Title A Basic Study on Sexual Development of Toxoplasma gondii in Feline Enteroepithelial Cells( 内容・審査結果の要旨(Summary) ) Author(s) 小山, 智洋 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第083号 Issue Date 2001-03-13 Type 博士論文 Version URL http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/2137 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。 氏 名(本籍) 学 位 の 種 学 位 記・番 学位授与年月 小 智 洋 輯 博士(獣医学) 号 獣医博甲第83号 日 平成13・年3月13日 学位授与の要件 (北海道) 学位規則第4条第1項該当 び専攻 研究科及 山 連合獣医学研究科 獣医学専攻 帯広畜産大学 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 A 目 Basic Study on Sexual・Developznent 7bxqphmgondHin Feline of Enteroepithelial Cells 委 貞 文 帯広畜産大学 教 授 斉ノ藤 副査 帯広畜産大学 教 授 白 幡 副査 岩 手 教 授 首 藤 副査 東京農工大学 教 授 本 多 副査 岐 阜 教 授 平 井 内 の 容 大 学 大 学 の 要 文英克 論 主査 志一発一哉 査 篤敏 審 旨 物Ja封刀agO8戯(rgoロdめは,其コクシジウム目アイメリア亜目の偏性細胞内寄生性 原虫で,ヒトを含む哺乳動物と鳥類を中間宿主とし,中間宿主の細胞内で内部出芽による 二分裂増殖を繰り返して宿主細胞を破壊する。感染家畜では流産や生育遅滞,妊婦への感 染では流産や水頭症の原因となろ。また,免疫抑制状態の患者に日和見感染を起こすなど 人獣共通感染症として重要な病原寄生体である。本原虫時ネコ科動物の小腸上皮内でのみ 有性生殖を行い,初(急性)感染ネコは糞便中に外部的環境に耐性で,感染性の強い00q硲t を排泄する。近年,伴侶動物として住居内で飼育されるネコが増加する傾向があり,00q唱t によるヒトへのトキソプラズマ感染の危険が増加している。したがって,有性生殖の機序 を解明し,doc鰐t排泄を阻止することは,この原虫の感染を抑止することにつながり,人間 への感染や家畜の経済的損失などを減少させる上で極めて重要であると考えられている。 近年,TgondHの有性生殖過程の虫体(ftlineenteroep鱒elial-StageSParaSites:FES)が分離 され,本庶虫はステージによって,抗革的,形態学的,及びdensegranuleprotein(GRA prot血)などの抗原分子にも相挙があることが示唆されている。 本学位論文は,rg00戯の腸管内寄生虫体と増殖期の虫体とわ相違を中心に,ネコ科動 物に特異的なr卯口戯の有性生殖機序の解明と00耶t排泄抑止による感染防御手段を検討す る上に重要な基礎資料を提供したものである。 本学位論文の骨子は次の3葺から構成されている。 一143- 第1章は,「トキソプラズマ原虫のネコ腸管内有性生殖期に発現する抗原」に関するも のである。この章では,まず,ネコFESに発現する抗原の解析を目的として,FESより dnNAライブラリーを構築している。F由で免疫したネコの抗血清を使用しスクリーニング を行い,14の陽性クローンを得ている。それらの塩基配列解析の結果,陽性クローンは hypo訟nthine>guanihephosbhoribos勇transfbrase(HGPRT),HeatShockProtein70 (HSP70),14-3-3proteinhomologueにDNAレベルで高い相同性のある分子,及び未知の配 列を持つ分子の4つのグループに分類され,これらのクローンがコードする分子は有性生 殖期の虫体に優勢に発現していることを確認している。 第2章は,「14-3-3proteinhomologueがトキソプラズマ原虫のネコ腸管内有性生殖期に 優勢に発現される」事に関するものであるpこの葦でほ,14-3-3proteinhomologueのリコ ンビナント蛋白と同蛋白に対するモノクローナル抗俸を作成し,F巳引こ優勢に発現し,143-3proteinbomologueに高い相同性をもつクローンであることを明らかにしている。そし て,同蛋白に対するモノクローナル抗体は,rg00亜の有性生殖期の虫体に強い反応性を 示ことを明らかにし,このクローンをブロープとしたSoutbemblotでも虫体ゲノム上の14- 3-3遺伝子の存在を確認している。更に,この遺伝子はsh由e∞Ⅳであることをも示唆して いる。また,変異酵母を用いた系でFES由来14-3-3prot血の機能を検討し,他の動物種 (buma叫 且頭血0∞∝ロ5)の14-3-3protehと同様の機能を持つことを明らかにしている。 第3章は,「トキソプラズマ感染ネコにおける14-3-3proteぬbomologueに対する免疫応 答」に関するものである。この章で埠,RT・PCRを用いたネコのトキソプラズマ感染に対 する免疫応答の観察方法を確立してから,14-ふ3分子に対する宿主の免疫応答を観察する目 的で,このリコンビナント蛋白をネコに免疫し,宿主の免疫応答を観察している。FESに 対するIFATの結果,免疫群において血清中抗FES抗体が有意に上昇することを確認してい る。しかし,その後のr如戯マウス脳内q唱tの経口感染では,感染後の排泄00C閃t数,末 梢血リンパ球,牌臓及び腸間膜リンパ節におけるサイトカイン発現,伴内における虫体の・ 分布,及び病理組織学的検索においても免疫群と対照群との間た差はみられなかったこと から,この14-3-3リコンビナント蛋白でのネコに対する免疫払特異抗体の産生は誘導する が,rgO8戯の有性生殖の阻止には影響を与えないという結論にいたっている。 よって,本学位論文は,14一ゝ3遺伝子の機能を解明し,働きを抑制するには,この遺伝子 の発現を連年子レベルで抑制する方法の確立(アンチセンス鎖RNAの利用,14-㌻3遺伝子 欠損虫体の作製)が必要であることを示唆し,有性生殖期に発現が確認された未調査抗原 を含めネコに特異的なで脚戯の有性生殖機序の解明と00野St排泄抑止による感染防御手段 を検討する上に重要な基礎資料を提供したものである。 審 査 結 果 の 要 旨 了軸皿agOロ戯(r餅肌戯)は,其コクシジウム■目アイメリテ亜目の偏性細胞内寄生佐 原虫で,ヒトを含む晴乳動物と鳥類を中間宿主とし,.中間宿主の細胞内で内部担芽による 二分裂増殖を繰り返して宿主細胞を破壊する。感染家畜では流産や生育遅滞,妊婦への感 染では流産や水頭症の庶因となる。また,免疫抑制状態の患者に日和見感染を起こすなど -144- 人獣共通感染症として重要な病原寄生体である。本原虫はネコ科勢物の小腸上皮内でのみ 有性生殖を行い,初(急性)感染ネコは糞便中に外部的環境に耐性で,感染性の強い00呼St を排泄する。近年,伴侶動物として住居内で飼育されるネコが増加する傾向があり,00q唱t によるヒトへのトキソプラズマ感染の危険が増加している。したがって,有性生殖の機序 を解明し,00耶t排泄を阻止することは,この原虫の感染を抑止することにつながるととも に,ヒトへの感染や家畜の経済的損失などを減少させる上で極めて重要であると考えられ ている。 近年,TgondiLの有性生殖過程の虫体(ftlineenteroepithelial-StageSparaSites:FES)が分離 され,本原虫はステージによって,抗原的,形態学的,及びdense寧ranuleprotein(GRA protein)などの抗原分子にも相違があることが示唆されている。 学位申請者小山智洋氏の提出した論文は,r脚血の腸管内寄生虫体と増殖期の虫俸と の相違を中心に,ネコ科動物に特異的なTgo乃血の有性生殖機序の解明と00q唱t排泄抑止に よる感染防御手段を検討する上に重要な基礎資料を提供したものである。一 同学位申請論文では,1)FESより構築したd)NAライブラリーを用いてネ=.FESに発 現する抗原を解析し,14の陽性クローンを得るとともに,それらをbⅥ氾Ⅹanth血e-gnanhe phosph6ribosyltransftrase(HGPRT),HeatShockProtein70(HSP70),14,3-3protein bomologueにDNAレベルで高い相同性のある分子,及び未知の配列を持つ分子の4つのグ ループに分類し,それらをコードする分享は有性生殖期の虫体に優勢に発現していること 2)14-3-3prot血bomd聯eのリコンビナント蛋白と同蛋白に対するモノクローナル抗体 を作成しぅ14-3-3prot血bomologueに高い相同性をもつクローンがFESに優勢に発現する こと,3)同蛋白に対するモノクローナル抗体は,Tgo8血の有性生殖期の虫体に強い反 応性を示すばかりでなく,So血emblotで虫体ゲノム上に14」3-3遺伝子が存在し,羊の遺伝 子はsinglecopyであること,4)変異酵母を用いた系で14-3-3proteinhomologueリコンビ ナント蛋白の機能を検討し,他の勒物種(buman,月塊血0のαW)の14-㌻3prot血と同様の 機能を持つこと,5)RT-PCRを用いたネコのトキソプラズマ感染に対する免疫応答の観 察方法を確立したこと,及び6)14-3-3分子に対する宿主の免疫応答を観察し,14-3-3リコ ンビナント蛋白で免疫されたネコでは,特異抗件の産生がみられるが,rgⅧ戯の有性生 殖は阻止されないこと等を3章にわたって論述している。そして,それらの新しい所見か ら,14-3-3遺伝子の機能を解明し,働きを抑制するには,この遺伝子の発現を遺伝子レベル で抑制する方法の確立(アンチセンス鎖RNAの利用,14-3-3遺伝子欠損虫体の作製)が必 要であると結論しており,本学位論文の内容払ネコに特異的なアgo8戯の有性生殖鹿序 の解明と00q唱t排泄抑止による感染防御手段を検討する上に重要な基礎資料を提供する研究 であると評価する。 以上について,審査委貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値のあるものと認めた。 基礎となる学術論文の発表雑誌名 JoumdぱⅤ蝕dn打yMe出血S¢血c¢(日本獣医学会)‥占1,819-紀1,19労 JotmalofVeterinaryMedicalScien∝(日本獣医学会):62,1(冶9-1092,2㈱ Vete血訂y払msitology(エルセピア,オランダ):印刷中 -145- 既発表学術論文の発表雑誌名 払那it甲logyRe姐血(エルセピア,オランダ):83,05γト577,1!汐7 VetednaけPamsitdogy(エルセピア,オランダ):紀,21ト215,19関 Vetedn釘γ払msitology(エルセピア,オランダ):幻,乃-78,1朔 ー146一
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