学校における情報化促進のための 教育ネットワークソリューション有効活用に関する研究 -小学校英語活動に役立つコンテンツの作成と指導方法の研究- 研究の概要 小学校の英語活動を学級担任が実施する際に,授業をスムーズに進めることができたり,授業改善 に役立てるための指針になることを願って,年間指導計画及び指導案例を低学年,中学年,高学年の 3段階に分けて作成する。年間指導計画及び指導案例を本センターに設置されているコンテンツデー タベースである Peach Ware(ピーチウエア)で公開し,現場の教員に活用してもらい,実践の場か ら意見を聞くことで,さらによいものを作り上げ,指導力の向上を図る。 キーワード 小学校英語活動 Ⅰ 学級担任 音声中心 低・中・高学年 小中連携 主題設定の理由 学校教育の ICT 環境整備と,ICT 教育普及の基盤整備が求められる中で,当センターの情報配信源 としてのあるべき姿を探り,教育ネットワークソリューションを有効活用することが,学校における 情報化促進に繋がると考える。 平成18年3月27日,中教審外国語専門部会が小学校5年生から英語を必修にすると発表してか ら,是非論が続くなど小学校での英語教育導入に関心が高まっている。平成19年8月30日に行わ れた中教審小学校部会で,高学年での英語必修化が概ね了承され,週1コマ程度の英語の授業時間の 確保が,大筋について了承された形となった。おそらく,今まで実施してきた「総合的な学習の時間」 とは別枠で実施を検討することになると思われる。 平成19年9月10日の中教審専門部会では,小学校英語活動を「教科」とは別扱いにし,数値評 価は行わず,現在の道徳と同じように教科外にする方針を固めている。検定教科書は定めず,数値に よる成績評価もしないことになる。道徳の授業で使われている「心のノート」のような全国共通の教 材を国が作成する方向で検討を進めている。授業は主に学級担任が行い,外国人の指導助手らが補助 することを想定している。 そんな中,昨年度末の当センターで実施した,現場の先生方へのセンターの研究に対するアンケー トの結果や,今年度 Peach Ware(ピーチウエア)上で先生方にお願いをした「小学校英語に関する アンケート」の結果から以下のような小学校英語活動に関する様々な情報をいただいた。 「どの程度の学習内容を扱えばよいのか規準もなくよくわからないので,学校独自の計画で行って おり,これでよいのかと疑問に思う 。」「英語の表現には,いわゆる文法的な表現規則によるものば かりでなく,ネイティブでないと使い分けが難しいようなものも多く,ALTが少ない場合そのチェ ックが難しい 。」「授業にすぐに生かせるような,コンテンツを多く作ってほしい 。」「担当者が一人 しかいないため相談する機会があまり持てない 。」「 ALTの確保と日本語をある程度理解できる人 でないと打ち合わせに時間がかかるし,意志の疎通が図れない 。」「年間計画はあるものの,それを どのように子どもたちに指導していったらよいのかのハウツーがわからない 。」『 「 慣れ親しむ 』」の -1- 規準があいまいではっきりしていない。このままでは,ただゲームをやって終わりということになり かねない 。」「週1回の活動の中で,どのような力を,どのように積み重ねていくことができるか。」 「小学校の英語で培うべき英語の力とは 。」「具体的にどのような内容をどのような方法で行ってい くのか計画を立てるのがなかなか難しい 。」「発達段階を考慮し,楽しく学習できる指導法や教材を 研修したい。」 「系統立てて計画を立てていかなくてはならなく,教科書等がないので難しさがある。」 「指導体制・指導計画が確立しているとは言い難い現状がある 。」「英語の教育課程がないので,各 学校に任されていることから,学校間で差がついてしまう。」 「小学校英語のあるべき姿は何なのか。」 「年間計画の作成はどのようにしたらよいのか 。」「学年の系統性や先を見通す中での学習内容が分 からない 。」「資料が少ない 。」「英語教育が教育課程に組み込まれた際の実践的事例を紹介してほし い。」「英語活動におけるコミュニケーション能力の評価規準の作成をどうしたらよいのか。」等現場 の実態を捉えることができる。 昨年「小学校における英語活動」という主題で研究発表し,小学校英語活動の現状を探る中で,文 科省の視点からの経過報告や現状報告をした。さらに平成16年から18年の3年間山梨県の「レッ ツチャレンジ英語活動」の指定校の実践報告及び現場の先生方の課題,年間指導計画を作る上でのポ イントに触れたので,今年度はさらに研究を深めようと考えた。以上の理由により小学校英語活動に 役立つコンテンツを作成することを副主題に定めた。 このような小学校英語活動に関する情報を Peach Ware(ピーチウエア)を介して発信することに より,小学校の先生方が活用し,授業改善を図ることができ,その状況をセンターで受信することに より,研究の内容を充実することができると考える。アンケートの結果からも,「小学校英語の年間 計画を Peach Ware( ピーチウエア)のコンテンツデーターベースに載せると利用しますか。」の問に, 73%の方が利用すると答え ,「小学校英語の年間計画をより良いもにするために意見や要望を総合 教育センターにお寄せいただけますか 。」の問に,58%の方が「はい」と答えていることから,学 校における情報化推進にも繋がると捉え,このテーマを設定した。 Ⅱ 研究のねらい 小学校英語活動が,中学校の英語教育の準備段階であることを踏まえ,小学校の低学年・中学年・ 高学年の3段階における年間指導計画を作成し,授業展開例を示す。 異文化を理解し,自国の伝統や文化に根ざした自己の確立を図り,英語でコミュニケーションを図 ろうとする子どもたちを育てることをねらいとして研究を進める。 教育ネットワークソリューションを有効活用し,作成した年間指導計画を現場の先生方に活用・実 践してもらう中で,授業改善の手助けや指導力の向上に寄与したい。また固定観念にとらわれず,ネ ットワーク上で意見交換をしながら,よりよい年間指導計画の作成に取り組む。 Ⅲ 研究の基本的な考え方 1 研究を進めていく上での留意点 (1)年間指導計画を作成する時,子どもたちが興味を持ちそうな,また生活していく中で常に目に するようなテーマを盛り込むようにする。 (2)小学校では学級担任が指導することになるので ,「生活英語」運用能力の育成のために,生活 の中で取り上げられるような活動に必要な英語をカリキュラム化してマニュアルを作成しておき,学 -2- 級担任による指導をスムーズにする必要がある。 (3)中教審小学校部会では,小学校英語活動は高学年から取り入れる方向を示しているが,昨年度 県内の小学校に聞いたところ,回答があった内の94%の学校で1年生から実施しているという情報 を得たので,全学年を対象とした年間計画を作成することにしている。 (4)1学年から英語活動を始めると,5,6年になれば文字に関心を持つようになるのは自然であ り,児童の知的好奇心を満足させ,興味や関心を引きつける内容にするためには,文字を読んだり書 いたりする指導も必要になると思われるが,今回は基本的には ,「聞く・話す」の音声中心の学習で 研究を進めていく方針である。文字に関しては,次の段階の課題としたい。 (5)児童の英語の文法的なスキル面については,触れることは避けたい。ただ,指導する教員は正 しく表現する必要があるし,児童には正しい表現を聞かせることが大切なので,そのことも計画を作 成する上で意識したい。例えば,相手の好みを聞くとき,potato や apple などが好きかどうか問うと きは,基本的には複数形で聞くのが自然なので Do you like apples?とか Do you like potatoes?を使う。 しかし子どもたちには,特にそのことに触れる必要はないし,子どもたちが間違うのは容認してよい と考える。 (6)年間指導計画は35時間を標準として作成してあり,中身の濃いものになっていて,一ヶ月に 実際は授業が4回あるが,使用する絵や,導入する単語を変えたりして,同じことを繰り返し4回す ることも可能だし,児童の実態によって,内容を分けることもできる。一度授業をしただけでは,と うてい定着はできないと考える。 (7)低・中・高学年と分けて年間指導計画を作成しているが,例えば1,2年生で全く同じことを するかと言えばそれは違って,低学年の 1 年生,中学年の 3 年生,高学年の 5 年生は,計画の通りに 実施し,2年生,4年生,6年生は,既に 1 年間終わっていることを意識しながら,復習もかねて, 前の年に学んだ全てのことを,その項目の中に交えて指導することが出来るので,指導の幅が広がる と言える。例えば,2年生の 4 月の自己紹介では, Hello, my name is Taro. Nice to meet you.の復習 をした後で,I'm Taro. You are Taro. This is Taro. Are you Taro? Name?( What's your name?は不自 然な英語なので)等を導入することが出来る。 (8)評価については,現段階では外国の文化や言語に対する関心・意欲・態度という観点を中心と した評価を行うべきであるが,英語活動が教育課程に位置づけられると,コミュニケーション能力を いかに評価するか等についても検討しなくてはならない。今回は,英語活動の内容及び留意事項に重 きを置いて作成し,次の段階として評価項目も授業展開例の中に入れていく必要があると考えている。 2 中学校英語との連携 小学校の6年間の英語活動の後,どのように中学校に繋げていくかということは,英語教育におい てかなり重要である。 (1)小学校では身の回りの単語,例えば動物や乗り物,食べ物などの名前等をかなり多く学習でき るので,それを状況に応じて復習していく必要があると考える。 (2)小学校の先生方は中学校の先生方に小学校で学習してきたことを整理して,他の引き継ぎ事項 と一緒にきちんと伝達する必要がある。 (3)中学校の先生方は,小学校からの伝達事項をきちんと把握し,復習すべきことは繰り返し復習 し,既に学習したことを,新しく導入するような指導はしないように気をつける。(子どもたちの意 欲を損なうようなことはしない。) -3- (4)中学校の教員は,小学校で子どもたちが学んできたリスニングやスピーキングの能力を,ライ ティングやリーディングに結びつけることにより,小学校で学んできたものとの関わりを図りながら 指導することが必要である。 (5)小学校の英語活動では文字の導入はさけ,音声中心の指導を展開すべきである。中学校に入っ たときに音声よりも抽象度の高い文字が導入されれば,生徒には新たな学びの喜びがうまれる。 Ⅳ 研究の内容と方法 1 研究の内容 (1)学級担任が授業を行うことを原則として,低・中・高学年の3段階における年間指導計画を作 成する。 (2)各段階における到達目標を次のように定める。 低学年・・・英語になれる。英語に触れる。日本語以外の言葉を知る。 中学年・・・英語を聞く。英語の質問にうなずく等の反応をしたり,答えたりする。 高学年・・・英語を使ってコミュニケーションを図ろうとする。 発達段階にあった指導の在り方として,スイスの児童心理学者ピアジェによると低学年及び中学年 は個々の子どもたちの活動を通して考察し ,「具体的操作期」として身体を動かしたり,五感を使っ たりして,意味を理解する基礎となる様々な体験を通して言葉を覚えていくように工夫することが望 ましいとしている。そして高学年は他者との関わりの中で考察し,「形式的操作期」として言語を使 って具体的な事物の背景にある事柄を扱うことができる。英語を使うことだけでなく英語それ自体に も注意が向きやすくなるとしている。 (3)作成した年間計画をネットワーク上で公開し,現場の先生方が授業を実施した結果からの課題 を入手し,よりよいものに作り替える。 2 研究の方法 (1)実際に小学校英語活動を積極的に実践している全国の小学校の資料をもとに,どんなトピック が子どもたちに興味関心を持たれるか,担任が授業をする場合に適しているか等の調査。 (2)各段階におけるトピックと言語材料の洗い出し。(補助資料) (3)小学校英語活動年間指導計画の作成。(補助資料) (4)各段階,各トピック毎に,いくつか指導事例案を作成。(補助資料) (5)具体的な指導案を作り,実際に研究協力校で授業を実施。 第6学年英語活動授業案 1 単元名 2 単元について 場所に関する表現 場所を表す表現については,年間計画では,中学年から取り上げた。中学年では頻度の高い表現(in, on, under, 等)を扱った。Where is ~ ?の質問に,場所を示す語を用いて答えられるような活動を仕 組み,その後で It is on (in)~.を使ってお互いに質問したり,答えたりして,場所を表す表現に慣れ させる。高学年では,さらに様々な表現を学び,コミュニケーションを図っていきたいと考えている。 しかし,まだ児童が系統的に学んでいないと考え,内容的には中学年の言語材料から高学年へと繋げ ていくように今回は指導していきたいと考えている。本来ならば場所についての表現を中学年8時間 -4- 高学年8時間を計画しているが,ねらいを「コミュニケーションを図る」において,6年生のみの4 時間で実施してみる。 3 単元の目標 ・簡単な英語を聞いたり話したりしながら活動を行い,場所を表す英語表現に慣れ親しむ。 ・言語材料(Where is a book? It's on my desk. Go straight. Turn left.等)を使って友だちと関わりを 持ち,英語でのコミュニケーション活動を体験する。 ・場所を表す英語表現などから日本語との違いに気付いたり,カタカナ語の正しい発音に気付く。 4 4時間の流れ ・1時間目:おもに場所に関する英語表現を聞き,徐々に慣れる。 ・2時間目:様々な形で,場所を表す英語の表現にさらに慣れる。 ・3時間目:ゲームを通して場所を表す英語の表現を聞き,発話に繋げる。 ・4時間目:場所を表す表現を使い,発話からコミュニケーション活動に繋げる。 5 活動 (1) 1時間目の活動内容と展開例 ・本時の目標: 場所を表す英語の表現を聞き,慣れ親しむ。 ・評 価 規 準: Where is ~ ?の質問に,場所を示す語を用いて答えることができる。 Where is ~?に in と on を使って答えることができる。 「~の上に」と「~の中に」の表現を理解することができる。 聞き取れた内容を,絵として表現することができる。 ・展開例 ( 最初のあいさつ最後のまとめ及びあいさつは別紙「授業展開例」参照) 過程 導入 学習内容と生徒の活動 教師の活動と支援 留意点等 教師の英語を聞き,場所の言い方 It is on the desk.( box, bag)It is in the 人形,箱,袋 を学ぶ。 desk(box, bag, pocket) in と on を学習。 ワークシートの中の英語を確認 What can you see in this picture? ワークシート配付。 ネズミ,くも,ミカン,リンゴ, (絵の中に何がありますか?) 最初に,未習の語 ウサギ,にんじん,卵,時計, を確認。 一度下の文を通して読む。 アリ,カタツムリ,魚,猫,犬, ① A mouse is on the TV.② A snake かえる,蛇,鳥,花,絵(18個) is in the aquarium.③ A spider is on 単語としてではな the wall.④ A cat is on the box.⑤ An く文として理解さ 未習の単語があったら,質問した ant is on the video game.⑥ An apple せる。 り,何度も繰り返して練習。 is in the mug.⑦ A bird is on the book. ⑧ A picture is on the wall.⑨ An 英語を聞いてワークシートの中の orange is on the computer.⑩ A dog is 絵 を 見 な が ら 聞 当てはまる絵を指す。 on the chair.⑪ A flower is in the vase. く。 ⑫ A carrot is in the cap.⑬ A watch is on the table ⑭ A snail is on the ball. ⑮ An egg is in the glass.⑯ A rabbit is in the drawer.⑰ A fish is in the bottle. ⑱ A frog is in the bucket(それぞれ2 -5- 回読む) 展開 It is on the TV. Where is a mouse? 簡単な文法ミスは It is in the ~ 下線部を変えて質問。 無視する。場所を 友だちの答えをみんなで繰り返 It's on the TV. 答えることができ す。 ていればよい。 CD を 聞 き な が ら 絵 を 指 し て み CD を流す。フレーズ毎に一時停止 2回流す。 る。 し,児童の答えを確認。 ワークシートに英語を聞きながら ある女の子の部屋のワークシートを ワークシート 絵を描く。 配る。 教師の英文を聞きながら,聞こえ A cat is on the bed. た場所に絵を描く。 the table. A watch is on 絵は上手でなくて An apple is in the bag. An orange is in the cap. the desk. the table). (2) も良い。 A book is on 後で集める。 An egg is in the mug ( on 場所が確認できて A dog is on the chair. いるか見る。 2時間目の活動内容と展開例 ・本時の目標: 場所を表す英語の表現を聞き,どのような場面で使うのか気付く。 ・評 価 規 準: 場所を表す表現を聞いてその指示に従うことができるようになる。 Where is ~ ?に状況を把握して,in,on,beside,behind,under,in front of を使 って答えることができる。 「~のそばに 」「~の後ろに 」「~の下に 」「~の前に」の表現を理解することが できる。 ・展開例 過程 学習内容と生徒の活動 教師の活動と支援 復習 前時に使った絵を見ながら復習。 いくつか質問する。 導入 It's on the box ( on the TV/ in the Where is the cat? Where is a mouse? budket / in the glass) . 留意点等 前回と同じ絵。 Where is a frog? Where is an egg? 新たに場所を表す前置詞を学習。 人形と箱を使い新しい前置詞の導入 beside, behind, 教員の英語を聞き,動作を見なが A cat is in the box. ら概念としての場所を認識。 A cat is on the under, in front of box. A cat is beside the box. A cat is の導入。 behind the box. A cat is in front of 人形,箱。 the box. A cat is under the box. An egg is in the glass. 前回の絵を見ながら聞く。 The glass is 前回と同じ絵 beside the watch. The watch is beside で beside の説明。 the video game. The video game is beside the glass. A spider is behind behind の説明。 the TV. The snail ( on the ball) is under the table. The frog ( in the under の説明。 bucket) is in front of the dog. 学級の状況に応じていくつか作り, -6- in front of の説明。 何回か練習。 展開 ハンドアウトを見ながら,英語の 手作りUNOゲーム用のハンドアウ 用紙配付。 確認と UNO ゲームのやり方を知 トを配り,説明をする。 る。 camel, dog, kangaroo, tiger 絵を見ながら繰り 動物の名前を確認。 toilet, car, box, lamp, chair, TV, skip, 返す。 使用単語の確認。 reverse, draw 4, draw 2, wild in the toilet, beside the car, on the box, 場所のいい方の確認。 behind the lamp, under the chair, in front of the TV 机間巡視しながらわからない児童の 班に一組ずつ ゲームをする。 (3) 支援をする。 UNO カード配付。 3時間目の活動内容と展開例 ・本時の目標: 場所を表す英語を使ったゲームを楽しみながら,カタカナ語(kangaroo, toilet, lamp,TV)の英語の発音に気づき,正しい発話につながるきっかけとする。 ・評 価 規 準: 場所を表す英語表現を用いた活動に積極的に参加し内容を理解しようとしている。 ゲームを楽しみながら場所を表す表現を自然に身につけることができる。 カードを引いたときに,そのカードの示す内容を理解し,表現することができる。 ・展開例 過程 復習 学習内容と生徒の活動 教師の活動と支援 留意点等 UNO カードに使われている場所 UNO カードに使われている場所を プ ロ ジ ェ ク タ ー を表す表現や語彙の復習。 表す表現や語彙の復習。 A camel.is. What's in the toilet? The camel is in the toilet. the toilet.(児童の答を繰り返す。) に絵を示す。 The camel is in 何度も練習して 下線部を(beside the car, on the box, 言 え る よ う に す behind the lamp, under the chair, in る。 front of the TV)に替え同様に質問。 It's beside the car. Where is the tiger ? The tiger is The tiger is beside the car. beside the car.下線部を(dog, camel, kangaroo)に替え同様に質問。 (4) ゲームをする。 やり方を再度確認する。 班に一組ずつ 場所を表す表現を学習する。 机間巡回しながら分からない児童の UNO カ ー ド 配 ゲームを楽しむ。 支援をする。 付。 4時間目の活動内容と展開例 ・本時の目標: 場所を表す英語の表現を使い,実践の場面でコミュニケーションできる力をつけ る。 道案内の簡単な仕方を学び,実践の場面で使ってみたいという気持ちを育てる。 ・評 価 規 準: 場所を表す英語表現を聞いて理解し,実際の活動において使用することができる。 簡単な道案内をすることができる。 -7- 質問されたことに対して,的確に反応することができる。 学習した英語を使って,コミュニケーションできる喜びを味わうことができる。 ・展開例 過程 復習 学習内容と生徒の活動 UNO カードを使って Where 復習をする。 教師の活動と支援 留意点等 ~?の Where's the dog? It's in the toilet. プロジェクター 下線部を他の語に替えて質問。 に映す。 PC,スクリーン 導入 道案内の仕方を学ぶ。 表現を確認。 道案内地図① turn right( left), go straight, at the first (second, next) corner, It's on your right(left).を導入 展開 建物の名前を覚える。 park, 教員のまねをして繰り返す。 hospital, school, restaurant, station, bank, post office, プロジェクター library, に映す。 house, supermarket PC,スクリーン 道案内地図② スクリーンを見ながら道案内の表現 ALT と JTE で対話する。 ALT が い な け を知る。 れば他の教師ま A: Excuse me. Where is the たは優秀な子ど supermarket? 質問の仕方,答え方を学ぶ。 B: Go straight and turn right at the second couner. 教員と一緒に道案内をしてみる。 It's on your left. A: Excuse me. Where is the もに(A パート を)手伝っても らってもよい。 post office? B: Go straight and turn left at the first couner. It's on your right. A は道を教えて A: Excuse me. Where is the park? もらったら B: Go straight and turn right at the Thank you.とい second corner and turn left at the う。 next corner. It's on your right 等,下線部を他の語に替えて練習 地図を見ながら英語を使って道案内 子供達に質問する。表現が出てくる 建物が書いてあ をしてみる。 ように支援する。 る地図配付。 白紙の地図に建物を記入する。 英語での対話ができているか机間巡 白紙地図配付。 教室内を動き回り,友だちの建物の 視。 絵でも言葉(日 場所を質問して記入する。 本語)でも可。 友だちとの対話をデモンストレーシ ボランティア ョンする。 基本語句(Go straight / Turn right / 目隠しをして子どもの指示を聞きな 手ぬぐい Turn left に Stop を加えて)の復習。 がら教室を一周する。次に子ども達 にもやらせてみる。 -8- 英語活動年間指導計画(内容) 学年 月 4月 5月 6月 7月 9月 低学年(1,2年) 中 学 年 (3 , 4 年 ) 高学年(5,6年) トピック トピック トピック 自己紹介 (自 分 の こ と を 人 に 伝 え 相 手のことを確認する。) 簡単な挨拶 (自 然 に 身 に つ け ら れ る よ う 日 常 的 に 使 う 。) 数に関する表現 ( 1 ~ 12ま で の 数 字 を 反 復 練習する。) 文具・家具に関する表現 (身近にある家具や自分 が持っている文具を英語 で言う。) 天気・曜日に関する表現 (天 気 , 寒 暖 , 曜 日 を 英 語 で言う。) 自己紹介 (お 互 い の こ と を 伝 え あ う 。 ) 挨拶やお礼の時に使う表現 (感 謝 の 言 葉 や 日 常 の 挨 拶 を学ぶ。) 数 (月 に 関 す る 表 現 ) (13~ 100ま で の 数 字 及 び 12 月 ま で の 月 の 表 現 を 学 ぶ 。) 教科・教室に関する表現 (教 室 内 に あ る 物 や 好 き な 教 科を英語で言う。) 天気・月日・季節に関する表 現 (天 気 や 曜 日 の 質 問 に 英 語 で 答 え る 。) 食物に関する表現 食物に関する表現 10月 ( 絵 を 見 な が ら 自 分 が 好 き ( 日 常 目 に 付 く 食 べ 物 を 英 な 食 べ 物 を 英 語 で 言 う 。) 語 で 言 い , お 互 い の 好 み を 伝えあう。) スポーツに関する表現 スポーツに関する表現 11月 ( 身 近 な ス ポ ー ツ を 英 語 で ( 好 き な ス ポ ー ツ を お 互 い に 言う。) 伝 え あ う 。) 動 物 ・ 乗 り 物 に 関 す る 表 動物・乗り物に関する表現 12月 現 ( 身 近 な 動 物 や 乗 り 物 ( さ ら に 多 く の 動 物 名 を 英 語 の英語を覚え,簡単な質 で覚え,お互いの好みを伝 問 に 答 え る 。) え あ う 。) 体の部位に関する表現 感情・動作の表現 1月 ( 自 分 の 体 の 部 位 の 名 前 ( 感 情 を 表 す 表 現 を 学 び , を 覚 え て , 英 語 の 指 示 に 自分の気持ちを表したり,動 従い行動する。) 作 を 表 す 単 語 を 学 ぶ 。) 色に関する表現 色に関する表現 2月 ( 色 紙 等 を 使 い 色 を 英 語 ( 好 き な 色 等 , お 互 い に 質 問 で 言 う 。) しながら,相手の好みなどを 知 る 。) 形に関する表現 場所に関する表現 3月 ( 物 の 形 を 表 す 英 語 を 学 ( 場 所 に 関 し て お 互 い に 質 ぶ 。) 問したり応えたりする。) -9- 自己紹介 (自 分 の こ と を 伝 え ,コ ミ ュ ニ ケーションを図る。) 挨拶の時に使う表現 (様々な表現を使って自分 の状態を相手に伝える。) 数(時間に関する表現) (時 間 を 表 す 表 現 を 使 っ て 日常会話を楽しむ。) 教科に関する表現 (好 き な 教 科 , 授 業 教 科 に ついてコミュニケーションを 図る。) 天気・月日・季節に関する 表現(天気の様々な表現を 知り,コミュニケーションを 図る。) 食物に関する表現 (必要な食品を買ったり, 客が求める食品を売ったり して買い物ごっこをする。) スポーツに関する表現 (スポーツに関って,コミュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 る 。) 動物・乗り物に関する表現 (動物や乗り物の好みに関 わってコミュニケーションを 図 る 。) 動作の表現 (命令文の指示に従った り,自分で命令文を使って 友 だ ち を 動 か し て み る 。) 文化に関する表現 (世界の文化を学び,異文 化理解を図る中で,情報交 換をする。) 場所に関する表現 (場所を表す様々な表現を 学び,コミュニケーションを 図 る 。) 英語活動年間指導計画(主な言語材料) 低 学 年 ( 1, 2年 ) <自己紹介> Hello. My name is ~ . I'm ~ . Nice to meet you. You are ~ . This is ~ . Are you ~ ? Yes, (I am). 中 学 年 ( 3, 4年 ) <自己紹介> My nickname is~ . Please call me~ . How old are you? I'm eight. 高 学 年 ( 5, 6年 ) <自己紹介> Where are you from ? I'm from ~ . What sport do you like? I like ~ . There are~ people in my family. My birthday is~ . <挨拶> <挨拶・お礼> <挨拶> Good morning. See you. Thank you. You're I'm sick. I'm sleepy. Good afternoon. Good-bye. welcome. How are you? I have a cold (headache, Hi. Hello. I'm fine thank you. stomache, fever). <数> <数・月> <数・時間> one~ twelve thirteen~ hundred January, What time is it? It's~ . February, March, April, What time do you~ ? How May, June, July, August, many~ do you have? September, October, I have~ . November, December <文具・家具> <教科・教室> <教科> pencil, book, notebook, math, Japanese, P.E.,music, What subject do you like? eraser, desk, chair, social study, science, I like~ . What subjects blackboard I have~ . English, classroom, door, do you have today? Look at~ . This is my~ . window Do you like~ ? I have~ . That is your~ . I like~ . <天気・曜日> <天気・月日・季節> <天気・月日・季節> rainy, cloudy, sunny, fine How is the weather today? windy, foggy, snowy How Sunday, Monday, Tuesday, It's~ . What day is it is the weather in~ ? What Wednesday, Thursday, today? It's~ . day is it tomorrow? What Friday, Saturday spring, summer, fall,winter day was it yesterday? What cold, hot, warm, cool Do you like~ ? season do you like best? What is the date? It's~ . I like~ . When is your birthday? It is~ . <食物> <食物> <食物> milk, rice, bread, jam, vegetable(corn, bean, sweet(chocolate, gum, juice, soup,curry, salad, potato, tomato, carrot) candy, icecream, cake, water, cheese, fruit(apple, Do you like~ ? Yes, I do. cookie, pie) Which do you peach, orange, banana, No, I don't. like~ ? I like~ . grapes) I like~ . What (food) do you like? What do you want~ ? I like~ . Let's go shopping. <スポーツ> <スポーツ> <スポーツ> soccer, baseball, Do you like~ ? Yes, I do. What sport do you like tennis, swimming, No, I don't. I like soccer. (play)? I like (play)~ . dodge ball, volleyball, How about you? I like it, Do you play~ ? ping-pong, ski too. <動物・乗り物> <動物・乗り物> <動物・乗り物> cat, dog, koala, monkey, bear, turtle, mouse, What animal do you like? I panda, hamster, rabbit, horse, sheep, ox, cow, like~ . Do you have a dinosaur, bird, fish, zoo / lion, tiger, pig, hippo / pet? Yes, I do. I have a car,bicycle, bus, plane, motorcycle ~. Which do you like ship, boat, taxi, train Do you like ~ ? better~ ? What's this(that)? It's a~ . <体の部位> <感情・動作> <動作> mouth, eye, nose, head,ear, happy, sad, angry, funny / sit down, stand up, chin, toe, knee, hand, leg, turn, clap, open, close, speak English, draw arm, shoulder, finger,hair, raise, right, left I'm ~ . pictures, sleep, put on, skin,teeth, lip, neck,back, Raise your right hand. put off, listen elbow Touch your~ . Simon says. What are you doing? <色> <色> <文化> red, pink, orange, blue, What color is this? It's Halloween, Christmas,Easter purple, green, black, white. What color do you pumpkin, witch, black cat, white, brown, yellow, like best? skelton, jack-o'-lantern, gold, silver I like white. bat, trick or treat What do you want? I want~ . <形> <場所> <場所> circle, star, square, in, on, under,above,beside, in front of, below, behind (rectangle), triangle, /up, down, back / park, go straight, turn right diamond station, bank, post office, (left) Where is the park? Let's make a circle. hospital, store, school, Go straight and turn left restaurant where is~ ? at the first corner. It's It's on the~ . What is on on your right. ~ ? A small box is. - 10 - 授業展開例① 過程 導 対象<低学年> 学習内容と生徒の活動 Hello, Ms ( Mr.)~. 入 展 トピック<天気・曜日に関する表現> 教師の活動と支援 Hello, class. 留意点 Hello, Yumi.等生徒一人一人に挨拶。 知っている歌を 今日は天気や曜日についての英語を勉強します。 歌う。(ABC の 英語の歌(warm up) (Today, we'll study about the weather and the week..) 歌等) 晴,雨,曇 今日の天気は?(How is the weather today?) 教師の後について繰り返 晴 sunny 雨 raining(rainy) 曇 cloudy 天気の絵カード 用意。 す。(下線部入れ替える。)It's sunny today. (今日は晴れています。) 開 英語を聞いて一人ずつ床 天気を英語で言い,その絵の所へ移動させる。 移動しながら全 に置いた絵の所へ移動。 It's sunny (cloudy / raining ) . 児童が答える。 Sunday 日 Monday 月 カレンダー 今日は何曜日?(What day is it today?) Tuesday 火 Wednesday 水 前に置いた暦を指しながら,(What day is this?) Thursday 木 m w th 音注意 Friday 金 It's Monday.(下線部を入れ替える。) Saturday 土 を学ぶ。 グループになり,曜日が 仕上がった絵を示しながら,英語で言う練習をす 画用紙 分かるような絵を描く。 る。 児童に繰り返させる。(2~3回) 絵の下に日本語 ま 本日の活動を振り返る。 今日は何曜日ですか? What day is it today? 定着を図る。 と 今日の天気は? め Good bye, Ms( Mr.)~ . 授業展開例② 過程 (寒暖は2年で How is the weather? 扱う。) Good bye, class. 対象<中学年> トピック<天気・曜日・季節に関する表現> 学習内容と生徒の活動 教師の活動と支援 留意点 導 It's sunny. It's hot. How is the weather today? 入 It's Monday. What day ( of the week) is it today? 曜日の歌を歌う。 Do you know the seven days? という歌を教える。 展 曜日の復習で歌 Is it hot? を歌う。 曜日の復習をしながら月 今日は何月何日ですか。What is the date? 序数は軽く。 の言い方を学ぶ。 教員は正しく。 野球の塁の表現に触れる。 全児童の発言を It's September 3rd. 開 It's Tuesday. It's May 7th. What day is it today? What's the date today? 目指す。 月日・曜日を聞き分けて 下線部の日や曜日を変えて質問し,練習させる。 カレンダー 答える。 時間割表 季節の言い方を学ぶ。 We'll study about four seasons.季節を日本語で確認。 季節の絵 教員または ALT の後に spring 春 summer 夏 fall 秋 winter 冬 ついて発音練習。 What season do you like best? Yes, I like spring. Do you like spring? (下線部を他の季節に入れ替え 大きな声で。 答は簡単に。 季節の歌があれば歌う。 練習) ()内省略可能。 (We go) skiing in winter. What sport do you do in winter? スポーツは低学 swimming in summer. What sport do you do in summer? ま 本日の活動を振り返る。 今日は何月何日ですか? と I like ~ . あなたの好きな季節を英語で言ってみましょう。 め Good bye, Ms.( Mr.)~. Good bye, class. - 11 - 年にて既習。 定着を図る。 授業展開例③ 過程 対象<高学年> トピック<天気・曜日・季節に関する表現> 学習内容と生徒の活動 教師の活動と支援 留意点 導 It's cloudy. 入 It's Wednesday. What day is it today? 下線部を他の場 It's September 20th. What is the date today? 所に変えて。 What is the season now? It's fall now. 全国の天気予報 It's cool. How is the weather in Kofu? Is it cool or cold? windy, foggy, snowy 導 その日の天気の状況により,使用。 展 開 低中学年の復習 大きな声で。 入。 What day is it today? today を tomorrow や yesterday It's で 答 え る よ It's Monday( Tuesday). に変えて質問。 I like summer ( best). There are four seasons in a year. What season do you 好きな理由を述べる。 うにする。 like (the) best?(4つの季節で一番好きなのは?) 知っている単語 好きな理由を日本語で言わせる。 は英語で。 会話をし,友だちのこと What season do you like best?を練習。 質問は日本語で を知る。 もよい。 My birthday is April 1st. When is your birthday?(誕生日を聞く。) 何回も練習。 自分の誕生日を答え,友 児童の実態により英語で質問させる。What season 季 節 の み 答 え だちにも答えてもらう。 were you born?(教師が質問。) る。 (I was born) in spring. ま 本日の活動を振り返る。 今日・明日・昨日の天気,月日,曜日の確認。 と め Good bye. (See you.) 4週の中で少し 好きな季節や誕生日を英語で表現できるか確認。 ずつ定着を図 You did a good job. See you next week. る。 Ⅳ 研究の結果と考察 1 研究協力校での授業を振り返って 場所に関する表現について導入したのだが,子どもたちの理解が思っていたよりはやいと感じた。in や on はすんなり入れた。Where is the cat?の質問に書き言葉としては It's on the box.であるが,is がな くて It on the box.と答えるものもいたが,話し言葉である On the box.と正しく答えるものもいた。大 切なのは場所を示す語を用いて答えることなので,ちょっとしたミスにはこだわらないことが,スム ーズな授業の展開には必要と感じた。 UNO ゲームをするのに必要な beside, in front of, behind, under 等の前置詞についても,私の予想よ り遙かにはやく身につけた。 UNO ゲームの仕方を以前から知っていたということも,英語を覚える のをはやくした理由であろう。また何回も繰り返し,いろんな場面を使って練習したことが功を奏し たのか,ゲームで意欲的に英語を使っていた。また答えられない友だちに教える場面もあった。 4時間目に道案内の仕方について導入した。Go straight. Turn left( right). はスムーズに子どもたち に浸透したが At the first( second / next) corner や On your ~がなかなか言えなかった。日本語でも道 案内をするということは現実問題としてほとんどあり得ないことだったので,定着できなかったのか も知れない。それに比べ,2,3時間目に行った場所を表す表現は,後に UNO ゲームで使用すると いう目的があったり,普段日本語で遊んでいるゲームであったということもあり,理解をはやめたと 考えられる。やはり身近な問題を扱うことの大切さを痛感した。 - 12 - 最後に目隠しをして,Go straight. Turn left(right). それに stop を教えて指示を出し,英語で人を動 かす活動をしたが,きちんと指示を出さないと机にぶつかったり危険であるという意識も加わり, 楽しみながら道案内をすることができた。 Ⅴ 研究のまとめと今後の課題 1 これからの小学校英語 (1)国際理解教育においては,広い心で異文化をありのままに受け入れたり,自分たちの誇れるも のを相手に伝えようとする自尊心や自己肯定感を育てることが大切と考える。他の学校教育活動と併 せて英語活動の中でも自己肯定感を培うことを期待したい。 (2)本物の英語の音声又は正しい音声が提示できることが望まれる。そのためには ALT はもちろ ん,地域の人材(英語活動支援ボランティア),それも不可能ならば,適切な視聴覚教材(テープ・CD ・ビデオ・ DVD)の活用などの工夫が必要である。適切な時期に英語の正しい音をしっかり身につ けていれば将来,実践的コミュニケーション能力を備えることが大いに期待できる。 (3)文字は指導から外してあるが,絵と共に提示することは,あって良いと考える。低学年の教室 に貼られた絵の下に文字を書くことは,アルファベットを導入する前に,自然に文字に触れる機会を 持たせることになり,文字と意味の関係に気付き,全体的な形で文字を捉えようとすることに繋がる。 つまり音声と意味の関係に気付くのと同様なことが起こると考えられ,後にアルファベットを学習し, 文字を分析的に扱うようになるときに役立つ。子どもの言語処理能力は全体的なものから徐々に分析 的な物へと移行すると考えられるので,文字の視覚的導入は「全体的処理」から「分析的処理」への 進行をスムーズにし,中学校での書き言葉に繋がると考えられる。 (4)月に 4 回の授業を念頭に置いているので,それを内容で分けたり,繰り返したり,年間計画に ないような題材,児童に興味があるものなどを ALT が来校するような時に扱うこともできる。例え ば,カタカナ英語がどの程度通じるか試したり,同じ単語や題材を使って,全く違うゲームを組み込 むこともできる。その月の最後には,その題材を使った文や単語が含まれている良い物語などがあれ ば,それを読み聞かせることも良いだろう。もし適当な作品がなければ,中学校教員との連携により, 簡単な読み聞かせの文を作ってもらうことも考えられる。 2 課題 小学校英語活動がおそらく教科ではなく領域として教育課程に位置づけられることがほぼ決定され ている。今までのように総合的な学習の時間における国際理解教育の一環としての英語活動ではなく なると,数値評価はしないとしているが,きちんとした評価規準を作っていかなくてはならない。今 回作成した年間指導計画,実際の活動例に,評価を加え一体化を図る必要がある。さらに,活動例を 全てのテーマ,全ての段階別に具体的な実践例として作成し,多くの先生方に利用してもらい実践結 果を次に生かすことにより,さらに良いものを作っていきたい。実践の中での様々な課題についての 意見交換は Peach Ware(ピーチウエア)を活用して継続的に行う。 文字の指導は,上記でも述べたように,今回は掲示物の中で目にする程度とする。しかし文字を 全く使用しないよりは,適切に使用しさえすれば,文字も用いた方が指導上も学習するのにも便利な 点が多いと考える。文字に全く触れないで発音を指導するのは効果的ではないというALTの考えも あり ,「聞く・話す」の音声中心の学習を阻害せず,むしろ補強するような小学校の英語教育の文字 導入の方法が今後の大きな課題である。 - 13 - 最後に多忙の中,授業をさせて頂いた研究協力校の校長先生を始め,担任の先先生には,心から感 謝し,本研究が小学校英語活動の一助となり,現場の先生方の授業改善に資することを,心より期待 するものである。 参考文献 ・小学校英語教育の進め方 岡秀雄・金森強著 成美堂・教育研究開発室 ・小学校英語指導の基礎基本 渡邉寛治編集 教育開発研究所 ・日本の小学校英語を考える バトラー後藤裕子著 三省堂 ・児童英語教育を学ぶ人のために 中山兼芳編集 世界思想社 ・小学校における英語学習に関する研究 ・平成16年度 教職研修増刊 愛知県総合教育センター研究指導主事等 教委9実践研究員養成講座成果報告書 金沢市教育委員会 ・思考発達段階説(Piajet's theory of developmental stages of thinking) ジャン・ピアジェ ・小学校英語実践事例集 研究協力校 ・甲州市立井尻小学校 校長 吉田 一郎 研究協力員 ・甲州市立井尻小学校 平成19年度 教諭 本宮 知子 執 筆 者 - 14 - 山梨県総合教育センター 研修主事 坂本 直子
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