通貨レポート:メキシコペソ - 野村アセットマネジメント

ご参考資料
2016年5月12日
通貨レポート:メキシコペソ
ポイント① メキシコペソは軟調に推移
メキシコペソは、資源価格の下落や中国経済の減速懸
念、米国の利上げ観測などを背景に2015年央以降、他
の新興国通貨とともに下落基調で推移しました。さらに、
2016年の年明け以降は、原油価格の急落などもあり、2
月11日には対米ドルで19ペソ台の史上最安値を付けまし
た。その後、原油価格の反発などによってやや回復しました
が、2016年5月10日時点では、対米ドルで年初来5.3%
のメキシコペソ安となっています。
ポイント② メキシコペソに出遅れ感
図2は、各通貨の対米ドルのリターンに金利から得るリター
ンを加算したトータルリターンを表しています。2015年はメキ
シコペソを含めた多くの新興国通貨のリターンがマイナスでし
たが、2016年はメキシコペソ以外はプラスに転じており、メ
キシコペソには出遅れ感があります。その背景の1つとして、
米国大統領選挙を巡る不透明感が考えられます。メキシコ
は米国との経済的な結びつきが強く、米国向けの輸出の割
合が大きいため、米国大統領選挙の行方がメキシコ経済
に与える影響も懸念されています。
ポイント③ ファンダメンタルズは安定
一方、メキシコのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)
は安定しています。2016年4月のインフレ率(消費者物
価指数)は前年同月比+2.54%と、メキシコ中央銀行
のインフレ目標の中心値(+3.0%)を下回っています。
また、2016年1-3月期の実質GDP(国内総生産)成
長率は、前年比+2.7%と10-12月期の同+2.5%を上
回りました。国内の個人消費の拡大などにより緩やかな成
長が続いており、経常収支も小幅な赤字で安定しています。
メキシコ財務省は、メキシコ中央銀行が緊急利上げを決
定した2月17日、2016年の歳出を対GDP比で約0.7%
削減すると発表しました。2017年予算にも歳出削減を盛
り込むと示唆しており、財政健全化に向けた姿勢を見せて
います。
足元、軟調に推移しているメキシコペソですが、ファンダメ
ンタルズの堅調さから勘案すると、やや売られすぎとも考えら
れます。
重要
イベント
5月25日
経常収支(1-3月期)
6月9日
消費者物価指数(5月)
6月30日
金融政策発表
図1:為替レートの推移
期間:2014年12月31日~2016年5月10日、日次
9
(円/メキシコペソ)
(メキシコペソ/米ドル)
12
対円(左軸)
対米ドル(右軸、逆目盛)
8
14
7
16
メキシコペソ高
6
18
メキシコペソ安
5
14/12
15/3
15/6
15/9
15/12
20
16/3(年/月)
図2:各通貨の金利を含めたトータルリターン(対米ドル)
2015年
メキシコペソ
2016年
トルコリラ
南アフリカランド
ブラジルレアル
インドルピー
-30%
-20%
-10%
0%
10%
20%
30%
2015年:2014年12月31日~2015年12月31日
2016年:2015年12月31日~2016年5月10日
図3:インフレ率と経常収支
期間:2011年12月~2016年4月、月次
(経常収支は2016年1-3月期まで、四半期)
6
(%)
インフレ率(前年同月比)
経常収支(対GDP比)
5
4
3
2
1
0
-1
-2
-3
11/12
12/12
13/12
14/12
15/12 (年/月)
(出所)Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
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