衝撃吸収地面参考資料 インジュリー・リスク曲線 高加速度と衝突衝撃に起因する頭部障害との関係は、実際の事故による死体検証やボランティアの人々の協力から専門の 機関によって導き出されたものである。今日では自動車や航空機の事故衝撃からの保護基準としても用いられている。 当時、遊び場における転落事故に関して、衝撃が及ぼす後遺症傷害との関係はいまだ研究されていなかった為、自動車業 界の経験をもとに怪我のリスクについての研究がなされた。 子どもの遊び場の安全においては、1998年欧州基準(EN1177:1998 遊び場安全領域における衝撃吸収材料)や1999年 米国材料規格(ASTM F-1292:99 遊具下又は遊び場の安全領域における衝撃吸収材料)において統一した安全基準として 盛り込まれることとなる。 図X2.1は、頭部障害基準値(HIC)を用いた衝撃から起こりうる障害の確率を表わしたグラフである。これらのHIC値によ って示される曲線は、実際の事故による死体の検証をもとに、頭蓋骨と脳の損傷状態との相関関係をデータ化したもので ある。 この図の中にある2つの実線は、全く怪我のない状態と致命的な頭部損傷の可能性を示している。 その他の線は、次のような定義で頭部損傷の重症度別の結果を表わしている。 軽度の頭部損傷 -- 意識障害のない頭部の外傷、鼻や歯の骨折と顔の表面上の外傷 中程度の頭部損傷 -- 頭蓋骨の骨折がある、もしくは意識喪失を伴う顔の骨折や 深い切り傷など 致命的な頭部損傷 -- 脳挫傷、12時間以上の意識喪失や出血、神経障害を伴う 回復の見込みの判らないもの Probability of Injury (怪我の可能性) 100% 80% No Injury (怪我のない確率) Minor (軽度の頭部損傷) 60% Moderate (中程度の頭部損傷) Critical (致命的な頭部損傷) 40% Fatal (死亡の確率) 20% 0% 0 500 1000 1500 2000 HIC Score 2500 3000 (頭部障害基準値) Figure X2.1: Probability of Specific Head Injury Level for a Given HIC Score. 図X2.1: HIC(頭部障害基準)値に従う頭部損傷の可能性 頭部障害のリスクとHIC値 添付図X2.1は、頭部障害のHIC値別の関連リスクを示す。一般的にHIC1000の値においては怪我の起こらない可能性が ゼロとなり、また、怪我に伴う死亡の可能性はここをゼロとして起こり始める。 0から1000の値に比例して、怪我の 度合いとリスクが大きくなる。 図X2.1のグラフからの頭部損傷は、HIC500相当の衝撃を受けた場合、79%の確率で軽度の頭部損傷が起こりうる。 致命的な頭部損傷に至る可能性は極めて低い。HIC500における全く怪我が起こらない確率は、21%に過ぎない。 また、中程度の頭部損傷もHIC500では38%、HIC350において20%の確率で起こりうることも注目しなければならない。 同じくHIC1000においては、90%の確率で中程度の頭部損傷のリスクを見ることができる。 HIC750における致命的な頭部損傷のリスクは起こり始め、HIC1000では約5%のリスクがある。 このデータを活用することによって、予測しうるつらい事故の状況を減らすための行動や怪我が起きた場合の診察や 対処方法の確立に有効なものである。 資料: NHTSA(米国高速道路交通安全局)1995年6月「FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.201 標準乗員の頭部衝撃保護のため性能要件」より Presad.P氏とMertz.H.J氏(自動車環境における頭部障害基準(HIC)採用のISOワーキンググループ米国代理人 SAE #851246 自動車技術学会
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