ヒロインに聞く 三森千愛さん インタビュー 2014 年『ミス・サイゴン』の舞台写真(東宝株式会社演劇部提供) ミュージカル『ミス・サイゴン』 (帝国劇場)エレン役で出演中の三森さんを訪ねました。 三森さんは水戸一高平成13年卒。経歴は以下のとおりです。 平成19年(2007)劇団四季入団 平成20年(2008)ミュージカル『ライオンキング』女性シンガーソロ 平成25年(2013)ミュージカル『レ・ミゼラブル』ファクトリーガール役 平成26年(2014)ミュージカル『ミス・サイゴン』エレン役 インタビュアー 橘川 栄作(広報委員 S56 卒) ○今日は,素晴らしいステージで本当に感動しました。三森さんは一際輝いていましたよ。 今回の『ミス・サイゴン』出演のきっかけを教えてください。 ●昨年(帝国劇場で上演された)『レ・ミゼラブル』のオーディションに合格して,アンサ ンブルの一員として出演することになりました。具体的な役柄はその稽古中に演出家が決 めたのですが,ファクトリーガールという役の一人として出演しました。 『レ・ミゼラブル』のオーディションにはおおよそ 15,000 人の方が参加したようですが, 最終的には全体で約 80 人が合格しました。合格の連絡があったときには,うれしかったで すね。演出も新しくなった『レ・ミゼラブル』でしたので,やりがいがありました。 その『レ・ミゼラブル』が上演されている頃だと記憶していますが, 『ミス・サイゴン』の 追加メンバーの話を聞き,是非出演したいと思って,オーディションを受けました。 『ミス・サイゴン』は再演なので,ほとんど前回のメンバーで決まっていて,オーディ ションは追加メンバーの募集だけでしたので難しいと思っていました。 『レ・ミゼラブル』と『ミス・サイゴン』の演出家(ローレンス・コナー氏)が同じ方で したので, 『レ・ミゼラブル』の時に私の演技を見ていてくれたのが結果的に評価されたん だと思います。 ○出演が決まったときはびっくりしたでしょう。 ●オーディションが 7 月でしたが,連絡がなかったので難しいかなと思っていましたが, それから 2~3 か月後に合格の連絡がありびっくりしました。信じられませんでした。 同時に,エレン役のダブルキャストが劇団四季の先輩で大スターの木村花代さんでしたの で,正直緊張しました。 ○その後はどんな感じで,進んでいったんですか。稽古とか。 ●出演者全員が集まったのが 3 月28日の制作発表の時でした。それまでは自分の歌う曲 の練習をひたすらしていました。 稽古が始まったのが 5 月末。週 5 日稽古です。最初の 1 週間は歌稽古で 4 時間,その後の 稽古は基本的に 11 時から夕方 6 時まで行いました。緊張感もありましたがそれと同時にと てもあたたかい稽古でした。 ○稽古の時って他の出演者の方とはどんな話をするのでしょうか。 ●木村さんは前回もエレンを演じてらっしゃったので,その役柄の心構えなどをお話しし ました。ただ,今回は演出も大きく変わり,エレンのキャラクター・役柄も変わったので, 自分なりにも様々な資料を見てエレン役を考えました。 市村正親さんとも少し話しましたね。市村さんは初演から出演なさっているのに,常に新 しく役柄を考えていくという姿勢はとても勉強になりました。 ○本番を迎えたときはどんな気落ちでした。 ●ものすごく緊張しました。出番が少ないので 1 回出たらまた楽屋に戻っていなければな らないので,余計緊張して。 でも,演出補のダレン・ヤップ氏にアドバイスされたことや、彼が言ってくれた“私の良 さ”は失わずに出せたと思います。 ○これからも『ミス・サイゴン』の舞台はずっと続きますね。私もあと 10 回ぐらい観たい なあ(笑) 。 ●これから 8 月まで帝劇で,そのあと新潟,名古屋,大阪,福岡,横須賀と続きます。 毎日進化した舞台をお見せしたいです。 ○さて,高校時代の思い出というとどうですか。部活動はサッカー部のマネージャーでし たよね。 ●サッカー部のことは印象に残っています。それと三音(三の丸音楽祭)で橘川先生のバ ンド「とっつぁんぼうや」で宇多田ヒカルさんの楽曲を歌ったことが,特に印象に残って います。 ○あの頃私は 3 年生の軽音のメンバーから何人かを選んで「とっつぁんぼうや」をやって いたんだけど,歴代のメンバーでも三森さんの歌は特に良かった(笑)。 ○ところで高校時代,今の自分は想像できましたか。 ●できませんでした。小さいころから漠然と芸能界にはあこがれていました。しかし,今 の自分のようになるとは,想像もしていませんでした。 ○どのタイミングというか,いつ女優でやっていこうと思ったのですか。 ●高校 3 年の時に劇団四季の『ライオンキング』を観て,ミュージカルの世界に行きたい と思いました。 その後大学に進学して,早稲田大学のミュージカルサークルに入りました。それと大学に 行きながらミュージカルの専門学校にも行っていました。ダブルスクールです。 大学卒業後,どうしようかと悩みました。大学時代もオーディションを受けていましたが 受からなくて。小さな舞台は出ていましたが・・・・。 2007 年に劇団四季のオーディションに受かってからですね。本格的にミュージカル女優を 目指したのは。 ○いいスタートでしたね。でもその後大変だったんですよね。 ●2 年劇団四季にいましたが,のどを壊して手術することになってしまって。 手術をしてのどが治っても,しばらく歌うことが怖くなって・・。1 年半ぐらいはアルバイ トをしていましたね。そのときにも相当悩みました。 でも,歌うのは怖いけど,結局やっぱりミュージカルが好きなんだなと思いました。そし て,ミュージカル「ひめゆり」で“みよ役”で出演することになり,やはり好きなことを やれる幸せを感じました。 ○素晴らしい。ところで,一高の同級生や先輩,一高のありがたさや凄さを感じたことは ありますか。 ●同級生は大学の時からサークルの公演に応援にきてくれました。今回の『ミス・サイゴ ン』の出演をきっかけに大分年上の先輩から連絡をいただくことに。フェイスブックでも 先輩の友達が増えました(笑) 。 本当に一高のネットワークは凄いと思います。 それと,お正月2日のサッカー部のけり初めは,卒業後も毎年行っていました。一高のサ ッカー部は卒業した 10 年後に, マネージャーが豚汁をつくるという決まりがあるんですが, それにも行きました。10 年目はマネージャーみんなで行きましたね。 勉強はした思い出は・・・・ありません(笑) 。 ○一高はおもしろい学校で深作監督や小泉監督など映画界にも巨匠がいますね。本当に各 方面で活躍している方が多い。でも。俳優さんは少ないですね。そういう意味でも三森さ んの活躍は楽しみです。 ○これからはどのような活動をしていきたいですか。夢とか挑戦したいことなど教えてく ださい。 ●ミュージカルに限らず舞台や映画など映像関係にも挑戦したいです。自分の可能性や活 動を狭めないで,表現できることはなんでも挑戦していきたいですね。人を幸せな気持ち にすることができるならチャリティ活動など何でも挑戦したいと思っています。今年の 2 月にネパールの孤児院でのボランティアコンサートをして子供たちと「音楽」を楽しんだ 時に強く自分の使命を感じました。 ○では,最後に後輩へのメッセージをお願いします。 ●高校時代は本当に楽しかったなと思っています。歩く会もやっているときはしんどかっ たですが今では素敵な思い出です。(笑)皆さんには,この時間を大切に,まさに宝物の時間 なので,楽しんで,そしてこれからも夢を持ってがんばってください! 了 2013 年『レ・ミゼラブル』の舞台写真(東宝株式会社演劇部提供)
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