中国の日系部品メーカー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中

2016/4/5
中国の日系部品メーカ ー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
中国の日系部品メーカー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中
その他地域では、生産体制拡充と計画の延期/凍結が混在
2009.6.12 No.786
上海市:日本ペイントと日本軽金属が、新拠点設立
蘇州市/呉江市/常熟市/無錫市など、上海外延地域でも拠点構築・拡充
華東地区:村上開明堂が新工場、アイシンAWがAT用制御ソフト開発拠点を設置
広州市と外延地域で、生産能力拡充と生産品目拡大の動き
華北地区:小糸製作所が天津第4工場建設を延期、太平洋工業が工場増設を凍結
東北・華中地区:豊田通商が車載組み込みソフトの開発会社を設立
要 約
以下は、中国での日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2009年6月上旬までの約 1年間)。
華東地区では、上海市とその外延の江蘇省・蘇州市/呉江市/常熟市/無錫市等で、拠点構築や拡充の動きが続
いている。浙江省と山東省では、村上開明堂が新拠点を設置し、山陽特殊製鋼と大豊工業が増産する。
華南地区では、トヨタ/日産/ホンダ等の生産拠点がある広州市と、その外延の広東省・佛山市/中山市/惠州市等
で、生産能力増強や生産品目拡大、金型内製化の動きが多い。
華北地区では、天津市と北京市で新拠点構築や増産の動きがあるが、トヨタ天津工場等の減産を受け、拡充計画
の延期・凍結もある。
東北地区の遼寧省と吉林省では、ベバストジャパンが生産能力を増強し、豊田通商が車載組み込みソフトの開発
会社を設立する。
華中地区の湖北省と河南省では、住友電装、和興フィルタテクノロジーが増産するが、日本プラストは新工場建設
を延期した。
上海市:日本ペイントと日本軽金属が、新拠点設立
上海市では、日本ペイントが金属表面処理剤、日本軽金属がサンルーフガイドレールの生産を新工場で開始す
る。既存拠点の拡充では、ニチリンがエアコンホースを2割増産し、ベバストジャパンがサンルーフの生産能力を5割
増強する。
日系自動車部品メーカー:中国・上海市での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■デンソー:カーナビゲーション等のソフトウェア開発体制を強化
デンソーは、ソフトウェアを開発していた上海電装創智信息技術 Denso Create Shanghai の全株式を、デンソ
ークリエイトから、中国統括会社の電装(中国)投資 Denso (China) Investment (DICH) に譲渡し、電装(上海)信
息技術 Denso Software Shanghai に社名変更した (09年 4月)。
新会社は、事業をそのまま継承し、カーナビゲーション等のソフトウェアを開発する。中国ではカーナビゲーショ
ンの需要拡大と機能向上に伴い、ソフトウェア開発業務の増加が見込まれ、DICH 設計部門との連携を密にした
開発体制を構築する。2009年度中に西安にオフィスを設置し、2012年までに開発要員を現行の約 70人から 120
人規模に増強する計画。
■ニチリン:上海でエアコンホースを 2割増産、中国でのホース生産を 2社に統合
ニチリンは、エアコンホースを合弁生産する上海日輪汽車配件 Shanghai Nichirin Automobile Accessories の
工場移転を開始した (08年 9月)。現工場が立ち退き対象地区とされたため、近隣に工場を賃借し、09年11月まで
に順次ラインを移設する。月産能力も約 20% 増の 80万m に拡充して、量産品生産を中国に集約する。
ニチリンは、経営合理化のため、上海で水道用ホースを生産する日輪軟管工業 Nichirin Flex (Shanghai) とパ
ワステ用低圧ホースを生産する日輪橡塑工業(上海) Nichirin Rubber Industrial (Shanghai) を合併する (09年 3
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月発表)。存続会社は未定。中国での生産拠点は、合併会社と上海日輪汽車配件の 2社となる。
■日鍛バルブ:上海の合弁工場に、エンジンバルブの低コスト生産ラインを導入
日鍛バルブは、山陽工場で開発したエンジンバルブの低コスト生産ラインを、09年から海外 6拠点に水平展開す
る。中国では、米国 Eaton Corp. との合弁会社 Shanghai Eaton Engine Components Co. に導入する計画。鋼
材を最終製品に近い形状に鍛造して余肉の除去作業を不要にしたり、各製品を高精度に熱処理する等、工程を
改良したラインで、製造コストの約 20% を低減、設備投資も従来の半分弱の数億円で済む見込み。
■日本ペイント:上海で、金属表面処理剤を年 8,000t 生産
日本ペイントの韓国連結子会社 Nipsea Chemical は、上海市に中国で 2ヶ所目の金属表面処理剤工場を建設
する (08年10月発表)。新工場は、新たに設立した立邦(上海)化工 Nippon Paint (Shanghai) Chemical が運営
し、2010年10月から表面処理剤を年間 8,000t 生産する (既存工場の年産能力は 3,000t)。
■日本軽金属:欧米メーカー向けにサンルーフガイドレールを生産、2012年には年産 110万本
日本軽金属の全額出資子会社の日軽金アクトは、08年 4月、中国 2ヶ所目の生産拠点の日軽(上海)汽車配件
Nikkei (Shanghai) Body Parts を設立した (日軽金アクトが 90%、同社子会社の華日軽金(深圳)有限公司が 10%
出資)。09年 1月から新工場で、欧米系メーカー向けにサンルーフガイドレールを生産する。年産能力は 09年に
40万本、2012年には 110万本とする計画。
■フコク:上海のワイパーブレード/シール製品生産子会社の事業を休止
フコクは、上海でワイパーブレードやシール製品を生産していた完全子会社の フコクゴム(上海) Fukoku
Rubber & Plastics (Shanghai) の事業を、09年 3月末に休止した。市場環境悪化で受注量が大幅減少したため、
生産拠点を集約して、生産効率の向上を図る。
■ベバストジャパン:上海市のサンルーフ工場を移転、年産能力を 70万台分に 1.5倍増
ベバストジャパンは、09年春までに、上海市の Webasto (Shanghai) のサンルーフ工場を、新たに賃借した工場
に移転する。ガラスとフレームを一体成型する設備を導入し、年産能力を08年の 45万台分から、2010年には約
70万台分に拡充する計画。主に上海GM や上海VW に供給する。(08年 8月発表)
資料:各社広報資料, 各紙報道
蘇州市/呉江市/常熟市/無錫市など、上海外延地域でも拠点構築・拡充
江蘇省の蘇州市/呉江市/常熟市/無錫市など上海外延地域でも、拠点構築・拡充の動きが多い。新拠点構築で
は、サンデンがカーエアコン用コンプレッサー部品、横浜ゴムがトラック・バス用タイヤの新工場を建設し、鈴木金属
工業が弁ばね用ワイヤーの生産拠点を傘下に加えた。
既存拠点の生産能力増強では、住友ゴム工業がトラック・バス用タイヤを3.5倍に増産、積水化学が合わせガラス
用中間膜の生産能力を倍増、日本ピストンリングがバルブシートを7割増産、富士通テンがカーオーディオとカーナ
ビゲーションの生産能力を3倍に増強、ブリヂストンがタイヤを5割増産する。
また、日本精工は中国市場向けの軸受等の研究開発会社を設立し、KYBはアジアの調達機能を中国の購買セン
ターに集約する。
日系自動車部品メーカー:中国・江蘇省の蘇州市/呉江市/常熟市/無錫市での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■KYB:世界 4極で原材料を集中購買、中国にアジア拠点の購買センターを設置
KYB は、各生産拠点が独自に行っていた原材料の調達体制を見直し、日本・米州・欧州・アジアの 4極で、それ
ぞれ集中購買を進める (08年 8月発表)。増量効果で原価を引き下げ、原材料高騰の一部を吸収する狙い。原材
料の組成等を 4極で均質化するため、各生産拠点に評価・実験設備を導入する。アジアでは、中国に購買センタ
ーを設置し、中国、台湾、タイ、ベトナムにある 5拠点の調達機能を集約する。
■サンデン:カーエアコン用コンプレッサー部品を、江蘇省呉江市で合弁生産
サンデンと上海サンデンベーア (SSB:上海汽車/独 Behr/サンデンの 3社合弁) は、08年 9月、江蘇省呉江市
に、カーエアコン用コンプレッサーのダイキャスト部品を合弁生産する蘇州サンデン精密零件 Sanden (Suzhou)
Precision Parts を設立した。出資比率はサンデン 65%、SSB 35%。総投資額は 30億円で、09年 6月に生産を開
始し、2010年に年産 500万個とする計画。ダイキャスト部品を内部調達することにより、品質の確保と量産体制を
確保する。
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■鈴木金属工業:Haldex Garphyttan を買収、江蘇省蘇州市に弁ばね用ワイヤー生産拠点取得
新日鉄グループの鈴木金属工業は、09年 6月、弁ばね用ワイヤー事業のグローバル展開のため、同分野で世
界最大手の Haldex Garphyttan AB (スウェーデン) を買収、完全子会社として、Suzuki Garphyttan AB に社名
変更した。買収額は約 90億円。同子会社はスウェーデン、米国、中国 (江蘇省蘇州市) に生産拠点を有し、鈴木
金属の世界シェアは約 15% から 40% 強にアップする見込み。
■住友ゴム工業:江蘇省常熟市で、トラック・バス用タイヤの日産能力を 3,500本に 3.5倍増
住友ゴム工業は、江蘇省常熟市でタイヤを生産する Sumitomo Rubber (Changshu) に約 140億円を投資し、
2010年末までに日産能力を 07年末比 1割増の 33,500本に増強する。うち、トラック・バス用は 3.5倍増の 3,500
本とする。トラック輸送が増加し、タイヤ需要の拡大が見込める中国市場の動向に対応する。
■積水化学:蘇州工場に第 2ライン新設、合わせガラス用中間膜の年産能力を 1,200万台分に倍増
積水化学は、積水中間膜(蘇州) Sekisui S-LEC (Suzhou) に 35億円を投資して、合わせガラス用中間膜の第 2
ラインを新設する (08年 7月発表)。新ラインは09年10月に稼動予定で、年産能力は 1,200万台分に倍増する。中
国国内向けに、当面は通常中間膜を生産するが、将来は高機能膜も生産できる混流可能なラインとする。
■日本精工:軸受等の研究開発会社を江蘇州昆山市に設立
日本精工は、08年 7月、江蘇州昆山市に恩斯克(中国)研究開発 NSK (China) Research and Development の
社屋を着工した。09年夏に竣工し、中国市場向けに軸受等全製品の研究開発や技術サポートを行う。2011年には
研究開発要員を約 5倍の 300名に増員する。2011年までの投資額は 44億円。
■日本ピストンリング:江蘇省でバルブシートを 70%、ピストンリングを 6% 増産
日本ピストンリングは、江蘇省鎮江市でバルブシートを生産する日環汽車零部件製造(鎮江) NPR Auto Parts
Manufacturing (Zhenjiang) に生産ラインを追加し、09年度中に月産能力を 7割増の 50万本に増強する。これに
より、バルブシートの世界生産能力を 05年度比 31% 増の月産 1,900万本とする。
江蘇省儀征市でピストンリングを生産する日環汽車零部件製造 (儀征) NPR Auto Parts Manufacturing
(Yizheng) の月産能力も、09年度中に 6% 増の 170万本とする。世界生産を 19% 増の月産 1,700万本体制とする
計画の一環で、海外生産比率を高め、災害リスクにも対応する。
■富士通テン:江蘇省無錫市のカーナビゲーション年産能力を 3倍増、輸出向けも生産
富士通テンは、江蘇省無錫市の富士通天電子(無錫) Fujitsu Ten Electronics (Wuxi) の増築を 08年 6月に竣
工。延床面積を 7,220㎡ から 16,750㎡ に拡張し、カーオーディオとカーナビゲーションシステムの年産能力を 3
倍増の 150万台とした。投資額は 700万ドル。
無錫でのカーナビゲーションの生産は、08年度の数万台を、09年度は 20~30万台に引き上げる計画 (09年 5
月発表)。従来は中国国内向けに生産していたが、08年度に日本向け生産を開始、09年度は欧米・豪州向け生産
も開始する。
■ブリヂストン:江蘇省無錫市で、タイヤの日産能力を 12,000本に 1.5倍増
ブリヂストンは、江蘇省無錫市の普利司通(無錫)輪胎 Bridgestone (Wuxi) Tire に 9.800万ドルを投資して新工
場棟を建設し、2011年下期から乗用車用ラジアルタイヤの日産能力を 1.5倍増の 12,000本とする (09年 4月発
表)。中国市場は中長期的に成長が見込まれるとして、高品質な製品の供給能力を強化する。
■横浜ゴム:江蘇省蘇州市で、トラック・バス用タイヤ生産を開始
横浜ゴムが江蘇省で建設していた蘇州横浜輪胎 Suzhou Yokohama Tire の工場が、08年10月に竣工した。同
社としては中国で初めて、トラック・バス用タイヤを生産する。年産能力は 34万本で、09年 5月までにフル操業とす
る計画。総投資額は 95億円。全量を、中国の補修市場向けに販売する。
資料:各社広報資料, 各紙報道
華東地区:村上開明堂が新工場、アイシンAWがAT用制御ソフト開発拠点を設置
華東地区の浙江省と山東省では、村上開明堂がバックミラーの新工場を建設、山陽特殊製鋼がホイール軸受ハブ
ユニットを6割増産し、大豊工業がディーゼルエンジン向けにメッキ処理した軸受を増産する。横浜ゴムは、乗用車用
タイヤの増産計画を延期した。
また、アイシンAWが AT用制御ソフトの合弁開発会社を設立し、エフテックが金型設計会社を稼動した。
日系自動車部品メーカー:中国・浙江省での最近動向
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中国の日系部品メーカ ー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■アイシンAW:浙江省杭州市に、AT用制御ソフトの合弁開発会社を設立
アイシンAW は東忠ソフトウェアと共同で、浙江省杭州市に、オートマチックトランスミッション用制御ソフトを開発
する AW(杭州)信息技術を 08年12月に設立した。アイシンAW が 80%、東忠ソフトウェアが 20% 出資。当初の従
業員は 80人で、車載用ソフトウェアの設計・評価・開発の請負、技術情報の調査・収集を行う。
■山陽特殊製鋼:浙江省余姚市で、ホイール軸受ハブユニットの月産能力を 50万個に 1.6倍増
山陽特殊製鋼は、浙江省余姚市で素形材を生産する寧波山陽特殊鋼製品 Ningbo Sanyo Special Steel
Products に 7億円を投資し、鍛造荷重 2000t 能力の熱間縦型鍛造機 1基を増設した (08年10月)。ホイール軸
受のハブユニットの月産能力を 30万個から 50万個に拡充し、現地の自動車生産拡大に対応する。
■日本電産トーソク:浙江省の半導体製造装置・計測機器事業を、100%出資子会社に
日本電産トーソクは、親会社の日本電産などグループ 4社が出資していた日本電産機器装置(浙江) を、100%
出資子会社の日本電産東測機器装置(浙江) に改組した (09年 4月:英文仮称は NIDEC Tosok System
Engineering (Zhejiang))。既存工場をそのまま使用し、半導体製造装置と計測機器の製造事業を継承する。新会
社設立により、取引先の要望に迅速に応え、経営効率化や原価低減を推進するとしている。
■村上開明堂:浙江省嘉興市に新会社を設立、09年12月にバックミラー生産を開始
村上開明堂は、浙江省嘉興市に全額出資で嘉興村上開明堂汽車配件を新設し (英文仮称は Jiaxing
Murakami Corp.)、09年12月にバックミラー生産を開始する。年産能力はアウターミラーとインナーミラー各 200万
個で、2012年の売上高目標は 6億円。総投資額は約 13億円。中国での生産拠点は、同業の石崎本店との合弁
会社に続いて 2ヶ所目。
■横浜ゴム:浙江省杭州市の乗用車用タイヤ工場で、増産計画を2009年以降に先送り
横浜ゴムは、浙江省杭州市で乗用車用タイヤを生産する Hangzhou Yokohama Tire で、08年11月に予定して
いた生産能力増強計画を延期する (08年10月発表)。年産能力を 300万本から 400万本に引き上げる計画だった
が、タイヤ需要が見込み通り増加せず、新車販売動向等を見極めた後に拡充する (09年内の予定)。
資料:各社広報資料, 各紙報道
日系自動車部品メーカー:中国・山東省での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■エフテック:山東省煙台市で、金型設計会社を稼動
エフテックは、08年11月、山東省煙台市で金型を設計する福田摸具技術(煙台) Futian Mould Technology
(Yantai) を稼動した。当初は現地向けに供給するが、将来は北米や日本向けの金型も設計する計画。2010年に
は、金型設計の要員を、09年初の 3倍の 30人に増員する予定。
■大豊工業:山東省煙台市の生産子会社にメッキ工場を新設、ディーゼルエンジン向け軸受を増産
大豊工業は、山東省煙台市で軸受を生産する大豊工業(煙台) Taiho Kogyo Corp. of Yantai に延床面積
5,000㎡ のメッキ工場棟を新設し、09年 1月に稼動した。ディーゼルエンジン向けにメッキ処理した軸受の生産能
力を高め、上海ディーゼル等の現地メーカーに供給する。投資額は数億円。
資料:各社広報資料, 各紙報道
広州市と外延地域で、生産能力拡充と生産品目拡大の動き
華南地区の広州市と、広州市外延の広東省・佛山市/中山市/惠州市では、河西工業が天井素材の合弁生産を開
始し、ブリヂストンがスチレンブタジエンゴム工場を稼動した。東洋ドライルーブは中国の既存事業を再編し、フラン
ス社と合弁で金属表面処理事業を開始する。
生産能力増強では、トヨタ紡織がシートの生産能力を 50% 増強、丸順が車体プレス部品を 15% 増産、市光工業
がランプを 5割増産、豊田合成が車体シール部品の生産能力を倍増する。
生産品目拡大では、トヨタ紡織がオイルフィルター生産の一部を日本から移管し、ホンダエレシスが電子制御ユニ
ットの生産機種を拡大する。エイチワン、ヨロズ、市光工業は、原価低減および開発のスピード化のために、金型の
内製化を開始する。
日系自動車部品メーカー:中国・広州市での最近動向
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中国の日系部品メーカ ー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■エイチワン:中国で金型生産を拡大、2010年度には約 5倍増の 130型へ
エイチワンは、これまで主に日本が供給してきた金型を、コスト競争力の高い中国、タイ、インドでも生産する (08
年10月発表)。中国では、金型の生産管理システムを導入し、試作プレス機や非接触検査装置等も増強して、金型
生産を 07年度の 27型から、2010年度には 130型に拡大する。
■河西工業:広州市で、天井素材を三和工業と合弁生産
河西工業は、ドア内装部品に続く新たな事業の柱として、天井部品事業を拡大しており、2010年までに天井部品
の世界生産を、08年初の 1.5倍の 270万台分とする計画。日本、中国、北米で生産能力を増強する。
中国では、自動車内装部品の三和工業と合弁で設立した広州艾司克汽車内飾 Guangzhou S.K Automotive
Interior で (河西工業 25%、三和工業 75% 出資)、08年夏に天井素材の生産を開始した。年産能力は約 20万台
分。09年度以降の売上高目標は 6億円。
■トヨタ紡織:広州トヨタの第 2ライン稼動に対応、シートの生産能力を 1.5倍増
トヨタ紡織は、広東省広州市でシート組立や内装品を生産する広州桜泰汽車飾件 Guangzhou Intex Auto
Parts と、シート用プレス部品を生産する豊愛広州汽車座椅部件 Feng'ai (Guangzhou) Automotive Seat Parts
に約 50億円を投じて工場を増築し、09年 2月にシートの生産能力を 50% 拡充した。2010年度の生産見込みは、
広州トヨタが 09年半ばに第 2ラインを稼動させるのに対応して、30万台分超。
■丸順:ホンダの現地増産に対応、広州市で車体プレス部品の生産能力を 15% 増強
丸順は、ホンダの現地増産計画に対応して、広東省広州市で車体プレス部品を生産する広州丸順汽車配件
Guangzhou Marujun に 13.5億円を投じ、第 2工場を増床して生産能力を約 15% 拡充、09年 1月に稼動した。増
床後の第 2工場に金型製造設備も増強し、金型の内製化率も高め、コスト削減を図る。
■ヨロズ:中国生産車向け部品の金型の一部を、広州工場から供給
ヨロズは、日系メーカーが中国で生産する新型車部品の金型を、09年末から全量アジア製に切り替える (09年 1
月発表)。金型の大半はタイ子会社が供給するが、一部小物部品は広東省広州市の広州萬宝井汽車部件
Yorozu Bao Mit Automotive が供給する。金型の現地調達拡大により、原価低減を図る。
資料:各社広報資料, 各紙報道
日系自動車部品メーカー:中国・広東省の佛山市/中山市/惠州市等での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■市光工業:広東省佛山市の Valeo との合弁会社で 2010年にランプを 5割増産、金型も内製化
市光工業は、フランス Valeo と折半出資の市光法雷奥汽車照明系統 Foshan Ichikoh Valeo Auto Lighting
Systems (広東省佛山市) のヘッドランプとリアランプの年産能力を、2010年までに 08年末の 1.5倍の 36万個に
拡充する。現地進出した日米欧の完成車メーカーの他、中国企業への販売も拡大する。設備投資は、廃棄設備の
再利用や Valeo の他拠点との生産プロセス共通化により、数億円規模に抑える。
市光工業は、広東省佛山市の市光法雷奥の近隣に、30~40億円を投資して、2010年までに金型工場を建設す
る。ランプやミラーのほか、Valeo 向けにセンサー等の金型も開発・設計・生産する。専業メーカーから調達してい
た金型を内製に切り替え、開発スピードや品質を向上させる。
■東洋ドライルーブ:広東省と江蘇省に、フランス HEF と合弁で金属表面処理会社を設立
東洋ドライルーブは、09年 2月、フランスの HEF グループ傘下の Technique Surface Holding (TSH) と、中国
事業で業務提携した。両社とも金属表面処理事業を手掛けるが、自動車・電気電子機器業界に強い東洋ドライル
ーブと、工作機械・重機業界を得意とする HEF が、合弁事業を展開して、顧客基盤を拡充する。両社は、中国の
既存事業を再編し、広東省中山市と江蘇省昆山市に新たに 2つの会社を設立する計画。
■トヨタ紡織:オイルフィルターの一部生産を、日本から広東省佛山工場に移管
トヨタ紡織は、09年度中にも、愛知県刈谷工場で生産するオイルフィルターのうち、500万個分を広東省佛山市
の佛山豊田紡織汽車零部件 Toyota Boshoku Foshan に移管する。生産能力を超過している刈谷工場の負荷低
減のほか、コスト削減やリスク分散のため。佛山工場で生産した製品の一部は、日本にも輸入する。
■豊田合成:広東省佛山市で、車体シール部品の年産能力を 45万台分に倍増
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中国の日系部品メーカ ー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
豊田合成は、08年秋までに、広東省佛山市にある豊田合成佛山橡塑 Toyoda Gosei (Foshan) Rubber Parts
で、車体シール部品の年産能力を約 2倍の 45万台分に拡充した (08年 7月発表)。
■ブリヂストン:広東省惠州市で、年産能力 5万t のスチレンブタジエンゴム工場を稼動
ブリヂストンは、08年12月、広東省惠州市の普利司通(惠州)合成橡胶 Bridgestone (Huizhou) Synthetic
Rubber の合成ゴム工場を稼働した。タイヤのトレッド部分に使用するスチレンブタジエンゴムを年 5万t 生産し、高
性能タイヤの需要が増加している中国とアジア地区のグループ工場に供給する。
■ホンダエレシス:広東省中山市で、電子制御ユニットの生産機種を拡大
ホンダエレシスは、2010年を目処に、広東省中山市の中山艾莱希斯 Zhongshan Elesys で、電子制御ユニット
(ECU) の生産機種を拡大する (08年 7月発表)。現在生産中のブレーキ用に加え、電動パワーステアリング用、乗
員検知用、外界認識システム用等を追加する。従来、海外工場では地域特性に合う機種に絞って生産していた
が、ホンダの海外生産拡大に対応し、各機種の現地供給体制を整備する。
資料:各社広報資料, 各紙報道
華北地区:小糸製作所が天津第4工場建設を延期、太平洋工業が工場増設を凍結
華北地区の天津市と北京市では、トーヨーエイテックが技術供与により金型コーティングサービスを開始、ペガサス
ミシン製造はアルミニウム鋳造部品を6割増産し、ベバストジャパンはサンルーフ生産能力を倍増する。
一方、トヨタ天津工場等の減産を受け、小糸製作所は天津第4工場の建設計画を先送りし、太平洋工業は天津工
場の増設計画を凍結した。
日系自動車部品メーカー:中国・天津市での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■小糸製作所:2011年稼動予定だった、天津第 4工場の建設計画を見直し
小糸製作所は、2011年を目処に中国北部の天津市近郊に第 4工場を建設する計画だったが、時期や内容を見
直す (08年11月発表)。天津のトヨタ工場や北京の現代自動車および米国系メーカーに供給する計画だったが、
中国での自動車販売が停滞しているため、計画を先送りした。
■太平洋工業:23億円を投資する予定だった、天津工場増設計画を凍結
太平洋工業は、2009~2010年度に天津太平洋汽車部件 Tianjin Pacific Auto Parts に 23億円を投資して、工
場を増設する計画を凍結した (09年 1月発表)。トヨタの現地合弁工場の生産回復を待って、計画を再開する。
■トーヨーエイテック:東方貿易に技術供与し、天津で金型コーティングサービスを開始
トーヨーエイテックは、プレス金型の寿命を高める独自コーティング技術の低温TiC を東方貿易に技術供与し、
中国での金型コーティングサービスを09年 3月に開始した。東方貿易が天津市に設立した天津東方金工表面塗
装 Tianjin Orient Metalworking Surface Coating に、PVD (物理的蒸着法) 炉と PVD 処理技術を導入し、日
系メーカー向けに金型コーティングの再処理等を行う (中国メーカーへの拡販も図る)。
■ペガサスミシン製造:天津で、アルミニウム鋳造部品の年産能力を 1,920t に 6割増
ペガサスミシン製造は、嶋本ダイカストと共同出資の天津ペガサス嶋本自動車部品 Tianjin PegasusShimamoto Auto Parts に 9,000万円を投資してアルミニウム鋳造設備を増設、09年 2月に稼動した。鋳造部品
の年産能力は 60% 増の 1,920t に拡大し、主に欧州の日系安全ベルトメーカー向けに、巻き取り装置部品を生産
する。自動車以外からの受注も拡大しており、能力増強の追加も検討中。
資料:各社広報資料, 各紙報道
日系自動車部品メーカー:中国・北京市での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■ベバストジャパン:北京のサンルーフ工場を新設・移転し、年産能力を 40万台分に倍増
ベバストジャパンは、サンルーフの需要増加に対応し、09年春までに中国の 3工場を移転・新設して、生産能力
を増強する。北京の Webasto Donghee Auto Parts (Beijing) では、工場を新設し、旧工場から移転する。従来は
サンルーフの CKD 生産が中心だったが、新工場では現地調達率を高め、一貫生産に移行する。年産能力は 40
万台分に倍増し、現地の現代・起亜自動車等に供給する。(08年 8月発表)
http://www.marklines.com/ja/report/rep786_200907
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2016/4/5
中国の日系部品メーカ ー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
■三菱化学:中国石油化工 (SINOPEC) と、戦略提携パートナー関係の確立で基本合意
三菱化学と中国石油化工股份 (SINOPEC) は、石油化学分野での提携を強化し、事業を拡大加速するため、戦
略提携パートナー関係を確立することで基本合意した (09年 4月)。CO2 削減やその有効利用、再生可能エネル
ギーとしての有機太陽電池など、自動車・環境分野での共同開発を推進するとしている。
両社は既に、自動車用ポリプロピレン・コンパウンドの合弁事業を 10年以上継続している。また、2010年からビス
フェノール A を年 15万t、ポリカーボネートを年 6万t 合弁生産する計画も決定している。
資料:各社広報資料, 各紙報道
東北・華中地区:豊田通商が車載組み込みソフトの開発会社を設立
東北地区の遼寧省と吉林省では、豊田通商が車載組み込みソフトの開発会社を設立し、ベバストジャパンがサン
ルーフの生産能力を5割増強する。また、三菱電線工業は、需要急減に対応し、ワイヤーハーネス第2工場の操業を
停止した。
華中地区の湖北省と河南省では、住友電装がワイヤーハーネスの生産能力を5割増強し、和興フィルタテクノロジ
ーがフィルター生産体制を拡充した。一方、日本プラストは、自動車メーカーの減産を受けて、エアバッグ等の新工
場の建設を延期した。
日系自動車部品メーカー:中国・遼寧省/吉林省での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■豊田通商:遼寧省大連市に、車載組み込みソフトの開発会社を設立
豊田通商の連結子会社の豊通エレクトロニクスは、08年11月、車載組み込みソフトウェアを開発・認証・テストす
る豊田通商電子(大連) Toyota Tshusho Electronics (Dalian) を、遼寧省大連市に設立した。海外での組み込み
ソフト開発会社の設立は、タイに続き 2社目。車 1台あたりのソフトウェア量は今後飛躍的に伸びるが、日本ではソ
フト開発者が不足すると予測されているため、海外の人材を活用する。
■三菱電線工業:遼寧省大連市のワイヤーハーネス工場で、第 2工場の操業を停止
三菱電線工業は、遼寧省大連市でワイヤーハーネスを生産する大連菱星汽車配件 Dalian Ryosei Automotive
Components で、08年度下期に受注が急減したため、3,000人の従業員を 1,000人に削減した。さらに、第 2工場
を当面操業停止にし、第 2工場の生産品目を第 1工場とインドネシア拠点に移管する。(09年 5月発表)
■ベバストジャパン:吉林省長春市で、サンルーフ工場の年産能力を 1.5倍の 35万台分に増強
ベバストジャパンは、09年春までに、吉林省長春市の Webasto (Changchun) のサンルーフ工場を、新たに賃借
した工場に移転する (08年 8月発表)。年産能力は、約 1.5倍の 35万台分となり、将来的には 45万台分に引き上
げる計画。現地の Ford や VW からの増産要請に応える。
資料:各社広報資料, 各紙報道
日系自動車部品メーカー:中国・湖北省/河南省での最近動向
(2009年 6月上旬までの約 1年を中心とする動向で、配列は企業名 50音順)
■住友電装:湖北省武漢市のワイヤーハーネス工場を子会社化、生産能力を 5割拡充
住友電装は、湖北省武漢市でワイヤーハーネスを製造する武漢住電電装 Wuhan Sumiden Wiring Systems の
約 2億円の増資を引き受け、出資比率を 40% から 60% に引き上げた (08年 9月)。増資による調達を含む約 3億
円を設備増強等に投じ、ワイヤーハーネスの生産能力を 5割拡充する計画。
■日本プラスト:湖北省武漢市の新工場建設を延期、2010年初から仮工場でエアバッグ生産
日本プラストは、08年 9月、湖北省武漢市に、中国生産拠点として 2ヶ所目の武漢富拉司特汽車零部件を設立
した (英文仮称は Nihon Plast (Wuhan))。その後、09年 1月着工予定だった新工場建設を延期したが、既存の工
場施設を借り上げ、カーテンエアバックの組み立てを2010年 1月に開始し、ホンダ/日産/スズキの現地工場に供
給する計画。新工場の着工・稼動時期は、中国の経済状況を見て検討する。(09年 5月発表)
当初計画では (08年 8月発表)、7億円を投じて 09年 8月までに工場を建設し、2010年 1月からステアリングホイ
ールやカーテンエアバッグを製造する計画だった (初年度売上高目標 24億円)。
■和興フィルタテクノロジー:河南省新郷市の第 2工場でフィルターを増産、金属加工も開始
http://www.marklines.com/ja/report/rep786_200907
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中国の日系部品メーカ ー:上海市とその外延に、拠点構築・拡充が集中 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
和興フィルタテクノロジーは、河南省新郷市にある中国企業との合弁会社、河南平和濾清器 Henan Pingyuan
Wako Filter の隣接地に、約 2.2億円を投じて新工場を建設、オイルフィルター、燃料フィルター、エアクリーナー
生産を09年初に開始した。2011年には年産能力を 150万個とし、現地の日系/中国メーカーに供給し、日本にも
輸出もする。2011年の中国での売上高目標は 19億円で、08年の 77% 増。
また、全額出資で新郷平和精機 (英文仮称は Xinxiang Pingyuan Precision) を新設、アルミヘッドなどフィルタ
ー関連部品の金属加工も09年に開始する計画。
資料:各社広報資料, 各紙報道
出典:マークラインズ
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