第 11 回やまとごころ勉強会&交流会 「中国人旅行者のニーズと 集客

第 11 回やまとごころ勉強会&交流会
「中国人旅行者のニーズと
集客成功のキーポイント」
日時: 7 月 28 日(水) 18:00~
場所:ハロー貸会議室 新宿 Room B-C
主催:ポータル・ジャパン株式会社
講師:株式会社チャイナ・インベストメント・マネジメント代表取締役 CEO
株式会社日本之窓国際旅行 常務取締役 沈焱(シン・エン)氏
今回のやまとごころ勉強会のスペシャルスピーカーは日中両国を舞台に活躍する沈焱氏です。
1969 年生まれの沈氏は 1990 年に初来日、日本の大学で学んだ後 2002 年に株式会社チャイナ・
インベストメント・マネジメントを設立、2009 年には株式会社日本之窓国際旅行を設立され現在に
至っています。
講演では流暢な日本語で、中国人旅行者集客のためのポイントをわかりやすく解説してください
ました。
目次:
不動産価格上昇がもたらした中国人の所得増加
中国人海外旅行者の消費動向
個人観光客の情報収集手段
訪日前後の中国人個人観光客のニーズ
中国人旅行者集客方法の問題点
中国人旅行者集客のキーポイント
中国人訪日客誘致の事例
メディア複合体日本之窓
編集後記
講師:
株式会社チャイナ・インベストメント・
マネジメント 代表取締役 CEO
株式会社日本之窓国際旅行
常務取締役
沈焱(シン・エン)氏
不動産価格上昇がもたらした中国人の所得増加
最近 20 年間に中国はさまざまな変化を遂げてきましたが、なかでも注目されるのは中国の主要
都市における不動産価格の上昇です。こうした上昇の結果、上海市中心部の新築マンション価格
は中国の新卒者年収の 208 年分にも相当しています。東京都心の新築マンション価格が日本の
新卒者年収の約 29 年分であることと比較しても中国のマンションの高騰ぶりがわかります。中国
では株の売買で得た収益で不動産投資を行い、本業を上回る収入を得ている人もいます。こうし
た人たちが中国の人口のおよそ 1 割を占める富裕層として日本を訪れているのです。
中国人海外旅行者の消費動向
中国業界研究網によれば、日本、シンガポール、マレーシア、韓国、オーストラリアなどを訪れた
中国人旅行者は、チケット、ホテル、ツアー参加費の他に 1 人当たり約 12 万円を消費しています。
その使い道は買物 71.2%、娯楽 12.9%、観光 11.6%、食事 1.2%で、支払方法は現金払いが 76%、クレ
ジットカード使用が 24%です。
個人観光客の情報収集手段
中国人個人観光客は、旅行に関する情報を集める手段としてインターネットやパンフレット、知人
の紹介や口コミを利用しています。また、電話や携帯電話を使って問い合わせや相談もしていま
す。しかし、申し込みや料金の支払いに際しては安心を得るために店頭に行って対面で行なう人
が、現在のところは多いようです。
訪日前後の中国人個人観光客のニーズ
中国の人たちは個人旅行で日本に来る前に旅行社を通してビザの取得や宿泊の予約(宿泊予約
は個人でも可能)をし、個人で交通手段やガイドの手配、関連情報収集を行なっています。これら
に時間と手間がかかるため、現地での観光、買物、飲食、娯楽、そして投資などに関する情報収
集は、日本に到着後に行なう傾向があります。
中国人旅行者集客方法の問題点
現在日本で広く行なわれている中国人旅行者集客方法には、以下のような問題点があります。
① イベント重視
短い期間でイベントが行なわれるため、宣伝が一時的になりがち。
定期的に継続する宣伝はあまり行なわれていない。
② B to B の旅行業者重視
旅行会社の担当者を招待することに重点が置かれがちで、一般消費者に対する宣伝は少ない。
B to C を直接宣伝する方が効果的。
③ 単発スポットの宣伝が多い
宣伝が単発のスポット的なものになりがちで、マーケット全体を盛り上げるテーマや話題に不足
している。また、テレビなど個別のメディアを招待して報道してもらうケースでは、視聴率の低い
時間帯に放映されてしまうこともある。
④ 日本的な手法に依存しがち
中国語のサイトを作っても、日本のサイト経由でないと見られないケースがある。また、中国語
のパンフレットを作成しても、日本で作り、日本で配布したのでは中国人に届かない。作成から配
布まで中国で行なうほうが低コスト。
中国人旅行者集客のキーポイント
中国人旅行者集客のポイントは、以下の 3 点です。
① 知らせる
紙媒体、ラジオ、テレビ、インターネット、携帯電話などさまざまなメディアを通して B to C の宣伝を
継続的、徹底的に行なう。
② 体験させる
旅行社やメディアの担当者ばかりでなく一般消費者にも体験してもらう。試食や無料宿泊などが
効果的。
③ 来させる
ツアープランを作成するとともに、現地に行くための交通手段を安価で提供するなど、利用しやす
い環境を整備する。
中国人訪日客誘致の事例
より多くの中国人訪日客に来てもらうために、実際に行なわれている 3 つの参考事例が紹介され
ました。いずれも現地での旅行者の利便性を向上させることに着目しています。
① 神戸市
関西空港を利用して来日し大阪に宿泊する訪日客を対象に、神戸も訪れてもらえるよう、29 分
で関西空港―神戸間を結ぶシャトル船の無料チケットを配布。
② 成田イオン
午後の便で成田空港から帰国する中国人客に出発日の午前中に来店してもらうため、空港周辺
の宿泊ホテルから成田イオンまでの無料バスを運行。
③ 登別温泉旅館
新千歳空港に到着し札幌に宿泊する人の多くが登別温泉を訪れることから、新千歳空港―札幌
―登別温泉旅館を結ぶバスを 1 日 1 便運行。このサービスを利用し、現地の地理に不慣れな中国
人女性旅行客も一人で温泉に行くことができた。
メディア複合体日本之窓
沈氏は日中の共存共栄をめざしていま
す。
日本之窓はインターネット、ガイドブック、
携帯コンテンツ、旅行イベントを融合した
メディア複合体で、中国人富裕層を対象
に訪日プロモーションを行なっています。
やまとごころ勉強会会場では見本誌とし
て中国人向けフリーガイドブック「日本之
窗」が配布されました。「日本之窗」は中
国主要都市のビザ代行センター等で配布されているほか、銀座、秋葉原、新宿の百貨店、ホテル、
観光スポットでも入手できます。
日本之窓では今後、日帰り旅行プランの企画、ホテルの宣伝及び予約代行、買物、飲食、娯楽情
報の充実、携帯電話による情報発信、中国人観光客への接客セミナーに取り組むことを計画中で、
現在関連事業のタイアップ先を募集中です。
株式会社日本之窓国際旅行
担当: Mr.沈(常務取締役)、Mr.桜井(代表取締役社長)
「やまとごごろ.jp」での沈氏の過去のインタビュー記事はこちらです。
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/2009/index11.html
<取材後記>
日中両国の事情に精通したビジネスパーソンならではの情報が豊富に盛り込まれた講演を聴き、
今後のインバウンドの振興のためには国際的な視野に立った幅広いネットワーク作りが必要と感
じました。