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News Release
2012 年 7 月 27 日
報道各位
ラサール インベストメント マネージメント
「2012年不動産投資戦略」の中間レポート
世界有数の不動産投資顧問会社であるラサール インベストメント マネージメント イ
ンク(本社: 米国イリノイ州シカゴ、最高経営責任者:ジェフ・ジェイコブソン、以下「ラ
サール」)は、世界の不動産市場に関する包括的な調査や見通しを盛り込んだ「2012年不
動産投資戦略」の中間レポートをこのたび発表しました。
2012年上期を総括すると、第1四半期には投資家の姿勢や主要国の経済成長に改善が見ら
れたものの、短期間で失速し、最終的には再び停滞しました。投資家は、このような外部
環境の変化が不動産市場へ与える影響を見通すことが求められています。
外部環境の変化が、唐突にあるいは徐々に不動産のポートフォリオやその価格に影響を
及ぼすことによって、投資戦略にも変更が求められます。信用市場の機能不全を背景とし
て実態経済の回復が減速していますが、これも金融危機に起因した現象の一つです。
ラサールのグローバル ストラテジスト、ジャック・ゴードンはレポートの中で次のよう
に述べています:
「最大の懸念すべき要因は欧州にあります。ただし、全ての先進国および新興国の経済
成長はより緩やかになっており、さらに失速するというリスクも抱えています。過去2ヶ月
の間に、G20のほぼ全ての国々において2012年と2013年の経済成長予測が下方修正されま
した。これを受けて、投資家や不動産のテナントは、最悪の事態を想定した行動をとり始
めています。また、ユーロ崩壊への懸念は、信用市場や不動産投資市場で通常では見られ
ない変化をもたらしています。資金の避難先となる米国、英国、ドイツは債券利回りが歴
史的な水準まで低下しています。一方で、アイルランド、イタリア、スペインでは、これ
らの安全な国々との国債利回りの格差が過去最大の水準に達しています。不動産市場では、
投資家の需要が主要市場の高稼働の状態にある不動産に集中し、それ以外のほぼ全ての不
動産には流動性が不足しており、この「二極化」の現象はかつてないほどに大きくなって
います。このような投資家のリスク回避姿勢は、現在もなお不動産市場における最大のテ
ーマです。一方で、北欧、ドイツ、フランス、カナダ、米国、そして中国などは南欧と比
べて経済見通しは比較的に良好です。これらの国々では、不動産の新規供給が低水準にあ
り、金利コストも低く、緩慢ながらもテナント需要があることによって、不動産市場の回
復は続く見通しです。
投資家のリスク回避姿勢や安全な市場への資金の回避という行動は、経済や不動産のフ
ァンダメンタルズとはかけ離れています。優良なコア不動産の価格は上昇する一方で、そ
れ以外の不動産の価格はほとんど変化していません。不動産のリーシングやファンダメン
タルズの見通しは、南欧では悪化しましたが、それ以外の地域では安定的です。今後、不
動産市場の回復が長期に亘って続き、それに対して投資家が過剰に反応することが予想さ
れます。すなわち、欧州危機が起爆剤となり、銀行業界や信用市場の緩やかな回復を促す
可能性があります。ただし、それ以上に、常に意図せぬ結果が生まれる可能性があること
も忘れてはなりません。例えば、各中央銀行による大量の流動性の供給は、期間が限定さ
れた政策ではなく常態化していくこと、などです。」
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<地域別の展望>
アジア太平洋
香港やシンガポールでは、オフィスおよび商業セクターのコア不動産に対する取得競争に
よって、適切な価格での投資が困難になっています。シンガポールの立地が優れた B グレ
ードのオフィスも選別的に検討するべきです。中国は、引き続き住宅開発へのリスク性資
本の供給、主要な物流拠点の稼動状態にある物流施設への投資が魅力的です。
オーストラリアでは、リスク性資本が引き続き潤沢であり、特にオフィスや住宅への投資
意欲が旺盛です。郊外型商業セクターは、賃料成長が限定的であるにもかかわらず価格が
高いコア不動産よりも、運営が不適切な生活必需品が主体の商業施設の方が高いリターン
を期待できます。
日本では、近代的物流施設が引き続き魅力的です。一方で、都市部の周辺に立地するBグ
レードのオフィスは、より安定的なリターンをもたらすでしょう。
ホテルセクターは同地域全般に亘って、3つ星あるいは4つ星のビジネスホテルを中心に魅
力的な投資対象です。韓国の開発、オーストラリアや日本における改修、シンガポールや
香港の稼動物件などが挙げられます。
欧州
ディストレス案件は引き続き銀行業界などから放出される見込みです。メザニン・ローン
の供給によって資本ギャップを埋める戦略が、最もリスク調整後リターンが高い投資とな
るでしょう。不動産所有者に対する売却への圧力が強まることによって、投資機会が増え
ると予想されます。優良ではあるが、運営が不十分でパフォーマンスが低下している物件
は、買い手が少なく、市場動向を慎重に分析すれば魅力的な投資機会が得られます。
また、全セクターに亘って、まずは優良不動産に絞って投資を検討するべきですが、健全
な市場において非常に割安である場合は非優良不動産も投資対象となるでしょう。商業セ
クターに関しては、消費の停滞という新たな困難に直面していますが、立地と質を選別す
れば、引き続きディフェンシブ性の高い投資対象となります。
スペインやイタリアを投資対象にすることは、経済のダウンサイド・リスクが大きく、時
期尚早だと考えられます。一方で、中欧・東欧、特にトルコやポーランドの成長見通しは
主要諸国よりも健全です。
北米
米国では、過剰なローンの裏付け資産に注目すべきです。不動産価格がメザニン・ローン
の価格を上回る水準まで上昇し、投資が可能になっています。コア投資では、引き続き物
流セクターをオーバー・ウェイトとしています。また、メディカル・オフィスのようなニ
ッチな不動産タイプも、引き続き魅力的なリスク・リターン特性を提供するでしょう。
カナダのコア投資では、商業セクターに加えて物流セクターをオーバー・ウェイトへ引き
上げました。空室が少なく、今後の新規供給が限定的であることから、トロント、カルガ
リー、エドモントンを中心に賃料成長が期待できます。
メキシコに関する投資推奨に大きな変更はありません。中央メキシコや北部の市場は引き
続き成長し、物流、分譲住宅、小規模な店舗が少なく必需品関連の小売業態が核テナント
となっている商業施設などが魅力的です。高リターン投資では、主要な観光地に立地する
割安なホテルが挙げられます。
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ラサール インベストメント マネージメントについて
世界最大の総合不動産サービス企業であるジョーンズ ラング ラサール グループ傘下にあ
る、世界有数の不動産投資顧問会社です。世界規模で、私募、公募の不動産投資活動をして
おり、総運用資産残高は約 470 億ドルです(2012 年 3 月末現在)。私募、公募、デット、エ
クイティのあらゆる不動産投資活動を世界中の不動産キャピタルマーケット、オペレーティ
ングマーケットで展開しています。主要顧客は、世界の公的年金基金、企業年金基金、保険
会社、政府関連、その他基金(大学基金など)
、個人投資家などです。
本件に関するお問い合わせ先:
ラサール インベストメント マネージメント広報担当(IFC):神谷、中嶋
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Tel:03-5532-8921