コードレス電話機

コードレス電話機
Cordless Phones
UDC 621.395.6/.7
田中昌樹
Masaki Tanaka
情報通信事業本部 端末機器事業部 第 1 技術部
隅元一洋
Kazuhiro Kumamoto
情報通信事業本部 端末機器事業部 第 1 技術部
前田幸一
Kouichi Maeda
情報通信事業本部 端末機器事業部 第 1 技術部
小池一幸
Kazuyuki Koike
CIS 本部 技術情報システム部 ソフト技術課
1
能な子機は 4台とする。
はじめに
2.2 ディジタル RF 部
コードレス方式の利便性から電話機市場でコードレス機能
アナログ方式は同時通話可能チャネル数が 1でかつ送信,受
が必須となったため,アナログ方式,およびディジタル方式
信合わせて 2つの周波数を必要とする。これに対して,ディジ
の親機で使用する RF(Radio Frequency)部を開発した。RF
タル方式は TDMA-TDD(Time Division Multiple Access −Time
部は,コードレス電話機システムの親機と子機間を無線接続
Division Duplex)方式とし,最大同時通話可能チャネルが 4 チ
し,無線状態を監視し,通話路をコントロールするユニット
表1
である。
Summary of RF part system
コードレス電話機の親機に組み込むため,始めに一般に普
及していたアナログ RF 部を開発した。これは通話路を 1 本持
アナログ
った方式である。
無線方式
次に,秘匿性と通話品質で優位なディジタルコードレスの
普及が予想されたため,1 スロット対応の RF 部を開発した。
アナログ
同時通話可能
な子機の数
スロットの RF 部は無線通話路を 3 本持ち子機−子機間内線通
話や3台の子機での同時利用などを可能とした。
2スロット対応
4スロット対応
ディジタル
TDMA-TDD
1スロット
ディジタル
TDMA-TDD
2スロット*1
ディジタル
TDMA-TDD
4スロット*1
1
3
アナログ
専用子機
4台
ディジタルコード
レス子機4台
ディジタルコード
レス子機または
専用子機2台
ディジタルコード
レス子機または
専用子機3台
子機通話中の
通話していな
い子機への制
御信号の送信
×
×
○
○
子機−子機間
の内線通話
×
×
×
○
スに内線,転送時の機能および操作性の向上を設計方針とし
ト対応 RF 部は表示機能を拡張した子機に対応した。また,4
1スロット対応
1
接続子機
て,2 スロット,4 スロットの RF 部を順次開発した。2 スロッ
ディジタル
1
RF 部を構成する部品が安価に推移してきたため,これをベー
2
RF 部システム仕様概要
*1
*2
スロットの内,1つのスロットを制御スロットとして使用
専用子機は本開発の RF 部に対応した表示を拡張した子機である。
開発方針
各方式の仕様概要を表 1 に示す。
2.1 アナログ RF 部
RF部
アナログ RF 部のシステム構成を図 1 に示す。
アナログ専用子機
回線
本 RF 部は,無線路を 1 本持ち,制御チャネルと通話チャネ
ルの2つのチャネルを切り替えて使用する。同時に使用できる
親機
子機は 1 台とし,子機使用中に,他の子機に対して使用中表示
図1
等のシステム状態を送信することはできない。なお,登録可
アンリツテクニカル
No.76 Oct. 1998
電話機部
アナログ RF 部のシステム構成
System composition of Analog RF part
125
コードレス電話機
ャネルであり,かつ 1チャネルに対して送受信とも同じキャリ
なっていない子機 2,3,4 はシステム状態を受信できないため
アを使用する。時分割の方式(スロット構成)を図 2 に示す。
圏外表示となる。
第1スロットの場合は T1(transmit 1)
,R1(receive 1)は同じ
2.2.2 2 スロット対応 RF 部
キャリアとなる。送信に 1 スロット,受信に 1 スロットのみを
2 スロット対応 RF 部のスロット配置例を図 5 に,システム
使用する方式を「1 スロット対応 RF 部」,送信に 2 スロット,
構成を図 6 に示す。子機との通話スロットを 1 スロットとし,
受信に 2 スロット使用する方式を「2 スロット対応 RF 部」
,ま
残りの 1スロットは制御スロット専用とする。実際の制御スロ
た,送信に 4 スロット,受信に 4 スロット使用する方式を「4
ットは間欠送信となるが,図 5では送信可能な全スロットを示
スロット対応RF 部」と呼ぶ。
している。
2.2.1 1 スロット対応 RF 部
同時通話できる子機は 1 台であるが,子機 1 が通話中の場合
1 スロット対応 RF 部の第一スロットを使用したスロット配
も,通話を行なっていない子機 2に対して外線使用中等のシス
置例を図 3 に,システム構成を図 4 に示す。親機の T1 から子
テム状態の送信を可能とする。
機 1 の R1 への通話路および,子機 1 の T1 から親機の R1 への通
2.2.3 4 スロット対応 RF 部
話路で双方向通話を実現する。子機と通話する場合は,通話
子機 3 台で同時通話中のスロット配置例を図 7 に,システム
チャネルを通し,論理制御チャネル(スーパーフレーム)を
停止するものとする。登録可能な子機は4 台とし,同時通話で
5 ms
きる子機は 1 台とする。子機 1 で通話を行なう場合,通話を行
親機
T1
T3
子機 1
子機 2
5 ms
図2
R3
T1
T3
R1
R3
T3
R1
T1
R1
T1
第1スロット
(T1,
R1):制御スロット
(親機←→待機中子機(子機 2))
第3スロット
(T3,
R3):通話スロット
(親機←→子機 1)
R4 T1 T2 T3 T4 R1 R2 R3 R4 T1 T2 T3 T4 R1 R2
T1:送信第1スロット
T2:送信第2スロット
T3:送信第3スロット
T4:送信第4スロット
R1
R3
R1:受信第1スロット
R2:受信第2スロット
R3:受信第3スロット
R4:受信第4スロット
図5
ディジタル 2 スロット RF 部のスロット配置例
Sample slot arrangement of Digital two-slot RF part
ディジタル RF 部のスロット構成
Slot composition of Digital RF part
通話
子機 1
RF部
5 ms
制御
2.5 ms
親機
T1
R1
T1
R1
子機 1
R1
T1
R1
T1
子機 2
電話機部
回線
ディジタルコードレス子機
親機
図6
第1スロット
(T1,
R1):通話または制御スロット
(親機←→子機 1)
ディジタル 2 スロット RF 部のシステム構成
System composition of Digital two-slot RF part
図3
ディジタル 1 スロット RF 部のスロット配置例
Sample slot arrangement of Digital one-slot RE part
5 ms
親機
R4 T1 T2 T3 T4 R1 R2 R3 R4 T1 T2 T3 T4 R1 R2
子機 1
R2
子機 2
RF部
子機 3
電話機部
親機
図4
ディジタル 1 スロット RF 部のシステム構成
図7
System composition of Digital one-slot RF part
アンリツテクニカル
No.76 Oct. 1998
T3
R4
T2
R3
T4
R4
第1スロット
(T1,
R1):制御スロット
(親機←→待機中子機(図示した例では3つ
の子機はすべて通話中で,
待機中の子機はない))
第2スロット
(T2,
R2):通話スロット
(親機←→子機 1)
第3スロット
(T3,
R3):通話スロット
(親機←→子機 2)
第4スロット
(T4,
R4):通話スロット
(親機←→子機 3)
ディジタルコードレス子機
回線
R3
T4
R2
T2
ディジタル 4 スロット RF 部のスロット配置例
Sample slot arrangement of Digital four-slot RF part
126
コードレス電話機
構成を図 8 に示す。子機との通話スロットを 3 スロットとし,
(1)ベースバンド回路
残りの 1 スロットを制御スロット専用とする。
主にフィルタにより構成し,音声の帯域制限を行う。また,
通話
通話
RF部
通話
コンパンダ回路 :音声のレベルのダイナミックレンジの拡大
子機 2
モデム
:親子間制御データの送受信用
(2)高周波回路
送信部はベースバンド回路の送信信号をアップコンバート
ディジタルコードレス子機
3台同時通話可能
親機
図8
子機 1
子機 3
電話機部
回線
秘話回路,コンパンダ回路,モデムを内蔵し,各処理を行う。
し,搬送波に乗せる。受信部は受信信号をダウンコンバート
し,ベースバンド回路に供給する。
ディジタル 4 スロット RF 部のシステム構成
3.1.2 ソフトウエア
System composition of Digital four-slot RF part
ソフトウエアは回線接続,転送,切断の制御を行なう。一
最大 3 台の子機にて外線および内線の同時通話が可能であ
例として,子機から発信した場合の回線接続手順について述
り,通話中の場合も,通話を行なっていない子機に対するシ
べる。接続手順のシーケンスを図 10 に示す。子機は制御チャ
ステム状態の送信を可能とする。
ネルで着信待ち受け(キャリアセンス)を行い,一定時間
3
(約 2 秒)毎に通話チャネルの使用状態を監視(キャリアセン
各方式の構成
ス)している。子機側から発呼操作が行われた場合,親機へ
3.1 アナログ RF 部
接続要求・通話チャネル指定を送信する。親機は自局 ID の検
アナログ RF 部は 250MHz / 380MHz 帯コードレス電話の無
出を行い,ID が一致すると,制御チャネルから未使用の通話
チャネルに切り替え,親機は制御信号応答を送出する。子機
線局の無線設備標準規格 RCR STD−13 に準拠した。
3.1.1 ハードウエア
からはダイヤル等のデータを送り通話を行なう。
ハードウエアの構成を図 9 に示す。
ア
ン
高周波回路
ベースバンド回路
テ
ナ
送
信
部
フィルタ
受
信
秘話回路
部
コンバンダ回路
回
線
制
御
シンセサイザ部
モデム
部
マイコン
図9
アナログ RF 部構成図
Composition diagram of Analog RF part
アンリツテクニカル
No.76 Oct. 1998
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コードレス電話機
子
機
親
制御チャネル 通話チャネル
対して音声,非制限ディジタル情報などを PCM で送受信可能
機
通話チャネル 制御チャネル
とする。ただし,有線系がアナログ信号の場合は,ADC/DAC
キャリアセンス
を内蔵する ADPCM CODECを使用した。
キャリアセンス
(b)バーストモード・コントローラ
キャリアセンス
接続要求・通話チャネル指定
発呼操作
自局 IDの
検出
チャネルコーデック部,タイミング・ロジック部,プロセ
キャリアセンス
ッサ I/F部,ADPCMI/F部,RFモジュール I/F部から成る。
制御信号・応答
・チャネルコーデック部
通
話
送
受
信
TDMA-TDD 処理を行う他,チャネルエンコード時には,プ
リアンブル付加,制御用スロットと通信用スロットの識別の
ため UW 付加,秘匿操作,CRC データの生成,スクランブル
を行ない,チャネルデコード時には UW 検出,デスクランブ
ル,CRC判定,子機との ID 判定,秘匿解除を行なう。
図 10 アナログ RF 部回線接続手順図
・タイミング・ロジック部
Procedures of Analog- RF- part line connection
バーストモード・コントローラのビット・タイミングを生
3.2 ディジタル RF 部
成する。π/4 シフト QPSK MODEM,RF モジュールの制御信
ディジタル RF 部は第二世代コードレス電話システム標準規
号は,このビット・タイミングを使用してつくり,送受信デ
格RCR STD − 28 に準拠した。
ータに対して正確なタイミングでの送受信動作を行う。
3.2.1 ハードウエア
(c)π/4シフト QPSK MODEM
(1)1 スロット対応RF 部
変調部は,ディジタルフィルタ,DAC により,送信データ
ハードウエアの構成を図 11 に示す。
を直交信号(I,Q信号)に変換する。
復調部は,遅延検波回路,ビット同期回路により,受信入
(a)ADPCM CODEC
力からクロック再生し,ディジタルデータとする。
第二世代コードレス電話システムの音声符号化方式は
(d)RFモジュール
32kbit/sADPCM であるため,本回路ブロックにより回線部に
ア
ン
RFモジュール
テ
ナ
送
信
部
π/4 シフト
QPSK MODEM
変
調
バーストモード・コントローラ
部
ADPCM I/F
チャネル
コーデック部
受
信
部
復
調
ADPCM
CODEC
回
部
線
シンセサイザ部
RFモジュール I/F
タイミング・
ロジック部
制
御
部
プロセッサ I/F
プロセッサ
図 11 ディジタル 1 スロット RF 部の構成
Composition of Digital one-slot RF part
アンリツテクニカル
No.76 Oct. 1998
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コードレス電話機
た。これにより,連続する RF スロットを使用する場合には,
送信部は,入力される I,Q 信号から変調波を生成し,RF に
2 系統のシンセサイザ回路うち,一方を使用中にもう一方をデ
アップコンバートする。
ータ設定し後続するスロットで安定に出力することを可能と
受信部は,受信信号を固定の周波数にダウンコンバートし,
した。制御例を図 12 に示す。
π/4シフト QPSK MODEM に供給する。
3.2.2 ソフトウエア
シンセサイザ部は,300kHz ステップで周波数を選択でき,
送受信キャリア周波数選択に対応している。
(1)1スロット対応RF 部
(2)2スロット対応 RF 部
(a)ソフトウエアの構成
構成はディジタル 1 スロット対応 RF 部と同一である。ただ
ソフトウエアの構成は,リアルタイムモニタで制御される
し,通話中に,通話していない子機に対して制御信号の送受
マルチタスク方式とした。ソフトウエアの構成図を図 13 に示
信を続けるため,バーストモード・コントローラは RF 信号
す。各部の動作概要は以下である。
2ch 多重(TDMA)可能とし,π/4 シフト QPSK モデムについ
・ API は第二世代コードレス電話システム標準規格
ては,変調部は 1 系統で 2ch 対応可能だが,復調部は受信品質
STD − 28 の無線区間インタフェースを以下のタスクにより実
を保つため 2系統とした。
現する。
(3)4スロット対応 RF 部
チャネル管理タスク:チャネル割当て
構成はディジタル 1 スロット対応 RF 部と同一である。ただ
無線管理タスク
し,ADPCM コーデックは 3 系統とした。バーストモード・コ
RCR
:通話チャネル切替等の無線制御
LAPDC(Link Access Procedure for Digital Cordless)タスク
ントローラは,RF 信号 4ch 多重(TDMA)可能としπ/4 シフ
: LAYER2としてのリンクアクセス
ト QPSK モデムは,復調部を 4 系統とした。また,連続する
手順の制御
RF スロットを使用する場合があるので,RF モジュールはロッ
LAYER3タスク
クアップタイム(数百μ s)のシンセサイザ回路を 2 系統とし
: LAYER3としての呼制御と
移動管理
625μs
RF
スロット n
スロット n+1
シンセサイザA SW
シンセサイザB SW
シンセサイザA
データ設定
ストローブ信号
シンセサイザB
データ設定
ストローブ信号
T
シンセサイザAデータ設定
T
T:シンセサイザ ロックアップ時間以上
シンセサイザBデータ設定
シンセサイザA出力安定
シンセサイザB出力安定
図 12 連続する RF スロットを使用する場合のシンセサイザ制御例
Sample of synthesizer control using continuos RF-slot
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No.76 Oct. 1998
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コードレス電話機
表2
API
(Application Programming Interfase)
Composition of superframe of RF part
RF部スロット
主装置
モジュール
主装置制御
タスク
チャネル管理
タスク
線
線
着信群分ファクタ n group
4
4
4
御
一斉呼出エリア長 n p
1
1
1
部
RTC(Real Time Clock)
ドライバ
部
ADPCMドライバ
エコーキャンセラドライバ
御
LAPDC タスク
同一着信群数 n sg
1
1
1
バッテリセービング数 n bs
1
1
1
オプション n offset
0
0
0
PCH 数 n pch
1
1
1
フレーム基本単位長 n sub
2
2
2
11
11
11
報知状態指示
0
2
7
上り LCCH タイミング
3
3
3
グローバル定義パターン
1
2
2
RS-232-C
ドライバ
タスク制御部
オプション
リアルタイムモニタ
図 13 ソフトウェア構成部
Composition of software
主装置制御タスク
26
26
26
(130 ms)(130 ms) (130 ms)
制
制
データリンク
モジュール
LAYER3
タスク
1スロット 2スロット 4 スロット
LCCH インターバル値 n
回
無
無線管理
タスク
RF 部のスーパーフレームの構成
:主装置モジュールとのメッセージ
送受信
・主装置モジュールは内線,外線の呼制御を行なう。
送信停止するものとする。子機との通信終了後スーパーフレ
・データリンクモジュールは主装置と回線制御部の間のシリ
ームの送信を再開する。
アル通信の制御を行なう。
(C)回線接続手順
(b)論理制御チャネル(LCCH:Logical Control Channel)
外線発信の手順を図 15 に示す。待機中の子機はシステム状
親機から子機への LCCH の構成例を図 14 に示す。1 フレー
態を受けるため親機から送られるスーパーフレームを常時間
ムは送信 4 スロット,受信 4 スロットの 5ms であり,26 フレー
欠受信している。子機はオフフックされると親機にリンク確
ム毎の 8個の間欠送信スロットで構成される。
立要求を送出し,親機はリンク割当てを返す。その後,同期
スーパーフレームの構成を表 2 に示す。1 スロット RF 部が
バーストを用いて,周波数およびタイミングの同期を取り,
SABM(Set Asynchronous Balanced Mode)
,UA(Unnumberd
子機と通信スロットで通信する場合は,スーパーフレームを
5×26=130 ms
5 ms
R4
T1
T2
1
T3
2
T4
R1
R2
3
R3
R4
8
T1
T2
T3
T4
R1
R2
T1
1
130 ms
130×8=1040 ms
LCCH スーパーフレーム
図 14 論理制御チャネル(LCCH)の構成例
Sample composition of logic control
アンリツテクニカル
No.76 Oct. 1998
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コードレス電話機
子機
線通話路が確立してからは,音声通話路で外線網の DT(Dial
親機RF部
Tone)
,RBT(Ring Back Tone)音等を聞かせると共にキーコ
リンク確立要求
リンク割当
オフフック
ード(ダイヤル)
,LCD 制御等の制御情報を送受信して,外線
同期バースト
同期バースト
通話中の状態とする。
SABM(SACCH,FACCH)
UA
(SACCH,FACCH)
(2)2スロット対応RF 部
呼 設 定
呼設定受付
秘匿鍵受付
認 証 要 求
ソフトウエアの基本的な構成は 1 スロット対応と同様であ
認 証 応 答
応
る。以下異なる点を述べる。子機との通話スロットは 1スロッ
答
応 答 確 認
ファシリティ:キーコード
(オフフック)
トのみで残りの 1スロットはスーパーフレーム専用とする。ま
DISC(FACCH)
UA (FACCH)
ファシリティ:外線使用中
た,TDMA − TDD4 スロットの内,隣接しない 2スロットを使
ファシリティ:通話路:外線通話
用し,スーパーフレームの送信停止は行なわない。スーパー
D T 音
ダイヤル押下
フレームの構成を表 2に示す。
ファシリティ:キーコード
(ダイヤル)
ファシリティ:LCD制御
(ダイヤル)
(3)4スロット対応RF 部
ソフトウエアの基本的な構成は 2 スロット対応と同様であ
R B T 音
ファシリティ:LCD制御
(通話時間表示開始)
る。子機との通話スロットは 3 スロットで残りの 1 スロットは
通 話 中
スーパーフレーム専用とする。
スーパーフレームの構成を
表 2に示す。
4
図 15 ディジタル RF 部外線発信手順図
Procedures of external line sending of digital RF part
むすび
アナログ式に始まったコードレス電話用 RF 部は,ディジタ
ル 4スロット対応RF 部まで開発が進み,アナログ式 RF部及び,
Information)にて,呼接続および通信中に使用するメッセー
ディジタル 2 スロット対応 RF 部については,製品に適用し量
ジを乗せるチャネルである SACCH(Slow Associated Control
産している。電話網を利用した情報通信サービス用の端末は,
Channel)
,FACCH(Fast Associated Control Channel)の非同
今後もさらに多種,多様化が進むことが予測される。その中
期平行モードを設定し,呼設定,秘匿鍵を送受信する。認証
でも,ディジタルコードレス応用端末については,高品質な
は親機が認証乱数を発生し認証要求メッセージで子機に送信
音声,高速データ通信などの特長により,家庭や SOHO 市場
する。子機は子機が持つ認証鍵を用いて受信した認証乱数を
での応用が期待できる。
こうした市場の要求に対応し,コードレス技術を生かした
演算し,演算結果を認証応答で親機に返す。親機も親機自身
製品をタイムリに開発していく。
が持つ認証鍵で同様の演算を行ない,子機から送られた演算
結果との一致を判定する。判定がOKの場合,呼接続を継続し,
参考文献
判定が NG の場合,呼を解放する。子機からオフフックボタン
押下のキーコードを,付加サービス要求,確認に使用される
1) RCR STD-13 「250MHz/380MHz 帯コードレス電話の無線局の無線設
ファシリティメッセージにユーザー情報として乗せ送信する。
DISC(Disconnect)
,UA で FACCH を切断する。子機からの無
アンリツテクニカル
No.76 Oct. 1998
備標準規格」
2) RCR STD-28 「第二世代コードレス電話システム標準規格」
131
コードレス電話機