群馬県における単独処理浄化槽の合併処理化による水質向上試験例 第

第16回日本水環境学会シンポジウム講演集(2013年11月)
群馬県における単独処理浄化槽の合併処理化による水質向上試験例
群馬高専 ○青井 透、環境システム(株)村田 久男
An example of water quality improvement test by combining grey water to black water on a half load
Tandoku Jokasou System. by AOI T.(Gunma National College of Technology) and MURATA
H.(Environment system.co.,ltd)
1.はじめに
表1 単独浄化槽合併処理化水質向上試験機器リスト
国土交通省が9/27に発表した最新の汚水処
No.
名称
仕様・能力
備考
理人口普及率で、群馬県は74.9%であり都道
1
既設雑排水槽
52cm幅×92cm長×82cm高(53cm深)
FRP製、ネットフィルタ付
府県別順位は37位と低かった。また普及率が
有効容量 253リットル
旧箕郷町仕様
90%を越えた県内市町村は、上野村・吉岡
2
既設単独浄化槽 構造例示型 単独 分離接触ばっ気方式 5人槽
町・高山村・昭和村・川場村などの町村に限
ベストSQ-5 型 総容量3.94m 3 沈殿槽0.37m3
られるが、これらは行政が積極的に小型合併
沈殿分離槽2.5m 3、消毒槽0.016m 3
浄化槽の導入を進めている町村である。
3 雑排水移送ポンプ ツルミハイスピン無閉塞P 100V 0.15Kw LS付
新設
一方単独処理浄化槽(現在では新設原則禁止
4
一時調整槽
塩ビ製 62cm Φ 径×98cm高(83cm深)
新設
で「みなし浄化槽」と称される)の残存基数は
有効容量250リットル
470万基であり、全設置基数の60%弱にあたる
5
浄化槽ブロワ
Air 30L/min→40L/min(2013.9.18)
能力増強
1)。これらの浄化槽は小型合併浄化槽への切
表2 単独処理時及び合併処理化後の処理水平均水質(2012.10/29->2013.9/25)
り替えが必要と云われているが、残存基数のかなりの部分
年月日
T w S S 透視度 BOD p H E C Cl- NH4N NO2N NOxN InorgN PO4-P
は、子供が独立した熟年層と思われ、実処理人数が定格人数
℃ mg/L c m
←
mS/m mg/L
←
←
←
←
←
に対して半分以下の世帯が多いと思われる。
単独平均
34
3 5 7.9 7 3 7 4 33.9
2.5
24.5 58.4 10.2
このような世帯の場合には、合併浄化槽への切り替えの他
合併平均 20.8 2 1 13.5 3 8 7.3 4 7 3 8 39.8
0.4
1.7 41.4
3.2
注記:データ数は単独処理6,合併処理28、13/9/18からブロワ能力UP
に、現存する単独浄化槽をプロセス改良により合併処理化を
図り有効活用することも、過疎化や小子化が進行している場
3.結果及び考察
所では、河川水質環境の改善に貢献できる可能性がある。そ
試験は継続中なので中間報告となるが、試験開始から雑排
こで報告者は自宅の単独浄化槽(5人槽に対して使用人数は2.
水は全て浄化槽で処理され放流された。接触曝気槽のDOは
5人程度(2人は勤務))を利用して、合併処理化の試験を実施
合併処理後常に0mg/ℓとなり、酸素不足となったので9月18
しているので、水質改善効果について報告する。
日からブロワのみを能力増加(30->40ℓ/分)させ、硝化反応
が進むように改良した。
2.試験及び調査方法
接触ばっ気槽は有機物負荷が増大するため、バチルス菌優
試験対象とした単独浄化槽は、構造例示型分離接触ばっ気
占化2)を試験開始から実施した。その方法はミネラル剤とバ
方式である。試験のフローシートを図1に、また各機器リス
チルス優占化したし尿処理施設の凍結乾燥汚泥の定期投入す
トを表1に示した。浄化槽の横にフィルター付雑排水槽が隣
ることにより実施した。
接している(行政区の指示)ので、既設雑排水槽にレベルス
処理水の平均水質を表2に示した。EC及びCl-からトイレ排
イッチ付汚物ポンプを設置し、250ℓ容の一時調整槽を新設
水が雑排水で希釈されることがわかる。BODはあまり変化な
して流入水量を押さえながら単独浄化槽(以下浄化槽と称す)
くSSは低下している。雑排水のBODは100mg/Lを越えること
に流入させた。試験は2012年10月29日に開始し、12月10日
があるので、合併処理化によりBOD流出量が大幅に低減して
に合併処理を開始した。浄化槽放流水を定期的に採水し、同
いることがわかる。窒素除去については硝化反応が開始した
時刻(am8:30頃)の雑排水も採水した。この時刻の雑排水は朝
ばかりなので、今後間欠ばっ気や返送循環などによる窒素除
食炊事と洗濯排水が主である。
去を検討する予定である。
この提案方法は、法制度的には議論があ
一時調整槽出口ノズルは13mmに
ると思うが、若干の工夫と安い設備費で水
一時調整槽
絞っており時間をかけて浄化槽
雑
環境への負荷を大幅に低減できる可能性が
排 に流入する(水運転データでは空
水 になるまで16分)
あるので、御検討頂ければ幸いである。
単独浄化槽にはバチルス細菌と
ミネラルを定期的に投入
参考文献
雑排水
×
LS
雑排水槽
雑排水槽
水洗ト
イレ排
水
放流
単独
浄化槽
図1 水洗トイレ排水の流れと雑排水合併処理化試験のフローシート
182
1)濱中俊輔(2013)生活排水処理に果たす
浄化槽の役割について、都市清掃,Vol.6,
No.314,pp376-380
2)青井透(2013)最近のし尿処理施設を取
り巻く環境、都市清掃,Vol.6,No.314,
pp356-361