資料6

「地域に根ざした医療・福祉とは∼地域福祉の立場から∼」
北海道社会福祉協議会 白戸 一秀
1. 福祉制度改正の方向
1) 地域包括ケア(地域生活の継続を総合的に支える、公的施策と地域生活支援の結合、地域密着)
2) 自立支援(個人の尊厳、生活の自律、社会参加)
3) 持続可能かつ適切な制度の運営(社会保障費の抑制、事後規制の強化)
「介護が必要な状態になっても、可能な限り自宅に住み、家族や友人とともに不安のない生活を送りたいと
いう利用者の声に応えるために、可能な限り住み慣れた環境の中で、それまでとは変わらない生活を続け、
最期までその人らしい生活を送ることができるようにする」 (『2015 年の高齢者介護』高齢労働省老健局)
2. 脱入所施設・地域生活移行の本格化
1) 介護予防の積極的取り組み (介護保険給付、地域支援事業、高齢者の多様な社会活動促進)
2) 介護療養型医療施設の廃止(約1万床)、医療療養病床の削減(平成 23 年度) ∼医療から介護へ∼
¾ 地域ケア整備構想策定(平成 19 年度)⇒療養病床の転換、在宅医療、地域ケア、多様な「住まい」
3) 障がい者の地域生活移行(平成 23 年度) (障害者自立支援法/北海道障害者プラン)
¾ 身体・知的障がい者の 20%を入居施設から地域生活に移行(約 2,600 人、現入所者の 21.3%).
¾ 退院可能な精神障がい者の地域生活に移行(約 1,700 人)
3. 地域生活のリスク∼孤立と排除∼(地域福祉権利擁護事業の事例から)
1) 息子の無心で多重債務に陥った老婆
2) 浪費で生活破綻の危機にある知的障害者
3) 職場の同僚に搾取される知的障害者
4) 窃盗で逮捕されたアルコール依存の若者の孤立
4. 権利擁護を必要とする人々とは
1) 将来にわたり、継続的に本人の日常生活を見守る存在がいない
2) 医療・福祉関係者以外で誰かが支援しないと、今ある制度をうまく活用できない
3) 自分の意思や苦痛・不満をうまく伝えられない
4) 親族による身体的・心理的虐待、放置や過干渉が見られる
5) 近隣、職場等との良好な関係がつくれない
5. 地域生活の継続を応援するために∼個人のニーズを中心に社会的な援助を組織化すること∼
1) 個々のサービスは生活問題の一部にしか対応できない
2) 一つの制度だけでは解決できない(制度の谷間にある問題)
3) 保健・医療・福祉サービスでは解決しない「生活問題」への対応
4) 申請がなければ援助できない( 問題の発見 の大切さ⇒ニーズの潜在化、問題の深刻化)
5) 関係障害の克服(地域社会との良好な関係をどのように構築するか)
拒否(生き方、考え方)、孤立・孤独(居場所、役割)、虐待(家族、地域社会、学校、職場・・・)
6. 地域包括ケア体制の構築の課題∼地域包括支援センターの機能化がポイント∼
1) 地域ケアサービスの確保(地域密着型・小規模ケア、中重度者ケア、在宅医療との連携)
2) 見守りと安心の確保∼高齢者、障がい者の多様な「住まい」方の工夫(高齢者下宿、共同住宅)
3) きめ細かな地域生活支援の仕組みづくり(地域生活のリスクへの対応、見守りと権利擁護活動)
※地域ケア資源の共有化=高齢・障害、介護・医療、住宅・交通(移動)・教育・生涯学習 等
7. 市町村合併と地方分権時代の課題∼行政コミュニティと生活コミュニティの分離∼
{ 北海道 212 市町村 ⇒ 180 市町村(平成 18 年 4 月) ⇒ 59 市町(平成?年)
{ 合併構想=基礎自治体人口 3 万人 ※合併市町村減少率 北海道 15.1% 全国 44.1%
{ 基礎自治体のあり方の検討(北海道町村会、平成 23 年度) ※H19:後志管内一部広域連合
1) 生活コミュニティ(生活圏・福祉圏域)を基礎にしたまちづくり ※限界集落、限界自治体
2) 問われる市民と地域の「自治力」
3) 「公私分担」から「地域協働」へ(行政力の限界、市民の手によるまちづくり、地域福祉計画)
8. 地域生活の継続を応援するために∼個人のニーズを中心に社会的な援助を組織化すること∼
1)個々のサービスは生活問題の一部にしか対応できない
2)一つの制度だけでは解決できない(制度の谷間にある問題)
3)保健・医療・福祉サービスでは解決しない「生活問題」への対応
4)申請がなければ援助できない( 問題の発見 の大切さ⇒ニーズの潜在化、問題の深刻化)
5)地域社会との良好な関係をどのように構築するか(関係障害の克服)
※拒否(生き方、考え方)、孤立・孤独(居場所、役割)、虐待(家族、地域社会、学校、職場・・・)
9. 社会福祉協議会活動の役割・課題∼市民が当事者となる福祉のまちづくり∼
1) 「地域の福祉力」の向上と地域の「新しい協働」の創出 ⇒ 地域福祉計画(社協活動計画)
(参考)「地域の福祉力」∼市民・地域の自治力を高める∼
1)
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6)
地域にどのような生活課題があるのかを明らかにする力
施策や社会資源をよく知り活用する力
住民の参加や参画によって課題を解決しようとする力
専門機関・サービスにより具体的に生活を支えていく力
生活課題を抱える当事者、住民、活動者、事業者、その他関係機関がつながり、協働する力
地域内の社会資源(サービスなど)を評価・改善し、福祉施策を計画的に提起する力
2) 具体的には
「安心・安全のまちづくり」をめざして
① 小地域福祉ネットワーク活動の意義の再確認(見守りと生活支援)
② 「ふれあいいきいきサロン」のすすめ(当事者が参加し、地域社会とつながる活動の重視)
③ 自治会等住民活動とボランティア、NPO活動との連携(ボランティアセンターの機能化)
④ 地域包括支援センター等との連携(専門サービスと地域活動との協働)
⑤ 権利擁護活動の普及(地域福祉権利擁護事業、消費者被害防止・虐待防止ネットワーク等)
⑥ ニーズ対応型の地域密着型のサービス開発(農協、商工、学校等地域資源との協働)