皇 帝 の 戦 い - クロノノーツゲーム

皇 帝 の 戦 い :
1918年
欧 州 の 戦 い
2006 クロノノーツゲーム
皇帝の戦い ルールブック
目 次
ページ:
1.0 はじめに
2.0 移動
3.0 支配地域
4.0 スタック
5.0 戦闘
6.0 補給
7.0 戦意
8.0 増援
9.0 補充
10.0 航空戦力
11.0 アルザス
12.0 初期配置
13.0 補足説明
14.0 選択ルール
15.0 プレイヤーノート
16.0 デザイナーノート
17.0 後記
18.0 クレジット
戦意ポイント表
増援表
1
2
2
2
3
4
4
5
5
6
6
6
7
8
8
9
9
9
10
10
2006 クロノノーツゲーム
1.0 はじめに
皇帝の戦い: 1918年は、1918年西部戦線に
おける決定的な戦役を再現するシミュレーションゲームで
ある。ゲームは1918年3月から11月までの全期間を
扱うキャンペーンゲームとして、または春の初期ドイツ軍
攻勢、夏の連合軍反撃、そして秋の最終的な連合軍の
掃討戦を扱う3つのシナリオに分けてプレイすることが
できる。
1.1 地図: 3色刷の地図は、実際に戦いが行なわれた
北部フランスとベルギーそしてそこに隣接する地方を
収めている。地図は、A、B、C、Dと記号が付けられて
いる4つのセクションに分割されている。セクションの
正しい重ね合わせ方は、以下の通りである:
1.2 駒: 正方形の駒(以後ユニットと呼ぶ)は、
史実上の戦いにおいて戦ったまたは戦ったかもしれない
様々な戦闘部隊を表している。これらユニットは、ゲーム
の準備を用意にするために国籍、兵科および戦力毎に分類
するとよいであろう。各々のユニットには、その兵科、
国籍、戦力、移動力、そして規模に関する情報が記されて
いる。
防御力
1次移動力
2次移動力
部隊名
騎兵
補給
砲兵
戦車
ユニットの兵科は、基本的に2つのカテゴリーに分類
される: 戦闘ユニット(歩兵、騎兵、そして戦車)、
および特殊ユニット(砲兵および補給)である。後者の
種類は、様々な点(攻撃力と防御力が無いことに注意)
において戦闘ユニットと異なり、そして特別ルールが適用
される。
ユニットの規模:
師団
旅団
大隊
1.23 国籍: ユニットの出身国を表すために1ダース
以上の固有の国籍が使用されているが、大部分のゲーム
機能面において4つの中心となる“国籍”にまとめられて
いる − ドイツ,イギリス,フランス,そしてアメリカで
ある。特に言及されていないかぎりは、イギリス軍に
関する以降のルールは全ての赤色ユニットに、フランス軍
に関しては全てのダークブルーのユニットに、そして
ドイツ軍に関しては全ての灰色のユニットに対して適用
される。
1.24 ゲームのマーカー類: いくつかの駒は、ゲーム
を記録する為にマーカーとして使用される。“D”(日付)
と“M”(月)マーカーは、ゲームの時間進行を記録する
ために使用され、“ML”と“RL”マーカーはそれぞれ
戦意レベルと補充レベルの記録の為に使用される。
1.4 プレイの手順: 皇帝の戦い: 1918年は、
ゲームターンの進行に従ってプレイさる。各ゲームターン
は、実際の時間の1日に相当する。各ゲームターンは
ドイツ軍プレイヤーターンと連合軍プレイヤーターン
に分かれている。一部のシナリオでは、連合軍プレイヤー
ターンがドイツ軍より先に実行される。各プレイヤー
ターンは、3つのフェイズに分かれている: 1次移動
フェイズ、戦闘フェイズ、そして2次移動フェイズで
ある。各ゲームターンの終了時に、共通のユニット回復
フェイズを行う。そのフェイズ中、両軍のプレイヤーは
補充ルールに従って除去されたユニットを補充に割り
当てる。
1.21 ユニットの種類:
歩兵
A = オーストラリア軍 H = ハノーヴァ
B = バイエルン It = イタリア
Be = ベルギー軍 K = 騎兵(ドイツ)
Cd = カナダ軍 L = 後備兵
Co = 植民地 Mo = モロッコ
CP = 降馬騎兵 NZ = ニュージーランド
E = 補充兵 Pl = ポーランド
G = 近衛 Po = ポルトガル
R = 予備
1.3 ゲームの欄および図表類: 大部分は地図の端部
に印刷されている。これらは、ゲームの時間の経過、戦意
および補充ポイントのレベル、消耗ユニットの再建、
そして鉄道によるユニットの輸送を記録するために使用
される。その他の表は、地上の攻撃、航空機による地上
ユニットへの攻撃を解決するために使用される。
規模
攻撃力
1.22 ユニットの部隊名: ユニットの史実上の“名称”
である。以下の略語が使用されている:
1.5 特別ターン: 各ゲームの月始めおよび
キャンペーンゲームの第1ゲームターンは特別である。
これらのターンは、通常の手順に入る前にプレイヤーは
2つの追加フェイズである航空優勢フェイズと補充
および増援フェイズが実行される。航空フェイズ時、
航空ルールに従って航空優勢のためにプレイヤー同士が
サイを振る。補充および増援フェイズでは、各プレイヤー
はその月分の割り当てられる補充ポイントおよびその月に
予定されている増援を受け取る。
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2006 クロノノーツゲーム
2.0 移動
2.1 移動フェイズ: 2つの移動フェイズ、1次移動
および2次移動があり、戦闘フェイズによって分断されて
いる。ユニットは、移動力を持っているフェイズ中のみに
移動できる。フェイズ中に、ユニットはヘクスの目に
沿って所有プレイヤーの望む順番に移動される。移動する
に従って、その移動力を消費する。一般的にヘクス毎に
1ポイントの消費である。
2.2 地形効果: 大部分のへクスは1ポイントの消費で
進入できるが、ある種の地形に進入するあるいは河川を
通過する場合、移動消費は更に多くのコストかかることに
なる。移動コストは、地図セクションD上の地形効果表上
にまとめられている。地形の影響は、累積される。地形の
コストに関係なく、ユニットは常に移動可能なフェイズ中
に最低限1ヘクスを移動できる。
2.3 補給ユニット: これらのユニットは特別な事例
が課せられる。補給ユニットが森あるいは荒地を含む
ヘクスに進入または河川の通過を試みる度毎に、サイコロ
を1個振らなければならない。サイコロを振った結果が
成功のサイの目である場合は移動可能であり、失敗の場合
はそのフェイズ中は移動できなくなる。地形効果表を参照
のこと。前述のルール(2.1項)に対して、これは例外
であることに注意。加えて補給ユニットは決して任意に敵
ユニットの隣に移動することができず、そして隣接する
ような状態になった場合は可能なかぎり早く離れるように
移動しなければならない。補給ユニットは攻撃および防御
能力を持っておらず、敵ユニットによって攻撃された場合
は自動的に除去される。
2.4 鉄道および海上輸送: 両方の陣営とも鉄道に
よる輸送を行うことができ、そしてイギリス軍のみが海上
輸送を行うことができる。地図上に描かれている鉄道線は
補給のために存在しており、鉄道移動とは関係無いことに
注意。実際の鉄道網は遙かに複雑であるので、輸送は
抽象的な方法で再現される。
2.41 鉄道輸送: 鉄道による移動をするためには、
ユニットは自軍第1移動フェイズを味方の都市または町内
で開始しなければならない。次にユニットを取り上げ、
該当する鉄道移動欄上の空いているマス内に置く。マスの
数(ドイツ軍用4個、連合軍用6個)は、同時に移動させ
られる師団数の上限である。次の味方第1移動フェイズ時
に、敵ユニット、敵ZOC、湿地あるいは洪水地帯へクス
を通過せずに移動を開始した地点からヘクスを辿って着く
ことができる味方の都市もしくは町にマス内のユニットを
置くことができる。続く自軍第2移動フェイズ時、
ユニットは通常通りに移動できる。最大3個師団を単一の
ターン中に都市または町内に置くそして/または取り
上げることができる。
2.42 海上輸送: 海上移動は、イギリス軍ユニット
のみ利用可能である。このルールの目的において、
イギリス軍ユニットとは正真正銘のイギリス軍、
オーストラリア軍、ニュージーランド軍、およびカナダ軍
ユニットのことである。ユニットは、地図上の3つの海峡
に面した港の間で、またはこれらの港から地図外の港へ
移動することができる。ユニットは、自軍第1移動
フェイズを港内で開始しなければならない。次に地図上
から取り除き、地図の脇に置いておかれ、そして次の第1
移動フェイズ時に目的地に置かれる。地図上の港が行き先
である場合、続く第2移動フェイズに移動できる。地図外
の港に行った場合、14日後にいずれかの味方の都市
または町に戻すことができる。
2.421 海上移動に関する制限: ターン毎に1つの港
に入港または出港できる最大数は、1個師団である。
ルール13.2項では、この制限は2個師団に上昇する。
3.0 支配地域(ZOC)
3.1 支配地域: 全ての戦闘ユニットは支配地域
(ZOC)を持っている。特別ユニットは持っていない。
ZOCは、ユニットまたはスタックを直接取り囲む6つの
ヘクスに及ぶ。ユニットが敵ZOC内に進入した場合、
直ちに停止しなければならず、その移動フェイズ中はそれ
以上移動することができない。
3.2 ZOCの効果: ユニットは味方ユニットが既に
そこのヘクスに位置していないかぎりは、ある敵ZOC
ヘクスから決して直接他の敵ZOCヘクスに移動すること
ができない。ZOCはまた、補給線の設定にも影響する
(6.0項 補給、参照)。
4.0 スタック
4.1 防御側スタック: 単一のへクスに対する攻撃に
対して防御できる師団数は2個までである。ヘクス内の
それ以上のユニットは防御に参加することはできないが、
防御側ユニットに対する戦闘結果も適用されない。ヘクス
内の上から2個の師団が、常に防御側ユニットとして
扱われる。
4.2 攻撃側スタック: 攻撃に参加できるユニット地形
によって変化する。荒地と森の両方の地形を含むヘクス
からは、2個までの師団が攻撃できる。ヘクス内の他の
地形に関係なく味方主戦線防御ラインへクスから攻撃する
場合は、最大4個師団まで攻撃できる。他の場合は、最大
3個師団が攻撃に参加できる。
4.3 特別ユニットおよび戦車ユニット: これらは
スタック制限の対象として数えない。しかしながら、
1つのヘクス内に2個以上の戦車ユニットはスタックする
ことはできない。
4.4 スタック超過: スタック超過を理由に、ユニット
が除去されることはない。スタック超過の対象となる
ユニットは、スタック超過状態であるかぎりは戦闘判定時
に無視されるだけである。この状況は、可能な限り早く
是正しなければならない。
4.5 損害の限度: たとえある状況下において1つの
へクス内に3個または4個師団がスタックしていても、
へクス毎に2個までの師団だけが除去される可能性がある。
超過分のユニットは、敵の攻撃を阻止する局地的な予備
として機能するものといして扱われる。
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5.0 戦闘
5.1 戦闘手順: プレイヤーの戦闘フェイズ中、その
自由裁量において隣接する敵ユニットに対して攻撃を実施
することができる。攻撃は、完全に任意である。攻撃側
プレイヤーは、各々の攻撃において使用する攻撃力値を
合計し、そして防御側ユニットの防御力の合計(地形
または防御ラインボーナスも含めて)と比較する。この
場合の比較は、例えば1−1、2−1等の単純な比率
として表される。比率は常に防御側が有利なように、端数
が切り捨てられる。例として、19攻撃力値 対 10防御力値の場合は、1−1の攻撃として解決する。
戦闘結果表の適切な比率の欄に当てはめ、そして結果を
求めるためにサイコロを振る。結果は、直ちに適用される。
5.2 戦闘結果:
AX = 攻撃側相互除去。 攻撃側は攻撃目標ヘクス内
の防御側ユニットに等しい数と規模のユニット
を全滅(プレイから除去)させる。例えば、
2個師団に対する4個師団による攻撃の場合、
攻撃側は自軍師団の2個を除去することになる。
DI = 防御側主導。 防御側ユニットには、3つの
選択肢がある。(1) 直ちに全ての攻撃側
ユニットに対して反撃することができる。
そこでまたDIの結果が出た場合、攻撃側は
その攻撃を続行しなければならない(これは、
DI以外の結果が出るまで続けられる)。
(2) 防御側ユニットは1ヘクス退却し、
そして攻撃側ユニットはそのヘクスに前進
できる。(3) 防御側は相互除去を適用、
つまり自軍防御ユニットと自軍防御ユニットと
等しい数の攻撃側ユニットを除去する。1つの
ヘクス内では2個師団までが防御に参加できる
ことから、これらだけが相互除去の適用を
受ける。へクス内の残りのユニットはその場に
留まることを忘れないこと。ヘクスが相互除去
によって空いた場合、生き残った攻撃側
ユニットはヘクスに進入することができる。
EX = 相互除去。 上記のDIの選択肢(3)と同様。
DE = 防御側除去。 防御側ユニットは、除去される。
へクスが空いた場合、攻撃側ユニットはそこを
占領できる。
5.3 戦闘に関する制限: 1回の戦闘フェイズ毎に
ユニットは1回だけの攻撃を行うことができ、そして1回
だけ攻撃を受ける可能性がある。攻撃側ユニットは、複数
防御へクスに対してその攻撃力値を分割することが
できない。(例外: 5.7項 砲兵、参照)
5.4 戦闘に対する地形の影響: 防御施設ラインを
含む様々な種類の地形によって、防御側ユニットは防御
ボーナスを得る。これらのボーナスは、地形効果表に一覧
されている。これらの防御ボーナスは累積され、そして
それぞれの防御ユニットに加えられる。例として、2個
ドイツ軍4−4師団がドイツ軍主線防御地点、森および
荒地地形が含まれているヘクス内で防御している場合、
各々の師団はその防御力値が9ポイント分上昇する(森に
よって1、荒地によって2、主線防御地点によって6)。
従って、へクスの合計防御力は26になる。
5.5 防御地点: ドイツ軍の防御地点は緑色であり、
連合軍のは茶色である。それらは3つのカテゴリーに分類
される:主線、中間、そして後衛である。防御地点の防御
ボーナスは固定されたものではない。防御地点と同じ国籍
のユニットのみに全数を適用することができる。ドイツ軍
防御地点ではドイツ軍ユニットのみが完全な防御ボーナス
を得られ、そして連合軍防御地点では連合軍のみである。
しかしながら、敵の防御地点で防御するユニットは、その
防御地点の通常の防御ボーナスの1/3を受け取ることが
できる。その場合は、端数は切り捨てられる。修整後の
ボーナスの値が1未満である場合は、ゼロである。防御
地点は決して破壊されない、つまり防御ボーナスを提供
する能力を決して喪失しない。
5.6 塹壕構築: 塹壕構築によってユニットは防御力を
増加させられる。塹壕構築は、味方または敵の防御地点
あるいは都市を含むヘクス内で実施することができない。
塹壕構築を行うためには、攻撃を行うそして攻撃を受ける
こと無く完全に1ゲームターンの間ユニットは、へクス内
に留まらなければならない。一度塹壕構築が完成したら、
その防御力を2増加させることができる。塹壕を構築
しているユニットは、攻撃を行える。塹壕は一時的な施設
である。そのヘクス内に移動せずに残っているかぎりに
おいてのみ、ユニットは塹壕を利用できる。ユニットが
移動またはヘクスから強制的に追い出された場合、塹壕は
消滅し、そして敵側プレイヤーに対しても恩恵を提供
しない。
5.7 砲兵: 砲兵ユニットは防御力が無く、そして
いかなる地形からも恩恵を受けることができない。敵戦闘
ユニットから攻撃された場合、自動的に除去される。敵
砲兵ユニットによる、効果を受けない。通常の攻撃力の
代わりに、砲撃力を持っている。砲撃力は、砲兵ユニット
の3へクス以内の攻撃に適用できる。砲撃力は、この射程
内の別々の攻撃の間で自由に分割することができる。砲兵
ユニットは、通常戦闘ユニットと組み合わせて攻撃する
ことができ、あるいはそれ自身が敵ユニットを攻撃する
ことができる。実行した、あるいは参加した攻撃の戦闘
結果の適用を受けることは決してない。砲兵ユニットは
攻撃用に使用できるだけであり、防御に対しては効力を
持たない。
5.8 ドイツ軍突撃兵師団: ドイツ軍6−4(突撃兵
あるいは“Stoss”)師団は、戦闘時において特別な事例の
適用を受ける。ドイツ軍ユニットが除去(AX、EX
またはDE)されなければならない戦闘に“Stoss”
ユニットが参加している場合、除去されるユニットの半分
に最低限割り当てられなければならない。ドイツ軍
プレイヤーが2個イギリス軍師団が存在するヘクスを攻撃
した場合を例として、EXの結果が出たと仮定する。
両方のイギリス軍師団と2個ドイツ軍師団が除去され
なければならず、そして6−4師団が攻撃に参加している
ならば、除去ユニットの内の1個として適用しなければ
ならない。
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6.0 補給
6.1 補給基本事項: 補給切れのユニットは攻撃できず、
そして2次移動を行うことができない。移動時の補給は、
移動フェイズ開始時に判定される。戦闘時の補給は、戦闘
フェイズ開始時に判定される。2種類の補給がある: 通常補給と拡張補給である。通常補給は、開始時の3月
21日の時点の戦線上もしくはその後方にある全ての
ユニットが利用可能である。自軍戦線を越えてユニットが
出撃した後は、直ちに補給ユニットによって供給される
拡張補給を利用しなければならない。
6.2 ドイツ軍補給: ドイツ軍ユニットは、自軍3月
21日戦線上もしくは後方にあり、そして敵ユニット
もしくは敵ZOCに妨害されていないドイツ領と盤外へと
続く味方鉄道から20移動ポイント以内である場合は、
通常補給下にある。自軍戦線から出ている場合は、味方
補給ユニットから10移動ポイント以内であるならば
補給下である。補給ユニットは、通常補給に使用される
味方鉄道線まで敵ユニットもしくは敵ZOCに妨害されて
いない補給線を引けなければならない。その場合の長さは、
無制限である。
6.3 フランス軍補給: 味方の鉄道線がフランス側
地図端へ続くものであるという明白な違い以外は、
フランス軍補給はドイツ軍と同じ要領で引かれる。加えて、
パリへクスまで5へクス以内の妨害されていない補給線を
引ける場合は、最大15個師団までが補給を受けることが
できる。
6.4 イギリス軍補給: イギリス軍補給が4つの源:
ダンケルク、カレー、ブローニュの3ヶ所の海峡に面した
港と、フランス鉄道網から引かれること以外は、イギリス
軍補給の基本的な仕組みは上記と同じである。各々の海峡
に面している港の補給能力は、最大20個イギリス軍師団
である(フランス軍とアメリカ軍ユニットは、海峡に
面した港から補給を受けることができない)。ドイツ軍に
よって港が占領された場合、イギリス軍に対するその補給
能力は永久に失わる。
6.41 フランス内鉄道: フランスの鉄道線を利用する
場合、イギリス軍は最大25個師団を補給することが
できる。全ての海峡に面する港が敵側に陥ちた場合、前述
の鉄道補給能力は最後の港が陥落した30日後に40個
師団に増加する。
6.5 アメリカ軍補給: アメリカ軍ユニットは、
フランス軍と同じ方法で補給を受ける。
6.6 孤立: ユニットは、どの距離でも補給線を引く
ことができない場合に孤立する。この状態は、敵ユニット、
敵ZOC、および/あるいは海、または洪水地帯へクスに
よって完全に囲まれている場合、通常発生する。孤立した
ユニットは全ての移動能力を失い、ZOCを消失し、
そして攻撃を行うことができない。補給切れおよび孤立
ユニットは、無期限にその状態を続けることができる。
レベルは戦意ポイント(MP)の増減によって上昇
もしくは下降する。戦意レベルは、戦意−補充欄を使用
して記録する。アメリカ軍ユニットは戦意レベルが無く、
決して戦意の影響を受けない。
7.2 戦意ポイント: 通常戦意ポイント(MP)は、
それぞれ都市、主要な町、および他の地理上の目標の占領
あるいは喪失によって獲得または喪失される。敵の町等を
占領した場合、直ちにその戦意ポイント値が味方側の戦意
レベルの合計に加えられ、敵側からは引かれる。支配権が
入れ替わる毎に、戦意ポイント値は追加または差し
引かれる。また戦意レベルは、アメリカ軍師団の登場と
除去の影響を受ける。戦意ポイント一覧は、ルールの最後
のページの戦意ポイント表に掲載されている。
7.3 戦意段階: 国の戦意レベルは、その戦意段階を
反映する。3つの戦意段階がある: 戦意旺盛、部分的
戦意喪失、および全面戦意喪失である。各国の部分的
戦意喪失するポイントは、戦意−補充欄上において
アスタリスク(*)印の付いているその国の略語
(GE = ドイツ軍、FR = フランス軍、BR = イギリス軍)で表示されている。例えば、ドイツ軍戦意
レベルが20より大きいかぎりは、ドイツ軍は戦意旺盛
である;20以下になった場合、部分的戦意喪失状態に
なる。部分的戦意喪失状態のユニットは、攻撃を行う際に
1コラム低い欄を使用し、そのようなユニットを攻撃する
場合は1コラム高い欄で解決する。
7.31 全面戦意喪失: 国の戦意レベルが“0”に
達した場合、全面戦意喪失状態になる。全面戦意喪失状態
は、回復させられない:国の戦意レベルはこの時点から
再建することができない。従って、この国に対するそれ
以降の戦意ポイントの増減は無視される。部分的戦意喪失
状態の制限に加えて、全面戦意喪失状態のユニットは攻撃
できず、また任意に敵ユニットの隣に移動することが
できない。他の状況によって敵ユニットと隣接した場合、
その状態を続けることができる。
7.32 変更時期: 戦意段階の変化は、直ちに影響を
持つ。
7.4 ベルギー軍の戦意: ベルギー軍ユニットは、
ベルギー国外にある場合は部分的戦意喪失状態になる。
ベルギー国境ヘクスは、ベルギー領として扱われる。
7.5 個別の連合軍戦意: フランス−イギリス軍戦区
ラインの北側であり開始時の戦線の背後の地理上の目標が
連合軍ユニットによって喪失又は再占領された場合、常に
イギリス軍戦意レベルに対して勘定すること。戦区ライン
の南側であり開始時の戦線の背後の地理上の目標に
関しては、全ての面において同じことがフランス軍戦意
レベルに適用される。
7.6 ドイツの地理上の目標: 連合軍ユニットが
開始時のドイツ軍戦線背後の地理上の目標を占領(又は
喪失)した場合、目標を占領した国籍(イギリス又は
フランス)の方に得点(又は失点)が課せられる。
イギリス軍とフランス軍が共同して目標を占領(又は喪失)
した場合は、両軍とも同じ戦意の影響を被る。
7.0 戦意
7.1 戦意基本事項: ドイツ軍、イギリス軍、および
フランス軍は戦意レベルが設定されており、その戦意
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2006 クロノノーツゲーム
7.7 アメリカ軍ユニットと戦意: アメリカ軍
ユニットによって開始時のドイツ軍戦線背後の目標が占領
(又は喪失)された場合、イギリス軍とフランス軍の両方
の戦意が影響を受ける。
連合軍騎兵師団 = 2RP
ベルギー軍師団および
ドイツ軍旅団 = 3RP
他の全ての師団 = 4RP
8.0 増援
9.41 RPの配分: 除去されたユニットは、上記の
数値から損失を引いた分のRP値に相当する。損失分は、
RRTにユニットを割り当てる時のサイの目で決定される。
例えば、除去されたフランス軍師団のサイの目の出目が3
か4である場合、2RPの価値になる(4−2=2)。
8.1 増援の手順: 毎月の始めまたはシナリオの第1
ターン時に、プレイヤーは増援表を確認し、ターン記録欄
上に増援を準備する。増援は指定された日付のプレイヤー
側の第1移動フェイズ中に、いずれかの味方側の町から
登場する。そのフェイズ中に移動することができる。
21/ 2 × 2−3 の様に増援はリストされている。
最初の数字は日付であり、2番目はユニットの個数、
そして最後の2つは攻撃力/防御力の“戦力による種類”
である。増援表は、このルールマニュアルの最後のページ
に掲載されている。
9.42 解隊の制限: 解隊できるユニットの数は制限
されていない。しかしながら、解隊によって獲得された
RPは、同じ特定の国籍および兵科のユニットを補充する
ためだけに使用できる。つまり、フランス軍騎兵師団の
解隊によって得られたRPは、フランス軍騎兵師団の補充
用のみに使用できる。
9.0 補充
9.5 特別ユニット: ドイツ軍6−4師団および全ての
カナダ軍師団は、常にRRT3の欄上で補充される。戦車
と補給ユニットも常にRRT3の欄上で補充される。
それらに対して、サイコロを振る必要はない。
9.1 補充の手順: 戦闘において除去されたユニット
は、戦闘用部隊としてそれ以上の使用に耐えられない
までの損害と疲労を被ったものとみなされる。回復する
ためには、補充ポイント(RP)という形で補充を受け、
そして補充および再編成欄(RRT)の1つで休養
および再編成期間を過ごす。
9.6 アメリカ軍とイタリア軍の補充: アメリカ軍
およびイタリア軍師団は、除去された際に自動的に受け
取られる無尽蔵のRPがあるものとみなされる。それらは
RRT欄に割り当てられなければならないが、直ちに再建
手順に進められる。
9.2 ユニット回復フェイズ: 各ゲームターンの
終了時、プレイヤーは共通ユニット回復フェイズを実施
する。プレイヤーは先の戦闘フェイズ中に除去された自軍
ユニットの個々に対して、1回ずつサイコロを振る。サイ
の目の結果によって、RRTの3つの欄の内の該当する
1つにユニットの割り当て先が決定される。サイの目が
1−2の場合は1の欄に割り当てられ、サイの目が3−4
では2の欄に、サイの目が5−6の場合は3の欄に割り
当てられる。そして指示された欄のRP待機セクション
上にユニットを置く。
9.7 補充の制限: 同時に欄上に置くことができるのは、
1個戦車ユニットだけである。砲兵ユニットは、決して
再建できない。
9.3 補充ポイント配分: 次に、プレイヤーは自軍の
RPレベルからユニットにRPを割り当てる(可能である
ならば)。RRT1に置かれたユニットは欄上で移送を
開始するためには1RP必要であり、RRT2上の
ユニットは2RP必要、そしてRRT3の場合は3RP
必要である。必要なRP数を使用できないユニットは、
RP待機ボックス内に留まらなければならない。使用
されたRPは、プレイヤーのRPレベルから差し引かれる。
必要なRPを受けたユニットはその欄の最初のマスに
置かれ、1日1マスの単位で欄上を移動する。欄上の最後
のマスに到達した後の味方移動フェイズ時に、ユニットは
味方側の町に置くことができ(スタック制限内で)、その
フェイズ中に移動を始めることができる。
9.8 補充ポイント: 補充は補充ポイント(RP)の
形で受け取られる。プレイヤーは毎月の始めに配当分を
受け取り、それらは自軍の現行レベルに加えられる。
ドイツ軍 イギリス軍 フランス軍
開始時
20 8 10
3月21日レベル
4月 40 16 10
5月 40 16 10
6月 40 20 12
7月 40 20 12
8月 10 20 16
9.4 解隊: ベルギー軍、ポルトガル軍、ポーランド軍、
およびニュージーランド軍ユニットと全ての連合軍騎兵
師団は、決して通常のRPを受け取ることができない。
解隊されるという形でのみ再編成することができる。
解隊とは、ユニットが他の同種のユニットのためにRPを
供給するために、永久に分解されることを意味する。
ユニットは、以下の割合でRPに還元することができる:
9月 10 24 20
10月 10 20 10
11月 10 12 10
12月 20 10 5
5
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10.0 航空戦力
10.1 航空システム: 第1次世界大戦中、航空機は
初期の頃は偵察あるいは他の飛行機の撃破のために使用
されていた。1917年に至って、両陣営とも地上支援
および攻撃任務に航空機を集団運用し始めた。このルール
は、そのような運用を再現する。航空部隊駒は、用意
されていない。代わりに航空戦力は、航空ポイント
(AP)の形で表されている。APは、地図盤の
セクション“C”上の航空優勢表に従って得られる。
ゲームの開始時、およびその後は毎月の初めに、
プレイヤーは航空優勢決定のためにサイコロを1個振る。
10.2 航空優勢: 航空優勢を得たプレイヤーは、続く
その月の各戦闘フェイズ毎において指示されたAPの全数
を受け取る。航空優勢のないプレイヤーは、指示された
APの半分のみを受け取る。例えば、5月の開始時にサイ
の目の結果が“2”であった場合、この結果によって
ドイツ軍プレイヤー側が航空優勢を得る。ドイツ軍
プレイヤーは、5月の戦闘フェイス中に8APを使用する
ことができ、連合軍プレイヤーは5APである。
11.2 アルザスでの選択: 上記のルールの他に、
そして実際に実施されていた方法を反映するために、
ゲーム中プレイヤーは2個除去師団(同じ種類の) = 1個未除去師団の比率でアルザス戦線の未除去ユニットと
除去ユニットを交換することができる。従って、
プレイヤーは16個除去師団で自軍アルザス戦線を形成
することもできる。除去ユニットは、RP待機ボックス内
のユニットまたはその他のRPを受け取れないユニット
から構成されなければならない。アルザス内にいる間、
ユニットはRPを受け取ることができず、その他の補充
手順に進むことができない。これを行うためには、RRT
に送り返さなければならない。
11.3 アルザスへの鉄道移動: ユニットは鉄道に
よってアルザスから出入りする。この場合アルザスは、
都市または町として扱う。除去ユニットは鉄道移動を使用
せずに、アルザスとRRTを出入りすることができる。
12.0 初期配置
10.3 航空ポイント: APの使用方法は、2通り
である。まずは、地上支援用に使用できる。その場合、
砲兵砲撃ポイントと同じように扱われ、そして攻撃の攻撃
ポイントの合計に加えることができる。また、航空妨害
用としても使用できる。その場合は、敵地上ユニットに
対して個別の攻撃を実施するために使用する。航空妨害
表を使用し、各々の攻撃毎にサイコロを1個振る。“X”
の結果が出た場合、航空妨害は成功である。
10.4 航空妨害: 航空妨害攻撃は、地図上の
どこにでもいる敵ユニットに対して実施することができる。
妨害を受けたユニットは、次のゲームターンの戦闘
フェイズが終了するまで移動および攻撃をすることが
できない。加えて、妨害を受けた補給部隊は補給を供給
することができない。航空妨害は、攻撃対象となった
ヘクス内の全てのユニットに対して適用される。航空
妨害攻撃は、全ての通常の攻撃が終了した後に実施される。
妨害を受けたユニットは、その状態を表すために裏返すか、
別の方法で表示しなければならない。
11.0 アルザス
11.1 アルザス戦線の抽象化: アルザスは本来は
西部戦線の一部であったが、地図の規模・形状の問題、
そして経費上の問題で省略せざる得なかった。ゲームの
史実性に対する全体的な影響は、皆無である。なぜなら、
そこでは全くほとんど何も起こり得なかったし、
起こらなかったからである。戦争の初期の頃からアルザス
地方は両方の陣営から“平穏な”戦区とみなされており、
基本的に疲労している部隊を休息させ、新たな部隊に
再編成するための場所として利用されていた。
しかしながらゲーム中、プレイヤーはアルザス戦線を維持
するために、部隊を分遣しなければならない。これらの
部隊は、各陣営の初期配置部隊から引き抜かれ、傍らに
置いておかれる。各々の陣営は、アルザスに最低限8個
師団相当の部隊を維持しなければならない。この場合、
連合軍騎兵師団は1/2個師団として計算する。イギリス
軍ユニットは、決してアルザスに送ることができない。
12.1 キャンペーンゲームおよび春季攻勢シナリオ:
両方とも3月21日から開始される; ドイツ軍
プレイヤーが先行する。キャンペーンは11月30日に
終了する。春季攻勢は6月30日に終了する。ドイツ軍
戦意レベルは40、イギリス軍は30、フランス軍は20
で開始される。
ドイツ軍初期配置ユニット: 56 × 6−4(全数)
71 × 4−4
41 × 3−3
24 × 2−3
3 × 1−2
1 × 2−0 戦車
4 × 砲兵(全数)
10 × 補給ユニット(全数)
制限: 4個 6−4 師団を、戦線から最低限
20へクス以上離して初期配置しなければならない。
連合軍初期配置ユニット:
イギリス軍: 2 × 4−4 を除いた
全てのユニット
フランス軍: 3 × 3−3(2個イタリア軍、
1個ポーランド軍)および 2 × 3−4 を
除いた全てのユニット
アメリカ軍: 4 × 6−6 は、アルザス内
またはフランスの後背地にあるものとみなす。
それらはアルザス戦戦線の必要事項を満たす
ために使用できるが、5月1日までプレイに登場
できない。戦意ポイントの対象として計算しない。
制限: 全てのベルギー軍ユニットは、ベルギー内に
配置しなければならない。配置に関してのみ、フランス−
イギリス戦区境界線の南側にイギリス軍ユニットを置く
ことは不可であり、逆も同様である。第1ターンから、
イギリス軍もフランス軍ユニットも自由にラインの北側、
南側に移動できる。
配置: (1) ドイツ軍プレイヤーは、最初に自軍
前線上にユニットを配置する。全ての前線へクスは、
ドイツ軍ユニットもしくはそのZOCによって占められて
6
2006 クロノノーツゲーム
いなければならない。
(2) 同じ条件で連合軍プレイヤーは。自軍前線に
ユニットを配置する。
(3) ドイツ軍は次に前線の後方(どこにでも)に
残っている全てのユニットを配置する。
(4) 連合軍も同じ要領で配置する。
注意: プレイヤーは、互いに前線内のユニットのみを
調べることができる。 勝利条件
キャンペーンおよびシナリオ: イギリス軍とフランス
軍の両方を完全戦意喪失状態にさせた場合、ドイツ軍は
決定的勝利を得る。イギリス軍が完全戦意喪失状態に
なった場合、フランス軍の戦意レベルは直ちに1つ下がる。
つまり良好な戦意状態であったならば部分戦意喪失状態に、
部分戦意喪失状態ならば完全戦意喪失状態になる。ドイツ
軍を完全戦意喪失状態にさせた場合、連合軍は決定的勝利
を得る。
シナリオ: ドイツ軍は、連合軍の合計したレベルの
少なくとも3倍以上の戦意レベルをドイツ軍が獲得して
いる場合は戦略的勝利、連合軍の合計の2倍以上の場合は
戦術的勝利、それより低い場合は引き分けであり、比率が
連合軍側に優勢である場合はドイツ軍の戦術的敗北である。
12.2 “形勢逆転”シナリオ: このシナリオは7月
18日に開始され、9月1日に終了する。ドイツ軍戦意
レベルは45、イギリス軍は31、そしてフランス軍は
25である。 ドイツ軍初期配置ユニット: 31 × 6−4
73 × 4−4
45 × 3−3
31 × 2−3
3 × 1−2
4 × 砲兵(全数)
10 × 補給ユニット(全数)
制限: ヴェスル(Vesle)河の南側(マルヌ河
突出部内)に最低限30個師団を配置しなければならない。
緑色の細い(小さい)点線は、拡張した範囲のドイツ軍
前線を表している。その範囲は、ドイツ軍ユニット
もしくはZOCで占められていなければならない。
“7月”戦線上のユニットは、塹壕構築を行っているもの
とみなされる。将来の増援を除く他の全てのユニットは
除去されてしまったものとみなし、ドイツ軍RRTのRP
待機欄上に配置する。6−4は3の欄に置かれなければ
ならず、残りは欄の間で均等に配分する。どちらの陣営も、
蓄積しているRPは無い。
連合軍初期配置ユニット:
フランス軍: 1 × 3−3(ポーランド軍)
および 2 × 3−4 を除いた全てのユニット
イギリス軍: 全てのユニット
アメリカ軍: 15 × 6−6
制限: 連合軍戦線の全ては、連合軍ユニットとZOC
によって占められていなければならない。ドイツ軍
“7月”戦線に隣接するヘクス内のユニットは、塹壕構築
しているものとみなす。
7個を奪還した場合は戦略的勝利を得る。最低限5個を
占領した場合、戦術的勝利を得る。5個未満の場合、
ドイツ軍は戦術的勝利を得る。
12.3 連合軍攻勢シナリオ: このシナリオは、9月
29日に開始され、11月15日に終了する。連合軍が、
先攻する。ドイツ軍戦意レベルは19、イギリス軍は42、
そしてフランス軍は36である。
ドイツ軍初期配置ユニット: 20 × 6−4
63 × 4−4
38 × 3−3
(3個オーストリア・ハンガリー軍含む)
32 × 2−3
(1個オーストリア・ハンガリー軍含む)
3 × 1−2
2 × “20”砲兵
6 × 補給ユニット
制限: 3月21日戦線は、サン・ミエル突出部が喪失
してしまっているヴェルダンの東部(地図D)を除いて、
ドイツ軍前線である。このシナリオでは“ミヒャエルⅠ”
ラインが戦線である。全てのドイツ軍前線へクスは、
ドイツ軍ユニットもしくはZOCで占められていなければ
ならない。将来の増援に含まれない初期配置に登場しない
全てのユニットは、前のシナリオと同様に扱われる。
どちらの陣営も、蓄積しているRPは無い。
連合軍初期配置ユニット:
フランス軍: 2 × 3−4 を除いた
全てのユニット
イギリス軍: 全てのユニット
アメリカ軍: 26 × 6−6
全ての連合軍砲兵と補給ユニット
制限: ドイツ軍“ミヒャエルⅠ”戦線に隣接するヘクス
内のユニットは、塹壕構築しているものとみなす。連合軍
戦線の全ては、連合軍ユニットとZOCによって
占められていなければならない。
勝利条件: 連合軍は、ドイツ軍を完全戦意喪失状態に
しなければならない。出来なかった場合、ドイツ軍は
少なくとも精神的勝利を得る。
13.0 補足説明
13.1 師団相当: 海上移動および鉄道移動に関して、
砲兵、戦車、および補給ユニットは師団として計算する。
歩兵旅団は全てのルールに関して、1/2師団として計算
する。
13.2 緊急海上撤収: 連合軍プレイヤーは海峡に
面している港から、能力の2倍までイギリス軍ユニットを
撤収させることができる。しかしながら、その要領で撤収
したすべてのユニットはRRTの3の欄上で再建され
なければならない。RPの消費は必要としない。
13.3 騎兵: ドイツ軍騎兵師団は、名称以外は全ての
面において歩兵である。全てのルールにおいて、歩兵と
同様に扱われる。
勝利条件: 連合軍は、3月21日戦線外のドイツ軍
ユニットによって占領されている9つの町の内、最低限
7
2006 クロノノーツゲーム
13.4 オランダ: オランダは中立である。ユニットは
オランダ国境へクスに進入できるが、オランダ領土内に
侵入を強制された場合は抑留され、プレイから永久に除去
される。
13.5 “M”の略語は、海兵隊で編成されている
ドイツ軍ユニットを意味する。
13.6 駒に4個ドイツ軍戦車旅団が含まれている。
これらのユニットは、ドイツ軍戦車の増産を仮定した今は
亡き選択ルール用に使用される予定であった。何れにせよ
駒自体は存在するので、相互の了解の上で3月21日
ターン開始時から使用してもよい。
14.0 選択ルール
以下はほとんど“仮想”シナリオ用である。全部史実上
起こる可能性は有ったが、実際には発生しなかった。
これらは、そのような可能性に興味を持っている
プレイヤーのために、またゲームに唯特別な条件を加える
ために利用できる。一部はゲーム上にあまり影響を与えず、
また他はバランスに多大な影響を及ぼす。
14.1 東部戦線部隊撤収: このルールでは、ドイツ軍
が東部戦線は史実以上に平穏である印象を受けたか、
完全な大胆さを発揮し、1918年3月に最大限の部隊を
利用するものと仮定する。この事例では、3月21日に
おいて全てのドイツ軍ユニットを使用可能である。後から
登場する増援を、受け取ることはできない。ドイツ軍を
大きく有利にする。
14.2 オーストリア軍の投入拡大: このルールは、
西部戦線においてより多くのオーストリア軍部隊が使用
できるものと仮定する。3月21日および6月1日の
いずれかにおいて、全てのオーストリア軍ユニットが使用
可能になる。ドイツ軍を大きく有利にする。
14.3 Uボートによるアメリカ船団攻撃: この
ルールは、アメリカ軍部隊の大西洋横断船団に対して
ドイツ軍がUボート戦力を集中したものと仮定する。予定
の登場日の各アメリカ軍ユニットに対してサイコロを1個
振る。1−2の目が出た場合は通常通りに登場し、3−4
の目の場合は登場が30日遅れ、5の目では60日遅れ、
そして6の目が出た場合は永久に除去される。ドイツ軍を
大きく有利にする。
14.4 追加フランス軍ユニット: フランス軍が部分
戦意喪失状態になった時に受け取ることができる2個の
3−4ユニットをフランス軍はイタリア方面に持っている。
部分戦意喪失状態になった10日後に、2個師団は
いずれかの味方の町に登場する。
14.5 アメリカ軍の早期到着: アメリカ軍ユニットは、
予定より30日早く登場する。連合軍を大きく有利にする。
14.6 洪水地帯: 両方の陣営とも退却する場合に低地
地帯を冠水させる準備をしていたが、全く実行され
なかった。このルールは、決壊を実施する意図があった
ものと仮定する。自軍支配エリアに洪水を起こす意思が
あるかを自軍ターンの開始時に公表しなければならない。
いかなるユニット(味方および敵)も、洪水へクス内に
居ることはできない。その後そのヘクスは全面海上へクス
として扱われ、通行不可能になる。注意: フルネ
(Furnes)の町は洪水によって遮断される。連合軍
の洪水によって遮断された場合、連合軍はそのMP値分を
失い、ドイツ軍が獲得する。ドイツ軍が遮断した場合、
連合軍がそのMP値を再獲得する。
15.0 プレイヤーノート
以下の文章は、皇帝の戦い: 1918年をプレイする
上で用いる戦略及び戦術に関するいくつかの一般的な示唆
である。
15.1 ドイツ軍プレイヤー
ドイツ軍であるならば、初期の目標はアメリカ軍部隊の
登場によって戦力バランスが自軍に不利に傾く前に、
イギリス軍とフランス軍を戦意喪失させるために攻撃する
ことである。自軍突撃兵師団は強力な戦術上の優位を
もたらすが、総体的な戦術上の優位は僅かである。戦闘
結果には相互除去が混ざっているので、攻撃及び防御は
割高な仕事になるであろう。自軍6−4師団は、優先的に
損失を被ることを忘れないこと、従って損害の一部を吸収
させるために常にいくつかの4−4またはできるならば
3−2又は2−3を周辺に用意することを心掛けること。
攻勢は最新の注意を以って計画し、実行しなければ
ならない。フランス軍の方が崩壊しやすい戦意であるが、
イギリス軍の方が戦略的に見れば弱点である。又、
イギリス軍の戦意崩壊はフランス軍の戦意崩壊も確実に
する。前線の異なる地点で同時に2ヶ所か3ヶ所の攻撃を
発動することは、1回の大攻撃よりも効果的であることが
多い。戦略予備として使用するために、戦線の背後に数個
師団を残しておくこと。常に失敗ではなく成功を補うこと。
イープル、ヴェルダン、およびシェミン・ド・ダム周辺の
戦区は最良の目標となるが、連合軍プレイヤーの全知力を
以って厳重に部隊配置されていることであろう。だが、
突破が重要な問題ではない。より大事なことは、連合軍
戦線に開いた穴をどのように拡大するかである。脆弱で
出血の多い(維持する上で)突出部の創出を最小限にする
ためには、突破の側面に対する圧力を維持すること。
6月までに決定的な成功を勝ち得なかった場合、来る
べき連合軍攻勢を迎える準備をするために、攻撃を中止
するべきである。3月21日の戦線(ヒンデンブルグ
ライン)の背後に直ちに撤収することは、戦意の喪失に
関わらず、利口な機動である。なぜならば、それによって
明白な防御上の優位が生じるからである。残っている
6−4師団を連合軍の攻撃を鈍らせる反撃集団に編成する
こと。自軍の準備されている防衛ラインに秩序立って退く
ことは、そこから駆逐するために連合軍プレイヤーに時間
と損害を喪失させることになる。
15.2 連合軍プレイヤー
戦術上そして戦略上不利な状態でゲームを開始すること
になる。初期の作戦計画は防御以外に有り得ない(ドイツ
軍戦線の弱点を利用することを躊躇う必要は無いが、
そのような防御攻撃に多くを注ぎこみ過ぎないこと)。
ドイツ軍を止めるためには、全力投入する必要がある
であろう!
イープルとヴェルダン戦区を強力に維持しなければ
8
2006 クロノノーツゲーム
ならない。フランダースのイギリス軍戦線が旋廻して
しまった場合、イギリス軍は容易ならない立場に置かれる。
一方では荒廃地やシャンパーニュ=アルゴンヌ戦区の
ような地域は、比較的簡単に保持できる。反撃および
抑止用に戦線の2から3へクス後ろに予めいくつかの予備
を用意しておくこと。他の師団は戦略予備として使用
できるように後方で乗車状態で残しておくべきであろう。
大撤退に追い込まれた場合、航空戦力をドイツ軍補給
ユニットの航空妨害に使用し、敵の追撃を遅滞させること。
最初の2ヶ月で戦役に勝ったか負けたかが判るであろう。
成功しているならば主導権は自分の手に渡り、ドイツ軍の
突出部の刈り取りを開始できるであろう。かなり安泰で
あろうヒンデンブルグ陣地に撤収できる前に、ドイツ軍に
可能な限り多くの損害を生じさせること。
重圧を維持しつづけ、敵に均衡を回復させる時間を
許さないこと。最終攻撃を注意深く準備し、可能な限り
戦線に沿って多くの場所で打撃を加えること。正面から
ぶつかっていくよりも、ドイツ軍陣地を迂回することを
心掛けること。
事実我々はキャンペーンゲームを残し、そうではない方々
のためにキャンペーンを3つの基本的なシナリオに
分解した。それでもシナリオは、どちらかと言うと短く
ない。プレイの進行中、プレイヤー同士互いに消耗して
しまう段階までに束縛されるけれども、プレイをスピード
アップするためにターンの一部を“飛ばして進ませる”
こともできる。
これらは我々がゲームのデザインにおいて直面した何点
かの重要な検討事項であった。我々は皆さんがこのゲーム
のプレイを楽しんでくださることを祈っています。
17.0 後記
皇帝の戦い: 1918年は当然、収集家が大いに捜し
求める対象になっていた。収集ディーラーは、しばしば
それに関する価格に非常識な値段を要求していた; 遺憾ながら時々汚い遣り方で対処していた。
エクスカリバー・ゲームズは、正当な価格で公正な態度
でこの優れたゲームをもう一度手に入れることが出来る
ことを誇りに感じている。
R.モシマン
16.0 デザイナーノート
皇帝の戦い: 1918年は完成まで2年の月日が
掛かり、1年はリサーチに費やし、もう1年はゲーム自身
のディヴェロップ作業とテストであった。現実性、
ましてやプレイのし易さに関するディヴェロップ作業は、
1918年戦役のゲームでは簡単ではなかった。部隊、
地形、そして兵站に関する一般的な考察に加えて、戦意や
人員補充のような“慎重を要する”領域がいくつもあった。
戦意は、事実、戦役において決定的な要素であった
(そして現在もそうである)。それは何と言おうと、
ボードゲームの形態において再現するにはかなり困難な
ものである。多くの手法、全てはより複雑過ぎたり簡素
過ぎたのであるが、を試みたが、欲しい“現実味のある”
答えを得るには至らなかった。我々は最終的には、戦意を
土地の占領と喪失およびアメリカ軍部隊の登場に直接
結びつける方法で処理した。これは簡潔な手法であるが、
国家の戦意を戦場におけるその総体的な成功と失敗に
繋げることに成功している。
18.0 クレジット
エクスカリバーゲームズ 1997年
ゲームデザイン: リチャード・スペンス
ゲームディヴェロップメント; ジェームズ・ゲーブル
アシスタントおよびテストプレイ: フランク・フェイルロ
グレック・レイマー
スティーヴ・ボーン
改訂版ルール筆記: “書記長”
改訂版ルール校正: “政治委員”
改訂版編集: L.カルマーズ
改訂版出版: R.モシマン
同様の抽象化手法は、鉄道輸送において使用されている。
実際の鉄道網は事実上は地図上全面を覆っており、美的
観点と簡素化の両方の点において望ましいものでは
無かった。西部戦線はそれ程広域では無く(ところで、
各ヘクスの対向辺距離は5キロか3マイルである)、
部隊は地図上のどこにでも24時間以内に移送することが
可能であった。時間の大部分は、乗車と下車に費やされて
いた。使用されたシステムは、鉄道管理体制の相対的な
能力の限界を強調し、そしてまた戦線後方の比較的
“隠密な”部隊輸送も可能にしている。
人資源のルールは、兵員数の減少だけではなく質の減退
も同時に扱っている。ここにおいて我々は、比較的史実に
近い結果が得られるまで様々な段階で試行錯誤した。
更なる問題は、ゲームの長さであった。1週間あるいは
3日間ターンのゲームも試してみたが、1日ターンで
得られるような“戦術的醍醐味”が感じられなかった。
これは、詰まるところ約250ターンのゲームを意味して
しまう。豊富な時間と忍耐力があるプレイヤーのために
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2006 クロノノーツゲーム
戦意ポイント表
地理目標 MP値
各パリへクス 5
その他:
アメリカ軍師団: イギリス軍およびフランス軍は
それぞれ、ゲームに登場した1個アメリカ軍師団毎に
1MPを得る。ドイツ軍は、1MP失う。たとえば、
9月中にイギリス軍とフランス軍はそれぞれ7MPを
獲得し、ドイツ軍は7MPを失う。
ヴェルダン 5
ランス 3
戦闘においてアメリカ軍ユニットが除去される毎に、
ドイツ軍は1MPを獲得しイギリス軍とフランス軍は
それぞれ1MPを失う。
海峡に面している港 3
イプール 3
開始時の連合軍戦線上あるいは後方 2
の全て他の都市もしくは主要な町 地理目標 MP値
“△”記号を含む全てのへクス 1
メッツ 3
アントワープ 3
開始時のドイツ軍戦線上あるいは後方 1
の全て他の都市もしくは主要な町
増援表
ドイツ軍 アメリカ軍 イギリス軍 フランス軍
3月 21/ 2 × 23
28/ 2 × 23
4月 2/ 1 × 44,1 × 33 15/2 × 44 10/ 1 × 44 27/ 1 × 23 5月 1/ 2 × 33 1/ 1 × 66
28/ 2 × 23 6月 1/ 1 × 66
10/ 1 × 66
20/ 1 × 66
7月 10/ 2 × 33(AH) 1/ 2 × 66 1/ 2 × 33(IT)
15/ 5 × 66
8月 5/ 2 × 66
25/ 2 × 66
9月 1/ 2 × 33(AH) 1 /1 × 66 1/ 1 × 33(PL)
5/ 2 × 23 10/ 1 × 66
11/ 1 × 33(AH) 15/ 5 × 66*
21/ 1 × 23
*この日付にアメリカ軍補給
25/ 2 × 23 ユニットおよびAEF戦車
29/ 2 × 23 および砲兵ユニットも到着する。
10月 5/ 2 × 23 1/ 1 × 66
10/ 2 × 23 5/ 2 × 66
22/ 1 × 23
11月 5 /1 × 66
15/ 1 × 66
12月 15/ 2 × 66
10
2006 クロノノーツゲーム
地図上の図表類
地図セクションA
地図セクションB
連合軍補充&再編成欄
鉄道移動欄
ドイツ軍補充&再編成欄
鉄道移動欄
地図セクションC
戦意−補充レベル
戦闘結果表
航空妨害
サイの目
サイの目
戦闘比
航空
ポイント
航空戦力
使用可能な
航空優勢判定
航空戦力ポイント
サイの目
ドイツ軍
3
月
4
月
5
月
6
月
7
月
8
月
9
月
連合軍 ドイツ軍 連合軍
10月
11月
2006 クロノノーツゲーム
地図セクションD
ターン記録欄
地形効果表
平地
森
荒地
荒廃地
全面
海上
河川/
運河
都市
主要な町
道路
移動消費
防御ボーナス
その他
鉄道、国境、
小さな町
洪水
地帯
湿地
a = ヘクス内の他の地形に準ずる
b = 進入するためには、補給ユニットはサイコロを振って1−4を
出さなければならない。種類が重複している場合: 1−3
c = 冠水していない場合は平地として扱う; 冠水している場合、
進入禁止。
d = 越えて攻撃するユニットは戦力半減、端数切上。
e = 補給ユニットは、平地として扱う。
f = 進入禁止
防御地点:
ドイツ軍:
主線
中間
後衛
連合軍:
主線
中間
後衛
2006 クロノノーツゲーム