佐賀市公共下水道全体計画策定業務委託 特 記 仕 様 書 第1項 業務目的 佐賀市の公共下水道事業は旧市町単位に計画、整備が行われており、旧佐賀市にお いて昭和 47 年に計画決定及び事業認可を受け、事業着手したのが最初であった。そ の後、平成 17 年 10 月 1 日の 1 市 4 町村による合併に加え、平成 19 年 10 月 1 日には 1 市 3 町による合併と、時期の異なる 2 回の大規模な市町村合併を行ってきた。その 結果、現在の計画区域面積は佐賀市全域で 4,326.4ha、平成 26 年度末普及人口は 173,867 人(世帯水洗化率 88.9%)となっている。また、旧富士町、旧東与賀町、旧久保田町 の旧 3 町で特定環境保全公共下水道事業を行っており、現在の計画区域面積は 449.9ha、 普及人口 15,075 人となっている。 しかしながら、本市下水道事業に係る汚水処理基本構想及び全体計画に関しては適 時、個別に見直しを行ってきており、計画フレーム策定時の現況年次の乖離等個別計 画との間で種々の課題が生じている。また、本市の下水道事業は平成 30 年度で面整 備の完了を予定しており、下水道整備はほぼ概成する見込みとなっている。 こうした中、本業務では下水道整備概成や全国的な少子高齢化等の社会情勢変化に 加え、有明海流域別下水道整備総合計画(高度処理計画)等の環境要件への対応、さ らには施設老朽化や地震対策等を勘案した施設改築更新等への対応が迫られており、 限られた財源において住民サービスを低下させることなく、持続的な下水道事業の推 進と、効率的かつ経済的な事業実施のために現状及び課題を再整理した上で、全体計 画見直しを行うものである。 第 2 項 調査及び作成方針 本業務遂行に際しては、今後の下水道事業(改築更新、地震対策等)の効率化に加 え、住民へのアカウンタビリティの向上を想定し、汎用型 GIS ソフト(ArcGIS10.2※1) における図面管理を行い、SHP(シェープファイル※2)形式及び、本市職員が利用し易 いようにマップオブジェクト形式を採用するものとする。 【GIS ソフトとデータ形式の選定理由】 ※1:主要な汎用型 GIS ソフトとしては、SIS、MapInfo、ArcView があるが導入コストが最も 安価で、総務省や国土交通省等の国が公開する GIS データ形式である SHP 形式を標準フ ォーマットとする「ArcGIS」を選定した。 ※2:SHP(シェープファイル形式)は、世界中で最も普及している GIS のデータ形式であり、 総務省、国土交通省等が GIS データを公開する際の標準フォーマットとしても用いられ ている。そのため、本業務で作成したデータと、国や本市が所有するデータとがシーム レスに情報共有が可能となるメリットがある。 第 3 項 対象範囲 本業務における対象範囲は、以下のとおりとする。 ◇全体計画(汚水) : 一式 4,776.3ha (公共下水道区域 4,326.4ha+特定環境保全公共下水道区域 449.9ha) 特記-1 【全 体 計 画】 第4項 基礎調査 計画策定にあたり必要となる既存資料を収集し、本市の地域特性等に関する基礎的 な情報を整理すること。なお、基礎調査に関しては、 「平成 18 年度 佐賀市生活汚水 全体計画業務委託」及び「平成 21 年度 佐賀市公共下水道全体計画策定業務委託」 の成果を基本とし、不足部分を補うべく現地踏査及び資料収集・整理を行うこととす る。以下に、基礎調査の内容を示す。 ①現地踏査 ・ 中継ポンプ場及び浄化センターの整備状況を把握するため、現 地踏査を行う。 ②都市計画関連 ・ 地形・気象・河川等の状況を調査、整理する。 ・ 主要な道路、港湾、埋め立て、区画整理、企業立地、公園緑地 等の都市計画関連最新情報を調査、整理する。 ・ 人口動態(行政人口・観光人口・就業人口・町丁目別人口)を 調査、整理する。 ・ 地区別用途別給水量の現況、経年変化、時間変動等を調査、整 理する。 ・ 工場排水量の現況、経年変化等を調査すると同時に、排水水質 を調査、整理する。 ・ 関連河川及び海域の水質の経年変化を調査、整理する。 ・ 下水道の整備・普及状況、過年度事業費、ポンプ場維持管理年 報、ポンプ場流入実績、処理場維持管理年報、処理場流入実績 (晴天日・雨天日)の流入水量等を調査、整理する。 ・ し尿処理処分状況を調査、整理する。 ③汚水計画関連 ④下水道及び し尿処理状況 第 5 項 下水道整備の基本方針の確認 下水道整備に関する整備手法、排除方式に加え、下水道整備対象区域(全体計画区 域)の確認を行い、基本方針を定めること。 第 6 項 基本事項の検討 (1)整備目標 整備目標に関しては、基準年次を平成 25 年度、全体計画目標年次を概ね 20 年後の 平成 47 年度とする。ただし、本計画策定において、基本的には上位計画と整合を図 る必要があるため、上位計画(流総計画)との整合性等について整理し、妥当性を検 証すること。 注)現在の全体計画では、現況年次及び計画目標年次が個々に異なる為、本業務において統一化を図 るものとする。 特記-2 (2)計画区域の確認 下水道計画区域は、地域情勢や普及状況等を十分踏まえたうえで設定を行う。本業 務においては、最新のゼンリン住宅地図データを活用し、宅地化の進行状況等を勘案 し追加区域・削除区域の有無を検証し、計画区域の再確認を行うこと。特に、佐賀処 理区佐賀地区に関しては、既全体計画区域について市街化区域、下水道認可区域(事 業計画区域)、整備済み区域、農振地域等を総合的に評価し、全体計画区域の見直し を行うこと。 注 1)本市においては、過年度の事業実施において計画区域外からの流入を認めており、区域外流入区 域として位置付けを行っている。本検討においては、これら区域外流入区域に関しても整理を行い今 後の下水道計画区域を再設定することを目的とする。 注 2)本業務においては、本市都市計画情報システム等の既存 GIS 情報を活用し、各種データをオー バーレイし視覚的に表現することで、効率的に評価を行うこと。 注 3)計画区域の見直しに伴い、GIS を活用し全体計画区域面積を再計測し、削除・追加面積等を考慮 したうえで、最終的な計画区域面積を決定すること。 (3)計画フレームの設定 計画行政人口、処理区域内人口、処理分区別計画人口及び昼間人口(就業人口)等 の人口フレームの予測・設定を行うこと。 イ)将来行政人口の推計は、「効率的な汚水処理施設整備のための都道府県構想策 定マニュアル(案)」に基づき、①コーホート要因法を用いた市町村独自の推 計、②公的団体による将来推計人口に加え、将来行政人口の設定は本市の抜本 的な政策に影響する恐れがあるため、本市における上位計画等を総合的に判断 し設定を行うこと。なお、本市においては旧市町単位で人口の偏在性がみられ るため、字別人口予測等を行い地域の偏在性を考慮すること。 ロ)計画人口の配分(処理区別下水道区域内外人口・処理分区別人口)は、GIS と ゼンリン住宅地図データ、町丁目別人口・世帯数より地区別の増減傾向を勘案 し設定すること。 (4)汚水量原単位 過年度の水道給水実績や処理場流入実績(晴天時・雨天時流入量)等を整理し、生 活汚水量原単位、営業汚水量原単位、地下水量原単位を、実態に即して設定すること。 また、工場排水量、その他排水量を設定すること。また、水量変動については、処理 場流入実績及び上水道の配水量実績等を評価したうえで設定すること。 (5)計画汚水量 計画処理人口及び汚水量原単位より計画汚水量を設定すると同時に、処理分区別の 計画汚水量(日平均・日最大・時間最大)の設定を行うこと。なお、設定した計画汚 水量について、ポンプ場流入実績や処理場流入実績等と比較し、計画値の妥当性につ 特記-3 いて検証すること。特に、管渠の能力評価を行うために必要なヘクタールあたり汚水 量については、見直した計画区域面積及び処理分区別計画汚水量に基づき処理分区別 に設定すること。 (6)汚濁負荷量原単位 上位計画である「有明海流域別下水道整備総合計画」を参考に、家庭系、営業系等 各種汚濁負荷量原単位の設定を行うこと。 (7)計画汚濁負荷量 計画汚濁負荷量は、計画人口、計画汚水量及び汚濁負荷量原単位に基づき、処理区 別の計画汚濁負荷量を設定すること。また、計画汚濁負荷量、計画流入水量より求ま る計算水質と、処理場流入実績の水質等を評価し、各浄化センターでの流入水質の設 定を行うものとする。 (8)設計基準の確認 前述の検討内容を踏まえ、管渠設計基準等の整理を行うこと。 第 7 項 根幹的施設の配置の検討 (1)放流水質の概略検討 放流水質について、科学的な方法によりその妥当性を評価し設定を行うものとする。 第 8 項 汚水管渠計画 汚水管渠計画については、本市下水道台帳システムより既設管渠情報を抽出し、管 渠の区画割施設平面図をGIS化するとともに、流量計算書及び縦断面図を作成する こと。また、今回計画の計画諸元に基づく管渠の能力評価を行うこと。 第 9 項 汚水ポンプ場計画 汚水ポンプ場計画については、今回計画の計画諸元に基づき容量計算の見直しを行 い、既存施設の能力評価を行うものとする。また、ポンプ能力の変更・増強等の有無 について確認を行うこと。 第 10 項 終末処理場計画 終末処理場計画については、今回計画の計画諸元に基づき容量計算の見直しを行い、 既存施設の能力評価を行うものとする。また、既存水処理系列数の変更・増強等の有 無について確認を行うとともに、水処理系列数の変更・増強等に伴い、処理場一般平 面図の作成を行うこと。 第 11 項 財政計画の策定 財政計画の策定については、過年度事業費及び残事業費を算出すると同時に、年度 特記-4 別事業計画及び事業費を整理すること。 第 12 項 提出図書の作成 第 4 項~第 11 項までの検討内容を整理し、報告書および図面等の提出図書の取り まとめを行うこと。 特記-5 【共 通 事 項】 第 13 項 設計協議 上記検討に係る設計協議を、初回、中間 3 回、最終の計 5 回行うものとする。また、 両者協議のうえ必要に応じて適時協議を行うものとする。 第 14 項 その他特記事項 本業務におけるその他特記事項は、以下のとおりとする。 (1)GIS データは、汎用性が高い SHP(シェープファイル形式)とし、作成ソフ トウェアも最も汎用性・互換性が高い ArcGIS10.2 とすること。 (2)作成したデータは、市職員が利用しやすいよう凡例、タイトル等を含むマッ プファイル形式で提出すること。 第 15 項 成果品 本業務の成果品は以下のとおりとする。 成 果 品 項 目 部数 備 考 全体計画 全体計画説明書(本編及び概要版) 3部 A4 製本版 下水道全体計画一般図 3部 A0 版 1/25,000 程度 主要な管渠の区画割施設平面図 3部 A0 版 1/2,500 程度 主要な管渠の縦断面図 3部 A3 製本版 主要な管渠の流量計算表 3部 A4 製本版 処理場及びポンプ場施設平面図 3部 A1 版 そ 打 電 の 他 合 子 関 せ 係 議 成 図 事 果 書 一式 録 3部 A4 製本版 品 2部 CD-R 特記-6 第 16 項 参考図書 1.下水道事業の手引(全国新技術推進機構) 2.下水道計画の手引(全国建設研修センター) 3.効率的な汚水処理施設整備のための都道府県構想策定マニュアル(案) (国土交通省都市・地域整備局下水道部) 4.流域別下水道整備総合計画調査指針と解説(日本下水道協会) 5.下水道施設計画・設計指針と解説(日本下水道協会) 6.小規模下水道計画・設計・維持管理指針と解説(日本下水道協会) 7.下水道事業におけるコスト縮減の取り組みについて(日本下水道協会) 8.下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)(日本下水道協会) 9.町村下水道着手マニュアル(日本下水道協会) 10.高度処理施設設計マニュアル(案)(日本下水道協会) 11.下水道収支分析モデルの作成について(日本下水道協会) 12.新都市計画の手続き(都市計画協会) 特記-7 【作 業 項 目】 (○印が各年度作業対象項目) 作 業 内 容 1)全体計画 作業項目 - 基礎調査 ○ 下水道整備の基本方針の確認 ○ 基本事項の検討 ○ 整備目標 ○ 計画区域の確認 ○ 計画フレームの設定 ○ 汚水量原単位 ○ 計画汚水量 ○ 汚濁負荷量原単位 ○ 計画汚濁負荷量 ○ 計画降雨強度 - 流出係数の算定 - 設計基準の確認 ○ 根幹的施設の配置の検討 ○ 汚水管渠計画 ○ 汚水ポンプ場計画 ○ 終末処理場計画 ○ 財政計画の策定 ○ 提出図書の作成 ○ 特記-8
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