名古屋検疫所感染症情報 - FORTH|厚生労働省検疫所

発行日:平成24年 6月 13日
2012年
2012年 第 37号
名古屋検疫所
名古屋検疫所 感染症情報
感染症情報
今月のトピックス
今月のトピックス
1.海外の感染症情報
1.海外の感染症情報
麻しん【
髄膜炎菌性髄膜炎【
麻しん【ウクライナ】
ウクライナ】
髄膜炎菌性髄膜炎【アフリカ地域(続報)】
アフリカ地域(続報)】
レプトスピラ症【
ラッサ熱【
レプトスピラ症【ペルー】
ペルー】
ラッサ熱【ナイジェリア(続報)】
ナイジェリア(続報)】
デング熱【
年まとめ)】
デング熱【熱帯・亜熱帯地域のデング熱流行状況(2011年まとめ)
熱帯・亜熱帯地域のデング熱流行状況(
年まとめ)】
2.地域別感染症情報
2.地域別感染症情報
フィジー【
フィジー【洪水後に流行している感染症について】
洪水後に流行している感染症について】
3.鳥インフルエンザ情報
4.検疫所ミニ知識 ネズミとの仁義なき戦い~小さな体に潜む大きな感染症のリスクとは?~
1.海外の感染症情報
感染経路別に分類し、マークをつけています。
・ダニ・ノミなど虫から感染するもの・・・
・唾液などが飛んで感染するもの(飛沫感染)・・・
・蚊が媒介して感染するもの・・・
・動物(ネズミ、犬、家畜等)から感染するもの・・・
・口から入って感染するもの(経口感染)・・・
・その他の経路から感染するもの・・・
麻しん
・・・2012年に入り、ウクライナでは麻しんの流行が続いているが、5月10日現在、感染者は
9,173人となっている。ウクライナでは6月にUEFA欧州選手権の開催を控え、EU各国への麻
しん感染拡大が懸念されており、渡航者には麻しんワクチンの2回接種による予防を呼びか
(5月10日 ECDC:ヨーロッパ疾病管理予防センター)
けている。
日本では子供の麻しん風しんワクチンの2回接種が開始され、
平成21年以降麻しん感染者数は激減しました。
麻しんワクチンは1
1回接種しただけでは
回接種しただけでは、
しただけでは、抗体がつかない
抗体がつかない人
がつかない人が
います(
います(麻しん風
しん風しんワクチンも同
しんワクチンも同じです)。
です)。現在、国内で報
)。
告される感染者の約半数は大人で、幼少期に予防接種を受けて
いても抗体を獲得できていない人が多く含まれると考えられて
います。麻しんは子供だけの病気ではありません!
大人も、特に海外渡航時は、予防接種を検討しましょう。
髄膜炎菌 ・・・アフリカの髄膜炎ベルトと呼ばれる地域に属する14か国中10か国で髄膜炎菌患者の増加
が確認されており、主にW135型髄膜炎菌の感染が原因となっている。各国保健省はこの流
性髄膜炎
行に対して、サーベイランスやワクチン供給の強化を含めた一連の髄膜炎の予防と制御対策
(5月24日 WHO情報)
を行っている。4月17日時点の各国の患者数は以下のとおりである。
国名
ベナン
感染疑い例 死亡者数
758人
71人
ブルキナファソ
5,300人
553人
チャド
2,828人
135人
コートジボワール
399人
49人
ガーナ
569人
56人
スーダン
275人
13人
発行元
厚生労働省
厚生労働省 名古屋検疫所
流行している
流行している地域
している地域に
地域に渡航する
渡航する方
する方は、感染症流行情報にご
感染症流行情報にご注
にご注
意下さい
意下さい。
さい。現地に長期滞在する場合や地元の人たちと同じ
ような生活をする可能性がある場合には、ワクチンを受ける
ことについて医師と相談しましょう。
ただし、日本においては、国産ワクチンがないため、渡航
前に接種を受ける場合には海外産のワクチン(輸入ワクチン
といいます)を扱っている施設を探す必要があります。輸入
ワクチンは、万が一健康被害が起きた場合の対応が、国産
ワクチンとは異なるので、あらかじめ十分に確認する必要が
あります。(注意:このワクチンは、Hibワクチン、肺炎球菌
ワクチンとは全く異なるワクチンです。)
〒455455-0045 名古屋市港区築地町11
名古屋市港区築地町1111-1 TEL:
TEL:052052-661661-4131
・・・ペルー国内、特にLoreto地区では、過去20年間でもっとも被害の大きい洪水によってレプトス
レプト
ピラ症の感染拡大が確認されている。今年1月以降現在まで、感染者300人以上(うち3人死
スピラ症
(5月11日 CDC:米国疾病管理予防センター)
亡)が報告された。
レプトスピラ症は細菌による感染症で、
感染した動物の尿が、水や土壌を汚染
し、それらを介して感染します。
初めの症状は発熱、頭痛、筋肉痛と
いった、さまざまな病気でもみられるも
のと同じであるため、レプトスピラ症だ
と診断されないことがあります。
•
•
•
•
•
予防には・・・
洪水などの水が口に入らないようにする。
汚染されている地域を歩く場合には、身
体を防護できる服を着る。特に、裸足で
歩くことは避け、必ず履物を履く。
特に、切り傷などある場合、水害地を歩
くことを避ける。
動物の尿で汚染された環境との接触を避
ける。
予防接種はありません。
ラッサ熱 ・・・ナイジェリアで、2012年始めから確認されているラッサ熱流行で、5月4日現在、21の州か
ら感染疑い患者866人(うち感染確定者143人、死亡者92人)が報告されている。ネズミとの接
触が多い地域、田舎に滞在する人は、注意が必要である。
5月8日 ナイジェリア保健省)
デング熱 ・・・昨年1年間の世界におけるデング熱流行の総括は以下のとおり。
スターより
スターより
ワールドワイドに
活動中
検疫所 フォース君
フォース君
④中東
③ アフリカ
インド洋諸国
① アメリカ地域
カリブ海諸国
② 南太平洋
東南アジア
デング熱流行は熱帯・亜熱帯
地域の多くの国から近年多く
報告されています。
都市部、観光地でも感染を媒
介する蚊はいるので、蚊よけ
蚊よけ
対策はやはり大切です!
対策はやはり大切です!
① アメリカ地域、カリブ海諸国
2011年、感染者1,034,064人(うち重症患者18,321人、死亡者716人)が報告された。パラグアイ、パナマ、アルバ、
バハマ諸島、セントルシアでは、前年を上回る流行が確認された。
② 南太平洋、東南アジア
2011年10月、マーシャル諸島共和国では感染者1,638人が報告され、感染拡大に対する緊急事態宣言をした。デ
ング熱の流行は、ミクロネシアのヤップ(Yap)州やパラオでも報告された。2012年2月27日現在、ヤップ州で感染
者1,173人が確認されている。フィリピン、ベトナム、タイでもデング熱流行が確認された。オーストラリアでは、クイ
ーンズランド州北部の地域で散発的な感染例報告がされている。
③ アフリカ、インド洋諸国
2011年9月、ウガンダのモガディシュでデング熱流行が確認された。同時期、ケニア北部の複数の地域からデング
熱流行が報告され、マンデラ(Mandera)とワジール(Wajir)では、感染確定例が確認された。
④中東
デング熱の活動性は散発的に中東全域から報告されており、旅行者の多いサウジアラビアのジェッダでも感染が
確認されている。
(5月17日 CDC:米国疾病管理予防センター)
2.地域別感染症情報
フィジー ・・・今年1月と3月の洪水発生後から、レプトスピラ症の流行が確認されている。1月25日以降感染
者236人(うち死亡者20人)が確認されているが、4月になってさらに患者数が増加している。更
に、洪水発生に伴い、腸チフス
腸チフス、デング熱
腸チフス、デング熱の感染者が増えること
、デング熱の感染者が増えることも予想されている
の感染者が増えることも予想されている。
も予想されている。
(4月25日 OCHA:国連人道問題調整事務所)
3.鳥インフルエンザ(H5N1)情報
国名
2003
~
2011
年
エ
ベ
ネイ
ジ
ト
シン
プ
ナ
アド
ト
ム
カ
ン
ボ
ジ
ア
そ
中 の
合
の
国 国
計
他
感染
者数
158 183 119 18 41 59 578
死亡
者数
55 151 59 16 27 32 340
感染
者数
9
6
4
3
2
3 27
死亡
者数
5
6
2
3
1
0 17
2012
感染
者数
167 189 123 21 43 62 605
死亡
者数
60 157 61 19 28 32 357
合計
2012年6月5日現在の鳥インフルエンザ(H5N1)の感染者は上図のとおりです。
2012年5月2日以降、新たにカンボジアで1人(うち1人死亡)、香港で、中国広東省で感染したと思われる1人の感染
者が報告された。感染者は発病前に病死した家禽との接触が示唆されている。
(5月29日、6月5日 WHO情報)
4.【
4.【検疫所ミニ知識】
検疫所ミニ知識】 ネズミとの仁義なき戦い~小さな体に潜む大きな感染症のリスクとは?~
* ネズミに関する検疫所のエトセトラ *
船舶の運航に関わる大切な書類で、衛生管理(免
衛生管理(免
除)証明書というものがあります。この証明書は世界
除)証明書
保健機関(WHO)が、船舶が感染症を運ぶ原因とな
らないように、外航船に衛生検査を受けて取得する
よう義務づけているもので、ネズミの生息の有無は
証明書の発行にかかわる重要なチェックポイントで
す。
検疫所では、港や空港の周辺施設などでネズミの生
息状況をチェックしています。捕獲したネズミを検査
をして体の中に病原体を持っていないか調べます。
げっ歯類を海外から持ち込む場合は、検疫所への届
け出が必要です。
* なぜネズミがターゲット? *
① ネズミが宿主(病原体が居ついて数を増やす場所)
となり、人へうつす感染症が多く存在します。
② 検疫法で定められている検疫感染症(国内
検疫感染症(国内に常在
検疫感染症(国内に常在
しない感染症の中で特に致死率の高いもの、ある
いは重い症状が現れる感染症)
いは重い症状が現れる感染症)の中にもネズミが感
感染症)
染源となる疾患が含まれています。
③ ネズミの生息域は人の生活と密接しているので、ネ
ズミが感染していると、直接人へ影響を及ぼす可能
性が高くなります。
④ その他、感染を媒介するノミ等もネズミにくっついて
運ばれてきます。
⑤ 港湾・空港では、海外から人や貨物に紛れて、病原
体を持ったネズミがやってくる可能性があります。
* 動物園のモルモットは大丈夫? *
ペットとして売られている、あるいは動物園などのふれ
あいコーナーにいるモルモットなどのげっ歯類は衛生的
な環境で育てられたものなので、上記のような感染症の
リスクはありません。
ただし、触れ合った後の手洗いは忘れずに!
動物園
ふれあいゾーン
君たちは
大丈夫だよ
ぼくたちも
捕まえるの?