放射性同位元素から放出されるγ線,β線の遮蔽計算方法 ガンマ線放出核種の遮蔽計算は次式を用いる。 • --------------------- (1) E = A ⋅ Γ E ⋅ t ⋅ ε 1 ⋅ ε 2 ⋅ ε 3 L2 • E :実効線量(μSv/3 ヶ月) A:線源数量(MBq) Γ E :実効線量率定数(μSv・m2・MBq-1・h-1) t:時間数(測定点毎に設定) ε1,2,3:遮蔽体による実効線量透過率 L:線源から計算点までの距離(m) ベータ線放出核種(制動放射線)の遮蔽計算は次式を用いる。 • E = Γ 20 (Z ) ⋅ A ⋅ t ⋅ ε 1 ⋅ ε 2 ⋅ ε 3 L2 -------------------- (2) • E :実効線量(μSv/3ヶ月) Γ20(Z):ターゲットの原子番号が Z であるときの実効線量率定数(μSv・m2・MBq-1・h-1) A:線源数量(MBq) t:時間数(測定点毎に設定) ε1,2,3:遮蔽体による実効線量透過率 L:ターゲットから計算点までの距離(m) Γ 20 (Z ) = Γ 20 × K 20 (Z ) ただし Γ20 :ターゲットの原子番号が 20 であるときの制動放射線の実効線量率定数 K20(Z):ターゲットの原子番号がZのときの制動放射効率比 Z K20(Z) Z K20(Z) 1 5 0.036 0.213 45 50 2.504 2.824 10 12 0.460 0.564 55 60 3.149 3.478 15 20 0.724 1.000 65 70 3.812 4.151 25 26 1.286 1.344 74 75 4.425 4.493 30 35 1.580 1.882 80 82 4.840 4.979 40 2.190 1 131 I (実効線量率定数 Γ E =0.0545 μSv・m2・MBq-1・h-1) 各種遮蔽材に対する実効線量透過率 t 鉄 t 鉛 (cm) 透過率 (cm) 透過率 0 1.00E+00 0 1.00E+00 0.5 9.33E-01 0.1 8.07E-01 1 8.31E-01 0.2 6.47E-01 2 5.95E-01 0.3 5.17E-01 3 3.92E-01 0.5 3.32E-01 5 1.49E-01 1 1.20E-01 6 8.91E-02 1.5 5.15E-02 8 3.05E-02 2 2.54E-02 10 1.02E-02 3 7.68E-03 12 3.42E-03 4 2.51E-03 14 1.15E-03 5 8.31E-04 16 3.90E-04 6 2.75E-04 18 1.34E-04 7 9.07E-05 20 4.62E-05 8 3.00E-05 22 1.61E-05 9 9.97E-06 24 5.65E-06 10 3.32E-06 26 1.99E-06 11 1.11E-06 28 7.00E-07 12 3.73E-07 30 2.47E-07 13 1.26E-07 32 8.67E-08 14 4.26E-08 90 t (cm) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 90 100 110 コンクリート 透過率 1.00E+00 9.28E-01 6.25E-01 3.62E-01 1.93E-01 9.77E-02 4.78E-02 2.29E-02 1.08E-02 5.02E-03 2.32E-03 1.07E-03 4.95E-04 2.29E-04 1.06E-04 4.90E-05 2.28E-05 4.97E-06 1.09E-06 2.42E-07 t (cm) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 180 200 220 水 透過率 1.00E+00 1.04E+00 7.66E-01 4.68E-01 2.57E-01 1.32E-01 6.45E-02 3.05E-02 1.41E-02 6.39E-03 2.86E-03 1.27E-03 5.61E-04 2.47E-04 1.09E-04 4.80E-05 2.12E-05 4.18E-06 8.34E-07 1.68E-07 Sr (ターゲットの原子番号が 20 の場合の実効線量率定数Γ20=2.63E-03 μSv・m2・MBq-1・h-1) 各種遮蔽材に対する実効線量透過率 t 鉄 t 鉛 (cm) 透過率 (cm) 透過率 0 1.00E+00 0 1.00E+00 0.04 5.87E-01 0.03 3.14E-01 0.1 4.80E-01 0.05 2.19E-01 0.2 3.94E-01 0.07 1.59E-01 0.5 2.75E-01 0.1 1.05E-01 1 1.74E-01 0.2 3.90E-02 2 7.73E-02 0.3 2.03E-02 3 3.57E-02 0.5 7.63E-03 5 7.89E-03 1 1.21E-03 10 2.02E-04 2 6.94E-05 15 5.70E-06 3 6.08E-06 20 1.72E-07 4 6.54E-07 t (cm) 0 0.2 0.5 1 5 10 15 30 35 40 45 50 55 60 65 2 コンクリート 透過率 1.00E+00 8.71E-01 7.60E-01 6.77E-01 3.71E-01 1.55E-01 6.08E-02 3.26E-03 1.22E-03 4.53E-04 1.69E-04 6.28E-05 2.34E-05 8.75E-06 3.27E-06 t (cm) 0 0.2 0.4 1 2 10 20 30 60 70 80 90 100 110 120 水 透過率 1.00E+00 1.01E+00 1.02E+00 1.04E+00 1.05E+00 8.08E-01 4.07E-01 1.73E-01 9.22E-03 3.29E-03 1.16E-03 4.07E-04 1.42E-04 4.95E-05 1.72E-05 アイソトープ検査施設の排水設備能力計算 一般的な RI 検査施設の排水系統、基本的フロー図 RI使用施設 第1貯留槽 A m3 排水モニタ トイレ 浄化槽 第2貯留槽 希釈槽 A m3 B m3 排水 排水基準 排水時の、核種ごとの放射能濃度の「排水中濃度限度」に対する割合を求め、その合計が 1.0 よりも小さければ一般排水路へ排水してよい。 排水中放射能濃度の計算式 計算の基本として、第1貯留槽が満水になるまでの日数時点での濃度を求め、ここで減衰させ て排水させる。減衰日数は貯留槽満水日数と同じとする。満水になるまでは1日最大使用予定数 量を連続して使用したものとして計算する。ただし、その間の使用量が年間(および3ヶ月間) 使用予定数量を越えることはない。 核種別に排水1回ごとの排水中の放射性同位元素濃度を求め、当該濃度を濃度限度で除して核 種別の割合を求める。これらの和が1を越える場合には、希釈槽の希釈割合を考慮しつつ、最高 10 倍の希釈を行うものとして最終的な割合の和を算出する。 排水時の貯留槽中の放 射能 排水1回毎の排水中の (Bq/cm3) 放射性同位元素の濃度 = 貯留槽1基の貯水量 = 1日最大使用数量 × 混入率 × [{1 − exp (− λ ⋅ t1 )}/λ ]× exp (− λ ⋅ t 2 ) 貯留槽1基の貯水量 λ:核種の崩壊定数(/日)(=0.693/T) ただし T:核種の物理的半減期(日) t1:流入回数(日数、小数点以下切上) t1 = (3ヶ月最大使用予定数量 ) ÷ (1日最大使用予定数量 ) 91(日) ÷ (貯留槽1基の満水日数 ) t2:放置期間(日) 1 日の流入量の計算基準 使用室排水量=1 日患者数×作業従事者数×5(リットル/日) トイレ排水量 =1 日患者数×20(リットル/日) 貯留槽の満水期間 t= ( ) ( ) 貯留槽1基の容量 m3 = K (日) 一日当たりの流入水量 m3 排水中へのRIの混入率 1日最大使用量の 1%とする。 固体・気体核種(99Mo,81Rb,81mKr,133Xe など)は、排水中に混入しない。 3 RI排水能力計算例 * 満水期間 = 26 日 放置期間 = 26 日 一日使用量 排水濃度 核 種 混入率 MBq Bq/cm3 67Ga 99mTc 111In 123I 131I 201Tl 1820 29500 185 555 92.5 1110 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 1.63E-02 4.44E-31 4.19E-04 2.17E-15 1.51E-02 1.04E-02 槽容量 = 12 m3 濃度限度 Bq/cm3 4.0E+00 4.0E+01 3.0E+00 4.0E+00 4.0E-02 9.0E+00 合 4 割 合 0.004071 0.000000 0.000140 0.000000 0.376497 0.001158 計 0.381865 アイソトープ検査施設の排気設備能力計算 RI検査施設の一般的な排気系統、その基本的フロー 外気 給気ファン 低濃度 RI使用施設 高濃度 排気 モニタリング (排気設備) 排気 フィルタユニット 排気ファン フィルタユニット ・プレフィルタ 610×610×50mm 2個 ・高性能フィルタ 610×610×292mm 2個 ・チャコールフィルタ 610×610×292mm(チャコール厚さ1インチ)2個 各室の排気量(例) 室 名 準備室 ガンマカメラ室 操作室 インビトロ検査室 貯蔵室 廃棄物保管室 診察・処置室 ホール・汚染検査室 シャワー室 トイレ 室容量 m3 45 90 23 58 13 17 25 35 4 5 換気回数 回/時 20 12 7 13 11 11 6 1 12 10 合 計 給気量 m3/時 750 1000 150 700 100 150 100 550 0 0 3500 (一週間の稼動時間を 40 時間とする。) 5 排気量 m3/時 900 1100 150 800 150 200 150 50 50 50 3600 一週間排気量 m3 36000 44000 6000 32000 6000 8000 6000 2000 2000 2000 144000 計算方法 核種ごとに一週間もしくは3月間の平均濃度を濃度限度で除して核種ごとの割合を求め、 これらの割合の和を算出する。計算は次式を用いる。 (1)管理区域内の人が常時立ち入る場所 A= B × 10 6 × C × D E A:核種別の 1 週間平均放射能濃度(Bq/cm3) B:核種別の 1 日最大使用数量(MBq) C:核種別の 1 週間当たりの平均使用日数 D:核種別の RI の室内空気中への飛散率 E:一週間の総排気量 また、室内空気中での放射能濃度 A と濃度限度 F との割合 G は、次式により計算する。 G=A F F:医療法施行規則 別表第三第二欄の空気中濃度限度 計算例 (空気中濃度が最も高いと考えられる準備室で計算する) 各核種を並列して、1 日最大使用数量すべてを使用するものと仮定する。 飛散率 気体:0.1(ガストラップ使用) 液体・固体:0.001 1 週間当たりの使用日数を 5 日(40 時間)とする。 核 67 種 Ga Rb 81m Kr 99 Mo 99m Tc 111 In 123 I 131 I 133 Xe 201 Tl 81 一日使用量 MBq 111 370 370 5550 10550 111 2500 37 111 2500 * 準備室の一週間総排気量 = 36000m3 週平均 平均濃度 濃度限界 飛散率 Bq/cm3 使用日数 Bq/cm3 1.74 0.001 5.37E-06 7.0E-02 0.52 0.001 5.34E-06 3.0E-01 0.52 0.100 5.34E-04 1.0E+00 3.47 0.001 5.35E-04 2.0E-02 2.74 0.001 8.03E-04 7.0E-01 1.74 0.001 5.37E-06 7.0E-02 1.93 0.001 1.34E-04 2.0E-01 0.77 0.001 7.91E-07 2.0E-03 1.74 0.100 5.37E-04 5.0E+00 1.93 0.001 1.34E-04 3.0E-01 合 計 法基準 一週間平均濃度の濃度限度に対する割合の合計 < 0.1 6 割 合 0.000077 0.000018 0.000534 0.026748 0.001147 0.000077 0.000670 0.000396 0.000107 0.000447 0.030221 (2)最終排気口 A= B × 10 6 × b2 × C × D E A:核種別の排気口における放射能濃度(Bq/cm3) B:核種別の 1 日最大使用数量 b1:3 ヶ月使用数量(MBq) b2:3 ヶ月間の使用日数(b1/B) C:RI の飛散率 D:フィルタ漏洩率 E:3 ヶ月の総排気量 排気口での放射能濃度 A と、濃度限度 F との割合 G は次式により計算する。 G=A F F:医療法施行規則 別表第三第四欄の濃度限度値 計算例 各核種を並列して、1 日最大使用数量を使用するものとする。 排気フィルタ透過率 HEPA フィルタ- ヨウ素 --------------- 1.0 その他の液体・固体 --- 0.01 気体 --------------- 1.0 チャコールフィルタ(厚さ 1 インチ) ヨウ素 --- 0.2 気体 --- 1.0 核 種 67 Ga Rb 81m Kr 99 Mo 99m Tc 111 In 123 I 131 I 133 Xe 201 Tl 81 * 3ヶ月総排気量 = 3541138m3 一日使用量 フィルタ 飛散率 MBq 透過率 111 0.001 0.01 370 0.001 0.01 370 0.100 1.00 5550 0.001 0.01 10550 0.001 0.01 111 0.001 0.01 2500 0.001 0.20 37 0.001 0.20 111 0.100 1.00 2500 0.001 0.01 * 3 ヶ月の使用日数 = 78 日 平均濃度 濃度限界 Bq/cm3 Bq/cm3 1.34E-08 5.0E-04 1.34E-08 3.0E-03 1.34E-04 6.0E-03 1.34E-06 1.0E-04 2.00E-06 6.0E-03 1.34E-08 5.0E-04 6.68E-06 1.0E-03 3.95E-08 1.0E-05 1.34E-04 2.0E-02 3.34E-07 3.0E-03 合 計 法基準 3ヶ月平均濃度の濃度限度に対する割合の合計 < 1.0 7 割 合 0.000027 0.000004 0.022258 0.013355 0.000334 0.000027 0.006677 0.003953 0.006677 0.000111 0.053423
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