PAL NEWS 2015/07 パル動物病院 ~人と動物の絆~ よりよい関係を目指して 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域に 熱中症について 本格的に気温が上がり、熱中症が発生しやすい季節になりました。 熱中症とは、何らかの原因で体温調節の限界を超えて体温が急激に上 昇して発生する障害です。犬猫は発汗による体温調節機能があまり発達 しておらず、人間よりも気温の上昇に弱い動物なので注意が必要です。 密着した動物病院を目標にしております。 パルニュース 2015 年 7 月 ●熱中症について ●肛門嚢炎 診療時間 ●裾野センター病院 月~土 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 日・祝 午前 9:00 ~ 午後 14:00 ~ 12:00 (11:30) 21:00 (20:30) 12:00 (11:30) 19:00 (18:30) ●沼津病院 平日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 午後 14:00 ~ 19:00 (18:30) 日 午前 9:00 ~ 12:00 (11:30) 木・祝日休診 お問合せ ●裾野センター病院 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL: 055-993-3135 ●沼津病院 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL: 055-922-6255 ●ウェブサイト http://pal-ah.jp 症状 熱中症の主な症状は、高体温、荒い呼吸、 大量のよだれ、ふらつき、意識の混濁です。 重症化すると意識が消失したり、けいれ んなどが起こり、死亡することもあります。 原因 暑い車内や閉めきった室内にいると熱 中症は発生しやすくなります。また、暑い 時間帯に屋外で遊ばせたり、散歩させる ことも原因となります。特にアスファルト の上は高温になりやすく、地面の近くを歩 く犬猫は影響を受けやすいため、注意が 必要です。 熱中症になりやすい動物 鼻が短い短 頭種 ( 犬:パグ、ブルドッ ク、シーズーなど ) は呼吸がしづらく、熱 がこもりやすい犬 種です。また、厚い毛 皮の犬 ( シベリアン・ハスキー、シーズー など ) や長毛種 ( ゴールデン・レトリーバー など )、肥満の犬猫、幼齢・老齢の犬猫、 心臓疾患や呼吸器疾患に罹患している動 物も、熱中症の危険が高いため、注意が 必要です。 予防 ・日中の暑い時間帯の散歩は避ける 気温が上がる前の早朝や、夕方地 面が十分に冷えた後など、涼しい時 間帯の散歩をお勧めします。 ・水分を十分にとらせる いつでも新鮮な冷たい水が飲める ようにしてください。 ・高温多湿の場所に放置しない 閉めきった車内や室内は大変危険で す。また、屋内飼育の場合は風通しを 良くし、必要であれば冷房を使いましょ う。屋外飼育の場合は日陰で風通しの 良い場所に小屋を設置してください。 応急処置 熱中症になってしまった時は、一刻も早 く体を冷やすことが重要です。体に水を掛 けたり、濡らしたタオルを脇や内股に挟む などの処置を施し、大至急動物病院に連 絡してください。 参考文献 環境省熱中症予防情報サイト http://www.wbgt.env.go.jp/ ● 今月の専門科診療 ● 今月は下記の日程で専門科の診察を行います。 ご希望の方は事前にご予約ください。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 博士(歯学):奥田 綾子 先生 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 博士(獣医学):霍野 晋吉 先生 ◆画像診断科(画) 博士(獣医学):小野 晋 先生 ◆眼科 博士(獣医学):当院 小野 啓 毎週火曜~土曜日 (カレンダーには表記していません) 学会等で不在のこともありますので、 事前のご予約をお願いいたします。 2015 年 7 月 月 火 水 1 歯 8 木 2 金 日 4 5 11 12 15 9 10 エキゾ 16 17 18 19 25 26 3 13 7 画 14 20 21 22 23 24 27 28 29 30 31 エキゾ 6 土 肛門嚢炎 犬や猫の肛門の両脇にはイタチやスカンクのように、肛門腺(こう りします。炎症が続き、症状が悪化すると、肛門部の腫れ、発熱、食 もんせん)と呼ばれる臭腺があります。この臭腺は袋状になっており、 欲低下などが見られる事もあります。 さらに病気が進行すると、肛門嚢 肛門嚢 ( こうもんのう ) を形成しています。スカンクは、他の動物に襲 の開口部が閉塞(へいそく)し、膿瘍(のうよう)を形成し、最終的に われた時に肛門嚢から非常に臭い分泌物を出して身を守ります。犬や は皮膚が破れて、膿の排出、出血が見られます。 猫でも退化してはいるものの肛門嚢を持っています。肛門嚢の中には、 灰色~茶色、液状~泥状の臭いの強い分泌物が貯留しており、分泌 物の性状には個体差があります。肛門嚢は肛門嚢管を介し、肛門に 開口しています。 貯留物は通常、排便時や興奮時、恐怖を感じた時などに圧迫され、 自然と排出されます。犬や猫では、出会ったときにお互いのお尻の匂 <治療> 軽度の場合は、内容物を絞り出し、抗生物質を投与して細菌感染を 抑えます。皮膚が破裂して排膿しているような重度の場合は、抗生物質 の投与と併せて、患部の洗浄を行います。また、再発を繰り返す場合 や重度の場合は、手術により肛門嚢を摘出する方法もあります。 いを嗅ぎあうなど、なわばりを示す役割を果たしているとも考えられ ています。 <予防> 肛門嚢は、便や体外の菌に汚染されやすい部位にあるため、細菌感 定期的に肛門嚢を絞り、内容物を排出させる事が重要な予防法のひ 染によって炎症を起こすことがあります。これを肛門嚢炎といいます。犬 とつです。肛門嚢を絞る方法は、尾をしっかりと上にあげて肛門が手前 ではしばしば見られますが、猫でもまれに見られることがあります。 に出るようにし、親指と人差し指で肛門嚢をつまんで押し上げ、肛門か ら内容物を排出させます。内容物が貯留していると、肛門のすぐ脇に球 <原因> 肛門嚢の開口部が閉塞したり(分泌物が液状よりも泥状の方が詰まり やすいです) 、分泌物が過剰に生産されることによって、肛門嚢内に分 状の肛門嚢を触ることができます。自宅での処置が難しい場合は、病院 で行います。個体によって貯留に差がありますが、月に 1 回程度、定 期的に絞るといいでしょう。 泌物が充満したり、細菌感染することで炎症が起こります。慢性的な軟 また、肛門周囲を清潔に保つ事も必要です。お尻周りの毛を刈ったり、 便、下痢、加齢とともに筋肉の緊張が低下した犬や、肥満の犬で起こり 排便後は肛門周囲を拭き取ったりして、便が付着しないようにしましょう。 やすいといわれています。 <症状> 症状は、分泌物の貯留や炎症により、お尻に違和感・痛みが生じる お尻を擦るなどの症状が見られたら、早めの受診をおすすめします。 参考文献 ・小動物臨床のための5分間コンサルト(interzoo) ため、お尻を床に擦りつけて歩く独特のしぐさ(地こすり)が特徴的です。 その他に、肛門周囲を頻繁に舐めたり、尾を追いかけてぐるぐる回った パルニュース 2015 年 7 月号
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