プレゼン資料

第16回電子航法研究所研究発表会
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軌道ベース運用における
二次元飛行経路に関する一考察
海上・港湾・航空技術研究所
電子航法研究所 航空交通管理領域
平林博子、ブラウン・マーク、ビクラマシンハ・ナヴィンダ
平成28年6月9日(木)、10日(金)
第16回電子航法研究所研究発表会
第16回電子航法研究所研究発表会
内容
• 軌道ベース運用(TBO: Trajectory Based
Operations)概念
• 効率的な二次元飛行経路とは
• 飛行計画における経路情報
• 複数の経路パタンによる指標値の比較
• ファストタイムシミュレーション実験
• 風最適経路の指標値
• TBOにおける飛行経路
• 今後の課題
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軌道ベース運用(TBO)概念
• 飛行前に関係者間で合意された“軌道”に基づく航空交通サー
ビスの提供
• “軌道”は、出発から到着までの経路、経路上の通過時刻、高
度で構成
TBO概念図
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効率的な飛行とは?
• 運航者が求める効率的な飛行とは?
垂直プロファイル
・最適速度
・高度・速度制限なし
・浅い離陸フラップ
・早いクリーンアップ
水平プロファイル
・最適高度
・最適速度
・最適速度
・スピードブレーキなし
・アイドルスラスト
・可能な限りクリーンを維持
・浅い着陸フラップ
効率的な二次元飛行経路を考察
・最小燃料、最少飛行時間経路
参考) 柴田啓二氏(全日本空輸)、燃料節減の諸要素概観‐運航を中心として、
第8回CNS/ATMシンポジウム 平成20年2月
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飛行計画における経路情報
• 飛行計画の第15項
JYOGA 経路
• 巡航速度 巡航高度
2 DEP
RYUGU
ARRIVAL
羽田から宮崎へのフライトの例
N0460F280 JYOGA Y56 KEC Y24 SUC Y402 SIROK
RYUGU OYODO
• TBOにおける関係者間での情報共有
• SWIM: System Wide Information Management
• FIXM: Flight Information Exchange Model
• XML形式
参照) 航空路誌 有効日 2016 May 26
• Ver. 4.0 4DT(Directional Trajectory)パッケージ1.0
2016年 夏にリリース
4DTに対応(位置、通過時刻、通過高度)
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ファストタイムシミュレーション実験
飛行計画経路と実際の飛行経路の違いを分析
• 経路が異なる理由
• パイロットリクエスト、管制措置
• 悪天回避(Deviation)
• 交通流管理による空中待機(Holding)
• レーダー誘導(Extend, Shortcut)
• ファストタイムシミュレーター(AirTOp)で軌道作成
• BADA(Base of Aircraft Data)バージョン3(飛行性能データテーブル)
• 全球数値予報モデルGPV(Grid Point Value)(GSM: Global Spectral Model)
• 1日分の飛行を模擬(2013年1月、9月の1日分)
• シミュレーション実行数(評価対象)
• 3,668飛行(1月のある一日)、3,900飛行(9月のある一日)
• フライトシナリオの飛行経路
• 飛行計画経路“FPL(Flight PLan)”及び実航跡経路“RD(RaDar)”
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ファストタイムシミュレーション実験
• フライトシナリオにおける飛行経路
飛行計画上のウェイポイント
FPL
飛行計画上のウェイポイント
航空機位置情報(実位置)
10,000feet以上
RD
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大圏経路、風最適経路の作成
• 最適な二次元的飛行経路
• 最短距離経路‐大圏経路
• 風最適経路
GC(Great Circle)
WO(Wind Optimal)
• 飛行時間と燃料の効率性
• コストインデックス(CI:Cost Index)‐時間コストと燃料コストの比
CI = 時間コスト(お金/飛行時間)/燃料コスト(お金/重量)
CI=0 消費燃料最少、CI=無限大(999) 飛行時間最小
• 本解析では
• CI=0で風最適経路を計算
• BADAバージョン3(航空機性能特性データ)
• 全球数値予報モデルGPV(GSM)
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大圏経路、風最適経路の作成
GC
WO
表 大圏経路、風最適経路作成対象フライト
ID
型式
出発空港
到着空港
月
Flight01
Flight02
Flight03
Flight04
Flight05
Flight06
Flight07
B763
B772
A320
B763
B744
B744
B744
大阪
羽田
福岡
関西
羽田
千歳
成田
バンコク
上海
成田
台北
台北
アンカレッジ
アンカレッジ
9月
9月
9月
1月
1月
1月
9月
FPL、RD、GC、WOの4つの経路パタンでパフォーマンス値(飛行距離、飛行時間、消費燃料)を計算
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結果 一日分の飛行
• 飛行距離差及び飛行時間差
• FPL指標値に対する差
(RD指標値-FPL指標値)
• マイナス値
RDの方がFPLよりも短い飛行距離、
飛行時間で飛行
飛行距離差
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表 一飛行あたりのRDとFPLの飛行距離及び
飛行時間差の統計値
最大値
中央値
最小値
平均値
標準偏差
飛行距離差(NM)
214
-4
-150
飛行時間差(分)
33.8
-0.5
-20.7
-7
-0.9
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2.6
飛行時間差
図 一飛行あたりのRDとFPLの飛行距離差及び飛行時間差の分布
先のウェイポイントへ直行させるレーダー誘導(ショートカット)の実施
管制間隔設定、交差箇所の減少等のためにショートカットが有効である場合がある。
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結果 大圏経路、風最適経路
• GC 飛行距離は短いが、飛行時間・消費燃料が少なくなるわけではない。
• 飛行距離、飛行時間が同等であってもWOの消費燃料差が大きく有利な
ケース。これは巡航高度による差が大きくでていると推察される。
• 長距離飛行になるほど、WOの経路効果が高い。
FPLとの飛行距離差
RD
GC
WO
FPLとの飛行時間差
RD
GC
WO
FPLとの消費燃料差
RD
GC
WO
図 FPL飛行経路とRD、GC及びWO飛行経路との各パフォーマンス値の比較
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結果 大圏経路、風最適経路
1月X日
9月Y日
GC
WO
RD
FPL
台北(台湾)からアンカレッジ(米国 アラスカ州)のフライト B744
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結果 大圏経路、風最適経路
200hPa(約39,000feet)の風
1月X日
9月Y日
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結果 大圏経路、風最適経路
1月X日
9月Y日
• 飛行情報区の境界線ルール
• 軍用空域の回避
• 適用する監視・通信性能
以上のような空域の制約条件を反映した最適経路の作成が今後の課題
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TBOにおける飛行経路
• TBOにおける計画段階での飛行経路
• 運航者の希望する経路を可能な限り反映する
• RNAV(Area Navigation)の発展に伴い、日本の上空は効率的な
経路が形成されつつあるが、短縮可能な飛行経路がまだ残され
ている
• レーダー航跡を参考にした経路設定
• フリーフライト
• 高高度空域でのフリールーティング運用
• 長距離フライトにおけるUPR(User Preferred Route)の有効性
今後の課題
• 空域の制約条件を考慮した経路の検討(二次元)
• 高度方向の検討(三次元)、通過時刻の検討(四次元)
• 軌道管理
• DCB(Demand Capacity Balancing) 容量管理
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以下予備スライド
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woALTとALT
• woALT
風最適経路で算出された高度
• WOの巡航高度に指定
• ALT
福岡FIRでの最大高度
• FPL、RD、GCの巡航高度に指定
図 woALTとALTの差
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