My Footprints : 赤澤久弥 (AKAZAWA Hisaya) のメモ

奈良教育大学図書館での3年間の仕事
図書館員は「ゼネラリスト」か?
第180回 京都図書館情報学学習会
2011年1月27日
赤澤 久弥
(奈良教育大学学術情報研究センター図書館)
[email protected]
自己紹介:異動経験から①
1995. 3 大学卒業。茨木市立図書館でアルバイト
1995.10 京都大学総合人間学部図書館 整理掛
洋書目録と受入業務
図書館ウェブサイト試作
他職種とのつながり
1998.10 京都大学附属図書館 システム管理掛
図書館システム管理業務
トラブル対応等の非定型な仕事
京大図書館全体への視点
2
自己紹介:異動経験から②
2001. 4 京都大学工学部電気系図書室
2005. 4 滋賀医科大学附属図書館 情報サービス係
閲覧とILL業務
医学系図書館の独自な世界
他大学を知る
2007. 4 京都大学医学図書館 閲覧担当
閲覧と雑誌業務
図書室移転と一人職場を経験
教員との密なつながり
閲覧と利用者教育業務
図書館移転
2008. 4 奈良教育大学図書館 情報サービス担当
3
奈良教育大学の紹介
創立120年を超える歴史
教育組織
奈良県師範学校、奈良県女子師範学校等を起源。
戦後、奈良学芸大学を経て、奈良教育大学へ
学 部:学校教員養成課程と総合教育課程
大学院:教育学研究科、教職大学院
構成人員
学 生:学部 約1160名、 大学院 約150名
教職員:教員約110名(附属校除く)、 職員約60名
http://www.nara-edu.ac.jp/4
奈良教育大学図書館の紹介①
学術情報研究センター
組
織:図書館、情報館、教育資料館から構成
学術情報課:図書、情報、研究協力、総務の各担当
図書館部門の人員構成
目録情報担当
:係長1、非常勤1
情報サービス担当:係長1、係員1、非常勤1
非常勤1(リポジトリ業務担当)
一部職員は、京都大学からの出向
5
奈良教育大学図書館の紹介②
概要
蔵書冊数・雑誌種数:318,970冊・6,095タイトル
年間受入冊数・雑誌種数:4,249冊・1,376タイトル
資料費:33,080千円
入館者数:60,080人
貸出冊数:19,019冊
ILL:複写 依頼786件、提供611件
貸借 借受139冊、貸出131冊
(平成21年度統計より)
建物
1967年竣工(1047㎡)、1978年増築(1348㎡)
老朽化、狭隘化
6
図書館棟
7
機械室
倉庫
事務室
8
教育系大学図書館の世界
教員養成との密接な関わり:ex.教科書の収集
総合大学と同様、広い学問分野を扱う
予算、人員ともに小規模
国立教育大学図書館間のつながり
国立教育大学図書館協議会
近畿地区四教育大学附属図書館協議会
9
奈良教育大学図書館での仕事
知
る
真 似 る
決断する
協働する
実現する
10
きれいな図書館に
方針を決めて、判断して、捨てる
未整理の書類、山積みの寄贈資料、
収容力を超えた書架、使われていない什器
寄贈資料受入基準、廃棄基準の案を作成
随時的な建物のメンテナンス
漏水対応
書庫内資料のカビ対策
11
当初の紀要コーナー
カビの発生した製本雑誌
床面からの漏水
12
使われていないカードボックス
不要な資料・書類、什器等の廃棄
13
現在の紀要コーナー
カードボックス廃棄後
閉鎖した書庫開口部
14
使いやすい図書館に:お金のかかったこと
閲覧室のレイアウト変更
電動書架、入退館ゲートの更新
書架を新規購入し、利用の多い教育系図書を別置
老朽化対応のため、学内経費を要求
個人席の導入
学生からの要望を背景に、学内経費を要求。自学自習の
環境整備を企図
15
新規書架の設置
資料の移動
仮設書架を撤去し明るくなった閲覧室
16
入退館ゲートの入れ替え
電動書架の改修
新規設置の個人席
17
使いやすい図書館に:お金のかからなかったこと
サインの改善
ドリンクコーナーの設置
飲食ポリシー検討の一環として
作業コーナーの設置
見栄えは大事
学生からの文具利用の要望が多い。レポート作成支援環境
を想定
グループ学習室利用時間延長、プロジェクタ貸出開始
学生からの要望を受けて検討。模擬授業等への活用を想定
18
グループ学習室の利用風景
作業コーナー
館内サイン
ドリンクコーナー
19
親しみやすい図書館に
学生による企画展示「ボーダーレス展」
面展台の活用
チラシ置き場から図書テーマ展示の場所へ
ブックハンティングの実施
カウンターバイト学生が企画。基本的に学生にお任せ
学内経費を要求し実施
留学生コーナーの新設
センター長の提案を契機に学内経費を要求し設置
20
図書のテーマ展示
「ボーダーレス展」
21
留学生コーナー
ブックハンティング購入図書
22
遡及と除却
製本雑誌遡及
図書遡及
カウンターバイト学生の作業によるデータ作成により完遂
NII大規模遡及事業は採択されず・・・。学内経費を要求し、
推進中。最終的に、図書原簿DBの実現を目指す
除却
滞っていた除却作業を推進中。適切な資産管理と
狭隘化対策を企図
23
電子的資料利用環境の整備
図書館システムのリプレイス
聞蔵II、NetLibraryの導入
業務系は極力カスタマイズしない
利用者インタフェースを重視し、OPAC書影表示、学内統合
認証等の実現
学生向けコンテンツの整備を意図。利用拡大の呼び水に
「永井家文書」の電子化計画
高槻藩永井家伝来の老中奉書等。出陳利用も多い。
科研費による電子化を目指すが、採択されず・・・
24
奈良教育大学学術リポジトリの整備
大学刊行物公開のプラットフォーム化を企図
紀要類の遡及電子化の推進
刊行時の納本と公開を教員と所掌課に要請
Web周知による一括公開許諾方式により、初号から対象
多様なコンテンツの電子化
紀要類の他、大学史、戦前の図書、修士論文等
併せて、過去の大学刊行物を製本の上、保存
25
リテラシー教育の拡充
リーフレット
「論文・レポートを書くための図書館活用講座」
蔵書検索編など。デザインは提案した上司に依頼
従来は新入生対象ガイダンス(利用案内や検索実習)が
主たるリテラシー教育のメニュー
開始三年目。文献収集法や論文フォーマットの概要など
定期講習会
開始一年目。蔵書検索と論文検索
26
リーフレット
講習会の案内
27
連携する図書館
奈良県立図書情報館との相互利用協定締結
大阪教育大学附属図書館との連携企画
市民向け公開講座を相互に企画し共同開催
NWEC図書コーナー
県立の連絡便で双方の図書を取り寄せ可能に
女性教育会館のパッケージ貸出を利用
四教育大学附属図書館実務担当者メーリングリストと
オフ会
大教大がMLを運用。情報交換と顔の見える関係の構築を
企図
28
連携企画
29
NWEC図書コーナー
「オフ会」での発表風景
チームとして働く
日報をつける
ミーティングをする
週1回で試行しているが・・・
図書担当全員でのカウンター当番を開始
WordPressを使用。申し送りやマニュアル化前の事項を
記述。定着は・・・
カウンター知の共有と誰もが対応できる体制へ
マニュアル化を図る
組織の記憶は文書化しないとやがて消えるもの
30
新しい図書館をつくる
学内経費での一部改修案から、概算要求での改修へ
増改築構想「知の広場としての図書館へ」作成
耐震改修工事として補正予算がつく
仮移転計画、改修後のレイアウト計画等を策定中
施設課、会計課他、関係セクションとの連携
31
奈良教育大学図書館の仕事から考える
課題を見つける
実現のチャンスは突然やってくる
積年の問題、利用者の声、他所ではできていること
できることなのか、必要性はあるのかの客観的判断
人事異動による障壁の消滅、パートナーの出現
予算要求等の機会
成果をあせらない
同僚や上司と一緒にやる
協働は力になる。改善はチームで形にする
改善結果を組織として継承できるようにする
32
図書館員の人材のあり方を考える
異動をどう捉えるか
異動による経験値、人脈、マネジメントスキル等の獲得
異動しないことでの仕事の深化
異動による個人および組織のナレッジの分断
異動しないことでの個人と組織の停滞
図書館員のあり方とは?
今、図書館で必要な能力は何か
「スペシャリスト」か「ゼネラリスト」か
I型、T型、π型
スペシャリスト、ゼネラリスト、バーサタイリスト
33
ありがとうございました
34