10地域に学ぶセミナー3回目資料 - 福岡市企業進出支援サイト Asia

会議が10倍面白くなるナレッジリージョン勉強会
IRBC加盟10地域について学ぶセミナー
第3回 ナレッジリージョンの国際戦略
2010.6.10
山下 永子
(財) 福岡アジア都市研究所 研究主査
アジア太平洋都市サミット事務局
国際知識経済都市会議実行委員会事務局WG調査チーム
第Ⅲ回の構成
Ⅲ-1.IRBC加盟地域のプロフィール
前回のおさらいと補足
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
Ⅲ-3. ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
Ⅲ-4. 福岡への示唆
おまけ.「国際戦略」における
国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ-
Ⅲ-1.IRBC加盟10地域のプロフィール
おさらい
国際地域ベンチマーク協議会(IRBC)とは
(International Regions Benchmarking Consortium)
会員:10カ国10地域
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
バルセロナ(スペイン)
ダブリン(アイルランド)
大田広域市(韓国)
福岡市(日本)
ヘルシンキ(フィンランド)
メルボルン(オーストラリア)
ミュンヘン(ドイツ)
シアトル(USA)
ストックホルム(スウェーデン)
バンクーバー(カナダ)
■IRBCは、2007年、シアトル市を中核とする地域の
広域行政協議会と広域商工会議所の貿易促進部門が、
世界の「革新的な地域」の自治体に共同設立を呼びかけ、
2008年に正式に発足した国際地域コンソーシアム
3
Ⅲ-1.IRBC加盟10地域のプロフィール
面積と人口
面積:K㎡
40,000
35,000
おさらい
5,309,404
人口:人
6,000,000
34,523
5,000,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
3,684,461
3,524,000
3,024,647
3,000,000
16,291
2,551,737
2,296,031
2,000,000
1487836
2,116,581
1,186,859 1,288,781
7,694
7,726
5,504
5,578
1,000,000
2,877
921 1,169
540
0
BA
L3
11
D U 市村
B
1市
FU
3郡
K
HE
9市
L4
市 1 0町
14
自
SE 治体
A4
ST
郡
O
5 郡 71
65 市
自
治
体
D
M
AE
EL
1
31
地 市
方
政
M
UN 府
1
VA 市
8郡
N
21
自
治
体
0
4,000,000
面積㎢
人口 (2006)*福岡大田は2007年
資料:福岡アジア都市研究所
Ⅲ-1.IRBC加盟10地域のプロフィール おさらい
国際地域ベンチマーク協議会会員提供データに見る「地域サイズ」
メンバー
地域
福岡
バルセロナ
シアトル
バンクーバー
対象地域
福岡県
バルセロナ
プロビンス
ピュージェット
サウンド
メトロバンクー
バー
構成
60市町村
311市村
4郡
72市
21自治体
1市
8郡
5郡
65自治体
4市
14自治体
面積
(k㎡)
4,976
7,726
16,291
2,877
5,504
34,523
5,518
155
327
58
111
694
111
5,416
3,524
2,117
2,551
3,024
1,320
107
69.8
41.9
50.5
59.7
26.1
バルセロナ
市
シアトル
市
バンクーバー市
ミュンヘン
市
ストックホルム
市
ヘルシンキ
市
1,616
579
578
1,260
818
577
114
42.4
42.4
92.4
57.7
42.3
福岡県を
100と
100
した対比
人口(千
5,064
人)
福岡県を
100と
100
した対比
核となる
福岡市
都市
人口
1,417
(千人)
福岡市を
100
100と
した対比
人口:年 県2009.7.1
市2009.9.30
2008
2006
2006
ミュンヘン
ストックホルム
ヘルシンキ
ミュンヘン地域 マーラー地域
ヘルシンキ
地域
2005 2009.6.30
2009.1.1
5
Ⅲ-1.IRBC加盟10地域のプロフィール おさらい
一人当たりの年間所得 (200 5)
万円
600
548.5
500
400
43 3.0 443.0
358 .3
318.8
300
3 46.3
30 4.4
308 .4
255.9
200
100
DA
E1
市
31
地
方
政
府
M
UN
1市
8郡
VA
N
21
自
治
体
M
EL
HE
L1
市
SE
A4
郡
ST
71
O5
市
郡
65
自
治
体
FU
K1
市
BA
L3
11
市
村
DU
B
1市
3郡
0
※1ユーロ=158.19円1USドル=107.84円1スウェーデン・クローネ=16.91円 1カナダドル=107.52円1オーストラリアドル=96.09円
(2008年1月28日現在)*バンクーバーは中央値
資料:福岡アジア都市研究所
Ⅲ-1.IRBC加盟10地域のプロフィール おさらい
多くの地域は、年1~2%の人口増、福岡は0.11 % (2005-6年)
ストックホルム、大田以外は、社会増が自然増を上回る
出典: 2009年11月12日 IRBC第2回バルセロナ会議での報告資料
A Tale of Ten Cities: Attracting and Retaining Talent by Michael Luis & Stuart Elway
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
1.自治体の国際関係政策を取り巻く環境の変化(日本)
国内環境の変化
これまでの流れとは全く異なる方向から
「国際」対応が求められるようになった
地方における国際関連政策の
主な動き
1970年後半
社会の動き
●神奈川県に「民際外交」
■「地方の時代」機運の盛り上がり
●国際化政策の広まり
■地域活性化の手段としての
国際化推進機運の盛り上がり
■国による地方の国際交流の推進奨励
■海外への企業進出ブームの始まり
(プラザ合意後)
●国際化政策の展開
■「内なる国際化」問題の顕在化
■地球環境問題への関心の高まり
■国による国際協力の推進奨励
■港湾の国際化対策(FAZ法への対応)の進行
1990年後半
●国際化政策の見直し
■市場経済のグローバル化の
ローカルへの影響の広がり
■自治体の財政難の深刻化
2000年前半
●国際政策への転換
(選択と集中/役割分担)
*国際経済活動との統合
■NPO/NGOの自立
■草の根レベルの「国際化」政策の
担い手を市民に委譲する動き
■アジアへの注目→国際経済活動への注力
2000年後半
■世界的な「地域・都市間競争」の激化
●国際戦略への脱皮
■世界における日本の地位低下
*デスティネーション
■外向きのマーケティング・プロモーション 8
・マーケティングの時代へ を自治体が担う時代へ
■ネットワーク形成に高まる関心
1980年代
1990年前半
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
参考.国から地方への「国際化関連」の働きかけ(~2000年)
年
関連
省庁
1971年
外務省
海外技術協力推進団体補助金の創設
1987年
自治省
地方公共団体における国際交流の在り方に関す 海外地域との姉妹交流、外国青年招致事業(JETプログラム)等を中心に地方公共団体の国
際交流施策を充実していくための交流のガイドラインを作成
る指針
1987年
自治省
外務省
文部省
JETプログラムの開始
1988年
自治省
自治体国際化協会設立
姉妹自治体の情報提供、海外事務所での自治体職員の長期研修、JETプログラムの支援など
を通じ直接自治体の国際活動を本格的に支援するための機関を設置
1989年
自治省
地域国際交流推進大綱の策定に関する指針
都道府県、政令指定都市に国際交流事業を総合的に、体系的に推進するための大綱策定を
提言し、地域国際化協会の設置を要請
1991年
外務省
海外技術協力推進団体補助金の交付分野の拡
充
自治体職員が専門家として、途上国での技術移転を助けるために派遣される際の補助金を創
設
1992年
外務省
海外技術協力推進団体補助金交付先の拡充
対象を政令指定都市にも拡大
1994年
外務省
JICA企画部内部に連携協力推進室設置
様々な援助機関や自治体NGOとの連携を行うための部署を設置
1995年
自治省
自治体国際協力推進大綱の策定に関する指針
自治体職員協力交流事業などによる研修生の受け入れや、専門家の派遣などの人的協力の
分野を中心に、地方公共団体の国際協力施策を着実に発展していくための協力のガイドライ
ンを作成
1998年
外務省
「21世紀に向けてのODA改革懇談会」最終報告
一括委託方式の採用など、地方自治体との双方向の協力関係を提唱
書
1999年
自治省
自治体国際化協会内部に市民国際プラザ設立
国際協力に関する情報収集・提供、案件作成の支援を行い、NGOと自治体との乗り入れ窓口
を設置
1999年
外務省
JICAに国内事業部が創設
地域提案型スキームや、公募による開発パートナー事業、小規模委託事業などを起こし、地方
自治体やNGOとの連携を推進していくための部署を設置
2000年
自治省
地域国際交流推進大綱及び自治体国際協力推
進大綱における民間団体の位置づけについて
民間部門主導型の国際交流を推進していく上で、国際交流事業への住民の参加、関与を積
極的に展開するとともに、民間団体や住民こそが国際交流の主体となっていくべきとの考えの
下に、行政がそのための環境整備等の支援を行っていくためのガイドラインを作成
内容・目的
通達・組織の設立など
都道府県が実施する技術研修員の受け入れ事業に対する補助金の交付
9
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
2.「国際化政策」「国際政策」「仮)国際戦略」の定義
*「国際戦略」の定義は新しい動きなので整理段階
「
」
こ
自
れ
治
ま
体
で
に
わ
お
が
け
国
る
で
国
見
際
ら
関
れ
連
て
政
き
策
た
国
際
化
政
策
国
際
政
策
国際交流・国際協力、在日外国人問題など、国が進める「地域の国際化政
策」の補完として進められた政策である。また、個別政策領域において
は、港湾の国際化(航路開拓・運営管理の国際標準化等)、地場企業の国
際化(貿易・海外進出等)支援などの施策も国際化政策の中に位置づけら
れている。
1990年代後半以降に急激に表面化してきたグローバル化の様々な課題に対
し、地域が能動的に取り組んでいこうという政策で、地域の自律的経営を
支え、自律的発展に寄与しうる視点を持った、地域全体で取り組む総合的
な地域政策である。国際化政策を戦略的に発展させたものであり。従来型
の国際化政策を内包する。
国
際
戦
略
●国際戦略は個別の国際化政策を高度化して統合的に一体的に促進する国
際政策の新しい領域であり、極端な言い方をすれば、何らかの地域益をも
たらすための投資的国際活動である。2000年半ば頃より、激しさを増して
きた地域間競争(投資・企業立地・観光・留学などの行き先となるため)
のなかで生まれてきたものである。
●海外有力自治体においては、世界において優位な地位を確保するため
に、地域一体となって国際戦略を策定、推進する動きが活発化している。
●だが、わが国の場合、(アジアなど限られた地域において)自治体が先
頭に立って地域のプロモーション活動を国際的に推進する動きにとどまっ
ている。
山下永子「地方の国際政策-連携・ネットワーク戦略の展開」成文堂,2008年10
「自治体の国際政策の現状と展望-国際戦略の展開と可能性」『地方自治職員研修2008.7』公職研,2008年
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
3.自治体における国際戦略策定の動き
1)先行する都市事例に見る「国際戦略」の要素
ビジョン・目標設定 策定と実施のプロセス
①戦略を戦略たらしめる「戦略」策定の前提条件
●人口推計・労働力予測に基づく「将来の姿の確認」
●グローバル化のなかの危機意識「地域間競争の視点」
●世界の中での立ち位置・特性「グローバルポジションの確認」
・全世界のなかで同規模、似ている、同じ志向性の都市をベンチマーク
・競合する超広域経済圏(国際)のなかで有力な都市をベンチマーク
・連携・協力する広域経済(国際)の主要な都市をベンチマーク
●広域都市圏「メトロポリス・リージョンでの対応」
●長期目標と短期施策「評価・刷新を伴うプロジェクト」
●産官学民協働体制の構築「ステークホルダーの巻き込み」
●産官学民国際的ナレッジ連携の蓄積「調査・学習・企画・展開のサイクル」
●国際的な学びと協力のチャネル「国際都市・地域ネットワークを形成」
・他都市からの学びのプロセスそのものが国際戦略
11
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
②先行する都市事例に見る「国際戦略」の要素
↓前提条件(前準備)が整って初めて策定が可能に、効果的に実施可能に
「国際戦略」活動指針
●強みをいかした「都市モデル=ブランドの提示」
=環境首都、創造都市、、、
●到達イメージとしての「多文化・革新とビジネスの拠点」
●行先に選ばれるための「国際マーケティング活動」
●新規&既存施策・事業を「マーケティング・ツールとして活用」
●「横断的推進体制と人材育成」
12
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
参考.先行する都市事例に見る「国際戦略」要素の状況
【試行】国際戦略の評価
各項目に関する記載◎十分に記載、○記載、△若干記載、?不十分・不明
北九州市
2008年
基本構想
川崎市
2009年
政策情報かわさき
横浜市
2009年
国際都市戦略
ヘルシンキ市
2008年
国際戦略
新国際政策大綱案
(未策定)
国際戦略に
関する座談会
横浜国際都市
戦略
ヘルシンキ市
国際戦略
?
△
○
◎
◎
◎
◎
◎
△
○
◎
◎
△
△
△
◎
○
○
◎
◎
○
○
○
◎
△
△
△
◎
国際的な都市・地域ネットワークを形成
◎独自&国連との
連携
○国連との連携
都市モデル=都市ブランドの提案
世界の環境首都
アジアの技術首都
カワサキモデル
?
?
多文化・革新とビジネス・協力の拠点
○
○
○
◎
国際マーケティング活動
○
○
○
◎
マーケティング・ツールとして活用
○
△
○
◎
横断的推進体制と人材育成
○
?
◎
◎
(資料)
ョ
ビ 将来の姿の確認
目
ジ
標
地域間競争の視点
設
ン
定
・ グローバルポジションの確認
メトロポリス・リージョンでの対応
策
プ 定 評価・刷新を伴うプロジェクト
ロと
ステークホルダーの巻き込み
セ実
ス 施 調査・学習・企画・展開のサイクル
の
活
動
指
針
作成:山下永子
◎独自&国連との ◎独自&EUとの
連携
連携
13
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
3)わが国自治体における「国際戦略」策定の動き
①北九州市
2005年策定国際政策のフレーム
資料:北九州市
14
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
2008年基本構想では、「国際政策と国際戦略」に対する考え方が変化した
◎東アジア・アジアで存在価値を高める政策から
その存在価値=コンテンツを、世界規模でアピールする段階に移行した
◎「国際戦略の視点」という位置づけから、
「国際マーケティング戦略」という、世界基準の「国際戦略」に転向中
◎「国際戦略」に「成長戦略」をみいだした。
①戦略:北九州市の成長戦略を、「環境」と「アジア」の中に見出し、環境を切口にアジアと
連携していく戦略。
②手法:東アジア経済交流推進機構、姉妹・友好都市、海外事務所及びこれまで培って
きたネットワーク等を活用してアプローチする。また必要に応じてベトナムなど新たな
提携先を求めていく。
③推進体制:庁内「国際戦略会議」を活用し、「経済産業グループ」「国際協力グループ」
「多文化共生グループ」がそれぞれ専門的な活動を行いながら、連携を取り合い、
有機的で効果的なアウトプット、アウトカムを目指す。
④人材育成:当面、中国対応を見据えた人材育成・人材確保を早急にかつ効果的に行う。
(10年後は庁内に中国人材が100人規模に)
資料:岩田和晶「北九州市の国際政策」『地方の国際戦略と地域ネットワーク』早稲田大学アジア研究機構RUNASIAViewsシリーズNo.1
アジア地域のネットワーク解析拠点構築研究報告書,2010年をもとに作成
15
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
②川崎市
座談会で語られた「国際戦略」の方向性(整理)
**専修大学 平尾光司教授の研究を踏まえて
(川崎市総務企画局施策推進担当
福芝参事)
①川崎の魅力発信:川崎の魅力ある資源を活用するときに効果的
に情報を発信する。
②多様な主体の交流を行政が支援するというプラットフォームづくり。
③個々のアウトプットを踏まえた次の展開。
(川崎市総務企画局自治政策部
瀧峠部長)
①シティセールス力を高めること
②世界のゲートウェイとしてのインフラ整備
③オープン性:外国人はもとより川崎に住みたいと思えるような
環境を整えること
資料:【特集】『グローバル化時代における川崎の国際戦略』巻頭座談会「グローバル化時代における川崎の国際戦略を探る~国際交流から国際貢献へ~」
政策情報かわさき第24号 ,2009年を参考に作成
16
Ⅲ-2.自治体の国際戦略策定の動向
③わが国自治体の「国際戦略」の特徴
●スローガンが先行
●総花的で推進事項が多すぎる
●目標値が過去の延長線上にしかない
●目標値が相対的ではない
なぜならば、戦略を戦略たらしめる「戦略」策定の前提条件
が、整っていない
特に「策定・実施のプロセス」が弱いから
「掛け声・イベント」で終わっていきがち
「策定・実施のプロセス」→ヘルシンキの事例から学ぶ
17
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
1.ヘルシンキ地域の概要
資料:ヘルシンキ市URBAN FACTS(以降全てのヘルシンキに関する数値データ)
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
2009~2040年の30年間で人口が40万増加するヘルシンキ地域
●ヘルシンキリージョン:130万人→170万人
●ヘルシンキ市:57.7万人→67.5万人
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
2.成功・学び事例としてのヘルシンキ
1)雇用とGDPの伸び
The Employed Labour Force and Regional Gross Domestic Product
in the Helsinki Region in 1990-2007
失業率:1990年3.2%
1994年16.6%
2007年5.3%
20
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
2)北欧都市のなかでのGDPの伸び
21
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
3)企業数と収入の伸び
22
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
4)外資系企業の数
23
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
5)外資系企業の成長と貢献
24
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
6)増える外国籍、外国生まれ人口(ヘルシンキ市)
25
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
7)増える外国籍、外国生まれ人口(ヘルシンキ地域)
でも、少ないとの認識
Proportion of foreign nationals in the population of Helsinki, the
Helsinki Region and Finland, 1990‐2007
26
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
8)若い年代で増える「外国語が母国語」(ヘルシンキ市)
Age structure of the whole population and those with a foreign mother
tongue at the turn of year 2007/ 2008
27
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
9)増える留学生、特に大学院生(メトロヘルシンキ)
●大学にしめる留学生の割合は3.9%だが、大学院生だけみると37.8%(2007)
Foreign students studying for a degree at the universities in the Helsinki
Metropolitan Area, 1991‐2007
28
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
10)学び働きやすい地域として高評価(メトロヘルシンキ)
29
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
3.ヘルシンキの国際戦略
1)国際戦略策定の経緯と「今日的国際戦略3」の特徴
①関連施策(前提条件)の経緯:
1970年:ヘルシンキ・メトロポリタン・エリア協議会★(法定)
1987年:北欧都市・地域と共同でベンチマーク調査を開始(現在も)
1990年:City of Helsinki Urban Facts設立(統計課とアーカイブ統合)
1995年:クルミナート・イノベーション社設立●(産学官連携)
2003年:メトロポリタン・エリアビジョン2025策定★
2003年:メトロポリタン地域の大学の9教授と都市政策の共同研究開始
★2004年:ヘルシンキ・メトロポリタン・エリア諮問委員会設置■(任意)
2005年:ヘルシンキ・リージョン協力会議設置(任意)
2005年:ヘルシンキ・メトロポリタン・エリア革新戦略●
2008年:ヘルシンキ・メトロポリタン地域の競争力戦略を策定●■(4市)
②国際戦略策定経緯:
1994年:国際戦略1
経済停滞から脱し国際的に開かれつつある首都のロードマップとして策定
1999年:国際戦略2
EU参加国としてなじんできた欧州の一都市として策定
★2008年:国際戦略3
多文化主義を成功の鍵とする国際的な視野を持つメトロポリタン地域として策定
30
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
参考.自治体協議組織
自治体組合の例(ヘルシンキ市)
ウーシマ地域連合(地域議会)(Uusima Regiona1 Counci1)
19(オーランドを除く)の地域連合のうちの一つで、24の自治体が加盟する。地域開発計圃
およびその計圃の実施状況等の評価を担う。加盟自治体の合意によりその他の機能を担うこ
とも可能。
ヘルシンキ・ウーシマ病院ディストリクト(HUS : Hospita1 District ofHelsinki and uusima)
法
定
31の自治体住民に対して、専門医療を提供する。フィンランドは19の病院区に分かれてお
り、うち5つが大学病院区である。 HUSはそのうち最大のもの。
ヘルシンキ・メトロポリタン・エリア議会(Helsinki Metropolhn Afea Counci1 : YTV)
1970年設立の特別法による法定の自治体組合で、ヘルシンキ・エスポー・ヴァンタ・カウニ
アイネンの4市で構成、ごみ処理、地域交通サービスの提供および交通計圃、空気汚染度の
監視を行う。なお、近隣の市にも交通サービスの提供も行っている。
ヘルシンキ・メトロポリタン・エリア諮問委員会(Helsinki Metropolhn Area AdvisoryBoard)
任
意
2004年、ヘルシンキ・エスポー・ヴァンタ・カウニアイネンの4市で構成、ヘルシンキ・
メトロポリタン・エリアにおける、「共通のビジョンおよび戦略」(Common vision and
Strategy)を策定。
ヘルシンキ・リージョン協力会議(Helsinki Region Cooperation Assembly)
ヘルシンキ近隣の14市によって、2005年に合意。特に土地利用、住宅、交通に関する協力
に関して議論。
31
小野島真「フィンランドにおける地方(地域)をめぐる行財政改革の動向
― フィンランドにおけるPARAS、ALUKプロジェクトを中心に ―」自治総研通巻366号 2009年4月号、に一部加
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
③国際戦略3の「4つの特徴」(新たに加わった視点)
★広域都市圏と国境を越えた地域連携とベンチマーク=地域政策に留意
「ヘルシンキ」とはヘルシンキ全地域を指す。また本戦略は、バルト海圏域主要提
携都市の戦略や発展計画に影響を受けてきた。モスクワと北京の発展についても注意
深く調査を行ってきた。
★国際協力が競争力を向上させ市のサービスの発展を推進するという意識
本国際戦略はヘルシンキ市共同戦略やその他のプログラムに規定された目標の達成
を、国際的活動を通じて支援するものである。(国家および国際的都市政策、欧州で
のロビー活動、市の外交・ホスピタリティ、国際コミュニケーションとマーケティン
グ活動、そしてヘルシンキ在留外国人向けサービス等)。
「ヘルシンキ・メトロポリタン地域の競争力戦略」の主要な推進手段として位置づけ。
★国際的活動の企画と調査の重視
★ヘルシンキ・メトロポリタン地域のあらゆる市・自治体の活動への参加
32
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
④ヘルシンキ国際戦略3(2009年2月発行より)の目次
II.世界におけるヘルシンキの位置づけ
1.現況
国際統計にみるヘルシンキ
ヘルシンキは国際都市として知られているが果たして実際もそうか?
2.変わりゆく世界
メトロポリス(metropolis)の時代
フィンランド湾経済特区(the Gulf of Finland economic area)の誕生
労働力獲得競争
3.展望と戦略開始時の状況
III.短期目標と施策
1.多文化メトロポリス(A multicultural metropolis)
2.バルト海物流拠点(logistics centre)
3.欧州専門技術拠点 (A European centre of expertise)
4.世界有数のビジネス拠点
33
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
●展望
ヘルシンキ・メトリポリタン構想(Helsinki metropolitan vision)に
よれば、ヘルシンキは科学、芸術、創造性そして優れたサービスの力
に基づき世界に通用する革新とビジネスの拠点として発展していく。
ヘルシンキの国際的活動の目標は世界的競争力の確立である。この目
標達成のためにはフィンランド湾地域が商業・就業地域として成功し、
十分に機能するよう開発する必要がある。
変わりゆく世界の中でヘルシンキは事業環境を積極的に調査し、主体
的な措置をとっていかねばならない。
2008年の国際戦略開始時の状況として、ヘルシンキの強みは国民の技
能の高さであり、一方で脅威としては労働力不足が挙げられる。国際
的ビジネス環境の発展が遅々として進まないのは弱点だが、世界の主
要拠点へのアクセス・直通交通手段を向上することで好機が得られる。
34
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
IV.活動方針
1.協調活動
2.地域代表制度(regional representation)
3.国家的パートナーシップ
4.バルト海地域統合
5.欧州でのロビー活動
6.グローバルな競争力と認知度
V.ツール
1.他都市との二者間関係
2.ネットワークでの行動と学習
3.国際的な都市政策と欧州でのロビー活動
4.市の外交とホスピタリティ
5.国際コミュニケーションとマーケティング活動
6.国際的活動の一部としての行事
7.移民者対象のサービス
35
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
4.重要なのは「国際戦略」の前提条件整備・推進スキーム作り
主要な前提条件の状況
●「将来の姿の確認」
・2000-2015年の間に約264,000人の労働者が新たに必要になる。
●「地域間競争の視点」
・ヘルシンキ・メトロポリタン地域の競争力戦略を策定→「競争力戦略」ありき
●「グローバルポジションの確認」
・グローバル規模:国際地域ネットワークに積極的に加盟・参加し情報収集
・超広域経済圏(国際):モスクワ、北京を将来市場としてベンチマーク
・広域経済(国際):バルト海沿岸・EU・北欧都市を政策評価・立案のために比較
●「ステークホルダーの巻き込み」
・クルミナート・イノベーション社、グレーター・ヘルシンキ・プロモーション社
・地域の大学、国、EU、(競争力戦略に記載) Aalto大学
●「調査・学習・企画・展開のサイクル」
・Urban Facts
●「国際都市・地域ネットワークを形成」
・Baltic Metropoles、Baltic Development Forum 、Union of Baltic Cities、
Helsinki-Tallinn Euregio、Eurocities、Lisbon Regions Network、
36 、(競
Union of Capitals of the European Union、国際住宅・都市計画連合、ICLEI
争力戦略に記載)
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
参考.ヘルシンキの広域経済圏
ヘルシンキとタリン:
1日6往復
2時間
最安値往復割引で32ユーロ~
最大2800名乗り
37
3
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
5.「地域の競争力戦略」推進の為の「国際(マーケティング)戦略」
プロスペラス・メトロポリス(Prosperous metropolis)
http://www.culminatum.fi/en/tiedostot/uutinen_60/kilpailukykystrategia_engl.PDF
Priorities and action lines
25 November 2008
1
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
1) 「地域の競争力戦略」の優先事項 (資料)
Competitiveness Strategy for the Helsinki Metropolitan Area
①最高水準の教育とノウハウの更なる向上
Improving top-quality education and know-how
Aalto (Innovation)大学周辺のキャンパス構造
学生向けの良好な住宅、キャンパスエリアへの接続整性
②良質な生活(高いQOL)と心地よく安全な生活環境の構築
Building good quality of life as well as a pleasant
and secure living environment
暮らし働きレジャーを楽しめる新たな都心
③利用者主導の革新環境の強化と公共調達の発展
Strengthening user-driven innovation environments and
developing public procurements
主題的革新環境の開発
(eg. Forum Virium Helsinki) ★Living Lab
④メトロポリタン地域の国際化および国際的なネットワークへの接続
Internationalization of the metropolitan area
and its connection to global networks
グローバルな投資の促進とヘルシンキのブランディング
国際ビジネス向けソフト・ランディング・サービス
グローバルなネットワークとリーディング地域との協力
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
2)「競争力戦略」の主要エンジン1=産学官連携企業・組織
●クルミナトゥム・イノベーション社の統合推進力
1995年創立の地域開発会社。専門技術拠点国家プログラム(a national Centre of
Expertise Programme)やウシマにおける革新環境開発プロジェクトを手がけている。
ウシマ地域の国際競争力を高めるとともに同地域内の経済・ビジネス関連活動におけ
る教育・科学・研究資源の活用強化も行う。
株主はウシマ地域評議会、ヘルシンキ市、エスポー市、ヴァンター市、並びに地域の
大学、研究機関と財界である。
自治体
大学、職業
訓練大学、
研究機関
サイエンスパーク、
企業
金融機関
40
資料:ヘルシンキ市
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
3)「競争力戦略」の主要エンジン2=The Living Lab Model
●The Living Lab Model の先駆者
「リビング・ラボ」は、生活の場において研究開発から産業化・実用化を進める
実証実験のプロジェクトであり、フィンランドが先駆的に取組み、EUのプロジェク
トにも組み込まれ、全世界に広がる実証実験開発モデル。
ヘルシンキ市や公的機関、大学、企業、そして多くの市民が参加し、様々な分野
のビジネスを促進してきており、競争力戦略においては、 Forum Virium Helsinki
を推進している。個人の生活の場で公私一体となり、実証実験とマーケティングを
一体的に進める社会システムをつくる、という点で革新的モデルである。
キーワードは対話である。
Living Labs are real life
RESEARCH
development platforms for…
…testing the services with
user communities in their own
living environment
R&D
BUSINESS
Living Labs
… open and co-creative
innovation
…involving the user
communities in the
development processes
…resulting in more acceptable
solutions and better success
rate
日本では
藤沢市が
仙台市と
開始。。
資料:ヘルシンキ市
41
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
3)「競争力戦略」の主要エンジン2=The Living Lab Model
●Forum Virium Helsinki
資料:ヘルシンキ市
42
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
●参考: Helsinki Living Lab
”Helsinki Living Lab is a user-driven open innovation ecosystem
working in a metropolitan area real life environment”
GOALS:
To form a common vision between members on what Helsinki Living
Lab activity is,
Form a concrete marketing and action plan
Create constant information -and if needed resource sharing
between members
Take part in improving the toolkit for the whole LL-network
Become a world-class LL-collaborator and follow what happens in
the LL-field, both in Finland and abroad
Find suitable international LL-partners, focusing on
Scandinavian Living Labs , aiming to collaborate e.g. when it
comes to EU-funding applications
●Improving business and businessmodels specifically for
Helsinki Living Lab activities
出典:Kari Halinen, CEO Art and Design City Helsinki Ltd.
43
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
●参考: Helsinki Living Lab
Kari Halinen, CEO Art and Design City Helsinki Ltd.
44
資料:
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
45
(財)藤沢市産業振興財団 「リビングラボ-概要-」『第1回リビングラボセミナー資料』2010年
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
3)「競争力戦略」の主要エンジン3=産官からなる革新的大学
●Aalto Universityの個性
http://www.aalto.fi/en/
Aalto大学は、ヘルシンキ経済大学、ヘルシンキ芸術大学、ヘルシンキ工科大学か
らなる新たな大学・大学院で、2010年1月1日に発足。公立大学から私立大学:産官
民からの寄付による資金を基本とする大学となった。
●Foundation-based Aalto University
The Aalto University is based on a foundation. The capital of the university
foundation will be formed by donations of at least EUR 700 million. This capital
will be accumulated in stages between 2008-2010 by a Government donation of
EUR 500 million and donations of at least EUR 200 million from Finnish
industries and other financiers.
●Although the prerequisites for a top international multidisciplinary university
are already in place, donations play a crucial role in achieving university goals.
Now there is a truly unique opportunity to contribute to the development of a new
Finnish university.
46
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
3)「競争力戦略」の主要エンジン3=産官民による革新的大学
●Aalto Universityの個性
http://www.aalto.fi/en/
国際産官学によるファイナンス戦略
●Aalto University Board:国際産学官からなるFoundation Board
The Aalto University Foundation Board decides on the Foundation's strategy,
operation and financial issues and is responsible for any far-reaching plans.
The Board started its work in August 2008. President & CEO of Kone Oyj, Matti
Alahuhta and Professor Marja Makarow, CEO of the European Science Foundation
ESF, were appointed Chair and Vice Chair respectively.
The other five members of the board are President of Boston University (US)Robert
A. Brown, Executive Vice President Anne Brunila, Professor Bengt Holmström,
Professor Saku Mantere and Rector of Umeå Institute of Design (SE)Anna
Valtonen. All board members hold a doctorate.
産官学協働の組織
●Factories:企業とコミュニティのための組織
The Factories are designed to facilitate new forms of collaboration in an environment
where academic teams, researchers and students work together with companies
and communities.
47
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
4)「競争力戦略」の主要エンジン4=情報センター機能
●City of Helsinki Urban Facts アーバン・ファクツの情報力
1990年に市統計オフィスと市アーカイブの統合によって設立された市の都市
情報機関であり、都市情報のパイオニアである。
組織は都市調査課、統計・情報サービス課、アーカイブ、管理課の4つのユ
ニットから形成されており、現在70名の職員が働いている。
ヘルシンキおよび同地域に関し過去・現在・未来すべてにわたる情報の調
査・伝達・保持を行っている。情報や関連サービスの提供を担う一方、アー
バン・ファクツが目標として掲げるのはヘルシンキがその現状と変化を確実
に理解し戦略誘導を実現できる都市になることである。
毎年、ヘルシンキの人々の暮らしについて約50の出版物を刊行しているほか、
市の発展の観測および将来予測を行っている。出版物には特にヘルシンキと
その地域、および一般的な都市現象に関する情報を記載している。また国際
比較も行っている。
アーカイブは、フィンランド最大の市立中央公文書館である。
•http://www.hel2.fi/tietokeskus/eng/index.html
48
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
4)「競争力戦略」の主要エンジン5=地域でプロに任せる体制
● Greater Helsinki Promotion Ltd ソフトランディングセンター
Greater Helsinki Promotion Ltd
Greater Helsinki Promotion is a publicly
funded company
supporting international professionals and companies all
that the region has to offer.
international business
promotion agency for the Greater Helsinki area. GHP receives
Greater Helsinki Promotion (GHP) is the
its funding from public sources – primarily from the cities of Helsinki,
Espoo, Vantaa, Kauniainen as well as the Uusimaa Regional Council.
●民間のプロが業務を展開
●ヘルシンキビジネスハブの運営
ヘルシンキ地域のマーケティングサイト
http://www.helsinkibusinesshub.fi/ghp/index.html
49
Ⅲ-3.ヘルシンキ地域の国際戦略と競争戦略
6.ヘルシンキ伝説再び?「Creative City →
Learning City」
~2000年 クリエイティブ・シティのモデルとしてのヘルシンキ
1979 文化オフィスを設置
1990 都市再生に取り組み始める
1994 チャールズ・ランドリーを、コンサルタントに招く
●ケーブルファクトリーなど再生モデルが展開
2000 文化首都になる
2000 チャールズ・ランドリーが「The Creative City」を出版
彼は著書で「将来的には『学習する都市』という概念が『創造的都市』
という概念よりもより強力な隠喩となるだろう。」と言っている。
*ちなみに、彼のHP冒頭頁にて「Learning City」の概念が掲載されている。
~2010年 ラーニング&イノベイティブ・シティのモデルとしてのヘルシンキ
2006 European Network of Living Labs 第一波の総裁
2012 デザイン首都になる
2010年~ あらたなヘルシンキ・モデルが誕生していくのか?
ヘルシンキから目が離せない
50
Ⅲ-4. 福岡への示唆
<内部・外部環境の把握、過去・将来の事実把握>
・Urban Facts のような、地域経営に関わる「全ての情報を収集・蓄積できる」
組織・体制をつくる
・中核都市が広域における成長指標を設定し、定期的にデータを収集する
・「人」に着目した都市データを手厚く収集・分析する
・統計等データを、英語で世界中に公開する
<産学官民連携の新たな仕組みづくり>
・Living Lab のような、サービス業の分野でも展開できる
「生活者・利用者主体」の産官学連携のモデルづくりに取り組む
・革新的大学・大学院づくりに取り組む
・産学官連携の組織・会社が、地域の成長戦略を「対話」でつくり、協働促進する
<競争戦略と国際戦略の策定>
・国際戦略の策定に向けて、前提となる条件を整備していく
(特に「策定と実施のプロセス」)
・広域の産官学官で一緒につくり実行する
51
資料:ヘルシンキ市「IRBC2009年プレゼンテーション資料より
Design in Helsinki Region
資料:ヘルシンキ市「IRBC2009年プレゼンテーション資料より
• Cultural, Social and Economic impact
• Professionals in design industry 10 268
(2007)
• Jobs in design intensive industry 110
000
• Growth in 2003-2007 varies 22-46 %
depending on the field
• New Aalto University merging
Technology, Business and Art & Design
資料:ヘルシンキ市「IRBC2009年プレゼンテーション資料より
資料:ヘルシンキ市「IRBC2009年プレゼンテーション資料より
資料:ヘルシンキ市「IRBC2009年プレゼンテーション資料より
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ1.国際地域ネットワークはここ数年注目されてきている
変化
国内環境の変化
都市ネットワーク形成環境の変化
動き
日本の地方における国際関連政策の主な動き
日本の主要都市におけるネットワーク形成政策の動き
国際環境の変化
世界における
「地方の国際関連政策」をめぐる動き
●国際:1913-[IULA国際地方自治体連合#]設立
●国際:1957-[UTO世界都市連合#]設立
1970年 ●神奈川県が民際外交と言う
後半 新しい概念と政策を発表
●姉妹都市等バイラテラル交流が全盛
●国際化政策の広まり
1980年 ●国による地方の国際交流の推進
代
●ネットワーク形成施策の萌芽
(国際会議発展型)
1982-[WWCAM世界冬の都市市長会]札幌市
1985-[世界首脳都市サミット*]東京都
1987-[CITYNET]横浜市
●中東:1980-[OICCイスラム首都・都市機構]設立
●国際化政策の展開
1990年
●ネットワーク形成施策の展開
前半
(ネットワーク機能重視型)
1990-[OBP大阪ビジネスパートナー都市]大阪市
1991-[東アジア(環黄海)都市会議**]北九州市
1994-[APCSアジア太平洋都市サミット]福岡市
1994-[世界歴史都市連盟]京都市
●国による地方の国際協力の推進
●国際化政策の見直し
1990年
●ネットワーク形成施策の応用
後半
(姉妹友好都市交流の発展型)
●自治体の財政難の深刻化
●国際:1990-[ICLEI持続可能性をめざす自治体協議会]設立
●国際:1992-リオ宣言( 環境と開発に関するリオ宣言)
●欧州:1994-[Metlopolis世界大都市連合]設立
●地方の小都市においてもネットワーク形成の動き
ッ
ッ
ー
、
2001-*リニューアル[ANMC21アジア大都市ネットワーク21]東京都
2004-**リニューアル[OEAED東アジア経済交流推進機構]北九州市
2006-[アジア太平洋都市サミット:活性化にむけた宣言]
2008[大阪主要都市サミット]
●欧州:1995-[CLGFコモンウエルス地方政府フォーラム]設立
●豪州:1996-[APCSアジアシティズサミット]ブリスベン市
●韓国:1996-地方の「世界化」構想
●韓国:1998-[WTA科学技術都市連合]大田市
★シティプロモーションの有効戦略としてネットワークを活用
しようと言う動き(ネットワークの大規模化・会議動員
●韓国・中国都市の積極的海外ネットワーク参加)
●世界:2004-#統合[UCLG都市・自治体連合]
ー
●共同プロジェクト実行組織へとリニューアルする動き
●小都市ネットワークにおいては解散・停滞の動き
●コンベンション型ネットワークへの新規参入
ー
WWCAM: World Winter Cities Association for Mayors
参都
加市
ネ ・
ネ
ト
ワト
ワ
ク
選ク
別の
時増
代加
に
ッ
求ネ
め
ら ト
●国際政策への転換
れワ
2000年
(選択と集中/役割分担)
る
前半
●ネットワーク再活性の動き
時ク
代形
に成
●国際戦略への脱皮
に
●ネットワーク戦略への再注目
2000年
よ
●シビックプライド・エンゲージメント等によ
後半
る
る市民の巻き込み
成
果
が
The Organization for the East Asia Economic
Development
APCS: Asian Pacific City Summit
ANMC21: Asian Network of Major Cities 21
IULA: International Union of Local Authorities
UTO: United Cities and Local Governments
ICLEI: Local Governments for Sustainability
OICC: Organization of Islamic Capitals and Cities
CLGF: The Commonwealth of Local Government Forum
UCLG: United Cities and Local Governments
★地域間競争を意識しマーケティング機会としてネットワーク
を捉える動き
●中国:2007-[ダボス会議誘致]大連市
●国際:2007-[UCLG総会誘致]済州島
★会員限定スポンサーつき有期ネットワークの登場
●USA:2008-[国際地域ベンチマーク協議会]シアトル市提唱
ネットワークの主催者は、ネットワーク形成の
ゴールとメリットを明確に示すことが、
益々求められてきている
OEAED:
●求められるマーケティングの視点●
国内・国際環境の中で立ち位置を決定し経営戦略を考える
▼
■強みを発揮していくためのマネジメント力■
57
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ2.世界には山のようなネットワークがある
番
号
1
名称
事務局
所在地
メイン
テーマ
アラブタウン連合
カイファン市 都市政策
the Arab Towns Organization (ATO)
イスラム首都・都市連合
メッカ市・
2 Organization of Islamic Capitals and
ジェッタ市
Cities(OICC)
人間居住
世界冬の都市市長会
3 World Winter Cities Association for 札幌市
Mayors(WWCAM)
冬の都市
問題
4
平和市長会議
The Mayors for Peace
広島市
軍縮
アジア太平洋都市間協力ネットワー
ク
横浜市
5 The Regional Network of Local
Authorities for the Management of
Human Settlements(CITYNET)
都市間協
力
大阪市ビジネスパートナー都市
6 Osaka Business Partnership
City(BPC)
ビジネス
振興
大阪市
持続可能性をめざす自治体協議会
7 International Council for Local
トロント市
Environmental Initiatives(ICLEI)
東アジア経済交流推進機構
8 The Organization for the East Asia 北九州市
Economic Development(OEAED)
9
北方圏フォーラム
The Northern Forum
地球環境
保全
環黄海経
済圏の形
成
アンカレッジ 北方圏問
市
題
ニューヘブン
ピースメッセンジャー都市国際協会
市〈会長)
国際平和
10 International Association of Peace
事務局は移
Messenger Cities (IAPMC)
動
設立年
1967
1980
概要
会員数
アラブ地域の地方自治、都市自治の推進をテーマとする政治とイデ
アラブ22州
オロギーから独立した非政府組織。アラブの伝統とアイデンティティを
の400以上
守りつつ、都市を発展させていくための相互協力、またファンドや研
の市・町
究機関によるプロジェクトの実施を行っている。
1980年にイスラム諸国会議機構(OIC)の外郭団体として設立された、
イスラム教国の首都・都市による「人間居住の持続的発展のフレー
ムワークにおけるゴールへの到達」をテーマとする都市ネットワーク。
54国の141
本部は聖地メッカとアラブ首長国連邦のジェッタにおかれている。現
市
在54国141都市がアクティブメンバーとなっているが、このほかに非
OIC国から6国8都市がオブザーバーとして、また国家省庁や研究機
関など14の団体がアソシエイトメンバーとして加わっている。
「冬」をまちづくりの課題としている都市が集まり、共通する課題につ
いて話し合い、快適な冬の都市を創造することを目的に、札幌市の
11国の20
1994
提唱により、1982年に「北方都市会議」を開催、1994年に会員制の組
市
(1982)
織として「北方都市市長会」を設立、2004年に会員対象を広げ、「世
界冬の都市市長会」に変更。
1982
1982年第2回国連軍縮特別総会において、広島市長によって提唱さ
れた「核兵器廃絶に向けての都市連帯推進計画」に賛同する世界各
127国・地
国の都市で構成された団体である。1990年に国連広報局NGOに、
域の2028
1991年には国連経済社会理事会よりカテゴリーII(現在は「特殊協議
市
資格」と改称)NGOとして登録されている。代表者は広島市長、事務
局も広島市におかれている。
1987
アジア太平洋都市間協力ネットワーク(CITYNET)は、1982年に横浜
で第1回国連アジア太平洋都市会議(Y'LAP)が開催された際、そこで
生まれたアジア太平洋地域の都市間の絆と交流の機運を今後とも持
108会員
続させ、都市の居住環境の改善と自治体の能力向上を目的として、
(69市39グ
都市間の連携を促進しようという方向性が確認され、1987年に設立
ループ)
された。国連経済社会理事会に対する協議上の地位「特殊諮問資
格」(カテゴリーⅡ)を有する非営利の国際的組織。アジア太平洋地
域を代表する唯一の国際都市機関である。
1990
1990
相互の都市(自治体)が、リーダーシップをとって民間レベルでの経済
13国の13
交流を促進するという、新たな形の都市提携。毎年BPCラウンドテー
市
ブルを開催。
地球環境の保全を目指す地方自治体のための国際的な環境協議機
関であり、国連環境計画(UNEP)や国際地方自治体連合(IULA)の
68国の716
提唱により1990年に設立され、2003年に名称を国際環境自治体協
市
議会から現在の名称に変更した。世界本部はカナダのトロント、日本
事務所は、有限責任中間法人イクレイ日本におかれている。
環黄海地域の貿易促進、技術共有化など環黄海経済圏の形成を促
進し、これによる相互都市発展を目的として、1991年に、北九州市と
下関市が環黄海地域のそれぞれの姉妹・友好都市に呼びかけ、母
体となる東アジア六都市会議を設立。その後、参加都市を10都市に 3国の10市
2004
拡充した後、体制を整え、より機能的な運営を行っていく為に、2004 10グルー
(1991)
プ
年に「東アジア経済交流推進機構」と名称変更。現在①地域限定版
「東アジアFTA」の創設推進②環黄海環境モデル地域の創出③
ニュービジネス創出システムの構築④環黄海観光ブランド戦略の展
開⑤技術交流・人材育成
1974年北海道の提唱で始まった北方圏環境会議を母体として、1991
1991 年に北方圏地域に共通する課題及び北方圏地域に影響を与える世 8国の15地
域
(1974) 界的規模の問題の解決を図るため、北方圏地域が協力して取り組ん
でいくことを目的として設立。
1991
国際連合よりピースメッセンジャーの称号を授与された都市によって
1991年に設立された協会である。国連は、第40回総会(1985年)に
52国の87
て、「1986年を国際平和年とする」ことを正式に宣言、この平和年を
市
記念した様々なプログラムの1つとして、「ピースメッセンジャー(平和
の使徒)」の称号の授与を決定。共同平和プロジェクトなどを実施して
いる。
11
アジア太平洋都市サミット
Asian Pacific City Summit(APCS)
福岡市
都市問題
1994
アジア太平洋地域の諸都市の首長が一堂に会し、これまで都市行政
を進めてきた立場からお互いの経験を交えて率直な意見交換等を行
13国の28
うことにより、都市問題の解決に向けた相互協力、さらには、都市の
市
一層の発展に向けたネットワークの構築を推進する目的で、1994年
から隔年で開催。
12
世界歴史都市連盟
The League of Historical Cities
京都市
歴史都市
問題
1994
歴史都市という共通の絆で結ばれた都市が,将来にわたって日常的
な交流を促進するため、また歴史都市が直面している課題の解決に 50国の71
市
向けて歴史都市のさらなる発展のための事業を行うことを目的とし
て、1994年の第4回世界歴史都市会議を機に発足。
1994
大都市圏の開発プロセスをより良くコントロールし、市民の幸福を追
求していくことを目的として1994年に設立。3年ごとに国際会議を実
施、大都市における都市計画作成の補助、会員間における情報の
交換などを行う。100万人以上の大都市が対象。(UCLGとメンバー
シップ連携)
世界大都市圏協議会World
13 Association of Major Metropolises
(Metropolis)
バルセロナ 大都市問
市
題
92市
番
号
メイン
テーマ
設立
年
概要
会員数
北東アジア地域国際交流・協力地方
政府サミット
Summit for International Exchange
鳥取県
and Cooperation of Regional
Governments around the Sea of
Japan
友好県省
道環境交
流協力
1994
鳥取県の友好交流先の知事や首長が一堂に会し、各地域の共同発
展、繁栄を話し合うことを目的に、1994年より各地域持ち回りで開
催。
5国の5地
方政府
コモンウェルス地方政府フォーラム
15 The Commonwealth of Local
ロンドン市
Government Forum(CLGF)
民主主義
と良政
1995
1995年設立。コモンウエルス(英連邦)国であることを入会条件とする
地方自治体、自治体協会、地方自治行政を管轄する国の機関、地方
42国の168
自治に関する研究を行う機関等からなるネットワーク。地方レベルの
会員
民主主義と自治の向上を目的として、様々なプログラムやアクティビ
ティを提供している。
世界都市・地方自治体協会調整機
関
バルセロナ
16 World Association of Cities and
地方自治
市
Local Authorities Coordination
(WACLAC)
1996
地方政府に関する10の連合によって1996年に設立された緩やかな
連合体である。地方自治の拡充 、国際社会において都市、自治体
の声を反映、国際協力における都市、自治体の役割の強化などを活
動目標に掲げ、世界自治憲章の採択を目指し、世界都市連帯基金
を設立、HABITATとの連携などを行いながら活動を進めている。本
部はスペインのバルセロナにおかれている。
不明
アジア環境協力都市ネットワーク
17 Environmental Cooperation
Network of Asian Cities
環境技術
協力
1997
アジア地域での環境協力を進め、さらに経済交流等へ発展させるこ
とで相互発展の促進に寄与することを目的に、北九州市で開催され
た「アジア環境協力都市会議」において1997年に設立合意。研修員
受入れや専門家派遣、セミナーの開催などを実施し、問題の解決に
向け、一緒に取り組んでいる。
5国の7市
18
科学技術
世界科学技術都市連合
大田広域市 都市の振
World technopolis Association(WTA)
興
1997
1997年に、中央政府の支援のもと開催されたワールド・テクノポリス・
27国の41
サミットで合意・設立。それぞれの地域の発展及び科学技術都市間
市とリサーチ
の交流・協力の推進と、科学技術を通じた人類の幸福とよりよい生活
パーク
の享受に対する貢献が目標である。
19
世界新城サミット
World New Castle City Summit
新城市
交流
1998
新城市(日本)の提唱により発足。世界中の「新しい城」という意味の
名前を持つ都市が集まり、ネットワークを生かしたさまざまな交流や、 6国の8市
共通する課題の解決のための協議を行う。
友好提携港国際ネットワーク
20 International Network of Affiliated
Ports(INAP)
高知県
姉妹港・友
好港提携
1998
高知新港供用開始を機に4港と姉妹港・友好港提携。スリランカ国ア
シュラフ港湾開発復興大臣の提案で関係する姉妹港が一堂に会す
る会議が開催され、その際、姉妹港の国際ネットワーク組織の設立
6国の7港
が提案され参加港が同意。会員の友好的で調和の取れた共生を支
え、環境に優しい社会と平和で調和のとれた地球の実現を目的とす
る。
東アジア地方政府観光フォーラム
21 East Asia Inter-Regional Tourism
Forum (EATOF)
江原道〈事
務局持回)
観光振興
1999
参加地方政府の知事、観光行政、観光業界・大学といった「産・官・
学」の関係者が集い、相互理解を深め、域内交流を推進するととも
に、情報交換、人材開発、共同マーケティングを通じて、観光地とし
てのレベルアップを図り、この地域に世界各地からの観光客誘致を
図ることなどを目的に、各地域持ち回りで1999年より年1回開催。
環境技術
協力
2000
2000年の国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)主催の「環境
と開発に関する閣僚会議(MCED)」において、北九州市の公害克服・
都市再生の経験や取り組みをモデルに、公害が進むアジア・太平洋
地域の環境改善を着実に推進するための「クリーンな環境のための 18国の62
北九州イニシアティブ」が採択。これに基づいて創設された北九州イ
市
ニシアティブネットワークは、2006年12月現在、アジア太平洋地域18
カ国62都市が参加し、都市環境改善のために、セミナー、スタディー
ツアー、パイロットプロジェクトなどを行っている。
地球市民環境会議
高崎市〈事
23 The Global Citizen's Environmental
務局持回)
Conferences
友好都市
間環境協
力
2000
1990年、高崎市の友好姉妹5都市が高崎市に集まり第1回高崎サ
ミットを開催、1995年第2回高崎サミットにおいて、環境をテーマに持
ち回り合同会議を開催することを共同宣言。2000年第3回高崎サミッ
ト(高崎2000年環境会議)にて、地球市民環境会議を設立合意。
アジア大都市ネットワーク21
24 Asian Network of Major Cities
21(ANMC21)
大都市問
題
2001
21世紀においてアジアが更に発展し、国際社会でより重要な役割を
担うためには、アジアの頭脳部分であり心臓部分である大都市が先
11国の11
導役となって連携し、一層緊密な関係を形成して協力することが必要
市
であるとの考えのもと、大都市に共通する課題に共同で取り組むネッ
トワークとして2001年に設立。
釜山広域市 観光振興
2002
アジア太平洋地域の都市や団体が、相互にネットワークを構築し、協
13国の56
同して当該地域における観光の振興を図ることを目的に、2002年に
市
創設。
14
22
25
名称
北九州イニシアティブネットワーク
Kitakyushu Initiative Network
アジア太平洋都市観光振興機構
The Tourism Promotion
Organization for Asian-Pacific
Cities (TPO)
都市・自治体連合
26 United Cities and Local
Governments(UCLG)
事務局
所在地
北九州市
北九州市
東京都
サンパウロ
市(事務局
持回)
2004
(IULA:191
地方自治
3/UTO19
57)
9国の9地
方政府
5国の5市
2004年1月に2つの地域自治体連合組織、国際地方自治体連合
(IULA)と世界都市連合(UTO)が、統合されてできた世界最大の自
治体の連合組織である。本組織の目的は、民主的地方自治体の共
同代表者となり、地方政府の協力のものとに、地方自治体の価値、
127国の
目的、関心事を国際社会に普及させることであり、各国政府へのロビ 2500会員
イングや国連との連携によって、自治体の視点からの政策提案を
行っている。世界に7つの地域支部があり、独自の活動も行ってい
る。
58
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ3.国際地域ネットワークの新傾向
●国連等国際機関との連携・協働
・日本の場合、以前は「自治体単独志向」が強かっ
たが、ここに来て、ユネスコやハビタットなどとの連
携やプログラム実施の協働などが見られるように
なってきた
↓
成果・評価が見えやすい
市民の理解を得やすい
国際貢献をしつつ、地域益も期待できる
地元の人材育成にも繋がる
59
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ-
●単独自治体から、地域(リージョン)単位へ
*都市では戦えない!
↓
メガ・リージョン
メトロポリタン
グレーター
地域クラスター
60
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティとくに人口・面積規模の大きい中国の有力都市と地域は、ネット
ワークの相手先に、「大きさ」を求める傾向にある。
例えば、珠江デルタ地区の中心
都市「広州市」
・福岡市は、最も古い姉妹都市と
して、親しく付き合ってきたが、近
年、福岡市はあまり相手をしても
らえなくなってきた。今回のアジア
太平洋都市サミット実務者会議IN
福岡に代表を派遣しなかった。。。
・広州市の他の姉妹都市には、数
多くのメガ・リージョンが含まれて
いる。
1
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18
19
広州市の姉妹都市
締結年
福岡市(日本)
1979
ロサンゼルス市(米国)
1981
マニラ市(フィリピン)
1982
バンクーバー市(カナダ)
1985
シドニー市(オーストラリア)
1986
パリバリー市(イタリア)
1986
リヨン市(フランス)
1988
フランクフルト(ドイツ)
1988
オークランド市(ニュージーランド)
1989
光州市(韓国)
1996
リンショーピン市(スウェーデン)
1997
ダーバン市(南アフリカ)
2000
ブリストル市(イギリス)
2001
エカテリンポーグ市(ロシア)
2002
アレキパ市(ペルー)
2002
スラバヤ市(インドネシア)
2005
ビリニュス市(リトアニア)
2006
バーミンガム(イギリス)
2006
漢班托塔区(スリランカ)
2007 61
広州市HPより(2009.3.1現在)
資料:広州市ホームページ
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ-
●超戦略的・排他的ネットワークの登場
*交流から学びあいへ、情報交換から相互協力へ
↓
同じ土壌で話をしやすい
共通の目的を持ちやすい
(最初に設定する)
目的がはっきりしているのでステークホルダーを
巻き込みやすい(産学官で対応可能)
ビジネススポンサーつきの有期プロジェクト
62
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ★国際地域ベンチマーク協議会
(International Regions Benchmarking Consortium)
会員:10カ国10都市
・バルセロナ(スペイン)
・ダブリン(アイルランド)
・福岡市(日本)
・ヘルシンキ(フィンランド)
・メルボルン(オーストラリア)
・ミュンヘン(ドイツ)
・シアトル(USA)
・ストックホルム(スウェーデン)
・バンクーバー(カナダ)
・大田広域市(韓国)
*オブザーバー:シンガポール
■国際地域ベンチマーク協議会は、2007年、
シアトル市を中核とする地域の広域行政協
議会であるピージェット・サウンド広域協議
会とグレーター・シアトル貿易開発連合が、
世界の「革新的な地域」の自治体に共同設
立を呼びかけ、2008年に正式に発足した国
際地域コンソーシアム。
■ネットワーク会員は、毎年、産官学のビジ
ネス視察団を世界の都市に派遣してきた実
績を持つ、ピージェット・サウンド広域協議会
とグレーター・シアトル貿易開発連合が、自
らの目線と基準で厳選した「革新的な地域」
から構成される地域からなり、その創立会員
地域には、という世界の有力都市が名を連
ねている。
(注)大田広域市は姉妹都市ということでなかば強引に参
63
加を認めさせたらしい。
おまけ.「国際戦略」における国際地域ネットワークの重要性-学びあうコミュニティ-
●相手を戦略的に選ぶ時代へ
→選んで学習することの大切さ
↓
福岡はシアトルに
受動的に選ばれた。
規模
これから福岡は自分で選び
選んだ相手に対話してもらえる
関係性を築いていかねばならない
知名度
テーマ
目的
協働プロジェクト
*メンバー都市・地域が真剣にネットワークに参画
64
し、そこでの存在価値を認めさせることが必要。