アルコール と 健 康

平成 16 年 12 月号
杉山内科健康便り
アルコール
と
健
康
「お酒を適量飲んだ人は飲まない人よりも長生きする」というデータがあるが、
その一方で、飲酒習慣により臓器障害(アルコール関連障害)などの健康問題が
起こっている。日本のアルコール依存症者は220万〜230万である。アルコ
ールの性質は、飲み物としての嗜好品であり、1gが 7.1Kcal でエネルギー源で
あり、また脳を抑制する薬物(酩酊)である。
アルコールの代謝
アルコールの中間代謝物のアセトアルデヒドは毒性が強く、日本人の約 4 割程
度はアセトアルデヒド脱水酵素の活性が弱いか欠損している。したがって、少量
の飲酒後に、すぐに赤顔になり、動悸、頭痛、吐き気が起こる。
血液中エタノール
濃度 mg/ml
症状
日本酒
ビール
ほろ酔い
0.1〜0.5
気分がさわやか、ほろ酔い
1合
大瓶 1 本
軽度酩酊
0.5〜1.0
陽気、不安、緊張の減少
2合
大瓶2本
中程度
酩酊
1.0〜2.0
多弁、大胆、気が大きくなる
3〜4 合
大瓶 3〜4 本
強度酩酊
2.0〜3.0
千鳥足、言語不明瞭、吐き気、
5〜6 合
嘔吐
大瓶 5〜7 本
泥酔期
3.0〜4.0
歩行不能、意識混濁、死の危険 7〜8 合
大瓶 8〜9 本
昏睡期
4.0 以上
昏睡、呼吸麻痺、死
大瓶1打
1升
アルコールと臓器障害・・飲酒量が多くなるほど発生頻度が高い
アルコール性肝障害;アルコール性肝硬変
女性の肝障害が増加している。女性は飲酒量、飲酒期間が男性に比べて
半分以下で肝臓障害が起こってくる。
アルコール性急性膵炎・・全急性膵炎の76%がアルコール性、男性に多い
悪性腫瘍・・食道癌がアルコールとの関連が指摘されている
エタノール濃度の高いウイスキー、焼酎等をそのまま飲むと危険が高い
アルコール依存症・・230万人とも言われている。一般に、酒を飲まないと
不安であり、酒を飲まずにいられないものであり、さまざまな精神的依
存と身体的依存を示す。
適性飲酒
健康によいお酒の適量は日本酒では一日に約一合、ビールでは大瓶で一本、
ウイスキーではダブルで一杯、焼酎では約8勺と言われている。
日本大学教授
塚本昭次郎氏より
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