中闘速報 2014No1 2014/ 3/ 3 発行

2014 年春闘第一回(2 月 27 日)団体交渉報告(組合:要求書提出。会社:春季交渉に関する会社見解)
日本全体も昭和シェルも賃金が長期下落
今や賃上げは企業の社会的責務!
組合要求は賃上げ一律 17400 円、一時金年間8.3ヶ月(本給比。
基準内比 6.76 ヶ月)
。
再雇用者は貴重な戦力。それに相応しい処遇を!賃上げ1万円と一時
金(現在0)年間1ヶ月を求める。
男女別の平均賃金の開示を。給茶サービスの継続を重ねて要求
2 月 27 日午後、2014 年春闘第一回団交を開催し、組合は臨時
全国大会で決定した要求書を提出した。会社からは「2014 年春季
交渉に関する会社見解」が示された。
【組合】2 月 22 日の臨時全国大会で春闘要求を決めた。賃上げは
一律 17400 円(2013 年 12 月末の基準内賃金比 4.2%)
、加盟して
いる全労協の統一要求。
一時金は本給比年 8.3 ヶ月
(基準内比 6.76
ヶ月)
、全額本給比とし、資格手当を基礎給に含めないこと、資格
別評価別定額を行わないことをあわせて要求する。
再雇用者の賃上げ額 1 万円と、一時金年間 1 ヶ月を求める。加
えて、最低評価が二年連続すると雇用の継続を打ち切るのはやめ
て、
希望する者は誰でも 65 歳まで働ける制度にしてもらいたい。
一般社員は M 評価が 2 年続いても解雇されない。フルタイムだ
けでなく、短時間勤務・短日数勤務を実現してもらいたい。
従来から要求しているが「男女平等な職場を実現するためのポ
ジティブ・アクションの実施」を求める。
「非正規労働者の雇用」
「セクシャルハラスメント・パワーハラ
スメントに関する要求」
(具体的要求内容は次号に掲載)も従来か
ら要求しているものだ。
春闘をめぐる情勢は、政府が賃上げしろと言って、それに応え
る形で賃上げをするという声が聞こえてくるが、私たちは政府が
言うから要求するとかしないとか、という立場には立たない。
税負担、企業には優遇、働くものは負担増
1997 年を100とすると、
2012 年に日本は88.9、
イギリス168.9、
ドイツ 138.6、アメリカ 158.0、フランス 152.7 と、先進国では
日本だけが下がっている。
(右上グラフ参照)
日本では、年収 400 万円以下の層が増えている。
昭和シェルでは、2000 年の新制度導入後、ベアは二回のみで、
2006 年が 1000 円、2007 年は「誰でも」は 500 円だった。
企業に対する税率は下がっている(右下グラフ)が、一方消費
税は 3% →5%、そしてこの 4 月からは 8%へ税率が上がる。企業
は税制優遇され、働くものの負担は増えている。
10 年間で、組合員有資格者が 25.7%も減
昭和シェルを見てみると、2004 年末の組合員有資格者は 1005
人だったのが、2013 年末には 747 人と、実に 25.7%減って、一
人あたりの労働密度が増えている。
一方平均基準内賃金内賃金は、
2004 年末が 451,499 円、2013 年末が 414,374 円で、37,125 円
も下がった。平均年齢が 2 才 7 ヶ月下がっているが、一才ごとの
差を考慮すると下がり過ぎだ。
昭和シェルグループの連結決算で、人件費の推移は、宮崎第三
プラントがスタートした 2010 年から
・2010 年
36,595 百万円 ・2011 年
35,990 百万円
・2012 年
35,536 百万円 ・2013 年
34,972 百万円
と下がり続けている。
石油単体の「従業員給料及び賞与」の推移は、
・2006 年
10,634 百万円
・2013 年
8,804 百万円
【組合】いまいる(男性の)管理職の意識の徹底が重要だ。
石油単体、従業員給与・賞与金額
推移(単位:百万円)
11,000
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
会社の負担は確実に下がり、
社員には殆ど賃上げが行われなかっ
た。今年の春闘では、是非従業員全体の底上げをはかってもらい
たい。
再雇用者の多くは、それ以前と変わらない働きをしている。努
力報いると言う観点から、賃上げと一時金支給を実現してもらい
たい。
ポジティブ・アクション-数値目標を
【組合】ポジティブ・アクション要求に関連して、内閣府男女共
同参画局が、
「女性の活躍『見える化』サイト」
http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/mierukasite.
html
を立ち上げ、そこに昭和シェル石油のデータも掲載されている。
(2012 年度実績)
・従業員
946 人 うち女性 213 人(22.5%)
・管理職
229 人 うち女性 10 人( 4.4%)
・役員
29 人 うち女性 2 人( 6.9%)
・平均年齢 44.5 歳、男性 45.9 歳、女性 39.7 歳
・勤続年数 20.6 年、男性 21.8 歳、女性 16.9 歳
・新入社員定着率
男性 90.9%、女性 100%
(2010 年 4 月 1 日入社者の 2013 年同日の割合)
・産休取得者
11 人
・育休取得者
11 人、うち男性 1 人
・育児休業復帰率 90%
・平均年間給与
9,545,867 円
・有休取得率
70.2%
この数字は正しいか?
【会社・高野】正しいです。
(数字は会社が「東洋経済」に開示
した内容)
【組合】数字を開示して、皆が見られるのは良いことだ。引き続
きこうした調査には協力してもらいたい。残念なことに「平均年
間給与」が全社員平均のみで、男女別になっていない。是非性別
の金額を開示し、昭和シェルの取り組みを広めてもらいたい。
「女性登用目標」のところは記載がない。
(注記として、
「管理
職は性別・国籍を問わず、能力ある社員を積極的に登用する」と
あるが)数値目標を持つべきだ。ポジティブ・アクションに関し
て、トップの意思を社内外に明らかにすべき。
【会社・新留】可能な限り情報開示していく。以前に比べるとか
なり踏み込んだ。世の中の流れがそうなっている。
【組合】女性管理職の割合が少ないが、現状がこうで、目標はこ
うだというものがあれば、恥ずかしいことではない。男女別の賃
金実態を公表し、差がつまっていくことを示すことができたら良
い。
【会社・新留】数値目標はどうかな、と思う。
(株主総会での香
藤会長と同じですね)もともと性に関係なく処遇してきている。
【組合】建前はそうだろうが、現実は違う。女性の監査役、執行
役員も社外の方だ。
(昭和シェルで)働いて行く中から女性が役員
になっていく道筋を示すべきだ。
【会社・大久保】2000 年以降、大半の方が辞めないでいるので、
今後自然に女性管理職は増えていく。
「ダントツで 135 億円のコスト競争力改善」-具体的に
は?RVI-Eの突然の中止など、本末転倒な内容が多い
【会社・大久保】
(
「2014 年春季交渉に関する会社見解」を読みあ
げる。
)
【組合】
「ダントツで 2013 年中に 135 億円のコスト競争力改善」
の具体的内容は。
【会社・新留】大きいところは製造系とか、もともと非常にコス
トの大きいところで、最適化に努力した。リテールでも従来から
あるコストをゼロベースで見直した。
【組合】2年前から始まったRVI-Eが昨年突然中止になった。
これもダントツが理由と聞いている。塗装が剥げたSSもそのま
まだ。本末転倒だ。特約店制度で「早払い奨励金」制度の改定(廃
止?)により、ある特約店は年間 3000 万円のコスト増になってい
る。昭和シェルだけの(目先の)コストダウンはできても、特約
店も含めた昭和シェルグループ全体を考えると非常に疑問だ。タ
ウンホールミーティングで製油所のメインテナス日程を縮めたと
の説明があったが、普段からやるべきことであって、ダントツだ
からやったの?との疑問が湧いた。135 億円の中身を検証して説
明してもらいたい。安全がおろそかになったら大変なことだ。
【会社・新留】四日市製油所の定修によるコスト削減は、一日短
縮すると1億円くらいのコストダウンになると聞いている。他の
製油所も含めて相当準備した結果と聞いている。
【会社・高野】皆さんの組合には正社員がいない。組合員以外の
正社員にかかわる要求(賃上げ、一時金)をしている理由は。
【組合】ポテンシャルとしては、いつでも組合員になる可能性の
ある人がいる、ということと、社員全体にこうすべきだ、という
立場で要求している。
【会社・高野】今後も情報(行動昇給など)提供はするが、団交
の場で要求書をいただいて、それに回答するか、果たして団交の
議題として取り扱うべきなのか。
【組合】例えば組合員のいない職場で合理化問題等が生じ、組合
が交渉を申し入れたら受けないということか。かつての労使関係
ならともかく、組合は「会社にとっても労働者にとってもこうし
た方が良いのではないか」と問題提起しているので、きちんと論
議すべきだ。通知か回答かは会社の判断だ。
【会社・高野】お互いの意見交換を否定するものではない。
●派遣法改悪法案が今国会に提出されることが確実視されている。
今は 26 業種とうことで 3 年上限はクリアーしているが、
もし法案
が成立した場合、3年を超える派遣社員の処遇をどうするか、明
確にするように検討依頼した。
(組合要求は希望者は正社員化)
組合員には「なくなると困る」の声-給茶サービス
【組合】給茶サービスに関し、前回社員の声を聞くべしと伝えた。
【会社・高野・大久保】アンケートといった方法はとっていない
が、パイプを通じて意見は聞いている。給茶器がなくったらとん
でもない、という意見より、急だね、あれば使うがなくなるのも
仕方ない、といった意見だった。
(
「止める」と言っている会社か
ら面と向かって問われれば、このように答える社員が多いことは
想像できる。
)
【組合】組合員に聞こえるのは「困った」という声だ。給茶器の
ある石油他社もある。メールはどうするつもりか。
【会社・高野】今のシステムを大幅に変更するとは聞いていない。
【組合】繰り返しになるが、利用者は多いし、雇用に影響がある
のでサービスを継続さすよう要求する。香藤会長が給与一割返上
するそうだが、それを充てればまかなえる。
降雪時の帰宅指示は弱い立場を考慮し、より早くすべき
●2月14日の大雪の際、会社の指示が出たのが午後4時過ぎで
あった。安全第一の観点から、最も弱い立場の人のことを考慮し
て、もっと早く指示するよう申し入れた。
以上