お り ま す。
Ⅳ. 治 療 方 法
6 週 ま で は 膝 穴 空 き パ ッ ト、 湿 布、 伸
縮 包 帯、 サ ポ ー タ ー に て 安 静 固 定 (両 サ
イドにスチールスプリングが入ったサポ
ー タ ー )、 足 底 板 装 着 。
Ⅴ. ま と め
6 週 間 上 記 固 定 の 後、 水 腫 が 軽 減 し 歩
行 痛 が 減 弱 し た た め サ ポ ー タ ー 除 去 し、
伸 縮 包 帯 ( 1 / 2) 固 定 に 変 更。 膝 関 節
(図 6)
の R O M 訓 練 開 始 (開 始 当 初 は 屈 曲 9 0 °
で 疼 痛 が 出 現 し て い た が、 現 在 は 体 重 の
負 荷 を か け ず 1 3 0 °の 屈 曲 が 可 能 と な
っ た)
12週目よりアイソメトリックトレ
ー ニ ン グ を 開 始。 抵 抗 運 動 (6 秒 × 3 セ
ッ ト )、 チ ュ ー ブ ( 強 度 弱 ) を 用 い た レ
ッ グ エ ク ス テ ン シ ョ ン (開 始 当 初 は 屈 曲
8 0 °∼ 4 5 °、 現 在 で は 屈 曲 9 0 °∼ 0 °
に て 大 腿 筋 群 ア プ ロ ー チ を 行 う。
この患者は軽度の変形とベーカー嚢腫
が あ る が、 諸 症 状 が 軽 減 し た 時 点 で R O
M訓練や筋力トレーニングにより柔軟性
と 筋 力 を 強 化 し た こ と に よ り、 症 状 の 軽
ま た 初 検 時 に 軽 度 の O 脚、 伸 展 制 限 が
減 を 早 め た の で は な い か と 考 え る。
認 め ら れ た が、 こ れ は 以 前 か ら の 膝 蓋 大
尚、 O A に よ る ベ ー カ ー 嚢 腫 に つ い て
腿関節のアライメント異常や周辺組織の
は難知性なものが多いと浜田先生に助言
硬 さ、 足 部 の バ イ オ メ カ ニ ク ス 的 な 変 化
を 頂 い た と こ ろ、 そ の 後 の 施 術 は 自 信 を
(過回内・回外) の存在のために誘起さ
持って行え良い結果を生み出すことが出
れ た と 思 わ れ る。 当 初 に 精 査 を 行 っ て い
来 ま し た。 ま た 今 後 の O 脚 進 行 防 止 の
れば軟骨でできた関節荷重部の表層の劣
ためSORBOのD−RウェッジL8°
化 、軟 骨 下 骨 の 硬 化 、関 節 縁 の 新 生 骨 ( 骨
を 使 用。 立 位 で 違 和 感 な く 装 着 し た 状 態
棘) の 増 殖 が 軽 微 で も 確 認 で き た か ど う
で 継 続 的 に 使 用 し て も ら っ て い る 。( 中
かを浜田先生にお願いしておけばよかっ
敷きの裏にインソールを両面テープで貼
た と 今 で は 後 悔 し て い る。
付) 現 在 は い ろ い ろ な 訓 練 の 総 合 作 用 で
運動療法の手法
良 い 結 果 が 得 ら れ て い ま す。
患者には外転運動だけ行うよう指示す
(図 5)
る。 施 術 者 は S L R 肢 位 か ら 下 肢 が 矢 状
面を通るように股関節を伸展しながら外
転 に 抵 抗 を か け る。 患 者 に は 股 関 節 伸 展
に は 抵 抗 し な い よ う に 注 意 し て お く。
(図 7)
(図 8)
べく装着しておいてもらうよう指示をし
ま し た。 治 療 は 主 に 電 気 を 使 っ て 歩 行 し
やすくなるように中殿筋・大腿四頭筋・
大腿筋膜張筋・大腿後面から膝窩に至る
筋 群 の 緊 張 を 緩 和 さ せ、 同 時 に 階 段 昇 降
時にでる痛みの軽減に繋がるように腹直
筋や腸腰筋などの圧痛部位からも対応し
た。
Ⅴ. ま と め
上記に挙げたような歩行に必要な筋肉
の 緊 張 を 緩 和 さ せ る こ と に よ り、 初 検 時
の治療直後から歩き方に改善が見られ
た。
そ の 後、 歩 行 時 の 痛 み は 初 検 日 か ら 毎
日の通院で5回程度の治療で完全になく
第10症例 羽柴豪孝会員
な り、 階 段 を 降 り る 際 の 痛 み も 1 0 日 間
Ⅰ. 患 者 情 報
前 後 で な く な り 治 癒 に 至 る。
70歳代 男性
い く つ か 挙 げ ら れ る 要 因 の 一 つ と し て、
Ⅱ. 主 訴
①患部に炎症を伴わない痛みに関しては
歩行時や階段を降りる際の関節裂隙か
腰部や大腿部の放散痛が要因として大き
ら 鵞 足 部 に 至 る 疼 痛 を 訴 え 来 院。
い と 考 え ら れ る。 大 腿 四 頭 筋 が 緊 張 す る
(ア ナ ム ネ)
ことにより股関節屈曲筋である腸腰筋が
瞬 間 的 に 痛 め た も の で は な く、 1 0 年
緊 張 し、 大 腿 部 を 引 き 上 げ る た め に 骨 盤
ほ ど 前 か ら 痛 み 出 し、 そ の 当 時 か ら 関 節
後傾筋である腹直筋と腹斜筋が緊張しま
の 変 形 を 認 め る。
す。 そ し て 骨 盤 が 後 傾 す る こ と に よ っ て
Ⅲ. 初 検 時 の 所 見
股関節が伸展した時に大腿筋膜張筋に負
歩行時の関節裂隙及び膝窩の疼痛
担 が か か る の で、 大 腿 筋 膜 張 筋 か ら の 放
(+) 跛 行 を 呈 す。 関 節 の 側 方 動 揺 あ る
散痛が膝に出たのではないかと考えられ
ものの疼痛なし・膝関節完全伸展不能で
る。
軽 度 屈 曲 位 を 呈 し 、 屈 曲 は 9 0 °ま で が
②大腿筋膜張筋が緊張することで膝関節
限 界 で 正 座 は 不 能。 大 腿 四 頭 筋 の 緊 張 や
に 捻 れ の ス ト レ ス が 加 わ り、 関 節 裂 隙 や
腸 腰 筋 の 圧 痛 を 認 め る。
鵞足部に痛みを引き起こすと考えられ
Ⅳ. 治 療 方 法
る。
伸び切らない膝を真っ直ぐ伸ばせるよ
今 回 の 症 状 は、 上 記 を 踏 ま え た う え で
う に な る こ と と、 歩 行 や 階 段 を 降 り る 時
患部の炎症を取るだけでは再発を生む可
に出る強い痛みを落ち着かせることを第
能 性 が 大 い に あ る と 思 う の で、 原 因 を 特
一 目 標 と し て、 最 初 の 一 週 間 は 毎 日 通 院
定しそれによって治療結果の精査を行
し て も ら う よ う 促 し、 サ ラ シ と 伸 縮 包 帯
い、 精 度 を 上 げ る こ と が で き た 為、 一 回
を 使 っ て 一 週 間 固 定 す る も、 外 し て し ま
一回の治療で高い治療効果を出すことが
ったあとの処置が患者さん自ら出来ない
で き、 短 期 間 で 終 え ら れ た と 思 い ま す。
状 態、 安 静 が 保 て ず 痛 み の 引 き が 悪 か っ
た の で、 ア ル ミ の ス テ ー が 入 っ た サ ポ ー
第11症例 笹洋介会員
タ ー に 切 り 替 え、 寝 て い る 時 以 外 は な る
Ⅰ. 患 者 情 報
7 8 歳 女 性。
き る よ う 被 覆。 以 降 は 弾 性 包 帯 の み に よ
Ⅱ. 主 訴
る 被 覆 と し た。
平 成 2 6 年 1 月 初 め こ ろ か ら、 長 時 間
5. 膝 関 節 周 囲 筋 群 へ の テ ー ピ ン グ
の 歩 行 に よ る 疼 痛・階 段 昇 降 時 の 疼 痛( 昇
歩行の際の膝関節のスムーズな屈伸運
> 降 )・ 長 時 間 の 正 座 に て 右 膝 部 内 側 に
動 動 作 を 目 的 に 施 す。
疼 痛 が 発 生。
・前面のテーピング
(ア ナ ム ネ)
平成26年1月初めころから疼痛が発
大 腿 下 部 か ら 脛 骨 粗 面 に か け て。
脛骨粗面から膝蓋骨を左右から囲む
生。
ようにテンションをかけてキネシ
Ⅲ. 初 検 時 の 初 検
オ テ ー プ を 貼 付。
外見上の大きな内反位変形は見られな
・後面のテーピング
い が、 膝 蓋 骨 内 側 か ら 内 側 裂 隙 に か け て
膝窩部上方から大腿中央にかけて
浮 腫 の よ う な 腫 脹 あ り ( 膝 蓋 跳 動 無 し )。
膝窩部下方からアキレス腱部まで軽
内 側 関 節 裂 隙 部 に 圧 痛 が あ り、 周 囲 に も
めにテンションをかけてキネシオ
腫 脹 に 沿 っ て 軽 度 の 疼 痛 を 確 認。 内 側 広
テ ー プ を 貼 付。
筋 、 半 腱 様 筋 ( 下 部 )、 半 膜 様 筋 ( 全 体 )
テ ー ピ ン グ は 毎 回 施 術 後 貼 付 し、 入 浴
に 筋 緊 張 が み ら れ る。 膝 関 節 完 全 屈 曲 位
の 際 に 除 去 し て も ら う。
に て 疼 痛 ( + )。 側 方 動 揺 、 膝 半 月 の テ
Ⅴ. ま と め
ス ト 等 は 陰 性。 関 節 可 動 域 に 大 き な 制 限
施術開始から3日目で腫脹・圧痛はほ
は み ら れ な か っ た。
ぼ 消 失。 運 動 痛 は 長 時 間 の 座 位 か ら の 起
Ⅳ. 治 療 方 法
立 時 の み 軽 度 に 発 生 す る 程 度。 階 段 の 昇
腫 脹 ・ 疼 痛 の 軽 減、 運 動 時 の 疼 痛 を 軽
降 時 痛 は 日 に よ っ て 違 う と の こ と。
減、 大 腿 か ら 下 腿 筋 群 の 筋 萎 縮 を 防 ぐ た
現 在 初 検 か ら 5 週 目。 自 宅 で の 運 動 療
め 次 の 治 療 法 を 選 択 し た。
法 を メ イ ン に 行 っ て も ら い、 運 動 時 な ど
1. 物 理 療 法、 2. 手 技 療 法、 3. 運 動
疼痛が発生した時はアイシングするよう
療 法、 4. 伸 縮 ・ 弾 性 包 帯 に よ る 圧 迫 と
に 指 示 し、 週 1 回 の 通 院 と し て お り ま
運 動 制 限、 5. 膝 関 節 周 囲 筋 群 へ の テ ー
す。
ピング
今 回 の 症 例 に 関 し て 注 意 し た 点 は、 疼
1. 物 理 療 法
痛が軽度であったのでなるべく動きなが
初 診 時 よ り 超 音 波 を 膝 関 節 内 側、 膝 窩
ら 治 療 に 臨 ん で も ら っ た と い う 点 で す。
部 に 照 射。 ア イ シ ン グ。
年 齢 も 鑑 み て 安 静 指 示 を 出 す よ り も、 今
2. 手 技 療 法
後 の A D L ・ Q O L を 考 え た か ら で す。
大 腿 部 か ら 下 腿 部 ま で マ ッ サ ー ジ。
Ⅵ. 参 考 文 献
3. 運 動 療 法
○ 「柔 道 整 復 師 に よ る 保 存 療 法 − 膝 部 か
等 尺 性 運 動 を 選 択。 立 位、 座 位 に て 大
ら 足 部 − 改 訂 第 2 版」 牧 内 整 骨 医 学 研 究
腿四頭筋とハムストリングの等尺性運動
会 著
を 行 っ た が、 座 位 に よ る 運 動 が 疼 痛 無 く
○ 「 機 能 解 剖 学 的 触 診 技 術 下 肢・体 幹 」
で き た の で こ ち ら を 選 択。
林典雄 著
4. 伸 縮 ・ 弾 性 包 帯 に よ る 圧 迫 と 運 動 制
○「整 形 外 科 運 動 療 法 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン 限
下 肢 ・ 体 幹」 整 形 外 科 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ
初診時から4日目まで膝蓋骨周囲の腫
ン学会 著
脹 が み ら れ た の で 薄 目 の 綿 花 を 当 て、 伸
○「皮膚運動学 機能と治療の考え方」
縮 包 帯 に て 圧 迫 し、 屈 曲 を 軽 度 に 制 限 で
福井勉 著
以上11の症例報告に対し開催1ケ月
演 者 林 会 員、 村 尾 会 員、 細 野 会 員
前 の 時 点 で、 濵 田 医 師 よ り 以 下 の よ う に
症 例 発 表 を 行 う 事 が 指 示 さ れ た。
第 3 部 「O A 治 療 に お け る 運 動 療 法、 装
「 今 回 経 験 し た 症 例 の 具 体 的 症 状 、 ア
具 療 法 の 意 義」
ナ ム ネ、 診 察 所 見、 治 療 方 法、 結 果 を 述
座長 田澤会員
べ、 各 先 生 た ち に 与 え ら れ た テ ー マ の 意
演 者 金 子 会 員、 角 田 会 員、 羽 柴 会 員、
義 を 考 察 し、 4 分 以 内 に ま と め て 下 さ
笹会員
い。 先 生 た ち は 膝 O A 症 例 の 1) 膝 の 疼
痛 や こ わ ば り の 改 善、 2) 日 常 生 活 動 作
<開催直前>
の 改 善、 3) 健 康 状 態 や 幸 福 度 満 足 度 を
開 催 2 週 前 に、 症 状 の 表 記 等 を 統 一 化
考 え て 治 療 さ れ て い る と 思 い ま す。 今 回
し た 上 で、 マ イ ク ロ ソ フ ト 社 の パ ワ ー ポ
の 勉 強 会 の 目 的 は、 先 生 た ち は、 当 然 他
イントを用いてプレゼンテーションを作
の 治 療 も 行 っ て い る と 思 い ま す が、 そ れ
成 す る た め 支 部 役 員、 演 者 に て 合 同 会 議
ぞ れ の 与 え ら れ た テ ー マ を 中 心 に し て、
を 開 催 し た 。 発 表 パ ー ト 毎 に 座 長 、演 者 、
どのような症例にどのタイミングでどの
P C 操 作 (プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 作 成 及 び
程 度、 頻 度 で 行 っ て い て、 何 の 症 状 や 動
原 稿 校 正) 担 当、 ア ド バ イ ザ ー (濵 田 医
作などが改善したかを率直に詳細に述べ
師 と 患 者 の や り 取 り が 多 い 会 員) を 1 グ
て く だ さ い。 考 察 : 与 え ら れ た テ ー マ で
ル ー プ と し、 作 業 の 効 率 化 を 図 っ た。
の先生のやり方の特徴や特殊性をまとめ
ま た、 濵 田 医 師 か ら の 指 示 に 基 づ い て
て く だ さ い。 な に ゆ え 成 果 が で た か、 も
ディベートを行うべく各会員に確認を行
う 一 つ う ま く い か な か っ た か な ど、 な に
っ た 所、 競 技 も 含 む デ ィ ベ ー ト 経 験 者 が
か 思 い 当 た る こ と が あ れ ば、 私 見 で も 良
お ら ず、 1 0 日 前 の 時 点 で 濵 田 医 師 に 確
い で す が、 文 献 も あ れ ば 引 用 し て く だ さ
認 し、 今 回 の 症 例 検 討 会 で は デ ィ ス カ
い。
ッションを行えば良いということになっ
そ れ ぞ れ の 部 が 終 わ っ た ら、 1 5 分 間
た。
座 長 が 司 会 を し、 演 者 間 が デ ィ ベ ー ト
し、 フ ロ ア よ り 質 問 を う け、 最 後 に 座
<研修会>
長 が ま と め を 述 べ て く だ さ い。 タ イ ム キ
平成26年6月22日16時30分
ー パ ー を お き ま す。 ル ー ル は 時 間 厳 守。
に 医 療 法 人 明 和 会 亀 田 病 院 に 集 合 し、
演 者 に 対 し 批 判 的 質 問 は 禁 止 。( 原 文 マ
17時より同病院リハビリテーション室
マ )」 と い う 内 容 と 共 に 、 以 下 の よ う に
に て 開 催 し た。 濵 田 医 師 の 指 示 通 り、 第
発 表 毎 に テ ー マ が 設 定 さ れ、 座 長 と 演 者
1部よりプレゼンテーションを用いて4
が 指 定 さ れ た。
分 間 で 口 頭 発 表、 各 パ ー ト が 終 了 し た 時
点で用語の確認や指摘作業を行った後で
第 1 部 「O A 治 療 に お け る 固 定 や 冷 罨 の
質 疑 応 答 の 時 間 を 設 け た。
意 義」
質疑は濵田医師及び参加会員から出さ
座長 立花会員
れ、 発 表 者 が 回 答 す る と い う 手 順 で 行 わ
演 者 水 川 会 員 村 田 会 員 湯 毛 会 員 れ、 最 後 に 座 長 が テ ー マ 毎 に 総 括 を 行 っ
河崎会員
た。
第 2 部 「O A 治 療 に お け る 物 理 療 法 の 意
<反省点>
義」
研 修 会 後 懇 親 の 席 を 設 け、 濵 田 医 師 か
座長 有賀会員
ら 忌 憚 な き 意 見 を 頂 戴 し、 支 部 学 術 部 長
を中心として発表者各位からのヒアリン
に つ な が る こ と に も な り、 公 益 社 団 法 人
グ を 行 い、 次 回 研 修 会 開 催 に 向 け 何 点 か
の会員と非社団会員の差別化の一助にな
の 課 題 が 示 さ れ た。
る と 考 え る。
1. 医 師 と 柔 道 整 復 師 の 処 置 方 法 に 関 す
今 回 は、 短 報 と し て 現 状 の 報 告 に 留 ま
る認識の違い(例として包帯法に関し
っ た が、 今 後 も ど の 会 員 が 参 加 し て も、
て 、医 師 は 被 覆 、柔 道 整 復 師 は 固 定 ) を 、
各 個 の 症 例 を 統 一 の 書 式 に ま と め、 医 師
科学的根拠に基づいて説明しきれなかっ
との症例検討を行うために必要なエビデ
た 。( エ ビ デ ン ス 準 備 不 足 )
ン ス に 基 い た 肯 定 立 論 と 否 定 立 論、 肯 定
2. 柔 道 整 復 師 の 表 現 が 抽 象 的 で、 よ り
反駁と否定反駁を立てたディベートを行
具 体 性 を 求 め ら れ た 。( 使 っ た 医 療 機 器
え る よ う、 学 術 研 修 の 運 営 方 法 を 継 続 し
の 種 類 の み 説 明 し、 施 療 プ ロ グ ラ ム の 説
た 事 業 と し た い。
明 が 細 部 に 至 ら な か っ た 。)
3. 発 表 を ま と め る の が 精 一 杯 で、 症 例
検 討 (デ ィ ス カ ッ シ ョ ン) に 至 ら な か っ
た。
4. 柔 道 整 復 師 の 発 表 者 が 統 一 フ ォ ー マ
ッ ト を 用 い た の は 書 式 だ け で、 施 療 方 法
を 含 め て 統 一 性 が な か っ た。
<まとめ>
超 高 齢 化 社 会 を 迎 え、 乱 立 す る 接 ・ 整
骨 院 が 増 加 傾 向 に あ る 中 で、 高 齢 患 者 に
見られる退行性変性と外傷の合併した症
状 に 対 応 す る 際 に、 骨 折 ・ 脱 臼 の 施 療 以
外でも医接連携が必然となるであろうこ
と は、 容 易 に 推 察 さ れ る。 研 修 機 関 の 施
療 を 踏 襲 し、 理 論 立 て て 説 明 が 出 来 ぬ 内
容 (施 療) を 漫 然 と 行 う の で は な く、 医
師・患者に根拠に基づいた説明を行う必
然 が 増 え て い る。
ま た、 症 例 を 臨 床 経 験 と し、 先 人 達 か
ら受け継がれてきた柔道整復業の従前通
り の N B M の 良 さ を 保 持 し つ つ、 施 療 の
内容にEBMが求められている業界にあ
っ て は、 医 師 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン も
不 可 欠 と な っ て お り、 業 界 全 体 の 資 質 向
上 も 急 務 で あ る。
こ こ 数 年、 資 格 取 得 か ら 開 業 に 至 る 期
間 が 2 ∼ 3 年 と い う 事 例 も 珍 し く な く、
今後も横浜中支部として会員の資質向上
の た め、 ま た 顧 問 医 で あ る 濵 田 医 師 に 失
礼の無いように学術研修という事業を慣
例 化 さ せ る こ と が、 近 隣 住 民 の 健 康 増 進
足部へのテーピングによる身体重心の
コントロールとパフォーマンスの改善についての考察
横浜北支部 倉
本
和
男
key words:身体重心
<はじめに>
②テーピング法
今 回、 比 較 的 陳 旧 性 の 下 肢 外 傷 が 原 因
テーピング法は二種類有り重心を足底
による身体パフォーマンスの低下を起こ
外側方向に誘導し重心上げるものと足底
し て い る 症 例 に 対 し て、 足 部 に ア プ ロ ー
内 側 誘 導 し 重 心 下 げ る も の が あ り ま す。
チするテーピングとエクササイズにて改
テーピングには伸縮性のあるテーピング
善 が 見 ら れ た 症 例 が あ っ た の で、 こ こ に
を 使 用 し ま す。
そ の 施 し た 処 置 と 症 例 を 報 告 し ま す。
(外 側 誘 導 テ ー ピ ン グ 法)
<目的>
踵骨後方から外側をくるむように足底
こ こ で 言 う 足 部 テ ー ピ ン グ と は、 固 定
に向かい走行し足底から舟状骨部を通り
を 目 的 と し た も の で な く、 身 体 重 心 の 調
足 関 節 前 方 で 終 わ り ま す。
整と方向性を目的にしたテーピング法と
な り ま す。 そ の た め 貼 付 前 に 患 者 対 し
ての問診による聞き取りと現在の身体重
心の状態をチェックする必要がありま
す。
<方法>
身体重心のチェック法としては足底の
胝 や ア ー チ の 状 態 の 左 右 差 の 確 認。 そ れ
と簡便なチェック法によりそれを判断材
料 に し ま す。
①チェック法
立 位 に て 前 屈 と 後 屈 の や り や す さ、 左
右 側 屈 の や り や す さ を 確 認 し ま す。
これは試してみると解りますが前後屈
の場合は爪先側に寄っていると前屈がし
や す く 後 屈 が し に く く な り、 踵 側 に 寄 っ
ていると後屈がしやすく前屈がしにくく
な り ま す。
側屈の場合は左右どちらかに重心が寄
っている側の側屈がしにくい状態になり
ま す。
これらの情報の確認をしてテーピング
法 を 施 し ま す。
(内 側 誘 導 テ ー ピ ン グ 法)
●症例とその経過
踵骨後方から内側をくるむようにして
症例1 足底に向かい走行し第5中足骨底を通り
30代男性 過去に左膝関節の靭帯損
足 関 節 前 方 で 終 わ る。
傷 の 診 断 を 受 け る が、 あ ま り 通 院 等 行 っ
ていないものの数年の経過後疼痛は緩和
しましたが運動時に左足を使う際に違和
感 が あ り ま し た。
症例2
30代男性 過去に右足関節の外側靭
帯の損傷をしており足部の内返し運動に
差 異 が 認 め ら れ ま し た。 段 差 に て 足 を 捻
る 事 が 頻 繁 に 起 き て い ま す。
●処置
症例1
テスト法にて前屈がしやすく右側屈が
しやすいとなったので左膝をかばい重心
が右足にあると考えられるので右側の重
心を左足に移す方針で処方を考えます
が、 左 膝 の 踏 み 込 み 動 作 が う ま く い か な
い面も考慮して両足にテーピングを施し
ま す。 で 右 足 に は 内 側 誘 導 テ ー ピ ン グ を
二 枚、 左 足 に は 内 側 誘 導 テ ー ピ ン グ を 一
枚 貼 付 し た。 加 え て 貼 付 状 態 に て エ ク サ
サ イ ズ を 続 け て も ら い ま し た。
症例2
テ ス ト 法 で は 前 後、 左 右 で の 差 は 極 端
に は 出 ま せ ん で し た が、 捻 挫 の 発 生 率 の
高さが足関節の緩みによる足底接地面の
変化によるものと考え内側誘導テーピン
グ一枚とホワイトテープによる簡単な固
定 を し た。
結果
症例1
貼 付 1 ∼ 4 週、 本 人 の 感 覚 的 な 要 素 が
大きいが良い方向に変化して運動がしや
す く な っ た と の 訴 え で し た。
三 ヶ 月 後、 運 動 の し や す さ が 安 定 し て き
たので左右の内側誘導テーピング1枚ず
つ に し ま し た。
半 年 後、 問 題 な く 動 け る よ う に な り ま
し た が、 右 足 に の み 一 枚 貼 付 し ま し た。
一 年 後 完 全 に 貼 付 を 止 め ま し た が、
運 動 は 安 定 し て 良 好 に な り ま し た。
症例2
1 ∼ 8 週、 ホ ワ イ ト テ ー プ と 内 側 誘 導
テ ー ピ ン グ の 併 用 を し ま し た。
9週以降 内側誘導テーピングのみし
ま し た。
一 年 後 完 全 に 貼 付 を 止 め ま し た が、
か な り 捻 挫 の 頻 度 が さ が り ま し た。
●エクササイズ
・素振りエクササイズ
・踏み込みランジ
<まとめ>
こ う い っ た 足 底 の 操 作 法 に は、 足 底 挿
板等さらに現代はシューズ等の発達によ
りパフォーマンス向上に対しての様々な
ア プ ロ ー チ が 行 わ れ て い ま す。 し か し な
が ら 武 道 競 技 等、 シ ュ ー ズ の 使 用 が 出 来
ない競技でも使用出来る方法として研
究、 考 察 出 来 れ ば と 考 え て い ま す。