サービスイノベーション~製造業復活の新たな視点~[外部サイト]

サービスイノベーション
~製造業復活の新たな視点~
産業能率大学学長
原田 雅顕
●論旨
大手電機メーカーの巨額赤字決算が話題になるなど、わが国製造業の先行きの不透明感が増しつつ
ある一方で、サービス産業の伸長は著しく、GDPに占める第3次産業の比率は7割を超える。ハー
ドからソフト、モノからコトへといったキーワードも言われて久しいが、改めて現代の製造業を概観
するとサービス化への適応が明暗を分けていることに気づく。そこで本稿では“製造業のサービス化”
をひとつのゴールとして見据え、サービスとは何なのか、その本質を解き明かすことを目的としてい
る。
●はじめに
わが国のGDPの伸び率に比べて、サービス産業の伸び率は著しく高い。GDPに占める第3次産
業の比率は、1999年に69.6%であったものが、2009年には74.9%と10年間に5.3%も増加した(国民経
済計算)。経済が成熟化したわが国では、生活者としての幸せや喜びの源泉が、
「モノ」の所有からサ
ービスを通じて得る経験や体験の豊かさへと比重を移してきたのである。サービス産業は成長産業で
ある。
しかし、日本のサービス産業の生産性(従業者1人当たり付加価値)の伸び率は製造業と比べて低
く、欧米と比べても劣位にある。すわなち、日本のサービス業の成長性は高いが、生産性は低いとい
うことである。
日本経済全体を再び成長軌道に乗せるには、GDPの7割以上を占めるサービス産業の生産性(従
業者1人当たり付加価値)を飛躍的に高めることが不可欠である。ただし、サービス業の生産性を上
げる手立ては人減らしではない。新たなサービス価値創造である。
1
1.サービスとは何か
サービスとはそもそも何なのか。サービスの語源はservant(召し使い)にあると考えられている。
動詞はserve(人のために何かをする、尽くす)である。また、顧客のために何かをする人という意味
のserverがある。誰かに仕えることが起源的なサービスの意味・本質のようである。
古典的経済学では、もともとサービスを「不生産的」活動として扱い、経済学の対象から除外して
いた。サービスは財貨を生み出さず蓄財ができないとみなされたからである。アダム・スミスによれ
ば、役人、医者、法律家、作家、芸術家、家事使用人などの仕事をサービスと捉え、
「人のために直接
的に行う所作」とみなしていた。
一方、現代の経済学では、物財とサービスを厳格に区別せず、同様に処理することが多い。すなわ
ち、物財とサービスを共に経済行為の対象とし、サービスをサービス財として扱っている。
現在、サービスについては、さまざまな定義があるが、ここではサービスを次のように定義する。
サービスの定義
サービスとは、利用可能な諸資源が顧客に提供する有用な機能のフローをいう。
利用可能な諸資源は、サービスコンテンツ(有用な機能の実質・意味)とそれをストッ
クし、必要に応じて提供するサービス媒体(サービスデリバリー)で構成される。
有用な機能を提供する対象をサービス対象という。
①サービスコンテンツ
サービスコンテンツは、役務、知識・情報、専門的技能、場(機会)に分けられる。
図表-1 4つのサービス機能
サービス機能
①役
務
内
容
自分にもできるが時間などがない状態の顧客に提供
②知識・情報
自分では分からない状態の顧客に提供
③専門的技能
自分では(十分に)できない状態の顧客に提供
④場(機会)
物理的・時間的に必要としている状況が用意できない顧客に提供
「役務」か「専門的技能」かは、顧客の当該技能レベルによって異なる。顧客にその技能は「専
門的技能」としてではなく、「役務」として受け入れられることになる。
②サービスデリバリー
サービスコンテンツをストックし、それを必要に応じて提供するサービスデリバリー(サービス
提供の媒体)には、ヒト、モノ(情報媒体を含む)がある。
③サービス対象
サービス対象には、ヒト(顧客)、モノ(顧客の管理下にある有形財=広義の顧客)があるが、
モノが対象の場合でも、最終的にはサービスの効用を享受するのはヒトである。衣服のクリーニン
グでは衣服を対象としてサービスを提供するが、その効用を最終的に享受するのは衣服の着用者で
ある。
サービスコンテンツ・サービス媒体・サービス対象の例を図表-2に示す。
2
サービスイノベーション
図表-2 サービスコンテンツ・サービス媒体・サービス対象の例
サービスデリバリー
(サービス媒体)
サービスコンテンツ
サービス対象
■レンタカー
機会(車の使用権)
レンタカー従業者
車の使用者
■タクシー
役務(移動)
車、ドライバー
タクシー利用者
■クリーニング
役務、専門的技能
クリーニング従業者
衣服→衣服着用者
■自販機
機会、役務
自販機
商品等購入者
■医
療
専門的技能
医師
患者
■教
育
知識・情報
教育者
受講者(学習者)
■人材派遣
機会(人の使用権)
人材派遣事業従事者
派遣先事業主
■小
売
知識・情報、役務
販売員、店舗
商品等購入者
■電
話
知識・情報
電話回線
発信者、受信者
知識・情報
インターネット
聴取者
■音楽ネット配信
2.サービスの定義に基づくサービスイノベーション・マトリクス(SIM)の構成
サービスとは、利用可能な諸資源が顧客に提供する有用な機能のフローをいう。
利用可能な諸資源は、サービスコンテンツ(有用な機能の実質・意味)とそれをストックし、必要
に応じて提供するサービス媒体(サービスデリバリー)で構成される。
有用な機能を提供する対象をサービス対象という。
この定義に基づいて、横軸にサービスを提供する企業のサービスコンテンツ/サービスデリバリー
の革新度(インプルーブメントorイノベーション)を表示し、縦軸にサービス対象となる市場(顧客)
の革新度(既存市場or新市場)を表した4つのセルからなるサービスイノベーション・マトリクス(S
IM)を構成する(図表-3)。
図表-3 サービスイノベーション・マトリクス(SIM)
新規市場
新サービス開発による
新規市場の創出
既存市場
市場顧客
現有サービスの改良・更新による
新規市場の創出
現有サービスの改良による
既存市場の維持・強化
新サービス開発による
既存市場の深耕
インプルーブメント
イノベーション
サービスコンテンツ/サービスデリバリー
サービスコンテンツ/サービスデリバリーのインプルーブメントとは、現在のサービスコンテンツ
やサービスデリバリーのレベルを上げること、またはコストを下げることを指す。また、サービスコ
ンテンツ/サービスデリバリーのイノベーションとは、新たなサービスコンテンツや新しいサービス
デリバリーを開発することを指す。
サービスイノベーションとは、新サービスの開発/新規市場の創出によって、サービスの付加価値
を飛躍させることである。その意味では、図表-3の左下のセルの「現有サービスの改良による既存
市場の維持・強化」は「イノベーション」には相当しないが、左下のセルも含めて、図表-3全体を
サービスイノベーション・マトリクス(SIM)と呼ぶことにする。
3
3.サービスイノベーション戦略とSIM
図表-4にサービスイノベーション戦略とSIMの関係を示す。
図表-4 サービスイノベーション戦略とSIM
新規市場
既存市場
市場顧客
企業の成長ニーズ対応
現有サービスの改良・更新による
新規市場の創出
マクロ環境への対応
新サービス開発による
新規市場の創出
競争優位の確保
現有サービスの改良による
既存市場の維持・強化
顧客ニーズ高度化・複雑化対応
新サービス開発による
既存市場の深耕
インプルーブメント
イノベーション
サービスコンテンツ/サービスデリバリー
SIMの左下のセルは、サービスイノベーションの基点となる。
「現有サービスの改良による既存市
場の維持・強化」で競争優位性を確保する戦略が有効である状況は持続性に乏しく、限界にくる場合
が多い。そこで、競争優位を持続させるために、顧客ニーズの高度化・複雑化の方向を探り、他社に
先がけて「新たなサービス開発による既存市場の深耕」を実現する戦略構築が行われる。SIMの左
下のセルから右下のセルへとサービス戦略の重点が移行する。また、現有サービス、既存市場の枠内
で競争優位の確保が困難になった場合、企業の成長戦略として「現有サービスの改良・更新による新
規市場の創出」を他社に先がけて目指すことも競争優位を維持させる有効な手段となる。すなわち、
SIMの左下のセルから左上のセルへと、サービス戦略の重点を移行するのである。
さらに、現有サービス、既存市場の枠内で競争優位の確保が困難になることが想定される場合、マ
クロ環境の変化の動向に目を転じ、
「新サービス開発による新市場の創出」により、サービス価値を飛
躍させる戦略が実現すれば、長期的に競争優位を獲得できる。すわなち、SIMの左下のセルから右
上のセルへと、サービス戦略を移行させるのである。
このように企業は競争優位性を持続させるために、SIMの左下のセルの枠内における短期的な競
争優位からSIMの右下、左上、右上の各セルへの戦略シフトを行い、長期的な競争優位を獲得する
必要がある。このことを図表-4では、3本の矢印で示した。ただし、SIMの横軸、縦軸とも明確
な区分は難しく境界が曖昧である。現有サービスの改良か新サービスの開発かの見極めが難しい場合
や、既存市場の維持・強化が新市場開拓に直結する場合があるからである。
ところで、SIMの左下のセルから右上のセルにサービス戦略をシフトさせ、新サービスを開発し
て既存市場の深掘りに成功した状態がある程度持続すれば、その状態がやがて「現有サービス、既存
市場」
、すなわち、SIMの左下のセルに対応する状態となる。この関係はSIMの左下のセルから左
上のセル、あるいは右上のセルにサービス戦略をシフトさせる場合も同様である。すなわち、サービ
ス戦略をシフトさせ、サービスコンテンツ/サービスデリバリーの革新度と市場の革新度の組み合わ
せがどのように変化しても、やがてSIMの左下のセルに回帰し、そこを基点として競争優位を持続
させるための新たなサービスイノベーション・サイクルが始動するのである。このサイクルを図示し
たものが図表-5である。
4
サービスイノベーション
図表-5 サービスイノベーション・サイクル
企業の成長ニーズ対応
マクロ環境への対応
現有サービスの改良・更新
新サービス開発による
による新規市場の創出
新規市場の創出
競争優位の確保
顧客ニーズの高度化・複雑化対応
現有サービスの改良による
新サービス開発による
既存市場の維持・強化
既存市場の深耕
4.SIMにおける基本戦略および方策
4-1 現有サービスの改良による既存市場の維持・強化
(1)基本戦略
「現有サービスの改良による既存市場の維持・強化」は、SIMの左下のセルに位置づけられる。
その基本戦略は、既存市場の中で競争優位を確保するためにサービス品質を向上させることである。
そのための方策は、サービスコンテンツの改良とサービスデリバリーの改良に分けられる。
(2)方策
①サービスコンテンツの改良
サービスコンテンツは、役務の提供、知識・情報の提供、専門的技能の提供、場(機会)の提供
の4つに分けて捉えることができる。また、サービスは大きく分けて、コアサービスとサブサービ
スに分けられる。
例えば、ホテルでいえば、コアサービスのコンテンツは宿泊の場を提供することである。また、
サブサービスとして、おもてなし(知識・情報の提供)、ポーターサービス(役務)などがある。
ホテルによっては、美味しい食事サービス(専門的技能の提供)、あるいはエンターテインメント
(知識・情報、専門的技能、場の複合化)をコアサービスとしているところがあるかもしれない。
いずれにしても、既存市場の中で競争優位を確保するために、何をコアサービスとし、何をサブ
サービスとするかを明確にし、サービスコンテンツの4機能のそれぞれをどのレベルに設定し、そ
の達成に向けてどのような改善を進めるかが明らかにされなければならない。また、コアサービス
とサブサービスのバランスを取るために、サービスコンテンツの4機能をどのように組み合わせる
かが重要な手段となる。コストパフォーマンスが重要な尺度になることは言うまでもない。
②サービスデリバリーの改良
サービスデリバリー、すなわちサービスの提供媒体として、ヒト、モノ、それにICTを加える。
現実には、ヒト、モノ、ICTが複合化することによって競争優位を確保するサービスデリバリー
が形成されるが、ここでは、ヒト、モノ、ICT活用のそれぞれについて、サービスデリバリーを
改良する方策の骨子をまとめて述べることにする。
 ヒトが主たる媒体となるサービス
ヒトにはさまざまな個性があり、ヒトを主たる媒体とするサービスの品質にはバラツキが生じる
ことが多い。バラツキが小さく安定した品質の高いサービスを提供するための手法として「マニュ
アル化・標準化」
、「生産工学的手法」
、「インターナルマーケティング」等がある。
5
マニュアル化・標準化は、いわゆる暗黙知を形式知に替え、サービス提供プロセスを「見える化」
するための1つの手法である。
 モノが媒体となるサービス
モノが媒体となるサービスには、モノがサービスの補助的役割を担う場合と、モノを主たる媒体
とするサービスの場合がある。
顧客満足度の高いホテルとして有名な加賀屋は、配膳のために搬送機システムを導入し、食事の
提供時間の短縮と仲居さんの省力化を図っている。機械化・システム化の改善は、サービスの補助
的役割を担うものである。なぜならば、顧客のおもてなしが加賀屋のコアサービスであり、企業化・
システム化で浮いた仲居さんの時間をおもてなしの充実に当てることが主たるねらいだからであ
る。
ホテルの中には、一定のサービス品質を維持するという条件の下で「安さ」をコアサービスとし
て機械化・省力化を図るところもあるが、この場合の機械化によるサービスは、モノを主たる媒体
とした改善例である。
バックヤードは機械化・システム化し、フロントヤードではヒトが対応するというやり方が、コ
ストパフォーマンス向上策の基本である。
 ICTの活用
ICTをサービスデリバリーの補助手段として活用し、サービス全体の質を向上させる事例が多
く見られるようになってきた。
ICTを活用する領域では、ヒトが機械に合わせるやり方がまだ一般的である。情報機器活用の
際のマン・マシンインターフェースにおけるキーボードやマウスはヒトが機械に合わせている。最
近になって、ヒトの音声情報や感情をITチャネルに働きかけることによって機械が反応してサー
ビスを提供する技術が開発され、発展途上にある。
4-2 新サービス開発による既存市場の深耕
(1)基本戦略
「新サービス開発による既存市場の深耕」は、SIMの右下のセルに位置づけられる。その基本戦
略は、顧客ニーズの高度化・複雑化に対応して新サービスを創出することである。そのためには、サ
ービス・ドミナント・ロジックを最大限活用することが基本である。サービス・ドミナント・ロジッ
クに基づく主要な方策として、サービスコンセプトの革新、ソリューションビジネスの創出、アフタ
ーサービスの拡充、使用権提供ビジネスの創出、ICT化の推進などがある。以下にそれぞれの方策
について、事例を挙げながら説明する。
(2)方策
①サービスコンセプトの革新
顧客のニーズの高度化・複雑化に対応する新サービスを開発し、市場を深耕する方策を事例に基
づいて述べてみよう。
株式会社キッズベースキャンプ(以下KBC)は学童保育のためのアフタースクールである。都
内と神奈川県の十数か所に施設をもっている。既存の学童保育は原則18時前後までで、施設側が提
供するサービスを利用者側が受け入れるしかない。サービスの生産と消費が一方向である。
KBCは徹底した顧客ニーズの収集と適切なサービス化を基本としている。子どものケアを行う
スタッフ(キッズコーチ)は、電話、メール、連絡帳などで常に保護者と接点をもち、サービスの
改善に努めている。サービス内容は、個々の保護者の仕事の状況に合わせて、通常19時までの保育
時間を最長22時まで延長可能とし、宿題、おやつ、遊びへの対応、専用車による送迎、オプション
での夕食提供など多様である。働く保護者のサポートという初期の目的に加えて、ニーズの高度化
に対応して、多くの保護者が最も気がかりな子どもの放課後を有意義に過ごすことへの新サービス
も充実させ提供できるように配慮されている。料理、スポーツ大会、科学実験のようなプログラム
がそれである。
6
サービスイノベーション
KBCでは、それぞれの顧客にとって望ましいサービス内容を顧客との双方向のやり取りでデザ
インするが、「お客様は神様」という考え方ではない。やるべきこと、やれることを双方向で明確
にするしっかりしたプロセスがある。スタッフは厳しい選抜で選ばれ、インターナルマーケティン
グの考え方でスタッフを育成し、活用している。
KBCの提供するサービスが働く母親の社会貢献に寄与して大きく成長している主要因は、企業
から顧客への一方的なサービス生産→サービス消費の論理ではなく、サービス・ドミナント・ロジ
ックに基づく「価値共創」によるサービスコンセプトの革新であるといえよう。
②ソリューションビジネスの創出
顧客との関係性を維持しながら、顧客の問題解決を図るサービスを提供するビジネスが、ソリュ
ーションビジネスである。顧客の課題は個々に異なるので、特定の顧客へのソリューションはすべ
て新サービスである。
セコム株式会社(以下セコム)が提供するサービス事業の1つに住宅用の警備保障サービスがあ
る。セコムは、家に不審者が侵入するのを未然に防ぎ、有事の際にはガードマンが駆けつけて対処
するサービスを提供している。
センサーを製造している企業もさまざまなルートで製品を販売しているので、住宅の居住者がセ
ンサーを購入し、ドア等に設置すれば不審者の侵入を感知することができると考えられる。センサ
ーが売れれば、その時点でセンサーの所有権が顧客に移転してセンサーの製造販売企業に交換価値
がもたらされる。しかし、そうはならない。センサーの製造販売企業には、不審者がどのように侵
入するのか、不審者を察知したあと、どうすればよいかの知識が乏しいからである。「不審者の侵
入を未然に感知する」には、引き戸、窓、和風の家、洋風の家などによって、センサーが正確に作
動するように、センサーの選択、取り付け方などを提案できなければならない。そこでセコムの経
験が必要になる。また、真の課題は、図表-6に示すように「不審者の侵入を未然に防ぎ、身の安
全を確保する」ことである。「未然の察知」と共に「有事の際の適切な対処」が重要である。その
ためにセコムでは、不審者が家に侵入する前にセンサーが作動し、直ちにガードマンが現場に駆け
つけて対処する体制を整えている。
ソリューションビジネスでは、顧客との関係を密にし、顧客の個別事情を正しく把握して、問題
を階層構造で捉え、真の課題を顧客との相互調整に基づいて設定し、モノとヒトを効果的に組み合
わせてソリューションを提供しなければならない。
IBMが見事によみがえったのも、顧客企業の真の課題を、IBMが提供するコンピューターを
通して見極め、適切なソリューションを提供するビジネスを確立したことによると言われている。
図表-6 住宅の警備保障サービスの構造
不審者の侵入を未然に防ぎ、
身の安全を確保する
【真の課題】
不審者の侵入を未然に感知する
【当面の課題】
有事の際に適切に対処する
ドアや窓に、センサーを設置する
センサーの作動をサービス拠点
で察知したら、直ちにガードマン
が現場に駆けつける
センサーを提供する
(センサーの製造販売企業)
7
③アフターサービスの拡充
製造業におけるモノづくりと、その後の使用段階におけるアフターサービス(メンテナンス、関
連消耗品補給など)は、それぞれ企業の利益の源泉として区別されるのが一般的で、モノづくりと
サービスを別の企業が担うことも少なくなかった。しかし、今日では、モノとサービスを一体的に
捉え、その組み合わせにより相乗的に新たな価値を生み出そうとする考え方が主流になってきてい
る。
建設機械で業界をリードするコマツは、油圧ショベル等の建設機械に全地球測位システム(GP
S)とコンピューターを2001年から標準装備として搭載し、携帯電話のデータ通信サービスを使っ
て建設機械の位置や稼動状況を遠隔管理するシステムを運用している。KOMTRAX(コムトラック
ス)と名付けたこのシステムは、20万台を超える建設機械に設置され、個々の建設機械の位置情報
のほか、日々の走行距離や走行経路、稼動状況(掘削、ダンプへの積載、馴らし、走行、アイドリ
ング、停止などの稼動内容別の時間)、燃料の残量などをインターネットを介してリアルタイムで
把握できるようになっている。
コマツはKOMTRAXのデータを分析し、顧客企業の生産効率の改善やメンテナンスコストの低減
につなげている。また、深夜にエンジン始動などの盗難につながる事態が発生した場合には、遠隔
操作でエンジンを停止し、ロックすることもできる。
コマツは、KOMTRAXを通じて製品販売後の顧客による製品使用段階に新たなサービスを提供し、
使用価値を高めているが、使用価値の向上そのものが、コマツの利益に大きく貢献しているわけで
はない。製品使用段階でのコマツの新たなアフターサービス提供による使用価値の向上は、顧客企
業に信頼と安心をもたらし、これが製品販売台数の増加につながっているのである。次の建設現場
でもコマツの建設機械を購入するという顧客の囲い込みに成功しているのである。新たにつくり出
している価値は使用価値であるが、それが製品の売上増という交換価値の増大をもたらしていると
いうことである。
④使用権提供ビジネスの創出
所有権の移転によって交換価値の最大化を目指すビジネスは、従来の製造業に代表される物財生
産、物財販売を主体とするビジネスであり、グッズ・ドミナント・ロジックに基づいている。一方、
使用権を提供するビジネスは、使用価値の最大化を目指すビジネスであり、サービス・ドミナント・
ロジックに基づいている。
脱物質化の流れの中で、使用権ビジネスは、複数の顧客が製品機能を共有し、環境コストを低減
することにもつながる。また、所有権移転に使用権提供という新たなサービスが加わることによっ
て、顧客の初期投資を軽減する効果がもたらされる。
⑤サービスデリバリーのイノベーション(ICT化の推進)
サービスデリバリーのイノベーションによって、新たなサービスが生み出されることが多い。特
にICTを活用したサービスデリバリーのイノベーションでは、その傾向が強い。
従来の移動中の音楽の楽しみ方は、音楽CDをレコード店で購入あるいはレンタル店で借り、カ
セットテープにダビングして、“ウォークマン”等の携帯型カセットプレーヤーで聴いて楽しむス
タイルが一般的であった。
アップルにより、音楽ファンは自らの音楽ライブラリーのほとんどすべてを手軽に持ち運び、ど
こででも音楽を楽しむことができるようになった。ユーザーは、iTunes Storeの膨大な音楽データ
ベースから興味のある音楽を自分のパソコンにダウンロードできる。そしてパソコンにiPodを繋げ
ば、すべての曲が自動コピーされ、それだけで音楽を持ち運び聴けるようになった。
このことによって、レコード店やレンタル店に行って、膨大な棚の中からCDを探さなくてもよ
いという新サービスが生み出された。また、曲名やアーティスト名、歌詞などの情報もインターネ
ット経由で一緒に転送されるので、楽曲を曲名やアーティスト名のアルファベット順に瞬時に並べ
替えることができるようになったのである。
さらに、クラウド型音楽配信も本格化しており、従来の楽曲ダウンロードからストリーミング(逐
8
サービスイノベーション
次再生)へと進化し、記憶容量を気にせず、どの情報媒体からでも好きな時に音楽を楽しめるよう
になった。
4-3 現有サービスの改良・更新による新規市場の創出
(1)基本戦略
「現有サービスの改良・更新による新規市場の創出」はSIMの左上のセルに位置づけられる。そ
の基本戦略は、企業の成長ニーズを実現するために新市場を獲得することである。そのためには拡大
志向を持ち続けることが基本である。
新市場を獲得するための主要な方策としては、市場転換(市場セグメント転換、BtoB→BtoC、BtoC
→BtoBなど)
、異なるサービス業種への進出・転換、海外展開、ノウハウの外販化、規制緩和を活用
した市場創出・拡大などがある。
以下にそれぞれの方策について、事例を挙げながら主要な考え方を説明する。
(2)方策
①市場転換
「ハイ・サービス日本300選」にも選ばれたWASHハウス株式会社(以下WASHハウス)は、2001
年に創業、九州を中心にコインランドリーを多店展開し、「安心、安全、清潔」を掲げてハイスピ
ードで成長している。これまでのコインランドリーは、個人経営、無人店舗が多く、単身者の利用
が中心だった。WASHハウスは、家庭用の洗濯機に比べ熱効率が高くなるよう改良した機械を導入
し、アトピーや喘息などのアレルギー疾患の原因物質を除去するために布団の丸洗いを行う顧客を
主要ターゲットとした。多くは車が主な移動手段となっている郊外に住み、子どもがいる世帯であ
る。したがって各店舗は、約100坪の土地に布団も洗える洗濯機を設置した25坪程度の建物と約10
台分の駐車場を備えている。店内のカメラと遠隔操作を組み合わせた管理システム、および音声シ
ステムによる24時間対応のコールセンターの設置により、家族連れでも安心して利用できる安全な
環境をつくり出した。
WASHハウスは布団の丸洗い需要の増加を事前に予測し、コインランドリーの主たる市場を単身
者から子どもを持つ世帯に転換して新市場を創出し成長している企業である。布団の丸洗い市場の
存在を正しく予測したことが成功のポイントの一つである。
②異なるサービス業種への進出・転換
従来のサービス事業で培った経験やノウハウをテコにして異なるサービス業種に進出して市場
を拡大する方策も、当該企業にとっては新市場創出に相当する。
統合ブライダル企業として業界をリードするワタベウェディングは従来の貸衣装業としての経
験とノウハウをテコにして見事な転身を実現し、「海外ウェディング」から「リゾートウェディン
グ」へとビジネスを拡大した。2008年には「ハイ・サービス日本300選」を受賞している。
貸衣装店舗をハワイに出店したことから、若者に「自分たちらしい結婚式を海外で挙げたい」と
いうニーズが少なからずあることを見抜き、これが貸衣装業からウェディングサービスへの転身の
きっかけとなった。
ワタベウェディングでは、貸衣装を起点として、自社チャペルの経営へ進出し、結婚式に関する
トータルサービス、すなわち、渡航手配、挙式後の食事会の手配、ヘアメイク、記念撮影、旅行手
配などにビジネスの領域を拡大していった。結婚式に関わる事業は、ワンストップでトータルプラ
ンを提供することが求められる総合事業である。そこでウェディングプランナー制度を確立し、成
果を挙げている。
ワタベウェディングの取り組みは、SIMの右上のセルに位置づけることもできる。市場転換と
共に、以前にはなかったサービスを提供していると見ることができるからである。
ワタベウェディングでは、今後も結婚スタイルの多様化に対応していくことを視野に入れている
が、注目すべきは顧客と打ち合わせの際に顧客から出される「顧客のアイデア」を経営に取り入れ
て改善する仕組みを持っていることである。サービス・ドミナント・ロジックが機能しているので
ある。
9
③海外展開
サービス事業の海外展開は、サービス企業の成長ニーズに対応する効果的方策である。しかし、
日本のサービス業は、製造業に比べて海外展開が遅れている。
第1の理由は、日本のサービス業は、そもそも海外展開の必要性を認識していなかった可能性が
あることである。医療、福祉、運輸などのサービス業は特に手厚い規制に守られて新規参入の壁が
高く、居心地が良いので、敢えて海外に進出しなくても一定の成長を遂げることが可能であった。
第2の理由は、文化の違いによるものである。日本の経営では、非言語的コミュニケーションや
暗黙の伝達方法や習慣など、明文化されない情報伝達が重要な役割を果たしてきた。これに対して、
欧米のコミュニケーションは明示的な言語を通じて行われることが前提となっている。
暗黙知の文化が、サービス業の海外展開で日本が後れをとっている原因の一つになっていると思
われる。
第3の理由は、海外展開の遅れによる経験不足が海外展開/ノウハウの欠如につながっているこ
とである。海外展開を積極的に推進し、ノウハウを蓄積することが重要である。
海外展開が遅れていた日本のサービス業も、産業のグローバル化の流れに乗って、海外に進出す
る企業が増えている。コンビニエンスストア各社は、積極的に海外展開を加速させている。ファミ
リーマートはすでに国内より海外店舗のほうが多くなっている。無印良品は、中国、シンガポール
を物流拠点としたアジア市場への進出を進めている。ユニクロの海外展開には目を見張るものがあ
る。
④ノウハウの外販化
企業が経営資源であるノウハウを外販するサービスは、当該企業にとって新たな市場を創出する
ことに相当する。
エレクトロニクス業界には、EMS事業がある。これは自社のエンジニアリングおよび製造部門
をまとめて独立した収益部門に仕立て上げ、自社の生産を担うと共に、アウトソーサーとして他社
の生産も受託するサービス事業で、台湾の鴻海精密工業やアメリカのソレクトロンが有名である。
日本では、沖電気工業株式会社がEMSに力を入れている。
パソコン業界の利益構造がコモディティ化した生産・組立では利益が低く、前工程の部品開発と
後工程のサービスでは利益が高くなっている。この様子を台湾のパソコンメーカーであるエイサー
のスタン・シー会長が「スマイルカーブ」と表現した。EMSは、利益が低い生産・組立部門を束
ね、他社の生産・組立も受注して、量産効果によって利益を確保しようとするもので、スマイルカ
ーブを逆手に取るサービス事業である。
製造業が自社資源を利用して他社業務のアウトソーサーとして、受託サービスを提供するビジネ
スには、開発・設計業務の受託サービス、開発・製造業務の受託サービス等がある。また、自社製
品のメンテナンス資源を他社製品へのメンテナンスサービスに向けて市場を拡大する企業もある。
自社のノウハウを外販し、市場をつくり出すビジネスは、企業の成長ニーズに対応する一つの有
力な方策である。
⑤規制緩和を活用した市場創出・拡大
「10分で1000円」のヘアカットで事業を拡大しているQBハウスは、1坪サイズのカプセル型の
狭小店舗「QBシェル」をシンガポールで成功させ、人通りが多く土地が狭い香港にも、これを市
場展開している。日本では理容師法などの規制上「QBシェル」は実現できないが、規制が緩和さ
れているシンガポールや香港ではQBハウスの新市場が出現している。
2009年6月の薬事法改正で医薬品販売への参入障壁が低くなったため、コンビニエンスストアと
ドラッグストアの大衆薬販売での提携が進んでいる。2009年8月に業務提携したローソンとマツモ
トキヨシホールディングスは、当面併設型店舗を数点設置し、需要取り込みへの検証を進めている。
今後、さまざまな分野で規制緩和を進めるべきであり、これが新市場創出につながる可能性を拡
大させていくと考えられる。
10
サービスイノベーション
4-4 新サービス開発による新規市場の創出
(1)基本戦略
「新サービス開発による新規市場の創出」はSIMの右上のセルに位置づけられる。その基本戦略
は、マクロ環境の変化に対応して新ビジネスを創出することである。そのためには、企業がいま置か
れている業界の枠を超えた環境の変化を洞察し、サービス・ドミナント・ロジックに基づいて、他業
界を含むさまざまな企業の資源(知恵、ノウハウ、人脈、製品、サービス)や顧客との連携を図り、
新たな価値をつくり出すことが基本である。新たなビジネスを創出する主要な方策として、プラット
フォームビジネスおよび事業連鎖の再構築がある。
(2)方策
①プラットフォームビジネス
 プラットフォームビジネスの考え方
プラットフォームビジネスは、プラットフォームを提供し、プラットフォーム上で複数のグル
ープのニーズを仲介することによって、グループ間の相互作用を喚起し、Win-Winの関係を築く
ことを通じて、プラットフォーム全体の利益を生み出すビジネスである。
プラットフォームないしはプラットフォームビジネスには、次のような機能を備えることが求
められる。
第1に、複数のグループをプラットフォームに乗せ、結び付けることが必要である。
第2に、あるグループは、他のグループを必要としている状況をつくり出し、集客やマッチン
グ等の機能を提供するものでなければならない。
第3に、グループ単独では得られない価値をプラットフォーム上につくり出すものでなければ
ならない。多くの企業の知恵・人脈・ノウハウ・顧客の興味などを巻き込むことによって、関係
者がWin-Winの関係を築き、プラットフォーム全体の価値を増殖するのである。
第4に、コスト削減効果が要請される。各グループが個別に対応していては時間とコストがか
かるものをプラットフォームビジネスの仕組みの中で削減するのである。クレジットカード会社
の審査、決済業務などがそれに当たる。また、プラットフォームのブランド力を高めて、顧客の
迷いを取り除く、すなわち、検索コストを削減することも、これに該当する。
第5に、グループ間の相互作用によって、クチコミ効果(外部ネットワーク効果)を誘発し、
全体の価値を増殖する仕組みをつくる。ICTを活用したバーチャルなプラットフォームは、時
間と空間の制約から開放されて瞬時に情報が広がる外部ネットワーク効果を備えている。
プラットフォームビジネスが備えるべき前述の5要件は、サービス・ドミナント・ロジックと
重なり合うものである。
プラットフォームという視点は、決して新しいものではない。デパート、銀行、証券取引所、
病院、雑誌出版社などは、いずれも古くからプラットフォームビジネスを展開してきた。
いまプラットフォームビジネスが注目されているのは、ICT(あるいはサイバー経済)と結
び付いた新しいタイプのプラットフォームビジネスが飛躍的に進展しているからである。今後プ
ラットフォームビジネスは、新たなサービスを創出し、新たな市場を形成するビジネスモデルと
して、あらゆる業界に浸透し、21世紀の富を生み出す可能性がある。
マイクロソフト、グーグル、アマゾン、楽天、ヤフーなどは、プラットフォームビジネスの成
功例であるが、プラットフォームビジネスはプラットフォームを運営する側だけでなく、これを
利用する側の企業にとっても重要である。
 プラットフォームビジネスが飛躍的に進展する理由
社会の変化や技術革新のスピードは速い。企業はすべて自前でサービスを提供するよりも、プ
ラットフォーム上で企業間のアライアンスを行うほうが効率的・効果的である。
顧客のニーズは多様化・高度化しており、1社でニーズに応えることは容易ではない。プラッ
トフォーム上の複数の企業が連携し、顧客のニーズに対応することが求められている。
インターネットの普及、サーバーコストの低減などにより、時間的・空間的制約から開放され
11
て、ビジネスが迅速かつグローバルに拡大する外部ネットワーク効果が働く時代となった。
デジタル技術や通信技術の進展により、音楽や映像コンテンツ、パソコン、ゲーム機、携帯電
話、ソフトウエア等、多くの産業の垣根が壊され、再び新しい連携により、新産業が形成される
ようになった。
②事業連鎖の再構築
異なる業界の企業同士が事業連鎖を再構築し、新ビジネスを創出した事例として音楽配信ビジネ
スを取り上げよう。
従来の音楽ビジネスは、アーティストによる楽曲がレコード会社でCD化され、レコード販売会
社経由でレコード店またはレンタルレコード店にCDを配給し、CDを購入またはレンタルしたユ
ーザーのステレオ等で楽曲が再生されるという連鎖で成り立っていた。
音楽ネット配信という新ビジネスは、事業連鎖を大転換した。事業連鎖の再構築は基本的には、
「中抜き」
、
「束ね」
、
「置き換え」によって進められる。楽曲を、インターネットを通じて配信する
ようになると、まずレコード店が「中抜き」される。アップルが運営しているiTunes Storeは、こ
れまでのレコード会社が担っていた卸売機能や営業機能、小売機能を束ねている。
また、楽曲のネット配信により、CDという媒体がデジタルデータに置き換わったことが最大の
変化である。この変化に伴って、音楽を聴く機器がステレオやラジカセからパソコンや携帯デジタ
ル音楽プレーヤー等に置き換わった。
この結果、従来の音楽ビジネスとは異なる業界に属する企業同士による事業連鎖が構築された。
なお、事業連鎖の再構築に伴って、サービスの内容やバリエーションを豊富にするために、上述
した「中抜き」、「束ね」、「置き換え」に加えて、「選択肢の追加」、「機能の追加」を行うことが多
い。
音楽再生手段の選択肢は、従来のステレオ、ラジカセから、パソコン、携帯電話、携帯デジタル
音楽プレーヤーへと広がった。また、音楽のネット配信に伴って、ライブラリー機能が新サービス
として追加された。
ライブラリー機能とは、例えばアーティスト名や楽曲名のアルファベット順に楽曲を並べ替えた
り、ジャンルごと、年代順に並べ替えたりする機能のことである。これまでは、自分の持っている
CDを棚に、例えばジャンル別に並べ替えるくらいしかなかった。デジタル音楽プレーヤーを導入
すれば、手間をかけずに自分の持っている楽曲を簡単にライブラリー化できるのである。
5.結語
以上見てきたように、現代におけるサービスはこれまで私たち特に製造業と深く関わってきた者に
とって、想像以上に幅が広く奥深いものへと変遷してきている。これこそが本稿のタイトルでもある
「サービスイノベーション」である。数多くの企業のコンサルティング、研修にも深く関わる本学の
経験からも「サービスイノベーション」が製造業復活のひとつの礎となるものと確信している。本稿
がその一助となれば幸いである。
<参考文献>
1)藤本隆宏 著「日本のもの造り哲学」日本経済新聞社(2004)
2)南方健明・酒井理 著「サービス産業の構造とマーケティング」中央経済社(2006)
3)近藤隆雄 著「サービス・マネジメント入門(第3版)
」生産性出版(2007)
4)産業能率大学総合研究所編 原田雅顕 他 著「MOTの新展開」産業能率大学出版部(2008)
5)内藤耕 著「サービス産業生産性向上入門」日刊工業新聞社(2010)
6)延岡健太郎 他 著「特集 価値づくりの技術経営「MOT」
(一橋ビジネスレビュー)
」東洋経済新報社(2010)
7)井上崇通・松村潤一 編著「サービス・ドミナント・ロジック」同文舘出版(2010)
8)藻谷浩介 著「デフレの正体」角川書店(2010)
9)野村総合研究所「IT市場ナビゲーター 2011 年版」東洋経済新報社(2011)
10)野村総合研究所「ITロードマップ 2011 年版」東洋経済新報社(2011)
11)(学)産業能率大学総合研究所サービスイノベーション研究プロジェクト「サービスイノベーション」産業能率大学出版部
(2012)
Sanno University
12
M.harada