放射線施設設計学 講義ノート 放射線施設設計学という独立した学問はない。 建築設計の専門家ではない。放射線遮蔽を中心に勉強してゆく。 放射線遮蔽に関連する分野 γ・中性子と物質との相互作用 核物理学 放射線物理学 原子炉物理学 放射線が人体に与える影響 保健物理学 遮蔽施工 建設工学 コンクリート工学 熱工学 http://www.fujita-hu.ac.jp/~hid-kato/sekkei.html 加藤秀起 放射線遮蔽の目的 放射線遮蔽の主な目的は、有害な電離放射線から人体(および機器,器具)を防護することで ある。 放射線遮蔽の基本原理 放射線と遮蔽物質との相互作用により、放射線のエネルギーを熱エネルギーに変換してしまう ことである。 最適設計 遮蔽能力・経済性の両面を考えて、どういった物質をどの程度の厚さで遮蔽材として用いれば よいかを設計する。 本講義で対象とする放射線施設 診療施設 ・ エックス線診療室(レントゲン撮影室) ・ 放射線治療室(ライナック,コバルト,密封小線源,非密封 RI) ・ アイソトープ検査施設 本講義で対象とする放射線 → 物質透過力の強い放射線 ・ X線・γ線 ・ 電子線(β線)と物質との相互作用による制動X線 ・ 中性子線(ライナック光核反応 γ‐n 反応による) 遮蔽により放射線量をゼロにすることは困難である。 放射線量をどのレベルまで減弱させればいいのか? → 法基準値 放射線に関する主な法体系 法律(国会) 原子力基本法 政令(内閣) 規則(省庁) 所轄省庁 核燃料に物質に関する法令 放射性同位元素等による放 同施行令 同施行規則 文部科学省 射線障害の防止に関する法 律(放射線障害防止法) 労働安全衛生法 同施行令 電 離 放 射線 障 害 厚生労働省 防止規則 医療法 同施行規則 国家公務員法 人事院規則 厚生労働省 医療放射線施設の対象となる法令 ・ エックス線診療室 → 医療法,労働安全衛生法の適用 ・ アイソトープ検査施設 放射性医薬品のみを人体に使用 → 医療法,労働安全衛生法 放射性医薬品以外を使用 放射性医薬品を動物・研究目的で使用 → 放射線障害防止法も適用 ・ 放射線治療室(ライナック,コバルト,密封小線減) → 医療法,労働安全衛生法,放射線障害防止法の適用 管轄省庁の許認可を必要とする。 この時、施設の放射線遮蔽能力等が十分である必要がある。 法令で定められている放射線施設に係る線量限度 ・ 放射線管理区域内の人(放射線業務従事者)が常時立入る場所 一週間当り 1mSv(1000μSv) ・ 放射線管理区域の境界および病室 3 ヶ月当り 1.3mSv(1300μSv) ・ 事業所(敷地)境界および事業所内の居住区域 3 ヶ月当り 250μSv ここで使用されている放射線量の単位 Sv は、実効線量 HE を表す。 実効線量で規制されている線量限度以下になるよう遮蔽設計を行う。 放射線量の単位 照射線量 C/kg air(光子線X・γのみに使用) 吸収線量 Gy(1Gy=1J/kg) Kerma Gy MKS で表せる物理量 (Kinetic Energy Released in the unit MAss) これらに対して Sv(シーベルト)は、 (放射線量というより)放射線防護で用いられる防護量である。 実効線量(effective dose) H E = ∑ ωT H T T ωT :組織荷重係数(組織 T の照射による確率的影響のリスクの,全身照射による全リス クに対する比) HT :組織 T の等価線量 H T = ∑ ω R DT ,R R R:放射線の種類 ωR:放射線荷重係数 DT,R:組織 T の R による吸収線量(Gy) 組織荷重係数 ωT 放射線荷重係数 ωR 生殖腺 0.20 赤色骨髄 0.12 光子(全エネルギー) 1 結腸 0.12 電子(全エネルギー) 1 肺 0.12 中性子(E<10keV) 5 胃 0.12 同(10<E<100keV) 10 膀胱 0.05 同(100<E<2MeV) 20 乳房 0.05 同(2<E<20MeV) 10 肝臓 0.05 同(20<E) 5 食道 0.05 陽子 5 甲状腺 0.05 α粒子、重い原子核 20 皮膚 0.01 骨表面 0.01 残りの組織 0.05 実効線量は直接測定することができない。 Sv は実効線量の他に、場所の測定、個人被曝の測定に用いる量(実用量)の単位でもある。 場所の測定に係る量 周辺線量当量 H*(10) 1cm 線量当量(実効線量の代用) 通常の電離箱サーベイメータで直接測定 方向性線量当量 H’(3,α) 3mm 線量当量(眼の水晶体の等価線量の代用) H’(0.07,α) 70μm 線量当量(皮膚の等価線量の代用) H'(d,α) ICRU 球 組織等価物質 α ρ=1.0 酸素 76.2%(重量比) 炭素 11.1% 30cmφ ICRU球 Hp(d) 水素 10.1% 窒素 2.6% ICRUスラブ 個人被曝測定に係る量 個人線量当量 Hp(10) 1cm 線量当量(実効線量の代用) ガラスバッジ、OSL 線量計などで直接測定 Hp(3) 3mm 線量当量(眼の水晶体等価線量の代用) Hp(0.07) 70μm 線量当量(皮膚等価線量の代用) 放射線業務従事者の実効線量限度 H1cm 100mSv/5 年 但し 50mSv/年を超えない。 (50mSv/年 ≒ 1mSv/週) 女子(妊娠可能)は 5mSv/3 ヶ月 等価線量限度 眼の水晶体 H3mm 150mSv/年 皮膚 H70μm 500mSv/年 妊娠中の女子腹部(妊娠から出産まで) H1cm 2mSv 一般公衆の実効線量限度 H1cm 1mSv/年(=250μSv/3 ヶ月) 基礎知識 放射線のエネルギーの表し方 力学では、物質が仕事をなしうる状態にある場合、エネルギーを持っているという。 質量 m,速度 v で運動している物体の運動エネルギーは 1 2 mv で表される。 2 エネルギーの単位は J, erg であるが、放射線の分野では対象となる物質(電子など)の質量 m が非常に小さいので、電子ボルト(eV)単位を使用する。 eV の定義 電子(質量 m=9.109×10-31kg,電荷 e=1.602×10-19C)が V ボルトの電位で作られる電界に よって加速されて得られる速度を v とすると、この間に電界のなした仕事は eV であり、電 子の運動エネルギーに等しい。 1 2 mv = eV 2 0 e ----------- (1) x 間の電位差 V V 仕事 W = x ∫ x 0 電界の強さ E = x eEdx = ∫ e 0 dV dx V dV dx = ∫ edV = eV 0 dx 1MeV = 1.602×10-12 J 放射線領域でもエネルギー保存則、運動量保存則は成立する。 相対性理論によると質量とエネルギーは換算可能である。 質量 m の物体の質量エネルギーE は E = mc 2 -------- (2) c は真空中の光速(30 万 km/sec 2.998×108 m/sec) 相対論によれば、物質は真空中の光速以上で飛ぶことはできない。 しかし光速に近い速度では、 質量 m は静止質量 m0 より大きくなり、次の関係式が成立する。 m= m0 ( c) 1− v 2 ------ (3) これを(2)式に代入すると E= m0 c 2 ( c) 1− v 2 ------- (4) となり、これをその物質の全エネルギーという。 粒子の運動エネルギーT は T = E − E0 ------- (5) 但し、 E 0 = m0 c ------ (6) 2 1 2 従って T = m0 c 1 − v c − 1 ( ) 2 0 < v < 1 であるから、級数展開(テーラー展開)すると c 1 v 2 3 v 4 5 v 6 T = m0 c + + + ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ 8 c 16 c 2 c 2 0 < v << 1 c T= の時、第 2 項以降を無視すると 1 m0 v 2 2 となり、古典力学と一致する。 この粒子の運動量 p は p = mv = m0 ( c) 1− v 2 ⋅v 光(X,γ線)は質量 m を持たない。この運動量を表現する。 光(電磁波)は波動性と粒子性を持っている。 波長をλとすると振動数νは ν= c λ で表される。 光子のエネルギーE は E = hν で表される。 h:Planck 定数(6.625×10-34 J・sec) 光の運動量 p は、(2)式より E = mc 2 = hν p = mv = mc = → m= hν hν = c c2 hν c2 で表すことができる。 光子と物質との相互作用 対 象 軌道電子 吸収 弾性散乱 非弾性散乱 光電効果 干渉性散乱 非干渉性散乱 (Reyleigh 散乱・ (Compton 散乱) Thomson 散乱) 原子核の作る場 電子対生成 デルプリュク散乱 核子 光核反応 核による Thomson 散乱・共鳴吸収 中間子 中間子生成 光電効果(光電吸収)Photo-electric effect, τ Characteristic X-ray Auger electron hν K L M N 1s2 2s2 3s2 4s2 2p6 3p6 4p6 3d10 4d10 Nucleus K L M N 4f14 Photoelectron 軌道電子の束縛エネルギー以上の光子が吸収され、光電子を放出する。 光電子(Photo-electron)の運動エネルギー E = hν − I I:軌道電子の電離エネルギー(束縛エネルギー) (半導体分野では仕事関数) 光電効果の断面積(相互作用を起こす確率)は τ で表す。 光子エネルギーが高くなると τ は低下する。 同じ光子エネルギーに対し、τ は原子番号の 5 乗に比例する。 μ/ρ=cm2/g → 断面積 cross section と呼ぶ 干渉性散乱 Coherent scattering (Reyleigh 散乱,Thomson 散乱),σcoh 主に低エネルギー領域で起こる。 光子が核外電子(自由電子)に吸収されてその電子を共鳴振動させ、再び電子は光子を放出す る。 光子エネルギーhνに変化はなく、進行方向が曲げられる。 hν Coherent scattering θ unbound or free electron hν Nucleus Recoil electron φ hν Sca tte θ r ed p h Incoherent scattering o to n hν' θ方向に散乱される確率(微分断面積,単位角度に散乱される確率) dσ coh dσ TM = ⋅ Fm2 (x ) dθ dθ dσ TM :トムソンによる微分断面積 dθ dσ TH 1 2 = r0 1 + cos 2 θ ⋅ 2π sin θ dθ 2 ( r0 ) :古典電子半径 r0 = e2 =2.818×10-13cm 2 m0 c Fm ( x ) :物質mの atomic form factor sin(θ 2 ) x :momentum transfer = λ :光子の波長[Å] = 全断面積(θについて積分) σ coh = ∫ λ 12.4 hν [keV ] dσ coh dθ dθ 干渉性散乱の断面積は物質の電子密度に比例する。 非干渉性散乱 Incoherent scattering (Compton 散乱),σinc 光子が核外電子(自由電子)と衝突し、電子に運動エネルギーを与えて、光子自身はエネルギ ーを失って散乱される。 hν Coherent scattering θ hν 入射光子エネルギー hν 散乱光子エネルギー h ν’ 反跳電子運動エネルギー E unbound or free electron Nucleus これらの関係 Recoil electron E = mc 2 − m0 c 2 φ hν Sca tte θ r ed p h Incoherent scattering o to n 1 = − 1 ⋅ m 0 c 2 1− β 2 hν' 但し エネルギー保存則より hν = hν ' + E 運動量保存則より p= hν hν ′ = cos θ + mβc cos φ c c 0= hν ′ sin θ − mβc sin φ c mc 2 = hν これらより hν ′ = → m= hν c2 (同 直角方向) ここで α= 1 E = hν 1 − 1 + α (1 − cos θ ) 入射光子エネルギーhνと散乱角度θが分かれば 散乱光子エネルギーhν’ が算出できる。 入射光子エネルギーhνと散乱光子エネルギーhν’が分かれば 散乱角度θが算出できる。 v c (入射光子進行方向) p = mv = mc = hν 1 + α (1 − cos θ ) 反跳電子エネルギー E β= hν m0c 2 hν hν = c c2 θ方向に散乱される確率(微分断面積) dσ inc dσ K, = ⋅ S m (x ) dθ dθ dσ K, : Klein-Nishina による微分断面積 dθ dσ K, 1 2 hν ′ hν hν ′ = r0 + − sin 2 θ 2π sin θ dθ 2 hν hν ′ hν 2 Sm(x) : 物質 m の incoherent scattering function x : momentum transfer = sin(θ 2 ) λ λ : 光子の波長[Å] = 全断面積(θについて積分) σ inc = ∫ 12.4 hν [keV ] dσ inc dθ dθ 非干渉性散乱の断面積は物質の電子密度に比例する。 電子対生成 Pair production, π 光子が原子核近傍を通過する際、核のクーロン場の作用を受けて消滅し、 陰電子・陽電子の一対の電子を作り出す。 この場合の光子は 1.022MeV 以上のエネルギーである必要がある。 (電子の静止質量エネルギー m0c2=0.511MeV) 電子の運動エネルギー E − + E + = hν − 2 m 0 c 2 陽電子は(陰)電子と結合して消滅し、 0.511MeV の光子を2個、互いに正反対の方向へ放出する。 消滅γ線(annihilation gamma ray) Annihilation gamma-ray hν'=0.511MeV Free Electron Positron hν >1.02 MeV Nucleus } Pair Annihilation gamma-ray hν' =0.511MeV Electron 全吸収係数 µ = τ + σ coh + σ inc + π [cm-1] 物質中を光子束が通過するとき 光電効果、干渉性散乱、非干渉性散乱、電子対生成が起こり、光子束は減弱する。 実際の測定、計測では、これらを区別して得ることはできない。 μ:線減弱係数 linear attenuation coefficient cm-1 μ/ρ:質量減弱係数 mass attenuation coefficient cm2/g 104 104 μρ cm /g 102 100 μρ Lead, Pb 2 Water cm2/g 102 τ σcoh 100 τ σcoh π -2 σinc 10-4 -3 10 -2 10 10 σinc -2 10 -1 0 10 10 Photon energy, MeV 10 1 10-4 -3 10 π 10-2 10-1 100 Photon energy, MeV 一般にいう吸収係数 μ,μ/ρ 減弱係数 attenuation coefficient μk,μk/ρ エネルギー転移係数 energy transfer coefficient μen,μen/ρ エネルギー吸収係数 energy absorption coefficient 101 細いビームのγ線の物質による減衰 hν 入射数 N個 相互作用を起こさず 透過する光子数 N -⊿ N ⊿x ⊿x の中で相互作用を起こす数⊿N は、N と⊿x に比例する。 ∆, = − µ , ∆x µ=− 上式を (マイナス記号は、⊿x が増えると光子数が減るため) ∆, , ⋅ 1 ∆x より μの単位は、1/厚さ 1 d, = − µdx , cm-1 → 線減弱係数 と表す。 両辺を積分すると ln , = − µx + C C は積分定数 両辺の指数をとると , = e − µx ⋅ e C x=0 の時 N=N0 とすれば , = , 0 e − µx 透過率は μは x に対して指数関数的に減少する。 , = e − µx ,0 μは、光子エネルギーおよび対象物質によって変化する。 同じ物質でも密度によって単位厚さに含まれる原子数は変化する。そこで μ(cm-1)の代わりに、μ/ρ(cm2/g)で表すことが多い。 質量減弱係数 mass attenuation coefficient この場合、物質の厚さは g/cm2 で表す。 吸収体が二種類以上の元素からできている場合(化合物、混合物)、 µ ( A+ B ) = ω A µ ( A ) + ω B µ ( B ) で計算できる。ωA,ωB は重量分率 光子が物質に入射して深さ x から x+dx の間で相互作用を起こす確率は , 0 e −ϖx × µdx で表すことができる。 このときの x を自由行程長(free path length)という。 N0 x dx 平均自由行程 mean free path (mfp) は = 1 ,0 ∫ ∞ 0 ∞ 1 0 µ x, 0 e − µx µdx = µ ∫ xe − µx dx = (下を参照)となってμの逆数で表される。 この時 mfp を透過する光子数 N は , = ,0e −µ 1 µ ,0 e dx = mfp は透過光子数が e 分の 1 になる厚さともいえる。 遮蔽計算では、遮蔽体の厚さを mfp 単位で表すことがある。 1 = e − µt HVL 2 半価層 mfp = 1 µ → t HVL = − ln 0.5 µ = 0.693 µ = 1.44t HVL と表すこともできる。 Mean free path = 1 ,0 ∞ ∞ 0 λ = 1.44T この時の残存量は (λ:崩壊定数, T:半減期) A = A0 e − λt 1 = e − λT 2 部分積分する → ′ 1 − µx x − e dx µ ∞ 1 ∞ 1 − µx = µ x − e − ∫ − e − µx dx 0 µ 0 µ ∞ 1 1 − µx = µ 0 + − e µ µ 0 ,0 e RI の減衰 半減期 x, 0 e − µx µdx 0 まったく同じ形で RI の平均寿命 TA = ∞ 0 = µ ∫ xe − µx dx = µ∫ 1 ∫ T= − ln 0.5 λ = 0.693 λ 1 1 = µ 0 + µ µ 1 =µ⋅ 2 µ = 1 µ γ線エネルギーの吸収 μ(μ/ρ)線(質量)減弱係数は、物質中で、光電効果、干渉性散乱、非干渉性散乱等の 相互作用を起こす確率に比例する量である。 従って , = , 0 e − µx で光子数の減少は計算できる。 この減少したエネルギー全てが物質中に吸収されるものではない。 エネルギーが吸収される量を知るには、エネルギー吸収係数μen が必要である。 µ en = f photoτ + f incσ inc + f pair π hν0:入射光子エネルギー f photo = 1 − f inc = 1 − hν K hν 0 hν hν 0 f pair = 1 − 2m 0 c 2 hν 0 hνK:特性X線エネルギー hν:散乱光子エネルギー 電子対の質量エネルギー(2 本の消滅γ線エネルギー) 厚さ x の吸収体中に吸収されるエネルギー ( E = E 0 1 − e − µen x ) ただし E 0 = , 0 ⋅ hν 0 一次γ線の物質による減衰(いろいろな形状のビーム) 線源の形状 点等方線源(point isotropic source) 点状(大きさを持たない)の線源で、あらゆる方向に一様にγ線を放出 線等方線源 点等方線源が一様に直線状に分布している線源 円板等方線源 点等方線源が一様に薄い円板上に分布している線源 無限平面等方線源 点等方線源が無限平面上に一様に分布している線源 その他、球面線源、体積線源などが考えられる。 点等方線源 毎秒 Q 個のγ線を放出する点等方線源 S から xcm の距離の点 D における光子束(単位面積を 通る光子数)φは φ= D x Q 4πx 2 photons/cm2s そのエネルギー束 S φE = 4πx2:半径 x の球の表面積 QE 4πx 2 E:γ線エネルギー S と D の間に、S を中心とした(内径 R1, 外径 R2)、厚さ t の 球殻しゃへい体を置いた場合、 D D に到達する一次γ線の光子束φ0 は t S φ0 = R2 R1 t Q − µt e 4πx 2 半径 x の球の体積 = S と D の間に厚さ t の平板状しゃへい体を置いた場合 D D に到達する一次γ線の光子束φ0 は 1 S θ φ0 = Q − µ ⋅t cosθ Q − µ ⋅t ⋅secθ = e e 2 4πx 4πx 2 で表される。 4 3 πx 3 線等方線源 全長 l で単位長さ当たり毎秒 Q 個のγ線を放出する線源 OB O を通る垂直上の点 D における光子束φを考える。 O より x の点 P を含む微小長さ dx から放出される光子数 Qdx のうち、 D に到達する光子束⊿φは ∆φ = D Qdx 4π h 2 + x 2 ( 従って、全線源から D に到達する光子束φは Qdx 0 4π h 2 + x 2 φ=∫ l ( ) h ψ 変数変換 x → θ θ x=0 → θ=0 P dx x B ) O → θ=ψ x=l tan θ = l x h 1 dθ = ⋅ h 両辺を微分 x 2 Q Q h 1 + dθ = 2 2 4π 4π h + x h ψ φ=∫ ( 0 ) = Q 4π ψ ∫ 0 ( ( θ = tan −1 → ψ ∫ h2 h 0 1 x 1+ h 2 x h dx → x 2 dx = h 1 + dθ h x 2 1 + h dθ 2 2 h +x ( ) ) ) Q ψ 1 h2 + x2 Qψ d dθ = θ ⋅ 2 = 2 ∫ 0 h h +x 4πh 4πh で表される。 次に任意の位置にある D1,D2 における光子束φ1,φ2 を考える。 ″ ′ Qψ 1 Qψ 1 Qψ 1 + = φ1 = 4πh1 4πh1 4πh1 D1 ψ1 ψ'1 h1 O1 B φ2 = ψ"1 ′ D2 ψ2 ″ Qψ 2 Qψ 2 Qψ 2 − = 4πh2 4πh2 4πh2 ψ'2 O B O l l 全て同じ形で表せる。 h2 ψ"2 O2 線等方線源と平行に厚さ t の板状しゃへい体が置かれた場合 D から垂線を下した点を O とする。 O より x 離れた P 点を含む微小線源 dx から放出され、D 点に 到達する光子束⊿φ0 は D ∆φ 0 = t ψ1 b ψ2 P xO a ( ここで ) y= t = t sec θ cos θ 従って、線源全体から D 点へ到達する光子束φ0 は h θ Qdx e − µy 2 2 4π h + x Qe − µy dx a 4π h 2 + x 2 x = h tan θ , y = h sec θ φ0 = ∫ φ0 = b ( ) して代入(変数変換) ψ2 Q ψ 1 − µt sec θ e dθ + ∫ e − µt sec θ dθ ∫ 0 4πh 0 これは簡単には積分できない。 θとμt の関数でグラフ化された値を利用する。 円板等方線源 半径 R の円板等方線源の中心を O とする。 線源外の任意点 D における光子束φを考える。 D D から円板への垂線の長さを h その足と O との距離を l とする。 線源上の任意点 P(ρ,ψ)(極座標表示)を含む微小面積 h P(ρ, ψ) ρ R ψ O ρdψdρ から D 点へ到達する光子束 dφは sρ dψ dρ dφ = 2 4π (h + ρ 2 + l 2 − 2 ρl cosψ ) ここで l s:単位面積(1cm2)から全立体角(4π[sr])に 毎秒放出sれるγ線光子数 ρ2 +l2-2ρlcos P(ρ,ψ) ρ ψ O ρ ψ l D ρsinψ ρ -ρcosψ ψ l 従って、線源全体から D 点へ達する光子束φは φ= 1 4π ∫ R 0 ρdρ ∫ 2π 0 sdψ h + ρ + l 2 − 2 ρl cosψ 2 2 ここで ∫ 2π 0 dψ = h + ρ + l 2 − 2 ρl cosψ 2 2π ρ 4 + 2 ρ 2 (h 2 + l 2 ) + (h 2 + l 2 ) 2 となるらしい = 1 R ρdρ s∫ 2 0 ρ 4 + 2ρ 2 h 2 + l 2 + h 2 + l 2 ( ) ( ( ) 2 ) ( 2 2 2 4 2 2 2 2 2 s R + h − l + R + 2R h − l + h + l = ln 4 2h 2 ) 2 これは非常に煩雑なので、D が円板の中心を通る線上にある場合(l=0)で考えると s 4 φ = ln R2 + h2 h2 となる。 線源に平行に置かれた平板状のしゃへい体がある場合のφ0 線源面内の任意点 P(ρ,ψ)を含む微小面積 ρdψdρ から D 点への光子束 dφ0 は dφ 0 = sρdψdρ e − µt sec θ 2 2 4π h + ρ ( ) 従って、線源全体からのφ0 は D t θ h P ρ ψ O R 2π 0 0 φ 0 = ∫ dρ ∫ sρ e − µt sec θ dψ 2 2 4π h + ρ ( ) ( ) ω = tan −1 R h , θ = tan −1 ρ h とおくと φ0 = s ω tan θe − µt secθ dθ ∫ 0 2 となるが、これは簡単には積分できない。 θとμt の関数でグラフ化された値を利用する。 γ線の物質による減衰(放射線遮蔽の観点から見た減衰) (コリメートされていないγ線の物質透過) 物質を透過するγ線 一次γ光子 散乱光子 検出器 線源 一次γ光子数 = , 0 e 合計 ,(x) −ϖx よりずれてくる。 理由は、散乱線によるビルドアップ(再生)が x 行われるためである。 , ( x ) − , 0 e − µx が、散乱光子によるものである。 コリメートされていないγ線の物質透過を表す数値 減衰率(attenuation factor) 減衰率 = R( x ) R (0 ) R(x):線源と測定器の間に厚さ x の吸収体を置いた時の測定器の読値 R(0): 〃 吸収体を置かない時の測定器に読値 (読値:線量率,光子束,エネルギー束) ビルドアップ係数(build-up factor) B= , (x ) 検出器に到達した全光子数 = 検出器に到達した一次γ光子数 , 0 e − µx ビルドアップ係数は ,0 入射一次γ線エネルギー 吸収体の材質、厚さ log 幾何学的条件 などに依存する。 種々のγ線、物質についてグラフ化されている。 , , ( x) ,0e-μt もう少し細かく分けると 光子数ビルドアップ係数 B, エネルギービルドアップ係数 BE ,0e-μx 線量ビルドアップ係数 BD 検出器で検出される物理量の種類によって 0 t x 使い分ける。 無限平面一方向線源が厚さ t の平面を透過する光子束(フルエンス)φは φ = B , , 0 e − µt ------(1) エネルギー束は 検出器 φ E = BE , 0 Ee − µt ------(1’) E:γ線エネルギー ,0 t 点等方線源 Q が厚さ t の球殻の中心に置かれた場合 線源から x の点での光子束φは φ = B, x Q Q − µt e 4πx 2 -----(2) エネルギー束は φ E = BE t QE − µt e 4πx 2 -----(2’) (1)と(2)の B, および(1’)と(2’)の BE は 幾何学的条件が違うため異なる。 ビルドアップ係数を表す式(いろいろ考えられている) もっとも簡単な式(幾何学的条件は無視) B = 1 + aµ 0 r a:定数 1で近似する場合がある r:吸収体の厚さ μ0:入射γ線エネルギーに対する線減弱係数 点等方線源が無限の媒質中に置かれている場合のビルドアップ係数 GP(Geometrical Progression,幾何級数)近似式(国際的に使用されている) K x −1 K −1 x tanh − 1 − tanh(− 2 ) XK B ( x ) = 1 + (B − 1) r K = cx a + d Q 1 − tanh(− 2 ) ここで x:mfp 単位で表した遮蔽厚 B, c, a, Xk, d:フィッティングパラメータ 各遮蔽物質(鉛,鉄,コンクリート)について γ線エネルギーの関数で表に与えられている。 例 1MeV 光子 vs 鉛 実効線量ビルドアップ 照射線量ビルドアップ B 1.373 B 1.367 c 0.806 c 0.811 a 0.053 a 0.051 Xk 13.65 Xk d 13.58 –0.03 d –0.0284 B は 1mfp でのビルドアップ係数に相当 鉛 1mfp (1MeV) =1.24cm → 1.373(実効線量) 5mfp では 2.444(実効線量) 双曲線関数 ハイパボリックタンジェント tanh x = e x − e−x e x + e−x ハイパボリックサイン sinh x = e x − e−x 2 ハイパボリックコサイン cosh x = e x + e−x 2 ビルドアップを含む光子の物質による減衰は、グラフから読み取るのが一般的である。 もしくは、グラフから導かれた近似式を用いる。 各核種、各吸収物質についての減衰データのグラフが与えられている。 これらのデータ 実測により多数のデータを取得するのは非常に困難 多くは計算により求められている。 (1)Boltzman の輸送方程式 主に原子炉の中性子しゃへい計算 (2)モンテカルロ計算(乱数を用いた数値実験法) 後方散乱 透過と同時に反射も考える必要がある。 γ線に対するアルベド albedo ドイツ語 (入射光子に対する反射光子の比)(散乱比) θ0 θ 入射光子 E0 小立体角 dΩ φ ds φ0 単一エネルギーE0 の一様平行γ線が、入射角(θ0,φ0)で入射する。 ・境界面上の小面積 ds を通り入射する光子数を n0cosθ0ds とする。 ・ds を通り(θ,φ)方向の小立体角 dΩへ出てゆく散乱光子のうち エネルギーが E と E+dE の間にある光子数を n0 cos θ 0 ds ⋅ P (θ 0 ,φ 0 , E 0 ;θ ,φ , E ) sin θdθdφdE で表す。 この P (θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ , E ) を(角度エネルギー)微分アルベドという。 小面積 ds を通り(θ,φ)方向の小立体角 dΩへ出てゆく全光子数 n(θ ,φ )dsdΩ = ∫ n0 cosθ 0 ds ⋅ P (θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ , E ) sinθdθdφdE E0 0 = n0 cos θ 0α , dsdΩ α, を微分光子数アルベド(differential number albedo)という。 小面積 ds を通り(θ,φ)方向の小立体角 dΩへ出てゆく全光子エネルギー I (θ ,φ )dsdΩ = ∫ n0 cosθ 0 dsEP(θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ , E ) sinθdθdφdE E0 0 = n0 E0 cos θ 0α E dsdΩ αE を微分エネルギー数アルベド(differential energy albedo)という。 α , ≡ α , (θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ ) = ∫ P(θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ , E )dE E0 0 α E ≡ α E (θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ ) = ∫ E0 0 E P (θ 0 ,φ0 , E0 ;θ ,φ , E )dE E0 実際に後方散乱線が問題となるのは、放射線治療室(ライナック室)の迷路 Concrete n0 Concrete θ0 a θ b Linac room Linac room D D= D n0 cos θ 0 ⋅ α a2 ⋅ b2 全壁・床面について計算するには、種々の条件で膨大な微分アルベドデータが必要。 しかし、実測でこのような膨大なデータを作成するのは困難であり、 コンピュータシミュレーション(モンテカルロ法)で求められている。 微分線量アルベドαD の経験式(Chilton & Huddreston) αD = C ⋅ 10 26 K e (E 0 ,θ s ) + C ′ cos θ s 1+ cos θ θs は入射線と射出線のなす角度 θ = sin θ 0 sin θ cos φ − cos θ 0 cos θ C,C’は定数 γ線エネルギーE0 物質に依存 例 コンクリート 1.0MeV C=0.0547±0.0020 C’=0.0111±0.0007 Ke(E0,θs) コンプトン散乱のエネルギー散乱微分断面積 1 K e (E 0 ,θ s ) = r 1 + 1.96 E 0 (1 − cosθ s ) 2 0 3 1 + cos 2 θ s ⋅ 2 (1.96 E0 )2 (1 − cos θ s )2 × 1 + 2 + + − 1 cos θ ( 1 1 . 96 E ( 1 cos θ ) ) s 0 s ただし r0 = ( ) e2 m0 c 2 古典電子半径 中性子と物質との相互作用 中性子の分類 熱中性子 ~0.025 eV ライナック室 低速中性子 1eV~1 keV 迷路部分 中速中性子 数 100eV~0.5MeV 高速中性子 0.5MeV 以上 中性子は電子や原子核により相互作用を受けるが、 電子による散乱断面積は原子核に比べて非常に小さい。→無視可能 熱中性子は捕獲吸収される。 原子核との弾性散乱による中性子のエネルギー損失 質量数 A の核に速度 V0 の中性子が入射すると (重心系座標の中性子の速度 v.0 は v0 = A V0 A +1 で表される) 角度θ方向に散乱される中性子の実験室系での速度 v は 2 V v = 0 A 2 + 2 A cos θ + 1 A +1 ( ) 重心を座標の原点とする運動座標系 エネルギーは E= 重心系座標とは E0 ( A + 1)2 (A 2 ) + 2 A cos θ + 1 E の平均値 E (θについて平均化) 2A E = E 0 1 − 2 ( A + 1) E0=1MeV の中性子が 0.025eV の熱中性子になるためには、 水素(A=1)では 17.5 回の散乱が必要 炭素(A=12)では 111 回の散乱が必要 鉛(A=207)では つまり A が小さい軽元素が中性子の減速に有利である。 ライナック室の扉には、ボロン(B ホウ素)入りのパラフィン、ポリエチレン(~10cm) が用いられている。 エックス線診療室の遮蔽能力計算 計算基準 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成 13 年 3 月 12 日付 医薬発第 188 号厚生労働省医薬局長通知)に基づく。 d1 被写体 X線管 EP d2 d3 EP 一次X線による実効線量 ES 被写体からの散乱X線による実効線量 d4 EL X線管球からの漏洩X線による実効線量 ES EL 計算方法 ① 一次エックス線(利用線錐の方向)による実効線量の計算式 EP = X × D t × W × (E K a ) × U × T d 12 EP:一次X線による漏洩実効線量(μSv/3 ヶ月) X:X線管焦点から利用線錐方向の 1mの距離における空気カーマ(μGy/mAs)表1 Dt:遮蔽体の厚さtcm における空気カーマ透過率 表2,3 W:3 ヶ月(13 週間)の実効稼働負荷(mAs/3 ヶ月) E/Ka:空気カーマから実効線量への換算係数(Sv/Gy) 表5 U:使用係数(方向利用率) T:居住係数(=1) d1:X線管焦点から線量評価点までの距離(m) W:3 ヶ月(13 週間)の実効稼働負荷(mAs/3 ヶ月) 例 X線透視撮影室 通常使用する最大管電圧 100kV とする。 患者一人当たり 透視 100kV 1mA 10 分 1 × 10 × 60 = 600[mA秒] 撮影 100kV 200mA 0.2 秒で 10 枚 200 × 0.2 × 10 = 400[mA秒] 合計 1000[mA 秒] 一日の患者数 10 人 一週間 5 日、 以上より 3ヶ月=13 週間 W = 1000 × 10 × 5 × 13 = 650000[mA秒 / 3ヶ月] 計算例 三相全波整流 100kV 実効稼動負荷 650000mAs/3 ヶ月 計算条件 遮蔽体:コンクリート 20cm、 距離 d1=3m とする。 表 1 より X=110μGy/mAs W=650000mAs 表 3 より Dt=7.7×10-5 表 5 より E/ka=1.433 [Sv/Gy] U=1(方向利用率)とする。 T=1 EP = 110 × 650000 × 7.7 × 10 −5 × 1.433 × 1 × 1 = 876.6 [μSv/3 ヶ月] 3 .0 2 この場合、利用線錐に必ず受像器(II など)があるので、実際には受像器による遮蔽も考慮する。 受像器や検出器が利用線錐中に存在する場合 EP = 1 X × Dt × W × (E K a ) × U × T × , 10 d12 を用いて計算する。 ここで Dt は最初の受像器(検出器)の透過率、N は隔壁の遮蔽体厚の 1/10 価層厚に対する倍数。 受像器の鉛当量は表 7 より換算する。遮蔽体の 1/10 価層厚は表 6 から求める。 上例の場合 100kV に対する受像器の鉛当量は 2.0mm 2mm 鉛に対する 100kVX線の空気カーマ透過率は表2より 2.0×10-4 100kV に対するコンクリートの 1/10 価層は表 6 より 5.3cm ,=20/5.3=3.774 従って EP = 110 × 650000 × 2.0 ×10 −4 × 1.433 ×1× 1 1 × 3.774 = 0.383 2 3.0 10 [μSv/3 ヶ月] となる。 ② 散乱エックス線(利用線錐以外の方向)による実効線量の計算式 ES = X × Dt × W × ( E K a ) × U × T d ×d 2 2 2 3 × a×F 400 ES:散乱X線による漏洩実効線量(μSv/3 ヶ月) d2:被写体から線量評価点までの距離(m) d3:X線管球から被写体までの距離(m) a:照射野 400cm2 の組織類似ファントムから 1m の距離における空気カーマ率の X に対する割合 F:照射野の大きさ(cm2) 400:基準照射野(cm2) その他のパラメータは、①と同じ 400cm2 X a 1m 表4 100kV 650000mAs/3 ヶ月 F=900cm2 遮蔽体 鉛ガラス(鉛当量 1.5mm) d2=2.5m d3=0.8m とする。 X=110μGy/mAs W=650000mAs 表 2 より Dt=8.1×10-4(鉛 1.5mm) 表 4 より a=0.13/100=0.0013 計算例 900 × 8.1 × 10 − 4 × 1.433 × 1 × 1 400 = 60.7 [μSv/3 ヶ月] 0 .8 2 × 2 .5 2 110 × 650000 × 0.0013 × ES = ③ エックス線管容器からの漏洩線(利用線錐以外の方向)による実効線量の計算式 または EL = X × t × (E K a ) × U × T 1 × L W , 10 d 42 EL = 1 X L × t W × (E K a ) × U × T × 2, d 42 ここで ここで ,= 施工遮蔽厚 1 / 10価層厚 ,= 施工遮蔽厚 半価層厚 EL:X線管容器からの漏洩線による実効線量(μSv/3 ヶ月) XL:X線管容器から1mの距離における漏洩X線の空気カーマ(μGy/hr) tW :3 ヶ月間の稼動時間(hr) d4 :管球から線量評価点までの距離(m) その他のパラメータは、上記①と同じ。 1/10 価層(半価層)は表 6 から求める。 1 が空気カーマ透過率を表している。 10 , (大幅に減衰したエックス線の遮蔽体内での減衰は、はぼ指数関数的とみることが できる。) 計算例 100kV 650000mAs/3 月 遮蔽体 鉛 1.5mm d4=2.5m XL=1000μGy/hr(法限度値を用いる。デンタルの場合 250μGy/hr) tW:透視 100kV 1mA 10 分/人、撮影 100kV 200mA 0.2 秒 10 枚/人 10 人/日 5 日/週 13 週/3 月 より tW = (10 / 60 + 0.2 × 10 / 60 / 60 ) × 10 × 5 × 13 = 108.7 [hr/3 月] 本来、透視時と撮影時では漏洩線量率は異なるが、 明確な数値が不明なため、全て 1000μGy/hr とする。 ,= 施工遮蔽厚 1.5 = = 1.704 1 / 10価層厚 0.88 EL = 1 1.704 10 × 1000×108.7 ×1.433×1×1 = 492.7 [μSv/3 ヶ月] 2.5 2 高エネルギーX線 ライナック治療室の遮蔽計算 計算基準 原子力安全技術センター:放射線施設のしゃへい計算実務マニュアル LEX 漏洩X線 UEX 利用線錐 SEX 利用X線による実効線量 UEX 照射ヘッドからの漏洩X線による実効線量 迷路散乱X線による実効線量 SEX LEX を評価する。 利用X線のしゃへい計算式 • U EX = I 0 ⋅ 10 6 ⋅ Dt ⋅ U ⋅ 1 .0 L2 -------------------------------------------- (1) ここで • U E X :計算点における実効線量率(μSv/3 ヶ月)(E の上の点は率を意味する) I 0 :使用線量(Gy/3 ヶ月)at 1m 106 :Gy/μGy L :ターゲットから計算点までの距離(m) Dt :遮蔽材の透過率。2 種類以上の遮蔽体がある場合、それぞれの透過率の積を 全体の透過率とする。(表1) U :方向利用率 (下向き=1,上向き=0.5,横向き=各 0.25) 1.0 :実効線量換算係数(Sv/Gy) I 0 → 文部科省で許可を受けている数値 使用時間で許可を受けている場合 (使用時間)×最大線量率(Gy/min)×60(min/hr) Target 1m 空中組織吸収線量≒最大線量深の線量=ライナックのモニタ線量 (∵ BSF≒1) 1m 最大線量深 空中組織 吸収線量 水吸収線量 計算例 6MVX線 使用線量 10000Gy/3 月 横向(方向利用率 0.25) 距離 4.5m コンクリート(ρ=2.10g/cm3)80cm + 鉄板 30cm コンクリート 80cm の透過率は表1より 鉄板 30cm 1.27 × exp(− 0.0654 × 80 ) = 6.78 × 10 −3 鉄板 30cm の透過率は 1.14 × exp(− 0.243 × 30 ) = 7.78 × 10 −4 UEX 4.5m 全体の透過率は Dt = 6.78 × 10 −3 × 7.78 × 10 −4 = 5.27 × 10 −6 したがって • U EX = 110cm 10000 × 10 6 × 5.27 × 10 −6 × 0.25 × 1.0 = 650.6 2 4 .5 [μSv/3 月] 照射ヘッドからの漏洩 X 線の遮蔽計算式 • L EX = i0 ⋅ 10 6 ⋅ Dt ⋅ W ⋅ 1 .0 L2 -------------------------------------------- (2) ここで • L E X :計算点における実効線量率(μSv/3 ヶ月) i0 :ターゲットから 1mの距離における漏洩X線強度 W :下向使用率 ( W=1-U ) i0=I0×0.001 計算例(前例と同じ) 6MVX線 使用線量 10000Gy/3 月 横向の方向利用率 0.25 距離 3.5m(ターゲットが下向位置の距離) コンクリート(ρ=2.10g/cm3)80cm + 鉄板 30cm 鉄板 30cm コンクリート 80cm の透過率は表1より 1.35 × exp(− 0.0751 × 80 ) = 3.32 × 10 −3 鉄板 30cm の透過率は UEX 1.06 × exp(− 0.263 × 30 ) = 3.97 × 10 −4 3.5m 全体の透過率は Dt = 3.32 × 10 −3 × 3.97 × 10 −4 = 1.32 × 10 −6 下向使用率 W=1-0.25=0.75 したがって 110cm 10000 × 0.001 × 10 6 × 1.32 × 10 −6 × 0.75 × 1.0 = 0.808 L EX = 2 3 .5 • [μSv/3 月] • したがって、同点の 3 ヶ月当たりの実効線量 L E X は EX = UEX + LEX = 650.6 + 0.808 = 651.4 [μSv/3 ヶ月] 迷路散乱 X 線の計算式 • S EX = S ⋅ I 0 + s ⋅ i0 ⋅ 10 6 ⋅ 0.01 ⋅ d t ⋅ f ⋅ F 2 2 a ⋅b ---------------------------------- (3) ここで • E S X :計算点における実効線量率(μSv/3 ヶ月) S :照射中の利用線錐のコンクリート壁面等への入射面のうち、計算点から見られる 面積(m2) s :照射ヘッド漏洩線のコンクリート壁面等への入射面のうち、計算点から見られる 面積(m2) a :ターゲットから散乱壁面の中心までの距離(m) b :散乱壁面の中心から計算点までの距離(m) 0.01:壁面等の散乱比 dt :遮蔽材(扉)の透過率。(図1) (4MVX線の場合、60Coγ線の 124°散乱線に対する透過率、6MV 以上の X 線 の場合 90°散乱線に対する透過率を近似的に用いる) f :散乱X線に対する実効線量換算係数(1.1 とする。遮蔽材がない場合 1.433) F :安全率(2 を用いる) a Target S b Linac room SEX 計算例 6MVX線 使用線量 10000Gy/3 月 壁・床・天井の総散乱面積 s=20m2 S=0 ターゲット‐散乱中心間距離 a=6m 散乱中心‐扉前の計算点間距離 b=7m 扉の遮蔽材 鉛 5mm とする。 i0=10000×0.001=10Gy/3 月 扉の透過率は、図1(90°, 5mm)より dt=1.7×10-1 したがって • S EX = 0 × 10000 + 20 × 10 × 10 6 × 0.01 × 0.17 × f × F = 424.0 [μSv/3 月] 2 2 6 ×7 光核反応による中性子線(迷路散乱線) 光核反応による中性子線(10MV 以上のX線照射時) 中性子線エネルギー:0.5MeV(迷路散乱線) • , EX = s⋅ n I 0 ⋅ P ⋅ 10 6 ⋅ d t ⋅ 1.43 a2 ⋅ b2 --------------------------------- (4) ここで • , E X :計算点における実効線量率(μSv/3 ヶ月) sn I n 0 P :壁面等の総散乱面積 m2 :ターゲットより1mの点での漏洩中性子線出力(Sv/3 ヶ月) nI0 = 利用 X 線出力(Gy/3 月)×0.0003 10MV 0.0003 12MV 0.0013 15MV 0.003 :中性子に対する散乱比 θ2 θ1 コンクリートの場合 P = 0.11 ⋅ (cos θ 1 ) 23 ⋅ cos θ 2 θ1:壁面への入射角度 θ2:壁面からの反射角度 dt :中性子線に対する遮蔽材(扉)の透過率。(図2) 1.43 :速中性子に熱中性子を加味する係数 アイソトープ検査室(非密封放射性同位元素使用室)のしゃへい計算 ガンマ線放出核種の遮蔽計算は次式を用いる。 • E = A ⋅ Γ E ⋅ t ⋅ ε 1 ⋅ ε 2 ⋅ ε 3 L2 • A MBq E :実効線量(μSv/3 ヶ月) A:線源数量(MBq) Γ E :実効線量率定数(μSv・m2・MBq-1・h-1) t:時間数(線源・人が存在する時間) ε1,2,3:遮蔽体による実効線量透過率 L:線源から計算点までの距離(m) L E ΓE 1MBq の線源から 1m 離れた点における 1 時間当たりの実効線量を表している。 計算例 131 I 370 MBq が厚さ 1cm の鉛貯蔵箱に収納されている。コンクリート壁 15cm の外 (線源から 2.5m)の点の実効線量率 Pb 1cm 370 MBq 2.5m E RC 15cm 131 I に対する Γ E =0.0545 時間数 t 40 時間/週 人が存在する。3 ヶ月では 40×13=520 時間 透過率表より 鉛 1cm のε=1.20E-01 コンクリート 15cm のε=3.62E-01 E= 370 × 0.0545 × 520 × 1.20 × 10 −1 × 3.62 × 10 −1 = 72.88 µSv 2 3ヶ月 2 .5 ベータ線放出核種 純β核種は主に研究用(3H, 14C, 32P, 35S など) 医療用では 89Sr,90Sr(治療用) ベータ線放出核種(制動放射線)の遮蔽計算は次式を用いる。 (β線が物質(ターゲット)に当たり放出される制動X線の遮蔽計算) • E = Γ 20 (Z ) ⋅ A ⋅ t ⋅ ε 1 ⋅ ε 2 ⋅ ε 3 L2 -------------------- (2) • E :実効線量(μSv/3ヶ月) Γ20(Z):ターゲットの原子番号が Z であるときの実効線量率定数(μSv・m2・MBq-1・h-1) A:線源数量(MBq) t:時間数(測定点毎に設定) ε1,2,3:遮蔽体による実効線量透過率 L:ターゲットから計算点までの距離(m) Γ 20 (Z ) = Γ 20 × K 20 (Z ) ただし Γ20 :ターゲットの原子番号が 20 であるときの制動放射線の実効線量率定数 K20(Z):ターゲットの原子番号がZのときの制動放射効率比(Z=20 Ca) Z K20(Z) Z K20(Z) 1 0.036 45 2.504 5 10 12 15 20 25 0.213 0.460 0.564 0.724 1.000 1.286 50 55 60 65 70 74 2.824 3.149 3.478 3.812 4.151 4.425 26 30 1.344 1.580 75 80 4.493 4.840 35 40 1.882 2.190 82 4.979 β線スペクトル → 制動X線スペクトル → 実効線量率 (連続) ↑ ターゲット(ガラスバイアル、ステンレススチールなど) 計算例 90 Sr 370 MBq が厚さ 1cm の鉛貯蔵箱にステンレス(鉄)に封入されて収納されている。 コンクリート壁 15cm の外(線源から 2.5m)の点の実効線量率 Pb 1cm 370 MBq ステンレス 2.5m E RC 15cm 90 Sr に対するΓ20=2.63×10-3,K20(Z=26)=1.344 したがってΓ20(26)=3.53×10-3 透過率表より 鉛 1cm のε=1.21E-03 コンクリート 15cm のε=6.08E-02 E= 370 × 3.53 × 10 −3 × 520 × 1.21 × 10 −3 × 6.08 × 10 −2 = 7.99 × 10 −3 µSv 2 3ヶ月 2 .5 ΓE ガンマ線放出核種に対する の算出法 Γ E = 0.459 × ∑ g i × E i × Pi × (µ en ρ )i [μSv・m2・MBq-1・h-1] で計算されている。 i Ei:光子 i のエネルギー [MeV] Pi:光子 i の放出割合 [%] (μen/ρ)i:光子 i に対する空気の質量エネルギー吸収係数 [m2/kg] gi:光子 i に対する 空気カーマ/実効線量換算係数 [Sv/Gy] 例 131 I 131 I β- 131m 8.02day Ei 主なγ線 MeV 0.0802 0.284 0.364 0.637 0.723 Xe γ線放出 131 Xe これらより Pi 放出割合 % 2.6 6.1 81.7 7.2 1.8 Γ E = 0.0545 0.459 について 光子フルエンスΦと吸収線量 D の関係は次式のとおりである。 m2 J J µ en Dmed Gy = = Φ m − 2 × hν [MeV ]× 1.602 × 10 −13 × ρ med ,hν kg kg MeV [ ] 1MBq 点線源から 1m の距離における 1 時間あたりのフルエンスは 10 6 × 3600 [m-2]より 4π 10 6 1 µ µ × 3600 × E × 1.602 × 10 −13 × en × 10 6 × = 0.459 × E × e ρ air ,E ρ air ,E 4π 100 MeV m2/kg Gy/μGy P%/100 これは空気吸収線量(≒空気カーマ)[μGy/h at 1m]を表している。 ベータ線放出核種に対する Γ20 の算出法 (1) 連続スペクトルを持つβ線スペクトルを計算(フェルミ関数などを応用) (2) 各エネルギーβ線に対する制動放射効率および制動X線スペクトルを計算 (3) これらを積算し、発生する制動X線量およびスペクトルを求める (4) 各エネルギーX線の相対比および空気カーマ・実効線量変換係数を求める (5) これらを積算してΓ20 を算出 RI の許可使用量 核 種 使用開始時および毎年1回申請する 1日最大使用数量 3 月最大使用数量 年間最大使用数量 最大貯蔵数量 99m Tc 67 Ga 123 I 131 I 201 Tl ・・・・・ 計算条件 線源の存在する場所および数量、時間 貯蔵室(庫)最大貯蔵数量(全核種) 1 日 24 時間 624 時間/週 2184 時間/3 月 存在 準備室 1日最大使用数量(全核種)1 日 8 時間 40 時間/週 520 時間/3 月 存在 体外計測室 1人最大使用数量(特定核種)1 日 8 時間 40 時間/週 520 時間/3 月 存在 廃棄物補間室 最大保管廃棄数量(全核種)1 日 24 時間 624 時間/週 2184 時間/3 月存在 線量評価点および時間 管理区域内の作業者が常時いる場所 (準備室,体外計測室など) 体外計測室 操 作 室 体外計測室 40 時間/週 人が存在 管理区域の境界 (入口および周囲、上階、下階など) 500 時間/3 月 人が存在 処 置 室 病室(もっとも近い病室) 2184 時間/3 月 人が存在 事業所内居住区域(宿舎など) 2184 時間/3 月 人が存在 事業所の境界 2184 時間/3 月 人が存在 待合室 通 路 汚 染 検 査 室 貯蔵室 準備室 トイレ シャワー 管理室 廃棄室 入口 各線源から各線量評価点への線量を計算し、 各線量評価点の線量を合算して、それが法基準値に適合しているか評価する。 アイソトープ検査施設の排水設備能力計算 一般的な RI 検査施設の排水系統、基本的フロー図 第1貯留槽 RI使用施設 A m3 流し 排水モニタ トイレ 浄化槽 浄化槽 第2貯留槽 希釈槽 A m3 B m3 排水 排水基準 排水時の、核種ごとの放射能濃度の「排水中濃度限度」に対する割合を求め、その合計が 1.0 よりも小さければ一般排水路へ排水してよい。 排水中放射能濃度の計算式 計算の基本として、第1貯留槽が満水になるまでの日数時点での濃度を求め、ここで減衰 させて排水させる。減衰日数は貯留槽満水日数と同じとする。満水になるまでは1日最大使 用予定数量を連続して使用したものとして計算する。ただし、その間の使用量が年間(およ び3ヶ月間)使用予定数量を越えることはない。 核種別に排水1回ごとの排水中の放射性同位元素濃度を求め、当該濃度を濃度限度で除し て核種別の割合を求める。これらの和が1を越える場合には、希釈槽の希釈割合を考慮しつ つ、最高 10 倍の希釈を行うものとして最終的な割合の和を算出する。 排水1回毎の排水中の = 排水時の貯留槽中の放 射能 (Bq/cm3) 放射性同位元素の濃度 貯留槽1基の貯水量 = 1日最大使用数量 × 混入率 × [{1 − exp (− λ ⋅ t1 )}/ λ ]× exp (− λ ⋅ t 2 ) 貯留槽1基の貯水量 λ:核種の崩壊定数(/日) (=0.693/T) ただし T:核種の物理的半減期(日) t1:流入回数(日数、小数点以下切上) t1 = (3ヶ月最大使用予定数量 ) ÷ (1日最大使用予定数量 ) 91(日) ÷ (貯留槽1基の満水日数 ) t2:放置期間(日)= 貯留槽の満水期間 1 日の流入量の計算基準 使用室排水量=1 日患者数×作業従事者数×5(リットル/日) トイレ排水量 =1 日患者数×20(リットル/日) 貯留槽の満水期間 t= ( ) ( ) 貯留槽1基の容量 m3 = K (日) 一日当たりの流入水量 m3 排水中へのRIの混入率 1日最大使用量の 1%とする。 固体・気体核種(99Mo,81Rb,81mKr,133Xe など)は、排水中に混入しない。 RI排水能力計算例 * 満水期間 = 26 日 放置期間 = 26 日 核 種 一日使用量 混入率 排水濃度 MBq Bq/cm3 67Ga 1820 29500 185 555 92.5 1110 99mTc 111In 123I 131I 201Tl 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 槽容量 = 12 m3 濃度限度 Bq/cm3 1.63E-02 4.44E-31 4.19E-04 2.17E-15 1.51E-02 1.04E-02 割 合 4.0E+00 4.0E+01 3.0E+00 4.0E+00 4.0E-02 9.0E+00 合 0.004071 0.000000 0.000140 0.000000 0.376497 0.001158 計 0.381865 合計が 1.0 より小さければ OK 1.0 を超える場合、1.0 以下になるよう希釈水を加えて放流する。 計算例 12m3 の貯留槽が 2 基,従事者数 2 人,1日患者数 15 人とする。 1 日排水量 = 15×2×5 + 15×20 = 450 リットル/日 貯留槽 1 基の満水期間 t = 12/0.45 = 26 日 67 Ga 3 ヶ月使用数量:21000MBq,1 日使用数量:1820MBq とする。 67 Ga のλ=0.693/3.261=0.2125 (半減期=3.261 日) 21000 t1 = 排水中濃度= 91 1820 = 4(3.3)回流入 26 1820× 106 × 0.01× [{1 − exp(− 0.2125× 4)}/0.2125]× exp(− 0.2125× 26) = 1.63 ×10−2 Bq 3 cm 12 ×106 濃度限度(法規制値= 4 Bq/cm3)に対する割合 = 1.63×10-2/4 = 0.004071 アイソトープ検査施設の排気設備能力計算 RI検査施設の一般的な排気系統、その基本的フロー 外気 給気ファン 低濃度 RI使用施設 高濃度 排気 モニタリング (排気設備) 排気 フィルタユニット フィルタユニット ・プレフィルタ ・高性能フィルタ ・チャコールフィルタ 排気ファン 610×610×50mm 2個 610×610×292mm 2個 610×610×292mm(チャコール厚さ1インチ)2個 各室の排気量(例) 室 名 準備室 ガンマカメラ室 操作室 インビトロ検査室 貯蔵室 廃棄物保管室 診察・処置室 ホール・汚染検査室 シャワー室 トイレ 室容量 m3 45 90 23 58 13 17 25 35 4 5 換気回数 回/時 20 12 7 13 11 11 6 1 12 10 合 計 給気量 m3/時 750 1000 150 700 100 150 100 550 0 0 3500 (一週間の稼動時間を 40 時間とする。) 排気量 m3/時 900 1100 150 800 150 200 150 50 50 50 3600 一週間排気量 m3 36000 44000 6000 32000 6000 8000 6000 2000 2000 2000 144000 計算方法 核種ごとに一週間もしくは3月間の平均濃度を濃度限度で除して核種ごとの割合を求め、 これらの割合の和を算出する。計算は次式を用いる。 (1)管理区域内の人が常時立ち入る場所 A= B × 10 6 × C × D E A:核種別の 1 週間平均放射能濃度(Bq/cm3) B:核種別の 1 日最大使用数量(MBq) C:核種別の 1 週間当たりの平均使用日数 D:核種別の RI の室内空気中への飛散率 E:一週間の総排気量 また、室内空気中での放射能濃度 A と濃度限度 F との割合 G は、次式により計算する。 G=A F F:医療法施行規則 別表第三第二欄の空気中濃度限度 計算例 (空気中濃度が最も高いと考えられる準備室で計算する) 各核種を並列して、1 日最大使用数量すべてを使用するものと仮定する。 飛散率 気体:0.1(ガストラップ使用) 液体・固体:0.001 1 週間当たりの使用日数を 5 日(40 時間)とする。 核 67 種 Ga Rb 81m Kr 99 Mo 99m Tc 111 In 123 I 131 I 133 Xe 201 Tl 81 一日使用量 MBq 111 370 370 5550 10550 111 2500 37 111 2500 * 準備室の一週間総排気量 = 36000m3 週平均 飛散率 平均濃度 濃度限界 使用日数 Bq/cm3 Bq/cm3 1.74 0.001 5.37E-06 7.0E-02 0.52 0.001 5.34E-06 3.0E-01 0.52 0.100 5.34E-04 1.0E+00 3.47 0.001 5.35E-04 2.0E-02 2.74 0.001 8.03E-04 7.0E-01 1.74 0.001 5.37E-06 7.0E-02 1.93 0.001 1.34E-04 2.0E-01 0.77 0.001 7.91E-07 2.0E-03 1.74 0.100 5.37E-04 5.0E+00 1.93 0.001 1.34E-04 3.0E-01 合 計 法基準 一週間平均濃度の濃度限度に対する割合の合計 < 0.1 割 合 0.000077 0.000018 0.000534 0.026748 0.001147 0.000077 0.000670 0.000396 0.000107 0.000447 0.030221 (2)最終排気口 A= B × 10 6 × b2 × C × D E A:核種別の排気口における放射能濃度(Bq/cm3) B:核種別の 1 日最大使用数量 b1:3 ヶ月使用数量(MBq) b2:3 ヶ月間の使用日数(b1/B) C:RI の飛散率 D:フィルタ漏洩率 E:3 ヶ月の総排気量 排気口での放射能濃度 A と、濃度限度 F との割合 G は次式により計算する。 G=A F F:医療法施行規則 別表第三第四欄の濃度限度値 計算例 各核種を並列して、1 日最大使用数量を使用するものとする。 排気フィルタ透過率 HEPA フィルタ- ヨウ素 --------------- 1.0 その他の液体・固体 --- 0.01 気体 --------------- 1.0 チャコールフィルタ(厚さ 1 インチ) ヨウ素 --- 0.2 気体 --- 1.0 核 種 67 Ga Rb 81m Kr 99 Mo 99m Tc 111 In 123 I 131 I 133 Xe 201 Tl 81 * 3ヶ月総排気量 = 3541138m3 一日使用量 飛散率 フィルタ MBq 透過率 111 0.001 0.01 370 0.001 0.01 370 0.100 1.00 5550 0.001 0.01 10550 0.001 0.01 111 0.001 0.01 2500 0.001 0.20 37 0.001 0.20 111 0.100 1.00 2500 0.001 0.01 * 3 ヶ月の使用日数 = 78 日 平均濃度 濃度限界 Bq/cm3 Bq/cm3 1.34E-08 5.0E-04 1.34E-08 3.0E-03 1.34E-04 6.0E-03 1.34E-06 1.0E-04 2.00E-06 6.0E-03 1.34E-08 5.0E-04 6.68E-06 1.0E-03 3.95E-08 1.0E-05 1.34E-04 2.0E-02 3.34E-07 3.0E-03 合 計 法基準 3ヶ月平均濃度の濃度限度に対する割合の合計 < 1.0 割 合 0.000027 0.000004 0.022258 0.013355 0.000334 0.000027 0.006677 0.003953 0.006677 0.000111 0.053423
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