CloudBridge: 技術概要

ホワイトペーパー
CloudBridge:
技術概要
この⽂書では、CloudBridge プラットフォームの機能の紹介と、それ
らの機能を使⽤してアプリケーションデリバリーの⾼速化と仮想デ
スクトップデリバリーの最適化について説明します。
www.citrix.co.jp
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
多くの企業はサービスを提供するために、顧客と地理的に近い場所のパー
トナーやサプライヤとなるため、あるいは新しい市場へと進出するために、
ブランチオフィスを設置しています。多くの組織が仮想化とクラウドネッ
トワーキングを採⽤しデータ消費量が増加すると、広域ネットワーク
(WAN)上での遅延、輻輳、帯域幅の制限などが原因で、性能の低下をブ
ランチユーザーにもたらすというリスクに IT マネージャーは直面します。
これと同じリスクは、モバイルユーザーにも適⽤されます。しかし、単に
ネットワーク帯域幅をアップグレードするだけでは、サービストラフィッ
ク、距離、アプリケーションの動作に関する可視性の⽋落により引き起こ
される、基本的な WAN 性能の問題には対処できません。しかも、帯域幅
容量の追加には⾼額なコストがかかります。
Citrix CloudBridge™は、アプリケーションの接続と⾼速化を⾏い、ブランチオフィスと企業データ
センター間およびブランチオフィスとパブリッククラウド間での帯域幅使⽤量を最適化する、統一
的なプラットフォームを提供します。また、CloudBridge は、統合されたセキュアで透過的なクラ
ウド接続機能を備えた業界唯一の WAN 最適化ソリューションであり、企業は同ソリューションを
導⼊することで、パブリッククラウドにより提供される無限のキャパシティと弾⼒的な効率性を利
⽤して自社データセンターを強化できます。さらに、CloudBridge は、次に示すような広範な種類
の機能を通じて、ブランチワーカーやモバイルワーカーに卓越したアプリケーション性能とユー
ザーエクスペリエンスを提供します。
• Citrix XenDesktop®ユーザーエクスペリエンスに関する独自の拡張
• クラウド間でのセキュアで最適化されたネットワーキング
• 従来型の企業アプリケーションの⾼速化
• アプリケーションごとの性能に関する⽐類のない可視性
• 洗練されたトラフィック管理制御とレポーティング
• ストレージレプリケーション時間の短縮と帯域幅要件の削減
• ブランチオフィス向けの統合されたビデオ配信の最適化
この⽂書では、上記の機能を実現するために、CloudBridge プラットフォーム内部で使⽤されてい
る各種のテクノロジーについての概要を示します。
CloudBridge の技術概要
ブ ラ ン チ や そ の 他 の 遠 隔地に い る ユ ー ザ ー に 優 れ たエク ス ペ リ エ ン ス を 提 供 するた め に 、
CloudBridge は、WAN 最適化と詳細なアプリケーション可視性をクラウドアーキテクチャーのシー
ムレスなサポートと結合することで、最大の機能性を提供する統一的なプラットフォームを実現し
ています。このプラットフォームは、次に示すような一連のテクニカルな機能を提供します。これ
らの機能を組み合わせて使⽤することで、将来を⾒越した独自の WAN 最適化ソリューションを実
現できます。
www.citrix.co.jp
2
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
適応型 TCP フロー制御
CloudBridge の適応型 TCP フロー制御は、リアルタイムの WAN リンクの状態を検出することで、
パケットロスやパケット再送を原因とする TCP の性能ペナルティを軽減します。
すべての WAN 最適化コントローラーは、WAN リンク上のデータパケットの流れを制限または計測
をすることができます。ただし、CloudBridge は、接続の各セグメント上で透過的なロスレスのフ
ロー制御を提供します。このセグメントには、ブランチユーザーとブランチベースの CloudBridge
間における LAN セグメント、ブランチとデータセンター内にある CloudBridge デバイス間における
WAN セグメント、データセンター内にある CloudBridge デバイスとサーバーやアプリケーション間
における LAN セグメントが含まれます。
接続を 3 つの部分に分割することで、CloudBridge は、個々のセグメントのフロー制御と利⽤状況
を独⽴して管理できます。これは、公平な帯域幅シェアが得られるまで、接続スピードを急激に上
昇または下降させる必要がある場合に重要となります。また、これにより、拡張された WAN 最適
化や圧縮アルゴリズムから最大のメリットが得られることを保証できます。
TCP プロトコルの特性である強欲さとは、すべての TCP 接続がその帯域幅使⽤量を継続して増や
そうとすることを意味します。応答時に、CloudBridge は TCP フロー制御を使⽤することで、指定
の接続が、与えられた WAN 接続で可能な最⾼速度となるように保ちます。フロー制御は、WAN リ
ンクが枯渇しないこと、キューイングの遅延を最小化すること、パケットロスを減らす(または一
掃する)ことを目的としています。また、TCP フロー制御は、⻑期実⾏型の接続(すべての利⽤可
能な帯域幅を取得する時間があるもの)が、短期実⾏型の遅延に敏感なインタラクティブな接続を
締め出すことがないようにします。
これらのメリットを図 1 に示します。
スループット
リンクスピード
平均使用率
開始が遅い
上昇が遅い
時間
CloudBridge を使用した場合
スループット
CloudBridge を使用しない場合
リンクスピード
平均使用率
時間
図 1:CloudBridge による帯域幅使⽤率の増加
つまり、CloudBridge の適応型の TCP フロー制御は、WAN 経由で確⽴されるすべての接続の使⽤
率を、可能な限り最も⾼い状態に保ちます。
圧縮、重複除外、プロトコル⾼速化
適応型 TCP フロー制御は、すべての利⽤可能な WAN 帯域幅の使⽤に特化した機能ですが、
CloudBridge プラットフォームには、WAN 帯域幅消費量とアプリケーション応答時間の両者の削減
を目的とする強⼒な 3 つの機能が含まれています。これらの機能をすべて組み合わせて使⽤するこ
とで、最大の最適化を保証できます。
www.citrix.co.jp
3
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
適応圧縮
適応圧縮は、帯域幅要件を減らすために、WAN 接続の両端に存在するアプライアンス間で機能する
テクノロジーです。適応圧縮では 2 種類の圧縮エンジン(Zlib と LZS)を使⽤して、すべてのアプ
リケーショントラフィックが完全な WAN 速度でやり取りされるように最適化します。これら 2 つ
の圧縮エンジンは、PKZIP ソフトウェアと同様の方法で、重複⽂字列の除外とビットリダクション
を実施します。CloudBridge は、処理要件に応じて、どちらのエンジンを使⽤するかを自動的に選
択します。5 対 1 の⾼い圧縮⽐を実現することで、WAN 帯域幅量を最大 85〜90%削減できます。
重複除外
CloudBridge は、複数の接続間で共有される圧縮履歴を保持しています。これは、ある接続が以前
送信したデータを後で使⽤することにより、別の接続を通じてやり取りされるトラフィックを最適
化できることを意味します。頻繁にやり取りされるサイズの小さいデータストリームは、低レイテ
ンシーアクセス⽤にメモリ上に格納されます。一方、バルクファイル転送のようなサイズの大きい
データストリームは、ディスク上に格納されます。この大きな履歴を持つマルチセッション対応の
圧縮テクノロジーは、圧縮可能データと圧縮不可データ間の区別を消去します。例えば、通常、JPEG
イメージは圧縮不可であると⾒なされます。ただし、それが何回も送信される場合、そのイメージ
全体を、受信側のアプライアンスの圧縮履歴に既に存在するデータへのポインタで置き換えること
により、帯域幅使⽤量を大幅に削減できます。また、CloudBridge はファイルオブジェクト全体を
参照するだけでなく、ブロックレベルやバイトレベルのパターンマッチングを利⽤することで、各
種のファイルやアプリケーション間で送信される冗⻑データを取り除くこともできます。
適応圧縮は、帯域幅、ネットワークの状態、トラフィックのタイプに応じて、自動的に自己調節を
⾏います。よくある配備環境では、マルチレベルの圧縮での圧縮率は 10 対 1〜300 対 1 の範囲であ
り、最も⾼い圧縮率は 3500 対 1 になります。
プロトコル高速化
ブランチオフィスのワーカーがリモートデータセンター内にあるアプリケーションやファイルにア
クセスする場合、WAN リンクにより、サーバーとデスクトップ間でのネットワーク遅延がもたらさ
れます。この場合、図 2 に示すように、当該アプリケーションの性能が低下します。
CloudBridge を使用しない場合
図 2:CloudBridge を使⽤しないプロトコル通信
CloudBridge は、CIFS、MAPI、FTP、HTTP を含む様々なアプリケーションプロトコルに対応して
います。CloudBridge は、サポートしているアプリケーションプロトコルを即座に検出し、最も効
果的な最適化手法を適⽤します。この手法には、クライアント-サーバーハンドシェークのプロキシ
化、プロトコル対話の削減、ペイロードの最適化などが含まれます。Windows ファイル共有で使⽤
されるプロトコルである CIFS の場合、CloudBridge は、WAN 経由でのラウンドトリップの件数を
大幅に削減することにより、ドラッグアンドドロップ式のファイル転送、フォルダのコピー、ディ
レクトリの表示を⾼速化します。また、クライアントからの要求のパターンを分析し、次のアクショ
ンを予測することで、CloudBridge は、安全な read-ahead および write-behind 操作を実⾏します。
これにより、CIFS の性能を最大 30 倍に⾼速化できます。これを図 3 に示します。
www.citrix.co.jp
4
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
CloudBridge を使用した場合
図 3:CloudBridge を使⽤したプロトコル通信
例えば、クライアントが WAN 経由で 20MB のファイルを要求するとします。CIFS プロトコルの⾼
速化を使⽤しない場合、CIFS クライアントの読み取り上限サイズは 4KB になるため、ファイル全
体を取得するためには数千回の読み取り操作が必要となります。大陸間の WAN リンクの場合、こ
の動作により、数分間の不要な待機時間が付加されます。CIFS プロトコルの⾼速化を使⽤すると、
数千回の要求を⾏う代わりに、CloudBridge は、より大きなサイズのチャンクでデータの読み取り
や配信を⾏うことができます。このため、ユーザーは同じ WAN リンクを通じて、数分の 1 の時間
でファイルを取得できます。
可能な限り最も⾼性能で最も堅牢な⾼速化を開発するために、シトリックスは Microsoft 社が提供す
る CIFS プロトコル仕様をライセンスしています。また、シトリックスは Microsoft 社と緊密な共同
作業を⾏うことにより、Microsoft 社がプロトコルに対して実施する変更や拡張に直ちに対応できる
ようにしています。結果として、すべての最適化により、性能を最大化し、クライアントおよびサー
バーの両者に対する完全な透過性を維持できるほか、データの整合性の劣化を防ぐことができます。
ビデオ配信の最適化
ビデオは、トレーニング、マーケティング、コラボレーションに関してよりリッチなエクスペリエ
ンスを提供しますが、大規模な帯域幅使⽤量も必要とします。低品質のビデオストリームは、しば
しば数百 kbps の帯域幅を消費しますが、HD ビデオは最大で数 Mbps の帯域幅を消費します。この
ため、低品質ビデオの 1 つのストリームであっても、ブランチオフィスで利⽤可能な WAN 帯域幅
の多くの割合を消費してしまう場合があります。管理を⾏わない場合、データセンター内でホスティ
ングされている仮想デスクトップやその他のリソース(Microsoft Exchange やファイルサーバーな
ど)に同時に接続しようとする他のブランチユーザーのエクスペリエンスの低下を引き起こす可能
性があります。
このような状況に対処するために、CloudBridge は、ビデオ配信の最適化機能の完全なスイートを
提供しています。これには、ビデオコンテンツの正確な特定、分類、トラフィックシェーピングを
はじめ、重複したダウンロードを減らすためのビデオキャッシング、オブジェクトレベルの圧縮な
どの機能が含まれています(図 4 を参照)
。
www.citrix.co.jp
5
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
図 4:CloudBridge によるビデオ配信の最適化
CloudBridge のビデオキャッシング機能は、人気のある Web サイト(YouTube、Vimeo、MetaCafe、
YouKu)で配信されている広範な種類のビデオコーデックやフォーマットをサポートしています。
企業は、内部的な企業ビデオコンテンツサイトのように、その他のビデオソースを追加できます。
ユーザーが特定のビデオコンテンツソース内のビデオを要求すると、ブランチに置かれている
CloudBridge デバイスのビデオキャッシュには、その特定コンテンツが格納されます。同ビデオが
ローカルに格納されると、それ以降の視聴では、同ビデオがローカルにストリーミングされます。
これにより、帯域幅消費量を大幅に削減できるほか、より良好な視聴エクスペリエンスを提供でき
ます。ビデオキャッシングを利⽤すると、コンテンツのダウンロード時間を 40 分の 1 へと簡単に
縮小できます。
標準的な重複除外機能と同様に、CloudBridge は、WAN を通じてやり取りされるビデオトラフィッ
クの圧縮履歴を保持しています。この履歴は、強⼒なブロックレベルのパターンマッチングアルゴ
リズムにより生成されるものであり、WAN 接続の両端にある CloudBridge デバイスの内部に保持さ
れます。この履歴を使⽤することで、ビデオコンテンツの重複した要素を単なるポインタで置き換
えることができます。全体的に⾒て、このアプローチは、複数のユーザーが同じビデオコンテンツ
にアクセスする場合に特に効果的です。同じビデオへのアクセスが繰り返される場合、そのビデオ
はキャッシュから直接配信されるため、WAN をより効率的に利⽤できます。
HDX WAN 最適化
CloudBridge の HDX™ WAN 最適化機能は、HDX トラフィックの圧縮、キャッシング、優先順位付
けを⾏うことにより、ブランチオフィス向けのデスクトップおよびアプリケーションの性能を最適
化し、ネットワーク帯域幅使⽤量を削減します。CloudBridge は、ICA®トラフィックの内容を詳細
に調べることで、ユーザーレベルで何が発生しているかを理解することができます(図 5 を参照)。
www.citrix.co.jp
6
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
図 5:ICA 対応型の CloudBridge
TCP フロー制御、適応圧縮、プロトコル⾼速化、トラフィック最適化、ビデオ配信の最適化はすべ
て、HDX トラフィックに対して適⽤されます。ただし、CloudBridge は、Citrix XenDesktop および
Citrix XenApp®により生成されるネットワークトラフィックを削減するために、HDX に固有の追加
的な機能を実装しています。
より具体的には、
CloudBridge は HDX パケットフローを復号化した後、
HDX プロトコルを構⽂解析することで、追加的な処理を実施します。
また、CloudBridge には、マウスの動き、キーボード⼊⼒、画面アップデートに関連付けられるプ
ロトコルパターンを認識するナノパターンマッチャーが含まれています。ナノパターンマッチャー
は、これらのアクションに追加的な圧縮を提供します。一方、CloudBridge のディスクベースの圧
縮アルゴリズムは、印刷やファイルのダウンロードなどのバルク操作のための圧縮を提供します。
HDX トラフィックの最適化に加えて、CloudBridge は様々な HDX ストリームやチャネルを自動的
にカテゴライズすることにより、バルクデータ転送よりも、対話的なトラフィックに⾼い優先度が
与えられることを保証します。
HDX WAN 最適化機能を、その他の CloudBridge 機能と組み合わせることで、輻輳状態にあるネッ
トワークを経由した場合であっても、XenDesktop および XenApp トラフィックに関する信頼でき
る性能を保証できます。
詳細なアプリケーション可視化ときめ細かな制御
CloudBridge は、アプリケーション単位の性能に関する詳細な分析を、サービス品質(QoS)と⾼
品位のユーザーエクスペリエンスを保証するインテリジェントな適応メカニズムと組み合わせた形
で提供します。これらの CloudBridge 機能を使⽤することで、IT 部門は、ネットワークの使⽤状況
に素早く簡単にアクセスして、アプリケーションやサービストラフィックを分類できるほか、ユー
ザーエクスペリエンスに影響するようなネットワークの輻輳や遅延を検出し、関連する問題をいち
早く修復することにより、サポートコストを最小化できます。
Citrix AppFlow®および Insight Center のサポートを通じて、業界トップのアプリケーションレベル
の可視性が提供されます。AppFlow はオープンな標準ベースのテクノロジーであり、個々のアプリ
ケーション(XenDesktop や XenApp を含む)に関するフローごとの使⽤状況と性能データを使⽤
して、IPFIX/NetFlow を通じて提供されるネットワークレベルのデータを補完します。⾼速の
AppFlow コレクターである Insight Center には、リソース別(ユーザー、アプリケーション、
CloudBridge デバイスなど)に収集されたレコードを自動的に整理する組み込み型の相関機能が含
まれています。管理者は、様々な対応するエントリポイントから提供された、リアルタイムの統計
および過去の統計の両方を表示できるほか、マルチレベルのドリルダウン機能を使⽤して基盤とな
るデータを調べることにより、進⾏中の、差し迫った、または潜在的なアプリケーション性能問題
の原因を発⾒できます。
www.citrix.co.jp
7
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
このアプローチの強みとしては次のことが挙げられます。
• ネットワークの状態を調べるために、手間がかかり他のリソースに悪影響を及ぼすようなエー
ジェントやネットワークタップを使⽤する必要がありません
• 必須の性能データを⼊手するために、個々のアプリケーションを変更する必要がありません
• アプリケーション性能に関するエンドツーエンドのビューを取得できます(各 CloudBridge デバ
イスが全体像に寄与します)
• AppFlow をサポートするサードパーティ製のツール(Splunk など)を使⽤して、付加価値機能
によるメリットを得ることができます(統合されたレポーティングや先進的な分析方法など)
IT 部門が、ネットワーク上で何が起こっているかの全体像を把握できると、プロトコル、アプリケー
ションのタイプ、アプリケーションの場所、ユーザーグループ、ユーザーまたはブランチの場所、
公開済みのグループなどに基づいて、きめ細かなトラフィック優先順位付けポリシーを実装できる
ようになります。仮想デスクトップ/アプリケーションに関する可視性が制限されている(またはそ
のような可視性を備えていない)従来型の WAN 最適化デバイスとは異なり、CloudBridge は、
XenDesktop/XenApp の HDX セッション内の個々の仮想チャネルに対して QoS 保証を提供します。
これにより、企業は、きめ細かな制御と優先順位付けが可能になります。例えば、グラフィックデ
ザイナーの仮想デスクトップに対して、重要度の低いアプリケーションやバックグラウンドトラ
フィック(印刷など)よりも⾼い優先順位を与えることができます。
CloudBridge は、HD による詳細な分類を超えて、数百件の事前定義アプリケーション(TCP アプ
リケーションおよび非 TCP アプリケーションを含む)を分類します。さらに、IT 部門は、サービ
ステンプレートを使⽤して、カスタムアプリケーションやサービスクラスの定義と分類が⾏えます。
トラフィックシェーピングは、各種のパラメータ(ソースおよび宛先 IP アドレス、VLAN ID、遅延
に関する感度、DSCP マーキングなど)に適⽤される様々な優先度レベルを使⽤します。また、
CloudBridge のトラフィック分類は、受信パケットのホップ単位の動作に関して DiffServ マーキン
グを尊重します。進⾏中のパケットの場合、内部優先度レベルが DSCP ビットにマッピングされま
す。全体として、双方向の標準ベースのトラフィックシェーピングにより、予⾒可能なエンドツー
エンドの動作が保証され、CloudBridge の最適化を既存の QoS ネットワーク内にシームレスに挿⼊
することが可能となります。
CloudBridge を使用
CloudBridge なし
なお、トラフィックシェーピングは、最適化されたプロトコルだけでなく、あらゆるトラフィック
に適⽤されます。特に UDP プロトコルの場合、トラフィックシェーピングを、⾼速化されたパス
スルートラフィックに適⽤することで、全体的な WAN 性能が大幅に改善されます。さらに、
CloudBridge のトラフィックシェーピングは、特許出願中の組み込み型のテクノロジーを使⽤する
SSL/TLS 暗号化トンネル内部で機能し続けます。これを図 6 に示します。
図 6:CloudBridge のアプリケーションの分類とトラフィックシェーピング
www.citrix.co.jp
8
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
CloudBridge のトラフィックシェーピング機能の強みは、シトリックスが、それを採⽤するにあたっ
て標準的な階層型の WFQ(weighted fair queuing)アルゴリズムを選択したことにも由来します。
この選択がもたらす主なメリットを以下に示します。
• リアルタイムフローの最も効率的な処理に向かう厳しい遅延を提供
• 階層的なパケットスケジューリングで最も小さいキューイング遅延を提供
• 実装の複雑性が⽐較的低いため、処理遅延が導⼊されない
CloudBridge は、遅延に敏感なトラフィック間での優先度レベルと、それらの各優先度内部での公
平性を提供するために、標準的なアルゴリズムを採⽤しています。CloudBridge の競合製品は、多
くの場合、より⾼い優先度を許可しますが(例えば VoIP トラフィックに対して)
、それらの実装は、
特に 1 つのクラス内部での公平性(複数のクラス間の公平性ではない)に関しては効果的でありま
せん。
アプリケーションレベルの可視性や拡張的な QoS/トラフィックシェーピング機能に加えて、
CloudBridge は、以下に示すような広範な種類の有益なデータの表示に利⽤できる総合的なネイ
ティブレポーティング機能を提供します。
• リンク使⽤状況
• LAN から WAN への圧縮
• アプリケーション別の使⽤量
• サービスクラス別の使⽤量
• アプリケーション別の⾼速化
• ICA ⾼速化
• ICA 接続と統計情報
• トラフィックシェーピングのメリット
• ビデオのキャッシュヒットとキャッシュミス
• トラフィックシェーピング
• CPU 使⽤状況
www.citrix.co.jp
9
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
図 7:CloudBridge のレポーティングインターフェイス
クラウド接続と最適化
クラウドデリバリーモデル(パブリック、プライベート、ハイブリッド)は、⾼度な俊敏性、スケー
ラビリティ、弾⼒性を備えたコスト効率の良い IT サービスの配信方法を提供することにより、今⽇
のビジネスを変革しつつあります。CloudBridge は以下に示す機能を提供することにより、リスク
を自然に低下させ、手間やコストを削減し、企業が実務目的にクラウドアーキテクチャーおよびサー
ビスを活⽤できるようにします。
• IPSec テクノロジーを使⽤して、異なるクラウド(パブリックやプライベート)データセンター
間でやり取りされるデータを保護します。
• Generic Routing Encapsulation(GRE)プロトコルを実装することにより、異なるクラウドネッ
トワークとデータセンターを、それぞれ片方のシームレスな拡張にします(これにより、面倒な
ネットワークおよびアプリケーションの設定変更を⾏わずにワークロードを移⾏できるように
なります)
。
• パブリッククラウドソリューション(Amazon Web Services や Windows Azure など)との事前
統合を実現することにより、関連サービスへの接続プロセスや、各自の環境に CloudBridge を配
備するプロセスを簡素化します。
CloudBridge 以外の WAN 最適化ソリューションを使⽤する場合、企業は、リモートクラウドにセ
キュアに接続し、同クラウドリソースを利⽤するためには、独⽴したデバイスを別途購⼊した上で、
各自の環境において詳細な統合を実施する必要があります。
www.citrix.co.jp
10
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
まとめ
アプリケーションをブランチオフィスに⾼い性能で配信するという課題は、現在でもなくなってい
ません。逆に、クラウドネットワーキングの増加が、この問題をさらに複雑化しています。企業の
IT 部門にとって幸運なことに、Citrix CloudBridge は、アプリケーションに接続し、性能を⾼速化し、
ブランチオフィス、企業データセンター、パブリッククラウド環境間での帯域幅使⽤量を最適化で
きる統一的なプラットフォームを提供します。統合されたセキュアで透過的なクラウド接続を
フィーチャーした市場で唯一の WAN 最適化ソリューションとして、CloudBridge は、企業がクラウ
ドアーキテクチャーとデリバリーモデルをシームレスに採⽤できるようにするだけでなく、既存の
ネット上でより多くの XenDesktop および XenApp ユーザーをサポートすること、遅延に敏感なア
プリケーションの優先順位付けの保証、従来型の企業アプリケーションの⾼速化、ビデオによる帯
域幅使⽤量の削減などを可能にします。
これらのメリットは、CloudBridge 製品ファミリで提供される革新的な技術によりもたらされます。
先進的な TCP フロー制御から、不可⽋なセキュアトンネリング機能に⾄るまで、CloudBridge は、
今⽇および将来の企業ネットワーク向けのユニークで強⼒な WAN 最適化ソリューションを提供し
ます。
www.citrix.co.jp
11
ホワイトペーパー
CloudBridge 技術概要
Citrix について
Citrix Systems, Inc.(NASDAQ:CTXS)は、新しい快適なワークスタイルを実現する仮想化、ネットワーキング、クラウドイン
フラストラクチャのリーディングカンパニーです。多くの企業および組織の IT 部門やサービスプロバイダーが、仮想化、モバ
イル化されたワークスペースの構築、管理、セキュリティ確保のために、シトリックスのソリューションを利⽤しています。仮
想化、モバイル化されたワークスペースでは、デバイス、ユーザー、利⽤するネットワークやクラウドを問わず、アプリケーショ
ン、デスクトップ、データ、サービスをシームレスに利⽤することができます。シトリックスは今年、創設 25 周年を迎えます
が、今後も革新に取り組み、モバイルワークスタイルにより IT をさらにシンプルにするとともに生産性の向上に貢献していき
ます。シトリックスの 2013 年度の年間売上⾼は 29 億ドルで、その製品は世界中の 33 万以上の企業や組織において、1 億人以
上の人々に利⽤されています。シトリックスの詳細については www.citrix.co.jp をご覧ください。
©2014 Citrix Systems, Inc. All rights reserved. Citrix、CloudBridge、XenDesktop、XenApp、HDX、ICA および AppFlow は、Citrix
Systems, Inc.またはその子会社の登録商標であり、米国の特許商標局およびその他の国に登録されています。その他の商標や登
録商標はそれぞれの各社が所有権を有するものです。
E0614/PDF
J0914/PDF
www.citrix.co.jp
12