低糖質ダイエットと健康づくりのGood Health! Slim Forever <Part I> Good Health!の概要 こんな膨大なホームページを全部見るのは大変、という声もちらほら。そこで、Good Health!のポイントを、たった3ページにまとめてみました。低糖質ダイエットの予習、 復習に活用してください。 <超低糖質な朝食でダイエット開始> 低糖質ダイエットとは? 「主食+オカズ」を食べる食生活を、「オカズ+オカズ」の食生活に変えることです。 必要な栄養素は食べて、食べ過ぎているエネルギーを避ける。そのために役に立つ考え方 のひとつ、それが「低糖質ダイエット」です。糖質を減らすことで、摂取エネルギーを減 らすことができます。また、オカズの種類を増やすことで、栄養バランスもとりやすくな ります。 糖質(糖やデンプン)を抜くとどうして痩せるの? 食事から糖質を大幅にカットして、身体の中に入ってくる糖が不足してきたと身体が感じ た時、身体に蓄積していた体脂肪がエネルギーとして動員されはじめます。(体脂肪の分 解が盛んになってきます。) 低糖質ダイエットの食事の基本は? ・スープ(または、無糖の飲み物) ・サラダ(レタスとマヨネーズを中心に) ・オカズ(肉(魚)、野菜、卵) 主食や穀類は食べません。一方で、タンパク質や脂質は、毎食必要。低糖質ダイエットに は「油断大敵」。油を断ってはいけません。また、水分は毎日2リットル以上(夏は2倍 ほど)飲むのがポイントです。 さて、あなたは、このような食事で本当に痩せられると思いますか? 興味のある方は、1∼2週間試してみてください。1日3食、腹八分目。次の食事までに 空腹感が来るように食べてください。 「糖質を減らすのがよい」とありますが、その理由は? 糖質、脂質、タンパク質。摂取エネルギーを減らそうと思った時、どれを減らした食事が 一番美味しいですか?それは、糖質を減らした食事です。 どのくらい糖質を減らせばよいのですか? 糖質を処理する能力は年齢とともに衰えてきますので、年齢とともに糖質をとる量を減ら していくべきだと考えています。 最初は食事から思いっきり糖質を減らしてみましょう。そして、少しずつ増やしていき、 体重が安定する量が、今のあなたにとって適切な糖質量です。 脂質をカットしても同様のことは期待できないのでしょうか? 脂質をカットして減量を成功させる方法はあります。ただ、「長続きする」ということを 考えれば、美味しい食事を選択した方がよいと思います。 豚肉のチーズ焼のレシピ <材料> 豚もも肉や肩ロース(7mm厚さ):約120g 6枚 タマネギ:1/2、ニンジン:1/3、ピーマン:3個 トマト:1個、トマト水煮缶詰:1個 ピザ用チーズ:100g。 <調理方法> ①豚肉は塩コショウして両面をフライパンで焼く。 ②野菜はトマトで煮る。 ③焼いた豚肉にトマトソースとチーズをかけ、オーブンでチーズが溶けるまで加熱。 (200℃、8分) 自家製のトマトソースは色々と活用できます。小分けして凍らせておくと便利です。ま た、豚肉と野菜を塩コショウでに炒め、最後にピザ用チーズをからめるだけなら簡単で す。 写真の献立:豚ロースのチーズ焼き、ホタテのフライ、卵焼き、合鴨とセロリとトマトの サラダ。 肉ではなく魚はどうですか? 魚の良質な脂質はダイエットをしなくても週に3∼4回は食べたいものです。 カジキ、サーモン、ブリなどはもちろん、ウナギ、イワシ、サバなど、使える素材はたく さんあります。 和風メニューにはどのようなものがありますか? 一番のオススメは焼魚+大根おろし。魚の脂質はダイエットの味方です。もちろん、お刺 身もダイエットの味方。夜はお刺身で、残ったら手作りマリネドレッシングにつけておい て、翌朝のサラダに使えます。 また、豆腐は誰もが認める健康的な食べ物です。でも、それだけでは脂質が不足してしま いまので、レタスの上に豆腐をのせて和風サラダに。マヨネーズと醤油で食べるとよいで しょう。 食べてよいもの、いけないものは? 主食:ご飯、パン、もち、うどん、そば、ラーメン、そうめん、パスタなど。カレーライ ス、丼ものは絶対禁止です! 穀物や野菜:サツマイモ、ジャガイモ、コーン、カボチャなど、穀類や糖質が高い野菜 (植物がエネルギーを蓄える部分)は避けましょう。安心なのは葉っぱ類(植物がエネル ギーを作る部分)です。 果物:バナナは絶対ダメ。イチゴや柑橘類など、食べる場合は1食に半分。食前にどう ぞ。間食にも使えます。 果汁:減量中は厳禁です。ただし、トマトジュースや野菜ジュースはミネラルの補給に活 用できます。 清涼飲料水:基本的にNG。お茶やノンカロリー飲料はOKですが、水がベストです。 お酒:NGです。どうしてもという方は蒸留酒を少しだけ。 スナック類:小麦粉、ジャガイモ等の穀類を使ったスナック菓子はNGです。 市販のドレッシング:ケチャップを含めNGです。マヨネーズ、ポッカレモン、手作りの 無糖ドレッシングを活用しましょう。 写真の献立:鰻の蒲焼き、焼きなす、冷や奴、らっきょう。 Slim Forever <Part I> ◇摂取エネルギーを減らす 太るのはエネルギーを摂り過ぎるから。では、痩せるためにはどのようにしたら良いので しょうか?基本的には摂取エネルギーを減らすことです。それでは、何を控えることによ って摂取エネルギーを減らすべきなのか?この点については、アメリカのダイエットの指 導者の間でも意見が分かれています。 (1)とにかく摂取エネルギーを減らす。(低カロリーダイエット) (2)脂質を減らす。(低脂質ダイエット) (3)糖質を減らす。(低糖質ダイエット) (「糖質=炭水化物−食物繊維」で計 算してください。) ◇太らないダイエット法から痩せるダイエット法へ それでは、摂取エネルギーを減らすことにより体脂肪を落とすことができるのでしょう か?答えはイエス。しかし、カロリー計算だけでは、成功も失敗も天に任せることになり ます。そして、大切なことを忘れて、摂取エネルギーを減らし続けると、代謝が低下し、 ホルモンバランスを崩すことも少なくありません。 このようなことを最低限にとどめるためには、体脂肪を選択的にエネルギーとして使用し ていくための工夫が必要になってきます。体脂肪の分解が盛んではない方の場合、体脂肪 を落とすためには、摂取エネルギーを極端に落とすのではなく、体脂肪が分解しやすいよ うな栄養バランスの食生活をする必要があります。身体が糖を節約し、脂質をエネルギー として積極的に使うような合図となる栄養バランス。それは、脂質に対する糖の比率を一 定量以下にすることです。 ◇わかりやすくて美味しい ダイエットといえばカロリー計算という面倒なものがつきもの。でも、食べた食品のエネ ルギーを計算できたとしても、どれだけ吸収され、どれだけ消費できたか、正確に計算で きる人がいるのでしょうか?また、減食しても痩せない人がいるという事実を、どのよう に説明したら良いのでしょうか? もちろん、低糖質ダイエットと相性がよくない方がいることは否定しませんが、主食を大 幅に減らして、オカズをたくさん食べていれば良いのです。食生活の中で、バラエティに 富んだ美味しい部分だけを選び、単調な繰り返しの部分を減らす。少し考えただけでも、 栄養バランスがとりやすいのがわかると思います。 低脂質ダイエットも考え方としては簡単ですが、オカズから脂質を減らすことによって、 オカズの美味しさが多かれ少なかれ失われてしまうのは確かです。 ◇長続きするから痩せられる 毎日3食ごはんを食べないと生きていけないという方も日本人には少なくないと思います が、私はオカズから食べてご飯を残すタイプ。お行儀が悪いと叱られそうですが、私みた いな者にとっては、普通の食事より、低糖質なダイエットメニューの方が美味しい食事な のです。 また、ごはんをやめられないと思っている方でも、試しに2週間ほど、一切の主食を断っ てみると良いと思います。そうすると、多くの方が、主食は好きで食べていたのではな く、習慣で食べていたことがわかるはずです。このことに気がつきさえすれば、あとはオ カズばかり食べつづければ良いのです。 主食中心の食生活から、オカズ中心の食生活へ。低糖質ダイエットは美味しい食事だから 長続きします。人工的な食べ物ではありませんので、一生続けても無理がありません。だ から、リバウンドの心配も少なく、いつまでもスリムでいられます。 ◇死の四重奏 恐ろしい名前ですが、これはKaplan,N.M. という人が1989年に提唱した主要な生活習慣 病(糖尿病、高トリグリセリド血症、高血圧、肥満)発生のメカニズムです。いずれの病 気も、原因を共有化していることが多く、この部分に対策を打つことが重要であると考え られるようになりました。 これらの生活習慣病の方に共通しているのがインスリンの作用不足。普通の人と同じだけ の糖をとっても、インスリンの力が弱いために、普通の人以上にインスリンが動員されて しまいます。インスリンが高くなると、例えばアドレナリンなどが抑えられてしまい、中 性脂肪の上昇や肥満につながってしまいます。 ◇血糖値を低レベルで安定させる 糖尿病、高トリグリセリド血症、高血圧、肥満の予防には、血糖値を低レベルで安定させ ることが大切です。血糖値を低レベルに保つことにより、インスリンを低レベルに保ち、 糖質が脂肪として蓄積する力を弱めるとともに、脂肪が分解しやすい環境を作りこむこと ができます。 この対策の代表例が 低糖質で高繊維な食事 です。ダイエット方法にも色々ありますが、 なぜ私が低糖質ダイエットを選んだのか?それは、ただ単に減量を目的としているのでは なく、生活習慣病の予防もできるというメリットがあるからです。低糖質ダイエットは一 石四鳥なのです。 ◇人類にとって自然な食事とは? アメリカには、いろいろな「ローカーボ・ダイエット」があります。内容は、それぞれ異 なりますが、いずれの方法も、目指すところは人間にとって自然な栄養バランスです。現 在、食卓に氾濫している高度に精製された食品や加工食品をできるだけ排除していくこと が大切ですが、これは、不自然な食品を避けなさいという「逃げ」の考え方ではなく、で きるだけ積極的に、本来、人間の身体が必要としている栄養バランスの食べ物を選びまし ょうというものです。 私自身は、栄養バランスとしては石器時代∼数百年前、献立としては、できるだけ現代的 な食事。そのような食事が理想的なのではないかと思います。 猿の顔を思い浮かべてください。目が正面についていますよね。なぜだかわかりますか? 木の上で生活し、木と木の距離を正確に測るために変化してきたものだという説がありま す。だから、猿にとって自然な食事は、地上だけでなく、木の上にある植物だったと思い ます。 ◇猿が木から降りる ところが、猿が木から降りてきて人間になると、食生活が大きく変わりました。石器時代 には、動物を捕獲するための道具が石で作られていることからわかるように、まだ、農耕 を知らない古代人が最も良く食べていたものは、新鮮な肉や魚介類、木の実、果物、豆や 穀類など、様々な動植物でした。 そして、人類が農耕を始めてからは穀類の比率が高くなってきましたが、最近までは、そ れほど精製度の高いものを食べていたわけではありません。特に戦後は、精製された炭水 化物や加工食品の氾濫により、短期間で私たちの食生活は大きく変わりました。また、必 要以上のエネルギーを摂取できるようになり、子供までが生活習慣病(成人病)になるよ うになってしまいました。 ◇進化のペースに合わせるよう これは、食生活の変化が早すぎて、人間の身体の中のメカニズムの変化が、その変化に追 いついていけなかった結果であると言えるでしょう。しかし、今さら古代人の食事をする わけにはいきません。それでは、どのような食事をしたらよいのでしょうか? このような急激な食生活の変化の中、できるだけ健康を維持して行くためには、人類の身 体の進化に応じた内容の食事をしていくことが、ひとつの方法として考えられます。私 は、栄養バランスとしては時代をさかのぼり、献立としては現代の食事から選択するのが 合理的だと思います。 栄養バランスがとれて、穀類、精製された炭水化物、加工食品、主食が少ない食事。つま り、様々な動植物から作ったオカズを中心とした食生活に切り換えていけば良いのです。 そして、そのような食事を栄養バランス的に表現すると「低糖質な食事」となります。 体脂肪を集中的に落としたいなら、糖質(ご飯、穀物、砂糖)を削減して、必要以上のエ ネルギーを摂取しないようにしましょう。 ◇根拠 ①食事、間食などから摂るエネルギーの60%以上が糖質。 ②糖質は脂肪合成を促進、脂肪分解を抑制する。 ◇糖質を減らす効果<1>=入るエネルギーの減少 例えば、1日あたり3000kcal摂取している人が、糖質を摂る量を半分 (1800kcal→900kcal)に減らせば、摂取するエネルギーは1日あたり2100kcalとなり ます。この計算からも、糖質(ご飯、穀物、砂糖)を半分にするとどれだけ効果的かわか りますね。ただし、エネルギー計算だけでダイエットをしても、代謝の低下(痩せにくく なる等)が待っているだけです。 参考:ご飯(200g)=約300kcalです。 ◇糖質を減らす効果<2>=脂肪が分解しやすくなる 糖質を一度にたくさん食べると、血糖値が急激に高くなるとともに、血液中のインスリン も高くなり、糖から脂肪がつくられやすくなります。このようなインスリンのレベルが高 いときには脂肪分解は抑えられます。一方で、食事からの糖質が不足してきたことを身体 が感知すると、体脂肪が分解されやすい状態となり、エネルギーとして使われるようにな ります。また、体脂肪が大量に分解された時には、体脂肪が分解することによって作られ たケトン体という水溶性の物質が、尿から排泄されることもあります。 ◇食物繊維の役割 血糖を正常なレベルで安定させるには、低糖質で繊維の多い食事が大切です。糖質の総量 を抑えるとともに、食物繊維のはたらきで栄養の吸収の速度を遅くして、血糖値の変動を 小さくします。 食物繊維は植物の細胞壁に多く含まれているので、繊維をとる=野菜を食べる、と覚えま しょう。 ◇炭水化物と食物繊維の理想的なバランス 炭水化物(糖質と食物繊維)ですが、エネルギーとして総摂取エネルギーの6割、食物繊 維として20∼25gを摂ることができるような摂り方が理想に近いと言われています。で すから、2000kcalのエネルギーを消費する方の場合、炭水化物は1200kcal=約300g となります。そして、食物繊維は20∼25g。平均すると炭水化物の約8%は食物繊維を 含む植物を摂る必要があるわけです。この比率に近づけようとする場合、野菜類を積極的 にとり、主食や穀類を控え目にしていく必要があります。 参考までに、代表的な食品の可食部100g当たりの炭水化物と食物繊維の比率を五訂食品 成分表を用いて計算したものを、いくつかリストアップしてみました。この表から、食物 繊維不足の大きな要因として、精白米、小麦粉、砂糖があげられるということがおわかり いただけると思います。 炭水化物 食物繊維 食物繊維の比率 玄米 36.1g 3.0g 8.3% 精白米 34.4g 0.5g 1.5% 小麦粉 75.9g 2.5g 3.3% 全粒粉 68.2g 11.2g 16.4% ライ麦粉 75.8g 12.9g 17.0% 上白糖 99.2g 0g 0% さつまいも 31.5g 2.3g 7.3% じゃがいも 17.6g 1.3g 7.5% アーモンド(フライ、味付け) 22.3g 11.9g バターピーナッツ 18.2g 6.9g 37.9% 大豆(えだまめ、ゆで) 8.9g 4.6g 51.7% キャベツ 5.2g 1.8g 34.6% たまねぎ 8.8g 1.6g 18.2% トマト4.7g 1.0g 21.2% ニンジン(皮むき、生) 9.0g 2.5g 27.8% ブロッコリー(ゆで) 4.3g 3.7g 86.0% ほうれんそう(ゆで) 4.0g 3.6g 90.0% レタス 2.8g 1.1g 39.3% バレンシアオレンジ 9.8g 0.8g 8.2% イチゴ 8.5g 1.4g 16.5% エネルギーの消費を増やすということを、 (1) 基礎代謝量を増やす、 (2) 動いてエネルギーを消費する、 53.4% (3) エネルギーを効率的に排泄する 以上の3つに分けて考えてみましょう。効果的にエネルギーを消費するためには、この3 つを組み合わせるとよいのですが、(3)について意識しているダイエット法は少ないと 思います。 ◇基礎代謝量を増やす 基礎代謝を増やすということは、エネルギーを消費する場所を作るということ=元気な筋 肉を増やすということです。そのためには、どのような食事をしたら良いのでしょうか? 糖質は身体を動かすためのエネルギーです。ですから、身体を動かす前に必要なだけの糖 質を摂ることは良いことです。一方で、身体を動かさないのに糖質を摂ってしまうと、あ まった糖質が体脂肪になってしまいます。まず、このような状況にならないようにしまし ょう。 その上で、寝る前に低糖質で高たんぱく質な食事をします。お肌や筋肉の補修が行われる のは寝ている時です。寝る前の食事に気をつけると、ダイエット、美容、筋力アップのた めに役立ちます。 ◇動いてエネルギーを消費する もう、これは私が説明するまでもないと思います。ウォーキング、水中でのウォーキン グ。とにかく20分以上身体を動かし続けることが良いみたいです。通勤、通学もダイエッ トと思って頑張りましょう。 しかし、ダイエット中は予想以上に身体に負担がかかっていますし、激しいスポーツは活 性酸素を身体に供給することになります。比較的負荷の少ないスポーツがオススメです。 ◇エネルギーを効率的に排泄する 身体の中にエネルギーとして使用できる糖質が極めて少ない状態のときに脂質を摂取する と、脂質の分解が盛んになることが知られています。脂質の分解が始まると体脂肪の分解 産物であり、糖の代わりにエネルギー源として使用されるケトン体の濃度が一気に高くな ってきます。その時に十分な水分をとれば、一部のケトン体はエネルギーとして使用され ずに尿中に排泄されてしまいます。 このメカニズムを積極的に活用しているのがアトキンス・ダイエットです。努力を、より 確実に実らせるためにも、食生活を低糖質に変えていく価値はあると思います。 ◇脂質が持っている様々な役割 ダイエットをする時に脂質を減らす方も少なくないと思います。でも、エネルギー計算だ けで脂質を減らす前に、脂質が身体にとって必要なものであることを思い出してもらいた いと思います。 脂質は生体中に存在する水に溶けない(溶けにくい)有機化合物です。脂質については、 一般の消費者では、太るものというような認識しかしていない方も多いようですが、炭水 化物、たんぱく質などと並んで生命にとっては不可欠な成分ですが、その構造や生物学的 な役割がとても多様であることが特徴のひとつです。 ・生体膜の成分として ・エネルギーを貯蔵する目的として ・動物の体温を保つ断熱材として ・皮膚を保護するものとして ・脂溶性ビタミンとして ・代謝活性をコントロールするホルモンとして ・血圧、体温、筋肉のはたらきをコントロールするものとして この他にも、体内で様々な重要な働きをしています。 従って、食事制限をする際でも、上手に補給していく必要があります。エネルギー計算な どだけで摂取する脂質量を単純に減らしてしまうと、その他の大切な機能まで低下させて しまうことになります。 ◇脂質の分類 構造上、以下のように分類することができます。脂質って、こんなに色々あるの、ビタミ ンEやコエンザイムq10も脂質なの?と意外な方も少なくないのではないでしょうか? ・脂肪酸・・・代表的な構造、いろいろなことに関与します。 ・トリアシルグリセロール・・・貯蔵される形です。 ・グリセロリン脂質・・・生体膜を形成します。 ・スフィンゴ脂質・・・少し複雑なので説明は省略します。 ・ステロイド・・・コレステロール、ステロイドホルモンなど。 生物にとって重要なその他の脂質 ・ろう・・・植物の葉、果実、動物の皮膚、毛皮、羽毛、外骨格で水をはじく 保護膜 ・エイコサノイド・・・プロスタグランジンなどの局所ホルモン ・イソプレノイド・・・ビタミンA、D、E、K、コエンザイムQ10 ・テルペン・・・リモネン(レモンの香りのもとになる環状の脂質) ◇脂肪酸の分類 以下に脂肪酸の分類を示します。用語は、一部を除き、「五訂食品成分表2001」(女子 栄養大学出版部)での表現に合わせました。 飽和脂肪酸(saturated fatty acids) 炭化水素鎖のすべての炭素が水素で飽和されているもので、代表的なものには、以下のよ うなものがあります。C16:0というのは構造の特徴を示すもので、炭素の数が16個、2重 結合の数が0個という意味です。飽和脂肪酸には2重結合がありません。 主な飽和脂肪酸 ・パルミチン酸 C16:0・・・動植物油 ・ステアリン酸 C18:0・・・動植物油 不飽和脂肪酸(unsaturated fatty acids) 炭化水素鎖の一部に二重結合があるものを不飽和脂肪酸といいます。また、二重結合の数 と場所により、その生物的な役割が大きく変わってきます。 ・一不飽和脂肪酸(monounsaturated fatty acids)・・・二重結合がひとつ ・多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids)・・・二重結合がふたつ以上 メチル末端から数えていくつめに最初の二重結合があるかにより、n-3系、n-6系、 などに分類されます。 必須脂肪酸 上記のふたつは構造による分類ですが、n-3系、n-6系のように、体内で合成されない (にくい)ものを、必須脂肪酸と呼びます。 n-3系: α-リノレン酸 C18:3・・・シソ油が有名です。 EPA(エイコサペンタエン酸) C20:5・・・魚油に多く含まれます。 DHA(ドコサヘキサエン酸) C22:6・・・魚油に多く含まれます。 n-6系: リノール酸 C18:2・・・植物油に多く含まれます。 アラキドン酸 C20:4 ◇主な食品の脂肪酸組成 脂肪酸は、以上のように分類されますが、ひとつの食品には、以下の表のように、これら のうちのいくつかが含まれています。いずれも、食品可食部100g中に含まれる量で、 「五訂食品成分表2001」(女子栄養大学出版部)をもとに作成しました。 食品 パルミチン酸 飽和 オレイン酸 n=9 リノール酸 n=6 α-リノレン酸 n=3 EPA n=3 DHA n=3 オリーブ油 9.3g 70.5g − 0.8g − なたね油 − 55.2g 20.5g 10.2g − ひまわり油 − 17.9g 65.8g 0.7g − 大豆油 9.7g − 49.9g 7.5g − とうもろこし油 10.5g 32.5g 47.3g 1.4g ごま油 8.4g 36.6g 42.0g 0.6g − 牛脂 24.3g 40.9g − − − − 豚脂 25.3g 40.5g − 0.7g − − ほんまぐろ脂身 − − − − 養殖はまち − − − − 1.5g うなぎ蒲焼 − − − − 0.9g まだい養殖 − − − − 1.1g まいわし − − − − 1.4g さば − − − − 1.2g 1.8g ぶり − − − − 0.9g 1.8g さんま − − − − 0.8g さけ − − − − 0.5g 0.8g − − − − − − − 1.3g 2.9g 1.7g 1.5g 1.8g 1.1g 1.4g 注:表中の"−"は、含まれていないという意味ではなく、もとの本にデータがなかったこ とを示します。 また、本表の成分と、実際に入手可能な食品とは、異なる場合が少なくありません。目安 として参考にしてください。 ◇食事の組み立て方 このような脂肪酸ですが、動物性の脂肪酸はコレステロールを増加させるので悪者で、リ ノール酸は健康に良いものと認識している消費者も少なくありませんが、脂肪酸の摂取方 法で大切なことはバランスです。コレステロールは、食品から摂取される量は、体内で合 成される量の一部に過ぎません。また、ホルモンなどの材料となる貴重な栄養素です。一 方、身体に良いと思っている方の多いリノール酸も、摂りすぎることにより、一部の病気 と関連しているともいわれています。 それでは、どのように食事を組み立てていったら良いのでしょうか? 栄養所要量(第6次改定)では、飽和:一不飽和(n=9):多価不飽和(n=6 + n=3)= 3:4:3が望ましいとしています。また、n=6とn=3の比は、4:1程度が適性であろうと しています。これらをまとめると、以下のような感じになるかな、と思います。 パルミチン酸 飽和 オレイン酸 n=9 リノール酸 n=6 α-リノレン酸 n=3 EPA n=3 DHA n=3 摂取量の目安 15g 15g 12g 3g でも、こんな数字を見せられても食事は組み立てられない!というのが本音だと思います ので、以下にポイントを紹介します。 低糖質ダイエットをしている方: 体脂肪の分解が盛んになってきたら、摂取する脂質の量を全体的に少し減らすとともに、 肉の比率を少し減らし、魚の比率を少し上げてみると良いと思います。 一般的な食事をしている方: 魚を積極的に食事に取り入れると良いと思います。また、衣の厚い揚げ物は減らした方が よいでしょう。 ◇エネルギーの貯蔵 動植物において、脂質は不溶性のトリアシルグリセロール(TG)の形で大量に蓄えら れ、細胞がエネルギーを必要とする時すみやかに動員され、分解してエネルギーを供給し ます。 動物細胞ではエネルギーは主として脂質分子として貯蔵されます。動物が大量に蓄えうる のは脂質だけで、エネルギー摂取量が消費量を上回ると超過分は必ず脂肪として蓄えられ ます。(エネルギーの消費量の中には排泄によるものも含まれます。) 糖質はグリコーゲンとして貯蔵されますが、その量は極めて少なく、肝臓でも全重量の5 −6%。骨格筋ではわずか0.4−0.6%です。 タンパク質は生物学的な意味が糖質や脂質と異なり、生体のタンパク合成に必要な20種 類のアミノ酸を供給し、またプリン、ピリミジン等窒素化合物の合成に必要な骨格として 用いられます。成長の止まった成人では窒素の排泄量は摂取量に等しく、余分に食べたタ ンパク質は貯蔵されません。 ダイエットを成功させるためには、脂質の摂取量を減らすのではなく、体内での脂質の動 きを盛んにした上で、蓄積される脂肪よりも、消費される脂肪が多い状態にもっていくこ とが大切です。このことによって、体脂肪を落としていくことができるからです。ここで は、体脂肪の蓄積と分解のメカニズムについて説明します。 ◇脂質の消化と吸収 食べ物に含まれる動植物のトリアシルグリセロール(TG)は、小腸で遊離脂肪酸とモノ アシルグリセロール(MG)に分解されます。遊離脂肪酸とMGと残存TGは小腸上皮細胞 に吸収され酵素作用を受けます。そして、新たに合成されたTG、リン脂質、摂取したコ レステロール、タンパクが組み合わさりキロミクロンとして小腸のリンパ管に分泌されま す。 キロミクロンは小腸リンパ管からリンパ管系に入り血管に乳液状で分泌され、エネルギー が足りている時には脂肪組織に運ばれて脂肪として貯蔵されます。しかし、食餌不足で貯 蔵に回せない時は、骨格筋、心筋、肝臓で消費されます。キロミクロンを利用するには、 まず、加水分解しなければなりません。この分解に関与するのがリポプロテインリパーゼ という酵素です。 リポプロテインリパーゼは、エネルギーが足りている時には脂肪組織でキロミクロンから 脂肪酸を遊離して取りこみます。反対に飢餓時には脂肪組織では利用されず、エネルギー の必要な骨格筋、肝臓、心筋組織で利用されます。 ◇脂肪組織への蓄積 脂肪組織に入った脂肪酸はトリアシルグリセロールに変わります。脂肪細胞では99%がト リアシルグリセロールです。脂肪細胞はエネルギー貯蔵庫としての役割を持ちます。人で は、皮下組織(肥満した女性で目立つ)、筋肉、腸間膜組織(肥満した男性で目立つ)に 脂肪が沈着します。 脂肪は沈着したままでなく、絶えず溶出と沈着を繰り返します。一般に、脂肪量は食欲と いう調節機構でかなり長期間一定に保たれます。 脂肪細胞からの脂肪酸のその後の移動、あるいは遊離は、代謝の必要性に依存し、血中の ホルモンにより調節されます。食事をした時はインスリン濃度が高くなるので、トリアシ ルグリセロールの加水分解は阻害されています。しかし、インスリンによる脂肪酸遊離の 阻害過程はよくわかっていません。 ◇体脂肪の分解 糖質の貯蔵が枯渇し、インスリン濃度が低下すると、アドレナリン濃度が上昇し、トリア シルグリセロール(貯蔵された体脂肪)の加水分解が促進されます。アドレナリンが脂肪 細胞のβレセプターに結合すると、プロテインキナーゼAが活性化され、このプロテイン キナーゼAが脂肪細胞の中で、ホルモン感受性リパーゼを活性化します。このホルモン感 受性リパーゼは、トリアシルグリセロールを遊離脂肪酸とモノアシルグリセロールに変換 します。また、モノアシルグリセロールリパーゼがモノアシルグリセロールをグリセロー ルと遊離脂肪酸に変換します。 このようにして、糖質の貯蔵が枯渇し、インスリン濃度が低下し、アドレナリン濃度が上 昇すると、脂肪細胞のトリアシルグリセロール(貯蔵された体脂肪)は、1分子のグリセ ロールと3分子の遊離脂肪酸に分解されます。 グリセロールと遊離脂肪酸は脂肪細胞の細胞膜を通して拡散し、血流に入ります。蓄積さ れた体脂肪が分解されるときにできたグリセロールは肝臓で代謝され、そこで大部分が糖 新生を通してグルコースに変換されます。 脂肪酸は水溶液にはほとんど溶けませんが、血液中の血清アルブミンと結合して、脂肪 酸-アルブミン結合体となって血中を移動し、心臓、骨格筋、肝臓のような多くの組織に 運ばれ、そこのミトコンドリアで酸化され、エネルギーを放出します。 同時に、グルカゴンの濃度が上昇し、マロニルCoA合成(体脂肪の蓄積を増やす方向の反 応)を触媒する酵素が不活性化されます。その結果、脂肪酸のミトコンドリア(エネルギ ーを作る場所)への輸送が高まり、β酸化経路の流れが上昇します。脂肪酸酸化でつくら れるアセチルCoAやNADHの濃度が高まると、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の活 性が阻害され、グルコースとピルビン酸の酸化が減少します。 このように、脂肪酸酸化と貯蔵は反対向きに調節されているだけでなく、食事の直後のよ うに脂肪酸が豊富なときには貯蔵が上手くいくように、グルコースを節約しなければなら ない時には、脂肪酸酸化が進行するように、脂肪酸代謝は調節されています。 ◇ケトン体の生成 脂肪酸酸化でつくられるアセチルCoAの大部分はクエン酸回路に入りますが、グルコース 異化作用が低下した時、オキサロ酢酸分子はほとんどできず、アセチルCoA量がクエン酸 回路の必要を上回ってしまいます。過剰のアセチルCoAは、ケトン体の合成に回されま す。 ケトン体(主にβ-ヒドロキシ酪酸とアセト酢酸)は哺乳類では肝臓で合成され、水溶性 脂肪として、血流を介して心臓や腎臓のような組織に速やかに運ばれます。糖質の貯蔵が 枯渇し、グルコース異化作用も低下した状態ではケトン体が大量に生産され、脳細胞の主 要な燃料としてグルコースの代替になるほどです。ケトン体はまた、骨格筋や腸管でも代 謝されます。 以上ですが、大体わかりましたか?わかりやすくいえば、貯蔵された脂肪を落とすために は、グルコースが足りない状況を作りこむことがポイントだということです。身体がグル コースを節約しないといけなくなった時、貯蔵されていた脂肪がエネルギーとして動員さ れるのです。 さて、ここまで読んで、あなたはどのようなダイエットを選ぶのでしょうか? ◇アトキンス・ダイエットとの出会い 糖と脂質のバランスを考慮した低糖質ダイエット法を探し、その中から最も実用的な方法 を選択する。方針さえ決まれば、あとは機械的に作業を進めるだけです。そして、候補と して上がってきたのがアトキンス・ダイエットでした。 この方法、実は小学館の「ビタミン・バイブル」にも出ている方法です。ただ、「ビタミ ン・バイブル」の説明では、ダイエットの理論としてどれだけ優れているものか、全くわ かりませんでした。むしろ、ナンセンスなダイエット法というような印象すら受けていま した。 その先入観を変えたのは、アトキンス博士の著書"Dr. Atkins' New Diet Revolution"で す。日本でもダイエットに関する本は、たくさん出版されています。しかし、体内のメカ ニズムに基づき、多くの研究報告をベースに書かれた本は、それほど多くはありません。 "Dr. Atkins' New Diet Revolution"を読んで感じたこと。それは、本は原文を読まないと 正確には理解できない。ということです。そして、著者の考え方を正確に理解するために は、その他の著書も読んだ方が良いと思いました。 「ビタミン・バイブル」では、人を不安にさせるような説明もあったので、"Dr. Atkins' New Diet Revolution"に書かれている内容を、知り合いのドクターと一緒にチェックす ることにしました。特に、メカニズムと安全性に関して注意して調べましたが、特に気に なるような点はありませんでした。 ◇ロバート・アトキンス博士 私がアトキンス・ダイエットを選んだ理由。それは効果的なダイエット法だからという理 由だけではありません。アトキンス博士はダイエットだけではなく、患者中心主義の補完 代替医療の先駆者でもあるからです。 アトキンス博士はアメリカで開業しているお医者さんです。循環器病のお医者さんです。 彼は患者さん本意の治療を目指し、副作用がない栄養補助食品を用いた治療を行っていま す。 また、彼はダイエットの指導者としても有名です。彼のダイエットの特徴は、脂肪分解を 誘導するとともに、血糖やインスリンを低レベルで安定させることを狙っていて、成人病 の予防にも役立つ方法として知られています。彼のダイエット法は、脂質とタンパク質が 高めで糖質が低い食事を摂るとともに、必要に応じてDietary Supplementで栄養補給す るものです。 日本では糖尿病の食事といえば食品交換表を使用した質素な食事のイメージで、血糖を標 準的なレベルで安定させるとともに太らないような献立となっていますが、アトキンス博 士の方法は血糖値を標準的なレベルで安定させるとともに体脂肪を積極的に分解させる献 立となっています。メニューが洋食であるため日本人には合わない部分があることは確か です。 ◇献立がポイント そこで、すぐに実践してみようと思いましたが、大きな問題がひとつありました。それ は、"New Diet Revolution"で紹介されている献立が洋食であることです。ご飯が好きで ない私ですが、やはり、日本人です。すべてのオカズをアメリカ人と同じようにするわけ にはいきません。 アトキンス・ダイエットのルールはわかったものの、実際、何を食べて良いかがわからな い。そこで、私は大きな決心をしました。すべて"Dr. Atkins' New Diet Revolution"に従 おうと。そして、少しずつ試行錯誤を繰り返し、献立を増やしていくことにし、目標体重 と達成予定時期を明確に決めた上でスタートしました。 アトキンス・ダイエットを開始してから10年以上。体重は標準体重付近で安定しています が、今でも、アトキンス・ダイエットに適した献立を探し続けています。私がアトキン ス・ダイエットを実践しながら、使えると思った献立は、「低糖質食品写真館」で紹介し ています。 ◇アトキンス・ダイエットの特徴 普通のダイエットが摂取する総エネルギーを制限するのに対し、アトキンス・ダイエット では糖質由来のエネルギー摂取を制限するのがポイント。このことで、脂質の分解を盛ん にして体脂肪を落とすとともに、血糖レベルを標準的なレベルで安定させることを図りま す。また、ダイエットの誘導、減量、維持の各段階のメニューが質的に同じですので、減 量から維持に移る際のリバウンドの可能性も大きくありません。 ◇低脂質ダイエットとの比較 151人のアトキンス・ダイエッターと、156人の低脂質ダイエッターに関する調査がアメ リカで行われました。その結果を紹介します。 アトキンス博士の "New Diet Revolution"によれば、成功率は約100%ですが、調査会社 の調査結果では54%でした。それでも、半分以上の人がダイエットに成功しています。し かし、アトキンス・ダイエットの食事は洋食ですので、日本人が成功するためには、所々 工夫を加える必要があります。 アトキンス式 低脂質ダイエット ダイエットに成功した人の比率 54% 22% ダイエットプランに満足した人の比率 49% 31% 食欲をうまくコントロールできる人の比率 44% 21% 空腹感がない人の比率 52% 21% 十分に眠れる人の比率 60% 46% 体力的に問題を感じない人の比率 50% 31% ◇アトキンス・ダイエットの原理 アトキンス・ダイエットの原理は、わかりやすく説明すると次のようになります。 あくまでもイメージですが、体内では アルコール→糖質→脂質→タンパク質 の順で消費 されていき、寝る時に血中にある程度以上の糖質が残っていると太ります。一方で、血糖 値が下がったときに脂質を摂ると脂肪分解が激増します。 痩せられない方の多くは脂肪が分解しにくい体質になっています。アトキンス・ダイエッ トでは、まず最初に超低糖質、しかも脂肪を減らさない食事を14日間とることによっ て、体脂肪の分解を活発にさせます。分解された脂肪はエネルギーとして使用されたり、 尿中に排泄されたり、再び体脂肪となったりしますが、大量に水分をとることにより、尿 中に排泄する量を増やします。その結果、体脂肪を効率的に落とすことができるわけで す。 一旦、体脂肪の分解が盛んになったら、あとは体脂肪の分解を阻害しないように、体重の 減少が止まらないように、糖質を少しずつ増やしていきます。そして、体重が目標の体重 になり、血糖値も健康的なレベルで安定していることが確認できれば、一般的に理想的と 言われている栄養バランスに近づけていくことができます。 アトキンス・ダイエットで活用する代表的な栄養補助食品成分は、 ①クエン酸回路の効率を上げるためにビタミンB6とビオチン、 ②電子伝達系のためにコエンザイムQ10、 ③空腹感を予防するための3価のクロムです。 また、水や食物繊維が大切であることは言うまでもありません。 ◇日本人にご飯は必要? 日本人は、ご飯がなかったら生きていけない。などと言う方は、若い方の食生活をチェッ クしてみてください。もちろん、ご飯を食べている人もいますが、そうでない人もいま す。でも、少なくとも、昔ながらの健康的な庶民の和食とは、ほど遠い食生活をしていま す。日本人の伝統的な食生活、フランス人の伝統的な食生活が健康的であったのは、多く の本で紹介されています。しかし、それは過去のこと。日本でも、フランスでも、次第に ジャンクフードや加工食品が増えてきて、アメリカ人のような食生活に変化してきていま す。 時代を逆行するようなことは好きではありませんが、でも、家で食べる和食はダイエット と健康づくりの味方ですので活用していただきたいと思います。主食抜きの和食な ど、、、という方も少なくないと思いますが、私が減量中に活用した和食の献立を紹介し ますので、参考にしていただきたいと思います。 ◇和食には低糖質メニューがいっぱい 私がご飯を食べずに和食(家庭料理)を食べる時は、 ・焼魚、大根おろし、冷奴、味噌汁 大根おろしや冷奴は、量が多いとご飯のように食べることができます。 ・お刺身、大根とシソのサラダ(お刺身の下敷きになっているものです) 普段でしたら捨ててしまうシソやダイコンも、減量中は役立ちます。 最後の仕上げにマヨネーズと醤油でどうぞ。 ・千切りキャベツに納豆をかけたもの これは減量前から、帰宅が遅い時に活用していました。 ・おでん(牛すじ肉、ゆで卵、厚揚げ、コンニャクなど) おでんも具を選ぶと意外と低糖質。でも魚肉練り製品は栄養成分表示をしっかりチェ ックしてください。 ・すき焼き 砂糖は気になりますが、最近は加熱調理にも強い甘味料も売られていますので、活用 してみるのもいいでしょう。 このように色々なパターンがありますが、ご飯のかわりには、豆腐や大根おろしをかなり 活用しました。このような食事をしていて思い出したんですが、何年も前に、会社の先輩 で、夜の付き合いの多い方が、「飲む仕事をしていてご飯を食べていては身体が持たない から、家で食事をする時は豆腐を食べている」と言っておりました。サラリーマンの中に は、同じような工夫をしている方も少なくないのではないでしょうか? ◇西郷どんより一歩前進 このように、和食でも、低糖質ダイエットを実践することが可能です。ただ主食を断つだ けでは、日本にも昔からある米断ちダイエットと全くかわりません。これは、西郷隆盛も 実践していたものです。(司馬遼太郎著「翔ぶが如く」第一巻参照)。 単なる主食断ちと異なるのは、糖質の量、脂質の摂り方、脂質の質、糖質の質を少し工夫 しているところです。この少しの工夫で、現代の日本人に食卓にピッタリの美味しい低糖 質ダイエットができあがります。日本は魚が美味しい国です。イワシ、サバ、サンマ、サ ケ、ブリ、ハマチ、ウナギなど、高脂質な魚を活用しましょう。そして、野菜類は葉っぱ です。これだけでも、いろいろな献立が考えられると思いませんか? *Slim Forever <Part I>はここまでです* *低糖質ダイエットの概要、実践方法は、Slim Forever <Part II>で説明しています* ◇食べ物の選び方を復習しましょう (1)動物性の食品 肉、魚、鶏肉、貝、卵を組合せた料理。(1日に500gを目安にお召し上がりください。 できるだけ、素材の姿が見える料理を選びましょう。また、肉:魚=1:1に近づけるの がポイントです。なお、チーズは体重が停滞する原因になることが少なくありませんの で、100g/日以内にしてください。) (2)植物性の食品 葉っぱ類を中心にして、コーンやポテト、マカロニなどを使わない野菜サラダ(18cmの 平皿に一杯/食が目安です。マヨネーズか糖分を含まないドレッシングを使用しましょ う)を中心にします。加熱調理した場合は、加熱する前の量が18cmの平皿に一杯になる 程度の量を目安にしてください。 (3)飲み物 飲み物は水、アイスティ、ハーブティ、清涼飲料水(いずれも無糖、ノンカロリーの甘味 料は可)。ジュース、クリームは糖質の量をチェックする。 (4)油脂類 オイル類は常識の範囲内で無制限です。肉や魚の脂身は気にしないようにしましょう。ま た、オイルはオリーブ油やキャノーラ油がオススメです。
© Copyright 2024 Paperzz