障害者1級 見直しの動き 先天性疾患の人 不安_暮らし(CHUNICHI Web)

【暮らし】
障害者1級 見直しの動き 先天性疾患の人 不安
2013年4月4日
心臓ペースメーカーの装着者や、心臓の弁の
動きが悪く、人工の弁に置き換えている人は現
在、全員が身体障害者手帳の一級に認められ
ている。厚生労働省は、こうした人に対する障
害認定基準の見直しを検討している。生まれつ
きの心臓病の人や家族らは不安を訴えてい
る。 (佐橋大)
身体障害者手帳があると、医療費助成や所
得税の障害者控除、福祉サービスなどが受け
られる。重い等級ほど、優遇される。内容は、
障害等級、自治体により異なる。年金の障害等級は別物だ。
手帳の障害等級は、基本的にそれぞれの障害で「日常生活が極度に制限される」と一級になる。心臓などの内部
障害では「家庭内の日常生活が著しく制限」されると三級、「社会の日常生活が著しく制限」されると四級。視覚障
害では矯正視力の左右の和が〇・〇一以下、下肢の障害では「両下肢の全廃」で一級になる。聴覚障害には一級
がない。
脈が遅くなる人の脈を整え、失神などの症状を改善するペースメーカーなどの基準が別に定められたのは約三十
年前。当時は今ほど機器の状態が安定せず、生命の危機にもたびたびさらされるとして、一級とされた。
同省では、装着後の生活の制限の度合いは、機器の性能の向上で以前より改善されたと認識。最近は一級の
「極度な制限」に該当しない人が多くを占めると考えている。
昨年四月の参議院予算委員会では、民主党議員がペースメーカー装着者の一級認定について疑問を呈した。こ
れに、当時の小宮山洋子厚労相は「医療技術が進歩し、社会生活に大きな支障がない程度に日常生活が改善し
ている例が多くある。このような方たちの障害認定について見直しを進めたい」と答えている。同省は今後、ペース
メーカーを装着する人に対する認定基準を「装着後の状態で評価する」に改めるのが適当かを議論する有識者会
議を四月以降、開く予定だ。
こうした動きに、先天性心臓病児の親らでつくる「全国心臓病の子どもを守る会」は強く反発している。
静岡県支部の榎本歌子代表は、これまでの議論が高齢者の患者を想定したものであることを挙げ、「先天性の
患者の実情を正しく認識しないまま、今後も議論が進むのでは」と危ぶむ。
同会によると、先天性心疾患の人の多くは、心臓やその周辺の血管の形に異常がある。ペースメーカーや人工
弁で不整脈や弁の動きが改善しても、心臓の働きが十分良くならず、体も弱いままで、就労などに苦労する人も多
いという。榎本さんの元には、ペースメーカーを装着した若者から、電磁波が機器に与える影響を心配され、工場で
の就労を断られる実情が寄せられている。
ペースメーカーは、電池が寿命を迎える七~八年ごとに交換の手術が必要。高齢の患者と違い、幼いころから装
着する患者は手術の回数も多くなる。人工弁も、成長に合わせ再手術を迫られる。
生きづらさは分かってもらいにくく、成人後の障害基礎年金は必ずしも得られない。就労のハードルも高いという。
機器の交換など、必要な医療が受けられるよう、障害一級で自己負担がほとんどなくなる現在の基準を維持するこ
とを守る会は求めている。
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