受信機の選択 電波メディア講座 76MHz から 90MHz の周波数帯での観測には FM チューナの利用が可能です.FM チューナには, センターチューニング法が行われているアナログ FM チューナ[1]と,現在市販の主流である PLL 型 シンセサイズド FM チューナ(ディジタル FM チューナ)の 2 種類が入手できます.私たちは観測に先 立ち,これら 2 種類の特性を比較しました.その結果を図1に示し特徴を以下にまとめます. (1)アナログ FM チューナ ・受信帯域幅は約 600kHz となり,観測データは設定周波数±300kHz の周波数範囲に影響される. ・受信波の周波数が設定周波数より高い場合と低い場合で検出電圧の符号が反転するため,受信 レベルの定量観測ができない. (2)ディジタル FM チューナ ・アナログ FM チューナと比較し,よりシャープな周波数選択性を有しており,隣接チャネル干渉を 30dB 以上抑圧でき,設定周波数のみの観測が可能となる. ・図 2 に示すように,受信レベルに応じ,1 対 1 に検出電圧を得ることができ定量観測が可能となる. ・実験による測定限界は約-120dBm であり,雑音指数=2dB,受信帯域幅(3dB)=80kHz から計算 により求められる受信機の熱雑音(測定限界値)は-123dBm となり,実測による測定限界値とよ く一致した. これらの比較結果より,観測用の受信機には,PLL 型シンセサイズド FM チューナ(ディジタル FM チューナ)を用いることとしました[2],[3] [1] Kushida Y. and R. Kushida, “On a Possibility of Earthquake Forecast by Radio Observation in the VHF Band”, Riken Review, 19, 1-13., 1998. [2] 吉田彰顕,特許第 2956685 号,1999. [3] Yoshida T., M. Nishi and A. Sato, “Pre-seismic Phenomena and Observations of Natural Radiated Electromagnetic Waves in VHF”, Proc. of ISAP2000, 525-528, 2000. 0 2000 Level (dB) -20 ディジタル・チューナ -80 -100 -400 -400 -300 -300 -200 -200 -100 -100 0fc fc 100 +100 Vt(mV) 70 50 30 200 +200 300 +300 400 +400 アナログ・チューナ 10 -10 -30 -50 -70 -400 86.6 Detected Level (mV) -40 -60 電波の受信強度と検出電圧が一対一に対応する 1800 1600 1400 1200 77MHz 81MHz 85MHz 89MHz 1000 800 600 -120dBmまで 高感度受信が可能 400 200 0 観測に影響される周波数幅 -300 86.7 -200 86.8 -100 86.9 fc 87.0 fc +100 87.1 +200 87.2 87.3 +300 Frequency (kHz) 図1:周波数選択特性の比較 87.4 +400 -130 -120 -110 -100 -90 -80 Received Level (dBm) -70 測定限界 図2:ディジタル FM チューナの入出力特性 -60
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